古いミリタリーウェアには、現代のファッションとは異なる基準で生まれた格好良さがある。身体を守ること、必要な装備を携行すること、限られた空間でも身体を動かせること。そこにあるディテールは、見た目を飾るためではなく、実際の使用環境から導き出されたものだ。だからこそ、何十年という時間が経過しても、その構造には人を惹きつける説得力が残っている。
今回紹介するMODMNTのMK JACKETは、そんな軍用衣料の歴史を背景に持つ一着。デザインの中心にあるのは、英国空軍の寒冷地用フライトジャケットとして知られるRAF MK-3である。短い着丈、特徴的なポケット、収納式フード、後ろ裾のビーバーテール。航空機搭乗員の衣服に見られる独特な造形を取り入れながら、現代の高密度織物と着脱式の袖、別売りのダウンライナーを組み合わせている。
そして今回、特に注目してほしいのが素材の表情だ。コットンとポリエステルを交織した高密度素材VENTONEは、異なる繊維を染め分けることで複雑な色合いを生み出す。OLIVEでは光の当たり方や見る角度によって色の表情が変わる玉虫感が際立ち、BLACKでは穏やかで上品な光沢が印象に残る。同じジャケットでありながら、色によってポケットやフラップの見え方まで変わってくる。この生地と軍用衣料由来の造形が組み合わさったところに、MK JACKETならではの格好良さがある。
LAMPAが惹かれたのは、古い軍服の特徴を残しながら、素材と構造の両面から現代の服として組み立て直しているところだ。なぜこの形になったのかという歴史的な背景と、今このジャケットを着る面白さ。さらに、袖やビーバーテールを動かすことで、服の輪郭そのものが変化する。単に古い軍服のデザインを取り入れたという説明では終わらない、実に見どころの多い一着である。
RAF MK-3は、Jacket, Aircrew, Cold Weather, Mk.3という名称で知られる英国空軍の寒冷地用ジャケットである。航空機の発達に伴い、搭乗員の装備にもさまざまな工夫が重ねられてきた。飛行服には寒さや風への対応に加え、操縦席という限られた空間で身体を動かすこと、航空機の装備との関係を考えることなど、一般的な衣服とは異なる条件が求められる。
英国の航空服の歴史をさらに遡ると、第一次世界大戦中に英国海軍航空隊のSidney Cottonが考案したSidcot Suitという飛行服がある。当時は開放式の操縦席を持つ航空機も多く、搭乗員は飛行中の厳しい寒さにさらされていた。そうした環境に対応するため、飛行服では衣服の形だけでなく、素材の選択や重ね方も重要な課題となっていった。
この英国航空服の歴史を考えるうえで興味深い素材がVentileである。第二次世界大戦期の英国で開発された高密度綿織物で、綿繊維が水分を含んで膨張することで織り目が詰まり、水の侵入を抑える仕組みを持つ。合成樹脂による防水膜とは異なり、繊維そのものの性質と織物の密度を利用した技術だ。
Sidcot Suitが生まれた時代からVentileが開発された時代まで、英国の航空服では飛行中の厳しい環境に対応するため、衣服の形や素材にさまざまな工夫が重ねられてきた。そこで追求されていたのは、見た目の格好良さではなく、搭乗員が置かれる環境に対して衣服がどう応えるかということだ。そうした実用上の課題から生まれた造形が、今ではミリタリーウェア特有のデザインとして人を惹きつけている。
そして今回のMODMNTは、その歴史を背景に持つRAF MK-3の造形を、現代の高密度織物VENTONEによって新たに表現している。VentileとVENTONEは素材も加工技術も異なるが、織物の構造から衣服の性能を考えるという点には興味深い共通性がある。かつての飛行服が持っていた機能的な形を、今の素材でどう表現するか。MK JACKETのポケットやフード、後ろ裾の構造を見ていくと、その発想が具体的なデザインとして伝わってくる。
MK JACKETを象徴するディテールの一つが、ジャケット内側の背面に収納されたビーバーテールである。後ろ裾から布を引き出すことで、通常のジャケットとは異なる形に変化する構造だ。もともと航空機搭乗員の衣服に見られる特殊なディテールを、MODMNTは現代のファッションとして楽しめる仕掛けに発展させている。
特に面白いのが、引き出した布を後ろ側で留めたときの形だ。短い着丈のジャケットに対して、背面だけが長く伸び、どこか燕尾服を思わせる輪郭が現れる。収納しているときには短丈のすっきりとしたジャケット。それがビーバーテールを引き出すだけで、後ろ姿にまったく違った表情が生まれる。この変化が実に格好良い。
このビーバーテールを見ていて思い出したのが、1990年代あたりのKarrimorのサイクルジャケットだ。当時のサイクルジャケットにも、ライディングで前傾姿勢になった際、腰や臀部が露出するのを防ぐために、後ろ身頃を長く設計したものがあった。飛行服と自転車用のジャケット。用途も時代も異なるが、身体の動きや使用環境から、前後で着丈の異なる形が生まれているところが興味深い。
当時のKarrimorが持っていた、後ろだけ長くなった独特なバランスにも魅力を感じ、LAMPAでは機能服をファッションとして楽しんできた。本来は仕事や特定の活動のために生まれた服を、その機能や形の面白さに惹かれて日常の装いに取り入れる。ミリタリーウェアやワークウェアを街着として楽しむのも、根底にあるのは同じ発想だ。僕はこうした、機能から生まれた造形を本来の用途から解放して楽しむことに、昔から服の面白さを感じてきた。
だからこそ、このMK JACKETのビーバーテールには強く惹かれる。後ろ裾を引き出すだけで、短丈のジャケットに思いがけない長さと動きが生まれる。正面から見た印象はそのままに、背面だけが大きく変わる。しかも必要なければ収納できる。1990年代のKarrimorを思い出しながら、今またこうした独特な後ろ姿を楽しめることが嬉しい。
もう一つ見逃せないのが、襟元に収納されたフードである。使用しないときには襟元に収め、必要に応じて取り出せる構造となっている。フードを収納すれば首元がすっきりとまとまり、引き出せばジャケット全体の印象も変化する。
短い着丈と立体的なポケットを持つジャケットに、収納式フードという仕掛けが加わる。フードを出したときには首元に新たなボリュームが生まれ、収納すれば襟元の形が前面に出てくる。ビーバーテールと同様に、服の構造そのものを変えることで、異なる表情を楽しめるディテールだ。
素材には、コットン62%、ポリエステル38%のVENTONE後染めオックスを使用。経糸に60番双糸のコットン、緯糸にポリエステルを用い、異なる素材を交織して超高密度に織り上げた生地だ。
60番双糸とは、細い60番手の糸を二本撚り合わせたもの。細番手の糸が持つ繊細さを生かしながら、双糸として織物を構成することで、生地の骨格をつくっている。さらに経糸と緯糸で異なる素材を使用し、それぞれを染め分けることで、単一の素材を染めた場合とは異なる複雑な色合いを生み出している。
また、この超高密度の生地には、耐久撥水、ピーチ、BIO、SOFT加工が施されている。ピーチ加工によって表面にはごく細かな毛羽が生まれ、滑らかな肌触りに。高密度に織り上げた生地のしっかりとした骨格を保ちながら、硬さだけが前に出ない柔らかな質感へ仕上げている。加えて透湿性、耐久撥水、UVカットといった機能も備えている。
この素材選びには、かなり意味がある。MK JACKETには立体的なポケットやフラップ、着脱式の袖、そして後ろ裾のビーバーテールなど、服の輪郭を特徴づける構造がいくつもある。こうしたジャケットでは、生地が柔らかすぎるとディテールの輪郭が曖昧になりやすく、反対に硬さばかりを求めれば、服全体が重々しく見えてしまう。
VENTONEは高密度に織り上げることで生地の骨格をつくりながら、ピーチ加工やSOFT加工によって表面の感触を整えている。そのため、フラップやポケットの立体感を生かしつつ、軍用衣料特有の力強いデザインを必要以上に硬く見せない。実際にこのジャケットを見ると、ポケットの重なりや身頃の造形がしっかりと表れながら、全体にはどこか柔らかな雰囲気がある。
そして、この生地の魅力が最も分かりやすく現れているのが、OLIVEとBLACKそれぞれの色の表情だ。高密度に織り上げた生地の骨格や柔らかな表面感は共通しながら、光を受けたときの見え方には明確な違いがある。
OLIVEで特に目を引くのが、光の当たり方や見る角度によって変化する独特な玉虫感だ。コットンとポリエステルという異なる繊維を交織し、染め分けることで生まれる複雑な色の表情が、このカラーでは実に魅力的に現れている。
正面から見たときの色合いと、少し角度を変えたときの色合い。光が当たる部分と影になる部分。その違いによって、同じOLIVEの中にも奥行きが生まれる。特にMK JACKETは、ポケットやフラップ、身頃の切り替えなど、生地の面がさまざまな方向を向く構造になっている。そのため、平面的な生地を見ているとき以上に、玉虫感がジャケット全体の表情として現れてくる。
ここが実に面白い。もともとRAF MK-3を背景に持つ、機能的で力強い造形のジャケットである。そこにVENTONE特有の玉虫感が加わることで、軍用衣料の無骨なデザインに独特な色気が生まれる。ポケットやフラップの形そのものは変わらないのに、生地の色が光によって変化することで、ディテールの見え方まで違ってくる。
さらに、表面にはピーチ加工やSOFT加工による柔らかな質感がある。高密度に織り上げた生地の骨格と、穏やかな表面感。そして見る角度によって変化する玉虫感。軍用衣料を出発点とした造形と、現代の繊維技術から生まれた複雑な色の表情が組み合わさることで、OLIVEは単なるミリタリーカラーのジャケットでは終わらない、独特な格好良さを備えている。
一方のBLACKでは、VENTONEの持つ上品な光沢がジャケット全体の印象を特徴づけている。光を受けた部分には穏やかな艶が現れ、影になる部分との間に自然な濃淡が生まれる。黒一色でありながら、生地表面には単調ではない豊かな表情がある。
この光沢が特に生きてくるのが、ポケットやフラップの重なりだ。MK JACKETには軍用衣料由来のディテールが数多く取り入れられているが、BLACKでは光が当たる面と影になる面の違いによって、その構造が自然に浮かび上がる。色の変化を強く主張するのではなく、穏やかな艶と陰影によってジャケットの造形を引き立てている。
また、VENTONEの柔らかな表面感も、このBLACKの印象を決める重要な要素だ。高密度織物らしいしっかりとした骨格を持ちながら、ピーチ加工やSOFT加工によって生地の表情が整えられている。そこに上品な光沢が加わることで、ミリタリーウェアらしい力強さを残しつつ、全体が落ち着いた雰囲気にまとまっている。
特に魅力を感じるのは、これだけ特徴的なディテールを持ちながら、BLACKではその一つひとつが自然に馴染んで見えるところだ。立体的なポケット、収納式フード、短い着丈、ビーバーテール。個性の強い構造が集まっているにもかかわらず、VENTONEの上品な光沢によってジャケット全体にまとまりが生まれている。OLIVEが玉虫感によって色の奥行きを楽しませてくれるなら、BLACKは穏やかな光沢によって服の造形そのものを引き立てるカラーだ。
MODMNTのMK JACKETが単なるRAF MK-3の復刻ではないことを明確に示しているのが、袖の着脱構造である。袖を取り外すことで、ジャケットからベストへと形態を変えられる。さらに別売りのLINER DOWNを装着することもでき、外側の形状と内側の保温構造をそれぞれ変更できる設計となっている。
袖を取り外せば、肩から腕にかけての輪郭が変わり、身頃のボリュームやポケットの配置がよりはっきりと見える。ジャケットとして着たときには袖までつながる一体感があり、ベストにすると身頃そのものの造形が前面に出てくる。同じ服でありながら、袖の有無によって全体の印象が大きく変化するところが面白い。
また、別売りのLINER DOWNとの組み合わせはもちろん、LAMPAでは手持ちのダウンジャケットを重ねる楽しみ方も提案したい。特に着丈の異なるダウンを内側に合わせれば、MK JACKETの短い裾からダウンの裾がのぞき、二着の丈の違いがそのまま装いの面白さにつながる。専用ライナーという選択肢を備えながら、自分の持っている服を生かして着こなしを考えられるところも魅力だ。
こうした重ね着を考えるときに重要なのが、MK JACKETの身幅と着丈のバランスだ。短めの着丈に対して身頃にはゆとりがあり、肩周りにも余裕を持たせた設計となっている。飛行服を思わせるコンパクトな着丈と現代的な身幅の組み合わせによって、内側にダウンを重ねたときにも上半身にボリュームが生まれ、そのボリュームと短い着丈との対比がはっきりする。
袖を外してベストにすれば、内側に着る服の袖や肩周りが見えるため、重ねる服によって印象も変わってくる。ジャケットとして着たときの一体感と、ベストにしたときに生まれる重ね着の面白さ。袖を着脱するという構造が、服の見え方そのものを変えてくれるところに、この設計の魅力がある。
このMK JACKETの魅力は、合わせる服の幅広さにもある。RAF MK-3を背景に持ちながらも、無骨になりすぎないデザインとVENTONEの柔らかな生地感によって、一般的な軍用ジャケットとは異なる見え方を持っている。OLIVEでは玉虫感が独特な表情を生み、BLACKでは上品な光沢が立体的なディテールを落ち着いた印象にまとめている。この素材とデザインのバランスが、異なる方向性の服との組み合わせを面白くしている。
例えばA VONTADEやORDINARY FITSのデニム、チノパン、カーゴパンツ。アメリカンカジュアルの要素を持つこうした服と合わせれば、MK JACKETのミリタリー由来の造形が自然につながる。デニムの粗さやチノの素朴な質感、カーゴパンツの機能的なディテールに対して、VENTONEの滑らかな表面感が素材の違いを生み、同じカジュアルな方向性の服を組み合わせても、全体が単調になりにくい。
一方で、STILL BY HANDのスラックスを思わせる綺麗なシルエットのパンツとも相性がいい。無骨すぎないデザインとVENTONEの生地感が、軍用衣料を背景に持つジャケットと、スラックスの整った輪郭や落ち着いた素材感を自然につないでくれる。特にBLACKでは、穏やかな光沢がパンツの端正な印象とも調和し、立体的なポケットやフラップが程良いアクセントとして生きてくる。
さらにMOUT RECON TAILORやCCPといった、現代的な素材や構造を追求するテクニカルウェアとの組み合わせも面白い。軍用衣料を出発点とするMK JACKETと、現代の機能素材や立体的なパターンを用いた服。VENTONEの高密度な織りと機能性が、そうした服の素材感ともつながり、異なる時代の機能服を一つの装いの中で楽しめる。
そして、こうした着こなしを考えるときにも、ビーバーテールの存在が効いてくる。後ろ裾を収納すれば短丈のジャケットとして全体をまとめられ、引き出せば背面に独特な長さが生まれる。合わせる服を変えるだけでなく、ジャケットそのものの形を変えることで、装いのバランスまで動かせる。これは実際に服を着る楽しさに直結する、非常に魅力的な仕掛けだ。
このMK JACKETを見て改めて感じるのは、古い軍用衣料には、まだまだ現代のファッションを面白くする要素が残されているということだ。RAF MK-3の独特な構造を出発点に、袖を取り外せる仕掛けを加え、VENTONEという現代の素材で仕立てる。さらにOLIVEでは玉虫感、BLACKでは上品な光沢が、それぞれ異なる格好良さを生み出している。歴史あるデザインを、今の服としてどう楽しむか。その答えが、このジャケットの細部に表れている。
特に印象に残るのは、ビーバーテールを引き出したときの後ろ姿だ。正面から見れば、短い着丈と立体的なポケットが特徴的なミリタリージャケット。それが後ろに回ると、裾から伸びた布によって、思いがけない輪郭が現れる。かつての機能服に由来する構造が、今は純粋にファッションとして人を惹きつける。こういう服に出会うと、長年洋服を見続けていても、まだ面白いものがあると感じる。
LAMPAがこのMK JACKETをセレクトしたのは、RAF MK-3の機能的な造形を、現代の素材と独創的な構造によって新しい服へと発展させているからです。OLIVEの玉虫感、BLACKの上品な光沢、袖を外したときの変化。その一つひとつに見どころがあります。そして何より、ビーバーテールを引き出したときに現れる、あの独特な後ろ姿。古い飛行服に由来する構造を、今は自分の好きな服と組み合わせ、自由なファッションとして楽しめます。短い着丈のジャケットから後ろ裾だけが伸びる、あの何とも言えない格好良さを、ぜひ実際に着て楽しんでほしい一着です。
大きなフラップポケットと、二重のストームフラップを備えた厚みのある前立て。KEELAのKINTYRE JACKETを見ていると、アウトドアウェアが歩んできた歴史と、その造形の面白さを改めて感じる。素材の高機能化とともに、アウトドアウェアの姿も大きく変わってきた。軽量化を追求した生地、身体の動きを考えた立体的な裁断、必要な機能を小さくまとめた合理的なディテール。現代のアウトドアジャケットには、長年にわたる技術開発の成果が詰め込まれている。
一方で、昔ながらの英国アウトドアウェアには、今見ても惹きつけられる独特の格好良さがある。大きなフラップポケット、雨風を防ぐための厚みのある前立て、腰まわりを覆う長めの着丈。必要な機能がそのまま外観に表れ、ひとつひとつのディテールが服の表情をつくっている。そこには、機能を追求した結果として生まれた造形の面白さがある。
今回紹介するKEELAのHERITAGE KINTYRE JACKETは、そんな英国アウトドアウェアの伝統的な姿に、現代の防水透湿素材を組み合わせた一着だ。通常のKINTYRE JACKETが持つ実用的な構造を受け継ぎながら、ドローコードやストッパー、ブランドタグなど、一部にHERITAGE COLLECTION専用の仕様を採用。今回のMOSSという落ち着いたグリーンも相まって、クラシックな魅力が一層際立っている。
そして僕がこのジャケットに強く惹かれる理由は、単に見た目が好みだからではない。これをつくっているのが、防水衣料の製造技術を長年にわたって研究し、軍や警察、山岳救助などの現場に向けた製品まで展開してきたKEELAだからだ。そうした技術を持つメーカーが、昔ながらの英国アウトドアウェアの姿を残したジャケットをつくっている。ここに、この服をLAMPAで紹介したいと思った大きな理由がある。
KEELAは1989年、英国スコットランドで誕生したアウトドアブランド。その背景を辿ると、1973年に設立されたArdmelという会社に行き着く。
Ardmelの創業者Rube Fernandoは、スリランカからスコットランドへ渡り、グラスゴーにあった世界的なミシンメーカーSINGERの工場で働いた経験を持つ技術者だった。その後、自ら会社を設立し、防水衣料の製造に必要な機械や加工技術の開発に取り組んでいく。
防水ジャケットを製造するうえで、避けて通れない問題がある。それが縫い目からの浸水だ。どれほど防水性の高い生地を使用していても、ミシンで縫えば針穴が生まれる。その針穴を塞ぐために重要となるのが、縫い目の裏側に専用のテープを熱圧着するシームシーリングという技術である。
Ardmelは1970年代後半、自社開発のシームシーリングマシンMK-1を生み出した。縫い目に専用のテープを熱圧着するこの技術は、防水衣料の製造技術に大きな進歩をもたらした。
そして、この技術は自社の製造現場だけにとどまらなかった。Ardmelは防水衣料の製造機械を他社にも供給し、衣料品メーカーの製造現場を技術面から支える存在となっていく。
さらにArdmelの工場では、英国を代表するアウトドアブランドのひとつであるBerghausなど、他社ブランドのアウターウェアも製造していた。ここが実に興味深い。完成した衣服をつくる技術と、その製造に必要な機械を開発する技術。その両方を持つ会社だったのである。
服をつくる現場で何が問題になるのか。どこに技術的な改善の余地があるのか。防水性の高い生地を開発するだけでは解決できない、縫製や加工の問題にまで向き合ってきた歴史がある。
そうした技術的な背景から1989年に誕生したのがKEELAだ。それまで他社の製造を支えてきた会社が、自らの技術と考え方を反映したアウトドアブランドを立ち上げたのである。
KEELAは自社ブランドの設立後も、アウトドアウェアの技術開発を続けていく。その代表的な成果のひとつが、System Dual Protection、通称SDPだ。
防水衣料において重要なのは、外からの雨を防ぐことだけではない。身体から発生する湿気や、衣服内部で起こる結露をどう管理するか。KEELAはそうした問題にも取り組み、異なる役割を持つ層を組み合わせた独自の衣服構造を開発してきた。
その技術開発は英国でも高く評価されている。2006年には関連会社が衣料品の構造や素材加工に関するAdvanced Construction Technology、通称ACTによって英国女王賞を受賞。さらに2008年には、KEELAが開発したSDPの技術革新が英国女王賞を受賞している。
衣服の構造や製造技術そのものを研究してきた企業グループが、異なる技術によって二度の評価を受けたという事実は、KEELAの背景を知るうえで非常に重要だ。
現在もKEELAは、一般向けのアウトドアウェアに加え、軍や警察、消防、山岳救助などの専門的な用途に向けた製品を展開している。こうした現場では、衣服の性能が実際の活動に直結する。だからこそ、製品の開発や検証においても、実用性が重視されている。
防水衣料の製造機械を開発してきた会社から生まれ、衣服内部の結露管理まで研究し、今も専門的な現場に向けて製品を送り出している。KEELAは、そうした歴史を持つアウトドアブランドなのだ。
今回のHERITAGE KINTYRE JACKETは、通常のKINTYRE JACKETが持つ基本的な構造や機能を受け継ぎながら、一部のパーツに専用仕様を取り入れたモデルだ。ドローコードやストッパー、ブランドタグなど、細かな部分に通常モデルとの違いが見られる。
ジャケットそのものの形や機能を大きく変更するのではなく、細部の選択によってクラシックな印象を引き立てている。
もともとKINTYRE JACKETは、大きなフラップポケットや厚みのある前立て、長めの着丈など、昔ながらの英国アウトドアウェアを思わせる造形を持っている。そこにHERITAGE専用のパーツが加わることで、その方向性がより明確になる。
そして今回のMOSSという色合いも、このジャケットの雰囲気によく馴染んでいる。HERITAGEという名前を大げさに主張するのではなく、服全体の佇まいから、その魅力が伝わってくる一着だ。
HERITAGE KINTYRE JACKETに採用されているのは、KEELAが開発したRAINLIFE 5000という防水透湿素材だ。防水性、防風性、透湿性を備え、外からの雨や風を防ぎながら、衣服内部で発生する水蒸気を外へ移動させることを考えて開発されている。
RAINLIFE 5000には、表面に質感を持たせた生地と、親水性の防水コーティングが採用されている。親水性のコーティングは、水蒸気の移動を促すことで透湿性を確保する仕組みだ。
外から入り込もうとする雨水を遮りながら、身体から発生する湿気を外へ移動させる。雨の中で着るジャケットにとって、防水性と透湿性の両立は重要な要素となる。
さらに防風性も備えており、雨だけでなく風への対応も考えられている。天候が変わりやすいスコットランドを拠点とするKEELAが、こうした素材を採用していることにも、このブランドらしさが感じられる。
そして、この生地は見た目にも魅力がある。表面には光沢を抑えたマットな質感があり、昔ながらのアウトドアジャケットを思わせる落ち着いた表情を持っている。現代の防水透湿素材でありながら、過度にテクニカルな印象を与えず、クラシックな造形とも自然につながっている。
内側にはメッシュの裏地を備え、表地と身体の間に一枚の層を設けた構成。外側の生地が雨風への対応を担い、内側には衣服としての着用感を考えた仕様が取り入れられている。
英国アウトドアウェアの伝統的なデザインを楽しみながら、素材には現在の防水透湿技術を採用する。この組み合わせが、KINTYRE JACKETの大きな魅力となっている。
今回LAMPAが紹介するカラーはMOSS。苔を思わせる落ち着いたグリーンで、英国の自然やカントリーウェアを連想させる色合いだ。
鮮やかさを前面に出したグリーンではなく、深みを感じさせる落ち着いた色調。その色がRAINLIFE 5000のマットな生地と組み合わさることで、HERITAGE KINTYRE JACKETのクラシックな魅力をさらに引き立てている。
特に目を引くのが、MOSSの生地の上に重なる大きなフラップポケットと、二重のストームフラップによって厚みが生まれた前立てだ。平面的な色の広がりの中に、ポケットの輪郭や前立ての重なりが立体感をつくり出している。
ゆとりを持たせた身幅も含め、それぞれの造形が持つ力強さとMOSSの落ち着いた色合いがうまく調和している。
フロントには、右胸にひとつ、腰の左右にふたつ、大きなフラップポケットを配置。それぞれにフラップとファスナーを備え、雨の中で収納物を保護することを考えた構造になっている。
腰のポケットには、収納部分とは別に横から手を差し込めるハンドウォーマーポケットも設けられている。物を収納する役割と、手を入れる役割を分けることで、ひとつのポケットまわりに複数の機能を持たせている。
さらに興味深いのが、表からは目立たない位置に設けられたマップポケットだ。英国では、Ordnance Survey、通称OSが発行する地形図が、ハイキングや登山で長く利用されてきた。
スマートフォンやGPSが普及する以前、地図を携帯し、必要なときに取り出せることは、アウトドアウェアに求められる重要な機能だった。そうした英国のアウトドア文化を感じさせる仕様が、このジャケットにも受け継がれている。
こうしたポケットの配置を見ると、KINTYRE JACKETが持つクラシックなデザインの背景が見えてくる。収納物を保護するためのフラップ、手を入れるための独立した開口部、地図を携帯するためのポケット。
それぞれに実用的な意味があり、その構造が服の外観にも表れている。だからこそ、これだけ多くのディテールを備えていても、単なる装飾の集まりには見えないのだ。
フロントには、上下どちらからも開閉できるダブルジッパーを採用。その上を二重のストームフラップが覆う構造になっている。ファスナー部分に雨風が直接当たりにくくなるよう考えられた仕様であり、前立ての重なりはジャケットの外観にも厚みを生み出している。
この前立ての存在感も、昔ながらのアウトドアジャケットらしい格好良さを感じさせる部分だ。
フードは襟部分に収納できる仕様で、必要なときに取り出して使用できる。フードの縁には形状を調整できるワイヤーが入り、顔まわりの形を整えられる設計だ。
袖口にはゴムと面ファスナーによる調整機構を備え、手首まわりの開きを変えられる。雨風への対応を考えた機能が、こうした細かな部分にも取り入れられている。
ウエストと裾にはドローコードを配置。身幅のゆとりを生かした着方から、絞りを加えて輪郭に変化をつける着方まで、シルエットを調整できる構造になっている。
さらに、KEELAのSkye Pro Fleeceを内側に連結できるジップイン仕様も備えている。対応するフリースを取り付けることで、防水透湿素材を使用した外側のジャケットと、保温用の衣服を組み合わせられる。
ポケット、前立て、フード、袖口、ドローコード、ジップイン。それぞれの仕様を見ていくと、KEELAが実用的なアウトドアウェアをつくり続けてきたメーカーであることが伝わってくる。
見た目には昔ながらの英国アウトドアジャケットの魅力を残しながら、その構造には現在のアウトドアウェアとして必要な機能が組み込まれている。
シルエットは、身幅にゆとりを持たせたレギュラーフィット。着丈も比較的長く、腰まわりを覆う設計になっている。身体の線を強調しないゆったりとした輪郭が、昔ながらの英国アウトドアウェアらしい姿をつくり出している。
ウエストと裾のドローコードによって、ゆとりをそのまま生かすことも、絞りを加えてシルエットを変化させることもできる。
LAMPAでは、このジャケットをアウトドア専用の衣服としてだけでなく、普段の服装の中でも楽しみたいと考えている。
例えばデニムと合わせれば、英国のアウトドアウェアが持つ無骨な表情が自然に生きてくる。チノパンツと組み合わせれば、カントリーウェアにも通じる落ち着いた装いになる。
ここで魅力となるのが、MOSSの色合いとクラシックなシルエットだ。大きなポケットや長めの着丈がジャケットの輪郭をつくり、その落ち着いたグリーンが全体の印象をまとめてくれる。
機能素材を使用したアウトドアジャケットでありながら、昔ながらのカジュアルウェアとも自然につながる。このバランスも、LAMPAがこのモデルを選んだ理由のひとつだ。
HERITAGE KINTYRE JACKETを見ていると、服の面白さは、デザインや素材の説明だけでは語りきれないと感じる。
最初に目を引くのは、昔ながらの英国アウトドアウェアを思わせる格好良さだ。しかし、ポケットや前立て、フードなどの構造を見ていくと、それぞれに実用的な意味があることが分かる。そして、その服をつくっているKEELAの歴史を知ることで、さらに興味が深まっていく。
防水衣料の製造機械を開発し、他社のアウターウェアを製造していた会社から生まれたブランド。衣服内部の結露管理にまで取り組み、その技術革新が英国女王賞によって評価され、現在も軍や警察、山岳救助などの現場に向けた製品を展開している。
そんなメーカーが、今も英国アウトドアウェアの伝統的な姿を大切にしたジャケットをつくっている。しかも、現代の防水透湿素材と実用的な構造を備えたうえで、そのクラシックな魅力を残している。ここに、この服ならではの面白さがある。
KEELA HERITAGE KINTYRE JACKET MOSSは、英国アウトドアウェアの伝統的な格好良さと、現代の防水透湿技術を併せ持つ一着です。大きなポケットや厚みのある前立て、MOSSの落ち着いた色合い、そしてHERITAGE仕様の細かなパーツ。そのひとつひとつに魅力があります。そして何より、防水衣料の製造技術を追求してきたメーカーが、今もこうした英国アウトドアウェアの伝統的な姿を大切にしている。その事実こそ、このジャケットをLAMPAで紹介したかった一番の理由です。
スコットランドのアウトドアブランド、KEELA(キーラ)。
1989年に誕生したこのブランドには、その設立年だけでは語りきれない歴史がある。なぜならKEELAの物語は、ブランドが誕生する16年も前、1973年にまで遡るからだ。
防水衣料を製造するための機械を開発し、英国を代表するアウトドアブランドBerghausのアウターを製造。その経験をもとに自社ブランドを立ち上げ、独自の防水システムを開発し、二度の英国女王賞につながる技術革新を実現してきた。
そして、その技術は過去の実績として残っているだけではない。現在もKEELA Tacticalという専門部門を通じて軍や警察などに向けた衣服を開発し、山岳救助をはじめとする厳しい現場でもKEELAの製品が採用されている。さらにスコットランドとスリランカには自社の製造拠点を持ち、今も実際に服をつくり続けている。
これだけの背景を持ちながら、日本ではその歴史まで詳しく紹介される機会が少ないブランドだと思う。今回は、KEELAというブランドがどこから生まれ、何を積み重ね、なぜ現在も専門的な現場から支持されているのか。その歴史をじっくり辿っていきたい。
KEELAの歴史を語るうえで、まず知っておきたいのがArdmelという会社の存在だ。
1973年に設立されたArdmelは、後にKEELAを生み出すことになる企業である。創業者のRube Fernandoはスリランカ出身で、1960年代にスコットランドへ渡り、Singerのミシン工場で働いていた。
Singerといえば、世界的に知られるミシンメーカー。その製造現場で経験を積んだFernandoが取り組んだのは、衣服をつくるための機械や製造技術の開発だった。
中でも重要だったのが、防水衣料の縫い目を処理するシームシーリング技術である。
防水生地を使用してジャケットをつくる場合、生地そのものが雨を通さなくても、縫製によって生まれる針穴から水が浸入する可能性がある。そこで縫い目の裏側に専用のテープを熱や圧力によって接着し、針穴を塞ぐ。これがシームテープ加工の基本的な仕組みだ。
現在では防水ジャケットで広く採用されている技術だが、Fernandoはこのシームシーリングを行う機械の開発に取り組んだ。
つまり、KEELAにつながる事業の出発点は、完成した服のデザインではなく、防水衣料を製造するための技術だった。
雨を防ぐ服をつくるには何が必要なのか。生地を縫い合わせた部分から水が入る問題を、どう解決するのか。そのための機械を、どう開発するのか。
そうした製造現場の課題に向き合うことから、この会社の歴史は始まっている。
そしてKEELAの歴史をさらに興味深いものにしているのが、英国の名門アウトドアブランドBerghausとの関係だ。
1966年に英国で創業したBerghausは、1970年代以降、英国のアウトドアウェアの発展に大きく関わってきたブランドである。実はKEELAが誕生する以前、Ardmelの工場ではBerghausを含む他社ブランドのアウターを製造していた。
この事実は、2026年10月にスコットランドの地方紙The CourierがKEELAの工場を取材した記事でも紹介されている。
ここで重要なのは、Ardmelが防水加工の機械を開発するだけの会社ではなかったということだ。実際にアウトドアウェアを製造し、生地を裁断し、縫製し、縫い目を防水処理し、一着のアウターとして完成させる。その仕事を通して、製造技術と経験を積み重ねていた。
そして1989年、自分たちのブランドとしてKEELAが誕生する。
この順番が実に面白い。すでに防水衣料の製造機械があり、Berghausなどのアウターをつくってきた経験があり、その積み重ねの先に自社ブランドが生まれたのである。
僕がKEELAというブランドに強く惹かれたのは、まさにこの部分だ。服を売るために製造技術を身につけたのではなく、製造技術を持った会社が自分たちの服をつくり始めた。その歴史が、現在のKEELAの製品を理解するうえでも重要な意味を持っている。
KEELAの本拠地は、スコットランド東部ファイフ地方のGlenrothes。
雨や風が多く、天候が変わりやすい英国の気候は、防水衣料にとって厳しい条件を生み出す。特に厄介なのが、衣服内部で発生する結露だ。
防水ジャケットを着て歩き続けると、身体から汗や水蒸気が発生する。外気温が低ければ衣服の内部にも温度差が生まれ、水蒸気が液体の水へ変わることがある。
外から雨が浸入していなくても、衣服の内側が濡れてしまう。さらに雨が降り続いて外側の湿度が高くなれば、水蒸気を外へ逃がす条件も厳しくなる。
つまり、防水ジャケットに必要なのは、外からの水を防ぐ性能だけではない。身体が発する湿気をどう処理し、衣服内部をどのような状態に保つかという問題も存在する。
KEELAは、この結露という問題に取り組んだ。
その研究から生まれたのが、ブランドを代表する独自の防水システム、System Dual Protectionである。
System Dual Protection、通称SDPは、KEELAが開発した二重構造の防水システムだ。
二つの層の間にAir Gapと呼ばれる空間を設け、衣服内部の温度変化や結露を管理する仕組みを採用している。
一般的な防水透湿素材では、生地や膜が水蒸気をどれだけ通すかという性能が重要な評価項目になる。しかしKEELAが着目したのは、実際の着用環境で生じる結露を、衣服全体の構造によってどう管理するかという問題だった。
特に寒冷で湿度の高い環境では、衣服内部と外気の温度差が大きくなり、身体から発生した水蒸気が結露する可能性がある。SDPは二重構造と空気層を設けることで、その問題への対応を目指している。
重要なのは、防水性や透湿性を単独の数値として考えるだけでなく、衣服内部の結露という現象に対して、構造そのものから解決策を考えたことだ。
そして、このSDPはもともと軍事用途のために開発された技術だった。
軍の活動では、雨や風の中を長時間移動し、身体を激しく動かした後に停止することもある。低温環境では衣服内部に残った水分が身体を冷やす原因にもなる。
そうした条件を考慮して開発された技術が、後に山岳救助や緊急サービス、一般向けアウトドアウェアにも展開されていったのである。
KEELAの歴史を語るうえで欠かせないのが、2006年と2008年、二度にわたる英国女王賞に関わる技術革新だ。
Queen's Awards for Enterpriseは、英国企業の優れた業績を表彰する制度であり、Innovation部門では革新的な技術や製品が評価される。
最初の受賞は2006年。受賞企業はKEELAの関連会社であるArdmel Automation Ltd。対象となったのは、衣料産業に向けた糸を使用しない超音波接合技術の開発だった。
KEELAの公式沿革では、この受賞をAdvanced Construction Technology、通称A.C.T.という衣服や素材の構築技術に関するものとして紹介している。
従来の縫製では、針と糸によって生地をつなぎ合わせる。一方、超音波接合では高周波の振動によって接合部分に熱を発生させ、対応する素材同士を接合する。
素材によって適した接合方法は異なるが、針穴を開けずに素材を接合できることは、防水衣料の製造において重要な意味を持つ。なぜなら、防水生地に針穴を開けること自体が、水の浸入経路をつくる原因になるからだ。
ここで注目したいのは、賞の対象が完成したジャケットのデザインではなく、衣服を製造するための技術だったことだ。
1973年から製造機械と防水衣料の技術開発に取り組んできた会社が、糸を使用しない接合技術の開発によって英国女王賞を受賞した。KEELAというブランドの背景には、こうした製造技術の歴史が存在している。
そして2008年、今度はKEELAの独自技術であるSystem Dual Protectionが、Queen's Award for Enterprise: Innovationを受賞する。正式な受賞企業はKeela International Ltdであり、衣服内部の結露を管理するためのSDP技術が評価された。
2006年のA.C.T.が衣服をどう構築するかという製造技術に関するものだったのに対し、2008年のSDPは、完成した衣服が厳しい環境でどう機能するかという技術である。
この違いは大きい。
衣服を製造する工程そのものを進化させる技術と、着用時に発生する結露を管理するための技術。KEELAにつながる企業群は、防水衣料をつくる方法と、その衣料が果たす性能の両方に取り組んできた。
そして、どちらも長年向き合ってきた防水衣料という分野から生まれている。
二度の英国女王賞という実績は、それぞれの技術の内容を知ることで、さらに重みを増す。
KEELAの技術開発には、もうひとつ興味深い製品がある。
2001年に発表された、完全にシームテープ処理されたフリースジャケットだ。KEELAはこれを世界初の製品として紹介している。
フリースは一般的に保温を担う衣服として知られているが、KEELAはそこに長年培ってきたシームシーリング技術を取り入れた。フリースの風合いを持ちながら、突然の雨にも対応するという発想である。
防水衣料の製造技術を持っているからこそ、既存の衣服に対しても新しい構造を考えることができる。
こうした製品開発の歴史にも、KEELAの技術的な背景が表れている。
ここまで紹介してきたKEELAの技術が、現在どのような分野で生かされているのか。それを理解するうえで重要なのが、KEELA Tacticalの存在だ。
KEELA Tacticalは、軍、警察、戦術部隊、緊急サービスなど、専門的な任務に従事する人々へ向けた衣服を開発する部門である。
KEELA Tacticalでは、軍人との共同開発や、実際の現場で求められる性能を反映した製品づくりが重視されている。軍用衣料には、一般的なアウトドアウェアとは異なる要求が存在する。
たとえば、装備を身につけた状態で長時間活動すること。激しい運動と待機を繰り返すこと。雨や風、低温の中でも身体を動かし続けること。
こうした条件では、防水性や保温性に加えて、ポケットの配置、フードの構造、袖の可動域、装備との干渉、換気機構など、衣服の細部まで重要になる。
特に装備を身につけた状態では、ポケットが単に大きければいいわけではない。必要なものへ手を伸ばしやすい位置にあることや、装備によって開閉が妨げられないことも考慮しなければならない。
また、身体を激しく動かした後に停止する状況では、衣服内部の湿気や結露が問題になる。そこで関わってくるのが、先ほど紹介したSDPだ。
もともと軍事用途のために開発された技術が、現在もKEELA Tacticalの製品に採用されている。つまり、過去の研究開発と現在のタクティカルウェアが、同じ技術によってつながっているのである。
KEELA Tacticalの製品を具体的に見ていくと、その設計思想がさらに分かりやすくなる。
たとえばBelay Jacket 6.0は、寒冷環境での活動や待機を想定した防寒ジャケットだ。
このジャケットには、133g/㎡のPrimaLoft Gold中綿と、KEELA独自のSystem Dual Protectionが採用されている。
PrimaLoft Goldは化学繊維を使用した保温材であり、133g/㎡という数値は中綿の単位面積あたりの重量を示す。そこへSDPによる防水性と結露管理を組み合わせることで、寒冷環境での保温と悪天候への対応を考えた構造となっている。
さらにMultiCam仕様では、赤外線反射特性に配慮したIRR対応の生地を採用。肩には330デニールのナイロンによる補強を施し、活動時の動きやすさを考慮した短めの着丈に仕上げている。
IRRとはInfrared Reflectanceの略で、近赤外線領域における素材の反射特性に関わるものだ。軍用衣料では、目で見える色や迷彩柄だけでなく、暗視装置などからの見え方も重要になる。
Belay Jacket 6.0の公式仕様では、快適温度の目安としてマイナス15℃、極限温度の目安としてマイナス20℃が示されている。これはメーカーが設定した製品の温度評価であり、実際の防寒性は着用する衣服の組み合わせや活動状況によって変わる。
防水性、保温性、結露への対応、肩の補強、着丈、赤外線反射特性。こうして具体的な仕様を見ていくと、軍や専門部隊の活動を前提とした衣服が、どのような要求から設計されているのかが見えてくる。
KEELA Tacticalについて、もうひとつ知っておきたいことがある。
それは、現在も軍や専門機関との関係を持ち、製品の開発と供給を続けていることだ。
KEELAの顧客には、軍だけでなく警察や消防などの公共サービスも含まれる。こうした専門的な分野への供給は、KEELAの事業において重要な位置を占めてきた。
さらに2026年には、チェコのプラハで開催される防衛・安全保障分野の展示会Future Forcesの出展者一覧に、Keela Tactical Solutionsが掲載されている。
出展者紹介では、軍事活動に向けた寒冷地用衣料の開発、SDPによる結露管理、軍人との共同開発などが説明されている。
過去の軍服を研究してデザインへ取り入れることと、現在の軍や専門機関から求められる衣服を開発することには、それぞれ異なる面白さがある。
KEELAには、後者の仕事を現在も続けているという強みがある。
KEELA Tacticalと一般向けKEELAは、製品の用途や必要とされる仕様が必ずしも同じではない。軍用衣料には装備との適合性や赤外線反射特性など、一般向け製品には求められない場合もある性能が存在する。
しかし、両者の間には共通する技術がある。
その代表がSDPであり、もうひとつが長年培ってきた防水衣料の製造技術だ。
軍事用途から始まった結露管理の研究が、山岳救助や緊急サービス、一般のアウトドアウェアへと展開されてきた。同じ企業の中で、専門的な現場に向けた製品と一般向けの製品が開発されている。
その背景には、1973年から積み重ねてきた製造技術がある。
この関係を知ってからKEELAの服を見ると、ブランドが持つ技術的な奥行きがよく分かる。
KEELAの製品が採用されているのは、軍だけではない。
山岳救助隊、警察、消防、救急サービスなど、さまざまな公共・専門分野へ衣服を供給している。
2026年10月のThe Courierによる現地取材でも、Police Scotland、Forestry Commission、山岳救助隊、軍などへの供給が続いていることが報じられている。
山岳救助の現場では、悪天候だからといって活動を中止できるとは限らない。雨や風、低温の中で長時間身体を動かし、時にはその場で待機することもある。
そうした環境では、防水性だけでなく、衣服内部の湿気への対応、身体を動かすための構造、装備へのアクセス、保温性など、複数の性能が求められる。
KEELAが長年取り組んできた技術と、こうした現場で必要とされる衣服の性能は、密接につながっている。
製造技術の開発から始まった会社が、現在も人々の安全に関わる仕事を支える衣服をつくっている。
その歴史には、非常に大きな説得力がある。
ここまでKEELAの技術と製品について紹介してきたが、もうひとつ大きな特徴がある。
現在も自社で衣服を製造していることだ。
KEELAの本拠地Glenrothesには、今も製造設備があり、実際にアウターの縫製が行われている。
2026年10月のThe Courierによる現地取材では、同社がSouthfield Industrial Estateに4棟の建物を構え、地元で約70人を雇用していることが紹介されている。
さらに、同記事では年間売上高が過去最高となる約1,000万ポンドに達したことも報じられている。
1,000万ポンドという規模は、日本円に換算すれば為替相場によって変わるものの、相応の事業規模を持つメーカーであることが分かる。しかも、この事業を支える拠点では、現在も実際に衣服が縫製されている。
Ardmelグループの事業は衣服だけにとどまらず、精密機械部品や自動車に関わるシーリング技術などにも広がっている。
1973年に衣服の製造機械を開発する会社として始まり、Berghausのアウターを製造し、自社ブランドを立ち上げた。そして半世紀以上が経過した現在も、製造技術の開発と実際の衣服づくりを続けている。
この歴史があるからこそ、現在のGlenrothesの工場には特別な意味がある。
KEELAのものづくりの出発点が、今もスコットランドに残っているのである。
KEELAはスコットランドだけでなく、スリランカにも自社の製造拠点を持っている。
スリランカは創業者Rube Fernandoの出身地でもあり、グループの製造体制において重要な役割を担っている。
グループ企業のIlascoも、スコットランドとスリランカの製造体制を背景に、専門的な防護衣料などを手掛けている。
そのため、KEELAの製品がすべてスコットランド製というわけではない。生産国は製品によって異なる。
しかし重要なのは、英国とスリランカに製造拠点を持ち、現在も衣服の製造に直接関わっているということだ。
自社ブランドを立ち上げた後も、製造という仕事を手放さず、技術と生産体制を維持してきた。
KEELAが現在も専門的な衣服を開発し、供給している背景には、こうした製造体制の存在がある。
KEELAの製造能力を示す出来事として、2020年のパンデミックも挙げておきたい。
この時、KEELAは英国国内の製造設備を拡充し、NHS向けの医療用ガウンや個人用防護具の生産に対応した。
公式沿革によれば、その生産数は75万着を超える。アウトドアウェアの製造で培ってきた技術と設備を、医療現場で必要とされる衣服の生産へ転用したのである。
しかも、この時に拡充された英国の製造設備は、その後も残され、2022年には新しい英国製の限定製品などの生産へとつながっている。
防水衣料の製造機械を開発するところから始まった会社が、必要とされる衣服を自らの製造技術で生産する。
半世紀にわたるKEELAの歴史を考えると、この出来事もその延長線上にある。
KEELAには、製品を修理し、長く着続けることを支える取り組みもある。
その歴史は1980年にまで遡る。この年、後にKeela Rebuildへとつながる修理事業が始まった。
当初は契約顧客向けの修理サービスとして始まり、現在では年間100件を超える修理を行っていると公式沿革で紹介されている。
服をつくるだけでなく、傷んだ部分を修理し、再び着られる状態へ戻していく。衣服を製造する技術と経験を持っていることは、こうした取り組みにもつながっている。
さらに2011年には契約顧客向けの衣料回収制度を開始。2014年には5 R'sと呼ばれる取り組みを通じて、製造工程を含めた持続可能性への活動を強化した。
2026年の現地取材では、古くなったKEELAの衣服をウォッシュバッグや財布、エプロンなどへつくり替えるLegacy Projectも紹介されている。
服をつくり、修理し、役目を終えた製品を別の形へ変えていく。製造を自分たちの仕事として続けてきた会社だからこそ、こうした取り組みにも一貫した背景が感じられる。
1973年に始まった防水衣料の製造技術。Berghausを含む他社アウターの製造。1989年の自社ブランド設立。そして衣服内部の結露という問題に向き合い、独自のSystem Dual Protectionを開発してきた歴史。
2006年には糸を使用しない超音波接合技術、2008年にはSDPに関わる技術革新が英国女王賞によって評価された。さらに現在もKEELA Tacticalを通じて軍や専門機関に向けた製品開発を続け、警察や山岳救助の現場へ衣服を供給している。
そして、その服をつくるための製造拠点が、今もスコットランドとスリランカに存在している。
これだけの歴史を持ちながら、日本ではKEELAの背景まで広く知られているとは言い難い。
しかし、こうした事実を知ったうえで製品を見ると、衣服の構造やディテールに対する理解は大きく変わってくる。
なぜ衣服内部の結露にまでこだわるのか。なぜ軍や山岳救助の現場に向けた製品を開発し続けているのか。そして、なぜ今も自社で服を製造しているのか。
その答えは、1973年から積み重ねてきた歴史の中にある。
防水衣料の製造機械を開発し、Berghausのアウターを製造していた工場。その技術から生まれたブランドが、半世紀以上を経た現在も、自ら服をつくり、軍や山岳救助の現場へ製品を送り出しています。LAMPAでは、そうした歴史と技術が息づくKEELAの服を、これからじっくり紹介していきます。
ワークパンツとスラックス。そもそも生まれた目的も、求められてきた役割も違う。前者は働く人々の身体を守り、日々の仕事に耐えるための服。後者は身体の曲線を考え、立体的な裁断と仕立てによって美しい輪郭をつくり出す服だ。どちらにも長い歴史があり、それぞれの用途に応じて発達してきた技術がある。
服を長く見続けていると、面白いと感じるのは、そうした異なる世界の技術がひとつの服の中で出会った時だ。丈夫さを求めて発達した素材を、身体の形を美しく見せるための技術で仕立てる。合理性だけを考えれば、もっと簡単な方法もあるだろう。それでも手間を惜しまないことで、従来のワークパンツとは違う魅力が生まれる。
BARNSTORMERのPRESSED WORKERSは、まさにそこが面白い。フレンチワークパンツの構造を取り入れながら、使用するのは硫化染めとストーンバイオ加工を施したコットンキャンバス。そして、その生地を仕立てるのは、BARNSTORMERが長年培ってきたスラックスづくりの技術を持つ工場である。
LAMPAでは、このパンツを単に加工の入ったワークパンツとして紹介したくない。生地には仕事着らしい粗さを求めながら、仕立てにはスラックスの技術を持ち込む。素材と製法が異なる方向を向いているからこそ、一本のパンツとして完成した時に面白さが生まれる。そして何より、実際に穿けばその意味が分かる。無骨なキャンバスから想像する以上に、腰回りから脚にかけての輪郭が美しい。この見た目と実際に穿いた時の驚きが、LAMPAがPRESSED WORKERSを選んだ理由だ。
まず注目したいのが、コットン100%の平織りキャンバスという素材だ。キャンバスは、経糸と緯糸を交互に交差させる平織りを基本とした生地で、比較的太い糸を使い、しっかりと織り上げるものが多い。糸が縦横に交差する素朴な表面と、生地そのものが持つ張りが特徴で、古くから作業服や帆布、袋物など、丈夫さを必要とする製品に用いられてきた。
一般的なチノパンに多く使われるチノクロスは、斜めの綾目を持つ綾織りが主流で、比較的滑らかな表面をつくる。一方、キャンバスは平織りならではの縦横の糸の交差が表面に現れ、より素朴で骨太な質感を持つ。同じコットン100%でも、織り組織が違えば生地の表情は変わり、それがパンツ全体の印象にもつながる。
今回使用されているキャンバスは、厚過ぎず薄過ぎない程良い厚みの生地だ。キャンバスという言葉から連想する極端に厚く硬い帆布とは異なり、ワークパンツらしいしっかりとした質感を持ちながら、日常的に穿くパンツとして取り入れやすい厚さに仕上がっている。この厚みだからこそ、腰回りに適度な膨らみをつくりながら、脚全体が過剰に張り出すことなく自然な輪郭に収まっている。
このキャンバスという素材は、ワークウェアの歴史とも深い関係がある。アメリカではダックと呼ばれる丈夫なコットンキャンバスが作業用のジャケットやパンツに採用され、フランスでもモールスキンやコットンツイルとともに、用途に応じたさまざまな綿織物が仕事着を支えてきた。フレンチワークというとモールスキンの印象が強いが、実際の仕事着はひとつの素材だけで成立していたわけではない。職業や用途に合わせて生地を選び、裁断やポケットの配置を工夫することで、それぞれの仕事に適した服がつくられてきた。
PRESSED WORKERSにキャンバスを採用する意味は、その歴史的な背景だけではない。平織りキャンバスが持つ適度な張りは、腰回りのプリーツや脚の輪郭を支えるうえでも意味を持つ。柔らかな生地であれば身体に沿って落ちやすい部分も、張りのある生地なら一定の膨らみを保ちやすい。腰から太腿にかけて生まれるゆとりが、そのまま身体の線を拾うのではなく、パンツ自体の立体的な形として現れる。ワークウェアらしい素材の質感と、スラックスの仕立てによる輪郭。その両方を成立させるための素材選びとしても興味深い。
そして、このキャンバスに独特の表情を与えているのが、硫化染めとストーンバイオ加工だ。硫化染めとは、硫黄を含む染料を使用する染色技術で、ブラックやブラウン、オリーブなどの深い色を表現する際にも用いられてきた。染料を還元によって水に溶ける状態へ変化させ、綿繊維に吸収させた後、酸化によって再び水に溶けにくい状態へ戻す。この工程によって色を定着させるのが、硫化染料の基本的な仕組みである。
硫化染めの面白さは、染色した生地の表面に摩擦や洗い加工を加えることで、色の濃淡を表現できるところにある。均一に染め上げられた生地も、表面の染料を含んだ繊維が摩耗すれば、その部分の色が薄くなる。新品の生地を均一な色のまま仕上げるのではなく、着用を重ねた仕事着に見られる擦れや色の変化を、加工によって表現することができる。
そこへ組み合わせているのがストーンバイオ加工だ。一般的にストーンウォッシュは、軽石などを衣服と一緒に洗浄機へ投入し、回転による摩擦で生地表面にアタリをつける加工。一方、バイオウォッシュはセルラーゼと呼ばれる酵素を利用し、綿を構成するセルロース繊維の表面に作用させることで、毛羽や表面の繊維を部分的に取り除く技術である。
この二つを組み合わせることで、生地全体の風合いを変化させながら、縫い目やポケットの端、生地が重なる部分などに摩耗による濃淡を生み出すことができる。硫化染めによって与えられた色を、ストーンバイオ加工によって部分的に崩していく。染色によって色をつくり、その後の加工によって着込んだ表情をつくるという二段階の考え方だ。
ここで重要なのは、単に古着らしく見せるための加工ではないということだ。キャンバスが持つ素朴な織り目に、硫化染めの色とストーンバイオ加工による濃淡が重なることで、生地そのものの表情がよりはっきりと現れる。さらに加工によって新品の生地特有の硬さが和らぎ、ワークパンツらしい質感と、穿き始めから身体に馴染みやすい風合いを目指している。
そして、この加工済みのキャンバスをスラックスの考え方で仕立てるところが、PRESSED WORKERSの面白さだ。マッカーサ2では、コールドマーセ加工を施したウエポンの光沢と張りを生かし、軍服を思わせる端正な輪郭をつくっていた。一方、PRESSED WORKERSでは、生地の色をあえて崩し、着込んだ仕事着を思わせる表情を求めている。同じBARNSTORMERでありながら、素材の仕上げ方は対照的。その違いからも、ブランドのものづくりの幅が見えてくる。
そして、ここからがBARNSTORMERというブランドの本領だ。一般的なカジュアルパンツと、仕立て屋の技術を取り入れたスラックス。その違いは、単に縫製が丁寧だとか、内側の始末が綺麗だという話ではない。最も注目したいのは、パンツのシルエットをどのようにつくり上げていくかという考え方である。
一般的な量産パンツでは、パターンによって設計された各パーツを裁断し、縫い合わせることで形をつくり、必要なプレスを加えて仕上げていく。優れたパターン設計と正確な縫製によって、美しいシルエットをつくることは十分に可能だ。しかし、人間の身体は平面ではない。腰のくびれ、ヒップの丸み、太腿の前後の膨らみ、膝から裾にかけての曲線。こうした複雑な立体をさらに追い込むために、伝統的なスラックスの仕立てでは、パターンや縫製に加えて生地そのものを成形する技術が発達してきた。
そこで重要になるのが、仕立て屋が培ってきたアイロンワークの技術だ。本格的なスラックスづくりでは、裁断した生地をただ縫い合わせるのではなく、アイロンの熱や蒸気を利用して、生地そのものの形を変えていく。いわゆる、くせ取りと呼ばれる工程である。必要な部分を伸ばし、余分な分量を縮めて収めることで、平面の生地に立体的な膨らみや曲線を与えていく。
つまり、パターンは立体をつくるための設計図であり、その設計を実際の生地でどこまで表現できるかは、縫製やプレスの技術にも左右される。単純に細く裁断すれば、確かにすっきりとしたパンツにはなる。しかし、それでは身体に必要なゆとりまで削ってしまうことがある。仕立て屋の技術が目指すのは、必要な部分には分量を残しながら、外側に余計な膨らみを出さないこと。すっきりとした見た目と、窮屈さを感じさせない穿き心地を両立させるために、設計した形をさらに追い込んでいく。
BARNSTORMERの代表作であるマッカーサ2では、脇のカーブを強めに設計し、プレスによって生地の膨らみを中央へと移動させる技術が取り入れられている。これは、パターンとアイロンワークを組み合わせたスラックスの仕立てを示す具体例だ。型紙の段階から、その後に行われるアイロンワークを計算に入れている。裁断、縫製、プレスを別々の作業として考えるのではなく、すべてを組み合わせることで最終的なシルエットを完成させていく。
PRESSED WORKERSも、BARNSTORMERが培ってきたスラックスづくりの考え方を取り入れた一本だ。今回の素材は、硫化染めとストーンバイオ加工を施したキャンバス。滑らかなウールのスラックス生地とは、張りも表面の質感も異なる。コットンはウールと同じように熱や蒸気で成形できる素材ではなく、生地の性質を理解したうえで、裁断や縫製、プレスの方法を考える必要がある。素材が変われば、その生地をどう扱うかという技術も問われる。長年スラックスをつくり続けてきたBARNSTORMERのものづくりを考えるうえで、こうした素材と仕立ての関係は欠かせない。
その考え方は、穿いてしまえば見えなくなる内側の構造にも表れている。フロントには持ち出しと天狗を採用し、前開きの上端を一か所で留めるだけでなく、内側にも重なりを持たせることで腰回りを安定させている。さらにウエストの内側にはマーベルトを配し、腰裏を整えながらウエスト帯を支えている。縫い代や芯地が身体に直接当たるのを避け、内側の収まりを整えるための仕様だ。外からは見えない部分だが、穿いた時の腰回りの安定感や、正面から見た輪郭にも関わっている。
前立ての内側には、股部分を補強するシックの役割を持つ構造も取り入れられている。BARNSTORMERでは、前立て内側の天狗を内股の十字部分まで延長し、補強と裂け防止の役割を持たせている。前後左右の身頃が合わさる股部分は、歩行や着座によって負荷が集中しやすい場所だ。その部分を内側から補強することで、表から見えるシルエットを変えることなく、パンツの構造を支えている。
その補強部分の先端は剣先型に整えられている。使用するのはポケット袋布と同じスレキで、補強という役割を果たしながら、表地を必要以上に使用しない。単に手間をかけるのではなく、どこに技術を注ぎ、どこで生地の無駄を省くか。こうした合理的な素材の使い分けにも、昔ながらの仕立て屋の知恵が感じられる。
後ろ中心の尻ぐりにも、見逃せない工夫がある。ウエストに近い上部では縫い代を広く残し、股下へ向かうにつれて段々と細くしている。上部に残された縫い代は、後からウエスト寸法を調整するための余地であると同時に、生地が重なることでヒップ上部の形を整える役割も持つ。一方、カーブの強い股ぐり付近では縫い代を細くすることで、内側に余分な生地が溜まるのを抑え、表面に不要なシワが出ることを防いでいる。
こうした縫い代の取り方は、完成したパンツを外側から眺めるだけでは分からない。しかし、腰からヒップにかけての収まりや、後ろ姿の輪郭を整えるうえで重要な意味を持っている。表に見えるデザインだけでなく、内側の生地の重なり方まで考える。スラックス工場の技術とは、まさにこうした部分に表れるものだ。
後ろ身頃にはV字型の切り替え、内股には三角形のマチが設けられている。これは動きやすさを高めるための一般的なガゼットとは異なり、生地幅に合わせて裁断するために、仕立て屋が用いてきた接ぎの工夫だ。一枚の生地から無理にすべての形を取ろうとするのではなく、必要な部分を別布で接ぐことで、限られた生地幅の中でも意図したパターンを成立させる。
こうした合理的な工夫は、見た目を飾るためのディテールとは違う。生地を無駄なく使いながら、必要な形をつくる。後ろ身頃のV字型の切り替えも、内股の三角形のマチも、その考え方に基づく構造である。仕事着としての合理性を感じさせながら、実際にはスラックスの仕立て屋が培ってきた知恵が息づいている。
丈夫なキャンバスを使ったパンツなら、もっと効率の良い方法で製作することもできるだろう。それでもBARNSTORMERは、長年培ってきたスラックスの技術をワークパンツにも持ち込んでいる。見た目の無骨さを残しながら、穿いた時の形を整える。そのために、表からは見えない内側の構造にまで手間をかける。このパンツを裏返して見た時に初めて分かる仕事の多さが、表側の美しい輪郭につながっている。
そして、実際に穿いてみると、その違いがはっきりと分かる。一般的なカジュアルパンツとは比較にならないほど、シルエットが美しい。腰回りから脚にかけて驚くほどすっきりと見えるのに、窮屈さを感じさせない。ここまで内側の構造や仕立てを細かく見てきたが、最終的に一番説得力があるのは、この穿いた時の姿だ。
ここで重要なのは、スラックスに似せたカジュアルパンツではないということだ。硫化染めとストーンバイオ加工を施した無骨なキャンバスを使いながら、穿いた時の輪郭は紛れもなくスラックス。単にスラックスらしく見えるのではなく、しっかりとスラックスとして成立している。必要なゆとりを残しながら、余計な膨らみを表へ出さない。そのシルエットを見れば、なぜBARNSTORMERがスラックス工場でものづくりを続けているのかが見えてくる。
デザインの背景にあるのは、フランスのワークウェアだ。フランスでは19世紀の産業化とともに職業ごとの作業服が発達し、モールスキンやコットンツイルなどを使った独自のワークパンツがつくられてきた。作業に必要なゆとりを持たせた腰回りや、仕事道具を収納するためのポケットなど、働く人々の動作や用途を考えた構造が発達していった。PRESSED WORKERSも、そうしたフレンチワークの考え方を感じさせるディテールを持っている。
正面にはワンプリーツを設け、腰回りにゆとりを確保しながら、トラウザーズらしい整った輪郭をつくっている。プリーツによって生まれる分量が太腿にかけての膨らみにつながり、そこから裾へ向かって緩やかに細くなる。テーパードは強過ぎず、全体としては自然な太さを保ったシルエットだ。腰回りには余裕がありながら、脚全体の輪郭は整理されている。適度な厚みのキャンバスがその形を支えることで、身体にまとわりつくのではなく、パンツ自体の立体感が見えてくる。
一方、背面にはV字型の切り替えとパッチポケットを採用。腰の後ろに生まれる切り替えの線と、外側に縫い付けられたパッチポケットによって、正面とは異なるワークパンツらしい表情が現れる。装飾を加えたのではない。仕事着と仕立て屋、それぞれの世界から生まれた構造そのものが、後ろ姿の特徴になっている。
正面ではプリーツから裾へと続く縦の線が際立ち、背面ではV字型の切り替えとパッチポケットが腰回りに特徴を与える。前から見ればスラックスの仕立てが感じられ、後ろへ回ればフレンチワークを思わせる構造が目に入る。同じ一本のパンツでありながら、見る方向によって印象が変わる。この前後の違いも、PRESSED WORKERSの面白さだ。
ここまで見てくると、PRESSED WORKERSという名前まで、このパンツそのものに思えてくる。プレスによって美しい形をつくり上げてきたスラックスの世界。丈夫な素材を使い、働くための合理性を積み重ねてきたワークウェアの世界。その二つを名前だけで組み合わせたのではない。硫化染めとストーンバイオ加工を施したキャンバス、ワンプリーツ、V字型の切り替え、パッチポケット、そして表からは見えない持ち出し、天狗、マーベルト、補強布、縫い代の処理まで、本当に二つの世界を一本のパンツの中で交差させている。ワークパンツの格好良さを残したまま、本気でスラックスをつくる。その考え方が、細部の構造から穿いた時のシルエットまで一貫している。
僕がこのPRESSED WORKERSを選んだ最大の理由は、実際に穿いた時のシルエットの美しさです。仕事着の素材を使い、フレンチワークの構造を取り入れ、仕立て屋が培ってきた技術を注ぎ込む。その積み重ねが、穿いた瞬間に納得できる一本のパンツになっています。無骨なキャンバスの表情と、すっきりと美しい脚の輪郭。その両方が同じ一本の中に存在しているところに、BARNSTORMER PRESSED WORKERS 1510Pの魅力があります。
服を長く見続けていると、きちんとした服を着ることと、お洒落に見えることは、必ずしも同じではないと感じる。素材が良く、仕立てが綺麗で、シルエットも整っている。それでも、どこか頑張ってお洒落をしてきた印象になってしまうことがある。反対に、特別なことをしているわけではないのに、何気なく穿いているパンツが妙に格好良く見えることもある。
その違いは、ほんの少しの設計にあるのではないだろうか。腰回りのゆとり、ポケットの形、股上の取り方、生地が身体から離れて落ちる様子。ひとつひとつは目立たない要素でも、それらが組み合わさることで、穿いたときの印象は大きく変わってくる。
STILL BY HANDのウールサージ1タックパンツは、まさにそんな服だ。フロントには1タックとスラントポケットを備え、クラシックなドレストラウザーズの端正な表情を持たせながら、後ろにはカジュアルなパッチポケットを配置。さらに股上を深めに取りながらも、正面からは余分なモタつきを感じさせず、すっきりとした見え方に仕上げている。奇抜なデザインではない。けれど、一般的なウールスラックスとも少し違う。その違いが、実際に穿いたときに効いてくる。
僕がSTILL BY HANDを見ていて惹かれるのは、こういう服だ。素材とパターン、細かな仕様の組み合わせによって、着る人の姿を自然に整える。どこかを大きく変えるのではなく、ほんの少しの違いを積み重ねる。その控えめなデザインの中に、服作りの面白さが詰まった一本だ。
使用されているのは、伝統的なウール織物であるサージ。サージとは、斜め方向に織り目が現れる綾織りを基本とした生地のことで、ウールサージには梳毛糸を使用したものが多い。梳毛とは、羊毛を櫛で梳いて繊維の方向を揃え、比較的長い繊維を中心に糸を作る紡績方法。そのため、毛羽を活かした紡毛系のツイードやフランネルとは異なり、織り目の整った滑らかな表面を作りやすい。
このウールサージには、非常に長い歴史がある。英国では古くから衣服用の織物として使われ、やがて軍服や制服にも採用されるようになった。特に20世紀前半の英国陸軍では、カーキ色のウールサージがサービスドレスなどに使用されている。また第二次世界大戦期の米陸軍でも、1937年型のウールサージトラウザーズが採用されていた。現在ではドレスパンツを連想させる素材が、かつては兵士たちの日常を支える実用的な服地でもあったというわけだ。
ウールサージが長く使われてきた理由のひとつは、綾織りの構造にある。経糸と緯糸の交差位置を規則的にずらすことで斜めの畝を作る綾織りは、平織りとは異なる柔軟性を持ち、生地に適度な動きを与える。そこに羊毛本来の弾力が加わることで、仕立てた形を保ちながら、身体の動きにも対応できる織物となる。軍服としての実用性と、紳士服としての美しい見え方。その両方を支えてきた素材なのである。
興味深いのは、軍服としての歴史を持つこの生地が、現在ではドレススラックスを代表する素材のひとつになっていることだ。かつては丈夫さや実用性を求めて使われてきた織物が、今では滑らかな表面や自然なドレープを活かした服作りにも用いられている。STILL BY HANDは、そんなウールサージの持つ端正な印象を活かしながら、パターンやディテールによってカジュアルな要素を加えている。
そして、この素材が今回のパンツで面白いのは、やや太めのストレートシルエットとの組み合わせだ。ウールサージの整った表面がパンツ全体を綺麗に見せる一方、綾織りの柔軟性が腰回りのゆとりやタックから生まれる生地の動きを受け止める。太さがあっても輪郭が曖昧になりすぎず、身体の線を拾いすぎることもない。生地の性格とシルエットが、互いの良さを引き出している。
このパンツのデザインで特に注目したいのが、前後で異なるポケットの仕様だ。フロントには1タックと斜めに開いたスラントポケットを採用。スラントポケットは伝統的なドレストラウザーズにも見られる仕様で、手を入れやすい実用性と、腰回りをすっきり見せる役割を持っている。タックによって腿周りにゆとりを確保しながら、ポケットの斜めのラインが腰から下へ自然につながることで、フロントには整った表情が生まれる。
ところが、後ろに回ると印象が変わる。一般的なドレススラックスであれば、ヒップポケットには玉縁ポケットを採用することが多い。生地に切り込みを入れ、その周囲を細い玉縁で始末することで、ポケットを身頃の中に収め、後ろ姿を平面的に整えるためだ。
それに対して、このパンツではパッチポケットを採用している。身頃の上から別布を縫い付ける構造は、カジュアルなパンツにも広く見られるもの。ポケットそのものの輪郭が表に現れ、縫い付けたステッチもデザインの一部となる。玉縁ポケットでは生まれない、少しくだけた後ろ姿になるのだ。
ここが実にSTILL BY HANDらしい。フロントだけを見ればクラシックなウールスラックス。しかし後ろには、パッチポケットによるカジュアルな表情がある。ドレスとカジュアルという異なる要素を組み合わせながら、どちらか一方に寄せすぎない。しかも、それを大げさな切り替えや装飾ではなく、ポケットの仕様だけで表現しているところが面白い。
滑らかで整ったウールサージに、あえてパッチポケットを組み合わせる。仮に後ろも玉縁ポケットで仕上げていたなら、もっと正統派のスラックスに近づいていただろう。しかし、それでは今回のパンツが持つ気取らない表情は生まれない。正面から見たときには端正なウールスラックスなのに、後ろへ回ると少しくだけている。この前後のわずかな温度差を、ポケットの選び方ひとつで生み出しているところに、STILL BY HANDのデザインの巧さがある。
シルエットは、やや太めのストレート。腰回りには1タックによるゆとりを持たせ、腿から裾にかけて自然な太さを残している。極端に裾を絞ったテーパードでも、必要以上に幅を広げたワイドパンツでもない。生地が縦に落ちる様子を活かした、落ち着きのあるストレートシルエットだ。
そして、もうひとつ見逃せないのが股上の設計。股上は深めに取られているものの、正面から見るとその深さをあまり感じさせず、腰回りに余分なモタつきもない。1タックによって腿周りに自然なゆとりを確保しながら、フロントの輪郭はすっきりと整えられている。腰回りだけに量感が集中するのではなく、腿から裾までやや太めのストレートラインが続くことで、パンツ全体にゆとりが自然につながって見える。深い股上を強調せず、全体のシルエットとして成立させているところが巧い。
ここでも、ウールサージの素材感が効いてくる。腰回りにゆとりを持たせても、生地が自然に下へ落ちることで、必要以上に膨らんだ印象になりにくい。フロントのタックから生まれる量感、深めの股上で確保したゆとり、そして裾まで続くストレートライン。それぞれの設計がつながることで、綺麗な見え方とリラックスした穿き心地が共存している。
このパンツは、正面から見るとウールスラックスらしい整った印象があり、横から見ると腰回りの自然なゆとりが感じられ、後ろ姿にはパッチポケットが控えめなアクセントを加える。見る角度によって少しずつ違う表情を持ちながら、全体としては決して大げさにならない。細部を見ればしっかり考えられているのに、穿いた姿にはその工夫を意識させない。そこに、このパンツの面白さがある。
このパンツの一番の魅力は、何かひとつのディテールが目立つことではなく、それぞれが自然につながっているところにある。ウールサージの端正な表情、フロントの1タックとスラントポケット、後ろのパッチポケット、深めの股上、そしてやや太めのストレート。ひとつひとつにはきちんと理由があり、それらが組み合わさることで、穿いたときの格好良さが生まれている。
服を長く見ていると、こうした小さな違いを積み重ねて、何気ない一本に仕上げることの難しさが分かってくる。目立つ装飾や極端なシルエットに頼らず、素材とポケットとパターンだけで印象を変える。しかも、その工夫を着る人に意識させないところまで仕上げている。LAMPAでこのパンツを紹介したいと思った理由も、まさにそこにある。
何気なく穿いているだけなのに、どこか格好良い。正面から見れば端正なウールスラックスでありながら、後ろへ回ればパッチポケットが少しくだけた表情を見せてくれます。深めの股上とやや太めのストレートが作る自然な立ち姿にも、このパンツの魅力が表れています。特に、正面から後ろへ回ったときの印象の変化。そこにこそ、STILL BY HANDらしい服作りの面白さが表れています。
服を長く見続けていると、デザインを加えることよりも、どこで止めるかを判断することの方が難しいと感じる。特徴的なディテールをひとつ加えれば、それだけ服の個性は強くなる。さらにもうひとつ加えれば、もっと分かりやすくなる。けれど、それを続けていけば、最後にはディテールばかりが目に入る服になる。素材にも面白さがあり、形にも特徴があり、細部にも工夫がある。それでも一着の洋服として見た時には、すべてが自然に収まっている。その加減が実に難しい。
STILL BY HANDは、そんな難しいことを何気なくやってしまうブランドだと僕は思う。決して奇抜な服ではない。むしろ最初に見た時には、ごく普通の洋服に見えることさえある。それなのに、近づいて見て、触って、実際の形を追っていくと、少しずつ違和感が出てくる。なぜ、この首元はこんな形になるのか。なぜ、この袖には独特な膨らみがあるのか。なぜ、後ろから見ても間が抜けないのか。ひとつひとつを見れば小さな工夫なのに、それが積み重なることで、他ではあまり見ない一着になっている。
今回のNYLON HOODED PARKA BL03263は、まさにそこが面白い。デザインソースはミリタリーのSNOW PARKA。雪上での迷彩を目的に、防寒装備の上から着用するために作られたオーバーガーメントであり、大きなフードやゆとりのあるシルエットも、元を辿ればその用途から生まれたものだ。STILL BY HANDは、その大らかな量感を残しながら、素材、首元、袖、背面の設計を細かく組み直している。SNOW PARKAをそのまま現代化したのではない。その特徴的なボリュームを一度受け止め、自分たちの服として再び形にしている。
まず良いのが、生地の選択だ。使用しているのは、ややシボ感のあるナイロン素材。撥水性、防風性といった機能を備えながら適度なハリを持ち、表面は一般的なナイロンに見られるツルッと均一な質感ではなく、細かな凹凸を感じさせるナチュラルな仕上がりになっている。
このシボ感が実にいい。表面に細かな凹凸があることで光の反射が均一にならず、生地が動き、重なり、皺が入るたびに微妙な陰影が生まれる。単色のナイロンなのに、表情が一枚では終わらない。滑らかなナイロンを選べば、もっとスポーティーな方向へ振れただろうし、ヴィンテージ感の強い素材を選べば、今度はミリタリーの匂いが前へ出ただろう。そのどちらにも寄せ切らないところが、この服には合っている。
そして色も良い。真っ白ではなく、ほんの少しアイボリーがかった柔らかな色合い。雪上での迷彩を目的としたSNOW PARKAの白をどこかに残しながら、その白をそのまま持ってこない。デザインソースを形だけで語るのではなく、色にも僅かに痕跡を残している。分かりやすくミリタリーへ寄せるのではなく、元になった服の存在を感じさせる程度に留める。この距離感も上手い。
さらに重要なのが、生地に適度なハリがあることだ。このハリが、ボリュームのあるフードや首元、袖の立体的な形を支えている。柔らかな生地なら、同じパターンでもフードは背中へ落ち、袖の膨らみも違って見えただろう。シボ感による奥行き、SNOW PARKAを思わせるアイボリーがかった色、そして形を支える適度なハリ。ここでは素材が単なる表地ではなく、デザインそのものを成立させる役割を担っている。
デザインで最初に目へ入るのは、やはりSNOW PARKAを思わせるボリュームのあるフードだ。元々のミリタリーウェアが持つ大らかな形を残しながら、首元にはボタンで留める仕様を加えている。フードの生地を首元で重ね、ボタンを留めることで、首の周囲に立体的な形が生まれる。そこへ先ほどのハリのあるナイロンが効き、大きなフードが単純に背中へ垂れ下がるのではなく、首元そのものがひとつの造形になる。
面白いのは、ボタンを外した時だ。閉じていた首元が開き、大きなフードが今度は襟のように広がる。留めれば首元へ量感が集まり、外せばその量感が左右へ逃げる。同じフードなのに、ボタンひとつで上半身の輪郭まで変わって見える。大きなフードを付けて終わらず、その生地の分量をどう見せるかまで考えられている。
そして僕がこの服を見ていて上手いと思うのが、袖の作りだ。袖幅そのものはやや太めに設定されている。SNOW PARKAが持つ大らかな量感を考えれば、この太さには意味がある。けれど、単純に袖幅だけを広げれば、生地が余り、平面的に落ちるだけになりやすい。そこでタックを取り、生地の分量に変化をつけることで、袖そのものに立体的な膨らみを作っている。
さらに、その量感を袖口のスナップボタンで収める。ここがいい。太く作ったものを、そのまま太く終わらせない。袖の途中にはしっかりとボリュームを残しながら、最後は手首へ向かって収束させる。だから正面だけでなく、横から見た時にも袖の輪郭が出る。大きなフードと太い袖という、かなり量感のある要素を持ちながら、服全体がただ大きく見えない理由のひとつがここにある。
前と横だけでは終わらない。背面には、コートを思わせるヨークの切り替えが入る。こうしたゆとりのあるパーカは、前から見ればフードやポケット、袖などに変化を作れても、後ろから見た途端に大きな一枚の生地が広がり、背中だけが単調に見えることがある。そこで横方向にヨークの切り替えを入れることで、広い背面を一度そこで止めている。
しかも、このヨークを強い装飾にはしていない。あくまで背中に一本の構造を加え、後ろ姿へ静かな変化を作る程度に抑えている。前から見れば大きなフード、横から見ればタックによる袖の膨らみ、後ろへ回ればヨークの切り替えが見える。一方向だけで成立させるのではなく、服を一周した時に、それぞれ違う見どころが残されている。
ここまで見ると、このNYLON HOODED PARKAが面白い理由がよく分かる。SNOW PARKAという存在感の強いミリタリーウェアを出発点にしながら、その特徴をそのまま並べてはいない。大きなフードとゆとりのある量感は残す。首元にはボタンによる独自の構造を加える。袖にはタックを取り、袖口でその量感を収める。背中にはコートを思わせるヨークを入れる。そして全体を、シボ感と適度なハリを持つアイボリーがかったナイロンでまとめる。
どれかひとつをもっと強く見せることも出来たはずだ。フードをさらに誇張することも、袖をもっと太くすることも、背中のヨークをもっと目立たせることも出来る。けれど、STILL BY HANDはそこで止めている。すべてに少しずつ特徴を持たせながら、どれかひとつだけを主役にしない。だから最初に見た時には自然なのに、見れば見るほど普通ではないことに気付く。
ありそうで、ない。出来そうで、出来ない。僕がSTILL BY HANDの服を面白いと思うのは、まさにこういうところだ。新しい何かを大きく付け足すのではなく、素材の表情、生地の分量、タックの位置、ボタンを留めた時の首元、袖口で量感が止まる位置、背中を横切るヨークまでを細かく積み重ね、最後には何事もなかったかのように一着の服へ収めてしまう。
ボリュームのあるフードが首元で立ち上がり、タックによって形作られた袖が手首へ向かって収まり、背中のヨークが後ろ姿を引き締めます。そこへシボ感と適度なハリを持つアイボリーがかったナイロンが重なり、SNOW PARKAを出発点としながら、STILL BY HANDにしか作れない形へ仕上がっています。ひとつひとつは決して大げさではないのに、全部が揃った時に他とは違う。その緻密な足し引きと服作りの上手さを、細部までじっくり見てほしいNYLON HOODED PARKA BL03263です。
MODMNTからFIELD DOWN JACKETが入荷。
今回のデザインソースは、ヴィンテージのアメリカン・ハンティングジャケット。大きな襟、左右で大きさの異なるレザーパッチ、上下に重なった独特なポケットなど、かつての狩猟服が持っていた機能的なディテールを随所に取り入れている。
そして、それらを鈴木大器氏が現代の高機能素材とダウンによって再構築。さらに内ポケットを展開することで、ショート丈のジャケットから膝下まで届くロングコートへと変化するという、実に独創的な構造まで備えている。
アメリカン・ハンティングウェアの面白さは、狩猟という明確な目的から、独特なデザインが生まれていること。
銃床を肩に当てる部分の補強、弾薬や道具を収納するためのポケット、寒さや雨風から身体を守るための襟や生地。
1920年代から40年代のアメリカン・ハンティングジャケットを見ると、こうした実用的なディテールが数多く確認できる。
そして面白いのが、これほど機能を重視した服でありながら、大きな襟や身頃の作りには、どこか端正で品のある雰囲気が残されていること。
実用性を追求した結果として生まれた、独特な造形美。今回のFIELD DOWN JACKETにも、その魅力が色濃く表れている。
まず目を引くのが、両肩に配置されたレザーパッチ。
特徴的なのは、左右で大きさが異なり、右肩のパッチが大きく取られていること。
このデザインの背景にあるのが、ハンティングウェアに見られるガンパッチというディテール。銃を構えた際に銃床が当たる肩の部分を補強するためのもので、古いアメリカン・ハンティングジャケットにも見られる構造だ。
もともとは狩猟という行為から生まれた合理的なデザイン。それを左右非対称のレザーパッチとして取り入れることで、ジャケット全体に独特な表情を与えている。
大きな襟と組み合わさることで生まれる、クラシックな佇まいも魅力的だ。
そして、個人的に特に面白いのが両脇のポケット。
上下に二つのポケットが重なっているのだが、単純にポケットを二段に配置したものではない。
上段は斜めに手を差し込めるハンドウォーマーポケット。その袋部分が、そのまま下段ポケットのフラップとして機能するという独特な構造。
つまり、一つのパーツが二つの役割を兼ねている。
実は、こうした発想は1920年代のアメリカのDRYBAK製ハンティングジャケットにも確認できる。
当時のDRYBAKには、ハンドウォーマーポケットが下段のカーゴポケットや散弾用ポケットのフラップを兼ねる構造が存在していた。
狩猟中に手を温めるためのポケットと、弾薬や道具を収納するためのポケット。その二つを限られた面積に収め、一つのパーツに複数の役割を持たせてしまう。
約100年前のアメリカ人は、すでにこんな合理的な構造を考えていた。
古い服は本当に面白い。
そして、その機能的な構造が、現代ではジャケット全体の立体的な造形を生み出す重要なデザインにもなっている。
表地に採用されているのは、三層構造の防水透湿素材HYBRIZATECH。
耐水圧は11,000mm。
耐水圧とは、生地がどれほどの水圧に耐えられるかを示す数値。一般的な傘の生地では約250mmが一つの目安とされ、軽い雨に対応する衣料用生地では2,000mm程度が目安となる。
それに対してHYBRIZATECHは11,000mm。傘の目安と比較すれば約44倍、2,000mmの衣料用生地と比較しても約5.5倍に相当する数値だ。
さらに透湿度は8,500g/㎡/24h。規定された試験条件下で、生地1㎡あたり24時間に8,500gの水蒸気を透過させる性能を示している。
表側の生地、防水透湿機能を担う膜、内側の保護層を組み合わせた三層構造によって、雨の浸入を抑えながら衣服内部の湿気を外へ逃がす。
そして、今回のHYBRIZATECHで何より注目したいのが、その見た目。
いわゆる高機能素材にありがちな、化学繊維特有の光沢や人工的な表情が強くない。
まるでコットンのような、ナチュラルで落ち着いた風合い。
かつてのアメリカン・ハンティングジャケットに使われていたコットンダックやキャンバスを思わせる、素朴な生地の表情。
見た目はクラシックな天然素材。中身は現代の高機能素材。
この組み合わせが実にいい。
レザーパッチや大きな襟、独特なポケットといったヴィンテージ由来のデザインに、この自然な風合いが非常によく合っている。単に機能性が高いだけでなく、ジャケットの雰囲気そのものを成立させる重要な素材選びだ。
そして、防寒性を支えているのが、NANGAが採用するスペイン産ホワイトダックダウン。
760フィルパワーという高い嵩高性を持つ羽毛だ。
ここで注目したいのは、単に高品質なダウンを使用しているということではない。スペインでの水鳥の飼育から、日本での羽毛の洗浄・精製に至るまで、その品質を支える工程に明確な理由がある。
NANGAが使用するスペイン産ダウンの背景には、フランスとスペインの国境に位置するピレネー山脈東部の飼育環境がある。
採用されているのは、ムラード種と呼ばれる水鳥。マスコビー種とペキン種などを交配して生まれる品種で、NANGAは大きく発達したダウンボールが得られることを特徴としている。
さらに重要なのが飼育期間。
NANGAの資料では、スペインの契約農場で80日以上の長期飼育を行っていると説明されている。比較対象となる一般的な短期飼育は40日未満。
倍以上の期間をかけて水鳥を育て、発達したダウンボールを持つ良質な羽毛を得ているわけだ。
ダウンボールとは、中心から細い羽枝が放射状に広がった綿毛状の羽毛のこと。その細かな枝の間に大量の空気を保持することで、身体の周囲に断熱層を形成する。
ダウンジャケットが暖かいのは、羽毛そのものが熱を発生させるからではない。身体から生まれる熱が逃げにくいよう、空気の層を作るからだ。
その膨らみを示す指標がフィルパワー。760FPとは、規定された試験条件下で一定重量の羽毛がどれだけの体積に膨らむかを表した数値だ。
一般的な600FP前後のダウンと比べれば、760FPは約1.27倍の嵩高性を示す計算になる。少ない重量でも大きく膨らみ、より多くの空気を蓄えることができる。
そして、このスペイン産ダウンの品質をさらに高めているのが、日本の羽毛専門メーカー、河田フェザーの精製技術だ。
1891年創業の河田フェザーは、三重県明和町に拠点を構え、原毛の洗浄から乾燥、除塵、選別までを一貫して行っている。
その品質を支える大きな要素が、伊勢平野の地下水。
洗浄に使用するのは、硬度3〜5mg/Lという極めて軟らかい水。一般的な日本の水道水の硬度が50〜60mg/L程度であることを考えると、その違いは大きい。
ミネラル分の少ない超軟水を使用し、独自の水流で羽毛同士を擦り合わせる研ぎ洗いを行うことで、余分な油脂や不純物を取り除き、羽毛本来の膨らみを引き出していく。
その精製技術の高さを具体的に示すのが、羽毛の清浄度。
これは羽毛を水とともに振とうし、その水の透明度を測定するもの。日本羽毛製品協同組合の基準では500mmが一つの目安となるのに対し、NANGAが公表する羽毛の清浄度は2,000mm。
測定深度にして4倍に相当する数値だ。
スペインで長期間飼育された水鳥から得られる良質な羽毛を、日本の高度な精製技術によって仕上げる。
そして、その760FPのダウンを包み込むのが、防水透湿素材HYBRIZATECH。
ここで改めて注目したいのが、ジャケットの外観と内部構造の対比。
表面にはコットンダックやキャンバスを思わせるナチュラルな表情があり、その内側には760FPのダウンが作る、空気をたっぷりと含んだ保温層が存在する。
古いアメリカン・ハンティングジャケットを思わせるクラシックな佇まいでありながら、身体を包み込むのは現代のダウンジャケットならではの量感と暖かさ。
この素材と構造の組み合わせによって、昔の狩猟服とはまた違った立体的なシルエットが生まれている。
フードはジップによって取り外しが可能。
フードを装着すればアウトドアウェアらしい機能的な表情に。取り外せば、大きな襟と両肩のレザーパッチが際立つクラシックなハンティングジャケットへと印象が変わる。
また、袖口の内側にはリブを配置。冷たい風の侵入を抑え、保温性を高めるためのディテールだ。
見た目にはクラシックな袖口の雰囲気を残しながら、内側には現代の防寒着としての機能を組み込んでいる。
さらにジャケット内部には、着脱可能なストラップを装備。
これは、ジャケットを脱いだ際に、そのまま背負って持ち運ぶためのもの。
寒い屋外から暖かな室内へ移動した際など、厚みのあるダウンジャケットは意外と持ち運びに困る。
そんなときに、ジャケット自体を背負えるという発想。
しかもストラップは着脱式なので、必要に応じて使い分けられる。
服を着ているときだけでなく、脱いだときまで考えられている。実に合理的なディテールだ。
そして、このFIELD DOWN JACKETで最も驚かされるのが、着丈を変化させる2WAY構造。
ジャケットの内側には、ジップとスナップボタンで固定された内ポケットが設けられている。
この固定を外すと、内側に折り畳まれていた生地が前後に展開。ショート丈のダウンジャケットが、膝下まで届くロングコートへと姿を変える。
しかも、単純に着丈が長くなるだけではない。
背面はモッズコートを思わせる、丸みのある独特な裾のライン。
前面は裾まで完全には閉じない構造となっており、ロング丈になっても独特なシルエットを生み出している。
そして何より面白いのが、短い状態では内ポケットとして機能していた部分が、展開するとコートの裾になるという発想。
収納するための構造が、服のシルエットそのものを変えてしまう。
これは単なる着丈調整とは違う。
こんな発想、普通は出てこない。
100年前の狩猟服の合理的なポケット構造を受け継ぎながら、そこにはなかった新しい機能を生み出している。
ショート丈のダウンジャケットと、膝下まで届くロングコート。
そのまったく異なる二つの姿が、同じ一着の中に収まっているのです。
BRAND:MODMNT
ITEM:FIELD DOWN JACKET
COLOR:Olive / Navy
SIZE:XS / S / M
PRICE:110,000円(税込)
少し大きめのサイズ感。XSは通常のS、SはM、MはL程度。
WEB STORE未掲載。
通販をご希望の方はDMまたはメールにてお問い合わせください。
服の歴史を辿っていくと、異なる目的から生まれたものが、驚くほどよく似た形に行き着いていることがある。そこには流行とは別の、用途に応じた合理的な設計がある。そして、その合理性から生まれた形が、何十年も経った現在でも色褪せることなく魅力を放っている。
今回のMODMNT AVIATOR JKTを見て面白いと感じるのは、まさにその部分だ。デザインの出発点は、1950年代に米空軍で採用されたMA-1フライトジャケット。しかし、そこにスペイン産ホワイトダックダウンを封入することで、1940年代に誕生したEddie Bauerの名作ALL-PURPOSE JACKETを思わせる、丸みと膨らみを備えたダウンブルゾンへと発展させている。
MA-1とALL-PURPOSE JACKET。どちらもアメリカを代表する防寒着でありながら、その成り立ちは大きく異なる。一方はジェット機時代の航空装備として、もう一方はダウンの保温性を幅広い屋外活動へ取り入れるために生まれた服だ。短い着丈、簡潔な前開き、身体を包む立体的な身頃という共通点を持ちながら、それぞれが異なる歴史を歩んできた。
LAMPAでは、こうした服の歴史を理解したうえで、現代の素材と設計によって新しい形へ発展させるMODMNTの考え方に魅力を感じている。今回のAVIATOR JKTも、MA-1の構造を基本としながら、ダウンによる保温性、難燃素材HINOC、そして前後に展開する独自のポケット設計を組み合わせている。古い服の特徴を残しながら、着た時の輪郭まで新しく作り直している。このジャケットに惹かれたのは、まさにそこだ。
まずMA-1の歴史を辿ると、その前身となるのが第二次世界大戦中に登場したB-15フライトジャケットだ。短い着丈、フロントジッパー、袖口と裾のニットリブなど、後のMA-1へ受け継がれる基本構造は、この時代にすでに成立していた。やがて航空機がプロペラ機からジェット機へと進化すると、飛行服にも新しい環境への対応が求められるようになる。
その代表的な変更が、B-15に見られた毛皮襟の廃止だ。ジェット機時代のヘルメットや搭乗装備との干渉を考慮し、首元を低いニット襟へ変更。1950年代半ばに登場したMA-1では、ナイロン製の表地、ウールパイルを用いた保温層、ニットリブによる袖口と裾の構造が組み合わされ、航空機内での活動を考えた防寒着として発展していった。
初期型には酸素マスクのホースを保持する革製タブや、通信コードを固定するループなど、航空機の装備と結びついたディテールも存在した。こうした仕様は航空技術の変化に合わせて整理されていくが、短丈で丸みのある身頃、腕の動きを考えた袖、裾を引き締めるリブという基本的な形は受け継がれた。
現在ではファッションとして親しまれているMA-1だが、あの独特な丸みのある輪郭も、もともとは飛行服としての合理性から生まれたものだ。航空機という特殊な環境で求められた機能が、時代を越えて一つの完成されたデザインとして残っている。服の歴史の面白さは、こういうところにある。
一方、Eddie BauerのALL-PURPOSE JACKETは、1945年頃に誕生したダウンジャケットだ。Eddie Bauerは1930年代からダウンを用いた防寒着の開発に取り組み、1940年にはダウンを偏りにくくするキルティング構造の特許を取得。その技術は第二次世界大戦中の軍用防寒着や、後の極地遠征用装備へと発展していった。
そのEddie Bauerが、ダウンの保温性を幅広い屋外活動のために取り入れたのがALL-PURPOSE JACKETだった。1958年のアメリカの雑誌広告には、100% PRIME NORTHERN GOOSE DOWNを使用し、ラグランスリーブ、フロントジッパー、ジッパー付きスラッシュポケットを備えたジャケットとして紹介されている。当時の販売価格は32.50ドル。特定の登山や遠征だけを目的とするのではなく、幅広い屋外活動に対応する防寒着として販売されていた。
特に興味深いのは、その外観だ。Eddie Bauerの初期ダウンを象徴するSKYLINERでは、表面に現れるダイヤモンドキルトがデザインの特徴となっていた。それに対してALL-PURPOSE JACKETは、ダウンを内部に収め、表側にキルティングを見せない簡潔なブルゾン型を採用。ラグランスリーブによる丸い肩の輪郭と、ダウンが作るふっくらとした身頃によって、一般的なスポーツジャケットに近い外観を成立させていた。
ここで改めてMA-1とALL-PURPOSE JACKETを見比べると面白い。航空機内での活動を考えて作られたMA-1と、ダウンの保温性を屋外活動へ広げるために作られたALL-PURPOSE JACKET。出発点は異なるのに、どちらも短丈で、身体を包む丸みを持ち、装飾を抑えたブルゾン型に行き着いている。
今回のAVIATOR JKTは、その二つの歴史を一着の中で結びつけている。MA-1の短丈で裾を絞った構造に、ALL-PURPOSE JACKETを思わせるダウンの膨らみを加える。それぞれが持っていた合理的な形を理解したうえで、現代のダウンブルゾンとして再構築しているのだ。
表地に採用されているのは、日本のダウンメーカーNANGAが開発した難燃素材HINOC。ポリエステル93%、アラミド7%を組み合わせた生地で、火の粉による損傷や燃え広がりを抑えることを考えた機能性素材だ。さらに摩耗や引き裂きへの強さも備え、屋外での使用を想定した素材として開発されている。
ここで注目したいのが、混紡されているアラミドという繊維だ。アラミドとは芳香族ポリアミド系の高機能繊維で、耐熱性や強度に優れ、防護服や産業資材などにも採用されている。代表的な繊維にはKevlarやNomexなどがあり、特殊な環境で求められる性能を持つ素材として発展してきた。HINOCでは、こうしたアラミド繊維をポリエステルに組み合わせることで、機能性と衣服としての着用感を両立させている。
そして、この素材をMA-1という服の歴史と重ねてみると、さらに興味深い関係が見えてくる。
1950年代に誕生した初期のMA-1は、ナイロンツイルを表地に使用したフライトジャケットだった。その後、航空機の火災に対する安全性が重視されるようになり、飛行乗員用の防寒着は難燃性を備えたCWU-45/Pなどへ移行していく。その代表的な素材が、アラミド系繊維であるNomexだ。
つまり、フライトジャケットの歴史には、航空機内での活動を考えた形の進化だけでなく、火に対する安全性を高めるための素材の進化も存在している。
HINOCとNomexは異なる素材だが、アラミド繊維の耐熱性を衣服に取り入れるという点では共通する考え方がある。今回のAVIATOR JKTは、1950年代のMA-1を基本形としながら、表地には後年の航空用フライトジャケットにも通じる難燃素材の技術を採用している。見た目のデザインだけでなく、素材の選択にもフライトジャケットの歴史とつながる要素がある。こういうところまで掘り下げていくと、MODMNTというブランドの服作りがますます面白くなってくる。
そしてHINOCの魅力は、機能性だけではない。実際の生地で注目したいのが、コットンを思わせるナチュラルな表面感だ。
一般的なナイロン製フライトジャケットでは、滑らかな光沢や生地特有の張りが外観を特徴づける。それに対してHINOCは、合成繊維を主体としながらも落ち着いた質感を備えている。MA-1をベースとしたデザインでありながら、いかにも軍用ナイロンという見え方にならず、ワークウェアにも通じる素朴な生地の表情が生まれる。
この違いは、今回のAVIATOR JKTに数多く設けられたポケットとも深く関係している。前後に大きく張り出した立体ポケットは、それだけで強い造形を持つディテールだ。そこに光沢を抑えたHINOCを使用することで、ポケットのマチやフラップ、身頃の切り替えといった構造そのものが見えてくる。
複雑なポケットを備えたジャケットでありながら、生地の表情には落ち着きがある。素材が前に出過ぎず、立体的なパターンや収納部分の造形を引き立てている。この素材とデザインの関係も、非常によく考えられていると感じる。
内部には、スペイン産ホワイトダックダウンを封入している。ここにもNANGAが長年培ってきた羽毛に対する考え方が反映されている。
NANGAが紹介するスペイン産ダウンの背景には、水鳥の成熟期間に着目した品質管理がある。NANGAでは、一般的な食肉用ダックの飼育期間を40日未満とする比較を示しており、それに対してムラード種の水鳥を80日以上かけて飼育し、十分に発達したダウンボールを得ることが特徴として挙げられている。
このダウンボールとは、中心から細い羽枝が放射状に広がった綿毛状の羽毛のこと。その枝の間に大量の空気を含むことで断熱層を形成し、身体から生まれる熱を逃がしにくくする。生地そのものを厚くするのではなく、羽毛が膨らむことで生まれる空気の層を利用するのがダウンの特徴だ。
そして、羽毛の品質を語るうえで欠かせないのが、その精製工程だ。
NANGAが採用する羽毛の品質を支えているのが、日本の羽毛専門メーカーである河田フェザーの精製技術。三重県の伊勢平野で得られる地下水は、硬度3〜5mg/Lという極めて軟らかい水だ。一般的な硬度分類では60mg/L未満を軟水としており、その中でも際立って低い数値となる。
水の硬度を左右するのは、主にカルシウムやマグネシウムといったミネラル分。これらが多い硬水では、石鹸の成分と反応して水に溶けにくい石鹸カスが生じ、洗浄効率が低下しやすい。一方、ミネラル分が極めて少ない軟水では洗浄成分が働きやすく、羽毛に付着した汚れや余分な油脂を取り除く工程に適している。
河田フェザーは、この恵まれた水質を生かして羽毛の洗浄、乾燥、除塵、選別を行い、不純物を取り除きながら羽毛本来の膨らみを引き出していく。NANGAが公表する清浄度は、基準値の2倍にあたる2,000mm。こうした精製工程によって実現される品質管理の高さを示している。
そして、ここからが今回のAVIATOR JKTにとって重要な部分だ。こうして精製されたダウンは、身体を暖めると同時に、ジャケットの形そのものを作り出す大きな役割を担っている。
MA-1は、もともと短い着丈と裾のリブによって、身頃に丸みが生まれる構造を持っている。そこへダウンを封入することで、胸から腹部にかけての膨らみが強調され、裾へ向かって絞られる独特の輪郭が生まれる。身体を包む部分にはボリュームがありながら、裾の位置でその膨らみが収まるため、着丈以上に身頃の立体感が印象に残る。
また、表面に大きなキルティングを見せない構造によって、ダウンの膨らみが細かく分断されず、身頃全体の丸みとして現れている。ここにALL-PURPOSE JACKETとの共通点がある。
MA-1のフライトジャケットらしい輪郭と、ダウンブルゾン特有の柔らかな膨らみ。航空機内での防寒着として生まれた服の構造に、ダウンが持つ保温性と立体感を重ねることで、二つの異なる歴史が一つのシルエットへとつながっている。
このジャケットをダウン入りのMA-1という視点だけで見てしまうと、最も興味深い部分を見落としてしまう。ダウンを封入したことによって、MA-1がもともと持っていた丸みがさらに強調され、1940年代のダウンブルゾンにも通じる独特な形へ発展している。素材の選択そのものが、デザインの再構築になっているのだ。
デザインの基本となるのは、MA-1特有の短丈のボマージャケット型だ。身頃に膨らみを持たせながら、袖口と裾のリブで全体の輪郭をまとめる構造は、フライトジャケットを象徴する特徴の一つ。ダウンによって身頃にボリュームが加わった今回のAVIATOR JKTでは、このリブによる引き締めがシルエットを形作る重要な要素になっている。
そして今回、ヴィンテージMA-1を知る人なら見逃せないのが、袖口と裾に採用された二段リブだ。
編み組織の切り替えによって段差のある表情を作るこの仕様は、古いMA-1でお馴染みのディテール。単純なリブとは異なり、袖口や裾に細かな凹凸が生まれることで、ブルゾン全体の輪郭を引き締めながら、ヴィンテージフライトジャケット特有の表情を作り出している。
こうしたリブの構造は、一見すると小さな違いに思えるかもしれない。しかし、今回のAVIATOR JKTでは、ダウンによって膨らんだ身頃をどこで収めるかが、ジャケット全体の形を決める重要な要素になっている。裾の二段リブがそのボリュームを受け止めることで、身頃の丸みと短丈のバランスが成立している。
さらにフロントジッパーの最下部には、スナップボタンで留めるタブを配置している。ジッパー下端を覆うこの仕様は、ヴィンテージのL-2Bフライトジャケットなどにも見られるディテールだ。前合わせの最下部をスナップで留めることで、ジッパーの終端を覆いながら、裾の中央に小さな構造的アクセントを加えている。
二段リブの編み方や、ジッパー下端の小さなタブ。どちらも遠目には目立たない。しかし、実際に服を見ていくと、MA-1という服の特徴を細部まで踏まえていることが伝わってくる。
大胆な再構築を行いながら、こうしたヴィンテージの細かな仕様を残しているところも重要だ。古いフライトジャケットが持つ構造を理解しているからこそ、その基本形を崩すことなく、新しい素材や大胆なポケットの設計を重ねることができる。細部に残された歴史が、全体の自由な造形を支えている。
今回のAVIATOR JKTで、特に注目したいのがポケットの設計だ。
前身頃だけでなく、袖、さらに後ろ身頃にまで、異なる形状のポケットを配置している。MA-1の基本的な輪郭を残しながら、収納という機能を服全体のデザインへと発展させている。単にポケットの数を増やしたのではなく、それぞれの配置と膨らみが、ジャケット全体の立体的な造形に関わっている。
まず前身頃には、左右の腹部に大型の立体フラップポケットを配置。スナップボタンで留めるフラップと、マチによって膨らみを持たせたポケット本体が、身頃の正面に大きな立体感を生み出している。
さらに、その外側にはMA-1でお馴染みの斜めに手を差し込むハンドウォーマーポケットも備えている。大型のフラップポケットとハンドウォーマーポケットを重ねることで、収納するものに応じて異なるポケットを選べる実用性と、前身頃に奥行きを生み出す立体的なデザインが組み合わされている。
左胸には縦長のジッパーポケットを配置。腹部の大きなフラップポケットに対して、胸には細長い直線的なディテールを設けることで、前身頃の上部と下部に異なる表情が生まれている。さらに袖にも縦長のジッパーポケットを備え、MA-1に見られるユーティリティーポケットの考え方を受け継いでいる。
ここまででも十分に特徴的なデザインだが、今回のAVIATOR JKTの本当の魅力は、背中側へ回ってみることでさらに明確になる。
このジャケットの造形を決定づけているのが、後ろ身頃に配置された二つの大型ポケットだ。
背中の下半分、裾リブのすぐ上に、左右一つずつ大型の立体フラップポケットを配置。前身頃と同じくスナップボタンで留める構造で、マチによってポケット本体に膨らみを持たせている。
一般的なMA-1では比較的簡潔にまとめられている背面に、これほど大きな収納部分を設けているところが独創的だ。正面にはMA-1の面影を残しながら、後ろ姿にはハンティングジャケットやワークウェアにも通じる収納の発想が取り入れられている。
さらに注目したいのは、背中を横方向に走る切り替え線とポケットの関係だ。背中の上半分には広い生地の面を残し、その下に左右のポケットを配置することで、上部の滑らかな輪郭と下部の立体的な構造が明確に分かれている。
ポケットが単独で張り付いているのではなく、背面全体の設計に組み込まれているところが特徴的だ。背中の上部にはダウンによる丸みを残しながら、裾に近い部分ではポケットのマチが立体的な輪郭を作る。身頃の膨らみと収納部分の膨らみが、異なる役割を持ちながら一つのシルエットを形作っている。
もともとMA-1の背面は、身頃の丸みが大きく現れる部分だ。今回のAVIATOR JKTでは、ダウンによって強調されたその膨らみを残しながら、背中の下部に左右の大型ポケットを設けている。ダウンが作る柔らかな曲面と、ポケットのマチが作る構造的な立体感。その二つが背中の上下で異なる表情を生み出している。
しかも、大型ポケットを裾リブのすぐ上に配置することで、背中の下部にボリュームが集中し、短丈のボマージャケット特有の輪郭がより鮮明になっている。古いMA-1では簡潔だった背面が、収納という新しい要素によって大胆に変化しているのだ。
そして、前後の大型ポケットが身頃の下部で呼応することによって、横から見た時にも立体的な構造が連続している。前から見れば胸と腹部のポケットが作る複雑な構造、横から見れば袖の収納部分と身頃の膨らみ、後ろから見れば左右に張り出した大型ポケット。
このジャケットは、正面から見ただけでは全体のデザインを理解しきれない。横へ回り、さらに後ろへ回ることで、初めて服全体の構造が見えてくる。前後左右のポケットがそれぞれ異なる立体感を生み出し、ダウンの膨らみと一体になって、360度どこから見ても独特な輪郭を作り出している。
これほど大胆なポケット設計を取り入れながら、MA-1の基本的なシルエットが失われていないことも見逃せない。短丈の身頃、丸みのある肩から胴へのライン、袖口と裾を引き締めるリブ。その基本構造が残っているからこそ、前後に張り出した大型ポケットが生きている。
古い服の構造を理解し、その特徴を残したまま、まったく新しい造形へ発展させる。MODMNTのAVIATOR JKTは、その考え方が非常に分かりやすく現れた一着だ。
服を長く見続けていると、古い名作を忠実に再現することと、その名作を理解したうえで新しい服を作ることは、まったく別の仕事だと感じる。
今回のAVIATOR JKTには、1950年代のMA-1が持つ航空装備としての合理性がある。1940年代のEddie Bauer ALL-PURPOSE JACKETを思わせる、ダウンブルゾン特有の丸みがある。さらに、後年の航空用フライトジャケットにも通じるアラミド系難燃素材の技術があり、NANGAが採用するスペイン産ホワイトダックダウンと、河田フェザーの精製技術が組み合わされている。
そして、二段リブやスナップ留めタブといったヴィンテージの細部を残しながら、前後左右には大胆な立体ポケットを配置。服の歴史を辿ることで見えてくる異なる時代の構造と技術が、一着の中でつながっている。
僕がLAMPAでこのジャケットを紹介したい理由は、まさにここにある。MA-1という誰もが知る名作を出発点にしながら、その完成された形を理解したうえで、ダウンの膨らみと独自の収納構造によって新しい輪郭を作り出している。歴史への理解が深いからこそ、ここまで自由な発想にたどり着ける。その面白さを、実際に服を見た時にも感じられるのだ。
特に見てほしいのは、やはり後ろ姿です。正面からはMA-1の面影を感じさせながら、背中を向けた瞬間、ダウンによって丸みを帯びた身頃の下に、左右の大型ポケットが立体的に張り出します。1940年代のダウンジャケットと1950年代のフライトジャケット、それぞれの歴史を受け継ぎながら、現代の素材と独創的な設計によって生まれた新しい造形です。MA-1という完成された名作から、これほど自由で独創的な後ろ姿が生まれています。その発想と造形にこそ、LAMPAがこのAVIATOR JKTを選んだ理由があります。
前回紹介した、新潟県見附市の第一ニット。
世界の名だたるメゾンブランドからも高い評価を得る、日本屈指のニットファクトリー。
その第一ニットが手掛ける30/70 TRENTA SETTANTAから、LUSSOシリーズの2型が入荷。
今回、何より伝えたいのが、その着心地。
カシミヤシルクと聞けば、誰だって柔らかく滑らかな肌触りを想像するはず。
でも、実際に着てみると、その想像を軽々と超えてくる。
素肌に直接着てもまったく問題ないほど、柔らかく滑らか。
というか、思わず笑っちゃうくらい着心地が良すぎる。
ずっと着ていたい。
そんな気持ちにさせられるニット。
その生地に使用しているのが、カシミヤ70%、シルク30%。
カシミヤならではの柔らかさと膨らみに、シルクの滑らかさと上品な光沢を組み合わせた、実に贅沢な素材。
しかも、これを18ゲージのスムース編みで仕立てている。
18ゲージとは、細かな編み目を作るハイゲージ。
スムース編みは、表裏ともに滑らかな表情を持つ二重構造の編み地。
一般的な天竺編みと比べて適度な厚みと安定感が生まれ、柔らかな素材でありながら、服としての輪郭を美しく保つ。
カシミヤシルクの極上の肌触りに、スムース編みならではのしっかりとした生地感。
着心地と美しいシルエットを両立させた、実に見事な編み地。
さらに使用しているのは、ウォッシャブルに対応した糸。
カシミヤ70%、シルク30%という贅沢な素材でありながら、家庭での手洗いが可能。
この極上の着心地を、日常着として楽しめるのも嬉しいところ。
まず紹介するのが、LONG SLEEVE KNIT POLO #0745。
注目してほしいのが、襟元の作り。
一般的なニットポロとは異なり、シャツのように台襟を設けた構造。
この台襟によって襟が首元から自然に立ち上がり、顔まわりに美しい立体感が生まれる。
さらに前立ては、裏側まで実に丁寧な仕上がり。
こういう目立たない部分にこそ、第一ニットの技術力が表れる。
カシミヤシルクの柔らかな生地を使いながら、襟元にはシャツにも通じる端正な表情。
素材の魅力と、細部の仕立てが見事に組み合わされたニットポロ。
そしてもう一型が、LONG SLEEVE HALF ZIP #0760。
こちらはジップの開閉によって、首元の表情が変わるデザイン。
ジップを上げれば、首元を包み込む端正な立ち襟。
少し開ければ、襟が自然に広がり、また違った雰囲気になる。
同じカシミヤ70%、シルク30%の18ゲージスムース編みでありながら、襟元の構造によって印象が大きく変わる2型。
どちらも装飾に頼ることなく、素材と編み地、そして造形だけで魅せるニット。
そして、もう一つ驚くのが価格。
ニットポロの#0745が79,200円。
ハーフジップの#0760が85,800円。
ちなみに、ブルネロ クチネリのカシミヤハーフジップは280,500円。
ロロ・ピアーナのカシミヤシルクのセーターは221,000円。
ゼニアのカシミヤニットポロに至っては418,000円。
それに対して、第一ニットのLUSSOは79,200円と85,800円。
世界のメゾンブランドの製造も手掛けてきた工場が、自社ブランドとして作る意味がここにもある。
今回のLUSSOは、LAMPAでこれまで扱ってきたニットの中でも最高額。
しかも30/70 TRENTA SETTANTAの端正なシルエットや、どこかイタリアンクラシックにも通じる雰囲気は、普段のLAMPAの品揃えとはまったく違う。
正直、普通のニットだったら扱わなかった。
でも、実際に着てしまったら話は別だった。
思わず笑ってしまうほど気持ちが良くて、ずっと着ていたいと思った。
だからこそ、今回この2型を仕入れた。
54歳になって、これまで数多くのニットを着てきた中で、一番だと言い切れる着心地。
第一ニットという工場の凄さを、肌で思い知らされたニットです。
BRAND:30/70 TRENTA SETTANTA
SERIES:LUSSO
ITEM:LONG SLEEVE KNIT POLO #0745
COLOR:BLACK
SIZE:46, 48, 50
PRICE:79,200円(税込)
ITEM:LONG SLEEVE HALF ZIP #0760
COLOR:BLACK
SIZE:46, 48, 50
PRICE:85,800円(税込)
WEB STORE未掲載。
通販をご希望の方はDMまたはメールにてお問い合わせください。
今回、LAMPAに新しく入荷した30/70 TRENTA SETTANTA。
商品の紹介をする前に、まずはこのブランドを生み出した第一ニットという工場について紹介したい。
というのも、この工場がとにかく凄い。
日本には世界に誇れる繊維産地や製造技術が数多く存在するが、第一ニットはその中でも、極めて高度なハイゲージニットの製造技術を持つファクトリー。
長年にわたり世界の名だたるメゾンブランドの製造も手掛け、その技術力を磨き続けてきた。
今回、この工場について調べていくと、なぜこれほどシンプルなニットに価値があるのか、その理由が少しずつ見えてきた。
新潟県見附市に拠点を構える第一ニット。
そのルーツは1887年、明治20年まで遡る。
もともとは生糸を扱う糸商として始まり、時代の変化とともに織物からニット製造へと事業を発展。
1969年にはフルファッション編機を導入し、ニット製造における高度な成型技術を蓄積してきた。
糸を扱うところから始まった会社が、長い年月をかけて、その糸をいかに美しい服へと仕上げるかを追求してきた歴史。
単に古い会社というだけではない。
時代に合わせて設備を更新しながら、古くから受け継いできた技術も維持し続けている。
その積み重ねが、現在の第一ニットの技術力につながっている。
第一ニットの技術を語るうえで欠かせないのが、フルファッション製法。
英国の老舗ニットブランド、JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)も長年採用してきた、伝統的なニットの成型技術。
フルファッションとは、編み目を増やしたり減らしたりしながら、身頃や袖などの各パーツを必要な形に編み上げていく製法。
一般的な布帛の洋服は、織り上がった生地を型紙に合わせて裁断し、それぞれのパーツを縫い合わせることで形を作る。
一方、フルファッションでは、編み上げる段階から服の形を作っていく。
つまり、編み目そのものが服の設計に関わっているということ。
しかも、ニットは伸縮する素材。
身体の形に合わせて編み目を増減させるだけでなく、糸の張力、編み目の密度、各パーツの寸法などを精密に管理する必要がある。
一見すると何の変哲もないセーターでも、その形を作るために高度な技術が使われている。
これがフルファッションという製法の面白さ。
そして、第一ニットの技術力を象徴するのが、ドイツ・シェラー社製30ゲージのフルファッション編機。
ゲージとは、編機の針の密度を表す数字。
数字が大きくなるほど細かな編み目を作ることができ、30ゲージともなれば、極めて繊細な糸を精密に編み上げる技術が求められる。
このシェラー社製の特殊な編機は、世界的にも極めて希少な存在。
第一ニットは、その編機をなんと5台も保有。
日本国内で現在も稼働させているのは、第一ニットだけという。
しかも、この編機は全長10m以上にも及ぶ巨大な機械。
なぜ、これほど横に長いのか。
それは、一台の機械に複数の編成区画が横一列に並び、共通の機構で動くことによって、複数枚の編地を同時に編み上げる構造だから。
つまり、一枚の巨大な生地を編んでいるわけではない。
長大な機械の中で、身頃や袖などのパーツを複数枚、同時に編み上げている。
その数は、一度に8枚から12枚にも及ぶ。
10mを超える巨大な編機で、複数枚の編地を同時に編み上げる。
その圧倒的な規模と、30ゲージという極めて繊細な編み目の精度。
この両方を成立させているのが、第一ニットの技術力。
しかも、この編機は精密な機構を持つ特殊な設備。
その状態を維持し、繊細な糸を安定して編み上げるためには、長年培われてきた調整技術と経験が必要になる。
ここで重要なのは、希少な機械を所有していることだけではない。
その機械を今も動かし、美しいニットを製品として完成させられること。
古い設備を保存することと、実際の製造現場で使い続けることは、まったく別の話。
しかも第一ニットは、2022年にも新たなフルファッション編機を特注導入している。
古い技術を守るだけでなく、必要な設備を新たに導入しながら、ニット製造の可能性を追求し続けている。
この姿勢もまた、第一ニットの凄さ。
そして、第一ニットの凄さは編機だけではない。
一着のニットを完成させるまでには、編み、リンキング、縫製、仕上げ、検品など、数多くの工程がある。
どれほど美しい編み地が完成しても、それだけではまだ服にはならない。
身頃と袖をつなぎ、襟を取り付け、全体の形を整え、ようやく一着のニットとして完成する。
その中でも高度な技術を必要とするのが、リンキング。
編み上がったパーツの編み目を一目ずつ拾い、専用の機械で正確につなぎ合わせていく工程。
ニットは編み目が連続することで生地になっているため、そのつなぎ目が乱れれば、着心地や仕上がりの美しさにも影響する。
特にハイゲージの細かな編み目ともなれば、作業には一層の精度が求められる。
機械が精密に編み上げたものを、人間の技術で正確につなぎ合わせる。
その両方が揃って、初めて美しい一着が成立する。
第一ニットが長年にわたり培ってきたのは、こうした製造工程全体にわたる技術の蓄積。
そして個人的に、特に面白いと感じたのが仕上げのアイロン。
第一ニットでは「うま」と呼ばれる専用のアイロン台を使い、蒸気と熱を加えながら、身体に沿う立体的なシルエットへと仕上げていく。
ここで行われているのは、単にシワを伸ばすためのアイロンではない。
編み上がったニットの形を整え、服としての輪郭を完成させるための作業。
ニットは糸がループ状につながっているため、柔らかく伸縮する。
その性質を理解したうえで蒸気と熱を加え、必要な部分を整えながら、身体に沿う自然な形へと仕上げていく。
これは、ニットという素材の性質を熟知した職人だからこそできる仕事。
精密な編機によって作られた編み地が、最後は人間の手によって立体的な服になる。
しかも、完成した服を見ても、その作業の跡が目立つわけではない。
自然で美しいシルエットとして表れるだけ。
こういう技術こそ、実に凄い。
そして、ここまで第一ニットの技術を調べてきて、改めて面白いと感じたことがある。
それは、何の装飾もないシンプルなニットほど、製造技術の差が表れやすいということ。
複雑な柄や装飾があれば、まず目に入るのはデザイン。
一方、無地でシンプルなニットでは、編み地そのものの美しさ、襟や袖の収まり、縫い合わせの精度、全体のシルエットが、そのまま服の表情になる。
糸が良いだけでは完成しない。
高性能な編機があるだけでも完成しない。
その糸を美しく編み上げ、正確につなぎ、最後は職人の手で形を整える。
何気ない一着の中に、製造に関わるすべての技術が詰まっている。
一見すると普通。
でも、その普通を極めて高い完成度で作り上げることは、決して簡単ではない。
第一ニットが長年磨いてきた技術の価値は、まさにここにある。
そんな第一ニットが2020年に立ち上げたファクトリーブランドが、30/70 TRENTA SETTANTA。
ブランドの立ち上げには、ファッションディレクターの干場義雅氏も参加。
掲げたコンセプトは「究極の普通」。
世界トップクラスの製造技術を、日常の一着へ。
華美な装飾に頼るのではなく、上質な素材、美しい編み地、精密な仕立て、そして自然なシルエットで勝負する。
これまで世界の名だたるメゾンブランドの製造を支えてきた工場が、その技術を自分たちのブランドに注ぎ込む。
しかも、ファクトリーブランドだからこそ実現できる価格で。
世界のメゾンブランドから高く評価される技術を、第一ニット自身のブランドとして届ける。
この工場が作るからこそ、「究極の普通」という言葉に説得力がある。
これは実に面白い。
ちなみに今回の取り扱いは、第一ニットの社長から、LAMPAのInstagramを見たと直接DMをいただいたことがきっかけ。
これほどの技術を持つ工場から直接声をかけてもらった。
そして今回、その第一ニットが手掛けるLUSSOシリーズから、ニットポロとハーフジップの2型が入荷。
どちらもカシミヤ70%、シルク30%。
18ゲージのスムース編みで仕立てられた、一見すると実にシンプルなニット。
30ゲージのフルファッション編機とは異なる製造技術によるものだが、そこにも第一ニットが長年培ってきた素材と編み地への知識が生かされている。
そして、この2型がまた凄い。
その世界トップクラスの技術が、実際の一着にどう表れているのか。
次回は、入荷したLUSSOの2型をじっくり紹介します。
服の歴史を知れば知るほど、昔の人々が必要に迫られて生み出したデザインの合理性には驚かされる。今では装飾として見られるポケットや切り替え、独特なシルエットにも、かつては明確な役割があった。なぜその場所に生地を重ねたのか。なぜこれほど多くのポケットが必要だったのか。その理由を辿っていくと、古い服が単なる懐古趣味では片付けられないことが分かってくる。
そして、その構造を深く理解したうえで、現代の素材や技術を使い、新しい服へと組み替えるデザイナーがいる。鈴木大器氏もその一人だ。アメリカのワークウェア、ミリタリー、アウトドアウェアを背景に持ちながら、形をなぞるだけでは終わらせず、素材の組み合わせや独自のパターンによって新しい服へと発展させてきた。
今回紹介するMODMNT SUPER MACKINAWは、そんな鈴木大器氏のデザインと、日本のダウンメーカーNANGAの技術が結びついた一着だ。源流にあるのは、アメリカの老舗FILSONが生み出したDOUBLE MACKINAW CRUISER。森林で働く人間のために生まれた仕事着を出発点に、防水透湿素材、難燃素材、高品質なダウンを組み合わせ、まったく異なる構造の防寒着へと作り変えている。
僕がこの服に惹かれたのは、機能素材を贅沢に使っているからだけではない。100年以上前の森林作業着に存在した理由を消さず、その役割を現代の技術へ置き換えているところだ。肩から胸を覆うケープ、二重になった袖、身体を取り囲むポケット。その一つひとつが歴史につながりながら、最終的には強烈な存在感を放つ一着の洋服になっている。
SUPER MACKINAWを理解するには、まずFILSONのCRUISERという服の歴史を知る必要がある。FILSONは1897年、アメリカのシアトルで創業。ゴールドラッシュに沸くアラスカへ向かう探鉱者たちに衣料や装備を供給し、その後はアメリカ北西部の森林で働く人々のための衣服を数多く生み出してきた。
CRUISERとは、森林を歩いて樹木を調査するTIMBER CRUISERに由来する名称だ。彼らは森の中を長時間歩き、樹木の種類や大きさ、木材としての価値を調査する。地図や野帳、コンパス、測定具を携え、雨や雪の中でも仕事を続ける。身体を守ることと、多くの道具を携行すること。その二つを一着の服で成立させる必要があった。
FILSONの創業者Clinton C. FilsonがCRUISERの特許を申請したのは1912年10月28日。そして1914年3月3日、アメリカ特許第1088891号として成立している。特許には森林調査員だけでなく、森林監視員、測量などに従事する技術者、探鉱者などを対象とした衣服であることが記されている。
面白いのは、この1914年の時点ですでに、後のDOUBLE MACKINAWへとつながる合理的な設計思想が見えることだ。必要な収納を衣服そのものへ組み込み、身体を保護しながら道具を携行する。ポケットも切り替えも、格好をつけるために足されたものではない。仕事をするために必要だった構造そのものが、CRUISERという服の個性になった。
その後、1922年のFILSONのカタログには肩と袖を二重にしたCRUISERが登場し、1934年には肩から胸を覆うケープ状の構造と二重袖を備えたモデルが確認できる。肩、胸、背中だけでなく袖まで生地を重ね、雨や雪、冷たい風にさらされる部分を守る。現在知られるDOUBLE MACKINAW CRUISERの圧倒的な姿は、森林作業の必要性から生まれたものだ。
基本となるCRUISERには24ozの厚手ウールを使い、さらにその上からケープ状にウールを重ねる。袖も二重。背中には地図などを収める大型のマップポケットを備え、前身頃にも道具を用途別に収めるためのポケットが並ぶ。生地を重ねて身体を守り、ポケットを増やして道具を運ぶ。その徹底した合理性の結果として、あの独特なDOUBLE MACKINAWの造形が生まれた。
ここで鈴木大器氏は、その形をそのまま再現する方向へは進まない。厚手ウールが担っていた防寒や耐候性を、現代の異なる機能素材へ置き換える。それでいて、DOUBLE MACKINAWを象徴するケープ状の切り替え、二重袖、数多くのポケットは残す。昔の服の表面ではなく、その服がなぜその形になったのかという部分を拾い上げている。歴史を知り、構造を理解したうえでの再構築だ。
SUPER MACKINAWの生地には、NANGAが展開する二種類の機能素材が使われている。身頃全体には難燃素材HINOCを採用し、その上から肩、胸、背中を覆うAURORA-TEXのケープ状パーツを重ねる。さらにフードと袖にもAURORA-TEXを使い、袖はDOUBLE MACKINAWと同じ発想で二重構造にしている。
昔はウールを重ねた。MODMNTは機能の異なる素材を重ねる。この違いに、今回の服作りの面白さが凝縮されている。
AURORA-TEXは、ナイロン生地の裏側に多孔質ポリウレタンによる防水コーティングを施したNANGA独自の防水透湿素材。標準タイプでは40デニールのナイロンを使用し、耐水圧20,000mm、透湿性6,000g/m²/24hという性能を備える。耐水圧20,000mmは、試験条件下で高さ20mの水柱に相当する水圧に耐える数値だ。
透湿性6,000g/m²/24hは、一定条件下で24時間に生地1平方メートルを通過する水蒸気量を示す。多孔質ポリウレタンの微細な孔によって液体の水の侵入を抑えながら、衣服内部の水蒸気を外へ逃がす。表面で水滴を弾く撥水だけではなく、その裏側に防水層を持つ素材を、かつてウールを重ねていた場所へ配置している。
これが面白い。DOUBLE MACKINAWのケープを見た目だけ引用したのではなく、雨や雪から身体を守るために生地を重ねた場所へ、現代の防水透湿素材を重ねている。さらに袖まで二重にする。100年前の構造と現代の素材が、ここで一本につながる。
もう一方のHINOCは、ポリエステル93%、アラミド7%を組み合わせたNANGAの難燃素材。一般的なポリエステルは熱によって溶融しやすく、火の粉が付着すると穴が開く場合がある。そこへ耐熱性を持つアラミド繊維を混ぜ、火の粉による損傷や燃え広がりを抑えることを考えた素材だ。
アラミドは芳香族ポリアミド系の高機能繊維で、耐熱性や強度に優れ、防護服や産業資材などにも採用される。代表的なものにはKevlarやNomexがある。特殊な用途のために発達してきた繊維技術が、アウトドアウェアの素材へ持ち込まれている。HINOCではポリエステルを主体としながらアラミドを組み合わせることで、難燃性と衣服としての柔らかさや扱いやすさの両立が考えられている。
そしてHINOCには、コットンを思わせる自然な表面感がある。身頃にはワークウェアらしい落ち着いた表情が生まれ、その上からAURORA-TEXが重なる。同じ色なのに質感が違う。この差がSUPER MACKINAWの見え方を決定的に面白くしている。
色を切り替えてケープを目立たせるのではない。同色のまま、光の当たり方と生地の質感だけでケープや二重袖の存在が浮かび上がる。機能のために選ばれたAURORA-TEXとHINOCが、そのままデザインになる。異なる役割を持つ二つの素材を、ひとつの色でまとめ上げたところに鈴木大器氏の感覚が表れている。
その外側の構造に包まれるのが、NANGAが採用するスペイン産ホワイトダックダウンだ。ダウン90%、フェザー10%、760フィルパワー。SUPER MACKINAWには150gが封入されている。
NANGAが使用するスペイン産ダウンの背景には、フランスとスペインの国境に位置するピレネー山脈東部の飼育環境がある。採用されるのはムラード種と呼ばれる水鳥で、マスコビー種とペキン種などを交配して生まれる品種。NANGAは、この水鳥から大きく発達したダウンボールが得られることを特徴としている。
さらにNANGAの資料では、スペインの契約農場で80日以上の長期飼育を行っていると説明されている。一般的な短期飼育では40日未満とされるところを、倍以上の時間をかける。飼育期間を確保することで羽毛が成熟し、羽枝や小羽枝が発達した嵩高性のあるダウンを得やすくする。スペイン産という名前だけではなく、水鳥の種類、環境、飼育期間まで含めて原毛を考えている。
ダウンボールは、中心から細い羽枝が放射状に広がった綿毛状の羽毛だ。その細かな枝の間に大量の空気を抱え込むことで断熱層を作る。羽毛そのものが熱を生むのではなく、身体から生まれた熱を逃がしにくくする空気の層を作る。その膨らみを示す指標がフィルパワーだ。
760FPは、規定された試験条件下で一定重量の羽毛がどれだけの体積に膨らむかを表した数値。一般的な600FP前後のダウンと比べても高い嵩高性を持つ。細かな羽枝が大きく広がり、その間に空気を蓄えることで、重量を抑えながら保温層を形成する。その760FPのダウンを150g封入するという仕様が、SUPER MACKINAWの防寒性を内側から支えている。
そしてスペインから届いた原毛を仕上げるのが、1891年創業の日本の羽毛専門メーカー、河田フェザーだ。三重県明和町で原毛の洗浄、乾燥、除塵、選別までを一貫して行い、NANGAが世界トップレベルと評価する精製技術によって羽毛本来の膨らみを引き出していく。
洗浄に使用するのは伊勢平野の地下水。硬度3〜5mg/Lという極めて軟らかい水で、一般的な水道水の硬度50〜60mg/L程度と比べても大きく異なる。ミネラル分の少ない超軟水と独自の水流による研ぎ洗いで余分な油脂や不純物を取り除き、高温乾燥、除塵、選別を経て羽毛を仕上げる。
その精製の徹底ぶりが数字になって表れるのが清浄度だ。羽毛を水とともに振とうし、その水の透明度を測定する。日本羽毛製品協同組合の基準では500mmが一つの目安。それに対してNANGAが公表する羽毛の清浄度は2,000mm。基準となる500mmに対して測定深度で4倍だ。
スペインで80日以上かけて育てられた水鳥から原毛を得て、日本の超軟水と精製技術で仕上げ、760FPまで膨らむダウンを150g封入する。表から見えるケープやポケットだけでなく、外からは見えない羽毛の品質にまで、これだけの技術と工程が積み重なっている。厚手ウールを重ねた昔のDOUBLE MACKINAWとは異なる方法で、身体を包む保温層を作り上げているわけだ。
ここまで素材の話をしてきたが、SUPER MACKINAWの面白さは、何といってもそれらの素材を一着の洋服としてまとめ上げた鈴木大器氏のデザインにある。
まず目を奪われるのが、内外合わせて13個という圧倒的な数のポケットだ。前身頃には複数の大型ポケットが並び、背面にも収納を設ける。肩から胸を覆う大きなケープの下にポケットが重なり、身頃全体がいくつもの立体的な構造によって形作られている。
かつてFILSONのCRUISERは、地図や野帳、コンパス、測定具を携え、森林を歩き回る人々のために生まれた。道具を持ち運ぶために必要だったポケットが、衣服の外観そのものを作っていた。SUPER MACKINAWに並ぶ13個のポケットにも、その仕事着としての記憶が色濃く残されている。
そして、このポケットの存在が実に格好良い。身頃に重なる大型ポケットが立体的な陰影を生み、ケープの切り替えとともにジャケット全体の輪郭を作る。ポケットを増やせば、それだけ生地の重なりも増え、服の表情は複雑になる。その複雑さを整理して一着のデザインへ落とし込んでいるところに、鈴木大器氏の服作りの面白さがある。
フロントはジップとボタンを組み合わせた構造。大きなフード、肩から胸を覆うケープ、袖の二重構造、身頃を取り囲むポケット。DOUBLE MACKINAWを構成していた要素が残っているのに、24ozのウールジャケットとはまるで違う姿をしている。
特に僕が見てほしいのは二重袖だ。ケープだけなら、DOUBLE MACKINAWの特徴的な見た目を引用するだけでも作れる。そこからさらに袖まで二重にすることで、1920年代から1930年代に発展していったDOUBLE MACKINAWの設計思想まで拾っていることが分かる。
肩、胸、背中、そして腕。外気にさらされる上半身を生地の重なりで守った構造を、AURORA-TEXとHINOCによって組み直す。大きなケープも二重袖も、単なる装飾では終わっていない。歴史的な仕事着の構造が、現代の機能素材を通して新しい造形へと生まれ変わっている。
シルエットは身幅にゆとりを持たせたボリュームのある設計。内部にダウンを封入しながら、一般的なダウンジャケットとはまったく違う輪郭を作る。肩から胸へ大きく広がるケープ、ゆとりのある袖、身頃に重なる大型ポケット。ダウンの膨らみだけで形を作るのではなく、複数の構造が重なることでSUPER MACKINAWの姿が出来上がる。
実際に着たときに効いてくるのが、AURORA-TEXとHINOCを同色で組み合わせた見え方だ。肩から胸を覆うAURORA-TEXのケープ。その下に広がるHINOCの身頃。色は同じ。それでも表面の質感が異なるから、光を受けるとケープの輪郭が浮かび、二重袖の重なりも見えてくる。
色で説明しないからこそ、構造そのものが見える。
これだけ複雑なディテールを持ちながら、全体を同色でまとめることで、13個のポケット、ケープ、二重袖という情報量が一着の中に収まっている。近くで見れば異素材の違いが分かり、少し離れれば大きなケープとボリュームのあるシルエットが強烈な輪郭として残る。
特に面白いのは、見る距離によって服の印象が変わることだ。遠目には大きなケープを備えた重厚なジャケット。しかし近づけば、異なる素材の質感、立体的なポケット、袖の重なりが次々と見えてくる。ひとつの服の中に、森林作業着の歴史と現代の素材技術、そして鈴木大器氏の造形感覚が詰まっている。
100年以上前、森林で働く人間を雨や雪から守り、地図や測定具を持ち運ぶために発展したDOUBLE MACKINAW。その合理性を鈴木大器氏が拾い上げ、NANGAの技術によって現代の防寒着へと作り変えた。
厚手ウールの重なりは、HINOCと耐水圧20,000mmのAURORA-TEXへ。ウールが作っていた防寒層は、スペインで80日以上かけて育てられた水鳥の原毛を河田フェザーが精製した760FPのダウン150gへ。そして、DOUBLE MACKINAWを象徴する肩から胸を覆うケープ、二重袖、仕事着の記憶を残す13個のポケットは、現代の造形として受け継がれている。
僕がLAMPAでこの服を紹介したかった理由は、まさにここにある。古い服の歴史を知り、その構造を理解し、現代の素材技術を組み合わせる。それだけの知識と技術が投入されながら、最後には理屈を知らなくても目を奪われる一着の洋服になっている。服の背景を知れば知るほど、目の前にあるケープやポケット、二重袖の意味が変わってくる。
肩から胸を大きく覆うAURORA-TEXのケープ。その下に広がるHINOCの身頃。腕を包む二重袖と、身体を取り囲む13個のポケット。そして、その内側にはスペイン産760FPのダウンを150g封入しています。100年以上前の森林作業着が持っていた合理性が、現代の素材技術と鈴木大器氏のデザインによって、これほど大胆なダウンジャケットへと生まれ変わっています。
古いアウトドアウェアには、今の服にはない面白さがある。必要な機能を備えながら、どこか自由で、形にも独特な癖がある。現在のアウトドアウェアが軽量化や機能性を追求し、用途に応じて細かく進化してきたのに対し、1980年代の服からはもっと大らかな発想が見えてくる。ゆったりとした身頃、大きなポケット、合理的でありながら少し変わったディテール。今あらためて見ても、古さより先にデザインの面白さを感じる服が確かにある。
服を長く見続けていると、古いデザインを忠実に再現することだけが正解ではないと感じる。昔の服が持っていた面白さを残しながら、今の素材や用途に合わせて手を加える。その変更にきちんと理由がある服には、復刻とは違った魅力がある。元のデザインを理解しているからこそ、何を残し、何を変えるのか。その判断に作り手の考えが表れるからだ。
今回紹介するA VONTADEのBAGGIES JACKETは、1980年代のアウトドアジャケットをイメージソースにした中綿ジャケット。当時のバギーズジャケットを思わせる大らかな造形を取り入れながら、特徴的な前立てやポケットを独自にアレンジしている。さらに、コートを思わせる高密度コットンナイロンウェザーと厚みのあるシンサレートを組み合わせることで、軽快なアウトドアジャケットのデザインを、しっかりと冬のアウターへと組み直している。
まず触れておきたいのが、この表地だ。使用しているのは、高密度に織り上げたコットンナイロンのウェザー生地。糸を密に打ち込むことで生まれるしっかりとしたハリとコシがあり、手に取った瞬間から生地そのものの存在を感じる。薄く軽いナイロンシェルとは違い、生地自体に形を支える力があるため、身頃や袖が身体にくったりと沿いすぎず、ジャケット全体の輪郭を保ってくれる。
そこへ微起毛加工を施し、表面にごく細かな毛羽を持たせている。高密度生地のしっかりとした感触を残しながら、手に触れたときの硬質さを和らげ、滑らかな手触りへと仕上げているのがいい。細かな毛羽によって光の反射も穏やかになり、表面には自然な陰影が生まれる。ハリのある生地なのに、見た目だけが硬くならない。このバランスが実にいい。
そして僕がこの素材に惹かれるのは、アウトドアジャケットに使われていながら、どこかコートを思わせる質感を持っているところだ。ナイロン特有の光沢を強く主張するのではなく、コットンの自然な風合いと微起毛による穏やかな表面感が、ジャケット全体の印象を整えている。機能的なデザインを持ちながら、いかにもスポーツウェアという見え方にならない。その理由のひとつが、この素材選びにある。
もちろん、見た目だけを優先した生地ではない。コットンにナイロンを組み合わせ、高密度に織り上げたうえで撥水加工を施し、水滴が表面に染み込みにくい仕様としている。高密度の織りは風を通しにくくする方向にも働く。アウトドアウェアに必要な実用性を持たせながら、街で着たときには生地そのものの表情まで楽しめる。冬のアウターにこの生地を選んだ意味は大きい。
そして、このジャケットの面白さがはっきり表れているのが首元とポケットの構造だ。1980年代のパタゴニアのバギーズジャケットには、ジッパーを覆う比翼が襟元まで伸びず、首の下あたりで終わる独特な仕様が見られる。上部ではジッパーが露出し、下部では比翼に隠れる。一般的なアウトドアジャケットではあまり見かけない、少し変わった前立てだ。
A VONTADEは、この特徴をそのまま写していない。比翼を首元まで延長し、スタンドカラーへと変更している。襟を立てて前を閉じれば首元まで生地で覆うことができ、風の侵入を抑える方向に働く。元の構造を消して別物にしたのではなく、その特徴を理解したうえで、冬の中綿ジャケットとして必要な形へと考え直している。
しかも、この変更は機能だけで終わっていない。比翼が首元まで一本につながることで、前身頃に縦の線がすっと通る。ゆったりとした身頃と厚みのある中綿を持つジャケットでありながら、正面から見た輪郭が必要以上に散らからない。首元まで比翼を伸ばすというひとつの変更が、防風性と見た目の両方に効いている。こういう再解釈には、ちゃんと意味がある。
ポケットも同じだ。古いバギーズジャケットには、立体的で存在感のあるポケット構造が見られ、それ自体が前身頃の大きな特徴になっていた。A VONTADEでは、その複雑な構造をあえて簡潔に整理している。ポケットの主張を抑えることで前身頃の凹凸が減り、ゆったりとした身頃の形とコットンナイロンウェザーの質感が、より素直に見えてくる。
ただ簡単にしたわけでもない。両脇にはハンドウォーマーポケットを備え、寒いときには自然に手を入れられる。元の服が持っていた立体的なポケットの面白さを理解したうえで、冬の日常で必要な機能を残し、外観を整理する。比翼もポケットも、削った、足したという話だけではない。今着る一着として、どこをどう変えるべきか。その判断そのものが、このBAGGIES JACKETのデザインになっている。
そして、このジャケットを冬の一着として成立させているのが、中綿に採用されたシンサレートだ。3Mが開発したシンサレートは、微細な繊維の間に空気を保持することで、身体から発せられる熱を逃がしにくくする断熱素材。繊維そのものが発熱するのではなく、空気の動きを抑えることで保温性を確保する仕組みを持つ。
シンサレートというと、薄くても暖かい中綿という印象が強いかもしれない。しかし、シンサレートには薄さを重視したものだけでなく、嵩高性を持たせたタイプも存在する。このBAGGIES JACKETに使われているのは、しっかりと厚みのあるシンサレート。中綿の膨らみを極力消すのではなく、その量感まで生かしながら、冬のアウターとしての保温性を備えている。
この厚みが、バギーズジャケットの大らかな形と実によく合っている。もともと身体を締め付けない、ゆとりのあるデザインだからこそ、厚みのある中綿を取り込んでも形に無理がない。むしろ、もともとの身頃や袖が持つゆったりとした造形に、中綿の量感が加わることで、冬のアウターとしての存在感が生まれている。バギーズという名前にふさわしい大らかさを残したまま、冬の服へと仕上げているところが面白い。
そして、その量感を外側から支えているのが、高密度コットンナイロンウェザーだ。ハリとコシのある表地が中綿の膨らみを受け止めることで、身頃や袖に立体的な輪郭が生まれる。柔らかな中綿の膨らみと、それを包むしっかりとした生地。この組み合わせによって、単にボリュームがあるだけではない、形のはっきりとしたジャケットになっている。生地の選択と中綿の厚みが、保温性だけでなく、この服の造形そのものを決めているのだ。
僕がLAMPAでこのBAGGIES JACKETをセレクトしたのは、古いアウトドアウェアが持っていた自由な発想を、今の冬の服として見事に成立させているからだ。元のデザインを知れば、比翼やポケットの変更に込められた考えが見えてくる。そして実際に服を見れば、高密度ウェザーの質感とシンサレートの量感が、その大らかな造形をどれほど魅力的にしているかが分かる。古い服への理解が、単なる復刻でも懐古でも終わらず、新しい一着の格好良さにつながっている。そこにA VONTADEらしい服づくりの面白さを感じる。
80年代のアウトドアウェアが持っていた自由な造形を残しながら、今の冬の服として考え抜かれた一着です。元になった服を知っていれば、変更されたディテールの面白さまで深く楽しめます。しかし、歴史を知らなければ魅力が伝わらない服ではありません。コートを思わせる生地の表情、首元まで通った比翼の縦の線、厚みのあるシンサレートが生む立体的な輪郭。そのすべてが一着の服としてきちんと格好良くまとまっています。アウトドアの機能を備えながら、都会の男が自然に袖を通したくなる。LAMPAが紹介したい、冬のBAGGIES JACKETです。
古いアメリカのワークウェアを見ていると、時として、その造形の素晴らしさに圧倒されることがある。身体を動かし、道具を持ち、過酷な仕事に耐えるために考えられた服。そこにある縫製やポケット、独特の裁断は、決して人に見せるための装飾ではなかった。それなのに、100年近い時を経た現在、これほどまでに服好きの心を惹きつけるデザインになっている。
丈夫さを求めて縫い重ねられたステッチ。仕事に必要な道具を収めるためのポケット。身体の動きを考えて生まれた袖の構造。そのひとつひとつに、当時の人々が積み重ねてきた知恵がある。驚くべきことに、実用性を追い求めた結果として生まれた構造が、長い年月を経た現在では、服の美しさを語るうえで欠かせない存在になっている。
今回紹介するORDINARY FITS DENIM COVERALLは、1920年代のアメリカンワークブランドのカバーオールをデザインのベースにした一着。ブランドオリジナルの11.5ozナチュラルスラブデニムを使用し、USED加工とONE WASHの2種類を展開している。左右非対称の胸ポケット、チンストラップ、そしてカバーオールでは珍しいラグランスリーブ。古い仕事着が持っていた構造の面白さを受け継ぎながら、ORDINARY FITSならではの解釈で仕上げられている。
今回のカバーオールを語るうえで、僕がぜひ紹介したいのが、アメリカのワークウェアブランドPAY DAYの歴史である。
PAY DAYは、アメリカの大手小売企業J.C. Penneyが取り扱っていたワークウェアブランド。その名前は少なくとも1917年の新聞広告にまで遡ることができる。現在ではヴィンテージとして知られているが、当時は日々働く人々に向けて販売されていた実用的な衣料品だった。
その時代の価値観を具体的に伝えてくれるのが、1927年5月5日、アメリカの新聞Daily Reflectorに掲載されたJ.C. Penneyの広告である。そこではPAY DAYのオーバーオールが紹介され、丈夫なヘビーデニム、Union Made、ゆとりのある裁断、トリプルステッチ、6つのポケット、各部の補強などが、商品の特徴として打ち出されていた。
ここが実に面白い。現在のヴィンテージ愛好家が魅力を感じるディテールが、当時の広告でも商品の価値を伝える重要な要素になっていたのだ。ただし、その意味は現在とは違う。丈夫な縫製、身体を動かすためのゆとり、仕事道具を収めるためのポケット。格好良さを説明していたのではなく、働くための服として何が優れているのかを、具体的な仕様によって示していたのである。
さらに興味深いのは、こうした服が一部の専門的な作業服店だけでなく、J.C. Penneyという大規模な小売網を通じて販売されていたことだ。PAY DAYは限られた愛好家に向けた特別な服ではなく、日々働く人々が価格と品質を比較しながら選ぶ日常着だった。だからこそ広告には、生地の丈夫さや縫製、実際の仕事で役立つ仕様が並んでいたのだろう。
そして、ここで改めて今回のORDINARY FITS DENIM COVERALLを見てみたい。左右で形の異なる胸ポケット、首元のチンストラップ、独特の袖の構造。かつての仕事着に見られたディテールが、現在ではこのジャケットの大きな魅力になっている。当時の広告に並んでいた実用性へのこだわりを知ると、目の前にあるポケットや縫製線が、単なるデザイン以上のものに見えてくる。
今回のORDINARY FITS DENIM COVERALLでも、まず目を引くのが左右非対称の胸ポケットである。いわゆるガチャポケと呼ばれる仕様で、左右それぞれ異なる形が、カバーオールの正面に独特の表情を生み出している。
古いワークウェアでは、収納する道具や用途に応じてポケットの形や配置を変えることがあった。左右を同じ形に揃えない構造も、そうした実用的な発想から生まれたものと考えられる。今回のカバーオールでも、形の異なる胸ポケットが正面に変化をつくり、左右対称のポケットでは生まれない、仕事着ならではの顔つきを見せている。
首元にはチンストラップを配置。もともとは襟元を留めるために考えられた実用的な仕様であり、古いワークウェアを象徴するディテールのひとつだ。小さな部品ではあるが、これがあることで首元の印象が変わり、古い仕事着の雰囲気が一段と強くなる。
そして、ジャケット各所に施されたワークウェアらしい縫製線。インディゴブルーの生地にステッチが浮かび上がり、袖や身頃の構造を際立たせている。丈夫さを求めて発展してきた縫製が、現在では服の表情をつくる重要な要素にもなっている。
左右非対称のポケットも、チンストラップも、縫製線も、古い仕事着の歴史を知るほど面白く見えてくる。実用のために考えられたものが、時代を越えて、これほど魅力的な造形として残っている。僕はこういうところに、ワークウェアの凄さを感じる。
そして、今回のカバーオールを特徴づける大きな要素がラグランスリーブである。
一般的なカバーオールでは、肩先で身頃と袖を切り替えるセットインスリーブが多く見られる。しかし、古いPAY DAYのカバーオールを調べていくと、年代やモデルによって袖の構造が異なっていたことが分かる。
1920年代頃のものとされる現存個体には、セットインスリーブにチンストラップやチェンジボタンを備えたカバーオールが見られる。一方、1930年代後半から1940年代初期頃のものとされる個体には、ラグランスリーブを採用したものも存在する。さらに1950年代のモデルにもセットインスリーブが確認されている。
つまり、PAY DAYのカバーオールは、年代によって単純にひとつの形へ変化していったわけではない。異なる袖の構造が存在していたこと自体が、古いワークウェアの歴史の奥深さを物語っている。
ラグランスリーブは、襟元から脇下へと斜めに袖を切り替える構造で、肩先に明確な袖付け線をつくらない。セットインスリーブでは肩の位置が縫製線によって区切られるのに対し、ラグランでは首元から肩、腕へと一続きの曲線が生まれる。肩幅を縫い目で強調しないため、着た時にも肩先が角張りにくい。
今回のORDINARY FITSでも、首元から脇下へと続くラグランスリーブの構造が、一般的なカバーオールとは異なる輪郭を生み出している。正面には左右非対称のポケットや力強い縫製線がありながら、肩周りには自然な丸みがある。
この肩の形が実に良い。古い仕事着の無骨さを残しながら、着た時には硬く見え過ぎない。ラグランスリーブという選択によって、カバーオール全体の印象が大きく変わっているのだ。
そして、ここからがORDINARY FITSらしいところだ。古いアメリカの仕事着が持っていた構造を取り入れながら、その姿をそのまま再現するのではなく、現在の服としてどのように仕上げるか。そこで重要になるのが、生地の選び方と加工の加減である。
生地には、ブランドオリジナルの11.5ozナチュラルスラブデニムを使用。スラブ糸は太さに不均一な部分を持つため、織り上げた生地の表面には細かな凹凸が生まれる。その凹凸によって光の当たり方やインディゴの見え方に変化が生じ、均一に整えられたデニムとは異なる自然な陰影が現れる。
11.5ozというウェイトも、この服を考えるうえで重要な部分だ。適度な厚みを持ちながら、柔らかな風合いに仕上げられているため、生地の硬さだけで形を保つのではなく、身体の輪郭に沿った自然な落ち方が生まれる。
特に今回のラグランスリーブでは、首元から肩、袖へと続く切り替えに生地の柔らかさが加わることで、肩周りに無理のない丸みが生まれる。ワークウェアらしい身頃の力強さと、肩周りの自然な輪郭。その両方をつないでいるのが、この11.5ozナチュラルスラブデニムなのである。
そして今回は、この同じ生地を使用しながら、USED加工とONE WASHという2種類の仕上げを用意している。生地もデザインも同じ。それでも、加工の違いによってジャケット全体の表情は大きく変わる。
USED加工モデルは、ナチュラルスラブデニムに、あえて加工を抑えた仕上げを施した一着である。
ヴィンテージデニムの加工には、激しいヒゲやアタリを再現し、長年着込まれた迫力を前面に押し出す方法もある。しかし、今回ORDINARY FITSが選んだのは、そうした加工の強さで見せる方法ではない。
インディゴの色を十分に残しながら、スラブデニムの凹凸と自然な色の濃淡を重ねることで、奥行きのある綺麗なインディゴブルーに仕上げている。色落ちを強調するのではなく、糸の不均一さから生まれる生地本来の表情を生かした加工だ。
強いヒゲや極端なアタリがないため、特定の場所だけが目立つこともなく、ジャケット全体の色のつながりが自然に見える。デニムの表面には細かな陰影があり、近くで見るほど、その奥行きが感じられる。
そして、この抑えた加工こそ、今回のカバーオールのデザインにとって大きな意味を持っている。
左右非対称の胸ポケット、チンストラップ、ラグランスリーブ。もともと視覚的な特徴の多いカバーオールだからこそ、さらに強い色落ちを加えれば、それぞれのディテールが競い合うことにもなる。加工を控えることで、ポケットの形や肩の輪郭、縫製線の流れに自然と目が向く。
何かを足して迫力を出すのではなく、必要以上に足さないことで、古い仕事着が持つ造形そのものを引き立てている。この加減が実に上手い。単にヴィンテージ風の加工を施すだけでは生まれない、ORDINARY FITSならではの感覚がここにある。
一方のONE WASHは、濃紺のインディゴを残した仕上がりが魅力である。
USED加工モデルとは異なり、強い色落ちやアタリを加えていないため、デニムの濃い色がジャケット全体を覆い、その上にステッチやポケットの形が浮かび上がる。加工による濃淡で立体感を強調するのではなく、裁断や縫製によって生まれた構造そのものを楽しめる仕上がりだ。
ここで注目したいのは、濃紺のデニムとステッチの関係である。USED加工モデルでは、生地の色の濃淡と縫製線が重なり合って奥行きのある表情を生み出していた。一方、ONE WASHでは生地の色が濃く残っているぶん、縫製線がより明確に見える。左右非対称のポケットやラグランスリーブの切り替えが、濃紺の生地を背景に際立っている。
また、ナチュラルスラブデニム特有の細かな凹凸も、濃紺の状態でじっくりと見ることができる。均一に塗りつぶされた平坦な表面ではなく、糸の太さの違いから生まれる自然な起伏があり、色落ち加工に頼らなくても生地そのものに豊かな表情がある。
そしてONE WASHには、これから着込んでいく楽しみも残されている。インディゴデニムは着用や洗濯を重ねることで色の見え方が変化していく素材であり、着始めの濃紺を楽しみながら、その後の変化にも目を向けられる。どのような色落ちになるかは着用頻度や洗濯方法によって異なるが、あらかじめ強い色落ちをつくり込まないからこそ、自分自身の時間を重ねていく面白さがある。
濃紺のデニムが持つ引き締まった表情。そこに浮かび上がる古い仕事着の構造。そして、これから着込むことで少しずつ変化していくインディゴ。ONE WASHには、USED加工とはまた異なる魅力が詰まっている。
USED加工とONE WASH。どちらも同じ11.5ozナチュラルスラブデニムを使用し、同じデザインを採用しながら、仕上げの違いによって異なる表情を見せている。
抑えた色落ちによって、デニムの自然な濃淡と奥行きを楽しめるUSED加工。濃紺のインディゴを残し、縫製やポケットの造形を際立たせながら、これからの変化も楽しめるONE WASH。
そして、そのどちらにも共通しているのが、古いアメリカの仕事着が持っていた構造の面白さである。左右非対称の胸ポケット、チンストラップ、ラグランスリーブ。それぞれのディテールには、かつて働く人々のために考えられた服の歴史が息づいている。
岡山・児島を拠点に服づくりを続けるORDINARY FITSが、古いワークウェアの構造を受け継ぎながら、生地の風合いや加工の加減、着た時の輪郭まで考えて仕上げた今回のカバーオール。僕がLAMPAでこの一着を選んだのは、歴史的なディテールを残すことだけで終わらず、11.5ozの柔らかなスラブデニムとラグランスリーブによって、現在の服としても魅力的な着姿に仕上げられているからだ。さらに、USED加工とONE WASHという異なる仕上げによって、同じ造形の魅力をそれぞれ違った角度から楽しめるところも面白い。
約100年前、働く人々の日常を支えるために考えられた服が、時代を越えて、今ではこれほどまでに人を惹きつけるデザインになっています。当時の人々が積み重ねてきた知恵は、現在では服好きの心を動かす造形として残されています。これこそワークウェアが生み出した最高のアートではないでしょうか。古い服の歴史を知ることで、目の前の一着がさらに魅力的に見えてきます。それは男服ならではの醍醐味だと思います。
古い服をデザインソースにするなら、古さを再現するだけでは意味がない。大切なのは、そこに残された魅力をどう読み取り、今の服としてどう見せるか。LAMPAがORDINARY FITSを長くセレクトしている理由も、そこにある。
昔のデニムやワークウェアを研究し、当時の服が持っていた個性を大切にしながら、素材やシルエットには現在の感覚を取り入れる。残すべきディテールは残す。でも、古い服そのものにはしない。単なる復刻ではなく、今の服として成立させる。そのバランス感に惹かれ、LAMPAではORDINARY FITSをスタイリングにおける「デニム担当」、そしてSTANDARD DENIMのひとつとして選び続けている。
今回ご紹介するFRISKO TROUSERSも、そんなORDINARY FITSの服づくりがよく表れた一本。デザインベースとなったのは、LEEのFRISKO JEENS。ただし、その歴史を辿ると、LEEよりもさらに古い時代へ行き着く。
FRISKO JEENSのルーツは、19世紀のサンフランシスコで発展したワークウェアメーカー、Eloesser-Heynemann社が展開したCAN’T BUST ’EMにある。米国の商標記録によれば、FRISKO JEENSという名称は1924年にはすでに商業使用されており、LEEが同社を買収した1946年より20年以上も前から存在していた。
つまり、もともとはLEEが生み出したパンツではなく、アメリカ西海岸の労働着文化の中で育まれたワークパンツだったということだ。
そして、この歴史を調べる中で特に興味深かったのが、1944年の新聞広告。当時のFRISKO JEENSは、丈夫なヘビーデューティー・ワークパンツでありながら、仕事を終えた後にも見栄えよく穿けることを売りにしていた。まだジーンズが若者のファッションとして広く認識される以前、すでにワークウェアとしての実用性と、日常着としての見え方を両立させようとしていたわけだ。
この背景を知ると、ORDINARY FITSがFRISKOをデニムトラウザーとして再解釈したことにも納得がいく。もともとFRISKOには、仕事着でありながら、その先の日常まで考えた服づくりがあった。100年以上の時間を経て、その考え方を現在の素材とシルエットで表現する。単に古い形を借りるだけでは終わらないところが面白い。
使用したのは、先にご紹介したDENIM COVERALLと同じ、ORDINARY FITSオリジナルの11.5ozナチュラルスラブデニム。
スラブ糸特有の不均一な太さが、生地の表面に自然な凹凸と濃淡を生み出す。均一に織り上げたデニムとは異なる表情を持ち、柔らかな風合いも魅力のひとつ。11.5ozという重量によって、デニムらしい存在感を残しながらも、重厚なワークパンツとは違う軽やかな印象にまとまっている。
そして今回は、この生地の魅力を異なる方向から楽しめる、加工モデルとONE WASHの2種類をご用意した。
加工モデルに施したのは、ORDINARY FITSらしい「やり過ぎない」加工。強い色落ちやアタリによって古着らしさを前面に出すのではなく、スラブデニムが持つ自然なムラを活かしながら、奥行きのある綺麗なインディゴブルーに仕上げている。
ここで加工を強くすれば、FRISKOという歴史的なデザインと相まって、パンツ全体が古着の方向へ大きく傾く。しかし、あえて加工を抑えることで、特徴的なL字型ポケットが過剰に主張せず、シルエットの良さも素直に伝わる。生地にはワークウェアの質感を残しながら、見た目はすっきりと。この引き算が実にいい。
一方のONE WASHは、濃紺のインディゴを残しながら、ナチュラルスラブデニム特有の凹凸を感じられる仕上がり。濃紺の締まった表情の中に、スラブ糸が生み出す自然なムラが浮かび上がり、加工モデルとはまた違った生地の魅力が見えてくる。
奥行きのあるインディゴブルーを楽しむ加工モデルか、濃紺の力強い表情を楽しむONE WASHか。どちらも生地の個性を活かしながら、FRISKO独自の造形を引き立てている。
FRISKOを象徴するのが、フロントに配された特徴的なL字型ポケット。一般的な5ポケットジーンズの斜めに開くポケットとは異なり、開口部が横から縦へと折れる独特の構造を持つ。
この形は、LEEによって生み出されたものではない。1920〜30年代の製品と推定されるCAN’T BUST ’EM時代のFRISKOにも、すでに同様のポケットが確認されている。少なくともLEEによる買収以前まで遡る、非常に古いワークウェアのディテールなのだ。
なぜこのL字型になったのか。作業中に手や収納物を出し入れしやすくするためという説がある一方、縫製工程を減らし、効率よく大量生産するためだったという見方もある。正確な開発意図は明らかになっていないものの、どちらも当時の労働着に求められた合理性と結びつく考え方だ。
ORDINARY FITSは、そのLポケットをFRISKOの象徴として残し、トップボタンと左側のヒップポケットにはスナップボタンを採用。一般的なジーンズとは異なるフロントの表情をつくりながら、ディテールを必要以上に誇張しない。
当時の作業性や生産性を考える中で生まれた可能性を持つ形が、長い時間を経て、今ではFRISKOをひと目で特徴づける意匠になっている。
そして、このFRISKO TROUSERSで僕が何より惹かれたのが、シルエットのバランス。
ヒップ周りはすっきりと収め、腿から裾にかけては細くもなく、太くもない。ワークパンツらしい量感を残しながら、裾へ向かってほんの僅かにテーパードをかけたシルエットだ。
この「ほんの僅か」が実に重要。テーパードを強くすれば、FRISKOが持つワークパンツらしい直線的な力が薄れてしまう。反対に、太さをそのまま裾まで落とせば、昔のワークパンツに近い、重さを感じさせる輪郭になる。
その中間で、僅かに裾を絞る。すると、ヒップから腿にかけての自然なゆとりはそのままに、膝下のラインがすっきりと収まり、全体の輪郭が整う。太さを削って細身に見せるのではなく、ワークパンツが持つ量感を活かしたまま、裾の収まりによって印象を変える設計だ。
しかも、このシルエットと11.5ozのナチュラルスラブデニムとの組み合わせがいい。生地にはデニムらしい凹凸と柔らかな風合いを残し、形はトラウザーを思わせるすっきりとした輪郭。素材の持つ無骨さをシルエットが程よく抑えることで、一般的な5ポケットジーンズとも、昔ながらのワークパンツとも違う見え方が生まれる。
LAMPAでは長くORDINARY FITSをデニムの柱として紹介してきたが、こうしたシルエットの判断こそ、選び続けている大きな理由だ。ワークパンツの良さを残すために、必要以上に太くしない。トラウザーの綺麗な輪郭を求めるからといって、細くもしない。その中間を、僅かなテーパードだけで成立させる。この辺のバランス感が、本当に上手い。
さらに、同じ11.5ozナチュラルスラブデニムを使用したDENIM COVERALLとのセットアップも、このパンツを選ぶ大きな理由のひとつ。
カバーオールにデニムパンツ。組み合わせだけを聞けば、かなりワークウェア寄りの装いを想像するはずだ。しかし、ORDINARY FITSがつくるこの2着は、どちらも古い服の魅力を残しながら、そのまま当時の姿を再現する方向には向かっていない。
カバーオールが持つワークウェアの表情と、FRISKO TROUSERSのすっきりとした輪郭。同じ生地で揃えることで、上下に統一感が生まれる。
ここで重要なのは、単に同じ生地で上下を揃えられるということではない。カバーオールのワークウェアらしい造形を受け止めながら、FRISKO TROUSERSの膝下から裾にかけての収まりが、セットアップ全体の輪郭を整えること。パンツが必要以上に太くないからこそ、カバーオールの存在感も自然に引き立つ。
ワークウェアの個性を残したカバーオールに、僅かなテーパードを加えたFRISKO TROUSERS。この2着を組み合わせることで、古いワークウェアをそのまま再現するのではない、ORDINARY FITSならではのデニムセットアップが完成する。
1944年の新聞広告で、仕事を終えた後にも見栄えよく穿けることを売りにしていたFRISKO JEENS。丈夫な労働着であることはもちろん、そのパンツを日常でも格好よく穿いてほしいという考え方が、すでに当時からあった。
そして今、ORDINARY FITSはFRISKOを、現在のデニムトラウザーとして提案している。時代が変わり、素材やシルエットの捉え方が変わっても、仕事着として生まれたパンツを日常で格好よく穿くという発想は、この僅かなテーパードにも通じる。ワークパンツの量感を残しながら、裾の収まりによって見え方を整える。その判断に、ORDINARY FITSが古い服を今の服へとつなげる姿勢が表れている。
古い服の魅力を知るほど、その形をただ懐かしむだけでは終わらせたくありません。ORDINARY FITSがつくるFRISKO TROUSERSには、100年以上前のワークウェアを、今の服として穿く面白さがあります。長い歴史を持つFRISKOを、古着としてではなく、新品から自分の一本として穿いていただきたいと思います。
スウェットといえばコットン。あまりにも長く親しまれてきた定番だからこそ、素材を変えるなら、そこにはきちんとした理由が欲しい。ただ珍しい素材を使っただけでは、この形を選ぶ意味がない。素材が変わることで、いつものスウェットを着る感覚そのものまで変わる。ORDINARY FITSのWOOL SWEATは、そこまで踏み込んだ一着だ。
使われているのは、メリノウール100%でつくられたブランドオリジナルの裏毛生地。メリノウールと聞けば、まずセーターを思い浮かべる人が多いと思う。暖かく、柔らかく、質の良い天然素材である一方、ニット特有の見え方が自分の服装には少し違うと感じてきた人もいるだろう。
だったら、その素材をスウェットにしてしまう。僕がこの服を面白いと思った一番の理由はここにある。誰もが知っているスウェットという日常着の中へ、メリノウールが本来持っている保温性、吸放湿性、防臭性、弾力性を持ち込む。見慣れた服なのに、素材から考えると中身はまったく違う。
LAMPAでこの一着を紹介したいのも、高級なウールを使ったスウェットだからではない。長く親しまれてきた天然素材の性質と、同じく長く着続けられてきたスウェットという形。その二つを組み合わせることで、セーターともコットンスウェットとも違う日常着をつくっている。メリノウールを特別な素材として遠ざけるのではなく、いつものスウェットまで引き寄せた。その発想に、この服を選ぶ理由がある。
メリノウールの柔らかな肌触りには、繊維の細さが大きく関係している。太く硬い繊維は肌に触れても曲がりにくく、その先端が皮膚を刺激しやすい。それに対して細いメリノウールは、肌に触れた時の小さな力でもしなやかに曲がりやすい。ウールなのにチクチクしにくいと感じる理由は、単に表面が滑らかだからではない。一本一本の繊維そのものの細さと曲がりやすさにある。
そしてメリノウールの面白さは、暖かさだけではない。繊維内部へ水蒸気を取り込み、周囲の環境に応じて放出する吸放湿性を持っている。さらに、水分を吸着する過程では吸着熱も生じる。身体の周囲の湿度変化に、繊維そのものが反応するということだ。
臭いに対しても、薬剤を加えることで機能を持たせた化学繊維とは考え方が異なる。ウールには臭気成分を繊維内部へ取り込んで保持する性質があり、それが臭いを感じにくくすることにつながる。保温、吸放湿、防臭。後から機能を付け足したのではなく、羊毛という一本の天然繊維がもともと備えている。機能服という言葉を聞くと新しい素材や加工を想像するが、メリノウールには最初からそれがある。ここが天然繊維としての面白さだと思う。
この服のもう一つの核が、そのメリノウールを100%のまま裏毛にしていることだ。裏毛は単に厚く編んだ生地ではない。表側の編み地とは別に、裏側へ糸を送り込んでループをつくり、その立体によって膨らみを生み出す。コットンスウェットでは見慣れた構造だが、それをメリノウール100%でつくるとなると話は変わってくる。
ウールには天然の捲縮と弾力があり、水分や摩擦によって繊維同士が絡み、収縮する性質もある。裏毛では裏側にループを形成するため、その膨らみを保ちながら生地として安定させる必要がある。柔らかさだけを求めればいいわけでも、密度を上げて硬くつくればいいわけでもない。ウールらしいしなやかさを残しながら、スウェットとして着られる生地の骨格をつくる。メリノウール100%の裏毛という仕様には、こうした素材と編み地の性質を考える面白さがある。
そして出来上がった生地には、コットンの裏毛とは違う表情が生まれている。ウール特有の柔らかさと膨らみがありながら、表側にはコットンスウェットに見られる素朴な質感とは違う、きめ細かく整った表情がある。スウェットの気取らなさを残したまま、素材そのものが服の印象を変えている。メリノウールを裏毛という組織に仕立てたことが、着心地だけではなく、見た目にもきちんと現れている。
しかも手洗いによる自宅での洗濯が可能だ。メリノウール100%という素材を、日常の中で自分の手で手入れしながら着ていける。手で洗い、状態を確かめながら、また袖を通す。素材の性質を知り、自分で付き合っていくことまで含めて楽しめる。高級な素材を特別な日のためだけに取っておくのではなく、普段から着て、自宅で手入れをしながら長く付き合っていく。そんな距離感が、この服にはよく似合う。
デザインのベースにあるのはVINTAGEのスウェット。肩や身幅に適度なゆとりを持たせた、ややゆったりとしたシルエットに仕上げている。身体との間に自然な余裕が生まれ、スウェットらしいリラックスした着心地を楽しめる。その一方で、全体の輪郭はすっきりと収まり、メリノウールの柔らかな質感が服の表情として自然に生きている。
この素材とシルエットの組み合わせが実にいい。コットンスウェットには、生地の厚みや張りによって輪郭がはっきり出るものも多い。こちらはウール特有の柔らかさがその輪郭を和らげ、ややゆったりとした形にも落ち着いた雰囲気が生まれる。スウェットが持つ無骨さと、メリノウールのきめ細かな表情。その両方が一着の中に自然に収まっている。
さらに縫製にはフラットシーマを採用している。縫い代を重ねて厚みをつくるのではなく、縫い合わせ部分を平らに仕上げる縫製方法だ。VINTAGEスウェットとのつながりを感じさせる仕様であると同時に、肌に触れた時の縫い目の存在を抑えられる。メリノウール100%の柔らかな肌触りを楽しむ服だからこそ、この仕様が生きてくる。生地の質感だけでなく、身体に触れる縫い目にまで目を向けているところに、ORDINARY FITSらしい丁寧な服づくりを感じる。
見た目は、昔から親しまれてきた気軽なスウェット。でも袖を通すのはメリノウール100%。この組み合わせがやはりいい。セーターとして親しまれてきた素材を、スウェットという見慣れた形に落とし込むことで、メリノウールの魅力がまた違った角度から見えてくる。
ブランドオリジナルのメリノウール100%裏毛生地に、VINTAGEスウェットをベースにしたややゆったりとしたシルエット。そしてフラットシーマによる縫製。それぞれの仕様が、スウェットとして自然に着られる一着へとつながっている。素材を変えるという発想を、見た目だけの変化で終わらせていないところがいい。
メリノウールを、セーターではなくスウェットで着る。その発想を、素材から縫製、シルエットまで丁寧に形にした一着です。いつものスウェットを着る気軽さの中で、メリノウールという天然素材の魅力を存分に味わっていただきたいと思います。
CCPからEN JK-AB115が入荷。
今回のジャケット、何より面白いのがそのデザイン。
立体的なポケットを備えたベストの上から、ショート丈のフードブルゾンをもう一枚羽織ったような独特のレイヤード構造。
もちろん実際に重ね着しているわけではなく、すべてが繋がった一体型。
ベスト部分の胸にはフラップ無しの3Dポケット、さらに両脇には独特な形状の立体ポケットを配置。
立体的なパターンメイキングを得意とするCCPならではの造形と、この重なりが生み出す立体感が実に格好いい。
しかも、このジャケットの面白さは見た目だけでは終わらない。
普通に袖を通して着るのはもちろん、ブルゾンの袖を抜いて背中に背負うようにすれば、ベストとしても着用可能。
さらに、ベスト部分を着用せず、ショート丈のフードブルゾンとして着れば、まるで燕尾服のような独特のシルエットに。
一着の服なのに、着方によってまるで別の服のように表情が変わる。
これが実に面白い。
そして個人的に気に入っているのが、この燕尾服のような着方。
クラシックな燕尾服とはまったく違う、どこか未来的で、少し異質な雰囲気。
まさに東京アンダーグラウンドストリートの正装服。
さらに細部もCCPらしさ全開。
通常ならフード内部に隠してしまうフィット調整用のドローコードを、あえて外側へ露出させたデザイン。
さらに袖を抜いてベストとして着用した際の、背中にブルゾンを背負ったような造形。
このあたりは、どこかガンダムに登場するモビルスーツを思わせるメカニカルな雰囲気。
こういう感覚を洋服のデザインに落とし込めるところも、CCPの面白さだと思う。
ちなみにフードの内側にはフリースを配置し、首元の保温性にも配慮。
生地には、ナイロン100%でありながら、コットンのような自然な風合いを持つ機能素材を採用。
撥水性と透湿防水性を備えながら、いかにも化繊という雰囲気ではないところもいい。
これだけ独創的なデザインでありながら、素材には自然な表情を持たせている。
このバランスも実に絶妙。
しかし、改めて考えると凄い服だと思う。
ミリタリーでも、アウトドアでも、ワークでもない。
既存の何かをベースにした服ではなく、独自の発想から生まれた造形。
しかも単に奇抜なだけではなく、着方を変える楽しさまで一着の中に組み込んでいる。
こういう服を見ると、まだまだ洋服には面白い可能性があるんだなと感じる。
CCP、やっぱり面白い。
BRAND:CCP
ITEM:EN JK-AB115
COLOR:Black
SIZE:S、M
PRICE:税込80,300円
WEB STORE未掲載。
通販をご希望の方はDMまたはメールにてお問い合わせください。
CCPからSHIKIRITO PT-AB118が入荷。
今回のパンツ、何より目を引くのがフロントのデザイン。
前身頃に裾まで続くプリーツを大胆に配しながら、後ろ身頃はあえてシンプルに仕上げる。
この前後のギャップが生み出す独特の造形美が実に格好いい。
前身頃には、幅1.2cmのつまみプリーツを何本も並べ、それを裾まで通した大胆な仕様。
一般的なプリーツパンツといえば、ウエスト周辺にタックを入れ、腰まわりにゆとりを持たせるもの。
しかし、これは違う。
プリーツそのものをパンツのデザインとして成立させている。
しかも面白いのが、穿いたときの表情。
身体の動きに合わせてプリーツの開き方や陰影が変化し、立っているときと歩いているときで、フロントの見え方が変わる。
単に装飾を加えたのではなく、動くことで完成するデザイン。
そして、このパンツのもう一つの見どころがバックスタイル。
フロントにはこれだけ大胆なプリーツを入れながら、後ろ身頃にはあえて余計なデザインを加えない。
この引き算が実に上手い。
前後ともに凝ったデザインにしてしまえば、全体が騒がしくなる。
しかし後ろをシンプルにすることで、フロントのプリーツがより鮮明に浮かび上がる。
さらにウエストまわりには、ハリウッド型のデザインを採用。
腰まわりの切り替えを抑えたすっきりとした構造が、フロントのプリーツとはまた違った表情を生み出している。
そして個人的に、このパンツで特に上手いと思うのがシルエット。
これだけインパクトのあるデザインでありながら、細くも太くもなく、適度にテーパードを効かせたベーシックなシルエット。
ここが重要。
デザインが強いからといって、シルエットまで極端にしてしまうと、どうしても着こなしが限定されてしまう。
でも、このパンツは違う。
普段穿いているパンツと同じ感覚で取り入れられるのに、フロントには見たことのないような造形がある。
このバランス感覚が実にCCPらしい。
そして生地には、コットンとナイロンを高密度に織り上げたギャバジンに、ピーチ加工を施した素材を採用。
ギャバジン特有の緻密な生地感と適度なハリを持ちながら、表面には桃の産毛のような微細な起毛による、しっとりとしたナチュラルな風合い。
いかにも機能素材という雰囲気ではなく、どこか上品で落ち着いた表情も魅力。
さらにC-ZERO撥水加工を施すことで、日常のちょっとした雨にも対応。
この適度なハリがフロントのプリーツを立体的に見せ、マットで柔らかな表情が陰影を引き立てる。
単に機能性が高いだけではなく、今回の独創的なデザインとの相性まで考えられた素材選び。
このあたりも実に上手い。
しかし、改めて見ると面白い。
パンツのシルエットを大きく変えるわけでもなく、奇抜なパーツを付け加えるわけでもない。
前身頃にプリーツを並べ、後ろ身頃はシンプルに仕上げる。
やっていることを言葉にすれば実に明快。
それなのに、出来上がったものは今までにない表情のパンツ。
既存の服の構造を少し違う角度から見つめ直すことで、ここまで新しいデザインが生まれる。
こういう発想と、それを実際の服として成立させるデザイン力。
やはりCCPは一筋縄ではいかない。
BRAND:CCP
ITEM:SHIKIRITO PT-AB118
COLOR:Black
SIZE:M、L
PRICE:税込51,700円
WEB STORE未掲載。
通販をご希望の方はDMまたはメールにてお問い合わせください。
服を長く見続けていると、ミリタリーウェアの面白さは、単に無骨で格好いいということだけではないと感じる。なぜその場所にポケットがあるのか。なぜ襟を立てて留められるのか。なぜシャツの形をしていながら、ジャケットとしても着られるのか。そこには、実際にその服を必要とした人たちの仕事や生活があり、その要求に応えるための工夫が積み重なっている。何十年も前につくられた服に、今でも惹かれる理由の一つは、そうした構造そのものが持つ説得力にある。
今回紹介するMODMNTのT/TWEED UTILITY CPO SHIRTも、そんな軍用衣料の構造を出発点にした一着だ。ベースとなるのは、アメリカ海軍のCPOシャツ。厚手のウール生地を用い、シャツの構造を持ちながら防寒用の上着としても機能してきた服だ。そこへユーティリティウェアの考え方を取り入れ、胸だけでなく腰、袖、背面にまで収納を広げている。もともと胸元を中心にポケットを備えていたCPOシャツが、身体の前後左右に収納を持つ服へと変化している。
さらに興味深いのが素材の選択だ。ウールツイードを思わせる複雑な色合いと膨らみを持ちながら、実際にはポリエステルの特殊な糸によってつくられたTECHTWEEDを採用。しかも、ウール特有のチクチク感がなく、裏地を付けずに仕立てられている。見た目はクラシカルなツイード。しかし、身体に触れるのは現代の技術でつくられたポリエステルの加工糸。昔ながらのCPOシャツを再現するのではなく、生地の成り立ちから見直すことで、着る時の感覚まで変えている。
僕がこの服に惹かれるのは、こうした過去の服との向き合い方だ。元になった服を知っているからこそ、その形を忠実に残すことだけが正解ではない。CPOシャツの構造を理解し、ユーティリティウェアの収納を組み合わせ、さらに素材を現代の技術で置き換える。それぞれに異なる背景を持つ要素が、一着の服として自然につながっている。鈴木大器氏が手掛けるMODMNTの魅力は、単なるディテールの組み合わせではなく、異なる服の成り立ちを理解したうえで、新しい形へと再構築するところにある。
このシャツの印象を大きく決めているのが、特殊な撚糸技術によって生まれたTECHTWEEDだ。ウールツイードが持つ複雑な色の混ざり方と、糸そのものの膨らみ。それをポリエステルという化学繊維で表現している。
一般的なポリエステル生地と大きく異なるのは、単に表面をツイード調に仕上げているのではなく、原料の組み合わせと糸のつくり方から、あの独特な表情を生み出していることだ。
まず語りたいのが、色のつくり方だ。TECHTWEEDでは、レギュラーポリエステル、カチオン可染ポリエステル、原着ポリエステルという、三種類の異なる特性を持つ原料を組み合わせている。すべてポリエステルでありながら、染色への反応や色を持つ仕組みがそれぞれ異なる。
レギュラーポリエステルは一般的な分散染料で染色する原料。カチオン可染ポリエステルは、繊維を構成する分子の段階からカチオン染料で染まる性質を持たせたもの。そして原着ポリエステルは、繊維になる前の原料段階で着色したものだ。つまり、同じポリエステルという素材の中に、染まり方の異なる成分と、最初から色を持った成分を組み合わせている。
この仕組みによって生まれるのが、トップ調と呼ばれる複雑な色合いだ。ウールのツイードには、一見すると単色に見えても、近くで見ると異なる色の繊維が細かく混ざり合っているものがある。離れればひとつの色としてまとまり、近付けば細かな濃淡が見えてくる。
TECHTWEEDでは、異なる染色特性を利用することで、その奥行きのある色の表情をポリエステルで表現している。単純に一色へ染め上げるのではなく、糸を構成する原料の違いによって複雑な色合いを生み出す。ウールツイードの魅力を、色の成り立ちから捉え直しているのだ。
ただし、色を複雑にするだけではツイードらしい生地にはならない。細く滑らかな糸で平坦に織り上げれば、色に奥行きがあっても、ウールツイード特有の立体的な表情とは異なるものになる。
そこでTECHTWEEDでは、日本の特殊な撚糸技術を用い、ポリエステルのフィラメントから膨らみのある加工糸を開発している。色の細かな混ざり方に、糸の膨らみが生む陰影が重なることで、表面にはツイードを思わせる豊かな凹凸が現れる。
ここが、この生地の核心だと思う。ウールツイードの魅力は、単に色柄だけで決まるものではない。異なる色の繊維が混ざり合い、糸に膨らみがあり、その糸が織物になることで表面に陰影が生まれる。そうした複数の要素が重なって、あの独特な表情が成立している。
TECHTWEEDは、その仕組みをポリエステルで組み立て直している。ウールに似た見た目だけを追いかけるのではなく、なぜウールツイードが魅力的に見えるのかを、原料と糸の段階から考えている。昔からある素材の表情を、異なる技術でつくり上げるという発想が、この生地には詰まっている。
そして、実際に着ることを考えた時に大きな意味を持つのが、肌に触れた時の感覚だ。一般的なウールツイードでは、繊維の毛羽によるチクチクとした刺激が気になることがある。しかし、このTECHTWEEDにはそうしたチクチク感がなく、裏地を付けずに仕立てられている。
Tシャツの上から直接羽織れるため、ツイードらしい豊かな表情を持ちながら、肌に触れる部分まで気を遣う必要がない。見た目はクラシカルなウールの織物を思わせるのに、実際に身体へ触れるのはポリエステルの加工糸。この見た目と着心地の違いこそ、素材を置き換えた大きな意味だ。
さらにTECHTWEEDは、素材として防シワ性やイージーケア性を特徴としている。クラシカルな織物の表情を、現代の日常着として取り入れるための工夫が、素材そのものに施されている。
この生地をCPOシャツに採用した意味も、そこにある。本来のCPOシャツが持つ厚手のウールによる防寒着としての印象を残しながら、実際には異なる繊維によってその表情を再構築する。しかも、多数のポケットやチンストラップといった実用的なディテールに対して、ツイード調の複雑な色合いが加わることで、無骨な構造だけが前へ出ない。素材が変わることで、服そのものの見え方まで変わっている。
CPOとはChief Petty Officerの略で、アメリカ海軍の上級下士官を指す言葉。CPOシャツは、海軍で使用されてきた厚手のウールシャツをルーツに持ち、シャツの構造でありながら、防寒用の上着としての役割も担ってきた。
襟があり、前開きで、袖口にはカフスを備える。基本的な構造はシャツでありながら、厚手の生地によって身体を覆い、上着としても機能する。シャツとジャケットの境界にあるという性格は、もともとCPOシャツが持っていたものだ。
一方、ユーティリティウェアは、軍や作業現場で日常的に身体を動かし、仕事をするための服だ。必要な物を携帯するための収納や、動作を妨げない構造が求められる。代表的な軍用ユーティリティシャツでは、胸元のポケットなど、仕事に必要な機能が服の形を決めてきた。
MODMNTは、このCPOシャツとユーティリティウェアという二つの考え方を重ねている。しかも、どちらかの形をそのまま持ち込むのではなく、それぞれが持つ構造を組み合わせることで、一着の服として新たな輪郭をつくっている。
このT/TWEED UTILITY CPO SHIRTでは、左胸、両腰、背面の左右、さらに左袖にまでフラップポケットを配置している。一般的なCPOシャツの胸元を中心とした収納を、身体の周囲へと広げているのだ。
ここで注目したいのは、単にポケットの数を増やしたわけではないということ。胸にあるポケットと腰にあるポケットでは、服の中での役割も見え方も異なる。腰に収納を加えることで、シャツだったものにジャケットとしての構造が生まれる。さらに袖や背面にもポケットを配置することで、前身頃だけでは完結しない立体的な造形へ変化している。
特に背面の左右に配置されたポケットは興味深い。通常のシャツでは大きな装飾を持たないことも多い背中に、左右のフラップと収納部分が加わることで、後ろ姿にも明確な構造が生まれる。
正面では胸と腰のポケットがつくる横方向の線が目に入り、横から見れば袖のポケットがアクセントになる。そして背面へ回れば、そこにも収納が設けられている。正面だけでデザインが完結していない。身体の周囲に配置されたポケットが、見る方向によって異なる表情をつくっている。
こうした収納は、もともと仕事に必要な物を携帯するために発達してきたものだ。しかし、この一着では、その実用的な構造が服全体の造形を決める重要な要素にもなっている。
胸、腰、袖、背面。それぞれの場所にポケットがあることで、シャツの基本構造に新しい線と量感が加わる。機能を増やすことが、そのままデザインをつくることにつながっている。単に軍用シャツへポケットを追加しただけでは、この見え方にはならない。
そして襟元にはチンストラップを装備。襟を立てて留めることで首元を覆うことができる、軍用シャツにも見られる実用的な仕様だ。
襟を開けばシャツらしい首元になる。反対に襟を立ててチンストラップを留めれば、首元を覆う防寒着としての構造が前へ出る。同じ一着でありながら、襟の扱い方によって首元の輪郭が変わる。
このチンストラップも、単なる装飾として加えられたものではない。もともと必要があって生まれた構造であり、その役割を残しながら、現在では着た時の印象を変えるディテールにもなっている。
胸や腰、背面のポケットと同じく、実用から生まれた部品が服の造形をつくる。MODMNTが軍用衣料を出発点にする意味は、こうした一つひとつの構造の扱い方に表れている。
このT/TWEED UTILITY CPO SHIRTを考えるうえで、もうひとつ重要なのが、シャツとジャケットの境界にあるということだ。もともとCPOシャツ自体が、シャツの構造を持ちながら上着としても着られる服だった。MODMNTはその性格を受け継ぎながら、腰や背面に収納を加え、さらにTECHTWEEDの豊かな表情を組み合わせることで、ジャケットとしての存在感を強めている。
シャツとして見れば、襟と前開き、袖口という基本的な構造が残っている。一方で、腰に配置されたポケットや首元を覆うチンストラップ、背面まで広がる収納を見ると、明らかに上着としての性格が強い。どちらか一方に決めるのではなく、二つのカテゴリーが持つ特徴を一着の中に共存させている。
ブランドが提案する、羽織りとしてもインナーとしても着られるという考え方も、この構造とつながっている。前を開けて羽織れば、胸から腰、袖へと広がるポケットがジャケットらしい輪郭をつくる。反対に上着の内側へ着れば、襟元や胸のディテール、TECHTWEEDの複雑な色合いが装いの中に残る。
しかも、TECHTWEEDにはウール特有のチクチク感がなく、裏地も付けられていない。Tシャツの上から直接羽織ることもできる。シャツとしての構造と、ジャケットとしての存在感。その両方を備えながら、着方を一つに限定しない。
ここにも鈴木大器氏の服づくりが表れている。ミリタリー、ワーク、アウトドア、トラッドといった異なる背景を持つ服を、単純に組み合わせるだけではない。それぞれの構造が持つ意味を理解し、現在の服として成立する位置を探している。CPOシャツにユーティリティウェアの収納を重ね、さらにTECHTWEEDを選ぶという判断も、その延長にある。
特に注目したいのは、素材とデザインが互いの印象を変えているところだ。もし一般的な無地の軍用生地で仕立てれば、多数のポケットが持つ実用的な性格がより強く現れるだろう。反対に、TECHTWEEDを装飾の少ない普通のシャツに使えば、素材の表情そのものが中心になる。
しかし、この一着では複雑な収納と複雑な色の生地が重なることで、どちらか一方だけでは生まれない造形が成立している。軍用衣料から生まれた機能的な構造と、クラシカルなツイードを思わせる素材の表情。その二つが互いの個性を消すことなく、一着の中で共存している。
そして、その複雑さを支えているのがCPOシャツという馴染みのある形だ。襟があり、前開きで、袖口を備えたシャツの基本構造が残っているからこそ、これだけ多くのポケットを加えても、服としての輪郭を見失わない。古い服の形を知っていることが、自由に組み替えるための土台になっている。
昔の服を忠実に再現することにも価値はあります。しかし、その服が生まれた理由を理解したうえで、素材や構造を新しく組み替えることにも、大きな魅力があります。
MODMNTのT/TWEED UTILITY CPO SHIRTは、海軍の防寒用シャツを出発点に、ユーティリティウェアの収納を重ね、ウールツイードの表情をポリエステルの技術でつくり直した一着です。胸、腰、袖、背面へと広がるポケットが立体的な造形を生み、TECHTWEEDの複雑な色合いと膨らみが、その無骨な構造に異なる表情を与えています。
前を開けて羽織れば、多収納のジャケットとしての姿が現れます。上着の内側では、シャツとしての構造と素材の表情が生きてきます。さらに、Tシャツの上から直接羽織れる肌触りも備えています。
軍用衣料の歴史を知るほど、その構造の意味が見えてきます。そして実際に着れば、素材を変え、収納を増やし、異なる服の要素を組み合わせた理由が、ひとつの服として伝わってきます。古い服を深く理解しているからこそ生まれる、新しい服の形。鈴木大器氏の自由な発想と、それを一着にまとめ上げる服づくりの魅力を、ぜひ味わっていただきたいと思います。
服を長く見続けていると、機能服の面白さは、高性能な素材や便利なディテールだけではないと感じる。なぜポケットがそこにあるのか。なぜ裾を絞れるのか。なぜ途中から脚を外せるのか。ひとつひとつの仕様を辿っていくと、その服が生まれた場所や、そこで人がどう動いていたのかまで見えてくる。服の形には必ず理由がある。そして、その理由を知るほど、服はもっと面白くなる。
今回紹介するMODMNTのUNIFORM PANTS。その起点にあるのは、アウトドアのトレイルパンツだ。山や自然の中を歩き続けるために、必要な物を身体の近くに携帯し、足元の状態に合わせて裾を調整し、気温や環境が変われば膝下を外してショーツへ変える。異なる条件へ一着で対応するために発達してきた、非常に合理的なパンツである。
ところが、このUNIFORM PANTSを初めて見た時、いかにもアウトドアウェアという印象は受けなかった。腰回りから腿にはしっかりと量感を持たせ、裾にも幅を残した太めのシルエット。ポケットは必要以上に張り出さず、着脱部分も服の中へ収めている。どこかアメリカのワークパンツを思わせる端正な姿。その中に、トレイルパンツが持っていた機能が潜んでいる。
僕がこのパンツに惹かれたのは、まさにそこだ。元になった服のディテールを並べるのではなく、その機能が生まれた理由まで理解したうえで、現在の街で穿いた時にどう見えるかを考え直している。山を歩くための機能を残しながら、その役割をシルエットや着こなしを変えるための仕組みへと読み替える。鈴木大器氏が長年続けてきた、服の背景を理解し、別の文脈で再構築するという服づくり。その考え方が、この一本にはっきりと表れている。
トレイルパンツを理解するうえで重要なのは、一つの環境だけを想定した服ではないということ。朝は冷えていても、歩き始めれば身体は温まる。草木の多い場所では脚を覆いたいが、気温が上がれば短い方が快適になる。足場によっては裾の広がりを抑えたい。長い距離を移動する中で変わり続ける条件へ、その場で対応するための仕組みがパンツそのものに組み込まれてきた。
つまり、トレイルパンツの機能とは、ただ便利な装備を増やすことではない。変化する環境に対して、穿く人自身が服の状態を変えられることに意味がある。
UNIFORM PANTSに備えられた膝下の着脱機構も、その考え方から生まれたものだ。ファスナーによって下部を取り外せば、ロングパンツからショーツへ変化する。こうしたコンバーチブル構造は決して新しいものではない。
例えば、1978年に創業したアメリカのBanana Republic。現在の姿からは想像しにくいかもしれないが、創業当時はサファリや旅行をテーマにした衣料品を展開していたブランドだ。1982年や1985年のカタログには、旅先の環境に合わせて形を変えられるパンツが登場する。中には膝下だけでなく、カーゴポケットまで取り外せる仕様を持ったものもあった。
涼しい時間帯には脚を覆い、暑くなれば下部を外し、虫や草木から脚を守る必要があれば再び取り付ける。さらに収納そのものまで着脱できる。移動する先々で変わる条件に、一着のパンツで対応しようとした当時の発想が、そこにはある。
そしてMODMNTは、この昔からある構造を、現在の街で穿くパンツのシルエットへと組み込んでいる。UNIFORM PANTSは腰回りから腿に十分な量を持たせているため、膝下を外すと、細身のアウトドアショーツとは異なる、量感を持ったショーツが現れる。ロングパンツの状態では、腿から裾へ続く生地が縦方向の輪郭をつくる。ところが膝下を取り外した瞬間、その縦の長さが消え、腰から腿にかけての太さが一気に際立つ。
単にパンツの丈が短くなるだけではない。服全体の比率が変わり、まったく違う表情が生まれる。もともとは気温に対応するための機能だったものが、街ではシルエットそのものを変えるための機能にもなる。機能の構造はそのままに、穿いた時の意味を変えているのだ。
裾に設けられたドローコードも同じだ。本来は足元の状況に応じて裾口を調整するためのものだが、街で穿けばシルエットを変えるためのディテールになる。
裾を開けば、幅を残した太い輪郭がそのまま現れる。絞れば裾口に生地が集まり、その上に量感が生まれる。膝下を残すか外すか。裾を開くか絞るか。
ロングパンツとして穿くだけでも二つの異なる表情があり、膝下を外せば、さらにショーツという別の姿が現れる。しかも、そのどれもが後から無理に付け足された仕組みではなく、もともとトレイルパンツに存在していた機能から生まれている。足元を調整するためのドローコードが、街ではパンツの輪郭を選ぶためのディテールにもなる。元の役割を残しながら、穿く楽しみを増やしている。
収納にもトレイルパンツの考え方が残されている。山を歩く時、大きな荷物はバックパックへ入れても、歩いている途中ですぐに必要になる小物まで、そのたびに荷物を下ろして取り出すのは合理的ではない。だから身体の近くに収納を設け、動いても中身を落としにくい構造が求められる。
UNIFORM PANTSでは、左右で異なる位置と方向にファスナー収納を配置し、背面にもファスナーポケットを備えている。右腿脇の縦長のポケットには、アメリカのワークパンツに見られるツールポケットにも通じる姿がある。しかし、その開口部にはファスナーが備わり、機能服としての性格もきちんと残されている。
さらに注目したいのは、これだけ収納を備えながら、大型のカーゴポケットを外側へ大きく張り出させていないことだ。正面から見ればすっきりとした太めのパンツ。それなのに、近くで細部を見ていくと、左右非対称のファスナーや複数の収納が現れる。
機能を増やすことに熱心な服は数多くある。しかし、必要な機能を残したまま、それをどこまで自然なパンツの姿へ収められるか。UNIFORM PANTSは、そこにデザインの力を注いでいる。機能を隠しているからこそ、気付いた時にその構造が一層面白く見えてくる。
素材には、コットン62%、ポリエステル38%のVENTONE後染めオックスを使用。経糸には60番双糸のコットン、緯糸にはポリエステルを用い、異なる素材を交織して超高密度に織り上げている。
60番双糸とは、細い60番手の糸を二本撚り合わせたもの。細番手の繊細さを残しながら、双糸によって生地の骨格をつくる。さらに経糸と緯糸で異なる素材を使い、それぞれを染め分けることで、単色では表現しにくい複雑な色合いを生み出している。単純な一種類の糸による織物とは異なる、素材の組み合わせそのものから生まれる表情だ。
この高密度な生地には、耐久撥水、ピーチ、BIO、SOFT加工が施され、透湿性やUVカットといった機能も備わる。ピーチ加工によって表面には細かな毛羽が生まれ、滑らかな質感へと整えられている。
そして、この生地がUNIFORM PANTSのシルエットを支える重要な存在になっている。腰回りから腿、さらに裾まで十分な生地の量を持たせたパンツだからこそ、生地が柔らかく落ちすぎれば、せっかくの太さも曖昧になってしまう。VENTONEの高密度な織物が持つしっかりとした骨格によって、身体から離れた量感が保たれ、太さそのものが明確な輪郭として現れる。
同時に、ピーチ加工やSOFT加工によって表面の印象を和らげているため、複雑な機能や太いシルエットが必要以上に無骨な方向へ傾かない。ポケット、ファスナー、膝下の着脱、裾のドローコード。これだけ多くの仕組みを持ちながら、全体の印象は落ち着いている。
機能的なディテールをどれだけ巧みに配置しても、生地の表情が違えばパンツ全体の見え方は変わってしまう。構造を考えるだけでなく、それを成立させるためにどんな生地を選ぶか。UNIFORM PANTSの完成度は、そうした素材選びにも表れている。
MODMNTでは、UNIFORM PANTSをKNOCK ABOUT PANTSをベースに再構築したモデルとして位置付けている。トレイルパンツを起点とするKNOCK ABOUT PANTSの機能的な考え方を受け継ぎながら、UNIFORM PANTSではその表情をさらに整えている。
太さはしっかり残す。収納も減らさない。膝下を外す機構も、裾を調整する仕組みも持たせる。それでも、それぞれを必要以上に主張させない。接続部分にはファスナーを覆う生地を設け、ポケットも大きく張り出させず、背面の収納も細い開口部として処理する。
機能を取り除いて端正に見せるのではない。機能を残したまま、端正な外観をつくり上げているのだ。
ここで思い出すのが、同じMODMNTのPHOTOGRAPHER JKTだ。あちらは大小の収納や複雑な構造を、服の造形として積極的に見せていた。
一方、このUNIFORM PANTSは、トレイルパンツから受け継いだ機能を表面へ馴染ませている。機能を造形として前へ出すPHOTOGRAPHER JKTと、機能を自然な輪郭の中へ収めるUNIFORM PANTS。見せ方は異なるが、どちらも元になった服の合理性を理解し、それを現在のファッションとして再構築している点で共通している。
そして、UNIFORM PANTSを穿いた時にまず目に入るのは、複雑な機能ではなく、太さのあるパンツとしての輪郭だ。腰回りと腿に十分な量を持たせながら、裾まで極端に細くしない。身体の線に沿わせるのではなく、生地そのものの量で形をつくる。
その姿にはアメリカのワークパンツを思わせるところがありながら、近くで見れば左右非対称の収納や膝下の着脱機構が潜んでいる。遠目では端正な太いパンツ。近付くほどに、トレイルパンツから受け継いだ合理的な構造が現れる。この二つの表情が一着の中で成立していることに、鈴木大器氏らしい服づくりを感じる。
鈴木大器氏の服づくりには、異なる背景を持つ服を理解したうえで、その境界を固定しない魅力がある。UNIFORM PANTSも、トレイルパンツをそのまま街へ持ってきたわけではない。歩くための収納は外観を整えながら残され、環境へ対応する着脱機構はシルエットを変える仕組みになり、足元を調整するドローコードは輪郭を選ぶためのディテールにもなる。
元の機能を捨てるのではなく、その機能が持つ意味を広げている。過去の服を単なるデザインの資料として扱うのではなく、なぜその形が必要だったのかまで理解しているからこそ生まれる再解釈だ。
昔の服を知る面白さは、形の正解を探すことだけではありません。なぜその形になったのかを知ることで、現在の服が何を残し、何を変えたのかが見えてきます。UNIFORM PANTSは、山を歩くために生まれた合理性を残しながら、機能そのものをファッションへと変えています。
裾を開けば、太さのある輪郭を楽しめます。ドローコードを絞れば、生地の量感を変えられます。そして膝下を取り外せば、今度はボリュームのあるショーツが現れます。昨日は裾を開いて穿いていた一本が、今日は絞ることで違う表情になり、季節が変わればショーツとしても楽しめます。
何より魅力的なのは、その変化のすべてに、かつて山を歩く人たちのために考えられた機能が生きていることです。服の歴史を知る楽しさと、実際に穿いて形を変える楽しさ。その両方を一本のパンツで味わえます。トレイルパンツの合理性を、今の街で穿きたいファッションへと再構築した、LAMPAが自信を持って紹介したい一本です。
服を長く見続けていると、過去の服が持つ魅力は、その形を忠実に再現することだけではないと感じる。軍服も、ワークウェアも、アウトドアウェアも、もともとは誰かの仕事や生活のためにつくられたものだ。必要だから生まれたポケットや切り替え、身体を動かすための構造。その本来の用途から離れた時、機能だったものが突然、純粋なデザインとして見えてくることがある。
MODMNTのPHOTOGRAPHER JKTは、その面白さを一着の中で思い切り広げたジャケットだ。出発点にあるのは、写真家の仕事着。撮影道具を携帯するための大小のポケットを備えながら、袖と裾をそれぞれ取り外せる構造を採用している。フルレングスのジャケットからロングベスト、ショートジャケット、そしてフィッシングベストを思わせるショートベストへ。パーツを外すたびに単に服が短くなるのではない。そこから、別のカテゴリーの服が現れる。
僕がこの服を面白いと思ったのは、ここだ。一着を便利に着回すためだけの着脱ではない。まったく違う仕事をする人間のためにつくられた服が、道具を身体に収め、両手を自由にするという機能によって、一着の中でつながっていく。服の形が変わることで、その背景にある別の仕事着の存在まで見えてくる。
その背景を考えるうえで興味深いのが、1982年の中国旅行でアンディ・ウォーホルが着用していた多ポケットのジャケットだ。フランスのrenomaが1979年に発表したマルチポッシュは、こうした機能服をファッションとして成立させた代表的な存在。ウォーホルはテーラードジャケットやシャツ、ネクタイの上から機能的なジャケットを重ねていた。さらに当時のマルチポッシュには、袖を取り外せる仕様も存在した。機能服を本来の文脈から解放し、自分の装いの中へ持ち込む。その発想自体には、すでに長い時間の積み重ねがある。
では、今この服をつくる意味はどこにあるのか。そこに鈴木大器氏の服づくりが重なってくる。ミリタリー、ワーク、アウトドア、トラッド。それぞれ異なる背景を持つ服の構造を理解したうえで、要素を切り離し、新しい関係の中で結び直す。MODMNTでは、その発想を着こなしだけではなく、一着の設計そのものへ持ち込んでいる。
惹かれるのも、まさにこの部分だ。昔の服を知っているからこそ、単なる復刻では物足りない。だからといって、元の服が持っていた意味を消してしまえば、それも面白くない。写真家の仕事着という明確な出発点を残しながら、そこへ異なる服の構造を組み込み、着る人自身が形を変えられるところまで設計している。その自由さに、鈴木大器氏らしい服づくりの面白さを感じる。
フォトグラファージャケットの原点にあるのは、撮影に必要な道具を身体に分散して携帯するという発想だ。交換レンズやフィルム、露出計などをバッグから探すのではなく、必要なものを決まった位置に収め、撮影の動作を妨げずに取り出す。その必要から、ポケットの大きさと配置が決められてきた。
このジャケットでも、前身頃には大小さまざまなポケットが配置されている。特に胸元の小さなポケットは35mmフィルムを収納するためのもの。大きな収納へまとめて放り込むのではなく、小さな道具をひとつずつ分けて携帯する。写真家の仕事から生まれた要求が、そのまま服の形として残っている。
小さなポケットと大きなポケット、フラップとファスナー。異なる構造が前身頃に幾重にも重なることで、平面的な生地の上に細かな凹凸と横方向の線が走る。一般的な四つポケットのジャケットとは明らかに違う。機能を積み重ねた結果として、この複雑で緻密な表情が生まれている。
さらに背面には、三脚を収納するための大きなポケットを配置する。前身頃では細かく区切られていた収納が、背中では大きな面を使った立体へ変わる。正面と背面でポケットのスケールそのものが違い、それによって前から見た時と後ろから見た時の輪郭まで変化する。
ここがまた面白い。MODMNTは、これらを現在も必ず撮影機材を収納するための装備として考えているわけではない。ブランド自身も、三脚用ポケットを実際に使うこと以上に、デザインの一部として捉えている。フィルムを入れるための小さなポケットも、三脚を収めるための大きなポケットも、本来の役割から離れた瞬間に造形へ変わる。それでも形を適当に変えず、仕事の必要から生まれた構造そのものは残している。そこがいい。
そしてフードには、米軍のフィールドジャケット用フードを思わせる深さのある形状と、首元を覆うタブを採用する。頭を包む立体的なフードと首元まで続く構造が、多数のポケットを備えた身頃に負けない輪郭をつくる。写真家の仕事着を出発点にしながら、そこへミリタリーウェアの造形が重なることで、ひとつの時代や用途だけでは括れないジャケットになっている。
素材には、コットン62%、ポリエステル38%のVENTONE後染めオックスを使用する。経糸には60番双糸のコットン、緯糸にはポリエステルを用い、異なる素材を交織して超高密度に織り上げた生地だ。
60番双糸とは、細い60番手の糸を二本撚り合わせたもの。細番手の糸が持つ繊細さを残しながら、双糸として織物を構成することで生地の骨格をつくる。さらに経緯で異なる素材を使い、それぞれを染め分けることで、単色では出しにくい複雑な色合いを生み出している。
このジャケットでVENTONEを使う意味は大きいと思う。これだけポケット、フラップ、ファスナー、着脱部分が重なれば、生地そのものが服の構造を受け止めなければならない。高密度に織られた生地がそれぞれのパーツを支えることで、小さな収納が密集する前身頃にも、大きなポケットを持つ背面にも、構造の違いがはっきりと現れる。
さらに生地には耐久撥水、ピーチ、BIO、SOFT加工を施している。ピーチ加工によって表面にはごく細かな毛羽が生まれ、滑らかな肌触りへ仕上げている。超高密度に織った生地の骨格を保ちながら、硬さだけを前に出さない。加えて透湿性、耐久撥水、UVカットといった機能も備える。
これだけ複雑な構造を持つジャケットでは、生地が柔らかすぎればディテールの輪郭が曖昧になる。反対に硬さばかりが前へ出れば、服全体の印象まで重くなる。VENTONEの高密度な織りと、ピーチ加工やSOFT加工による柔らかな表面感。その両方があることで、無骨なディテールを持ちながら、質感には穏やかさが生まれる。生地の機能だけでなく、見た目の印象まで考えられた素材選びだ。
そして、このPHOTOGRAPHER JKTの核心が着脱構造だ。袖と身頃下部をそれぞれファスナーで取り外すことで、フルレングスのジャケット、ロングベスト、ショートジャケット、ショートベストという四通りの形をつくることができる。
袖を外せる服そのものは珍しくない。だが、この服は裾まで外す。身幅や肩周りを残したまま着丈だけを大きく変えることで、身体に対する服の比率そのものが変わる。フルレングスでは縦方向へ広がっていたポケットの構成が、裾を外した瞬間、短い身頃へ凝縮される。同じポケットなのに、横方向への広がりが強く見え始める。単に短くなっただけではない。服の輪郭そのものが変わる。
さらに袖と裾の両方を外す。すると現れるのが、フィッシングベストを思わせる姿だ。
写真家と釣り人。
撮影道具を携帯するためのジャケットだったものが、釣り道具を身体に収めるためのベストにも通じる造形へ変わる。仕事は違う。それでも、両手を自由にしながら必要な道具を身体の近くへ置き、必要な瞬間に取り出すという目的は共通している。その共通点が、袖と裾を外すという単純な操作によって目の前に現れる。
僕はここに、この服の一番面白いところがあると思う。フォトグラファージャケットの中に、最初から別の仕事着の造形まで潜んでいる。それを説明だけで終わらせず、本当にパーツを外すことで見せてしまう。
反対に袖だけを外せば、着丈を残した縦長のロングベストになる。前身頃の大小のポケットや背面の大きな収納が、袖のない輪郭の中でより際立つ。裾だけを外せば、ポケットの構成を短い着丈へ凝縮したショートジャケットになる。同じ身幅と肩周りを持ちながら、残すパーツによって服の比率も印象も変わる。ブランドが意識する、ゆるすぎないリラックス感を土台にしながら、最後の輪郭を決めるところへ着る側が参加できる。
何より優れているのは、パーツを外した姿が、ジャケットから何かを欠落させただけに見えないことだ。袖をなくせばベストになり、裾をなくせばショートジャケットになり、両方をなくせばまた別の服になる。どの形にしても、きちんと一着の服として成立している。
過去のマルチポッシュにも袖を取り外せる仕様が存在した。それを考えれば、MODMNTがゼロから着脱という仕組みを発明したわけではない。むしろ面白いのは、そこから先だ。かつての機能的な発想を受け継ぎながら、袖だけでなく丈まで変化させ、ジャケットとベスト、ロングとショートという異なる輪郭を一着の中へ入れている。
着脱を便利なギミックで終わらせず、異なる服の造形を行き来するための手段へ変えている。過去の服が持っていた機能を理解し、それを今のファッションとして再構成する。鈴木大器氏の服づくりに通じる発想が、このジャケットでは目に見える構造として現れている。
だから、この服を単純な多機能ジャケットだとは思っていない。ポケットが多い。袖が外れる。裾が外れる。VENTONEを使っている。ひとつずつ見れば、それはすべて仕様の説明で終わる。しかし、それらが一着の中でつながった時に見えてくるものはもっと大きい。写真家の仕事着から始まり、ミリタリーのフードが重なり、パーツを外せばフィッシングベストにも通じる造形が現れる。異なる服の歴史と機能が、一着の中を行き来している。
このジャケットをLAMPAで紹介したいと思ったのは、単に四通りの形へ変化するからではありません。仕事着として生まれた構造を理解したうえで、今の服としてここまで自由に組み替えてしまう。そこに鈴木大器氏の服づくりの面白さを強く感じます。古い服を知っているからこそ発見があり、実際に着ることで自分なりの形を見つけていける。一着の中に四つの完成形を持ちながら、どれを選ぶかは着る人自身に委ねられている。このPHOTOGRAPHER JKTは、まさにLAMPAがセレクトしたい一着です。
チノパンとスラックス。その違いは何かと聞かれれば、多くの人は生地やシルエット、あるいはカジュアルかドレスかという見た目の違いを思い浮かべるだろう。しかし、服を長く見続けていると、それだけでは語れない大きな違いがあることに気付く。それが、そもそもの服のつくり方だ。
一般的なカジュアルパンツが、丈夫な生地を正確に裁断し、縫い合わせることで形をつくるのに対し、本格的なスラックスは、裁断した生地を縫製の途中でアイロンによって成形し、身体の曲線に合わせた立体をつくり上げていく。もちろん、どちらにも高度な技術が必要だが、スラックスには平面の布を身体に沿う立体へと変えていく、独特の仕立ての世界がある。
そして、その技術をタフなコットン素材に持ち込んだのが、BARNSTORMERのマッカーサ2だ。しかも使用するのは、張りの強いウエポン。柔らかなウールとは勝手が違う生地を、スラックスの考え方で仕立て上げる。言葉にすれば簡単だが、実際の製造工程を知るほど、一本のチノパンにここまでやるのかと思わされる。
僕は、このパンツを単に綺麗なチノパンとして紹介したくない。ミリタリーという出自を持つ素材と、身体を美しく見せるために発達してきたテーラードの技術。その二つを表面的に混ぜるのではなく、素材の選択からパターン、縫製、プレス、見えない内側の始末まで本気でつなげている。マッカーサ2の面白さは、完成した姿だけでは分からない。その一本が、どうつくられているのか。そこまで見て初めて、このパンツの凄さが見えてくる。
まず注目したいのが、綿100%のウエポンという生地だ。ウエポンとは、アメリカ陸軍の士官学校があるウエストポイントに由来する名称で、軍用のチノクロスと深い関係を持つ素材。BARNSTORMERでは、一般兵の作業服を思わせる従来のチノとは異なり、後に士官たちの制服にも採用された、糸を2本使いにしたウエポンを選んでいる。
ここで大事なのは、なぜウエポンなのかということだ。軍服と一口に言っても、実用を第一に考えた作業服と、士官が身に着ける制服では求められるものが違う。士官の装いには、軍服としての丈夫さだけでなく、その立場にふさわしい整った外観も必要になる。マッカーサ2は、その違いを後からディテールで飾るのではなく、まず生地から表現している。
さらに、このウエポンにはコールドマーセと呼ばれる特殊な加工が施されている。国内でも加工できる工場が限られるという技術によって、生地表面を平滑に整え、コットンでありながら端正な光沢とパリッとした張りを引き出している。一般的なチノクロスに見られる素朴な表情とは異なり、光を受けたときの表面が整い、素材そのものに凛とした印象が生まれる。
そして、この張りがマッカーサ2の輪郭を支える。柔らかな生地なら身体に沿って落ちてしまう腰回りの分量も、張りの強いウエポンだからこそ、ツータックのインタックによって生まれたゆとりが立体として残る。腰から太腿にかけて量感を持たせながら、そのまま身体の線を拾わない。コールドマーセは単に表面を綺麗に見せるための加工ではなく、このパンツの形そのものにもつながっている。
軍服という背景を持ちながら、粗野な方向だけへ寄せない。士官の威厳を表現するためにウエポンを選び、その生地へコールドマーセを施し、さらにその張りをシルエットへ生かす。素材の選択とデザインの考え方が一本の線でつながっている。僕がマッカーサ2に惹かれる理由は、まずここにある。
そして、この素材の魅力をさらに引き出しているのが、スラックス工場の技術だ。BARNSTORMERは一般的なカジュアルパンツ工場ではなく、スラックスづくりの技術を持つ工場でパンツを仕立てている。これは縫い目が細かいとか、内側の始末が綺麗だとか、そういう表面的な話だけではない。生地をどう立体へ変えるのか。服のつくり方そのものが違う。
本格的なスラックスづくりでは、縫製の途中でアイロンを使い、生地の一部を伸ばしたり、余分な分量を縮めて収めたりする。いわゆる、くせ取りと呼ばれる技術だ。人間の下半身は、腰からヒップ、太腿、膝、ふくらはぎへと複雑に形が変化している。その曲線に合わせて平面の生地を成形し、縫い合わせることで、身体を包む立体をつくっていく。
ところが、マッカーサ2に使用されるのは、張りのある丈夫なコットンのウエポンだ。ウールのスラックス生地とは熱や蒸気に対する反応が異なり、アイロンによって狙った形に整えるには、その素材に合わせた技術が必要になる。どこに膨らみを残し、どこを平らに整えるのか。その判断と仕事が、最終的なシルエットを左右する。
実際、マッカーサ2では脇のカーブを強めに設計し、プレスによって生地の膨らみを中央へ移動させる技術が取り入れられている。ここが本当に面白い。型紙を引いた時点では、まだ完成形ではないのだ。裁断して、縫って、さらに職人がプレスすることで初めて狙った立体が現れる。つまり最初から、工場の技術まで含めてパターンが設計されている。
丈夫なコットンを使ったパンツなら、もっと効率の良いつくり方もあるはずだ。それでもBARNSTORMERは、あえてスラックスの仕立てを持ち込む。カジュアルパンツが持つタフさを残したまま、仕立ての技術によって立体的な美しさをつくるためだ。見た目だけをドレス寄りに整えたチノパンではない。タフな生地そのものを、職人の手で美しい形へ持っていく。僕は、この無茶とも思える組み合わせに強く惹かれる。
その考え方は、表からほとんど見えない部分にまで続いている。フロントには持ち出しと内掛けボタンを備えた天狗を採用し、前開きを内外から固定することでウエスト部分の重なりを安定させる。さらに内側にはマーベルトを配し、腰回りの構造を支える。穿いてしまえば隠れてしまう。しかし、隠れる場所でやっている仕事が、穿いた時の前姿につながっている。
特に僕が面白いと思うのが、前立て内側の天狗を股部分まで延長した構造だ。一般的なスラックスではファスナーの下付近で終わる天狗布を、マッカーサ2では前後左右の身頃が合わさる内股の十字部分まで伸ばし、補強と裂け防止の役割まで持たせている。ウエストを整えるための内布が、そのまま負荷のかかる股を守るシックになる。ひとつの部品に、別の仕事までさせている。
しかも、そのシックの先端は剣先型に整えられ、使用するのはポケット袋布と同じスレキだ。補強として必要な仕事はきちんと果たしながら、高価な表地を必要以上に使わない。何でも贅沢な素材に置き換えれば良いわけではない。必要な場所に必要な素材を置き、必要な手間をかける。どこに技術を注ぎ、どこで無駄を省くのか。その判断に、仕立て屋の経験と知恵が見える。
後ろ中心の尻ぐりも同じだ。ウエストに近い上部では縫い代を広く残し、股下へ向かうにつれて細くしている。上部の縫い代には後からウエスト寸法を調整できる余地を持たせ、生地が重なることでヒップ上部の形も整える。一方、カーブの強い股ぐり付近では縫い代を細くし、内側に余計な生地が溜まって表へ不要なシワが出ることを防ぐ。縫い代ひとつを取っても、全部を同じ幅で処理して終わりではない。
さらに、後ろ身頃と内股には三角形の接ぎが設けられている。これを単純に動きやすさを出すためのガゼットとして見ると、このパンツの面白さを見落としてしまう。これは生地幅に合わせて裁断するために、仕立て屋が用いてきた接ぎの工夫だ。
一枚の生地から無理にすべてを取るのではなく、必要な部分を別に裁断して接ぐことで、限られた生地幅の中でも求めるパターンを成立させる。しかも相手は、コールドマーセを施したウエポンだ。生地を無駄にせず、それでも欲しい形は変えない。そのために接ぐ。見た目のために付け加えられたディテールではなく、ものづくりの都合と完成させたい形の両方から生まれた構造だからこそ、僕には格好良く見える。
こういう部分を見ると、マッカーサ2が昔の軍パンをただ再現したパンツではないことがよく分かる。古い服に残された知恵を拾い、その意味を理解したうえで、現在の一本へ組み直している。表から目立つ場所だけにヴィンテージの意匠を置くのではなく、服の内側に残された考え方まで持ってくる。だから細部を見れば見るほど、このパンツは面白くなる。
裾の仕立ても見逃せない。マッカーサ2は裾をフラシの状態で用意し、購入後に丈を合わせて仕上げる仕様だが、重要なのは単に裾上げを前提としていることではない。内股の縫い代には前後で幅の違いが設けられ、丈を詰める際、必要に応じて裾の太さまで微調整できる余地が残されている。
パンツは丈が変われば裾が落ちる位置も変わり、脚全体の見え方も変わる。だから丈だけを短くして終わりではなく、穿く人の身体に合わせて最後の輪郭まで整えられるようにしておく。完成品を工場から出荷した時点ですべてを終わらせるのではなく、最後は穿く人の身体に合わせて仕上げる。その発想まで含めて、これはスラックスなのだと思う。
そのほかにも、ベルトのバックル位置を安定させるピンループ、フラップ付きのウォッチポケット、脇ポケット内側の忍びポケット、両玉縁のバックポケット、ボタンの根巻きなど、細かな仕様が随所に盛り込まれている。どれも飾りとして付けられたものではない。それぞれに仕事がある。表には軍服やクラシックなトラウザーの面影を残し、内側には収まり、補強、寸法調整まで考えた構造を持つ。一本を細かく見ていくほど、費やされた仕事の多さが見えてくる。
そして、それだけの仕事が最後にひとつのシルエットへ集約される。腰回りから太腿にかけてしっかりとゆとりを持たせ、そこから裾へ向かって絞り込んだ太めのテーパード。腰には量感がある。しかし裾へ向かって輪郭が整理されることで、全体が必要以上に重く見えない。
張りのあるウエポンがその形を支え、スラックスの仕立てが腰からヒップの収まりを整える。ゆとりがあるのに、だらしなく見えない。軍服が持つ力強さを残しながら、穿いた時には端正な輪郭が現れる。この見え方は、生地だけでも、パターンだけでも、縫製だけでもつくれない。コールドマーセを施したウエポンを選び、その生地を立体へ変えるパターンを引き、スラックス工場で縫い、職人がプレスし、さらに見えない内側まで仕立てる。その全部がつながって、初めてマッカーサ2になる。
僕がこのパンツに感じる凄さは、派手な新技術を見せつけるところにはない。むしろ逆だ。昔からある素材、昔からある仕立ての技術、昔からある合理的なディテールを、一つひとつ真面目に積み重ねている。その積み重ねによって、チノパンという誰もが知っている服を、ここまで違うものにしている。
ここまで手間をかけて、一本のチノパンをつくる必要があるのでしょうか。僕は、そこまでやるからこそ欲しくなるのだと思います。タフなウエポンにコールドマーセを施し、その張りの強い生地をスラックス工場の技術で立体へ変え、天狗、シック、縫い代、三角の接ぎ、裾の調整幅と、穿いてしまえば見えなくなる場所にまで理由を通す。それだけの仕事を重ねながら、完成した姿は決して饒舌ではありません。ただ、穿いた時の輪郭が綺麗です。その静かな結果の裏側に、とんでもない量の仕事があります。僕が長く服を見続けてきて惹かれるのは、こういう服です。単に綺麗なチノパンではなく、なぜこの素材なのか、なぜこの形なのか、なぜこの仕立てなのか、そのすべてに答えがある。軍服の無骨さを、スラックスの技術で仕立てる。BARNSTORMERというブランドが何をやろうとしているのかが、一本の中に詰まったマッカーサ2です。ぜひ実際に穿いて、この仕事の凄さを感じていただきたいと思います。
HEBLAからCANADIAN BLACK PRINCE COATが入荷。
今回のコート、個人的にはかなり見応えのある一着。
まず生地が凄い。
使用しているのは、HEBLA渾身のオリジナル生地。
太番手のポリエステル糸を多本撚りにすることで、丸みと膨らみを持たせ、ツイードのような豊かな表情を表現。
さらにチェック柄の細線には、独特な抑揚を持つオリジナルのトライスピンスラブ糸を使用。
糸の不均一な表情によって、チェック柄そのものに奥行きを生み出している。
しかも、見た目は重厚なツイードのようでありながら、化繊特有の軽さとドライなタッチを持ち合わせている。
この見た目と実際の軽さのギャップが面白い。
そして何より、このチェックの配色センスが秀逸。
生地だけでも十分に魅力的なのに、今回のHEBLAはここからがさらに凄い。
デザインのベースとなっているのは、フランスの名品カナディアンコート。
もともとはカナダの寒冷地で着用されていた防寒着をルーツに持ち、フランスではカナディエンヌと呼ばれ、独自の発展を遂げたコート。
大きな襟に厚い防寒裏地、そしてお尻を覆う程度の着丈。
その独特なバランスが魅力のヴィンテージウェア。
本来はダブルブレストのものが多いけれど、HEBLAはあえてシングルブレストに変更。
襟にはボアを配し、カナディアンコートらしい雰囲気を残しながらも、フロントは随分とミニマルで洗練された印象に仕上げている。
さらに裏地も抜かりなし。
ボアは腰部分までしっかりと配し、防寒性を確保。
腰から下にはキルティングを採用することで、保温性を持たせながらも足まわりの動きやすさに配慮している。
ポケットと袖のデザインには、イギリスのモーターサイクルブルゾンの要素を取り入れている。
前身頃には3つのフラップポケット。
両脇のポケットはチェック柄を水平にきっちりと柄合わせしながら、胸ポケットだけを斜めに配置。
この斜めの胸ポケットは、手を入れやすくするためにモーターサイクルウェアで見られる機能的なディテール。
無地の生地なら、単に斜めのポケットとして見えるところ。
でも今回はチェック柄。
水平に整えられた両脇のポケットに対して、胸だけチェックのラインが斜めに走る。
これが実に格好いい。
しかも、柄合わせをきっちり行っているからこそ、斜めにした胸ポケットがより際立つ。
このあたりのデザインの見せ方が本当に上手い。
さらに袖は、モーターサイクルコートに見られる接ぎのないドルマンスリーブ。
肩まわりにゆとりを持たせ、動きやすさを確保するための機能的な構造。
ところが今回のようなチェック柄になると、また違った面白さが生まれる。
袖に縫い目がないため、チェック柄が途中で分断されず、身頃から袖へと自然につながっていく。
特に圧巻なのが後ろ姿。
背中の中心から袖にかけて、生地のチェックが斜めに走る独特な見え方。
通常のセットインスリーブでは生まれない、実に立体的で迫力のある柄の流れ。
本来は動きやすさのために考えられた構造が、チェック柄と組み合わさることで、これほど面白いデザインになる。
これは見事。
そしてウエストには、かつて英国ROYAL NAVYのコートにも採用されていた、内側から調整するベルト式アジャスターを採用。
通常のウエストベルトのように外側へ大きく露出させず、内側からシルエットを調整できる仕様。
これによってウエストを絞った際にも、後ろ姿がスッキリと見える。
カナディアンコートのボリューム感を残しながら、シルエットは実にスタイリッシュ。
フランスのカナディアンコート。
イギリスのモーターサイクルブルゾン。
そしてROYAL NAVYの機能的なディテール。
ヴィンテージの様々な要素を取り込みながら、それを単なる復刻では終わらせない。
機能的な構造をチェック柄の面白さへと変え、さらに軽くて表情豊かなオリジナル生地で仕立てる。
この生地を、このデザインに使う。
そこまで含めて考え抜かれた、HEBLAのセンスには恐れ入る。
BRAND:HEBLA
ITEM:CANADIAN BLACK PRINCE COAT
品番:HA608
COLOR:Brown Check
SIZE:1 / 2
PRICE:¥107,800(税込)
WEB STORE未掲載。
通販をご希望の方はDMまたはメールにてお問い合わせください。
HEBLAからWOOL FLEECE HALF ZIP BLOUSONが入荷。
1980年代のヨーロッパのアウトドアウェアをデザインソースに、当時の機能的なディテールと現代的な素材を組み合わせたウールフリースブルゾン。
まず注目したいのが生地。
そして、この生地を使って作られた独特なデザインがまた面白い。
使用しているのは、南米ウルグアイとニュージーランド産の羊毛を原料としたウールフリース。
厳選した嵩高性に富む羊毛を使用し、生地の両面を起毛させることで、たっぷりとしたボリューム感とふんわりとした軽さを両立。
さらに両面にナッピング加工を施すことで、ウール本来の上品さを残しながら、アウトドアウェアらしいカジュアルでラフな表情に仕上げている。
一般的な化学繊維のフリースとは、また違った表情。
ウールの品の良さと、アウトドアウェアの素朴さ。
この両方が同居しているところが実にいい。
最大の特徴は、フロントに斜めに配置された長いファスナー。
一般的なハーフジップとは明らかに違う。
ファスナーを閉じると、首元から胸元にかけて生地が大きく重なり、冷気の侵入を軽減。
反対に開くと、深いV字型の開口部が生まれ、衣服内にこもった熱を逃がすベンチレーションとして機能する。
つまり、この独特なデザインには、ちゃんと機能的な理由がある。
でも、個人的に惹かれたのは、その機能がそのままデザインとして成立しているところ。
ファスナーを閉じた時の立体的な首元。
そして開いた時に生まれる、大きく折り返した襟のような表情。
同じ服なのに、ファスナーの開閉だけで見え方が大きく変わる。
そして、もう一つ見逃せないのが裏地と配色。
裏地には、ジップのプルタブテープと同じエンジ色のメッシュ素材を採用。
これによってTシャツの上からでも着用できる仕様に。
さらにジップを開けた際には、ブラウンのウールフリースとエンジのメッシュが美しいコントラストを生み出し、どこか高級感すら漂わせる。
機能的な裏地を、単なる裏地で終わらせない。
この配色センスもHEBLAの魅力の一つ。
フリースというと、どうしてもアウトドアやスポーツのイメージが強い。
でも、これはちょっと違う。
ウールの素材感による品の良さと、独特のファスナー構造、そしてブラウンとエンジの絶妙な配色。
アウトドアウェアでありながら、どこかモードな雰囲気すら感じさせる。
1980年代のヨーロッパのアウトドアウェアを、単に懐かしいものとして再現するのではなく、現代のファッションへと落とし込む。
ボリュームのある柔らかなウールフリースと、斜めに走るシャープなファスナーのライン。
この対比をここまで格好良く見せる、HEBLAのセンスが実にいい。
BRAND:HEBLA
ITEM:WOOL FLEECE HALF ZIP BLOUSON
品番:HA620
COLOR:Brown
SIZE:1 / 2
PRICE:¥36,300(税込)
WEB STORE未掲載。
通販をご希望の方はDMまたはメールにてお問い合わせください。
今季からLAMPAで新たに取り扱いがスタートするブランド、HEBLA。
そのHEBLAから、ちょっと面白いパンツが入荷。
今回のパンツ、まず元ネタのチョイスからしてセンスがいい。
ベースとなっているのは、1950年代にジーン・ヴィンセントなどの着用で知られる、通称ピストルパンツ、またはヴィンセントパンツと呼ばれるもの。
レーヨンギャバジンなどを使ったスラックス仕立てに、両脇の大胆な切り替えや配色を組み合わせた、ロカビリーのステージ衣装を思わせる個性の強いパンツ。
それをHEBLAは、なんとカットソー素材で作ってしまった。
しかも、単に素材を変えただけじゃない。
元ネタが持つ高いデザイン性はそのままに、ステージ衣装的な派手な配色を排除し、脇の切り替えも同色同素材で表現。
あの独特なデザインを残しながら、驚くほどすっきりとした、今の空気に馴染むパンツに仕上げている。
そして生地には、30/2のコットン糸を引き揃え、14ゲージで度詰めして編み立てた天竺素材を使用。
カットソーならではの柔らかさがありながら、芯のしっかりとした生地で、目面が綺麗。
一般的なスウェットパンツなどとは、まるで別次元。
さらに面白いのが、その仕立て。
カットソー素材のパンツでありながら、腰裏にはマーベルト、股部分にはシック、ポケットには細い玉縁など、スラックスの仕立てを随所に取り入れている。
カットソーのパンツでここまでスラックスの仕立てにこだわっているのも、なかなか珍しい。
シルエットはフロントに1プリーツを入れ、裾に向かって緩やかにテーパード。
素材と配色を大胆に変えながら、仕立てには昔ながらのスラックスの仕様を残している。
数あるヴィンテージウェアの中から、あえてピストルパンツを選び、その個性を失わせることなく、今の洋服として成立させてしまう。
こういう元ネタの選び方と、それを現代的に解釈するセンス。
個人的に、そのセンスとバランス感は群を抜いていると思います。
BRAND:HEBLA
ITEM:HEAVY PLAIN KNITTING PISTOL PANTS HA609
COLOR:Gray
SIZE:1 / 2
PRICE:¥41,800(税込)
WEB STORE未掲載。
通販をご希望の方はDMまたはメールにてお問い合わせください。
今季2026年秋冬からLAMPAで新たに取り扱いがスタートする、日本のブランドHEBLA(エブラ)。
デザイナー名は非公表で、今季がブランドとしてのファーストシーズン。
ヴィンテージウェアが持つ普遍的な構造を見つめ直し、素材やシルエットを現代的に再構築するブランド。
単に昔の洋服を再現するのではなく、元ネタの魅力を残しながら、今の時代に合う新しい洋服へと作り変えていく。
そんなHEBLAとの出会いが、ちょっと面白かった。
2026年秋冬の各ブランドの展示会もほぼ終わり、オーダーも終わりに近づいていた頃。
ふと、メールでHEBLAの展示会案内が届いた。
とはいえ、もう予算だってほとんど残っていない。
そもそも普段から積極的に新規ブランドを探しているわけでもない。
いつもなら、このタイミングで新しいブランドの展示会に行くことはまずない。
でも、なぜか気になった。
何が気になったのかは、自分でもよく分からない。
ただ、何か引っかかる。
結局、先方には「時期も時期なので、展示会を拝見してもオーダーできるかどうか分かりません」と伝えたうえで、アポイントを取ることに。
そして迎えた展示会当日。
自分の勘は当たっていた。
まず、デザインソースのチョイスが実にいい。
そして、その元ネタを今の洋服へと落とし込むセンスと仕上がり。
さらに生地も素晴らしい。
こういったヴィンテージをベースに現代的な洋服を作るブランドの中でも、かなりレベルが高いと思った。
冒頭で触れたHEBLAのコンセプト。
それが単なる言葉ではなく、実際の洋服にしっかり表れていた。
見た瞬間に、オーダーすることを決めた。
そして展示会を終え、店に戻る電車の中。
こんな出会いもあるもんだなと、しばらく余韻に浸っていたのを思い出す。
BRAND:HEBLA(エブラ)
SEASON:2026 AUTUMN / WINTER
DESIGNER:非公表
HEBLAの洋服が、いよいよLAMPAに入荷。
是非、店頭にてチェックしてみてください。
MOUT RECON TAILORから、MICROTECH NUBUCK SHOOTING JACKETが入荷。
まず目を引くのが、前身頃に配置された二つの巨大なポケット。
モチーフは射撃等に用いられるシューティングジャケット。
日本の高度な繊維技術から生まれたオリジナル生地に、本格的な収納構造やベンチレーション、さらに3XDRY加工を施した内蔵フードまで備えた一着。
機能を突き詰めながら、街で着た時の格好良さまで追求したMOUT RECON TAILORらしいジャケット。
使用しているのは、MOUT RECON TAILORが独自に開発したブランドオリジナル素材、Microtec Nubuck Cloth Light。
前回紹介したFALCON PANTにも採用されている、日本の高度な割繊糸加工技術から生まれた超高密度ファブリック。
極細繊維を生み出す精密な割繊技術と、それを超高密度に織り上げる製織技術。
日本が世界に先駆けて発展させ、長年にわたり高度化してきた繊維技術。まさに日本が誇る高い技術力があってこそ実現した生地。
化学繊維でありながら、表面にはヌバックレザーを思わせる独特の陰影とマットな表情がある。
しかも、見た目から想像する着心地とは全然違う。
柔らかい。そして、とにかく軽い。
さらに、この超高密度に織られた生地は、高い撥水性によって雨を弾き、風の侵入を抑えながら、通気性も確保。
雨風への強さと衣服内の快適性を両立している。
そのうえ、化学繊維には珍しく、ヌバックレザーのような経年変化まで楽しめるという。
見た目は天然素材のように味わい深く、機能は最先端。
ここがまず最高。
そして、このジャケットは収納の作り込みがまた凄い。
フロントには、シューティングジャケットを思わせる二つの大型ポケット。
さらに内側には四つのメッシュポケットと、二つのファスナーポケットを装備。
メッシュポケットはソックスやグローブなどを乾かすことまで想定した構造。
一方、日常的な小物や書類などを持ち運ぶことにも対応している。
ただポケットの数を増やしたのではない。
収納する物や用途まで考え、それぞれに役割を持たせている。
こういうところが実にMOUTらしい。
さらに脇下にはベンチレーションを配置し、衣服内にこもった熱や湿気を逃がせる構造。
そして襟部分にはフードを内蔵。
このフードに使用しているのが、3XDRY加工を施したストレッチジャージ素材。
3XDRYは、スイスの繊維加工技術メーカーSchoellerが開発した高機能加工技術。
最大の特徴は、一枚の生地の表側と肌側に、それぞれ異なる機能を持たせていること。
生地の表側には撥水性を持たせ、雨などの水滴を弾いて生地が濡れるのを抑える。
一方、肌側には吸水性を持たせ、汗を素早く吸収し、生地の広い範囲へ拡散することで乾燥を促す。
つまり、外からの水は弾き、内側の汗は吸い上げて乾かす。
通常の撥水加工が外からの水を弾くことを中心としているのに対し、3XDRYは着用中に発生する汗の処理まで考えられている。
汗を素早く拡散させることで乾燥時間を短縮し、濡れた生地が肌に張り付く不快感や、汗冷えの軽減にもつながる。
しかも今回は、この加工を施したストレッチジャージをフードに採用。
柔軟で伸縮性があり、頭や首の動きに追従しやすい素材に、撥水性と吸水速乾性を組み合わせている。
普段は襟の中に収納し、必要な時には取り出して使用するフード。
そんな部分にまで、これだけの機能素材を使っている。
流石。
そしてシルエットは、全体的にややゆったり。
ミドルレイヤーのジャケットの上からでも着用できるよう設計されている。
一枚で着ることだけを考えたジャケットではなく、重ね着によって機能を組み合わせることまで想定されている。
巨大なフロントポケット、六つの内ポケット、脇下のベンチレーション、3XDRY加工を施した内蔵フード。
ここまで機能を詰め込めば、普通は完全に装備の方向へ行きそうなもの。
でも、これは違う。
シューティングジャケット特有の大きなポケットがデザインとしての迫力を生み、ヌバック調のマットな生地が全体を落ち着いた表情に仕上げている。
さらに、ややゆったりとしたシルエットによって、これだけの機能を備えながら街で着る洋服として成立している。
単にミリタリーやシューティングウェアのディテールを再現するのではなく、その機能を突き詰めながら、ファッションとしての格好良さまで追求する。
個人的には、この生地の表情と大胆なポケットデザイン、そして徹底した機能性の組み合わせがかなり好きです。
BRAND:MOUT RECON TAILOR
ITEM:MICROTECH NUBUCK SHOOTING JACKET
品番:MT2001
COLOR:BLACK
SIZE:46 / 48
PRICE:¥90,000(税込)
現在WEB STOREには未掲載です。
通販をご希望の方は、DMまたはメールにてお問い合わせください。
MOUT RECON TAILORから、MICROTEC NUBUK FALCON PANTが入荷。
今回のパンツ、まず生地が面白い。
化学繊維でありながらヌバックレザーのような表情を持ち、しかも見た目からは想像できないほど柔らかく、とにかく軽い。
さらに本格的なミルスペックパーツを備えながら、シルエットは適度に太く、それでいて野暮ったくない。
単に軍用スペックを洋服に落とし込んだだけではない、MOUT RECON TAILORらしい一本。
使用しているのは、MOUT RECON TAILORが独自に開発したブランドオリジナル素材、Microtec Nubuck Cloth Light。
日本が世界に先駆けて発展させ、長年にわたり高度化してきた割繊糸加工技術から生まれた超高密度ファブリック。
極細繊維を生み出す高度な割繊技術と、それを超高密度に織り上げる精密な製織技術。まさに日本が誇る高い繊維技術力があってこそ実現した生地。
化学繊維でありながら、表面にはヌバックレザーを思わせる独特の陰影とマットな表情がある。
しかも、見た目から想像する穿き心地とは全然違う。
柔らかい。そして、とにかく軽い。
普通に運動できそうなくらい軽く感じる。
さらに、超高密度に織られた生地は、高い撥水性によって雨を弾き、風の侵入を抑えながら、通気性も確保。雨風への強さと衣服内の快適性を両立している。
そのうえ、化学繊維には珍しく、ヌバックレザーのような経年変化まで楽しめるという。
見た目は天然素材のように味わい深く、機能は最先端。
ここがまず最高。
そしてディテールは、完全にMOUT。
上部のスラッシュポケットはナイフ等の使用を想定した形状と補強が施され、その内部には両側ともシークレットポケットを配置。
ベルトループにはITW NEXUSのDリングを備えている。
さらに特徴的なのが、左太ももに設けられたセルホルスターポケット。
フラップには軍用に開発されたドイツ製のステルスクロージャーを採用。
引手を引くことで、音を立てず素早くクイックリリースできるパーツで、手榴弾等を収納するポケット用として開発されたもの。
このパーツの存在感がまた凄い。
でも、このパンツの良さは、こうしたミリタリースペックを並べただけでは終わっていないところ。
シルエットは適度に太さがある。それでいて野暮ったくない。
Microtecの柔らかさと軽さも相まって、ボリュームはあるのに重く見えず、穿いた時のバランスが絶妙。
軍用パーツ、タクティカルなディテール、日本の高度な繊維技術から生まれた生地。
ここまでやれば普通は完全に装備の方向へ行きそうなのに、ちゃんとファッションとして格好いいパンツになっている。
単にミリタリーのスペックを洋服へ落とし込むだけではない。
機能を突き詰めながら、街で穿いた時にどう見えるのかまでちゃんと考えられている。
やっぱり、そこがMOUT RECON TAILOR。
個人的には、この生地、このディテール、このシルエットの組み合わせがかなり好きです。
BRAND:MOUT RECON TAILOR
ITEM:MICROTEC NUBUK FALCON PANT
品番:MT2007
COLOR:BLACK
SIZE:44 / 46 / 48
PRICE:¥52,800(税込)
現在WEB STOREには未掲載です。
通販をご希望の方は、DMまたはメールにてお問い合わせください。
これまでLAMPAでは、会員制という体で営業しておりました。
この度、その営業スタイルを終了することにいたしました。
もともと会員制という体を取っていたのは、特別感を出すためではありません。マナーの悪い方のご来店を抑え、お客様に気持ちよく洋服を見ていただける環境を守るためでした。
洋服をゆっくり見たい方が気兼ねなく店内で過ごせること。それを守るための一つの方法として、会員制という体で営業しておりました。
ただ、街の様子も以前とは変わり、今は以前のようなマナーの悪い方もそれほどいないのではないかと感じるようになりました。もちろん、実際のところは分かりませんが、現在の状況を考えると、そこまで構える必要もないのではないかと判断しました。
今後また何か問題があれば、その時に改めて対応を考えればいいと思っています。そうした考えから、今回、会員制という体での営業を終了することにしました。
今後は会員登録などを気にすることなく、どなたでも自由にご来店いただけます。来店前に何かを確認したりする必要もありません。
とはいえ、営業スタイルを変えるからといって、LAMPAのセレクトや店としての考え方まで変わるわけではありません。これまでと変わらず、僕が本当に格好良いと思えるもの、本当に良いと思える洋服を揃え、皆様のご来店をお待ちしております。今後ともLAMPAをよろしくお願いいたします。
スラックスは好きだけれど、普段穿くなら少し崩れているくらいがいい。きちんとした印象は欲しい。でも、あまりに整い過ぎていると、今度は着る側まで気を遣ってしまう。服としての綺麗さは残しながら、もっと自然体で穿けるものがあってもいいと思う。
STILL BY HANDの先染めポリエステルテーパードパンツ PT09263は、そんな感覚にしっくりくる一本。梳毛ウールを思わせる生地に、奥行きのある色合い、うっすらと浮かぶドットストライプ。ここまでなら、端正なスラックスとして仕上げることもできる。ところが、STILL BY HANDはそこへあえて自然なシワを加えている。
個人的に、今回のパンツで一番惹かれるのはここ。せっかく綺麗につくった生地を、わざわざシワで崩す。その発想がいい。しかも、ただカジュアルに見せたいからではなく、シワそのものを生地の表情として成立させている。綺麗に仕上げることだけが、いい服をつくる方法ではない。そんなSTILL BY HANDのセンスが、この一本にはよく表れている。
使用しているのは、ポリエステルでありながら梳毛ウールを思わせる質感を持った生地。2種類の糸を混ぜることで、単一の色では表現しきれない、奥行きのある色合いに仕上げられている。
さらに、表面にはうっすらとドットストライプが浮かび上がる。はっきりと柄を主張するストライプではなく、近づいて見ることでその存在が分かる程度の控えめなもの。先染めによる複雑な色合いの中に細かな柄が重なることで、離れて見た時には落ち着いた印象があり、近くで見ると生地の細かな表情が伝わってくる。
そして、見た目はウールスラックスを思わせながら、素材はポリエステル。ウール特有のチクチクとした感触がなく、肌触りはサラッとしている。洗濯にも過度に神経質になる必要がなく、日常のパンツとして付き合いやすい。見た目の良さだけでなく、実際に穿くことまで考えた時に、この素材を選ぶ意味が見えてくる。
このパンツの大きな特徴が、薬品加工によって施された取れにくいシワ。自然なシワの見え方にこだわり、あえて生地の表面に不規則な凹凸をつくっている。
ここで面白いのが、光を受けた時の生地の表情。平滑な生地であれば比較的均一に見える色も、シワが入ることで光が当たる部分と影になる部分が生まれ、同じ色の中に明暗の変化が現れる。そこへ先染めによる色の奥行きと、細かなドットストライプが重なる。シワの山と谷によって柄の見え方にも変化が加わり、見る角度によって異なる表情が楽しめる。
この加工の面白さは、シワを加えても生地が持つ端正さを失っていないこと。梳毛ウール調の生地だからこそ、不規則な凹凸が加わってもラフになり過ぎない。逆に、綺麗な生地だからこそ、シワによる崩しが際立つ。
先染めの色合いも、控えめなドットストライプも、シワ加工も、それぞれが単独で主張するのではなく、一枚の生地の中で自然につながっている。STILL BY HANDがどこまで整えて、どこを崩すのか。その判断が、このパンツの表情を決めている。
シルエットは、ヒップと腿周りにゆとりを持たせながら、裾に向かってテーパード。腰から腿にかけては身体の線を拾い過ぎず、そこから徐々に細くなることで、ゆったりとした穿き心地とすっきりとした見た目を両立している。
ヒップや腿に余裕があっても、裾まで同じ太さで落ちていくわけではないため、パンツ全体が必要以上に太く見えない。上部には自然な量感を残しながら、足元に向かって輪郭が絞られることで、シワ加工の入った生地にもまとまりが生まれる。
細身のスラックスとは違う気楽さがあり、それでいてルーズなパンツとも違う。生地にはあえて不規則な表情を加えながら、シルエットではきちんと輪郭を整えている。ここにも、STILL BY HANDらしいバランス感覚がある。ヒップと腿にゆとりを残したテーパードだからこそ、綺麗さと気楽さが無理なく同居している。
そして、このパンツのシワは薬品加工によって取れにくく仕上げられている。せっかく生まれた表情を、穿くたびに整え直す必要がない。梳毛ウールを思わせる綺麗な生地に、最初から自然なシワが刻まれている。その状態で日常の一本として穿けるところが、このパンツの魅力です。綺麗に見えることも、気楽に穿けることも、どちらも諦めていません。スラックスの端正さを残しながら、自然体で穿ける一本をLAMPAから紹介します。
服を長く見続けていると、古い服を忠実に再現していることだけでは、あまり心が動かなくなってくる。もちろんVINTAGEは好きだし、その時代にしか生まれなかったディテールや生地には今でも惹かれる。けれど、今新品の服を買うなら、過去の服が持っていた魅力を理解した上で、今の時代に何を生み出せるのか。僕はそこに惹かれる。
A VONTADEのZIP WORK JACKETは、まさにそんな一着だ。デザインソースは1940年代のストア系ブランドに見られるジャケット。個人的にも大好物なジャンルだが、このジャケットに強く惹かれた理由は、40年代らしさをどこまで再現しているかではない。当時の服が持っていた格好良さを残しながら、今着る服としてどこまで作り直しているか。その仕事がとにかくいい。
深いブラックデニムにブラックのカウハイドレザー。WALDESのジッパーやフロントトップのタブ、ポケット、裾のディテールには古いワークジャケットの匂いを残しながら、着た時の輪郭は決して昔のままではない。古臭くない。それでいて、綺麗に整えすぎてもいない。LAMPAが考えるCITY RUGGEDという言葉が、これほど自然に当てはまるジャケットもなかなかない。
使用しているのは11.5ozのブラックデニム。経糸には硫化染めした黒糸を使い、緯糸にも黒の綿糸を打ち込んでいる。経糸だけを黒くしたデニムとは違い、表から見える経糸だけでなく、その奥にある緯糸まで黒。そのため生地全体に白さが出にくく、非常に深い黒に仕上がっている。
ただし、その黒は均一で滑らかなものではない。スラブデニム特有の糸のムラが生地表面に凹凸とザラつきをつくり、漆黒でありながらワークウェアらしい粗さが残っている。モード系のブラックデニムに見られる滑らかで均整の取れた黒とは違い、どこかアメカジの匂いがする黒。深い色合いの中に、デニム本来の無骨さがしっかりと息づいている。
そして硫化染めだからこそ、着て、洗うことを繰り返せば、最初の深い黒は少しずつ褪せ、生地の凹凸や糸のムラも色の変化とともに違った表情を見せてくれるはずだ。新品の状態を維持することを目的とした生地ではなく、着用と洗濯の積み重ねがそのまま表情になっていくブラックデニム。最初は漆黒だったジャケットが、何年も経つうちにどんな黒へ変わっていくのか。その過程まで楽しみたい。
襟にはブラックのカウハイドレザーを使用している。しかも単に異素材を組み合わせたのではなく、スラブデニムの持つ粗い表情に馴染むよう、レザーにも加工を施している。ブラックデニムにブラックレザー。アメカジ好きにはたまらない組み合わせだが、ここで革だけが綺麗すぎると、ジャケット全体の印象がちぐはぐになってしまう。デニムとレザー、それぞれの質感をきちんと合わせているところにも、この一着の良さがある。さらに、襟のカウハイドにも着用を重ねることで皺や艶が生まれてくるだろう。デニムとは異なる素材だからこそ、同じ一着の中でそれぞれが違う時間の重ね方をしていくところも楽しみだ。
フロントジップにはWALDESを採用。1940年代から50年代当時のジッパーの規格や製法を踏まえて作られたパーツで、ここにもデザインソースとなった時代とのつながりがある。さらにフロントトップには、当時のアンロック式ジッパーを留めるために考案されたと思われるタブ使い。ポケットや裾にも、古いワークジャケットが持っていたディテールが残されている。単に古いパーツの見た目を借りるだけではなく、その時代の服がどんな仕組みで作られていたのかというところにまで目を向けているのが面白い。
ここまでの説明だけなら、かなりVINTAGE色の強いジャケットを想像するかもしれない。ところが、着た時の印象はまったく違う。当時のストア系ジャケットに見られる直線的な輪郭をそのまま持ってくるのではなく、パターンを再構築し、全体に丸みを持たせている。身幅と着丈の関係も現代の服として整えられ、ワークジャケットらしい無骨さは残しながら、身体を包む輪郭にはどこか柔らかさがある。
さらに面白いのが袖付けだ。通常なら後半の工程となることが多い袖付けを先に行い、身頃と袖をつないだ状態から、肩から袖先までを一緒に巻き縫いで仕上げている。その工程によって、肩から袖先へとつながる綺麗なショルダーラインが生まれている。完成した時の見た目だけでは分からない縫製工程にまで手を入れ、着た時の輪郭を整えているところが実にいい。
古い服のディテールを知っているだけでは、このジャケットは作れない。特に僕が感心するのは、デニムの粗さに合わせてレザーの質感を調整し、40年代のディテールを残しながら、肩のラインをつくるために縫製の順序まで変えていることだ。ひとつひとつの仕様が独立しているのではなく、すべてが着た時の一着の姿につながっている。だからVINTAGEの匂いは濃いのに、着た姿は古臭くならない。こういうところまで考えて服を作っているからこそ、僕はA VONTADEを選び続けている。
今あるVINTAGEを手に入れるのもいいけれど、自分で着て、自分の時間でVINTAGEにしていく。何年も先、このブラックデニムとカウハイドがどんな顔になっているのか。その姿を見るまで、着続けてみたいと思えるジャケットです。
Gジャンという服は、着丈が難しい。
昔、ヴィンテージのGジャンを買おうと思い、アルバイトで貯めた大金を持って店まで行ったことがある。ところが、いざ試着してみると、どうしてもあの着丈の短さが自分の中で消化できない。結局、買わずに帰った。それ以来、いわゆるGジャンという服が個人的にずっと苦手だった。
そんな僕が、ORDINARY FITSのデニムジャケットを試着して、すぐにピンときた。理由は着丈の長さ。これが実に上手い。
Gジャンは、ただ着丈を長くすれば着やすくなるというものではない。短すぎれば、インナーをパンツに入れる着方が前提になりやすい。しかし、長くしすぎれば、今度はGジャン特有の形が失われ、普通のデニムブルゾンになってしまう。
そもそもGジャンは、ファッションとして格好良く見せることを第一に考えて生まれた服ではない。作業着としての機能や動きやすさを求めた結果、あの独特の形になったものだ。現代の感覚からすると野暮ったく感じられる部分もある。しかし、その野暮ったさこそが、服の個性であり魅力になっていることも多い。
だからこそ、現代的に着やすくするために、すべてを整えてしまえば良いという話ではない。Gジャンでいえば、着丈の短さは短所であると同時に、失ってはいけない個性でもある。
ORDINARY FITSが上手いのは、まさにその部分だ。ヴィンテージの2NDをモチーフにしながら、着丈をオリジナルより若干長めに設定。短丈特有の輪郭は残しつつ、裾を出したときにも極端に短く見えない形に仕上げている。
どこを変えて、どこを変えないのか。
この判断が本当に難しい。長くすれば簡単に着やすくなるわけではないし、昔の形をそのまま残せば良いというものでもない。わずかな違いで、服全体の印象が変わってしまう。僕は、こういうところにブランドのセンスが出ると思っている。
そして今回紹介するのは、そのDENIM JACKET TYPE 2NDにUSED加工を施したモデル。基本的なデザインはONE WASHモデルと共通だが、加工によってインディゴの色合いが変わり、ジャケット全体の見え方にも違いが生まれている。
ORDINARY FITSのUSED加工で好きなのは、やりすぎないところだ。
料理に例えるなら、濃いソースの味で食べさせるのではなく、素材本来の味を邪魔しない程度に味を加える感覚だ。もちろん、濃い味付けの料理には、その料理ならではの美味しさがある。ただ、今回のORDINARY FITSに関しては、素材の持ち味を残すために、あえて味付けを控えている。その加減がいい。
今回のジャケットに使用されているのは、ORDINARY FITSがLEVIS 501の66後期モデルを研究して開発した、ブランドオリジナルの14オンスセルヴィッチデニム。
僕が面白いと思うのは、ヴィンテージデニムの中でも、あえて66後期という時代の生地に目を向けていることだ。
デニムの色落ちというと、太く不規則な縦筋が現れ、濃いインディゴと白く擦れた部分のコントラストが強く出るものを思い浮かべる人も多いだろう。1940年代の501XXなどに見られる、いわばゴソッと色が抜ける力強い表情だ。あの迫力には、やはり独特の魅力がある。
しかし、デニムの色落ちは時代によって変わってきた。糸の作り方や染色、生地の織り方が変化するにつれ、同じインディゴデニムでも、着込んだときに現れる表情は異なる。
一般に66後期と呼ばれる時代のデニムには、太く不規則な縦筋が強く浮かび上がるものとは違い、細かな点状の色抜けが現れやすい傾向がある。もちろん、同じ年代でも個体差はあり、縦落ちするものも存在する。年代だけで生地の表情を一律に決められるわけではない。ただ、1940年代のデニムに見られる荒々しい色落ちと比べると、もう少しあっさりとした青の見え方が特徴の一つといえる。
ここで大切なのは、あっさりしていることと、表情が乏しいことは違うという点だ。
66後期のデニムには、強い縦筋とは異なる、細かな濃淡の重なりにも面白さがある。近くで見れば糸や織り目に沿った小さな色の変化があり、少し離れて見ると、それらが一つのブルーの面として見えてくる。強いコントラストだけでは語れない、インディゴの色合いそのものに魅力がある。
デニムの縦落ちは、糸の太い部分と細い部分、表面に突出した部分と沈んだ部分で摩耗の仕方が異なることで生まれる。突出した部分のインディゴが先に擦れ、染色されていない内側の綿が現れる。一方、擦れにくい部分には青が残る。その差が縦方向に連続することで、独特の筋が生まれる。
一方で、着用によって生じるシワや、縫い目、生地の重なりに沿って現れるアタリは、糸そのものによる縦落ちとは別のものだ。デニムの色落ちは、こうした複数の要素が重なって生まれている。
ORDINARY FITSが今回の生地で研究したのは、まさに66後期のデニム。古いデニムの魅力を、強い縦落ちや荒々しい凹凸だけで捉えていない。
1940年代のデニムが持つ迫力とは違う、細かな濃淡による青の表情。そこに目を向けているところが、僕には面白い。
しかも、14オンスという重量を持たせている。数字だけを見れば、デニムとして特別に重いわけではない。しかし、同じ14オンスでも、糸の性質や織りの密度によって生地の質感は変わる。重量だけで判断するのではなく、糸が作る表面の細かな変化と、織り上がった生地のしっかりした質感を合わせて考えたい。
さらに、セルヴィッチデニムを採用している。セルヴィッチとは、生地の端で緯糸が折り返すことで形成される耳のこと。かつてのデニムに広く用いられていたシャトル織機による生地を特徴づける仕様の一つで、66後期の501も赤耳デニムが使われていた時代に位置する。
ただし、セルヴィッチであることと、強い縦落ちが生まれることは別の話だ。生地の耳の構造が、糸のムラや染色の状態まで決めるわけではない。重要なのは、どんな生地を作りたいのかという目的があり、それに合わせて糸や織り方、仕上げを選んでいることだ。
今回の14オンスデニムで、もう一つ注目したいのが整理加工に対する考え方だ。
一般にデニムの生地作りでは、織り上がった生地の表面を整えたり、洗濯後に生じる変形を抑えたりするため、さまざまな仕上げ加工が行われる。製品としての均一さや扱いやすさを考えれば、そうした加工には意味がある。しかしORDINARY FITSでは、古いデニムが持っていた性質を残すため、あえて毛焼きやスキュー加工を施していない。
毛焼きとは、生地表面の細かな毛羽を焼いて取り除く加工のこと。これを行えば表面は整い、すっきりとした見え方になる。一方、毛羽を残せば、綿の繊維が持つ細かな凹凸が表面に現れ、均一に仕上げられた生地とは違う粗さが生まれる。
毛羽立ちのあるデニムは、表面の細かな繊維によって、光の当たり方や見る距離で質感が変わって見える。USED加工によって色を落とした場合でも、こうした生地自体の性質が、単に均一に脱色しただけでは得られない質感につながる。
そしてスキュー加工。これは、デニムの綾織り構造や糸の撚りなどによって生じる斜行やねじれを、あらかじめ補正する加工のことだ。ORDINARY FITSでは、この補正も行わず、デニムが本来持っている性質を残している。
もちろん、ねじれが大きければ良いというものではない。実際にどの程度の変化が現れるかは、着用や洗濯の条件によっても異なる。大切なのは、古いデニムの性質を理解したうえで、どこまで手を加えるかを判断していることだ。
その一方で、今回の生地は打ち込み本数を多めに設定し、織りの密度を高めている。経糸と緯糸を密に織り込むことで、洗いを繰り返してもヘタりにくい、しっかりした生地に仕上げている。
ここが実に面白い。毛羽立ちやねじれといった古いデニムの不均一な性質は残しながら、織りの密度によって強さを持たせている。
古いものを忠実に再現するために、すべてを昔と同じにするのではない。残したい質感は残し、日常で着続けるために必要な部分には手を加える。
デニムの魅力というと、色落ちや表面の凹凸に目が向きやすい。しかし、もともと作業着として使われていた素材だからこそ、繰り返し着て、洗うことを前提とした丈夫さにも意味がある。
デニムは、新品の状態だけで完成する服ではない。着て、洗い、身体の動きによってシワが入り、少しずつ表面が変化していく。USED加工によってすでに色の濃淡が表現されていても、そこから実際に着ることで生地の表情は変わっていく。
最初から加工で完成したヴィンテージ感を見せるだけでなく、その後も着る人自身の時間が加わっていく。そう考えると、加工の加減を抑えていることにも意味がある。
岡山県児島をはじめとする日本のデニム産地では、USED加工の技術が磨かれ、海外からも高い評価を受けてきた。色を落とす位置や濃淡の強さによって、同じデニムでも仕上がりの印象は大きく変わる。
今回のORDINARY FITSは、インディゴの深い青を残しながら、部分的に淡い色落ちを加えた仕上がり。加工の技術を前面に押し出すのではなく、ジャケットそのものの形を見せている。
二つの胸ポケット、フロントのダブルアクションプリーツ、身幅と着丈のバランス。そうした2ND本来のデザインが、USED加工によって埋もれていない。むしろ、ポケットのフラップや前立て、プリーツの折り目に沿ったインディゴの濃淡が、前身頃の立体的な構造を引き立てている。
この匙加減が、僕は好きだ。
今回のDENIM JACKET TYPE 2NDは、1950年代に登場したLEVISの通称2ND、507XXをデザインのモチーフとしている。
2NDを考えるうえで面白いのは、それ以前の1STから、どの部分が変わったのかということだ。
1STの大きな特徴は、左胸に一つだけ設けられたポケットと、背面中央のシンチバック。左右非対称の前身頃と、背中のバックルによる無骨な造形が、古いワークウェアならではの個性を作っていた。
それに対して2NDでは、胸ポケットが左右に二つ配置され、背面中央のシンチバックは裾の両脇に設けられたボタン式アジャスターへと変更された。単に収納が増え、調整方法が変わっただけではない。この二つの変更によって、ジャケット全体の見え方も大きく変わっている。
まず、左右に配された二つのパッチポケット。1STでは左胸のポケットが視線を集め、前身頃に左右非対称の面白さがあった。一方、2NDでは二つのポケットが胸元に並ぶことで、前面の重心が左右に分かれ、全体の輪郭が整って見える。
しかも、ポケットは単なる装飾ではない。収納という作業着本来の役割を持ちながら、その四角い形とフラップが胸元に存在感を与える。身幅のあるボックス型のシルエットと相まって、前身頃にどっしりとした力強さが生まれている。
そして、フロントには1STから受け継がれたダブルアクションプリーツを配置。これは、伸縮性の乏しいデニムに動くためのゆとりを持たせる、ワークウェアならではの構造だ。生地を折り畳んで前身頃に収めることで、必要な部分に余裕を持たせるという合理的な発想から生まれている。
左右に並ぶ二つの胸ポケットが前身頃に力強さを与え、前立ての両脇に設けられたアクションプリーツが、古いワークウェアならではの立体的な表情を生み出している。
さらに、プリーツの折り山やステッチの周辺は、生地が重なることで擦れ方にも差が出やすい。着込むことで、その構造に沿ったアタリが現れることもある。これは糸そのものによる縦落ちとは別の、服の形から生まれる色落ちだ。
今回のUSED加工では、そうした前身頃の立体的な構造に、インディゴの濃淡が加わっている。フラップや前立て、アクションプリーツの存在が、色の変化によっていっそう目に入りやすくなる。
背面にはプリーツを配置し、裾の両脇にはボタン式のアジャスターを備えている。1STのシンチバックは背面中央にベルトと金具があり、後ろ姿にも強い主張があった。対して2NDでは、調整機構を左右の裾へ移すことで、背中の中央から金具がなくなり、後ろ姿がすっきりしている。
一方で、裾のアジャスターを調整すれば、身幅のゆとりを残しながら腰回りの収まりを変えることができる。短丈で身幅のあるジャケットだからこそ、裾のわずかな絞り方によって、着たときの輪郭にも違いが生まれる。
こうして見ると、2NDは1STの持っていたワークウェアとしての構造を受け継ぎながら、前後のデザインを少しずつ整理したモデルだということが分かる。左右の胸ポケットによって前面の構成が整い、裾のアジャスターによって背面中央の主張が抑えられる。しかし、ダブルアクションプリーツや身幅のあるボックス型、短い着丈といった、古いデニムジャケットの骨格はそのまま残っている。
だから2NDは、1STとはまた違う格好良さがある。無骨さは失っていない。それでいて、左右のポケットと背面の構成によって、服全体が一つの形として整っている。
ヴィンテージのレプリカを作るのであれば、デザインと生地の年代を揃えるという考え方もあるだろう。しかし、ORDINARY FITSはそうしていない。1950年代の2NDの造形と、1970年代後半の66後期を研究したデニム。それぞれの時代から良いと思うものを選び、一着の服として組み合わせている。
これが僕には、実にORDINARY FITSらしく感じられる。
ヴィンテージのどの部分に価値を見出し、どの要素を今の服に取り入れるのか。そこに作り手の判断があり、服としての個性が生まれている。年代を揃えることが目的ではない。良いと思ったものを、自分たちの感性で組み合わせる。その自由さがあるから、ただのレプリカでは終わらない。
昔、アルバイトで貯めた大金を持って買いに行きながら、どうしても着丈が納得できず、買わずに帰ったGジャン。そんな僕が、今ではORDINARY FITSのGジャンを自分から着たいと思うようになりました。ヴィンテージの個性を残しながら、今の自分が本当に着たいと思える形に仕上げ、USED加工も必要以上に主張させていません。どこを残し、どこに手を加え、どこで止めるのか。その一つひとつの判断に、LAMPAがORDINARY FITSを選ぶ理由があります。
Gジャンという服は、着丈が難しい。
昔、ヴィンテージのGジャンを買おうと思い、アルバイトで貯めた大金を持って店まで行ったことがある。ところが、いざ試着してみると、どうしてもあの着丈の短さが自分の中で消化できない。何度鏡を見ても、納得できない。結局、買わずに帰った。あれだけ欲しくて、ようやく買えるだけのお金を貯めたのに、だ。それ以来、いわゆるGジャンという服が個人的にずっと苦手だった。
そんな僕が、ORDINARY FITSのデニムジャケットを試着して、すぐにピンときた。理由は着丈の長さ。これが実に上手い。
Gジャンは、ただ着丈を長くすれば着やすくなるというものではない。短すぎれば、インナーをパンツに入れる着方が前提になりやすい。しかし、長くしすぎれば、今度はGジャン特有の形が失われ、普通のデニムブルゾンになってしまう。
そもそもGジャンは、ファッションとして格好良く見せることを第一に考えて生まれた服ではない。作業着としての機能や動きやすさを求めた結果、あの独特の形になったものだ。ワークウェアやミリタリーウェアには、現代の感覚からすると野暮ったく感じられる部分もある。しかし、その野暮ったさこそが、服の個性であり魅力になっていることも多い。
機能を優先して作られた服を、本来とは違う目的でファッションとして着る。そこには、最初からファッションのためにデザインされた服とは違う面白さがある。だからこそ、現代的に着やすくするために、すべてを整えてしまえば良いという話ではない。Gジャンでいえば、着丈の短さは短所であると同時に、失ってはいけない個性でもある。
ORDINARY FITSが上手いのは、まさにその部分だ。ヴィンテージの2NDをモチーフにしながら、着丈を若干長めに設定。短丈特有の輪郭は残しつつ、裾を出したときにも極端に短く見えない形に仕上げている。
どこを変えて、どこを変えないのか。
この判断が本当に難しい。長くすれば簡単に着やすくなるわけではないし、昔の形をそのまま残せば良いというものでもない。ほんの少しの違いで、服全体の印象が変わってしまう。僕は、こういうところにブランドのセンスが出ると思っている。
岡山県児島を拠点とし、デニムを得意とするORDINARY FITS。今回のDENIM JACKET TYPE 2NDには、1950年代のワークウェアを代表するデザインと、1970年代後半のデニムを研究した生地が組み合わされている。ヴィンテージへの敬意はある。しかし、ただ昔の服を再現することが目的ではない。自分たちが良いと思う要素を選び、今の服として組み立て直している。
今回のジャケットに使用されているのは、ORDINARY FITSがLEVIS 501の66後期モデルを研究して開発した、ブランドオリジナルの14オンスセルヴィッチデニム。
僕が面白いと思うのは、ヴィンテージデニムの中でも、あえて66後期という時代の生地に目を向けていることだ。
デニムの色落ちというと、太く不規則な縦筋が現れ、濃いインディゴと白く擦れた部分のコントラストが強く出るものを思い浮かべる人も多いだろう。1940年代の501XXなどに見られる、ゴソッと色が抜けるような力強い表情だ。あの迫力には、やはり独特の魅力がある。
しかし、デニムの色落ちは時代によって変わってきた。糸の作り方や染色、生地の織り方が変化するにつれ、同じインディゴデニムでも、着込んだときに現れる表情は異なる。
一般に66後期と呼ばれる時代のデニムには、それ以前のモデルとは異なる色落ちの傾向が見られる。太く不規則な縦筋が強く浮かび上がるものとは違い、細かな点状の色抜けが現れやすい。
もちろん、同じ66後期でも個体差はあり、縦落ちするものも存在する。年代だけで生地の表情を一律に決められるわけではない。ただ、1940年代のデニムに見られる荒々しい色落ちと比べると、66後期には、もう少しあっさりとした青の見え方がある。
ここで大切なのは、あっさりしていることと、表情が乏しいことは違うという点だ。
デニムの縦落ちは、糸の太い部分と細い部分、表面に突出した部分と沈んだ部分で摩耗の仕方が異なることで生まれる。突出した部分のインディゴが先に擦れ、染色されていない内側の綿が現れる。一方、擦れにくい部分には青が残る。その差が縦方向に連続することで、独特の筋が生まれる。
66後期のデニムでは、そうした強い縦筋とは異なる、細かな濃淡の重なりにも面白さがある。近くで見れば糸や織り目に沿った小さな色の変化があり、少し離れて見ると、それらが一つのブルーの面として見えてくる。色落ちの主張が穏やかだからこそ、着込んだ後の全体の色合いを楽しめる。
派手な縦落ちだけが、デニムの価値ではない。僕はこういう青の表情も好きだ。
また、生地そのものの色落ちと、着用によって生まれるアタリは別のものだ。縦落ちが穏やかなデニムであっても、身体の動きによってシワが定着する部分や、生地が重なる縫い目には摩擦が集中する。そのため、全体のブルーが自然に薄くなりながら、ポケットやプリーツの周辺にはしっかりとした濃淡が現れることもある。
1940年代のデニムが持つ、糸の凹凸と強い色落ちによる迫力。それに対して66後期には、着込むことで青が服全体に馴染んでいく良さがある。時代によって生地の性格が異なり、それぞれに魅力があるということだ。
こうした変化の背景には、デニムが作業着から広く日常着として普及し、生産の効率化や品質の安定が求められていった歴史もある。紡績や染色、織布の技術が変化するなかで、生地の質感や色落ちの傾向にも違いが生まれていった。ただし、66後期の色落ちを特定の製法の変更だけで説明できるわけではない。
ORDINARY FITSが研究したのは、まさにその時代のデニム。古いデニムの魅力を、強い縦落ちや荒々しい凹凸だけで捉えていない。ここに、このブランドの素材選びの面白さがある。
しかも、14オンスという重量を持たせている。数字だけを見れば、デニムとして特別に重いわけではない。しかし、同じ14オンスでも、糸の性質や織りの密度によって生地の質感は変わる。重量だけで判断するのではなく、糸が作る表面の細かな変化と、織り上がった生地のしっかりした質感を合わせて考えたい。
また、今回の生地はセルヴィッチデニムを採用している。セルヴィッチとは、生地の端で緯糸が折り返すことで形成される耳のこと。かつてのデニムに広く用いられていたシャトル織機による生地を特徴づける仕様の一つで、66後期の501も赤耳デニムが使われていた時代に位置する。
ただし、セルヴィッチであることと、強い縦落ちが生まれることは別の話だ。生地の耳の構造が、糸のムラや染色の状態まで決めるわけではない。大切なのは、どんなデニムを作りたいのか。その目的に合わせて糸や織り方、仕上げを選んでいることだ。
なお、こちらはONE WASH仕様。インディゴの深い色合いを残しながら、一度洗いをかけた状態で仕上げられている。
今回の14オンスデニムで、もう一つ注目したいのが整理加工に対する考え方だ。
一般にデニムの生地作りでは、織り上がった生地の表面を整えたり、洗濯後に生じる変形を抑えたりするため、さまざまな仕上げ加工が行われる。製品としての均一さや扱いやすさを考えれば、そうした加工には意味がある。しかしORDINARY FITSでは、当時のデニムが持っていた性質を残すため、あえて整理加工を施していない。
例えば、生地表面の細かな毛羽を焼いて取り除く毛焼き加工。これを行えば表面は整い、すっきりとした見え方になる。一方、毛羽を残せば、綿の繊維が持つ細かな凹凸が表面に現れ、均一に仕上げられた生地とは違う粗さが生まれる。
毛羽立ちのあるデニムは、表面の細かな繊維によって、光の当たり方や見る距離で質感が変わって見える。綿そのものが持つ粗さが、ワークウェアらしい無骨さにつながっている。
そして、もう一つがスキュー加工。
デニムには綾織りの構造や糸の撚りなどの影響によって、洗濯後に斜行やねじれが生じる性質がある。現在では、そうした変化をあらかじめ補正するスキュー加工が用いられることがある。生地を一定方向に調整することで、洗濯後のねじれを抑えるための加工だ。
ORDINARY FITSでは、この補正も行っていない。実際にどの程度のねじれが現れるかは着用や洗濯の条件によって異なるが、古いデニムが本来持っていた性質を、現代の加工ですべて消してしまわないという考え方が見えてくる。
もちろん、ねじれが大きければ良いというものではない。毛羽立ちが多ければ、それだけで良いデニムになるわけでもない。大切なのは、何を残したくて、何を整えるのか。その判断だ。
その一方で、今回の生地は打ち込み本数を多めに設定し、織りの密度を高めている。経糸と緯糸を密に織り込むことで、洗いを繰り返してもヘタりにくい、しっかりした生地に仕上げているのだ。
ここが実に面白い。毛羽立ちやねじれといった古いデニムの不均一な性質は残しながら、織りの密度によって強さを持たせている。
古いものを忠実に再現するために、すべてを昔と同じにするのではない。残したい質感は残し、日常で着続けるために必要な部分には手を加える。
デニムの魅力というと、色落ちや表面の凹凸に目が向きやすい。しかし、もともと作業着として使われていた素材だからこそ、繰り返し着て、洗うことを前提とした丈夫さにも意味がある。
デニムは、新品の状態だけで完成する服ではない。着て、洗い、身体の動きによってシワが入り、少しずつ表面が変化していく。その過程を楽しめることも、この素材の魅力だ。
ORDINARY FITSは、そうしたデニム本来の性質を残しながら、今の生活の中で着ることまで考えて生地を作っている。ヴィンテージを研究することが、そのまま過去の再現に結びつくわけではない。その姿勢が、この14オンスデニムにはよく表れている。
今回のDENIM JACKET TYPE 2NDは、1950年代に登場したLEVISの通称2ND、507XXをデザインのモチーフとしている。
2NDを考えるうえで面白いのは、それ以前の1STから、どの部分が変わったのかということだ。
1STの大きな特徴は、左胸に一つだけ設けられたポケットと、背面中央のシンチバック。左右非対称の前身頃と、背中のバックルによる無骨な造形が、古いワークウェアならではの個性を作っていた。
それに対して2NDでは、胸ポケットが左右に二つ配置され、背面中央のシンチバックは裾の両脇に設けられたボタン式アジャスターへと変更された。単に収納が増え、調整方法が変わっただけではない。この二つの変更によって、ジャケット全体の見え方も大きく変わっている。
まず、左右に配された二つのパッチポケット。1STでは左胸のポケットが視線を集め、前身頃に左右非対称の面白さがあった。一方、2NDでは二つのポケットが胸元に並ぶことで、前面の重心が左右に分かれ、全体の輪郭が整って見える。
しかも、ポケットは単なる装飾ではない。収納という作業着本来の役割を持ちながら、その四角い形とフラップが胸元に存在感を与える。身幅のあるボックス型のシルエットと相まって、前身頃にどっしりとした力強さが生まれている。
そして、フロントには1STから受け継がれたダブルアクションプリーツを配置。これは、伸縮性の乏しいデニムに動くためのゆとりを持たせる、ワークウェアならではの構造だ。生地を折り畳んで前身頃に収めることで、必要な部分に余裕を持たせるという合理的な発想から生まれている。
左右に並ぶ二つの胸ポケットが前身頃に力強さを与え、前立ての両脇に設けられたアクションプリーツが、古いワークウェアならではの立体的な表情を生み出している。
さらに、プリーツの折り山やステッチの周辺は、生地が重なることで擦れ方にも差が出やすい。着込むことで、その構造に沿ったアタリが現れることもある。これは糸そのものによる縦落ちとは別の、服の形から生まれる色落ちだ。
ポケットもプリーツも、もともとは作業着としての役割を持ったディテール。その構造が、結果として服の表情を作っている。僕がワークウェアに惹かれるのは、まさにこういうところだ。
背面にはプリーツを配置し、裾の両脇にはボタン式のアジャスターを備えている。1STのシンチバックは背面中央にベルトと金具があり、後ろ姿にも強い主張があった。対して2NDでは、調整機構を左右の裾へ移すことで、背中の中央から金具がなくなり、後ろ姿がすっきりしている。
一方で、裾のアジャスターを調整すれば、身幅のゆとりを残しながら腰回りの収まりを変えることができる。短丈で身幅のあるジャケットだからこそ、裾のわずかな絞り方によって、着たときの輪郭にも違いが生まれる。
こうして見ると、2NDは1STの持っていたワークウェアとしての構造を受け継ぎながら、前後のデザインを少しずつ整理したモデルだということが分かる。左右の胸ポケットによって前面の構成が整い、裾のアジャスターによって背面中央の主張が抑えられる。しかし、ダブルアクションプリーツや身幅のあるボックス型、短い着丈といった、古いデニムジャケットの骨格はそのまま残っている。
だから2NDは、1STとはまた違う格好良さがある。無骨さは失っていない。それでいて、左右のポケットと背面の構成によって、服全体が一つの形として整っている。
ヴィンテージのレプリカを作るのであれば、デザインと生地の年代を揃えるという考え方もあるだろう。しかし、ORDINARY FITSはそうしていない。1950年代の2NDの造形と、1970年代後半の66後期を研究したデニム。それぞれの時代から良いと思うものを選び、一着の服として組み合わせている。
これが僕には、実にORDINARY FITSらしく感じられる。
ヴィンテージのどの部分に価値を見出し、どの要素を今の服に取り入れるのか。そこに作り手の判断があり、服としての個性が生まれている。年代を揃えることが目的ではない。良いと思ったものを、自分たちの感性で組み合わせる。その自由さがあるから、ただのレプリカでは終わらない。
ヴィンテージの2NDを知っている人なら、オリジナルとの違いや、生地の年代をあえて揃えていない面白さを感じられる。一方で、そうした歴史を知らなくても、着たときの形や生地の質感そのものを楽しめる。ヴィンテージの知識を持っていることが、このジャケットを着る条件ではない。
昔、アルバイトで貯めた大金を持って買いに行きながら、どうしても着丈が納得できず、買わずに帰ったGジャン。そんな僕が、今ではORDINARY FITSの一着を自信を持ってお客様に紹介できます。ヴィンテージの個性を残しながら、今の自分が本当に着たいと思える服に仕上げる。その確かな判断と感性に、LAMPAがORDINARY FITSを選ぶ理由があります。
昔、ヴィンテージのGジャンを買おうと思い、アルバイトで貯めた大金を持って店まで行ったことがある。ところが、いざ試着してみると、どうしてもあの着丈の短さが自分の中で消化できない。結局、買わずに帰った。それ以来、いわゆるGジャンという服が個人的にずっと苦手だった。
そんな僕が、ORDINARY FITSのデニムジャケットを試着して、すぐにピンときた。理由は着丈の長さ。これが実に上手い。
Gジャンの着丈というのは、実はかなり難しい。短すぎると、インナーをパンツに入れる着方が前提になりやすい。かといって、ただ長くすれば良いわけでもない。長すぎれば、今度はGジャン特有の形が崩れ、普通のデニムブルゾンになってしまう。
そもそもGジャンは、ファッションとして格好良く見せることを第一に考えて生まれた服ではない。作業着としての機能や動きやすさを求めた結果、あの独特の形になったものだ。ワークウェアやミリタリーウェアには、現代のファッションという視点から見れば、野暮ったく感じられる部分が少なからずある。しかし、その野暮ったさこそが、服の個性であり魅力になっていることも多い。機能を優先して作られた服を、本来とは違う目的でファッションとして着る。そこには、最初からファッションのためにデザインされた服とは違う面白さがある。
だからこそ、着やすくするためにすべてを整えてしまえば良いという話ではない。無骨な部分を削り、現代的なシルエットに近づけすぎれば、今度はその服である意味が薄れてしまう。Gジャンでいえば、着丈の短さは短所であると同時に、GジャンをGジャンたらしめている大切な個性でもある。
岡山県児島を拠点とし、デニムを得意とするORDINARY FITS。今回のDENIM JACKET TYPE 1ST USEDには、古い服の魅力を理解したうえで、今の時代に着るための工夫が表れている。そして、その考え方は着丈だけでなく、生地作りやUSED加工の仕上げ方にも通じている。
ORDINARY FITSが上手いのは、オリジナルより着丈を若干長めに設定しながら、Gジャン特有の短丈の輪郭を失っていないところだ。着やすさを考えて手を加えているのに、ワークウェアとして生まれた服の無骨さがきちんと残っている。
僕がこのジャケットに惹かれた理由は、単純に着丈が長くなったからではない。苦手だった部分を消すのではなく、その部分が持つ意味を残したまま、僕自身が着たいと思える位置まで動かしている。どこを変えて、どこを変えないのか。この判断が本当に難しい。LAMPAでは、そうした服作りにこそブランドのセンスが表れると考えている。
今回のジャケットに使用されているのは、ORDINARY FITSが1947年頃の501XXを研究して開発した、コットン100%のオリジナル14オンスセルビッチデニム。第二次世界大戦が終わり、物資統制によって簡略化されていた仕様が再び整えられた時代。この頃の501XXは、後のジーンズへとつながる一つの完成形として知られている。
そして、この時代のデニムが今なお高く評価される理由の一つが、生地そのものの表情にある。
当時のデニムを理解するうえで重要なのは、糸の太さに生じる自然なムラ、インディゴの染まり方、そして経糸と緯糸が織り重なる際の張力や密度だ。インディゴ染色された経糸は表面に色が集中し、中心部分には白い芯が残る。着用による摩擦で表面のインディゴが少しずつ削られると、その内側の白が現れる。さらに糸の太い部分と細い部分では摩耗の仕方が異なるため、生地の表面に不規則な濃淡が生まれていく。
いわゆる縦落ちも、こうした糸と染色の性質が重なって生まれるものだ。単に青が薄くなるのではなく、白く擦れた部分、その周囲に残る淡い青、さらに濃いインディゴが細かく入り交じることで、生地に奥行きが生まれる。
ただし、年代によって生地が一斉に切り替わったわけではなく、同じ年代でも個体差がある。だから単純に古いほど良い、縦落ちが強いほど良いという話ではない。大切なのは、糸の凹凸や色の残り方が、着込んだときにどんな表情を作るのかということだ。
ORDINARY FITSが今回の生地で取り組んだのも、そうした古いデニムの質感を糸の段階から考えることだった。数種類の糸を組み合わせることで経糸に長いムラ感を持たせ、ヴィンテージデニム特有の不均一な表情を再現している。
ここで重要なのは、単に糸を不均一にすれば良いわけではないということだ。太い部分と細い部分が不自然に繰り返されれば、いかにも加工して作ったムラに見えてしまう。長いムラを持つ糸を組み合わせ、織り上がった生地に不規則な凹凸を生み出す。その自然さを追求するところに、ヴィンテージデニムを研究する意味がある。
僕がこういう生地作りに惹かれるのは、完成した色落ちの見た目だけでは分からない部分に、作り手の考えが詰まっているからだ。どんな糸を選び、どんな表情を残すのか。生地そのものを作る段階で、すでに服の方向性が決まっていく。
14オンスという重量も大切な要素だ。数字だけを見れば、デニムとして特別に重いわけではない。しかし、生地の良し悪しはオンスだけでは決まらない。同じ14オンスでも、糸の性質や織りの密度によって、手にしたときの質感も、着用したときの輪郭も変わってくる。1947年頃のデニムを研究しながら、当時の見た目だけを追いかけない。14オンスという数字の向こうに、糸と織りの組み合わせを選ぶ作り手の判断がある。
1940年代のデニムは、シャトルと呼ばれる杼を左右に往復させながら緯糸を織り込む、旧式のシャトル織機によって生産されていた。生地の両端で緯糸が折り返すことで形成されるセルビッチは、こうした製法を象徴するものでもある。
現在主流となっている高速織機と比べると、旧式のシャトル織機は生地幅が狭く、生産速度も遅い。しかし、古い織機を使えば、それだけで1940年代の生地が出来上がるわけではない。
原綿の選定から紡績、糸の撚り、インディゴの染色、織る際の張力、緯糸の打ち込み、そして仕上げ加工まで。その一つひとつが生地の硬さや凹凸、洗濯後の収縮、さらには色落ちにまで影響する。さらに、現在残っているヴィンテージの多くは、長年の着用や洗濯によって変化した状態にある。そこから新品当時の糸や織りの状態を読み解き、再び生地として形にするには、相応の知識と技術が求められる。
かつては日常の作業着を作るための生地だったものを、今ではその時代特有の質感を求め、手間と時間をかけて作り直している。当時のデニムを研究するということは、完成した色落ちを真似るだけではなく、その表情が生まれるまでの工程を一つずつ読み解くことでもある。
そして今回のORDINARY FITSでは、打ち込み本数を多めに設定して生地の密度を高め、洗いを繰り返してもヘタりにくいタフさを持たせている。糸に自然なムラを持たせながら、織りの密度によって生地としてのしっかりした質感を確保する。ここに今回の生地作りの面白さがある。
さらに、このデニムでは毛焼き加工を施していない。毛焼きとは、生地の表面に出た細かな毛羽を焼いて取り除き、表面を整える加工のこと。これを行わないことで、糸が持つ毛羽立ちをあえて残している。表面をきれいに整えたデニムとは違い、毛羽が残ることで生地に少し粗さのある質感が生まれる。USED加工によってインディゴの色合いが淡くなっても、こうした糸や生地の質感が、その下にきちんと残っている。
もう一つ興味深いのが、スキュー加工を施していないことだ。スキュー加工とは、デニムの洗濯などによって生じる斜行やねじれを、あらかじめ補正するための加工。デニムは綾織りの構造や糸の撚りなどの影響によって、洗濯後に生地が斜行する性質を持つ。スキュー加工を施さないということは、その性質をあらかじめ補正せずに残しているということだ。実際にどの程度の変化が現れるかは着用や洗濯の条件によって異なるが、古いデニムに見られる特徴の一つを、現代の加工で消していない点が面白い。
もちろん、斜行が生じること自体が優れた生地の証明になるわけではない。ただ、かつてのワークウェアが持っていた不均一さを、現代の技術ですべて消してしまわない。
糸のムラを作り込み、毛羽立ちを残し、斜行を補正しない。一方で、打ち込み本数を増やすことで、洗いを繰り返してもヘタりにくい強さを持たせている。どの性質を残し、どこに手を加えるか。その選択が、この14オンスデニムの個性を形作っている。
そして、この生地に施されたUSED加工が実にいい。今回のUSED加工は、熟練した職人による手作業で施されたもの。長年着込まれたデニムを思わせる色落ちやアタリが表現されている。淡くなったインディゴの中にも、白く擦れた部分から青が残る部分へと移り変わる細かな濃淡があり、縫い目やポケット周りには生地の重なりに沿った陰影が見られる。強いコントラストを付けなくても、色の変化によって十分な奥行きが生まれている。
ORDINARY FITSの加工は、その味付けが実に控えめだ。濃いソースで味を決める料理も、それはそれで魅力がある。しかし、味付けが強いほど、その味が全体の印象を決めてしまう。デニムのUSED加工にも、これと似たところがある。
強く色を落とし、アタリやダメージを大胆に加えたデニムは、単体で見れば非常に格好良いものも多い。ただ、それだけ加工の主張が強くなると、着たときにもUSED感が前面に出る。特にアメカジの色が濃くなりやすく、合わせる服にも相応の方向性が求められる。
その点、ORDINARY FITSは実に上手い。色を落としてUSEDらしい表情を作りながら、加工の主張を強くしすぎない。だからこそ、アメカジという枠に縛られることなく、異なるテイストの服と組み合わせても、色落ちだけが浮いて見えにくい。加工の強いデニムを中心にして装い全体を組み立てるのとは違い、合わせる服の個性を受け止める余地がある。
もちろん、加工の強いデニムが悪いわけではない。強い色落ちやダメージだからこそ成立する着こなしもある。ただ、LAMPAでは、一つのジャンルに寄せすぎず、自分なりの組み合わせを楽しめることにも価値を感じている。
すでに長く着込んだデニムを思わせる色合いが生まれているが、そこから実際に着用することで、袖や身頃の擦れ、身体の動きに沿ったアタリなど、自分自身の着方による変化も少しずつ加わっていく。最初から馴染んだ色合いを楽しみながら、その先の変化も重ねていける。
熟練した職人による手作業のUSED加工。その仕上がりには細かな色の変化がありながら、加工そのものが前に出すぎない。単体で見たときの迫力よりも、実際に着たときの自由度を大切にする。その匙加減に、ORDINARY FITSの加工センスが表れている。
今回のDENIM JACKET TYPE 1STは、1940年代のLEVISの通称1stをデザインのモチーフとしている。フロントに設けられた左右のアクションプリーツは、身体の動きに対応するための構造。生地を折り畳んで前身頃に収めることで、必要なときにゆとりを生み出すという、ワークウェアならではの合理的な発想から生まれている。現在ではその縦のラインが前身頃に立体感を与え、1stを象徴するデザインにもなっている。
左胸だけに配されたフラップポケットも、このモデルならではの特徴。左右対称ではない配置によって、中央の前立てやアクションプリーツとの間に独特の表情が生まれる。装飾を増やさなくても、前身頃にしっかりとした力強さがある。
背面にはプリーツとシンチバックを配置。シンチバックは本来、腰回りのフィットを調整するためのものだが、背中に金属パーツとベルトが加わることで、後ろ姿にもワークウェアらしい無骨さが残る。フロントの縦のラインに対し、背面ではシンチバックが横方向のアクセントとなり、前後で異なる表情を見せてくれる。
ORDINARY FITSでは、このシンチバックに針のないタイプを採用している。ヴィンテージの針付きシンチバックは、金属の針が露出する構造のため、車のシートなどに引っ掛かって傷を付けてしまうことがある。針なしにすることで、1st特有の後ろ姿を残しながら、日常での扱いやすさにも配慮している。古いディテールをただ再現するのではなく、実際に着る人の生活まで考えて手を加えているところがいい。
着丈の調整によって、裾を出したときにも身頃が極端に短く見えず、腰回りに自然な収まりが生まれる。一方で、フロントのプリーツやシンチバックが持つワークウェア特有の造形は、しっかりと主張している。こうしたディテールと全体の輪郭が無理なく共存しているところに、このジャケットの完成度の高さがある。
さらに今回のUSEDモデルでは、淡く落とされたインディゴの色合いによって、フロントのアクションプリーツやポケット周り、背面のシンチバックといったディテールの立体感も見えやすくなっている。濃色のデニムでは色の中に馴染む縫い目や生地の重なりが、細かなアタリとともに浮かび上がる。1st特有の造形を、色の変化からも楽しめる仕上がりだ。
ヴィンテージの1stを知っている人なら、オリジナルとの細かな違いに作り手の考えを感じられる。そして、そうした歴史を知らなくても、着たときの形そのものに魅力がある。古い服の特徴を残しているからといって、着る人にヴィンテージの知識を求めるわけではない。
着丈の調整、生地作り、USED加工、そして細かなディテール。その一つひとつに、古い服への理解と、今の時代に着るための判断がある。僕がLAMPAでこのジャケットを選んだのは、そうしたORDINARY FITSの考え方に惹かれたからだ。
昔、アルバイトで貯めた大金を持ってヴィンテージのGジャンを買いに行き、結局何も買わずに帰った。その僕が、今は自分の店でGジャンを紹介しています。単に着丈を長くしただけでは、ここまで気持ちは変わらなかったと思います。ワークウェアとして生まれた服の個性を残しながら、今の自分が着たいと思える形に仕上げています。そしてUSED加工にも、アメカジの枠にとらわれないORDINARY FITSならではの感性が表れています。かつては苦手だったGジャンを、今では自信を持ってお客様に紹介できます。
実は昔、VINTAGEのGジャンを買おうと思い、アルバイトで貯めた大金を持って店まで行ったことがある。ところが、いざ試着してみると、どうしてもあの着丈の短さが自分の中で消化できない。結局、買わずに帰った。それ以来、いわゆるGジャンという服が個人的にずっと苦手だった。
そんな自分が、ORDINARY FITSのデニムジャケットを試着して、すぐにピンときた。
理由は着丈の長さ。これが実に上手い。
Gジャンの着丈というのは、実はかなり難しい。短すぎると、インナーをパンツに入れる着方が前提になりやすい。かといって、ただ長くすれば良いわけでもない。長すぎれば、今度はGジャン特有の形が崩れ、普通のデニムブルゾンになってしまう。
そもそもGジャンは、ファッションとして格好良く見せることを第一に考えて生まれた服ではない。作業着としての機能や動きやすさを求めた結果、あの独特の形になったものだ。
そして、ここが実に面白いところなのだが、ワークウェアやミリタリーウェアには、現代のファッションという視点から見れば、野暮ったく感じられる部分が少なからずある。しかし、その野暮ったさこそが、服の個性であり魅力になっていることも多い。機能を優先して作られた服を、本来とは違う目的でファッションとして着る。そこには、最初からファッションのためにデザインされた服とは違う面白さがある。
だからこそ、着やすくするためにすべてを整えてしまえば良いという話ではない。無骨な部分を削り、現代的なシルエットに近づけすぎれば、今度はその服である意味が薄れてしまう。Gジャンでいえば、着丈の短さは短所であると同時に、GジャンをGジャンたらしめている大切な個性でもある。
ORDINARY FITSが上手いのは、まさにその部分だ。オリジナルより着丈を若干長めに設定しながら、Gジャン特有の短丈の輪郭は失っていない。着やすさを考えて手を加えているのに、ワークウェアとして生まれた服の無骨さがきちんと残っている。
どこを変えて、どこを変えないのか。
この判断が本当に難しい。LAMPAでは、そうした服作りにこそ、ブランドのセンスが表れると考えている。
岡山県児島を拠点とし、デニムを得意とするORDINARY FITS。今回のDENIM JACKET TYPE 1STには、古い服の魅力を理解したうえで、今の時代に着るための工夫が表れている。そして、その考え方は着丈だけでなく、生地作りにも通じている。
今回のジャケットに使用されているのは、ORDINARY FITSが1947年頃の501XXを研究して開発した、オリジナルの14オンスセルビッチデニム。素材はコットン100%だ。
ヴィンテージデニムを語るうえで、1947年頃の501XXは外すことのできない存在だ。第二次世界大戦が終わり、物資統制によって簡略化されていた仕様が再び整えられた時代。デニムの歴史においても重要な転換期であり、この頃の501XXは、後のジーンズへとつながる一つの完成形として知られている。
そして、この時代のデニムが今なお高く評価される理由の一つが、生地そのものの表情にある。
当時のデニムを理解するうえで重要なのは、糸の太さに生じる自然なムラ、インディゴの染まり方、そして経糸と緯糸が織り重なる際の張力や密度だ。
インディゴ染色された経糸は、表面に色が集中し、中心部分には白い芯が残る。着用による摩擦で表面のインディゴが少しずつ削られると、その内側の白が現れる。さらに糸の太い部分と細い部分では摩耗の仕方が異なるため、生地の表面に不規則な濃淡が生まれていく。
いわゆる縦落ちと呼ばれる表情も、こうした糸と染色の性質が重なって生まれるもの。単に青が薄くなるのではなく、白く擦れた部分、その周囲に残る淡い青、さらに濃いインディゴが細かく入り交じることで、生地に奥行きが生まれる。
また、1940年代のデニムと1950年代、60年代のデニムでは、糸の性質や生地の設計、色落ちの傾向にも違いが見られる。ただし、年代によって生地が一斉に切り替わったわけではなく、同じ年代でも個体差がある。だからこそ、単純に古いほど良い、縦落ちが強いほど良いという話ではない。
大切なのは、糸の凹凸や色の残り方が、着込んだときにどんな表情を作るのかということ。デニムを長く見続けていると、派手な色落ち以上に、何気ない部分に残る細かな濃淡に惹かれることがある。
ORDINARY FITSが今回の生地で取り組んだのも、そうした古いデニムの質感を、糸の段階から考えることだった。数種類の糸を組み合わせることで、経糸に長いムラ感を持たせ、ヴィンテージデニム特有の不均一な表情を再現している。
ここで重要なのは、単に糸を不均一にすれば良いわけではないということだ。太い部分と細い部分が不自然に繰り返されれば、いかにも加工して作ったムラに見えてしまう。長いムラを持つ糸を組み合わせることで、生地全体に均一ではない濃淡や凹凸を生み出す。その自然さを追求するところに、ヴィンテージデニムを研究する意味がある。
14オンスという重量も、この生地を考えるうえで大切な要素だ。数字だけを見れば、デニムとして特別に重いわけではない。しかし、生地の良し悪しはオンスだけでは決まらない。同じ14オンスでも、糸の性質や織りの密度によって、手にしたときの質感も、着用したときの輪郭も変わってくる。
今回の生地で評価したいのは、1947年頃のデニムを研究しながら、当時の見た目だけを追いかけていないところだ。糸のムラによる表面の凹凸を残しつつ、ジャケットとして着たときに生地がどう見えるかまで考える。14オンスという数字の向こうに、糸と織りの組み合わせを選ぶ作り手の判断がある。
ヴィンテージデニムを考えるうえでもう一つ知っておきたいのが、当時の生地を現在の技術で再現することの難しさだ。
1940年代のデニムは、シャトルと呼ばれる杼を左右に往復させながら緯糸を織り込む、旧式のシャトル織機によって生産されていた。生地の両端で緯糸が折り返すことで形成されるセルビッチは、こうした製法を象徴するものでもある。現在主流となっている高速織機と比べると、旧式のシャトル織機は生地幅が狭く、生産速度も遅い。機械の調整や維持管理にも多くの手間が必要となる。
しかし、古い織機を使えば、それだけで1940年代の生地が出来上がるわけではない。
原綿の選定から紡績、糸の撚り、インディゴの染色、織る際の張力、緯糸の打ち込み、そして仕上げ加工まで。その一つひとつが生地の硬さや凹凸、洗濯後の収縮、さらには色落ちにまで影響する。
同じ太さの糸を使い、同じ重量のデニムを織ったとしても、糸の張り具合や打ち込み方が違えば、生地の質感は変わってしまう。糸のムラを強くすればヴィンテージらしく見えるとも限らない。むしろ、その不均一さをどこまで自然に表現するかが難しい。
さらに、現在残っているヴィンテージの多くは、長年の着用や洗濯によって変化した状態にある。そこから新品当時の糸や織りの状態を読み解き、再び生地として形にするには、相応の知識と技術が求められる。
現在も日本をはじめ各地で旧式シャトル織機によるデニム生産は続けられているが、設備を維持するだけでなく、紡績や染色などの工程を支える生産体制も必要になる。技術的に一度再現できたとしても、それを安定して作り続けることはまた別の難しさがある。
かつては日常の作業着を作るための生地だったものを、今ではその時代特有の質感を求めて、手間と時間をかけて作り直している。
当時のデニムを研究するということは、完成した色落ちを真似るだけではなく、その表情が生まれるまでの工程を一つずつ読み解くことでもある。何十年も前の生地に、現在の作り手がこれほどの労力を注いでいる。その事実だけでも、デニムという素材の奥深さが伝わってくる。
今回のORDINARY FITSでは、打ち込み本数を多めに設定して生地の密度を高め、洗いを繰り返してもヘタりにくいタフさを持たせている。
デニムの魅力というと、どうしても色落ちや表面の凹凸に目が向きやすい。しかし、もともと作業着として使われていた素材だからこそ、繰り返し着て、洗うことを前提とした丈夫さにも大きな意味がある。糸に自然なムラを持たせながら、織りの密度によって生地としてのしっかりした質感を確保する。ここに今回の生地作りの面白さがある。
さらに、このデニムでは毛焼き加工を施していない。毛焼きとは、生地の表面に出た細かな毛羽を焼いて取り除き、表面を整える加工のこと。これを行わないことで、糸が持つ毛羽立ちをあえて残している。
表面をきれいに整えたデニムとは違い、毛羽が残ることで生地に少し粗さのある質感が生まれる。新品の段階から、均一に整えられた工業製品とは異なる、昔の作業着を思わせる表情を楽しめる。
もう一つ興味深いのが、スキュー加工を施していないことだ。スキュー加工とは、デニムの洗濯などによって生じる斜行やねじれを、あらかじめ補正するための加工。現在では、製品の形を安定させるために用いられることがある。
デニムは綾織りの構造や糸の撚りなどの影響によって、洗濯後に生地が斜行する性質を持つ。スキュー加工を施さないということは、その性質をあらかじめ補正せずに残しているということだ。実際にどの程度の変化が現れるかは着用や洗濯の条件によって異なるが、古いデニムに見られる特徴の一つを、現代の加工で消していない点は興味深い。
もちろん、斜行が生じること自体が優れた生地の証明になるわけではない。ただ、かつてのワークウェアが持っていた不均一さを、現代の技術ですべて消してしまわない。
糸のムラを作り込み、毛羽立ちを残し、斜行を補正しない。一方で、打ち込み本数を増やすことで、洗いを繰り返してもヘタりにくい強さを持たせている。古いデニムの表情を求めながら、現在の作り手が必要だと考える部分には、しっかりと手を加える。その積み重ねによって、この14オンスデニムが生まれている。
今回のDENIM JACKET TYPE 1STは、1940年代のLEVISの通称1stをデザインのモチーフとしている。
フロントに設けられた左右のアクションプリーツは、身体の動きに対応するための構造。生地を折り畳んで前身頃に収めることで、必要なときにゆとりを生み出すという、ワークウェアならではの合理的な発想から生まれている。現在ではその縦のラインが前身頃に立体感を与え、1stを象徴するデザインにもなっている。
左胸だけに配されたフラップポケットも、このモデルならではの特徴。左右対称ではない配置によって、中央の前立てやアクションプリーツとの間に独特の表情が生まれる。装飾を増やさなくても、前身頃にしっかりとした力強さがある。
背面にはプリーツとシンチバックを配置。シンチバックは本来、腰回りのフィットを調整するためのものだが、背中に金属パーツとベルトが加わることで、後ろ姿にもワークウェアらしい無骨さが残る。フロントの縦のラインに対し、背面ではシンチバックが横方向のアクセントとなり、前後で異なる表情を見せてくれる。
ORDINARY FITSでは、このシンチバックに針のないタイプを採用している。ヴィンテージの針付きシンチバックは、金属の針が露出する構造のため、車のシートなどに引っ掛かって傷を付けてしまうことがある。
針なしにすることで、1st特有の後ろ姿を残しながら、車のシートなどを傷つける心配にも配慮している。古いディテールをただ再現するのではなく、実際に着る人の生活まで考えて手を加えているところがいい。
そして、着丈の調整によって、裾を出したときにも身頃が極端に短く見えず、腰回りに自然な収まりが生まれる。一方で、フロントのプリーツやシンチバックが持つワークウェア特有の造形は、しっかりと主張している。
僕が最初に試着してピンときたのは、この全体のバランスだった。昔のGジャンに感じていた苦手な部分が解消されているのに、目の前にあるのは、紛れもなくGジャンなのだ。
今回のモデルはONE WASH仕様。インディゴの深い色合いを残しながら、一度洗いをかけた状態で仕上げられている。毛羽を残した生地の質感や、14オンスのデニムが作るしっかりとした輪郭を、新品の段階から楽しめる仕上がりだ。
着用と洗濯を重ねれば、インディゴの色合いや生地の表面にも少しずつ変化が現れる。毛羽立ちが落ち着いていく部分もあれば、身体の動きに沿って擦れが生まれる部分もある。そうした変化が一様ではないところも、デニムを着続ける楽しさの一つだ。
ヴィンテージの1stを知っている人なら、オリジナルとの細かな違いに作り手の考えを感じられる。そして、そうした歴史を知らなくても、着たときの形そのものに魅力がある。古い服の特徴を残しているからといって、着る人にヴィンテージの知識を求めるわけではない。
あれほど苦手だったGジャンを、今では自分の店で紹介しています。
短い着丈にも、ワークウェアとして生まれた服ならではの魅力があります。その魅力を失わずに、僕自身が着たいと思える形に仕上げてくれたことが、何より嬉しいのです。
かつては買わずに帰ったGジャンを、今では自信を持ってお客様に紹介できます。ORDINARY FITSが、この服に対する僕の考え方を変えてくれました。
カバーオールといえば、まず思い浮かぶのはアメリカンワーク。厚く硬いダック地、大きなポケット、頑丈な作り。道具として生まれた服ならではの無骨さには、やはり惹かれるものがある。
ただ、同じワークウェアでも、ヨーロッパのものには少し違った魅力がある。実用的な作業着でありながら、どこか端正で、無骨さの中に色気がある。特にフランスの古いワークジャケットには、アメリカンワークとは異なる独特の佇まいを感じる。そんなヴィンテージのFRENCH WORK WEARをベースに、BRENAらしい解釈で形にしたのが新型OBLIだ。
LAMPAでも人気の高いGARDIに続き、新たな定番になってほしいと思えるカバーオール。デザインソースはフランス、使われている生地はGERMAN DUCK、そして異素材の切り替えにはイタリア製の人工スエード。フランスのデザイン、ドイツの生地、イタリアの素材。この組み合わせを知るだけでも、服好きとしては興味をそそられる。しかも今回はTABACとBLACKの2色。それぞれに違った魅力がある。
ダック地と聞いて思い浮かべるのは、CARHARTTに代表されるアメリカンワークの、厚く、硬く、重たい、あのガシッとした生地。あれはあれで格好いいし、長年親しんできた素材でもある。
ところが、このGERMAN DUCKは印象が違う。ダック地らしいしっかりとした芯とハリがありながら、適度な柔らかさと軽さを備えている。生地そのものに力強さはあるものの、過剰な硬さがなく、袖を通した時の感覚は軽快だ。
一般的なヘビーダックのカバーオールでは、生地の硬さそのものが服の輪郭を作ることも多い。しかし、このGERMAN DUCKは、しっかりとしたハリを残しながらも硬さを主張しすぎず、ジャケット本来の形を自然に見せてくれる。
この違いは着心地だけでなく、見た目にも表れている。ダック特有の乾いた質感とワークウェアらしい力強さはありながら、必要以上に重たく見えない。だからこそ、襟やポケットの形、異素材の切り替えといったデザインも生きてくる。
アメリカンワークのダックが持つ無骨さとは、また違った魅力。同じカバーオールでも、生地の選択ひとつでここまで印象が変わる。フレンチワークをベースにしたOBLIに、このGERMAN DUCKを選んだことには大きな意味がある。
今回のOBLIで、特に気に入っているカラーがTABAC。
フレンチワークといえばブルーのモールスキンを思い浮かべるが、古いフランスのワークウェアにはCACHOUと呼ばれる褐色系の色も存在していた。そしてTABACもまた、タバコの葉を思わせる黄褐色から茶色を指す、フランスで古くから使われてきた色名だ。
この色の魅力は、単なるブラウンとは少し違うところにある。タバコの葉を思わせる落ち着いた褐色には、ワークウェアらしい土臭さがありながら、どこか柔らかさも感じられる。GERMAN DUCKの乾いた質感と重なることで、色と生地の両方から自然な力強さが伝わってくる。
特にデニムと合わせた時がいい。ブルーのデニムに対してTABACの褐色がはっきりとした色の違いを生みながら、互いに主張しすぎない。ワークウェア同士の組み合わせでありながら、アメリカンワークのヘビーダックとは違った落ち着いた見え方になる。
そして、このTABACにイタリア製のスエードが加わることで、色の表情がさらに豊かになる。ダック地の乾いた表面と、スエードの起毛した表面。同じジャケットの中に異なる質感があることで、褐色の印象が単調にならず、襟や胸ポケットに自然と目が向く。
茶色いワークジャケットは、ともすれば無骨さが前面に出すぎることもある。しかし、このOBLIはTABACの持つ土臭さと男らしさを残しながら、異素材の切り替えによって洗練された印象にまとめている。フレンチワークをベースにした服だからこそ、この色が実によく似合う。
一方のBLACKにも、フレンチワークの歴史とつながる魅力がある。
フレンチワークといえばブルーのモールスキンが有名だが、古いフランスのワークウェアにはブラックモールスキンのジャケットも存在していた。ヴィンテージ市場ではブルーに比べて見かける機会が少なく、古いフレンチワークを知る人にとっては特別な魅力を持つ色でもある。
つまり、フレンチワークにおけるBLACKは、現代的な印象を与えるためだけの色ではない。実際に労働着として着られてきた歴史を持つ色だ。
もちろん、今回のOBLIはモールスキンではなくGERMAN DUCK。モールスキン特有の起毛した表面とは異なり、ダック地の乾いた質感が前面に出ている。古いブラックモールスキンのワークジャケットとは、同じ黒でも素材の見え方がまったく違う。
このBLACKで特にいいのは、大きなポケットやチンストラップといったワークウェアらしいディテールが、全体の色に自然と馴染んでいること。形そのものはしっかりと主張しているのに、黒で統一されることで輪郭が整理され、ジャケット全体がすっきりと見える。
そして、このBLACKをさらに面白くしているのが、イタリア製の人工スエードとの組み合わせ。ダック地の乾いた表面と、スエードの起毛した表面。同じ黒を基調としながら、光の受け方や素材の質感が異なることで、襟や胸ポケットの切り替えがさりげなく浮かび上がる。色で強いコントラストを付けるのではなく、素材の違いによって黒に奥行きを生み出している。
ブルーデニムと合わせれば、黒いジャケットが明確な輪郭を作り、上下の色にメリハリが生まれる。ワークウェア同士の組み合わせでも、色の対比によって装い全体が引き締まる。TABACとはまた違った方向から、OBLIのデザインを楽しめるカラーだ。
デザインはヴィンテージのFRENCH WORK WEARをベースに、襟にはチンストラップを備え、胸ポケットと両脇には丸みを持たせた大きめのポケットを配置。
特に両脇のポケットは、ワークウェアらしい実用的な大きさを持ちながら、角を立てずに丸みを持たせることで、前身頃に柔らかな線を生み出している。無骨なカバーオールでありながら、どこか洗練された印象を受けるのは、こうした形の取り方も大きい。
そして、このOBLIをさらに魅力的にしているのが異素材の切り替え。襟、胸ポケット、袖の内側には、イタリア製のウォッシャブル人工スエードを採用している。一般的なスエード調素材は片面起毛のものが多いが、今回使用しているのは両面起毛のタイプ。そのため通常のものより厚みがあり、しっかりとした素材感を備えている。
この厚みが、実にいい。
薄いスエードではなく、両面起毛による厚みを持った素材を貼り付けることで、GERMAN DUCKの力強さに負けない存在感が生まれている。襟や胸ポケットにスエードを配しても、ただ異素材を付け足した印象にはならない。それぞれの素材が持つ存在感が釣り合っているからこそ、切り替えそのものがデザインとして成立している。
特に顔に近い襟のスエードは、ジャケット全体の印象を左右する部分。チンストラップを備えたワークウェアらしい襟の形に、柔らかな起毛感が加わることで、首元に独特の表情が生まれている。
そして、もうひとつ面白いのが袖の内側へのスエード使い。
袖の内側にスエードを貼り付けているため、通常の状態ではダック地が主体となるが、袖口を折り返すことでスエードが表に現れる。襟や胸ポケットと同じ素材が袖口にも加わり、ジャケット全体の見え方が変化する仕組みだ。
袖を折り返さず、すっきりと着るのもいい。少し折り返して、スエードを見せるのもいい。TABACでは褐色の中に異素材の切り替えがよりはっきりと現れ、BLACKでは大きな色の変化ではなく、起毛した素材の表面感によって印象が変わる。
大きくデザインを変えることなく、袖口の扱いひとつで服の表情を動かせる。僕はこういうディテールに弱い。
古いワークウェアにも、襟や袖口に異素材を用いたものは存在する。摩擦の多い部分を補強するという実用的な考え方もあるが、今回のOBLIに関しては、むしろ装飾的な意味合いが強いと感じる。
ただし、その装飾が決して過剰ではない。襟、胸ポケット、袖の内側という限られた場所に使用することで、GERMAN DUCKの魅力を損なわず、スエードの質感を効果的に見せている。ワークウェアの実用的なディテールを土台にしながら、装飾としての面白さを加える。この匙加減がBRENAらしい。
デニムや軍パンとの組み合わせでは、カバーオール本来の男らしさが生きる。一方、スラックスのすっきりとした線に対しては、OBLIの丸みのあるポケットやワークウェアらしい輪郭がアクセントになる。合わせるパンツによって、同じディテールが違った役割を果たすところも面白い。
長く服を見続けていると、ヴィンテージのディテールを忠実に再現した服だけが魅力的なわけではないと感じる。古い服のどこに価値を見いだし、何を残し、何を変えるのか。その選択によって、服はまったく違うものになる。
フレンチワークの男らしさを残しながら、GERMAN DUCKの軽快さとイタリア製スエードの質感を重ねる。そしてTABACでは褐色の土臭さを、BLACKでは黒の中に現れる素材の表情を見せる。
このOBLIを選んだ理由は、まさにそこにある。古いワークウェアの魅力を知ったうえで、今の服として新しい格好良さを生み出している。だからこそ、単なるヴィンテージの再現では終わらない。
TABACとBLACK、同じデザインでも色が変われば魅力の見え方も変わります。どちらもフレンチワークの持つ男らしさを残しながら、BRENAならではの感性によって新しい表情を生み出しています。袖を通して、その生地の軽快さや細部の作り込みまで感じてほしい一着です。
アウターは、前開きの方が便利だ。着脱もしやすいし、体温の調整だって簡単にできる。
それでもLAMPAでは昔から、被って着るアウターに惹かれる。フロントにジップもボタンもない。だからこそ生まれる独特の形があり、多少の不便さがあっても、それを選びたくなるだけの格好良さがある。
MODMNT、鈴木大器氏のMIL SMOCK SHORTは、まさにそんな一着だ。
デザインのベースとなったのは、英海軍ROYAL NAVYのVENTILE SMOCK。雨風を受ける艦上で、ほかの衣服の上からガバッと被って着るためにつくられた、ゆとりのあるプルオーバーだ。
MODMNTは、その独特な量感とプルオーバーの構造を残しながら、着丈やポケットの配置を大胆に変更。さらに別のROYAL NAVYウェアからディテールを取り込み、素材まで現代のものへ置き換えている。
ROYAL NAVY SMOCKをデザインソースにした服は、これまでにもいくつも見てきた。忠実に再現したものもあれば、ファッションとして大きくアレンジしたものもある。
でも、このMIL SMOCK SHORTは、そのどちらとも違う。元の服が持つ特徴を残すだけではなく、その特徴があるからこそ出来る新しいデザインへ進めている。
これはかなり好きだ。
まず目を引くのが、フロントを中心に配置された大小さまざまなポケット。
これだけポケットを付ければ、普通ならかなりうるさくなる。でも、不思議とそうならない。むしろ、それぞれのポケットの形と配置がつながり、身頃全体でひとつのデザインをつくっている。
ここが上手い。
一般的な前開きのアウターなら、フロント中央にはジップやボタンが走る。当然、左右に分かれた身頃の中でデザインを考えることになる。
しかしプルオーバーには、その制約がない。
フロント全体をひと続きの大きな面として考えられるから、中央をまたぐ位置にもポケットを置ける。大きさも形も変えながら、それぞれをひとつの面の中で組み合わせられる。
MODMNTは、その構造を思い切り生かしている。単に収納力を求めてポケットの数を増やしたのではない。ポケットそのものを服の造形として使っているのだ。
さらに、元のROYAL NAVY SMOCKが持つゆったりとした身幅を残しながら、着丈は少し短くアレンジ。
横方向の量感に対して縦方向を抑えることで、ゆとりのある身頃が必要以上に長く見えない。大きなポケットをいくつも配置しながら全体の輪郭が間延びしないのも、この着丈が効いている。
被りのアウターというと、アノラックをはじめアウトドア由来のものも多い。
でも、これはしっかりミリタリー。なのに、洗練されている。
軍用衣料らしい無骨さを消すことなく、ポケットの大きさ、配置、着丈、身頃の量感を整理し、ひとつの服として成立させている。
これだけ要素を盛り込んでも破綻しない。むしろ要素が多いからこそ、この服にしかない格好良さが生まれている。
フード後方には、同じくROYAL NAVYのFOUL WEATHER JACKETを思わせるクロス状のアジャスターを配置。
本来はフード着用時のフィット感を調整するための機能的なディテールだが、そのクロスしたテープ自体が後ろ姿に強い表情をつくっている。
最初から格好良く見せるためにつくられた装飾ではない。必要な機能を追いかけた結果として生まれた形だ。
それが何十年も経った今、デザインとして見ても格好いい。
僕はこういうディテールに弱い。
さらに面白いのが、背面に設けられたジップ。
プルオーバーの弱点は、どうしても着脱がしづらいことにある。だからといって前開きにしてしまえば、この服の最大の特徴であるフロントの大きな面が失われる。
ならば、後ろを開ける。
フロントのデザインには手を付けず、プルオーバーの着脱のしづらさには背面から手を入れる。
ここにも、この服の考え方がよく表れている。
見た目を優先して不便さをそのままにするわけでもない。便利さを優先して、プルオーバーを前開きに変えてしまうわけでもない。
被りだからこそ出来るデザインを守りながら、その弱点を別の構造で補う。
この発想が面白い。
そして、このMIL SMOCK SHORTを語る上で外せないのが素材だ。
使用しているのは、防水性と透湿性を兼ね備えた3レイヤー素材。耐水圧11,000mm、透湿度8,500g/㎡/24hrレベルの性能を備えている。
耐水圧11,000mmは、一般的に大雨への対応を考える際にも目安とされる10,000mmを超える数値。さらに透湿度8,500g/㎡/24hrという性能によって、衣服内に生じる湿気を外へ逃がすことまで考えられている。
表側の生地と裏側の生地、その間に防水透湿膜を挟み込んだ3層構造。外からの雨の浸入を防ぎながら、身体から発生する水蒸気を外へ逃がす。
そして僕がこの素材選びを面白いと思った理由は、単に高機能だからではない。
デザインソースとなったROYAL NAVYのVENTILE SMOCKもまた、当時の素材と技術によって雨風から身体を守るためにつくられた服だったからだ。
VENTILEは、高密度に織り上げたコットン生地。水分を含んだ綿繊維が膨らむことで糸と糸の隙間を狭め、水の浸入を抑える仕組みを持つ。
対して今回の3レイヤー素材は、防水透湿膜によって水の浸入を防ぎながら、水蒸気を外へ逃がす構造。
素材も違えば、仕組みも違う。
けれど、雨風から身体を守るという役割はつながっている。
ここが重要だと思う。
古いミリタリーウェアを再現するなら、当時と同じ素材を選ぶ方法もある。それには当然、それだけの価値がある。
MODMNTがこの服でやっているのは、それとは違う。
VENTILEという名前や見た目をなぞるのではなく、なぜROYAL NAVYがその素材を必要としたのかを見る。そして当時VENTILEが担っていた役割を、現代の3レイヤー素材へ置き換える。
昔の服の形に、現代の高機能素材を載せただけではない。
元の服がなぜその形で、なぜその素材だったのか。そこを理解した上で、今ならどうつくるかを考えている。
だから、ポケットも、着丈も、背面のジップも、3レイヤー素材も、すべてが同じ方向を向いている。
ROYAL NAVY SMOCKを再現することではなく、ROYAL NAVY SMOCKから何を生み出せるか。
僕がこのMIL SMOCK SHORTをセレクトした理由は、そこにある。
軍用衣料が持つ無骨さも、プルオーバー特有の格好良さも残しながら、今まで見たことのない一着に仕上げています。
元になった服の歴史や構造を知ればさらに面白く、知らなくても純粋に格好いいと思える一着です。
長く服を見てきても、こういう解釈に出会うとやはり嬉しくなります。
鈴木大器氏は、本当に上手いなと思います。
MOUT RECON TAILORから、NIGHTFOLK INSULATION JACKET MT2002が入荷。
表地にはSUPPLEX®、中綿にはCLIMASHIELD®。
ミリタリーにも通じる高機能素材を組み合わせながら、都市生活に馴染むデザインへと仕上げたジャケット。
今回も素材の選び方から細かなパーツ、そしてデザインの引き算まで、実にMOUT RECON TAILORらしい一着。
表地には、DuPont社が開発し、現在はINVISTAが展開する高機能ナイロン、SUPPLEX®を採用。
極細フィラメントによって、ナイロンの丈夫さを持ちながらコットンのように自然で柔らかな風合いを実現した素材。
ドライでしなやかな肌触りに、耐摩耗性、撥水性、通気性、速乾性も備える。
デニムやスウェット、ウールのニットとも自然につながる、この質感がいい。
そして中綿には、米国生まれの高機能中綿CLIMASHIELD®。
長いポリエステル繊維を絡み合わせた連続フィラメント構造が、暖かな空気を蓄える層を支える。
中綿が偏りにくく、圧縮後もふくらみを取り戻しやすい。
座る。バッグを背負う。脱いで畳む。
日常で何度も押しつぶされる中綿だからこそ、この復元力は頼もしい。
なお、同シリーズのAPEXは米軍の寒冷地用衣服システム、ECWCS GEN III LEVEL 7にも採用実績を持つ。
自然な表情のSUPPLEX®に、保温性と耐久性を考えたCLIMASHIELD®。
そしてデザインも実にMOUTらしい。
ベースはフードジャケット。フードとフェイスガードはベルクロで着脱可能。
フードの内側にはマイクロフリースを配し、首元の暖かさにも配慮。
昨今の冬の寒さを考えると、個人的にこのフェイスガードはかなり魅力的。
身頃にはダイヤモンドキルトを配し、そのラインに合わせてポケットまでダイヤモンド型に。
しかもポケットの内側はマイクロフリース仕様。
ここで上手いのが、袖の見せ方。
袖まで同じキルトで揃えず、あえて裏側のスムースな面を表に使っている。
袖をフラットにすることで、身頃のキルトとダイヤモンド型のポケットが際立つ。
全面をキルトにしない。この引き算が格好いい。
左袖にはファスナーポケット。
各所のジッパープルには、ITW NEXUSのGT ZIPLINE ALPHAを採用。
軽量で水を吸いにくい樹脂製。グローブでも掴みやすく、金属製に比べ接触音も抑えられる軍用装備由来のパーツ。
さらに内側の腰部分には、背面へとつながる収納スペースを設け、取り外したフードとフェイスガードを収められる。
外した後のことまで考えられているのがいい。
生地も中綿も、細かなパーツも徹底して機能的。
それでいて、袖の切り替えひとつでポケットの形まで美しく見せる。
機能を詰め込むだけでなく、どこを引くかまで考えられている。
BRAND:MOUT RECON TAILOR
ITEM:NIGHTFOLK INSULATION JACKET MT2002
COLOR:BLACK
SIZE:46 / 48
PRICE:¥79,200(税込)
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
MOUT RECON TAILORから、LOW LOFT RECON ALPHA JACKETが入荷。
今回のジャケット、まず生地の組み合わせが実に面白い。
表地には、COOLMAXを使用したポリエステル100%のメッシュ素材を採用。
COOLMAXは、繊維に設けられた特殊な溝によって汗を素早く吸い上げ、広い範囲へ拡散することで乾燥を促す機能素材。
さらにメッシュ構造によって空気の通り道を確保し、衣服内の熱や湿気を外へ逃がす。
繊維が汗を運び、メッシュが空気を通す。
そして裏地には、POLARTEC® ALPHA® DIRECT ACTIVE INSULATION。
その原点となるPOLARTEC® ALPHA®は、米軍特殊部隊のために開発されたアクティブインサレーション。
激しく動く。
止まる。
待機する。
そして、また動く。
活動量が目まぐるしく変化する任務では、単に暖かいだけの防寒着では対応できない。
従来の中綿のように熱を閉じ込め続ければ、動いた時に暑くなり過ぎ、汗をかけば止まった瞬間に身体を冷やしてしまう。
そこでALPHAが目指したのは、任務中に防寒着を脱ぎ着する必要そのものをなくすこと。
嵩高い繊維が暖かな空気を保持しながら、開放的な構造によって余分な熱と湿気を逃がす。
止まっている時には暖かく、動いた時には蒸れにくい。
さらにALPHA DIRECTでは、ロフト繊維の構造を改良することで、従来必要だった保温繊維を保持するための裏地を不要にした。
これにより軽量化と通気性の向上を実現。
しかも疎水性の繊維によって乾きが速く、濡れても保温性を維持しやすい。
暖かいから脱がなくていいのではない。暑くなり過ぎないから、着続けていられる。
そこへ、吸汗速乾性に優れたCOOLMAXのメッシュを組み合わせる。
ALPHA DIRECTが暖かさを保ちながら余分な熱と湿気を逃がし、COOLMAXが汗を拡散して乾燥を促す。
保温性と通気性、速乾性を一着の中で両立させるための組み合わせ。
そしてデザインは、ややゆったりとしたシルエットにスタンドカラー。
左襟元にはブランド名を配し、さりげないアクセントに。
フロントジップにはITW NEXUSのGT ZIPLINE ALPHAを採用。
軍用装備のために開発された樹脂製のジッパープルで、軽量かつ水を吸いにくく、グローブを着用したままでも掴みやすい。
さらに金属製のプラーと違い、接触音も抑えられる。
裾には軍用バンジーコードを用いたバレルロッククロージャーを採用し、グローブを着けたままでも調節が可能。
こういう細かいパーツの選び方も、実にMOUTらしい。
そして個人的に、このジャケットの上手さを感じるのが、あえてシンプルにまとめたデザイン。
アウターとしてはもちろん、ALPHA DIRECTの特性を活かしたミドルレイヤーとしての着用まで考えられている。
一枚で着れば、軽快なタクティカルジャケット。
上にアウターを重ねれば、通気性と保温性を備えた中間着。
その両方で使えるように、余計な装飾を加えず、シルエットと機能的なパーツで仕上げている。
軍用衣料のスペックを、都市生活の中で最大限に機能させる。
しかも、機能を優先するあまり、ファッションとしての格好良さを犠牲にしていない。
むしろ、シンプルだからこそ素材の表情が際立ち、スタンドカラーや軍用パーツが程よい存在感を生んでいる。
軍用装備の機能性と、都会的で洗練された見え方。
高機能な素材を使うだけなら、他にもできる。
その機能を最大限に活かすために、何を足して、何を足さないか。
そこまで考えられたデザインだからこそ、このジャケットは格好いい。
デザイナー自身が「タクティカルウェアオタク」を自認するMOUT RECON TAILOR。
その徹底したこだわりから生まれる一着は、単に高機能を謳うだけのブランドとは、一線を画す存在だ。
BRAND:MOUT RECON TAILOR
ITEM:LOW LOFT RECON ALPHA JACKET MT2003
COLOR:BLACK
SIZE:46 / 48
PRICE:¥49,500(税込)
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
MOUT RECON TAILORから、MDU PANTが入荷。
先に紹介したMDU JACKETと同じ生地を使い、ROYAL NAVYのカーゴトラウザーズをアップデートした一本だ。
生地には、コットン70%とCORDURAナイロン30%を組み合わせたCORDURA NYCOを採用。
軍用の戦闘服に求められる、耐久性と着用時の快適さを両立するために開発された素材だ。
今回の生地は、USAFのフライトスーツ「K-2B」をイメージソースに、経糸・緯糸ともにコットンとCORDURAナイロンの混紡糸を使い、高密度のツイルに織り上げている。
見た目には、コットンらしい自然な表情。
その一本一本の糸にCORDURAナイロンを混ぜることで、耐久性と耐摩耗性を高めている。
さらに高密度に織ることで、しっかりとしたハリと、生地の輪郭を生み出している。
いかにも化繊という見え方にならず、コットンらしい風合いを残したまま、タフに穿ける。
パンツは座ったり、膝を曲げたり、日常の中で何度も生地に負荷が掛かるもの。
だからこそ、この生地を使う意味がある。
デザインの元になったのは、英国海軍のPCSを構成するカーゴパンツ。
特徴的なのは、太腿に斜めに付いたカーゴポケット。
これは座った状態でも中身を取り出しやすくするための設計。
艦船で働く人の動作を考えた角度が、そのままパンツの格好良さになっている。
もともと、デザインもシルエットもスタイリッシュなパンツだと思う。
そこをMOUTがどう料理するのか。
このポケットを見るだけで、その答えが分かる。
元の傾斜を活かしながら、直線的な輪郭を際立たせたカーゴポケット。
フラップからポケット本体へと続く線が美しく、黒一色の中でも、その形がはっきりと見える。
大きなポケットなのに、野暮ったさを感じさせない。
この形が本当に格好いい。
しかも、それぞれにMOUTが考えた意味がある。
シームレスなフラップの中央には、ダミーポケットスリットを配置。
長さのあるライトなどを差し込める構造になっている。
ポケットの中に物を収めるだけでなく、長い物を携行することまで考えて、フラップ自体を設計しているわけだ。
上部のスラッシュポケットも、ナイフなどの使用を想定した形状と補強を採用。
さらに左右それぞれに、コンシールファスナーで閉じるシークレットポケットを備える。
手を入れやすい場所と、落としたくない物を収める場所。
同じポケット周辺に、異なる役割を持たせている。
機能を突き詰めた先に、この形がある。
ウエストの両サイドには、ITW NEXUS製のラダーロック。
テープを引くとウエストが締まり、その長さを保持する面白い仕様だ。
左右からフィットを調整できるうえ、両サイドから下へ伸びるテープが、パンツに縦の線を加えている。
調整のために必要なテープまで、見た目に効いているところがいい。
ベルトループには、同じくITW NEXUS製のDリング。
フックなどで小物を接続するための場所も備える。
裾はベルクロで調整が可能。
そのまま穿いたときと、裾を絞ったときで、足元の収まりやシルエットを変えられる。
ポケット、テープ、Dリング、裾のアジャスター。
これだけデザインが入りながら、全く濃さを感じさせない。
黒の中に全ての形が収まり、パンツ全体としてすっきりと見える。
そして、先に触れたCORDURA NYCOのハリが、直線的なポケットの形やパンツのシルエットにも効いている。
機能を備えたパーツと、それを受け止めるタフな生地。
その組み合わせが、黒いカーゴパンツの格好良さをここまで引き上げている。
軍用衣料の実用性を、都市で穿きたい一本へと仕上げた、流石としか言いようのないカーゴパンツだ。
BRAND:MOUT RECON TAILOR
ITEM:MDU PANT MT-2006
COLOR:BLACK
SIZE:44 / 46 / 48
PRICE:¥57,200(税込)
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
MOUT RECON TAILORから、MDU JACKETが入荷。
デザインソースは、ROYAL NAVY(英国海軍)のPCS COMBAT JACKET。
もともとミリタリーでありながら、比較的スタイリッシュなデザインを持つ一着。
それをMOUT RECON TAILORが独自の解釈で、現代的なタクティカルジャケットへと作り直した。
まず、生地がいい。
使用しているのは、コットン70%とCORDURAナイロン30%を組み合わせたCORDURA NYCO。
もともとは軍用の戦闘服のために開発された素材。
過酷な使用に耐える丈夫さと、長時間着続けられる快適さ。
その両方を求められる衣服から生まれた生地だ。
今回はUSAFのフライトスーツ「K-2B」をイメージソースに、経糸・緯糸ともにコットンとCORDURAナイロンの混紡糸を使用し、高密度のツイルに織り上げている。
見た目にはコットンらしい自然な表情。
でも、その一本一本の糸には、摩擦や引き裂きへの強さを担うCORDURAナイロンが混ざっている。
さらに高密度に織ることで、しっかりとしたハリと生地の輪郭を生み出している。
いかにも化繊という機能素材ではなく、コットンらしい風合いを残しながら耐久性を高めているところがいい。
そしてデザイン。
ROYAL NAVYのCOMBAT JACKETをベースに、カラーはNAVYではなくBLACK。
胸部の特徴的な大きなポケットは、オリジナルのベルクロ仕様からファスナー仕様へ変更。
大きなポケットの存在感はそのままに、フロントの印象がよりシャープになっている。
さらにオリジナルにはない腹部のボトムポケットと、左袖のファスナーポケットを追加。
収納力を高めながら、見た目にもタクティカルな要素が加わっている。
裏地にはメッシュを配し、肌離れを良くすることで着心地も向上。
胸上部のベルクロには、MOUT RECONと夜間部隊を意味するNIGHT TROOPSの刺繍を入れたNAME PATCH。
軍用衣料の識別パッチを思わせるディテールを、ブランド独自の表現として取り込んでいる。
フロントにはダブルジップを採用。
そして個人的に注目したいのが、ファスナーのスライダーに取り付けられた小さなパーツ。
ITW NEXUSのGT ZIPLINE ALPHA。
軍用装備のために開発された樹脂製のジッパープルで、軽量かつ水を吸いにくく、グローブを着用したままでも掴みやすい形状。
さらに金属製のプラーと違い、接触による音も抑えられる。
知らなければ見過ごしてしまう数センチのパーツ。
でも、こういうところにまで機能を求めるのがMOUT RECON TAILOR。
そして何より、このジャケットは格好いい。
高密度に織り上げたBLACKのCORDURA NYCOが、ジャケット全体にしっかりとした輪郭を生み出している。
そこへ、大きな胸ポケットが力強い存在感を加え、腹部と袖のファスナーポケットがタクティカルな表情を強調する。
さらにダブルジップのフロントが縦のラインを引き締め、無骨なディテールを備えながらも、全体の印象は実にシャープ。
もともと比較的スタイリッシュだったROYAL NAVYのジャケットを、さらに現代的で洗練された一着へ。
この解釈の仕方とセンスには、流石としか言いようがありません。
BRAND:MOUT RECON TAILOR
ITEM:MDU JACKET MT2004
COLOR:BLACK
SIZE:46 / 48
PRICE:¥74,800(税込)
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
A VONTADEからLAX MAC HALF COATが入荷。
今回、まず惹かれるのは生地。
使用しているのは、日本有数の毛織物産地である尾州で織り上げた、メリノウールを使用したホームスパン生地。
そもそもホームスパンとは、英国の羊毛農家が自分たちの暮らしのために、羊毛を紡ぎ、織っていた布が原点。
その手仕事から生まれた、素朴で温かみのある表情が魅力の毛織物。
今回A VONTADEが使用しているのは、そのホームスパンの風合いを、メリノウールの紡毛糸で表現したもの。
メリノウールならではの繊維の細さとしなやかさ。
そこへ紡毛糸特有のふっくらとした膨らみと、空気を含んだ柔らかな温かみが加わる。
さらに、糸に散りばめられたカラーネップ。
遠目には落ち着いた無地のように見えながら、近くで見ると小さな色の粒が浮かび上がる。
この表情がいい。
そして注目したいのが、そんな膨らみのある紡毛糸を、あえて高密度に織り上げているところ。
柔らかく温かみがありながら、生地には適度なコシがある。
素朴な見た目に、上質な素材感としっかりした織り。
この組み合わせが絶妙。
そしてデザイン。
ベースとなるのは、昔ながらのクラシックなMACコート。
中でも個人的に惹かれたのが襟元。
襟にはボタンとボタンホールが設けられ、襟を立てて留めることで首元を覆える仕様。
これ、古いBurberrysのバルマカーンコートなどにも見られるディテール。
別パーツのチンストラップではなく、襟そのものを使って首元を閉じる。
そして、この仕様が今回のメリノホームスパンと相性がいい。
襟をスタンドカラーにすれば、ふっくらとしたメリノホームスパンが首元を包み込む。
この暖かさが最高。
これならマフラーいらず。
もともとは防寒という実用性から生まれたディテールが、素材の良さによってさらに生きてくる。
こういうところに、クラシックなコートの魅力を感じる。
そしてシルエットは、ジャケットや厚手のセーターも着込めるゆったりした身幅に、丸みのあるラグランスリーブ。
クラシックなコートにありがちな堅苦しさを感じさせない、リラックスしたバランス。
そして、もう一つ注目したいのが、このハーフ丈。
コートは着たいけど、ロング丈だと少し大袈裟に感じる。
そんな方には、まさに丁度良い長さ。
コートらしい上品な雰囲気はしっかり残しながら、ブルゾンのような気軽さで羽織れる。
しかも、この丈なら普段のカジュアルな服装はもちろん、ジャケットの上から羽織るような少し綺麗な着こなしにも対応できる。
この絶妙な丈のバランスが、日常での使いやすさにつながっている。
身頃裏にはコットンツイル、袖裏にはキュプラを配した総裏仕立て。
袖裏に滑りの良いキュプラを使うことで、厚手のセーターやジャケットの上からでも袖を通しやすい。
一方、身頃にはあえてコットンツイル。
クラシックなホームスパンのコートを脱いだ時、裏側までツルツルとした光沢のある生地では、少し雰囲気が違う。
コットンツイルならではのマットで自然な表情が、表地の素朴なホームスパンとよく馴染む。
そして仕上げには製品洗い。
高密度に織り上げた生地を、完成したコートの状態で洗うことで、ふっくらとしたナチュラルな表情に仕上げている。
しっかりとしたコシのある生地なのに、見た目はどこか柔らかく、最初から身体に馴染んでいるような佇まい。
クラシックなコートを、必要以上に堅苦しく見せない。
この仕上がりに、A VONTADEの上手さを感じる。
BRAND:A VONTADE
ITEM:LAX MAC HALF COAT
品番:VTD-0605-CT-W
COLOR:Dark Sepia
SIZE:S / M / L
PRICE:¥63,800(税込)
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A VONTADEから、MECHANIC JACKETが入荷。
デザインソースは、1970年代のCWUジャケット。
ミリタリーをベースにしているから、当然その骨格には男っぽさがある。
でも、このジャケットを見た時にまず惹かれるのは、その無骨さだけじゃない。
生地が凄くいい。
使用しているのは、SUPER140’Sクラスのオーストラリア産ウールにラムウールをブレンドしたシングルメルトン。
SUPER140’Sが示すのは、糸の細さではなく原毛の細さ。
非常に細いウール繊維を使うことで、メルトンでありながら肌触りが驚くほど滑らか。
そこへラムウールをブレンドすることで、柔らかな膨らみも加えている。
さらに縮絨をかけ、繊維を絡ませながら目を詰めることで、冬のアウターに欲しいしっかりとした生地感も残す。
メルトンらしい張りとまとまりはある。
でも、触ると滑らかで柔らかい。
しっかりしているのに、硬くない。
しかも全くと言っていいほどチクチク感がない。
デザインは、70年代のCWUをベースにしながら着丈を少し短めに設定。
襟にはドットボタンを配し、留めればスタンドカラーとして着用可能。
首元まで立ち上げれば防寒性が高まるだけじゃなく、滑らかなウールが首まわりを暖かく包み込んでくれる。
硬くてゴワつくメルトンだったら、同じデザインでもこの着心地にはならない。
そしてフロントには、特徴的なフラップポケットを4つ。
これだけ存在感のある襟があって、さらに胸まわりに4つもフラップポケットが付いている。
普通に考えたら、かなりうるさくなりそうなデザイン。
でも、ちゃんと一着の服として収まっている。
むしろ、この情報量が男っぽさにつながっている。
脇にはタブを配し、シルエットを調節できると同時に見た目のアクセントにもなっている。
フロントには、WALDES社の存在感ある大きめのジップ。
滑らかで品のあるメルトンの中に、この無骨な金属パーツが入る。
そして袖にはアジャスター。
袖口を少し締めるだけで、腕まわりの見え方が変わる。
ここはグッと少し絞って着たいです。
BRAND:A VONTADE
ITEM:MECHANIC JACKET VTD-0604-JK
COLOR:DARK BROWN / DARK NAVY
SIZE:M / L
PRICE:¥69,300(税込)
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先ほどご紹介したハーフジップと同じ、A VONTADEのウールパイルシリーズ。
こちらはZIP CARDIGAN。
生地については先ほどのハーフジップと同じ、リサイクルウールに圧縮をかけたウールリングパイルを使用している。
表面に細かなループがびっしりと並び、圧縮によって生地の目を詰めることで、ふっくらとした膨らみがありながら、適度なハリと無骨な男っぽさがある。
見た目に反して軽く、Tシャツの上から着てもチクチク感は全く気にならない。
ここからが、このモデルの話。
デザインのベースはいわゆるカーディガン。
でも、一般的なニットカーディガンとはかなり印象が違う。
首まわりやポケットなどはパイピングで仕上げ、生地の輪郭をはっきりと見せている。
そしてVゾーンはかなり狭め。
この狭いVゾーンとパイピングによって、どこかミリタリーのライナージャケットを思わせる雰囲気がある。
ここが個人的にかなり好き。
普通のカーディガンなら、もう少し柔らかく上品に見えるところ。
でもこれは、ウールリングパイルの粒立った表情とライナーのようなデザインが重なることで、しっかり男っぽい。
しかもフロントが開くカーディガンだから、先ほどのハーフジップとは使い方も変わる。
Tシャツの上からサッと羽織る。
寒くなれば、そのままコートやジャケットの中に着られます。
BRAND:A VONTADE
ITEM:WOOL PILE ZIP CARDIGAN VTD-0652-CS
COLOR:DARK BROWN / BLACK
SIZE:S / M
PRICE:¥28,600(税込)
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A VONTADEから、WOOL PILE HALF ZIP PULLOVERが入荷。
まず、この生地がいい。
使用しているのは、リサイクルウールに圧縮をかけたウールリングパイル。
パイル生地にも色々ある。
毛足を開いたボアのようなフワフワしたものもあれば、もっと柔らかく優しい表情のものもある。
でも、A VONTADEが選ぶパイルは違う。
表面に細かなループがびっしりと並び、その一つ一つが光と影を拾うことで、単色なのにしっかりと奥行きがある。
さらに圧縮をかけて生地の目を詰めているから、ふっくらしているのに頼りなく見えない。
適度なハリがあり、どこか無骨で男っぽい。
見た目に反して、着るとかなり軽い。
そして個人的に驚いたのが、肌当たり。
ウールのパイルだから、Tシャツの上に直接着たら多少チクチクするかなと思った。
でも、全く気にならない。
首まわりも同じ。
実際にTシャツの上から着ても問題なく、これならスウェットやフリースと同じような感覚で気軽に着られる。
ウールそのものが持つ天然の縮れに加え、リングパイルの立体的な構造が空気を抱え込む。
さらにウールには湿気を吸収して外へ逃がす性質があるので、寒い時は暖かく、身体が温まった時には衣服内の湿気を調整してくれる。
ループを支える土台部分には化繊を混ぜ、強度を補いながら軽さも確保している。
ベースはハーフジップのプルオーバー。
肘には、メランジ調のツイル生地を使ったエルボーパッチを配している。
パイルは摩擦が集中する部分では毛玉ができやすい。
そこを別生地で補強するという機能的な意味がありながら、ウールパイルの中にツイルの表情が入ることで、見た目にもアクセントになる。
さらに裾にはアジャスター。
絞れば下から入る冷たい風を抑えられる。
合わせるパンツやアウターによって裾を絞れば、着丈の見え方やシルエットまで変えられる。
綺麗なパンツと合わせるのもいい。
でも、この生地から漂う男っぽさを見ていると、個人的にはミリタリー。
パイルの柔らかな膨らみがありながら、甘く見えない。
カーゴパンツやファティーグパンツのような無骨なパンツに合わせたいです。
BRAND:A VONTADE
ITEM:WOOL PILE HALF ZIP PULLOVER VTD-640-CS
COLOR:DARK BROWN / DARK NAVY
SIZE:S / M
PRICE:¥26,400(税込)
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A VONTADEから、ブランドクラシックともいえるFATIGUE TROUSERSが入荷。
ベースにあるのは、アメリカのファティーグパンツ。
でも、単なる復刻ではない。
使用しているのは、スレン染めを施した高密度バックサテン。
緯糸には太さが不均一なムラ糸を打ち込み、横方向に自然な筋や凹凸を出している。
しっかりと目が詰まり、光沢を抑えた無骨な表情。
でも、見た目ほどゴワゴワしていない。
バックサテンは、滑らかな朱子面が裏側にくる。
だから高密度でしっかりした生地でありながら、肌に触れる側は滑らかで、身体の動きにも馴染みやすい。
そして、この生地で重要なのがスレン染め。
本来、ミリタリーのバックサテンは、穿いて洗うほど色が抜け、オリーブも徐々に薄くなっていく。
もちろん、それもヴィンテージの格好良さ。
でもA VONTADEは、ムラ糸による凹凸や無骨な表情は残しながら、染色には洗濯や日光による退色に強いスレン染めを選んでいる。
昔のミリタリーが持っていた風合いは欲しい。
でも、色の抜け方まで昔と同じにする必要はない。
気兼ねなく穿く。
汚れたら洗う。
そして、また穿く。
その繰り返しで生地は身体に馴染んでいく。
でも、気に入って選んだ色は長く残る。
まず目を引くのが、独特な丸みを持たせたカーゴポケット。
この形が格好良い。
でも、注目して欲しいのは形だけじゃない。
ポケットの位置。
本来カーゴポケットは、手を入れようとすると少し身体を傾けるくらい低い位置に付いているものも多い。
でもこれは、自然に腕を下ろしたところから、そのままスッと手が入る高さに設定されている。
しかも完全な真横ではなく、少し前側へずらして配置。
さらにポケット口にも少し膨らみを持たせている。
実際に手を入れてみると、本当にストレスがない。
丸みのある独特な形がデザインになっているのに、その形と位置がちゃんと使いやすさにもつながっている。
こういうところが上手い。
ジッパーには、1940〜50年代当時の規格や製法を再現してつくられるWALDESを採用。
ウエストにはアジャスターを配し、ベルトなしでも調整可能。
ヒップにはスナップボタン付きのフラップポケット。
そして、このパンツでかなり重要なのがシルエット。
いわゆる極太ではない。
かといって、綺麗に見せようとして細くしすぎてもいない。
ミリタリーパンツ特有の無骨さはちゃんと残す。
でも、現代の服として穿けるところまで整えています。
BRAND:A VONTADE
ITEM:FATIGUE TROUSERS VTD-0485-PT2
COLOR:OLIVE / FADE BLACK
SIZE:S / M / L
PRICE:¥30,800(税込)
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THING FABRICSから、CARDIGAN (Random loopwheel)が入荷。
まず目に飛び込んでくるのは、この生地。
使用しているのは、コットン100%のランダムループ裏毛。
通常の裏毛は、裏側に並ぶループをある程度均一に揃える。
でもこれは、そのループが不規則。
大小のループがランダムに並ぶことで、表面に細かな凹凸が生まれる。
そしてTHING FABRICSは、本来なら服の裏側に隠れているはずのそのループ面を、あえて表に持ってきた。
パッと見た時は、どこかタオル生地のよう。
でも実際はスウェット。
柄を入れたわけでも、装飾を足したわけでもない。
裏毛の裏表をひっくり返し、ランダムループそのものをデザインとして見せている。
細かな凹凸に光と影ができるから、無地なのに表情がある。
この生地を、希少な吊り編み機で糸に余計なテンションをかけず、ゆっくりと編み上げている。
だから、ふっくらとして柔らかい。
実際、着心地が凄く良い。
表側はこれだけ立体的なのに、肌に触れる内側には本来表側になる滑らかな面がくる。
着てしまえば気楽なスウェット。
デザインは、ややゆったりとしたシルエット。
名前はカーディガンだけど、一般的なカーディガンとはかなり雰囲気が違う。
胸元のVゾーンをかなり狭くすることで、どこかミリタリーのライナーを思わせるような見え方。
さらにフロントには、生地の表情を邪魔しないよう、表から見えないスナップボタンを採用している。
主役はあくまで、このランダムループ。
綺麗なパンツと合わせて、生地とのギャップを楽しむのもいい。
でも個人的には、デニムやカーゴパンツ。
少しアメカジ感のあるパンツに、タオルのようにも見えるこのスウェットカーディガンを合わせたいです。
BRAND:THING FABRICS
ITEM:CARDIGAN (Random loopwheel) TFIN-3101
COLOR:BLACK
SIZE:0 / 1
PRICE:¥37,400(税込)
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STILL BY HANDから、シルクネップハーフコートが入荷。
まず惹かれたのは、生地。
尾州の機屋で別注した糸を使い、緯糸にはシルクネップ糸を使用したブランドオリジナルのウール生地。シルクネップ特有の不均一でナチュラルな表情がありながら、英国羊毛を思わせるようなハリのある男っぽさも感じる。
尾州という産地の強さは、単純に「上質なウールをつくる」ことだけじゃない。
糸、織り、仕上げ。
それぞれの専門技術が産地に集積しているから、一つの特徴へ振り切るのではなく、狙った生地の表情へつくり込める。
そして、ここがSTILL BY HANDの服づくりと重なる。
STILL BY HANDというと、柔らかく、ミニマムで、都会的なイメージ。
でも意外とウールに関しては、英国羊毛をブレンドしたり、英国羊毛の雰囲気に近い素材を使ったりと、ブリティッシュな男っぽさを足すことが多い。
柔らかな優等生すぎず、タフで男っぽすぎない。
今回の生地には、そんなSTILL BY HANDらしさがよく出ている。
シルエットはややゆったり。
着丈はヒップが隠れるくらいのハーフ丈。
コートが着たい。
でも、ロングコートの長さが気になる。
そんな方には、かなり丁度良い。
普段使いはもちろん、ビジネスシーンでも使いやすい丈とシルエット。
襟にはチンストラップを配し、防寒性をプラス。
背中にはアンブレラヨークを配すことで、シンプルになりがちな後ろからの見え方にもアクセントをつけている。
そして個人的に好みなのが、袖のアジャスター。
やや太めにとった腕まわりをアジャスターで絞ることで、袖口に向かってシルエットに変化が生まれる。
こういうところもSTILL BY HANDは上手い。
大きなデザインを加えるのではなく、昔からある実用的なディテールを使って、服の見え方を少し変える。
BRAND:STILL BY HAND
ITEM:SILK NEP HALF COAT CO02263
COLOR:DARK BROWN / GREY
SIZE:46 / 48
PRICE:¥59,400(税込)
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COOHEMから、NEW VINTAGE CHECK TWEED C/Tが入荷。
これも前回紹介したアーガイルセーター同様、展示会で見てすぐにピンときた一着。
COOHEMならではのニットツイード特有の生地の面白さ。そして、どこかヨーロッパを連想させる配色。
実際に着てみると、さらに面白かった。
COOHEMを象徴する「交編(こうへん)」という技術で作られたニットツイード。
そもそもツイードは、本来「織物」。複数の色糸が交差することで生まれる複雑な色の見え方と凹凸のある表情、そしてある程度の硬さや重厚感。あの独特な雰囲気は、基本的には糸を「織る」ことで生まれている。
COOHEMは、それを「編む」。
しかも単純にツイード柄をニットへ置き換えているわけじゃない。
形状や性質の異なる複数の糸を組み合わせて編む「交編」という技術を使い、ニットそのものからツイードのような複雑な表情を作っている。
今回もコットンをベースにポリエステル糸を組み合わせ、ヴィンテージのツイードを思わせるチェック柄を表現。
見た目には、しっかりツイード。
そもそもブランド名のCOOHEM自体が「交編」に由来する。
色の違う糸で柄を作るだけではなく、太さ、形状、毛足、質感の違う糸を組み合わせ、「編む」ことで今までにない生地を作る。
つまりCOOHEMは、糸を選ぶところからすでにデザインが始まっている。
今回のニットツイードも同じ。
出来上がったツイード生地を使ってコートを作ったわけじゃない。
ツイードという生地そのものから、編みで作っている。
さらに惹かれたのが配色。
これもどこかヨーロッパを連想させる色使い。
ヴィンテージ感のあるチェックなのに古臭くない。
COOHEMは編みの技術ばかりに目が行きがちだけど、個人的にはこの配色センスも本当に凄いと思っている。
そして今回、もう一つ驚いたのが、この丈。
ニットでロングコートを作るのは簡単じゃない。
ニットは伸びる。それは着心地では大きな長所。
でもロング丈になれば生地そのものの重量が増え、その重さで縦方向へ伸びようとする。
つまり、ダレやすい。肩から落ちる。裾が伸びる。コートとして綺麗なシルエットを維持することが難しくなる。
ところが、これはきちんとコートとして立っている。
ここにも米冨繊維の技術がある。
ジャケットやコートを得意とするベテランパタンナーが、伸びるニットが着た時にどう動くかまで計算してパターンを作っている。
生地を作れるだけじゃない。
その特殊な生地を、ちゃんと一着のコートとして仕立てる技術まで持っている。
ここが米冨繊維の凄み。
さらに面白いのが、裏地を付けていないこと。
一般的なツイードコートなら、裏地を付けることで滑りを良くしたり、服としての安定感を持たせたりする。
でも、これはあえて裏地なし。
ニットが持つ自然なテンション、伸び、柔らかさを活かすため。
せっかく編みで作った生地なのに、その動きを裏地で止めてしまったら意味がない。
そして、ここからがさらに面白い。
見た目は完全にツイードなのに、裏地なしでTシャツの上から直接着られる。
チクチク感がほとんど気にならない。
ここで完全に頭と身体の感覚がズレる。
見た目から想像するのは、硬さ。重さ。ツイード特有の粗さ。
でも実際に着ると、柔らかい。軽い。身体についてくる。
ロング丈のツイードコートを着ているはずなのに、あの「コートを背負っている感じ」がほとんどない。
これは今までにない、新しい見え方。
そして、この軽さと柔らかさだから着られる期間も長い。
ロングジャケットのようでもあり、アウターのようでもある。
春、秋、冬。
3シーズン着られるというのも、この作りなら納得できる。
ツイードをニットで再現したというだけじゃない。
ツイードコートという服そのものを、「編む」という発想から作り直している。
前回のアーガイルセーターでも感じたけど、COOHEMの面白さはここなんだと思う。
編めるから編むんじゃない。
編むことで、今までとは違う服を作る。
生地を作る技術。それを服として成立させるパターン。素材。配色。そして着心地。
全部が繋がって、初めてこの一着になる。
展示会で見てすぐにピンときた。そして入荷して実際に着てみると、その時以上に面白い。
生地作りから仕立てまで。
米冨繊維だからこそ生まれた、COOHEMにしか成し得ない最高のニットツイードコートだと思っている。
BRAND:COOHEM
ITEM:NEW VINTAGE CHECK TWEED C/T
COLOR:BLUE
SIZE:M / L
PRICE:¥80,300(税込)
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COOHEMから、STITCHED ARGYLE KNIT PULLOVERが入荷。
同じ米冨繊維から生まれるYONETOMIとCOOHEM。
個人的にYONETOMIは、比較的ベーシックな服を軸にしながら、生地や糸そのものへの強烈なこだわりを見せるブランドだと思っている。
対してCOOHEMは、編みの技術と発想そのものを前面に出してくる。
「ニットで、こんなことまで出来るのか。」
今回のこれは、まさにそんな一着。
展示会で見て、すぐにピンときた。
アーガイル。
柄だけ聞けば、かなりクラシック。
でも、これは全然違った。
どこかヨーロッパを連想させる、綺麗で独特な配色。
一見派手そうに見えるのに、モヘヤの柔らかな毛足が色の境界をぼかし、全体にスモーキーな空気を作っている。
この配色、本当に上手い。
そして、ここからがCOOHEM。
ベースに使われているのは、このニットのために別注した糸。
ラムウールは、生後一年以内の仔羊から採れる羊毛。通常のウールより繊維が細く、柔らかくて軽い。さらに膨らみがあり、空気を含むことで暖かい。
そのラムウールとコットンを撚り合わせたラムズコットンをベースに使い、4色の配色部分にはモヘヤウール。
柔らかさや暖かさだけではなく、コットンを組み合わせることで軽快な着心地に仕上げている。
さらに、アーガイル特有のダイヤを横切る細いラインを、編みではなくミシンステッチで入れている。
普通なら、ここまでやらない。
機械で編む。
そこへ人の手を介したミシンワークを加える。
しかも、このステッチは単なる飾りではない。
編地の上をミシンで押さえることで形態を安定させながら、編みだけでは出せない細くシャープなラインを作る。
意匠と機能を、一つのステッチで成立させている。
ここが面白い。
マシンメイドとハンドクラフト。
異なる工程を一着の中で組み合わせるから、とにかく手間がかかる。
一着を完成させるまで、約8時間。
正直、アーガイルでこんなセーターを見たことがない。
しかも凄いのは、これだけテクニカルなことをやっておきながら、着る側にその難しさを押し付けてこないこと。
とにかく軽い。
Tシャツの上から直接着ても、チクチク感がほとんど気にならない。
別注糸を作り、編みの技術を駆使し、さらに形態安定と意匠を兼ねたミシンステッチを加えて約8時間。
技術があるだけでは作らない。
発想だけでも作れない。
それを本当に製品として作ってしまう。
米冨繊維の技術と、COOHEMの思想。
展示会で見た時からワクワクしていたけど、入荷して改めて実物を見ると、さらにワクワクする。
米冨繊維でしか成し得ない。
COOHEMの最高傑作だと思っている。
BRAND:COOHEM
ITEM:STITCHED ARGYLE KNIT PULLOVER
COLOR:BLACK
SIZE:M / L
PRICE:¥59,400(税込)
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
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アメカジが好きなら、ヴィンテージスウェットのディテールにはどうしても惹かれるものがある。後付けフード、ドラポケ、リバースウィーブ仕様、脇のリブパネル、フラットシーマ。今となっては、それぞれがヴィンテージを象徴する格好良いディテールとして見られている。
でも、もともとは格好良く見せるためにつくられたものではない。寒さをしのぐ。縮みを抑える。身体を動かしやすくする。着る人にとって必要だったから生まれた工夫が、時間を経て、今の僕たちには格好良く見える。
A VONTADEのAFTER HOODIE PARKAには、そんなヴィンテージスウェットの面白さがかなり濃く詰め込まれている。硬さのあるBD糸からつくられた裏毛。クルーネックの襟リブを残した首元。その外側から付けられた二枚仕立てのフード。身頃の中央で存在を主張するドラポケ。さらにリバースウィーブ仕様、脇のリブパネル、フラットシーマまで入る。
ただ、これは古いディテールの数を競う服ではない。これだけヴィンテージの要素を強く入れながら、全体を見た時にはいわゆるレプリカ特有の古臭さへ向かわない。古いものへの理解は深い。でも、服そのものは今着て洒落て見える。その加減こそA VONTADEの服づくりの巧さであり、僕がこのパーカーに惹かれた大きな理由でもある。
生地には、もともと硬めの風合いを持つBD糸を二本撚り合わせた双糸を使い、目を詰めて編み立てた裏毛を使用している。触れた時にまず感じるのは、ふっくらとした膨らみの中に残る乾いたシャリ感と、しっかりしたコシ。最初からふわふわに柔らかく仕上げたスウェットとは、触った瞬間から方向が違う。
ヴィンテージのスウェットには、年代やブランドを確認する前に、生地に触れただけで何か違うと感じさせるものがある。滑らかに整えられた現代的な裏毛とは違う、少し乾いていて、手の中に生地そのものの存在を感じる質感。この裏毛から感じるのも、そんな古いスウェットを連想させるタッチだ。
しかも、表側の力強さだけで押し切っていない。裏面には細かな起毛を施し、身体に触れる側には柔らかさと保温性を持たせている。外側にはシャリ感とコシがあり、内側には細かな起毛がある。
見た目には昔のスウェットが持つ無骨さを感じさせながら、身体へ触れる側まで同じ方向には振らない。この表裏の差がいい。ヴィンテージを意識した生地だからといって、ただ硬く、粗くつくればいいわけではない。外から見える表情と、実際に身体が触れる場所。その両方を考えて一枚の生地にしている。
このパーカーで、僕がまず見てほしいのが首元だ。一般的なパーカーなら、首の開きからそのままフードへつながっていく。しかし後付けフードは違う。クルーネックの丸い襟リブを残し、その外側、後方からフードが縫い付けられている。
つまり、首元にクルーネックスウェットの姿が残っている。その上にフードが加わっている。名前の通り「後付け」であることが、構造そのものから見える。
背景にあるのは、スポーツウェアとしての防寒性だ。身体を暖めるスウェットに、頭や首元を覆うフードを加える。1939〜40年のSEARSのカタログにも、フード付きスウェットが新品として掲載されている。今では希少なヴィンテージの意匠として眺めるこの形も、当時は着る人のためにつくられた現役のスポーツウェアだった。
ここが面白い。今見て格好良いから、後から考えられたデザインではない。必要があって生まれた構造が、その役目を越えて残り、何十年も経った僕たちの目に格好良く映っている。
そして後付けフードは、実際に着た姿にもはっきり表れる。丸い襟リブが前から見え、その後ろからもう一段フードが立ち上がる。普通のパーカーならひと続きになる場所に二つの輪郭が重なることで、首まわりに独特の奥行きが生まれる。フードを被った時だけのディテールではない。背中へ下ろしている普段の状態でも、この重なりは消えない。
A VONTADEでは、そのフードを二枚仕立てにしている。生地を二重にすることでフード自体に量感を持たせ、下ろした時にも薄く潰れず、しっかりと立つつくり。さらにフードコードにはニッケルチップ加工を施したコードを使用している。
丸い襟リブ。その後ろから立ち上がる二枚仕立てのフード。そして、そこから垂れるコード先端の金属。首元だけを見ても、この服が普通のパーカーとは違うことが分かる。
フロントに付くのは、ヴィンテージスウェットで通称「ドラポケ」と呼ばれるポケット。ここも見慣れたカンガルーポケットとはつくりが違う。身頃の上からポケットを重ねて付けるのではなく、身頃とポケットを切り替えて組み合わせる構造を持つ。
ポケットを後から付け足したというより、ポケットまで含めて前身頃を組み立てている。そのため、正面にはドラポケ特有の切り替え線が現れる。単に収納する場所が変わっているのではない。服の顔そのものが変わる。
後付けフードと同じく、ドラポケも構造を知ってから見ると印象が変わる。前身頃の中央に大きく入る切り替えは、プリントや刺繍とは違う。服を組み立てるための線そのものが、そのままデザインとして見えている。だから装飾がなくても、正面から見た時に独特の存在感が残る。
ボディにはリバースウィーブ仕様を採用している。生地を横方向に使うことで縦方向の縮みを軽減し、さらに脇にはリブパネルを配して横方向への伸縮性を確保する。縦の縮みには生地の使い方で対応し、横の動きには伸びるリブを置く。
身頃の生地の向きを変え、脇に別のパーツを入れる。正面から見ただけでは派手に主張する部分ではないが、ボディそのもののつくりが一般的なスウェットとは違う。
ポケットや脇ハギにはフラットシーマを採用している。縫い代を大きく重ねず平らに仕上げることで、厚みのあるスウェット生地でも接ぎ目がごろつきにくい。表から見れば一本の縫い線にしか見えない場所にも、きちんと理由がある。
後付けフードやドラポケだけを目立たせて、ヴィンテージらしさをつくっているわけではない。生地の向き、脇の構造、縫い方まで見ていくと、このパーカーが拾っているものが、単なる見た目ではないことが分かってくる。
後付けフードも、ドラポケも、リバースウィーブも、脇のリブパネルも、フラットシーマも、最初からヴィンテージになるためにつくられたものではない。着る人に必要だったから生まれた。その必要が形になり、縫い線になり、何十年も残り続けた結果、今の僕たちにはたまらなく格好良く見える。
A VONTADEは、その表面だけを拾っていない。乾いたシャリ感とコシを持つBD糸の裏毛から始まり、首元の構造、フードの量感、ドラポケの切り替え、リバースウィーブ、脇リブ、縫製まで、古いスウェットがなぜこの形になったのか、その理由ごと一着へ落とし込んでいる。
それでいて、着た姿はヴィンテージの答え合わせには見えない。ここが僕には重要だ。これだけ古いディテールを盛り込みながら、知識がなければ楽しめない服にはなっていない。まず一着のパーカーとして格好良い。
買った日に全部を理解して終わる服ではありません。着ているうちに首元の重なりが好きになり、ドラポケの切り替えに目がいき、生地や脇のリブ、縫製まで気づいていきます。アメカジを長く好きでいると、結局こういう服が手元に残ります。派手ではない。でも、普通ではない。古い服の格好良さと、その格好良さが生まれた理由まで楽しめる。LAMPAで長く紹介していきたいと思えるパーカーです。
コーチジャケットは、昔から好きな服だ。90年代のアメカジやスケーターの装いを振り返ると、欠かせない存在だったと思う。Tシャツやパーカーの上から気楽に羽織れて、それだけで格好よかった。着方をあれこれ考えず、いつもの服の上に重ねて街へ出る。あの気負いのなさは、今もこの服に求めたいものだ。
ただ、今着たいのは、当時着ていたものと同じコーチジャケットではない。服を長く見続けていると、馴染みのある形でも、生地や色、細部のつくりによって、もう一度新鮮に見える瞬間がある。このA VONTADEを見たときに感じたのも、まさにそれだった。
ベースとなったのは、70年代のL.L.Beanのコーチジャケット。チンストラップを備えた襟と、シャモアクロスの裏地を持つモデルだ。簡潔なナイロンジャケットに、首元の防風と起毛コットンの暖かさを組み込んだ実用的なつくり。その考え方を受け継ぎながら、表地を替え、袖口をはじめとする細部に手を加えることで、A VONTADEは今着たいコーチジャケットへと組み直している。
昔から知っている服なのに、古着の再現だけでは終わっていない。僕がこの一着をセレクトした理由は、そこにある。
表地には、高密度に織り上げたコットンナイロンのウェザー生地を使用。糸を密に打ち込むことで生まれるハリとコシがあり、手に触れたときにもしっかりとした安心感がある。高密度の織りは風を通しにくくする方向にも働き、着たときには身頃や袖が身体へくったりと沿いすぎず、ジャケットの形を支えてくれる。
そこへ微起毛加工を施し、表面にごく細かな毛羽を持たせている。生地のハリを残しながら、触れたときの硬質な感触を和らげ、滑らかな手触りへ仕上げているのが特徴だ。細かな毛羽によって光の反射も穏やかになり、表面には落ち着いた陰影が生まれる。形を支える力はあるのに、見た目と手触りは柔らかい。このバランスが実にいい。
コットンの自然な風合いにナイロンの強さを組み合わせ、さらに撥水加工を加えることで、水滴が表面へ染み込みにくい仕上がり。日常で着るための実用性を備えながら、生地の見え方はあくまで穏やかだ。どこかコートに使われていそうな質感があり、特にベージュの落ち着いた色合いには品がある。
90年代に僕らが着ていたコーチジャケットの記憶は、もっと軽く、もっと簡素なものだった。もちろん、あの感じは今でも好きだ。ただ54歳になった今、昔とまったく同じものを着たいわけではない。コーチジャケットが持つ気楽さは残したまま、生地の表情や色に今の自分が納得できるものを求めたい。その答えが、この生地にはある。
デザインソースとなったL.L.Beanがナイロンの外側に暖かなシャモアクロスを組み合わせていたのに対し、今回はコットンナイロンの表地に、起毛したコットンスエードの裏地を合わせている。表地の微起毛は手触りと見え方を整え、裏地の起毛は保温性を高める。それぞれに役割があり、外側の質感を変えながら、内側には暖かさを持たせるという元の設計を受け継いでいる。
形だけを70年代から持ってくるのではなく、その服がなぜそうつくられていたのかまで拾い上げている。だから懐かしさだけで終わらない。
襟には、L.L.Beanのモデルを特徴づけるチンストラップを配している。普段は襟を寝かせ、冷えたときには立てた襟を喉元で留める。前身頃を上まで閉じるだけでは残る首の開きを、襟側から補える仕組みだ。留めたときには首元を包む輪郭が生まれ、寝かせているときとはジャケットそのものの表情も変わる。
ここが面白い。格好をつけるために後から足されたディテールではない。風を防ぐという必要から生まれた部品が、そのままデザインとして格好いい。昔の服を見ていると、こういうところに惹かれる。
袖口は、ゴムだけで絞るイージーな仕様にタブを加えている。ゴムで手首に沿わせるだけでなく、タブによって締まり具合を自分で決められる。冷えたら襟を立て、袖口も締める。起毛した裏地で暖かさを持たせたうえで、その暖かさを逃がしやすい開口部にもきちんと手を入れている。
その一方で、脇には通気のための菊穴を配している。首元や袖口は必要に応じて閉じられ、脇には内側の熱や湿気が抜ける経路がある。風を避けるためのつくりと、着て動くためのつくりが、一着の中に揃っている。
チンストラップ、袖口のタブ、脇の菊穴。ひとつひとつは小さなディテールだが、どれも飾りではない。必要があって付けられ、その役割がそのまま服の顔になっている。
微起毛したベージュの生地には落ち着いた品がある。それだけなら、もっと綺麗な方向へ見える服になったかもしれない。そこへ、こうした実用から生まれた部品が残ることで、コーチジャケット本来の道具っぽさが消えない。この実用の積み重ねこそ、この一着に残る無骨さだ。
裾にはアジャスターを配し、シルエットを調整できる。緩めれば裾の広がりを残し、絞れば下側の輪郭がまとまる。同時に、裾から入り込む風を抑えるための調節にもなる。襟はチンストラップ、袖口はゴムとタブ、裾はアジャスター。風が入りやすい場所を、それぞれ自分で整えられる。
気楽に羽織れるコーチジャケットという形は何も難しくしていない。それでも、冷えたときには襟を立て、袖を締め、裾を絞ることができる。着る人が必要に応じて触れる場所がきちんと残されている。この実用を受け継いでいるからこそ、70年代のL.L.Beanをデザインソースにした意味がある。
Tシャツやパーカーの上に気楽に羽織る。それで十分だと思う。昔からやってきた着方を変える必要はない。変わったのは、その上に羽織るコーチジャケットの中身だ。
微起毛した落ち着いた表面、ベージュの穏やかな色合い、起毛したコットンスエードの裏地。そして、チンストラップや袖口のタブ、菊穴、裾のアジャスター。馴染みのある服だからこそ、生地と細部の違いがはっきり見える。いつもの着方のまま、着た姿だけが少し変わる。それくらいが、今の僕にはちょうどいい。
コーチジャケットが持つ気楽さは、年齢を重ねた今も手放したくないものです。その気楽さを残しながら、今の自分が納得できる生地と色があり、実用から生まれた無骨なディテールがきちんと残っている。だから僕は、このA VONTADEを選びました。昔からコーチジャケットが好きだった方にも、簡素なナイロンジャケットという印象で止まっている方にも、ぜひ袖を通していただきたい一着です。LAMPAが考える、都会の男のコーチジャケットの決定版です。
カシミアと聞いて、まず思い浮かべるのは極上の柔らかさと滑らかさだと思う。身体を優しく包む着心地と、高級素材ならではの整った見え方。それがカシミアの大きな魅力であることに間違いはない。
ところがYONETOMIは、そのカシミアを繊維が切れる限界まで強く撚り、さらに度詰めで編んだ。
最初から柔らかく完成させるのではなく、しっかりとハリとコシを残した状態から着始め、洗いながら少しずつ柔らかくしていく。言ってしまえば、リジッドデニムを穿き込む感覚をカシミアでやろうとしている。
服を長く見続けていると、素材の良さを素直に引き出した服には何度も出会う。でも、素材が本来持っている魅力を理解したうえで、あえて反対方向へ振り切る服にはなかなか出会わない。
本来は柔らかさを求めるカシミアを、限界まで強くする。それでも触れれば、肌触りはしっかりカシミア。この相反する感覚が同時に存在している。
これは本当に凄い。
LAMPAがこのニットを選んだのは、単に上質なカシミアを使っているからではない。誰もが知っている高級素材に、まだこんな見せ方があったのかと思わせてくれたからだ。
使われているのは、この生地のために別注で制作された強撚のカシミア糸。
繊維が切れる限界まで強く撚ったカシミアを、さらに度詰めで編み上げている。通常のカシミアニットと比べて二倍近い量のカシミアを使用しながら、ふわふわとした柔らかさへ向かうのではなく、密度があり、芯を感じるしっかりとした生地に仕上げている。
ここが、このニットの面白さの中心だと思う。
一般的なカシミアニットが繊維の柔らかさや膨らみを引き出す方向へ向かうのに対して、RIGID CASHMEREは強撚と度詰めによってハリとコシを与える。それによって新品の状態では、身体に柔らかく沿うカシミアとは明らかに違う、生地そのものに芯を感じる手触りが生まれている。
しかし、その芯の強さの奥にはカシミア特有の滑らかさがきちんと残っている。
しっかりしているのに、触れるとカシミア。この感覚が面白い。
カシミアの良さを消して別の素材に近づけたわけではない。カシミアの中にある別の魅力を、糸と編み方によって引き出している。そのために通常の二倍近い量の原料を使うという贅沢さまで含め、YONETOMIだからこそ形にできた生地だと思う。
さらに、あえて洗いや染めといった製品加工を施さず、カシミア本来の色をそのまま生かしている。
高級素材だから美しく染め、整えて見せるのではなく、加工を加えず素材の色を残す。その仕上がりは、ミリタリーのDeadstockセーターを彷彿とさせる。
通常の二倍近い量のカシミアを使った贅沢な編地でありながら、見せたいのはラグジュアリーな華やかさではない。強撚と度詰めによるハリ、無染色の色合い、製品加工を施していない状態。それらが一つにつながることで、カシミアでありながら古いミリタリーウェアにも通じる素朴で力強い表情をつくっている。
高級素材を使いながら、高級品らしく見せる方向へ持っていかない。素材の価値を落とすのではなく、見せ方を変えることで別の価値を引き出している。この発想に、RIGID CASHMEREというニットの面白さがある。
そして、このニットの価値は新品の状態だけでは分からない。
家庭で手洗いすることができ、洗濯を重ねることで、最初に感じるハリやコシが徐々に柔らかくなり、カシミア本来の風合いが増していく。
最初から最高の柔らかさに仕上げて渡すのではない。着て、洗って、その人の時間を重ねることで変わっていく余地を残している。
この付き合い方は、リジッドデニムに近い。
硬さの残る新品から穿き始め、何度も身体を通し、洗い、少しずつ馴染ませていく。買った瞬間が完成ではなく、その先に自分だけの状態が待っている。デニムを長く穿いてきた人なら、その時間まで含めて服を買う感覚を知っていると思う。
それをカシミアで味わえる。
高級なカシミアだから丁寧にしまっておくのではなく、自分で手洗いしながら着込んでいく。最初にあった芯の強さが徐々にほどけ、その中から本来の柔らかさが現れてくる。
「RIGID CASHMERE」という名前は、生地の硬さだけを表しているのではない。リジッドの状態から自分で育てていく、このニットとの付き合い方まで含めた名前だと思う。
デザインも、この生地の考え方ときれいにつながっている。
腕や身幅にはややゆとりを持たせ、一般的なセーターとは違う、スウェットを思わせるシルエットを採用している。
度詰めされた生地のハリとコシが、このゆとりのある輪郭を支える。柔らかなニットが身体に沿って落ちる見え方とは違い、しっかりとした編地とカジュアルなシルエットが組み合わさることで、カシミアでありながらアメカジの延長線上にある輪郭をつくっている。
さらに首元には、通常なら付けられるブランドネームさえない。
カシミアの肌触りを損なわないためであり、同時にミリタリーのDeadstockセーターを思わせる見え方を深めるためでもある。
ブランドを主張するパーツを加えるのではなく、着心地と服としての完成度を優先して、あえてなくす。強撚、度詰め、無染色、製品加工を施さない仕上げ、スウェットを思わせるシルエット、そしてネームを排除した首元まで、すべてが同じ方向を向いている。
カシミアの価値を、柔らかさや高級感だけで考えていたら、このニットは生まれなかったと思う。極上の素材にあえて強さを与え、ミリタリーのDeadstockセーターを思わせる姿にして、スウェットの感覚へ落とし込む。そして新品を完成形とせず、自分で手洗いしながら柔らかく育てていく。
考え方は、驚くほどアメカジだ。
デニムや古いミリタリーウェアを着続ける中で感じてきた、時間を重ねるほど自分の服になっていく面白さ。僕がこのニットに強く惹かれたのは、その感覚をカシミアという高級素材で味わわせてくれるところにある。
柔らかくて滑らかなカシミアなら、ほかにも選択肢はある。でも、カシミアをここまでアメカジの文脈で捉え、強撚と度詰めでリジッドな状態をつくり、着て、洗って、育てる時間まで一着の価値にしたニットはそうそうない。
本当にアメカジが好きな人にこそ着ていただきたい一着です。誰もが知っているカシミアという素材に、まだ見たことのない価値を与え、買った瞬間ではなく、その先の時間まで楽しませてくれる。YONETOMIの技術と発想があったからこそ生まれた、唯一無二の最高傑作ニットです。
ロンTは、特別な服ではない。毎日のように着る、ごく普通の服だと思う。だからLAMPAでは、こういうシンプルな服ほど、生地の違いを大切にしている。同じ無地、同じ形でも、何でつくられているかによって、着た時の気持ちよさも、見え方も変わるからだ。
THING FABRICSのLONG SLEEVE T-SHIRTを選んだ理由も、そのパイル生地にある。触れればタオルを思わせる柔らかさがあり、着れば細かなループが無地の表面に凹凸をつくる。しかも、単純にタオル生地を洋服にしたわけではない。サンホーキン綿から糸をつくり、今治の職人と二年をかけ、洋服として着るためのパイルを開発している。
原料には、アメリカ・カリフォルニア州のサンホーキンバレーで育つサンホーキン綿を使用。長く強い繊維を持つ綿を、精紡交撚という紡績技術によって、余分な毛羽を抑えた滑らかな糸へ仕上げている。さらにオリジナルスパン糸を組み合わせることで、洋服として必要な伸縮性も持たせている。
タオルなら、触れた時の柔らかさや、水分を吸うことが大切になる。けれど服なら、それを身につけて腕を動かし、歩き、座り、一日を過ごす。毎日身体に触れる服にするために、原料から糸、生地まで考えられている。
この生地の背景にある今治のタオルづくりを知るうえで、分かりやすい数字のひとつが吸水性の基準だ。吸水性を測る沈降法で、一般的なタオルの基準とされるのは60秒以内。それに対して、今治タオルが求めるのは5秒以内。試験片を水面に浮かべ、水を吸って沈み始めるまでの基準時間で比べれば12分の1になる。これはこのロンT自体の実測値ではなく、今治タオルに求められている基準だ。
今治で積み重ねられてきたのは、触った瞬間の柔らかさだけではない。水分を素早く受け取るところまで含めて、タオルとしての性能を考えてきた。THING FABRICSのパイルには、そうした今治のものづくりが背景にある。
そして、このロンTで重要なのが「1mm PILE」という名前にもなっているループの長さだ。パイルは気持ちがいい反面、ループが長ければ突起物やベルクロに絡みやすく、引っ掛けた時に糸が引き出されることがある。そこで、この生地ではパイルのループを1mmという短さに設定している。
短くすることで引っ掛かりを軽減しながら、パイルらしい柔らかな感触は残す。さらに、この1mmの細かなループが見た目にも効いている。表面に細かな凹凸が生まれることで光の当たり方が変わり、無地でも平坦に見えない。プリントも柄もないのに、一般的な天竺とは違う表情がある。1mmという設計が、日常での着やすさと、このロンTならではの見え方の両方につながっている。
LAMPAでは、このパイル生地はデニムとの相性がとてもいいと思っている。デニムにも織りによる凹凸や色の濃淡があり、こちらには細かなループによる柔らかな表情がある。Tシャツとデニムというシンプルな組み合わせだからこそ、それぞれの生地が持っている質感の違いがはっきり見えてくる。
Gジャンの下に着るのもいい。襟元や裾から見える面積はわずかでも、一般的な天竺とは違うパイルの質感がアクセントになる。柄やプリントを加えるのではなく、組み合わせる生地を変えることで、シンプルなコーディネートに変化をつける。LAMPAでも、この着方を特に気に入っている。
シルエットは、半袖タイプのように肩幅や身幅を大きく取った形ではない。必要なゆとりを残しながら、輪郭はすっきりとしている。一枚で着ればパイルの表面がしっかり見え、上着を重ねても収まりやすい。生地に特徴がある分、形を必要以上に主張させていないところも、このロングスリーブには合っている。
サンホーキン綿から糸をつくり、今治の職人と二年をかけてパイルを開発し、ループの長さを1mmまで詰める。そこまでやって、出来上がったのはシンプルな無地のロンTです。派手なデザインで違いを見せる服ではありません。でも、肌に触れた時の柔らかさと、着た時に見える細かな生地の表情には、そこまで積み重ねてきたものがきちんと残っています。僕がこのロンTに惹かれたのも、まさにそこです。毎日着るロンTだからこそ、生地から選んでほしい一枚です。
レザーやスエードのブルゾンには、やはり独特の格好良さがある。
ただ、生地に厚みや硬さがあるものは、その上からさらにアウターを重ねるとなると、腕まわりの窮屈さや収まりが気になることもある。
STILL BY HANDのシンセティックレザーブルゾン BL07263は、袖を通してみると想像していた着心地とはかなり違った。生地は柔らかく、重量も抑えられている。さらに上からコートを羽織ることまでできる。
使用しているのは、ポリエステル100%のフェイクレザー。表面はスエードを思わせる質感で、秋冬の服らしい暖かみを感じさせる。適度なハリがあるため、柔らかな生地でありながらブルゾンの形もしっかり残る。
触れてみると、生地はしなやか。裏地を付けていないこともあり、腕を動かした時に生地が突っ張りにくい。想像していた重量感に対して、着た時の感覚はずっと軽快だ。
本革にどれだけ近いかではなく、この素材だからできる着方に僕は惹かれた。
フロントは、ボタンを表に見せない比翼仕立て。前を閉じるとボタンが隠れ、中央にはすっきりとした縦のラインだけが残る。金具やボタンが並ばないことで、スエード調の生地が正面に広く見える。
そこに付くのが、四角いフラップなしのパッチポケット。この手のブルゾンではあまり見かけないデザインだ。何かを飾りとして加えるのではなく、生地を一枚重ねた四角い形が正面のアクセントになっている。
シルエットで特徴的なのは、やや短めに設定された着丈。裾を長く取ったアウターとは違い、上半身でコンパクトに収まる。Gジャンを着た時に近いと感じるのは、この長さによるところが大きい。
この短さは、コートを重ねた時にも利いてくる。中に着たブルゾンの裾だけが長く残らず、アウターの中に収まりやすい。
このブルゾンの良さが一番よく分かったのは、上からコートを羽織った時だった。肘を曲げても生地の硬さが気にならず、スエードジャケットを中に着た時に感じる窮屈さもない。
秋口にはアウターとして着て、気温が下がればコートの中へ。季節が進んでも別の服へ入れ替えるのではなく、着る位置を変えていける。
この着方までできることが、LAMPAでこのブルゾンを選んだ理由です。
今季からLAMPAで新しく取り扱いを始めるFOUND FEATHER(ファウンド フェザー)。
普段、僕はファッション誌をほとんど見ないし、自分からブランドを探して連絡することもほぼない。そんな僕がInstagramでたまたま見かけて、単純に欲しいと思い、声をかけたブランドだ。
デザイナーはカナダ出身のMerv Maranan氏。長年帽子を集めてきたコレクターで、スケートやB-BOYを経験し、メンズウェアの世界でもキャリアを重ねてきた人物。自分が本当に被りたい帽子をつくるため、日本で出会った職人たちとFOUND FEATHERを始めている。
FOUND FEATHERのベースにあるのは、ミリタリーやアウトドアなどを背景に持つクラシックな帽子。ただ、それをそのまま再現するブランドではない。プロポーションを細かく調整し、素材を選び、そこへMaranan氏自身が育ってきたカルチャーを重ねることで、見慣れた形を今の帽子へ変えている。
キャップは、服装や素材との組み合わせによっては少し幼く見えることがある。LAMPAでキャップを選ぶ時に見るのは、単純な被りやすさだけではない。被った時に服全体の印象を崩さず、キャップ自体にもきちんと存在感があること。
PROCEEDはキャップらしい気軽さを残しながら、革靴を履くような装いに入れても頭だけが軽く見えにくい。その印象をつくっている理由が、メランジウールの生地にある。
異なる色が細かく混ざり合い、近くで見ると複数の色がつくる表情が見える。離れて見ると、それが一つの色へ馴染んでいく。光の当たり方や見る距離によって色の見え方も微妙に変わるため、無地でありながら平面的に見えない。
ウールの温かみがキャップにありがちなスポーティーさを抑え、ポリエステルを混紡することで、ウールの表情を残しながら生地としての安定感も持たせている。
形は6パネルの基本形。クラウンは15cmで、各パネルには刺繍アイレットを配置。セミハード仕様のブリムには最初から緩やかなカーブがついている。
被った時に印象に残るのは、クラウンとブリムのバランス。深すぎず浅すぎず、頭だけが大きく見えたり、逆にキャップだけが小さく見えたりしにくい。
後ろには真鍮製のバックルを採用。ストラップは外へ見せることも、内側へ収納することもできる。
そして、この帽子を決定的にFOUND FEATHERらしくしているのが、正面に刺繍された「PROCEED」の一語。THE ROOTSの名曲「PROCEED」から着想を得たものだ。
ベーシックな6パネルの正面に、HIP HOPから引いた言葉を置く。ウールの生地に、真鍮製のバックル。そこへMaranan氏が通ってきた音楽やストリートカルチャーが入ることで、単なるクラシックなキャップでは終わらない。
僕自身、HIP HOPのカルチャーを通ってきた人が選ぶものに漂う、独特の匂いにはやはり惹かれる。帽子そのもののつくりとMaranan氏自身の背景が一つにつながっているから、「PROCEED」の一語だけが浮いて見えない。
曲の背景を知っていれば、そこまで含めて楽しめる。知らなくても、正面に置かれた一つのグラフィックとして自然に成立する。この距離感も、FOUND FEATHERをLAMPAで取り扱いたいと思った理由の一つだ。
実物を前にして、Instagramで見かけたあの時の「欲しい」は、間違っていませんでした。
チェックのネルシャツは、いくらでもある。
けれど、色目を見た瞬間に「これだ」と思えるものは、探すとなかなか見つからない。
この生地は展示会で見た瞬間にピンときた。まず、色の組み合わせが完全に好みのど真ん中。
そして実際に触れてみると、しっかりした生地感がありながら驚くほど柔らかく滑らか。アメカジの匂いを強く感じさせるチェック柄と、そこから想像する無骨さ。それに対して、実際に触れた時の質感がいい意味でずれていた。
さらに惹かれたのが、90年代にヨークシャーで織られた英国製THOMAS MASONのデッドストックだったこと。現在のイタリア生産へ移る以前につくられた生地になる。
ただ、英国製だから選んだわけでも、THOMAS MASONだから選んだわけでも、デッドストックだから選んだわけでもない。最初に惹かれたのは、あくまでこの色柄と質感。そこにこの背景まで重なったことで、展示会で即オーダーを決めた。
THOMAS MASONと聞けば、端正なシャツ地を思い浮かべる人も多いと思う。
ところが今回の生地は、そのイメージとはかなり違う。柄には、はっきりとアメカジの匂いがある。
しかも、その力強い色柄に対して、触れた時の生地は驚くほど柔らかく滑らか。見た目から想像する無骨さを、そのまま質感にまで持ち込んでいない。
THOMAS MASONという名前から想像する端正なシャツ地とは違う方向を向いているのに、生地に触れると、その滑らかさにはTHOMAS MASONらしさが残っている。
この色柄を今着たいと思えたこと。そして、柄そのものには十分な力があるのに、生地の質感まで重くなりすぎていないこと。
色、柄、質感。その組み合わせが僕の中で一気につながった。
今回使われているのは、90年代にヨークシャーで織られたTHOMAS MASONのデッドストック。現在のイタリア生産へ移る以前の英国製になる。
単に昔のTHOMAS MASONが残っていたというだけではない。90年代に実際につくられた色柄だからこそ、そこには当時の空気感やファッションセンスのDNAが刻まれている。
後から昔の雰囲気を狙って再現した柄ではなく、その時代に生まれた生地そのものが今ここにある。
だからといって、懐かしさだけで選んだわけでもない。背景を知らずに見ても、この色の組み合わせに惹かれる。その後ろに90年代英国製THOMAS MASONという事実がある。この順番が、この生地をより特別なものにしている。
そして、この生地の魅力はBRENAのシャツとして仕立てられることで、さらに鮮明になる。
縫製を手掛けるのは、国内トップクラスの技術を誇るシャツ専門工房。細かなステッチでシャツの輪郭を美しく整え、生地やデザインに合わせて縫い方まで変える。
さらにボタン付けには、手作業でしか行えない千鳥掛けを採用。一つひとつ人の手で仕上げる、手間のかかる仕事だ。
こうした表からは目立ちにくい部分にも、シャツ専門工房で仕立てる意味がしっかりと表れている。
これだけ力のあるチェック柄を、単に無骨なネルシャツとして終わらせない。
細かなステッチ、整えられた輪郭、千鳥掛けによるボタン付け。緻密な縫製と細部の仕上げが、カジュアルな色柄をラフに見せすぎず、一着のシャツとして仕上げている。
90年代に織られた色柄には、その時代にしか生まれなかった感覚がある。
それを古着として探すのではなく、昔の柄を新しく再現するのでもない。当時につくられた生地そのものを、BRENAが日本のシャツ専門工房の技術によって今の一着へ仕立てる。
THOMAS MASONで、このアメカジ感。
その一見意外な組み合わせの奥に、90年代英国製のデッドストック生地と、日本のシャツ専門工房による緻密な仕事が重なっている。ブランド名や希少性が先にあるのではなく、まず色柄と質感に惹かれる。その直感を、生地の背景と仕立てがさらに強くしてくれる一着だ。
90年代に織られた生地だから、同じものを新しくつくることはできません。デッドストック生地を使用しているため、今回の入荷も少量です。
あの時代の空気を持ったTHOMAS MASONの生地を、BRENAと日本のシャツ専門工房の仕事によって仕立てた新品から、自分の一着として着ていく。服好きの大人の男にとって、これ以上ない贅沢ではないでしょうか。
MODMNTから、肉厚なチェックのフードシャツが入荷。
生地は、70〜80年代のアメリカのストアブランドやアウトドアウェアに見られるチェックシャツを思わせるもの。
ただし、柔らかなネルとはまったく違う。
タテ・ヨコともに8/1番手の太い糸を使い、高密度に織り上げた330g/m²のヘビーツイル。
しっかりとしたハリとコシがあり、ガバッと羽織るだけで形が決まる。
毎回言っていますが、チェックというのは意外と難しい。
世の中には無数のチェック生地があるのに、本当に気に入るものとなると驚くほど少ない。
配色が良くても柄のピッチが違う。
ヴィンテージ感が強過ぎても違う。
逆に綺麗過ぎても面白くない。
今回のチェックは、色、格子のバランス、そしてこの肉厚な生地の雰囲気まで含めて本当に気に入りました。
そして聞けば、このチェックはMODMNTのオリジナル。
先染めした太い糸をタテ・ヨコに交差させ、柄そのものを織っている。
おそらくブランド側も、探しても「これだ」というものがなかったのではないか。
実際の意図は分かりませんが、そう思わせるほど、この服のためにあるようなチェックです。
デザインは、40年代のUS NAVY N-3 UTILITY SHIRTのような、やや長めの着丈と前後差のないストンとした裾。
そこへUS NAVYのSMOCKに見られるフードのディテールを組み合わせ、フロントには存在感のある大きなフラップポケットを配置している。
面白いのは、アウトドアウェアを思わせる肉厚なチェック生地に、素直にアウトドアのデザインを乗せていないこと。
様々なミリタリーウェアから必要な要素を拾い、アウトドア的な空気を持つチェック生地の上で再構成している。
ここに、日本人特有のアメカジ観の面白さがある。
本来は別の場所にあったものを、格好良いと思う感覚で組み合わせる。
デニムや軍パンとパッと合わせるだけで、普通に格好いい。
個人的には、そこに鈴木氏のセンスの良さが一番表れていると思います。
知識や経験に基づいたデザインでありながら、それを感じさせない服。
このフードシャツの格好良さは、まさにそこです。
BRAND:MODMNT
ITEM:HOODED SHIRTS
COLOR:Beige
SIZE:XS/S/M
PRICE:税込¥37,400
※裁断位置によりチェック柄の出方は一点一点異なります。
サイズ感は少し大きめ。
XSで他ブランドのS、SでM、MでLくらいのイメージになります。
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
MODMNTからMIL SMOCK SHORTが入荷。
デザインのベースになっているのは、英海軍ROYAL NAVYのVENTILE SMOCK。
雨風を受ける艦上で、ほかの服の上からガバッと被るために作られた、ゆとりのあるプルオーバー。
個人的に昔から、こういう被りのアウターが好きだ。
着脱だけを考えれば、どう考えても前開きの方が便利。
でも、被りだからこそ出来るデザインがある。
フロントにジップが走らない。
だから身頃を、ひと続きの大きな面として使える。
MODMNTはそこを思い切り使ってきた。
フロントを中心に、大小さまざまなポケットを配置。
これだけポケットを付ければ、普通ならかなりうるさくなる。
でも、ならない。
むしろポケットの形と配置そのものが、この服にしかない表情を作っている。
ここ、上手い。
元のROYAL NAVY SMOCKが持つ独特な量感は残しながら、着丈は少し短く。
被りのアウターというと、アノラックをはじめアウトドア的なものが多い。
でも、これはしっかりミリタリー。
なのに、洗練されている。
このバランスがいい。
そしてフード後ろには、同じくROYAL NAVYのFOUL WEATHER JACKETを思わせるクロス状のアジャスター。
これがまた、かなり効いている。
本来はフード着用時のフィット感を高めるための機能。
でも、こういう「必要だから付いているのに、結果として格好いい」ディテールは男心を擽る。
さらに背面にはジップ。
プルオーバーの格好良さは残しながら、弱点だった着脱のしづらさにはちゃんと手を入れている。
そして、生地。
ここも抜かりがない。
使用しているのは、防水性と透湿性を兼ね備えた3レイヤー素材。
耐水圧11,000mm。
透湿度8,500g/㎡/24hrレベル。
表地と裏側の生地、その間に防水透湿膜を挟み込んだ3層構造。
外から来る液体の水は止める。
でも、身体から発生する水蒸気は外へ逃がす。
相反する二つの性能を、一枚の生地の中で成立させている。
そして何より面白いのが、元になったROYAL NAVYのVENTILE SMOCKもまた、当時の素材と技術で雨風から身体を守るために作られた服だったということ。
ここが大事。
昔のミリタリーウェアの「形」だけをコピーするんじゃない。
なぜ、その服がその素材で作られていたのか。
何のために、その形になったのか。
そこまで考えれば、VENTILEを現代の防水透湿3レイヤーへ置き換えることにも意味が出てくる。
ROYAL NAVY SMOCKをデザインソースにした服は、これまでにもいくつか見てきた。
忠実なレプリカもある。
ファッションとして大きくアレンジしたものもある。
でも、MODMNTはそのどちらでもない。
元のスモックが持つ量感。
プルオーバーだからこそ生まれる、大きなフロントの面。
そこは残す。
その上で、別のROYAL NAVYのウェアからディテールを持ってきて、ポケットを大胆に組み替え、着丈を変え、背面にジップを加える。
そしてVENTILEが担っていた役割まで拾って、現代の防水透湿素材へ置き換える。
形をそのまま残すわけじゃない。
元ネタが分からなくなるほど崩すわけでもない。
VINTAGEへの敬意はちゃんとある。
でも、出来上がったものは完全に今の服。
ROYAL NAVY SMOCKをデザインソースにした服は他にもある。
でも、この解釈の仕方は他にない。
こういう服を見ると、やっぱり鈴木大器氏は上手いな。
BRAND:MODMNT
ITEM:MIL SMOCK SHORT
COLOR:Navy
SIZE:S / M
PRICE:¥74,800(税込)
サイズ感は他ブランドと比べて大きめ。
Sで一般的なM、MでLくらいのイメージになります。
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
MODMNTからT/TWEED UTILITY CPO SHIRTが入荷。
使用しているのは、TECHTWEED®。
そもそもツイードの魅力って、色んな色が混ざり合った奥行きと、粗く織られた生地が持つ力強い表情にあると思う。
自分も、あの雰囲気は好き。
ただ本来のウールツイードには、ずっしりとした重さがある。
そして、あの独特の硬さ。
何より、人によっては気になるチクチク感。
そこまで含めてツイードの魅力ではあるんだけど、当然、着られる時期も着方も限られる。
見た目はツイード。
でも原料はポリエステル。
といっても、単純にポリエステルでツイード柄を作ったわけじゃない。
滑らかな糸に特殊な加工を重ね、ウールのような膨らみと表情を持つ糸を作るところから始めている。
さらに性質の異なる糸を組み合わせることで、ツイード特有の複雑な色合いまで表現。
これだけなら「よく出来た化繊のツイード」で終わる。
TECHTWEED®の面白さは、その先。
ツイードらしく粗く織れば、滑りやすいポリエステルでは強度を保ちにくい。
かといって密に織れば、今度は軽さが失われる。
起毛してウールらしい風合いを出そうとしても、ウールと同じ方法ではうまくいかない。
毛玉や製品としての強度まで含め、糸の作り方から織り、仕上げまで調整を重ねて作られている。
だから見た目には、ちゃんとツイードらしい奥行きと存在感がある。
ところが、持った瞬間に印象が変わる。
軽い。
そして着ても、ツイード特有の重さに引っ張られる感覚がない。
さらに洗濯もできる。
個人的に、この生地の良さが一番分かりやすいと思ったのがここ。
本来のウールツイードなら、半袖Tシャツの上から羽織るなんて、自分ならまずやらない。
腕に直接触れる、あのチクチク感があるから。
でも、これは出来る。
ツイードらしい秋冬の表情を持ちながら、もっと早い時期から着始められる。
これは単に「軽いツイード」って話じゃない。
ツイードという生地の着方そのものを変えている。
そして、そのTECHTWEED®を使ってMODMNTが作ったのが、ミリタリーのシャツジャケットをベースにした一着。
全体的にゆったりとしたシルエット。
そして目を引くのが、フロントに配された様々な形状、大きさのポケット。
これが抜群にバランスがいい。
普通に考えたら、これだけ形も大きさも違うポケットを一着の中に詰め込んだら、間違いなく大事故になる。
ゴチャゴチャして見えるか、やり過ぎに見えるか。
ところが、全くそれを感じさせない。
それぞれのポケットに存在感があるのに、一着で見た時には不思議なくらい綺麗に収まっている。
ここは流石だと思う。
これだけ異なるディテールを一着の中に収めながら、やり過ぎに見せない。
鈴木大器氏が長年の服作りで積み重ねてきた知識と経験。
そこから生まれるセンスの良さが、このポケットのバランスにそのまま出ているように思う。
しかも、このシャツは何か特定のヴィンテージミリタリーを忠実に再現したものではない。
ミリタリーのシャツジャケットという考え方を出発点にしながら、全く新しい発想で組み立てている。
だから軍物の匂いはちゃんと残っている。
でも、古着には見えない。
生地も新解釈。
デザインも新解釈。
その二つが合わさって、ちゃんと今の街で着たい服になっている。
まさに、DESIGN TO ADAPT。
MODMNTの思想を反映したシャツジャケットになっております。
BRAND:MODMNT
ITEM:T/TWEED UTILITY CPO SHIRT
COLOR:GRAY
SIZE:XS / S / M
PRICE:¥30,800(税込)
サイズ感は少し大きめ。
XSで他ブランドのS、SでM、MでLくらいのイメージになります。
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
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MODMNTからMK JACKETが入荷。
デザインソースとなっているのは、ROYAL AIR FORCEのMK JACKET。
生地、ディテール、そして本来は機能として生まれたものをファッションとしてどう解釈するか。
このジャケットには、MODMNTというブランドの面白さがかなり詰まっている。
生地に使用しているのは、VENTOENE(ベントーネ)。
ベンタイルの製造技術を応用し、コットンとポリエステルを高密度に織り上げた素材。
綿100%のベンタイルが持つ、頼もしい風合い。
その魅力を受け継ぎながら、合繊を組み合わせることで、滑らかな肌触りと軽やかな表情を加えている。
撥水加工も施されているので、天気が読めない日にも気負わず手が伸びる。
そして、このベントーネ。
機能以上に惹かれたのが、その色。
ヴィンテージのバーバリーのコートに、通称「玉虫色」と呼ばれる生地がある。
一見すると落ち着いた色なのに、光の当たり方で別の色が浮かび上がる。
あの、単色では出せない奥行き。
ベントーネもコットンとポリエステルを織り合わせ、後染めで染め分けることで、玉虫色を思わせる複雑な色合いに仕上がっている。
歩いた時、袖を動かした時、ふと色の見え方が変わる。
風雨に備えるための高密度な生地でありながら、服として眺めたくなる色を持っている。
そこが、このベントーネの一番いいところ。
そしてデザイン。
チンストラップの付いた襟。
ハの字に走るジップポケット。
前身頃の比翼。
背面にはフードを収納するジップポケット。
そして、MK JACKETを象徴するディテールの一つが、ジャケット内側の背面に収納された「ビーバーテール」。
普段は見えないこの布も、飾りではない。
本来は飛行機から脱出した後の遭難時に引き出し、パンツの外側へ垂らして腰からお尻を覆うためのもの。
短い着丈で腕や身体を動かしやすくしながら、いざという時には寒さから守る範囲を広げる。
飛行服だからこそ生まれた機能的なディテール。
MODMNTは、それを単に忠実に再現したわけではない。
本来の使い方のように前で留めるのではなく、後ろで留める。
すると後ろの着丈だけが長くなり、どこか燕尾服を思わせるシルエットになる。
収納して着ることもできるけれど、個人的にはあえて出して着るのもいいと思う。
このビーバーテールを見ていて思い出したのが、90年代あたりのKarrimorのサイクルジャケット。
当時のそれも、ライディングで前傾姿勢になった時、腰やお尻が露出するのを防ぐために後ろ身頃が長く作られていた。
完全に機能から生まれたデザイン。
自分は、あの後ろだけ長くなった独特なバランスが好きで、ファッションとして着ていた。
考えてみれば、ミリタリーやワークウェアをファッションとして着るのも同じ。
本来は別の目的のために生まれたものを、街着として自分なりに解釈する。
機能として生まれたデザインを、ファッションとして楽しむ。
洒落るって、こういう事だと思う。
そして、このMK JACKETを見ていると、鈴木大器氏の服作りの哲学が感じ取れる。
ミリタリーやワーク、アウトドアといった、本来は目的があって生まれた服。
その背景や機能を理解した上で、単なる復刻では終わらせず、街で着るファッションとして新しい表情を作る。
元ネタを知っているからこそ崩せる。
機能を理解しているからこそ、ファッションに変えられる。
今回のビーバーテールのアレンジは、まさにそんな服作りの姿勢と重なる。
さらに袖は着脱可能。
外せばベストとしても着用できる。
RAFのMK JACKETという強烈なデザインソースがありながら、素材を変え、シルエットを変え、着方まで変える。
色んなブランドがアメカジを再解釈している今、その中でもMODMNTのアプローチはかなり独特。
ミリタリーやアメカジが好きな人にも、テックウェアが好きな人にも響く。
MODMNTは、その両方を知っている人ほど気になるブランドだと思う。
BRAND:MODMNT
ITEM:MK JACKET
COLOR:Olive / Black
SIZE:S / M
PRICE:¥79,200(税込)
サイズ感は他ブランドと比べて大きめ。
Sで一般的なM、MでLくらいのイメージになります。
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
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MOUT RECON TAILORから、WIND PRO DOUBLE KNEE RANGER PANTが入荷。
往年のミリタリーパンツをベースに、現代の高機能素材とパーツで作り直す。
MOUT RECON TAILORだからこそ成立する一本。
メインで使用しているのは、POLARTEC WIND PRO。
フリースは毛足の中に暖かな空気を蓄えることで保温する。
軽量で保温性が高く、通気性にも優れる一方、寒風が生地の中を抜ければ、せっかく蓄えた暖かな空気まで奪われてしまう。
そのフリース最大の弱点ともいえる「寒風」を克服するために作られたのが、POLARTEC WIND PRO。
一般的なフリースより緻密に編み立てることで、冷たい風の侵入を抑えながら、フリース本来の軽さ、保温性、通気性を残している。
耐風性は通常の化繊フリースと比較して最大約4倍。
しかも完全防風のフィルムで風を止めるのではなく、生地そのものを高密度に編み立てることで寒風を通しにくくする。
だから冷たい風を抑えながら、身体から出る熱や湿気は外へ逃がせる。
フリースの良さを残したまま、フリースの弱点だった寒風を克服する。
さらに高密度な編み地は摩擦にも強く、毛玉になりにくい。
表面にはDWR(耐久撥水加工)を施し、軽い雨や雪を弾く。
暖かいだけのフリースではない。
寒風、摩擦、軽い雨や雪まで考えられた素材。
このWIND PROの凄さは、他のMOUT RECON TAILORのアイテムで個人的にも体感済み。
普通のフリースみたいに、寒風を受けた時のあの寒さを本当に感じにくい。
特に自転車に乗ると、その違いがよく分かる。
だから、この素材をパンツに使うというのもかなり理にかなっている。
真冬に自転車に乗る人にも、かなり良いパンツ。
デザインのベースになっているのは、往年のミリタリーパンツ。
でも、そのまま再現するわけじゃない。
ウエストには軍用バンジーコードを採用し、現代的なイージー仕様に。
膝はダブルニーにすることで強度を高め、その大きな切り替え自体をデザインアクセントにしている。
さらに、その上にはジップポケット。
機能を追加した結果としてディテールが増え、それがそのままパンツの表情になる。
往年のミリタリーパンツをデザインソースにしながら、VINTAGEそのものには向かわない。
この辺りもMOUT RECON TAILORらしいところ。
ジップには、ITW NEXUSのGT ZIP LINEを採用。
一般的なジッパープルのようにコードを通して結ぶのではなく、柔軟性を持った特殊な樹脂素材そのものを一体成型している。
水を吸いにくく、軽く、柔らかい。
さらにグローブを着けた状態でも、小さな金属製プラーを指先でつまむのではなく、ZIP LINEそのものを掴んで引くことができる。
樹脂製だから、身体を動かした時に金属製プラーがスライダーへ当たって鳴る接触音も抑えられる。
そして裾にも、ITW NEXUSのCLIP。
全体的にはややゆったりとしたシルエットだけど、裾のアジャスターを調整することで、そのまま太さを活かして穿くことも、裾を絞ってシルエットに変化をつけることもできる。
知らなければ見過ごしてしまうような小さなパーツにも、それを使う理由がちゃんとある。
このパンツで一番面白いのは、出発点は往年のミリタリーパンツなのに、出来上がったものの見え方がまるで違うこと。
POLARTEC WIND PRO。
軍用バンジーコード。
ITW NEXUSのZIP LINEとCLIP。
昔の軍パンを忠実に再現するのではなく、今ある高機能素材とパーツで作り直す。
往年のミリタリーパンツをベースにしながら、中身は完全に今。
昔の軍パンだって、その時代に必要だった機能から生まれたもの。
ならば、その考え方を今の素材とパーツで更新する。
VINTAGEのディテールを再現して昔に近づけるのとは、また違うミリタリーの面白さ。
昔の軍パンを今っぽく見せただけではない。
ミリタリーウェアが本来持っていた「必要な機能から形が生まれる」という考え方そのものを、現在の素材とパーツでもう一度作る。
そして、それを今の東京で普通に穿く。
最新のミルスペックを駆使した、MOUT RECON TAILORが提案する次世代のタクティカルパンツ。
BRAND:MOUT RECON TAILOR
ITEM:WIND PRO DOUBLE KNEE RANGER PANT MT2008
COLOR:Black
SIZE:44 / 46 / 48
PRICE:¥46,200(税込)
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
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MOUT RECON TAILORから、WIND PRO RANGER JACKETが入荷。
メインで使用しているのは、POLARTEC WIND PRO。
個人的にも、この素材の良さはすでに実証済み。
他のMOUT RECON TAILORのWIND PROを使った服を実際に着ているけど、普通のフリースで感じる寒風による寒さを本当に感じにくい。
特に自転車に乗ると、その違いがよく分かる。
そもそもフリースは、毛足の中に暖かな空気を蓄えることで保温する素材。
軽量で保温性が高く、通気性にも優れる一方、寒風が生地の中を抜ければ、せっかく蓄えた暖かな空気まで奪われてしまう。
風の強い日。特に自転車なんかに乗っている時。
暖かいはずのフリースなのに意外と寒い、あれです。
その弱点に対してPOLARTECが出した答えが、WIND PRO。
一般的なフリースより緻密に編み立てた構造によって、冷たい風の侵入を抑えながら、フリース本来の軽さ、保温性、通気性を残している。
耐風性は、通常の化繊フリースと比較して最大約4倍。
でも、面白いと思うのは、完全防風にしなかったこと。
防風フィルムを挟んで風を完全に止めてしまえば、今度はフリースらしい柔らかさや通気性が失われ、蒸れやすくなる。
WIND PROは生地そのものを高密度に編み立てることで寒風を通しにくくしながら、身体から発生する熱や湿気は外へ逃がす。
フリースの良さを残したまま、フリースの弱点だった寒風を克服する。
しかも表面には撥水性を備え、軽い雨や雪にも対応。
一枚で軽いアウターとして着ることもでき、さらに寒くなればシェルやコートの中へ入れることもできる。
自分で着ていても思うけど、これは都市生活では相当使える素材。
そして、このジャケットでもう一つ面白いのが背面。
使用しているのは、すでに生産終了している希少なPOLARTEC NEO SHELL。
NEO SHELLは、一般的な防水素材とは少し違う考え方から作られている。
表面には水滴を弾く耐久撥水加工を施し、その内側には防水メンブレンを配置。
耐水圧10,000mm以上というハードシェルにも通じる防水性能を確保しながら、0.5CFMという実際の空気透過性を持たせている。
つまり外からの雨をしっかり防ぎながら、膜そのものを通して微量の空気を動かし、身体から生まれた熱や湿気を外へ逃がす。
防水性能をひたすら高めて身体を閉じ込めるのではなく、必要十分な防水性能を確保した上で、着続けた時の快適性を考える。
しかも一般的なハードシェルにありがちな硬さやゴワつきが少なく、柔らかく、ストレッチ性もある。
ハードシェルに通じるプロテクションと、ソフトシェルのような動きやすさ。
雨が降った時だけ取り出すのではなく、普段から着続けられることまで考えた防水素材。
そして重要なのが、NEO SHELLを使っている場所。
背中。
バックパックを背負えば、ウェアの中でも特に摩擦を受ける場所になる。
そこをフリースのままにせず、より摩擦に強いNEO SHELLへ切り替える。
さらにストレッチ性があるから、腕を伸ばしたり身体を動かした時の動きやすさも損ないにくい。
防水性があるから、天候への対応力も上がる。
つまり背面の切り替えは、単に違う素材を使って見た目に変化をつけたわけではない。
バックパックとの摩擦、身体の動き、そして雨。
背中という場所に必要な機能を考えた結果、ここにNEO SHELLを使っている。
こういう素材の使い方を見ると、やっぱりMOUT RECON TAILORは面白い。
デザインソースになっているのは、VINTAGEのワークウェアやハンティングウェア。
これだけ現代的な高機能素材を使っているのに、いわゆるミリタリーウェアとは違う表情をしている。
前身頃には、切り替えそのものが胸ポケットのフラップとして機能するポケットデザイン。
両脇にはハンドポケット。
そして背面のNEO SHELL部分は、その内側全体が大きなハンティングポケットになっている。
昔のワークウェアやハンティングウェアも、そもそもは実際に働く、狩る、物を運ぶといった目的から生まれた機能服。
その考え方をそのまま懐古的に再現するのではなく、POLARTEC WIND PROやNEO SHELLという現代の素材に置き換えて作り直す。
しかも背面の大きな切り替えやハンティングポケットが、そのままデザインアクセントにもなっている。
最新の高機能素材を使っているのに、ちゃんと古着好きの目にも引っ掛かる。
ここが結構好き。
さらにジップには、ITW NEXUSのGT ZIP LINEを採用。
ジッパーなんて、指で掴んで開けられればそれでいい。
普通なら、そう考える。
でもGT ZIP LINEは、その当たり前の動作まで作り直したパーツ。
一般的なジッパープルのようにコードを通して結ぶのではなく、柔軟性を持った特殊な樹脂素材そのものを一体成型している。
水分を吸収しにくく、軽く、柔らかい。
さらにグローブを着けた状態でも、小さな金属製プラーを指先でつまむのではなく、ZIP LINEそのものを掴んで引くことができる。
樹脂製だから、身体を動かした時に金属製プラーがスライダーへ当たって鳴る接触音も抑えられる。
知らなければ、おそらく見過ごしてしまう数センチのパーツ。
でも、掴みやすさ、水への強さ、軽さ、静粛性まで、そこに使う理由がちゃんとある。
こういう小さなところまで機能として考えるのも、MOUT RECON TAILORという服の面白さ。
POLARTEC WIND PROで、フリースの弱点だった寒風に対応する。
バックパックが擦れる背面には、生産終了したPOLARTEC NEO SHELLを使い、防水性、耐摩擦性、ストレッチ性を持たせる。
そこへVINTAGEのワークウェアやハンティングウェアから持ってきた機能的なデザインと、ITW NEXUSのGT ZIP LINE。
一つ一つを見ると最新の素材やパーツなのに、出来上がった服には昔のワークやハンティングの匂いがある。
そして、それを現代の都市生活で普通に着る。
先ほど紹介したLOW LOFT CREW NECKが「都市生活における次世代のカットソー」なら、これは「都市生活における次世代のジャケット」。
昔の服をそのまま再現するのではなく、昔からある機能服という考え方を、今の素材と今の生活に合わせて作り直す。
こういう服を見ると、まだまだ洋服は進化できるんだと思う。
BRAND:MOUT RECON TAILOR
ITEM:WIND PRO RANGER JACKET MT2005
COLOR:Black
SIZE:46 / 48
PRICE:¥52,800(税込)
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
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MOUT RECON TAILORから、ちょっと面白いカットソーが入荷。
使用しているのは、POLARTEC ALPHA DIRECT ACTIVE INSULATION。
その原点となるPOLARTEC ALPHAは、米軍特殊部隊のために開発されたアクティブインサレーション。
激しく動く。止まる。待機する。そして、また動く。
活動量が目まぐるしく変化する状況で求められたのは、暖かさをただ閉じ込めるのではなく、止まっている時には暖かく、動いた時には余分な熱と湿気を逃がすという、これまでとは違う保温性能だった。
嵩高く起毛した繊維が暖かな空気を保持し、その土台となる開放的なメッシュ構造が高い通気性を生む。
軽く、乾きが速く、湿気を溜め込みにくい。
そしてALPHA DIRECTは、その機能を裏地なしでも直接着用できるよう進化させた素材。
一般的な中綿のように表地と裏地の間へ封じ込める必要がない。
だからMOUT RECON TAILORは、それ自体を一枚のカットソーにした。
これが面白い。
一枚で着れば、風を通しながら蒸れを抑える軽快な保温着。
上からシェルを重ねれば、繊維の間に蓄えた暖かな空気を逃がしにくくなり、保温性がグッと高まる。
風を通すことさえ、弱点ではなく機能の一部。
暖かさをただ閉じ込めるのではなく、着る人の動きとレイヤリングによってコントロールする。
中綿を着るのではなく、空気を着る。
そんな感覚に近い素材。
フワッとした起毛感と、その奥に見えるメッシュ構造。
この独特な表情が、単純に格好いい。
しかも、これだけメッシュ感がありながら、白Tをインナーに着ても思ったほど透けない。
機能を突き詰めた結果として生まれた表情なのに、一枚の洋服として見てもちゃんと面白い。
だからデザインも、生地の良さと合わせやすさを考えてあえてシンプルに。
ややゆったりとしたシルエットに、裾にはドローコードを配している。
そのドローコードの先端についているのが、ITW NEXUSのCANNON CLIP。
一見すると、ただの小さな樹脂パーツ。
でも、コードを指で掴みやすくし、ドローコードを操作した際にコードが抜けてしまうことを防ぐという、ちゃんとした役割がある。
「引く」「調整する」「抜けを防ぐ」。
そのための小さなパーツ。
作っているのは、Military / Defenseの世界でも使われてきたプラスチックハードウェアのスペシャリスト、ITW NEXUS。
CANNON CLIPも同社のMilitary / Defense製品群に存在するパーツ。
コードの先に結び目を作っても、役割だけなら果たせる。
それでも専用のパーツを作り、握りやすさ、抜けにくさ、軽さ、装備としての収まりまで考える。
知らなければ、そのまま見過ごしてしまうようなディテール。
でも、知ってしまうと見え方が変わる。
こういうパーツひとつで、服は俄然面白くなる。
そして何より、このカットソーは合わせやすい。
古着、アメカジ、モード、アウトドア、ストリート。
もう、なんでもいい。
生地自体にこれだけ個性があるのに、形がシンプルだから合わせる服を選ばない。
スウェットとも違う。ニットとも違う。フリースとも、ちょっと違う。
今まで知っているカテゴリーのどこかに無理やり当てはめるより、「新しいカットソー」と考えるのが一番しっくりくる。
ミリタリーから生まれたPOLARTEC ALPHA DIRECT。
Military / Defenseの現場でも使われるITW NEXUSの小さなパーツ。
その本気の機能を、街で普通に着られる一枚にする。
こういう服こそ、MOUT RECON TAILORだと思う。
BRAND:MOUT RECON TAILOR
ITEM:LOW LOFT CREW NECK MT2009
COLOR:Black
SIZE:46 / 48
PRICE:¥31,900(税込)
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STILL BY HANDから、シンセティックレザーブルゾン BL07263が入荷。
使用しているのは、ポリエステル100%のフェイクレザー。
見た目は、まるでスエード。
暖かみのある表情に、軽く適度なハリ感がありながら、触れると柔らかい。
軽くてしなやか。
着ていてストレスをほとんど感じない。
個人的には、ここがこの生地の一番の魅力。
この柔らかさだからできることがもう一つ。
コートのインナーとして着られる。
これ、かなり面白い。
柔らかくて軽いから、その上からコートを羽織れる。
この点に関しては、本革より明らかに上。
デザインはいわゆるブルゾンをベースに、フロントを比翼にすることで極力ミニマムな見え方に。
そしてポケットは、四角いフラップなしのパッチポケット。
この手のブルゾンでは珍しいポケットデザイン。
シンプルなんだけど、ここがちょっとした違和感になっている。
シルエットは着丈をやや短めに設定し、感覚としてはGジャンにかなり近い。
一枚でブルゾンとして着てもいい。
その上からコートを重ねてもいい。
面白い発想だけで終わらない。
ちゃんと着やすい洋服として着地させる。
発想から着地まで、STILL BY HANDは抜群に上手い。
BRAND:STILL BY HAND
ITEM:シンセティックレザーブルゾン
品番:BL07263
COLOR:BROWN / INK BLACK
SIZE:46 / 48
PRICE:¥33,000(税込)
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STILL BY HANDから、先染めポリエステルテーパードパンツ PT09263が入荷。
使用しているのは、ポリエステルでありながら梳毛ウールのような質感の生地。
2種類の糸を混ぜることで、単調ではない奥行きのある色合いに。
さらに、うっすらと浮き上がるドットストライプ。
この時点でかなり大人っぽく、上品。
自然なシワ感にこだわり、薬品加工で取れにくいシワをつけている。
個人的には、ここが凄くいい。
ドットストライプの上品さに、このシワ感。
普通ならスラックス然とした綺麗なパンツになりそうなところを、シワが入ることで一気にカジュアルになる。
しかも単にラフに見せるだけじゃない。
シワによって生まれる陰影が、生地そのものに豊かな表情を出している。
ポリエステルというと、均一でツルッとした生地を想像することも多い。
でもこれは、そのイメージとはかなり違う。
ナチュラルで、陰影があって、ちゃんと存在感がある。
見た目はウールスラックスっぽい。
でもポリエステルだから、洗濯にもそこまで気を遣わなくていい。
もちろんウール特有のチクチク感もなく、肌触りはサラッとしている。
日常で穿くには、かなり心強い。
デザインはヒップ、腿周りにゆとりを持たせながら、裾に向かってテーパードするシルエット。
気楽に穿ける。
カジュアルだけど、野暮じゃない。
上品だけど、気取ってない。
このどちらにも振り切らない絶妙なバランス感。
これをやらせたら、STILL BY HANDは本当に日本トップクラス。
BRAND:STILL BY HAND
ITEM:先染めポリエステルテーパードパンツ
品番:PT09263
COLOR:Charcoal
SIZE:44 / 46 / 48
PRICE:¥25,300(税込)
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BRENAの新型、OBLI。
BRENAのジャケットといえば、LAMPAでも大人気のGARDI。
今回、そこに匹敵するカバーオールが新たに誕生。
デザインソースは、VINTAGEのFRENCH WORK WEAR。
襟にはチンストラップ、胸ポケット、そして両脇には丸みを持たせた大きめのポケット。
この辺りだけを見ると、しっかりワークウェア。
でも、いわゆるUS的なタフで無骨なカバーオールとは、ちょっと空気が違う。
まず面白いのが、生地。
使用しているのはGERMAN DUCK。
ダック地と聞いて自分がまず思い浮かべるのは、CARHARTTなんかに代表されるアメリカンワークの、厚く、硬く、重たい、あのガシッとした生地。
でも、このGERMAN DUCKは全然違う。
しっかり芯があり、ダックらしいハリはある。
それでいて適度な柔らかさと軽さがある。
だから、とにかく着やすい。
あのUS的なダックのカバーオールと比べると、着心地は段違いに軽快。
その違いは着心地だけじゃなく、見た目にもちゃんと出ている。
ダックらしいワークの匂いはありながら、ゴリゴリに重たく見えない。
個人的には、どこかユーロ的。
フランスのデザイン、ドイツの生地、イタリアのスエード。
そう考えると、この独特な空気にも納得がいく。
さらに面白いのが、素材の切り替え。
襟、胸ポケット、袖の内側には、イタリア製のウォッシャブル人工スエードを使用。
しかも一般的に使われるものより、やや厚手のタイプ。
このスエード使いがアクセントになり、単なるワークウェアで終わらないBRENAらしい洗練された雰囲気を加えている。
無骨なんだけど、どこか品がある。
男っぽいんだけど、ちょっと色気もある。
だからデニムや軍パンだけじゃなく、スラックスとも相性がいい。
色気のあるカバーオール。
GARDIに続くBRENAの新たな定番になってほしい。
自分は、それくらい気に入っている。
BRAND:BRENA
ITEM:OBLI
COLOR:TABACO / BLACK
SIZE:44 / 46
PRICE:¥58,300(税込)
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BRENAからCREWが入荷。
実際に着てみて、まず驚いたのがその着心地。
明らかにコットンスウェットとも、ウールセーターとも違う。
コットンスウェットが持つ気軽さと安心感。
ウールセーターが持つ暖かさと柔らかさ。
そう、これはそれぞれの長所を合わせたような着心地。
自分でも、あまり感じたことのない着心地だった。
使用しているのは、イタリア・Bellandi社のBel&CoによるCOTTON 60%、WOOL 40%のウォッシャブルブークレージャージー。
Bellandiは、イタリア屈指の繊維産地として知られるトスカーナ州プラートで1961年に創業したテキスタイルメーカー。
そのBellandiが展開するBel&Coは、長年培ってきたウールのノウハウをベースに、ジャケットやコート、パンツといった構築的な服にも使えるジャージー素材を得意とするレーベル。
そして今回BRENAが使ったのは、希少なDEADSTOCK。
ブークレー特有の凹凸感とウールらしい膨らみがありながら、しっかりとした安心感のある生地感。
ウール混でありながら、気になるチクチク感もない。
さらにジャージーならではの伸縮性があり、ウォッシャブル。
見た目だけではなく、実際に着てみて初めて分かる、この独特な着心地。
そして面白いのが、この希少なDEADSTOCKというキーワードに引っ張られて、服まで懐古主義になっていないところ。
シルエットはややゆったり。
その横幅に対して、着丈は若干短めに設定。
胸にはジップポケット。
脇にはファブリックメーカーのタグを配し、さりげないアクセントに。
昔の生地だから、昔っぽい服を作る。
そうならないところがBRENAらしい。
希少なDEADSTOCKが持つ表情や背景はちゃんと活かしながら、シルエットとデザインは今の服として成立させる。
そして何より、着れば分かる。
DEADSTOCKという希少性以上に、自分はこの着心地にやられた。
BRAND:BRENA
ITEM:CREW
COLOR:Gray / Navy
SIZE:46 / 48
PRICE:¥26,400(税込)
DEADSTOCK生地のため、少量入荷です。
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
完売していたTRIALOGUE STUDIO × Lampa別注の親子巾着レザーバッグが、ごく少量だけ再入荷した。
そして最初にお伝えしておくと、今回で本当に最後。この再入荷分をもって、このLampa別注は終了となる。
この別注の始まりは、とても単純だった。自分が本当に持ちたいと思える巾着が、なかなか見つからなかった。
だったら、作ってしまえばいい。そんな思いからTRIALOGUE STUDIOにお願いして生まれたのが、この親子巾着レザーバッグだ。
もし自分が巾着を持つなら、こんなのがいい。その感覚をそのまま形にしていった。
素材には、モチモチとした弾力としっとりとした質感を持つTRIALOGUE STUDIOオリジナルの国産牛革を使用。そこへ、本来ならあまり組み合わせることのないバンジーコードを合わせた。
レザーだけなら綺麗にまとまり過ぎる。コードだけなら少し無骨過ぎる。その相反する要素がひとつのバッグの中に同居する違和感こそ、僕が面白いと思ったところだ。
さらに大きな巾着には、着脱可能な小さな巾着を組み合わせた親子仕様を採用した。
インラインモデルよりコードを長くし、手持ちだけでなく斜め掛けにも対応。ブラックとブルーを基調にしながら、小さな巾着にはターコイズを効かせた。このカラーリングもLampa別注だ。
大小二つの巾着、コードの長さ、そして色まで、自分が持つならこうしたいという感覚をひとつずつ形にしていった。
このバッグを作った理由を突き詰めれば、結局ここに戻ってくる。
最初から最後まで、自分が本当に持ちたいと思えるものを作るという気持ちは変わっていない。だから僕にとってこれは、単なる別注カラーでも仕様変更でもない。自分が考える最高傑作のレザー巾着だ。
一度完売したこのLampa別注が、ごく少量だけ再入荷しました。自分が持ちたいというところから始まり、TRIALOGUE STUDIOと形にした親子巾着レザーバッグ。今回入荷した分をもって、このLampa別注は終了となります。
ここ最近LAMPAに続々と入荷しているORDINARY FITSのデニム。
VINTAGEの生地やディテールを深く掘り下げながら、完成された過去の形をそのままなぞらない。残すべきものは残し、今の服として新しいバランスへ動かしていく。その考え方に惹かれ、LAMPAが考えるSTANDARD DENIMのひとつとして長くセレクトしてきた。
今回のBELL JACKET 018USDは、そんなORDINARY FITSらしさがかなり濃く出た一着だ。
生地には、1980年代のLEVI'Sのデニムを研究して開発した10.5ozのオリジナルデニムを使用。そこへ熟練の職人による加工を施し、綺麗なブルーに濃淡と奥行きをつくりながら、適度な量のペンキを散らしている。
ここで面白いのは、ペンキ加工という分かりやすく強い要素を使いながら、それだけを目立たせていないこと。USED加工によるブルーの濃淡をきちんと見せ、その中にペンキを効かせることで、生地全体をひとつの表情として仕上げている。
やり過ぎず、かといってやらな過ぎず。このギリギリのラインを見極めるセンスがいい。加工そのものの強さではなく、すべてが合わさった時にどう見えるか。その匙加減に、このデニムの良さがある。
デザインのベースとなったのは、VINTAGEのエンジニアジャケット。そのワークウェアとしての骨格を残しながら、全体にはテーラードジャケットを思わせる見え方を加えている。
特に目を引くのが、独特な丸みを持たせたポケット。単体で見ればかなりクセのある形だが、その曲線だけが浮いて見えない。襟や裾を含めた全体の丸みへつながることで、一般的なデニムワークジャケットとは明らかに違う輪郭をつくっている。
ポケットひとつを変えて終わりではなく、その曲線を服全体へつなげている。だからデザインされた服でありながら、後から何かを足した感じがない。このあたりのまとめ方にもORDINARY FITSのセンスが出ている。
出発点はエンジニアジャケットというUSワーク。それなのに全体を見ると、どこかEURO的にも映る。
2000年代に一世を風靡したLEVI'S REDを思い出すフォルム。ただ、そこまでファッションには振っていない。曲線やフォルムには明確なデザインがありながら、根底にはエンジニアジャケット由来のワーク感がきちんと残っている。
普通のVINTAGEベースのデニムジャケットとも違えば、デザインを前面に押し出したデニムジャケットとも違う。どちらかへ振り切るのではなく、その間にORDINARY FITS独自の場所をつくっている。この距離感がすごくいい。
ORDINARY FITSのデニムを長くセレクトしている理由は、単にVINTAGEに詳しいからではない。過去の服を深く見て、何を残し、どこを動かせば今までに無かったものになるのか。その判断が服としてきちんと見えるからだ。
BELL JACKETもまさにそう。1980年代のLEVI'Sを研究したデニム、職人による加工、エンジニアジャケットという出発点。その一つひとつには明確に過去との接点がある。それでも完成した姿は、過去のどこかに存在したデニムジャケットの再現ではない。
VINTAGEを知っているから作れるのに、VINTAGEには戻らない。ワークの力強さを残したまま、USだけでは語れない輪郭へ動かしている。僕がORDINARY FITSをSTANDARD DENIMとして見ている理由が、この一着には凝縮されている。
ワークはUSだけじゃない。過去を深く知りながら、その完成された形をなぞらず、新しい輪郭へ動かしていく。BELL JACKETには、そんなORDINARY FITSの姿勢がはっきりと表れています。VINTAGEを再現したデニムジャケットではなく、そこから先へ進んだからこそ生まれた一着。これは今までに無かった、新しいデニムジャケットです。
加工デニムにペンキ。この言葉だけを聞けば、かなりVINTAGE寄りのパンツを想像する。色を落とし、アタリを出し、さらにペンキを散らす。古着らしさを強く見せる方法はいくらでもあるし、そこまでやれば分かりやすく格好良いものにもなる。
ORDINARY FITSのBELL PANTS 180USDに惹かれたのは、その方向へ振り切っていないところ。しっかり使い込んだ顔をしていて、ペンキも入っている。それなのに、VINTAGEを再現したパンツというより、今普通に穿きたいデニムに見える。ここが凄くいい。
古着もワークも知っている。でも、それを全身で主張する必要はない。ペンキの付いたデニムでさえ、特別なものとして構えず普通に穿く。見栄を張らず、格好をつけ過ぎず、それでも穿いた姿はきちんと格好良い。そんな服との距離感に、僕は東京らしさを感じる。
使われているのは、1980年代のLevi’sのデニムを研究して開発された10.5オンスのデニム。比較的軽いオンスの生地に熟練した職人が加工を施し、最初から柔らかく穿きやすい生地感に仕上げている。
色の出し方も単純に薄く抜いただけではない。綺麗なブルーの中に濃淡が重なり、使い込んだデニムらしい奥行きがある。色落ちやアタリをしっかり見せながら、それだけでVINTAGE感を押し出そうとしていない。このブルーの見え方が、BELL PANTSの清潔感にも繋がっている。
そこへ適度に散らされたペンキ。この加減が本当に上手い。ペンキだけを目立たせれば、一気にワークやVINTAGEの匂いは強くなる。しかしBELL PANTSでは、色落ちやアタリの中へペンキを馴染ませ、それ自体を主役にしていない。
ブルーの濃淡の中へ細かな表情として入り込み、パンツ全体を見れば、最初からそこにあったものとして収まっている。使い古した雰囲気がありながら、汚く見えない。このパンツなら、ペンキは無いほうが合わせやすいのではなく、入っていたほうが格好良い。
加工を強く見せるためのペンキではなく、一本のデニムを完成させるためのペンキ。色落ちもアタリもペンキも、それぞれを目立たせるのではなく、全部でひとつの表情をつくっている。
そして、このパンツは加工だけでは終わらない。デザインのイメージは、オーバーオールから上半分を取り去ったようなパンツ。通常の5ポケットデニムとは違う成り立ちを持ち、シルエットはかなりゆったりとしている。
ここに10.5オンスの柔らかなデニムを使っていることにも意味がある。たっぷりと生地を使った大きなシルエットを、硬いデニムで輪郭ごと固定するのではなく、柔らかな生地がその形の中で馴染んでいく。広い面積の中でブルーの濃淡がしっかりと見え、散らされたペンキも一点の装飾ではなく、大きなシルエットを構成する表情のひとつになる。
ウエストにはアジャスターを備え、サイズ感の調節も可能。ボリュームのあるシルエットを活かしながら、自分の腰位置に合わせて収まりを調整できる仕様となっている。大きく穿くことだけを目的にした形ではなく、この分量そのものをBELL PANTSのデザインとして成立させている。
服を長く見続けていると、加工デニムを「どれだけ本物のVINTAGEに近いか」だけでは選ばなくなる。BELL PANTSは、1980年代のLevi’sを研究したデニムに熟練した職人が色落ちやアタリを作り、さらにペンキまで加えている。やっていることだけを見れば、かなりVINTAGEへ近づいていくはずだ。
それでも、出来上がったパンツは古着そのものの再現には見えない。太いシルエットも、色落ちも、ペンキも、それぞれを主張として前へ出すのではなく、一本のデニムとして自然に馴染ませている。
古着を知っていることを見せるためではなく、知っているからこそ普通に穿く。ペンキの付いたデニムでさえ特別扱いせず、気負わず穿いて、それでもきちんと格好良い。LAMPAで選びたいのは、こういう服だ。
使い込んだデニムなのに、清潔感がある。色を落とし、アタリを作り、さらにペンキまで加えながら、出来上がった一本は決して加工だけを見せるパンツにはなっていません。綺麗なブルー、大きなシルエット、そこへ馴染んだペンキ。その全部が揃って、BELL PANTSの佇まいをつくっています。
VINTAGEを忠実に再現するのではなく、その格好良さを知った上で、今穿きたい一本へ持っていく。ペンキまで含めてこの佇まいだからこそ、今の東京で自然に穿きたい。LAMPAで選び、紹介したかったBELL PANTSです。
センスの良い古着屋に行くと、ごく稀にものすごく格好良いリメイクスウェットに出会うことがある。
古着屋が売るために手を加えたものではない。当時の誰かが、自分で着るために袖を切ったり、刺繍を入れたり、自分の感覚だけを頼りに手を加えたもの。売れるかどうかなんて関係ない。単純に「自分はこう着たい」。そんな初期衝動から生まれたリメイクの中には、プロが計算して作った服とは違う、とんでもない格好良さを持ったものがある。
僕自身、昔からそういう古着に出会った時の、理屈では説明しきれない格好良さが好きだ。このORDINARY FITS EMBROIDERY INLAY CS044を見た瞬間に感じたのも、まさにあの雰囲気だった。
ベースになっているのは、VINTAGEスウェットを思わせるゆったりとしたシルエット。そこへ首元には職人の手作業による、センスの良い配色の刺繍。そして袖は、あえてのカットオフ。
新品なのに、当時の誰かが自分のために手を加えたような空気がある。最初から完成されたデザインとして綺麗にまとめるのではなく、「ここに刺繍を入れたい」「袖は切った方が格好良い」。そんな感覚から生まれたリメイク古着の初期衝動を感じる。
手刺繍もカットオフも、単体で見ればかなりラフなディテール。それを単なる装飾として付けるのではなく、一着全体からあのリメイク古着の空気を感じさせるところが面白い。
そして、この服の面白さは見た目だけではない。使用しているのは、コットン100%のインレイ生地。一見するとスウェットに見えるが、触ってみると少し違う。
スウェットほど厚くなく、ロンTほど薄くない。それでいてペラッとせず、適度なハリとコシがある。この独特な肉感を作っているのが、インレイという編み方。
通常の天竺が糸のループによって編地を作るのに対し、インレイはベースとなる編地に別の糸を横方向へ這わせるように挿入する構造。この糸が横方向への伸びを抑えることで、ニットでありながら生地にハリと安定感が生まれる。
面白いのは、単純に生地を厚くして、しっかりさせているわけではないところ。一般的な裏毛のように膨らみで肉感を出すのではなく、厚みを抑えながらコシを作る。
だからスウェットのようなしっかりとした安心感がありながら、必要以上にモコモコしない。逆にロンTのように身体へ落ち過ぎることもない。まさに、Tシャツ以上、スウェット未満。この肉感が本当に丁度良い。
そして、このインレイ生地だからこそ、ゆったりとしたシルエットにも意味が出る。
適度なハリによって身幅のゆとりがそのまま輪郭として残り、VINTAGEスウェットを思わせるボリュームがありながら、厚手のスウェットほど重たく見えない。
ここまで見ていくと、なぜこの服にインレイを使ったのかがよく分かる。デザインだけではなく、生地まで含めて一着のバランスを作っている。
手刺繍。カットオフ。VINTAGEスウェットを思わせるボリューム。これだけラフな要素を入れれば、もっと土臭くなってもおかしくない。
でもORDINARY FITSが作ると、ちゃんと今の服として見える。インレイ生地のフラットな表情とシルエットで全体を整えて、どこか洗練されたところで止める。
古着をそのまま再現するんじゃない。古着が持っている偶然性や初期衝動を感じさせながら、生地選びとシルエットはきちんと考えられている。だから、単なる古着風の服では終わらない。
古着に求めてきた、誰かの感覚がそのまま服になったような格好良さ。それを表面だけ真似るのではなく、インレイという生地まで含めて、今着たい新品の服として成立させている。
古着の面白さは、デザインや縫製だけではありません。時に、誰かが自分のためだけに手を加えた、その初期衝動そのものに強烈な格好良さがあります。その感覚を新品の服へ落とし込んだEMBROIDERY INLAY CS044。こういう服を作ってくるところが、やっぱりORDINARY FITSです。
A VONTADEからM-65 TROUSERS MODIFYが入荷。
このパンツ、一番面白いのは生地。
今回A VONTADEが使用しているのは、ブランドオリジナルで製作したコットン100%の高密度バックサテン。
経糸、緯糸ともに引き揃え、高密度に織り上げている。
でも、この生地の面白さは、見ただけでは分からない。
そもそもM-65 FIELD TROUSERSの前身にあたるM-51 FIELD TROUSERSに使われていたのは、コットン100%のバックサテン。
当時のものは単糸を使って織られていて、乾いたタッチとマットで無骨な表情が特徴。
そしてコットン100%だからこそ、穿き込むほどに身体に馴染み、アタリやパッカリング、色落ちといった経年変化も色濃く出る。
古い軍パンが好きな人なら、この生地の格好良さはよく分かると思う。
ところが、後継となるM-65 FIELD TROUSERSでは生地が変わる。
コットン100%から、コットン×ナイロンの混紡素材へ。
これは単なるモデルチェンジじゃない。
軍服として、より耐久性や速乾性を高めるための進化。
さらに糸使いや織りの違いによって、生地自体にもM-51とは違うハリとタフさが生まれる。
M-51のコットン100%バックサテンには、抜群の風合いと経年変化がある。
一方のM-65には、より高密度でハリのある、タフな生地感がある。
じゃあ、M-51のコットン100%ならではの風合いと、M-65のハリとタフさ。
その両方を持った生地を作ったらどうなるのか。
A VONTADEがやったのが、まさにそれ。
だから既存のバックサテンではなく、わざわざオリジナルで生地から作った。
コットン100%という部分はM-51。
でも、そのままM-51の生地を再現するのではなく、経糸、緯糸ともに引き揃えて高密度に織り上げる。
ちなみに「双糸」は、2本の単糸を撚り合わせて一本の糸にしたもの。
今回の「引き揃え」は、それとは少し違う。
複数本の糸を一本に撚ってしまうのではなく、揃えた状態で織り込んでいく。
これによってコットン100%らしい風合いを残しながら、生地にはしっかりとした密度と厚み、ハリが生まれる。
ここなんです。
単純に、「昔のM-65を再現しました」ではない。
かといって、「M-51の生地をM-65に載せました」でもない。
M-51とM-65、それぞれの生地を理解した上で、M-51の風合いと経年変化、M-65のハリとタフさ、その両方が欲しいから、生地そのものを作り直している。
言ってしまえば、M-51とM-65の、いいとこ取り。
そしてデザインは、オリジナルM-65の雰囲気をしっかり残しながら、シルエットを僅かに調整。
細くしたり、テーパードを強くしたりして今っぽく見せるのではなく、M-65らしいボリューム感や迫力はそのままに、オリジナルより少し綺麗に見えるようバランスを整えている。
フロントはWALDES製ジッパー。
1940〜50年代当時の規格を忠実に再現した一本。
ここもA VONTADEらしい。
僕自身、実物のM-65は何本も見てきたし、LAMPAでも売ってきた。
もっと昔なら、M-65のデッドストックなんて1万円以下で買えた記憶がある。
その後、LAMPAでもSMALL-REGULARのデッドストックを18,000円くらいで販売していた時期があった。
それでも当時の僕は、「高くなったな」と思っていた。
それが今では、同じSMALL-REGULARのデッドストックが数万円。
初期の個体ともなれば、5万円、6万円という値段も珍しくなくなった。
ずいぶん立派なヴィンテージになったものだと思う。
でも、今回A VONTADEのM-65を選んだ理由は、値段の話じゃない。
むしろ逆。
実物を何本も見て、実際に店で売ってきたからこそ、こういう作り方が面白かった。
ヴィンテージをちゃんと知った上で、何が格好良かったのかを拾い直して、今の服として作り直す。
M-65なのに、コットン100%。
でもM-51そのままでもない。
M-51とM-65、それぞれの良さを一枚の生地に落とし込みたかった。
だからA VONTADEは、わざわざオリジナルのバックサテンを作った。
僕が今回一番やられたのは、この生地。
BRAND:A VONTADE
ITEM:M-65 TROUSERS MODIFY
品番:VTD-0431-PT2
COLOR:Olive
SIZE:S / M / L
PRICE:¥35,200(税込)
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
個人的に、最高のジャケットです。
A VONTADEからZIP WORK JACKET VTD-565-JKが入荷。
デザインソースは、1940年代のストア系ブランドのデニムジャケット。
この時点でもう個人的には大好物なんだけど、単純にVINTAGEを再現していないところがA VONTADE。
まず生地が良い。
使用しているのは、経糸に硫化染めの黒糸、緯糸にも黒の綿糸を打ち込んだ11.5ozのブラックデニム。
経糸、緯糸ともに黒。
だから通常のブラックデニムより、さらに深い漆黒の黒。
でも、モード系のツルッと綺麗なブラックデニムとは全く違う。
スラブデニム特有の凹凸とザラつきがあって、ちゃんとアメカジの匂いがする黒。
しかも硫化染めなので、洗濯を重ねればどんどん風合いが増していく。
買った時が完成形じゃない。
ここから着て、洗って、自分で育てていくブラックデニム。
そして、このブラックデニムに合わせたのがブラックのカウハイドレザー。
表襟に、スラブデニムの雰囲気に合うよう加工を施したカウハイドを使用。
ブラックデニムにブラックレザー。
もう、この組み合わせだけでアメカジ好きにはたまらない。
ジップも抜かりなし。
1940〜50年代当時のジッパーの規格、製法をそのままに作られているWALDESを使用。
さらにフロントトップには、当時アンロック式のジップのために考案されたであろうタブ使い。
ポケットや裾のタブなどにも、当時のディテールを残している。
ここまで聞くと、かなりVINTAGEど真ん中のジャケットを想像すると思う。
ところが、着ると印象は全然違う。
当時のストア系ジャケットにある直線的なシルエットではなく、全体的に丸みのあるシルエットへパターンを再構築。
身幅と着丈のバランスも、ちゃんと今。
さらに面白いのが袖付け。
通常なら最後の工程になることが多い袖付けを、先に身頃と袖をつなぎ、その後、肩から袖先までを一緒に巻き縫いで仕上げている。
そのひと手間によって生まれる、綺麗なショルダーライン。
VINTAGEのディテールをたくさん付けて、「昔の服を再現しました」では終わらない。
自分も大好きな40年代ストア系ジャケットが持っていた空気感はちゃんと残す。
その上で生地を選び、シルエットを作り直し、肩のラインまで整えて、今の東京で着られる服にする。
古臭くない。
かといって、綺麗にしすぎてもいない。
まさにCITY RUGGED。
そして何年も着て、ブラックデニムが褪せ、レザーにも味が出てきた時、このジャケットはもっと格好良くなると思う。
今あるVINTAGEを真似した服じゃない。
これからVINTAGEになっていく服。
10年後、20年後にどんな顔になっているのか。
自分なら、そこまで着てみたいジャケットです。
BRAND:A VONTADE
ITEM:ZIP WORK JACKET
COLOR:Black
SIZE:M / L
PRICE:¥41,800(税込)
品番:VTD-565-JK
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
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正直、展示会で触ってビックリした。
HAVE A GOOD DAYから、SWEAT HOODIE HGD-414が入荷。
先ほど紹介したCREW SWEATと同じく、とにかくこのフーディーも生地に注目してほしい。
使用しているのは、アメリカンコットンの空紡糸を使った14オンスの裏毛生地。
空紡糸らしいドライでシャリ感のあるタッチなんだけど、その乾いた感じがかなり強い。
VINTAGE SHOPに並んでいる昔のアメリカのスウェットにある、あの独特の乾いた生地感。
自分はあれが好きだけど、これはそれ以上に乾いた感じ。
こんなスウェット生地、自分は今まで出会ったことがない。
しかも14オンスと適度に肉厚で、洗濯を重ねるごとに風合いを増していく生地。
見た目にも通常のスウェットとは少し違って、生地の目が立ったような表情がある。
触った時のドライな質感が、そのまま見た目にも出ているような生地。
そしてこちらは、その生地を使ったフーディー。
全体的にややゆったりとしたシルエットに、フードは3枚パネル仕様。
そして、あえてヒモ無し。
この辺りが面白い。
ドライでカリカリに乾いたVINTAGE感のある生地なのに、3枚パネルのフードにヒモ無しというデザインが入ることで、どこか今っぽい。
昔のアメリカのスウェットっぽいのに、古臭さというか野暮ったさがない。
恐らく自分と同じ年代の人なら共感してくれると思うけど、自分はパーカーのヒモって抜いてしまう方。
なので、最初からヒモ無し。
これはこれで、ありなデザイン。
ポケットは定番のカンガルーポケット。
クルースウェット同様、一見するとシンプル。
でも、この生地ならあまりいじらない方が正解だと思える。
結局、このフーディーも生地ありき。
VINTAGE SHOPであの乾いたアメリカのスウェットを触って「これこれ」と思う人。
これは一度触ってほしい。
これは、触った瞬間にわかると思います。
BRAND:HAVE A GOOD DAY
ITEM:SWEAT HOODIE
COLOR:Blue / Oatmeal / Black
SIZE:2 / 3
PRICE:¥20,900(税込)
品番:HGD-414
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
正直、展示会で触ってビックリした。
HAVE A GOOD DAYから、CREW SWEAT HGD-410が入荷。
とにかく、このスウェットは生地に注目してほしい。
使用しているのは、アメリカンコットンの空紡糸を使った14オンスの裏毛生地。
空紡糸らしいドライでシャリ感のあるタッチなんだけど、その乾いた感じがかなり強い。
VINTAGE SHOPに並んでいる昔のアメリカのスウェットにある、あの独特の乾いた生地感。
自分はあれが好きだけど、これはそれ以上に乾いた感じ。
こんなスウェット生地、自分は今まで出会ったことがない。
しかも14オンスと適度に肉厚で、洗濯を重ねるごとに風合いを増していく生地。
見た目にも通常のスウェットとは少し違って、生地の目が立ったような表情がある。
触った時のドライな質感が、そのまま見た目にも出ているような生地。
だからデザインは、VINTAGEのスウェットをベースに前Vを入れ、シルエットをややゆったりさせたくらい。
一見するとシンプル。
でも、この生地ならあまりいじらない方が正解だと思える。
そして面白いのが、これだけ昔のアメリカのスウェットを感じる生地なのに、VINTAGE特有の古臭さというか、野暮ったさがないこと。
ちゃんと今の服として見える。
ホント不思議。
アメカジ好きなら、この生地は一度触ってほしい。
いや、これは絶対に好きだと思います。
BRAND:HAVE A GOOD DAY
ITEM:CREW SWEAT
COLOR:Blue / Oatmeal / Black
SIZE:2 / 3
PRICE:¥18,700(税込)
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久しぶりに帰ってきました。
しばらく生産されていなかった、HAVE A GOOD DAYのLOOSE S/S TEEが久々のリバイバル。
これ、LAMPAでは相当思い入れのあるロンT。
一番多い時には、ひと月で100枚以上売れたこともある。
何枚も買い足してくれるリピーターも本当に多く、僕自身も長年愛用。
もはやLAMPAクラシックと呼んでいい一枚。
シンプルすぎれば普通になるし、デザインを入れすぎれば煩くなる。
生地によっては下着っぽくもなるし、ロゴやグラフィックを入れれば、それはそれで着こなしを選ぶ。
あくまで無地で合わせやすい。
でも、ありきたりじゃない。
一枚で着てもちゃんと様になる。
着心地が良くて、ガンガン洗えて長持ちする。
さらにデイリーで買いやすいプライス。
この全部を成立させるって、実は相当難しい。
そして、それに対するある意味完璧な返答が、このロンT。
使用しているのは、度詰めに編み立てたコットン生地。
しっかりとした生地感で透け感も少なく、サラッと乾いた肌触り。
そして洗濯耐性も高い。
ここは僕自身も長年着て、何度も洗っているので実証済み。
首周りには、伸びづらいバインダーネックのリブ仕様を採用している。
脇は4本針のフラットシーマで縫製。
実はこのフラットシーマ、縫えるミシン自体が段々と少なくなっていて、50台ものミシンを所有する縫製工場でも、フラットシーマは2台だけということも珍しくない。
昔からある縫製仕様だけど、今となってはどこの工場でも簡単にできるものではなくなってきている。
さらに脇裾には、VINTAGEのシャツなどに見られる空環をそのまま残している。
そして、このロンTの見た目を決めているのが裾。
切りっぱなしにした生地端にロックミシンをかけることで、裾がクルクルっと自然に巻き上がる。
この巻き上がりによって裾にフワッとした立体感が生まれ、ただの無地ロンTとは違う綺麗なシルエットに。
肩は少し落として着る感じで、身幅にも適度なゆとり。
それでもルーズには見えない。
大人でも十分着やすい、絶妙なサイズバランス。
しばらく生産されていなかったけど、久しぶりに復活。
新しいものが次々と出てくる中で、こういうものがまた作られるのは素直に嬉しい。
何年も前から売ってきて、何度も買い足してくれる人がいて、自分でもずっと着ている。
久しぶりに見ても、やっぱりよく出来ている。
HAVE A GOOD DAY LOOSE S/S TEE。
おかえり、LAMPAクラシック。
BRAND:HAVE A GOOD DAY
ITEM:LOOSE S/S TEE HGD-322
COLOR:Charcoal / Black / White
SIZE:2 / 3
PRICE:¥8,800(税込)
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STILL BY HANDから、ナイロンフードパーカ BL03263が入荷。
使用しているのは、ややシボ感のあるナイロン素材。
撥水性、防風性といったナイロンならではの機能性を持ちながら、表面はツルッとした質感ではなく、少し落ち着いたナチュラルな表情。
この生地のチョイスがまず良い。
デザインソースは、ミリタリーのSNOW PARKA。
ボリューム感のあるフードに、やや太めながら前振りにした袖。
背中には、コートのような見え方を作るヨークデザイン。
こうやって書くとミリタリーのディテールを使ったナイロンパーカだけど、実物を見るとそんな単純なものじゃない。
ツルッとしたナイロンで作ればもっとハイテクな雰囲気になるし、シボ感のある生地でVINTAGEに寄せることもできる。
でもこれは、そのどちらにも振り切らず、最終的には都会的で洗練された雰囲気に仕上がっている。
そして何より上手いのが、SNOW PARKAという存在感のあるミリタリーウェアを、STILL BY HANDの服にしてしまう足し引き。
どこを残して、どこを削って、どこを変えるのか。
その計算がもの凄く緻密。
ミリタリーをデザインソースにしていることは分かる。
でも、ミリタリーウェアそのものには見えない。
一見すると普通に着られる。
でも、よく見ると普通じゃない。
ありそうで、ない。
出来そうで、出来ない。
派手なデザインで個性を作るんじゃなく、素材と足し引きだけで、気づけば唯一無二になっている。
これがSTILL BY HANDのセンスです。
BRAND:STILL BY HAND
ITEM:NYLON HOODED PARKA
COLOR:Taupe / Blue Gray
SIZE:46 / 48
PRICE:¥39,600(税込)
品番:BL03263
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STILL BY HANDから、PIMA COTTON SWEAT L/S TEE CS02263が入荷。
使用しているのは、ブランドが別注で製作したピマコットンのハイゲージ裏毛素材。
なぜ、わざわざ生地から作ったのか。
自分たちが作りたいものに丁度良い生地が、既存のものでは見つからなかったから。
スウェットではある。
でも、いわゆるアメカジ的なラフでスポーティーなスウェットを作りたいわけじゃない。
かといって、最新のスポーツブランドにあるような、ハイテク感の強いスウェットでもない。
STILL BY HANDの世界観に合う、綺麗で洗練された見え方。
そして一枚で着ても頼りなくなく、アウターの中に着ても邪魔にならない。
その両方を成立させる、丁度良い肉感。
それを求めた結果が、このブランド別注のピマコットンハイゲージ裏毛。
いわゆるスウェットほど厚くない。
でも、ロンTよりはしっかり肉厚。
さらにピマコットン特有の綺麗な発色と、肌触りの良さ。
この生地だからこそ、スウェットなのにかなり綺麗な見え方になる。
デザイン自体はラグランスリーブを採用したベーシックなもの。シルエットはややゆったり。
もちろんデニムに合わせても良い。
でも個人的には、どちらかというとスラックス的なパンツとの相性が良いと思う。
スウェットというアメカジを代表するようなアイテムを、STILL BY HANDの世界観に持ってくるとこうなる。
そして、もうひとつ。
STILL BY HANDならではの、身幅と着丈のバランス。
これが本当に上手い。
日本人の体型に本当によく合う、極上のサイズバランス。
これはSTILL BY HANDを経験済みの方なら、かなり同意してもらえる魅力だと思う。
スウェットでもない、ロンTでもない。
アメカジ的なラフさに寄り過ぎず、ハイテクなスポーツウェアにも寄らない。
その間にある“ちょうどいい”を、生地から作ってしまった。
こういうところが、やっぱりSTILL BY HAND。
BRAND:STILL BY HAND
ITEM:PIMA COTTON SWEAT L/S TEE
COLOR:Green / Ecru
SIZE:46 / 48
PRICE:¥18,700(税込)
品番:CS02263
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
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まず惹かれたのが、この生地。
ナイロンフィラメント糸とナイロンスパン糸を経緯で使い分けた、高密度タフタ素材。
さらに面白いのが、ここから。
フィラメント糸のハリに、スパン糸の柔らかさと表情を加え、軽さと耐久性を両立させている。
そしてもう一つ、この生地には仕掛けがある。
従来の塩縮加工とは異なる、薬剤を使わない加工でナイロン特有のフィブリル化を引き出している。
化繊特有のツルッとした無機質さではなく、どこか洗いざらしたようなナチュラルな表情。
もうこれだけで欲しくなる。
デニムにも、スウェットにも、ネルにも。
普段着ている天然素材の服の中に入れても、変に浮かない。
むしろ少しだけテックな匂いが入る感じが格好良い。
そして、この生地に合わせるのがSNOW PARKA。
一国のSNOW PARKAをそのまま持ってくるのではなく、各国の要素を拾ってブレンドしている。
首周りにボリュームのあるフード。
ボタン留めのフラップ。
存在感のある大きめの前立て。
全体はややゆったり。
腰と裾にはコードアジャスター。
広めの袖口も3段階のスナップで調整可能。
絞る場所、留める場所でかなり表情が変わる。
ミリタリー・アメカジ側にあるSNOW PARKAを、MEANSWHILEの解釈でテックウェアへ持っていく。
でも、テックに振り切らない。
ここが好きなんです。
ナイロンを使い、機能的なアジャスターも付いている。見方によっては、完全に現代的な服。
なのにデニムと合わせてもいいし、古着っぽいアイテムの上から羽織ってもいい。
アメカジとテック。一見離れているように見える二つが、この一着の中ではちゃんと繋がっている。
どちらかに寄せるのではなく、その間にMEANSWHILEにしかない場所を作っている。
これが、他のブランドにはない独特な格好良さだと思う。
BRAND:MEANSWHILE
ITEM:SNOW NOISE NEUTRAL HOODED BLOUSON
品番:MW-JKT26207
COLOR:Blue Gray
SIZE:1 / 2 / 3
PRICE:¥68,200(税込)
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
名のあるVINTAGEじゃない。
無名だけど、妙に気になる。
BETTERからVINTAGE FLEECE CREW NECK PULLOVERが入荷しました。
展示会で見たとき、まず惹かれたのは往年のスウェットを思わせるドライでタフな生地感。でも、よく見るとデザインは僕らが知っているアメカジのスウェットとは少し違う。
古着にありそうで、実際にはなかなか見たことがない。僕にはそんな一枚に見えました。
使用しているのは、表糸にオープンエンド糸を使った裏毛素材。適度な肉感としっかりとしたハリがあり、表面にはオープンエンド糸らしいドライなシャリ感があります。
ふっくら柔らかく、綺麗に整えた今っぽいスウェットとはまた違う。触ったときに少しガサッとした感触があり、しっかりとしたタフさを感じさせる。アメカジ好きなら、この生地だけでもかなり反応するんじゃないかと思います。
ただ、このスウェットの面白さは、そんな王道の生地に対してデザインが王道ではないところにある。
ベースにしているのはVINTAGEのスウェットですが、目を引くのがスウェーデン軍のアンダーウェアを思わせる独特なヨークの切り替え。
背中から袖先までを一枚のパーツで繋ぐような構造になっていて、袖を横から見ると一枚ハギが入る。いわゆる一般的なセットインスリーブやラグランスリーブとは違う、かなり特徴的な作りです。
そして、この構造によって肩から袖にかけて独特の丸みが生まれる。生地そのものには往年のスウェットらしい無骨さがあるのに、着てみると肩のラインは意外なほど柔らかい。
このタフな生地と柔らかなシルエットのズレが、個人的にはかなり面白いところ。
シルエットは程よくゆったり。袖はVINTAGEスウェットに見られる長めの設定で、そのまま袖口に溜めても、折り返して着ることもできます。
生地や袖丈には古いスウェットの匂いをしっかり残しながら、そこにスウェーデン軍のアンダーウェアを思わせるヨークや独特な袖の構造を組み合わせる。
単純にVINTAGEを再現するのではなく、いくつかの古い要素をBETTERなりに組み直すことで、どこかで見たような気がするのに、実際には見たことがないスウェットに仕上げている。
こういうところにBETTERらしい再解釈を感じます。
そして僕がこのスウェットを見て思い浮かべたのは、いわゆる名のあるVINTAGEではありませんでした。
古着屋を見ていると、たまにあるんですよね。特別有名なモデルでもないし、誰もが知っているような一着でもない。でも手に取ってみると「なんだこれ?」と思うような変な作りをしていて、妙に気になってしまうレギュラー古着。
個人的には、名のあるVINTAGEより、そんな無名だけど面白いレギュラー古着の方が好きだったりします。
往年のスウェットを思わせるドライでタフな生地。その上に乗せた、普通のスウェットではまず見ないヨークと袖の構造。そして、それによって生まれる柔らかな肩のライン。
僕にとっては、まさにど真ん中。
展示会で見たとき、すぐに気に入った一枚です。
COLOR:TOP GRAY / PURPLE
SIZE:3 / 4
PRICE:¥25,080 tax in
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
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こういう何でもないTシャツほど、生地が大事だと思う。
派手なデザインがあるわけでもない。一目で分かるような特別なディテールがあるわけでもない。
だからこそ、生地、着心地、耐久性という基本的な部分で誤魔化しが効かない。
BETTERからAMERICAN COTTON L/S T-SHIRTが入荷しました。
使用しているのは、厳選されたカリフォルニアコットンを使ったブランドオリジナル生地。
糸を撚らずに引き揃え、高密度に編み立てることで、しっかりとした強度を持たせながら柔らかさも残し、よく見ると適度なムラ感も残っている。
高密度のカットソー生地は、しっかりさせようとすると硬くなりがち。逆に柔らかさを出せば、洗濯を重ねた時の型崩れが気になる。
でもこれは、しっかりしているのに柔らかい。
このバランスが本当に良い。
さらに生地表面の毛羽を取り除く特殊な加工を施すことで、コットン100%とは思えないほどツルッとした綺麗な表情に仕上げている。
シルキーでソフトな肌触りがありながら、透け感も少ない。
表面だけを見ると、どこか化繊のような綺麗さがある。でも実際にはコットン100%なので、肌触りも良く、通気性もある。
綺麗な見え方と、コットン本来の着心地。その両方を持っている。
これ、本当に良い生地だ。
そしてこの生地については、僕自身かなり信用している。
LAMPAでは同じ生地を使った半袖も展開していて、こちらも大好評だった。
僕自身もその半袖を何枚も持っていて、かなりの回数着て、かなりの回数洗濯している。
それでも、本当に型崩れしづらい。
新品を触った時だけ良い生地じゃない。何度も着て、何度も洗って、それでも良さが続く。
ここは実際に着続けている僕が保証する。
シルエットはややゆったりとしたリラックスフィット。デザイン自体は極めてシンプルで、デニム、チノ、カーゴといったアメカジ的なパンツはもちろん、化繊系の綺麗なパンツにもすんなり合わせられる。
こういう何でもない長袖Tシャツこそ、生地の良し悪しがそのまま製品の良し悪しにつながる。
派手なデザインがあるわけでもない。一目で分かるような特別なディテールがあるわけでもない。
だからこそ、生地、着心地、耐久性という基本的な部分で誤魔化しが効かない。
何度も着て、何度も洗って、それでもまた手に取ってしまう。
僕自身が実際に着続け、同じ生地を使った半袖もLAMPAでは大好評だった。その実績も含めて、このプライスゾーンでは日本トップクラスのカットソーだと思う。
長く付き合えるベーシックなカットソーをお探しの方には、自信を持ってお薦めいたします。
BRAND:BETTER
MODEL:AMERICAN COTTON L/S T-SHIRT
PRODUCT NO:BTR2501L
COLOR:White / Black
SIZE:2 / 3 / 4
PRICE:¥10,780 tax in
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
ヴィンテージ加工のカバーオール。
でも、ただ古く見せただけじゃない。
ヴィンテージ加工したのに、パーツだけ妙に綺麗。
PERS PROJECTSからARON COVERALL VINTAGE WASHが入荷しました。
生地にはムラ糸を使い、経糸と緯糸で太さを変え、通常よりも緩く織り上げたミドルオンスのデニムを使用。デニムらしい奥行きのある表情を持ちながら、ミドルオンスではあまり見かけない柔らかな着心地も魅力です。
袖を通すと、加工の効いた表情の割に柔らかで、体に馴染むのが早い。そこへ世界でも指折りの加工技術を持つ児島の職人によって、一点一点ヴィンテージ加工が施されています。
この生地と加工だけでも十分に良い。
デザインのベースは、60年代から70年代初頭頃のデニムカバーオール。ペン差しやフラップポケットといった分かりやすいワークのディテールは削ぎ落とし、全体をシンプルにまとめています。
そして僕が面白いと思ったのが、タックボタンとリベット。ヴィンテージ加工されたパーツではなく、あえて刻印のない綺麗なシルバーを使っています。
普通なら加工したデニムには、ボタンやリベットまで経年変化したようなものを合わせたくなる。服全体を一つの年代に合わせて、辻褄を合わせたくなるところです。
そこを、あえて綺麗なシルバーにする。
ヴィンテージ加工されたデニムの中で、このパーツだけが妙に綺麗。このちょっとした違和感が、かなり効いています。
さらに袖は、ワークジャケットではあまり見られない前振りの設計。腕が自然に前へ向くように設計された、テーラード的な要素をカバーオールに持ち込んでいます。
シルバーパーツと同じく、これも大きくデザインを変えているわけではない。でも着た時には、昔のワークウェアをそのまま再現したものとは明らかに違う雰囲気が出る。
PERS PROJECTSは、この辺りのズラし方が本当に上手い。
そもそもカバーオールは、ファッションを目的として生まれた服ではありません。あくまで仕事をするためのワークウェア。
そんな服を現代のファッションとして成立させる。これ、簡単そうに見えて実はかなり難しい。
変にデザインを足せば途端にわざとらしくなるし、忠実に作りすぎれば単なるヴィンテージの再現になってしまう。
その間を取りながら、元々のカバーオールが持っている格好良さは残し、モダンな要素を入れていく。ここには相当なセンスが必要だと僕は思っています。
ヴィンテージの良さを残しながら、今着る服としてきちんと成立させる。
PERS PROJECTSらしいヴィンテージの解釈とアレンジを、かなり高いレベルで実現したカバーオールだと思います。
BRAND:PERS PROJECTS
MODEL:ARON COVERALL VINTAGE WASH
COLOR:USED
SIZE:1 / 2 / 3
PRICE:¥29,700 tax in
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PERS PROJECTSからANDREW L/S SHIRTS CHECK入荷。
デザインベースとなるのはユーロワークウェア。
この手のデザインなら、普通はコットンあたりで古着っぽく仕上げそうなところ。
そこをあえて、滑らかで上品なウール混生地で仕立てる。
生地にはオーストラリア産ヴァージンウールとレーヨンをブレンドし、ポリエステルを加えた生地を使用。
滑らかで柔らかな肌触りに、ウールならではの保温性と放湿性。
シワにもなりづらく、ウールを使用しながら自宅で洗濯できる扱いやすさも魅力。
前身頃と後ろ身頃に大胆な切り替えを入れ、前身頃ではその切り替え自体が胸ポケットのフラップの役割を果たす面白い仕様。
いわゆるフラップポケットとは違う、かなりミニマムな見え方。
シルエットは全体的にややゆったり。
古着のデザインや空気感をそのまま再現するのではなく、PERS PROJECTSのリズムで都会的に再解釈する。
前回のボーダーTもそうだったけど、PERS PROJECTSは特別に凄いスペシャルな生地を使うブランドではない。
でも、古着にあるデザインや雰囲気を拾い上げて、素材の選び方やシルエット、細かなデザインで全く違うものに仕上げるセンスが抜群に上手い。
例えるなら、特別に高級な食材を使わなくても、腕とセンスで極上の一皿に仕上げる料理人のようなもの。
こういう服、僕は好きなんです。
そして、服好きには絶対に刺さるブランド。
BRAND:PERS PROJECTS
ITEM:ANDREW L/S SHIRTS CHECK
COLOR:Navy×Brown
SIZE:1 / 2
PRICE:¥25,300(税込)
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PERS PROJECTSからALEX L/S TEE BORDER入荷。
ロンTというアイテムはシンプル。
だからこそ、実はデザインを入れるのが難しい。
何かを足せば途端にクセが強くなるし、やりすぎれば着づらくなる。
かといって何もしなければ、本当に普通のロンT。
そんな難しいアイテムで、PERS PROJECTSはかなり面白いことをやっている。
生地は、毛足の長いコットンを高密度に打ち込んだ天竺素材。
滑らかな肌触りに綺麗な発色で、ボーダーの見え方も非常に綺麗。
そして個人的にまず目がいったのが首元。
通常バインダーネックにするとボリュームが出るので、首元の存在感も強くなる。もちろん、それが良い場合もある。
でも、こういう綺麗な雰囲気の生地には合わないこともある。
そこでALEXは細めのバインダーネックを採用。
生地の雰囲気を壊さず、首元をミニマムに見せている。
この時点で上手い。
さらに袖は、カットソーではあまり用いられない、ジャケットなどに見られる前振り。
立体的で綺麗な見え方とともに、着やすさまで考えられた作り。
そして袖先にはタック。
ロンTの袖先にタックを入れてシルエットを作る。
これもなかなか斬新なアイデア。
裾も共地のバインダーで仕上げることで、自然に膨らみを持たせた独特なシルエットに仕上げている。
さらに背中の中央にはハギを入れ、その部分をあえてカットオフ仕様に。
後ろから見た時に、しっかりアクセントになる。
細いバインダー。
前振りの袖。
袖先のタック。
裾の膨らみ。
背中のハギとカットオフ。
これだけのことをやっている。
でも、全然うるさくない。
むしろ見え方は綺麗でミニマム。
ここに尽きる。
ロンTというデザインを入れるのが難しいアイテムで、これだけのことをやりながら、全部をバランス良く一枚に収める。
服を長く見ている服屋ほど、こういう仕事には唸るんじゃないかと思う。
僕は完全にやられた。
PERS PROJECTS。
このセンスには脱帽です。
BRAND:PERS PROJECTS
ITEM:ALEX L/S TEE BORDER
COLOR:Black×White
SIZE:1 / 2
PRICE:¥13,200(税込)
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
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ORDINARY FITSからWOOL SWEAT入荷。
使用しているのは、メリノウールを使ったブランドオリジナルの裏毛生地。
メリノウールは一般的なウールより繊維が細く、肌触りがなめらかでチクチクしにくい。
そして高い保温性を持ちながら、湿気を吸収して外へ逃がす調湿性にも優れ、蒸れや汗冷えが起こりにくい。
さらに防臭性も高く、寒い時期だけではなく一年を通して快適に使える天然の機能素材。
このメリノウールの特性は、アウトドアの世界ではすでに高く評価されているもの。
でも今回、面白いと思ったのはそこだけじゃない。
そんなメリノウールを裏毛にして、スウェットとしてデイリーに着ようという発想。
メリノウールというと、どうしてもセーターを思い浮かべる。
暖かくて、上品で、素材としては素晴らしい。
でもセーターのちょっとかしこまった雰囲気が苦手で、メリノウール自体を敬遠してきた人もいるはず。
だったらスウェットにしてしまえばいい。
これは実にORDINARY FITSらしい発想。
デザインはVINTAGEのスウェットをベースに、シルエットはややゆったり。
メリノウールの裏毛、その肌触りをより味わえるよう、縫製にはフラットシーマを採用。
しかも自宅で洗濯可能。
見た目はいつもの気軽なスウェット。
でも袖を通すのは、メリノウール。
この組み合わせがいい。
スウェットの砕けた感じはちゃんと残っているのに、ウール特有の上品さが加わって、普通のスウェットとは少し違う洗練された空気がある。
大人が着る、砕け過ぎないスウェット。
ORDINARY FITSはもちろん、STILL BY HAND、PERS PROJECTS、A VONTADEあたりの服とも相性抜群。
セーターは苦手。
でもメリノウールの良さは気になる。
そんな人にこそ、これはかなり面白い選択肢だと思う。
メリノウールをスウェットとして日常着にする。
この発想、個人的にかなり好きです。
BRAND:ORDINARY FITS
ITEM:WOOL SWEAT
COLOR:GRY / BLACK
SIZE:2 / 3
PRICE:¥33,000(税込)
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
前回、サイズが揃っているうちに紹介する間もなく、かなり早い段階でサイズ欠けとなったORDINARY FITSのBASIC FATIGUE。
今回、もう一度サイズを揃えて再入荷した。
ただし、ここでひとつお伝えしておきたいことがある。このBASIC FATIGUE、次シーズンは生産がない。
僕自身、このパンツはLAMPAで長く提案していきたいSTANDARDのひとつだと思っているだけに残念だが、少なくとも次のシーズンを待って買う、という選択肢はなくなった。
BASIC FATIGUEのベースとなっているのは、1960年代のUS FATIGUE PANTS。
フロントにはスクエア型の大きなパッチポケット、バックにはフラップポケットを配置し、ウエストの両サイドにはサイズを調整できるアジャスターボタンを装備。ボタンには、その形状から通称UFOボタンと呼ばれるものを採用している。
ミリタリーパンツとしての特徴的なディテールをしっかり残しながら、ORDINARY FITSらしく現代のパンツとして組み直されているのがこのBASIC FATIGUEだ。
生地には、1960年代の米軍で使用されていたバックサテンを再現したコットン100%の生地を使用。
表面には均一ではない独特の表情があり、しっかりとしたハリを持つ。この生地の存在感が、US FATIGUE PANTSをベースにしたデザインときちんと噛み合っている。
ディテールだけを拾ってファティーグパンツに見せるのではなく、その土台となる生地まで含めて1960年代の空気を追っているところが、このパンツの説得力につながっている。
BASIC FATIGUEを気に入っている大きな理由のひとつがシルエット。
US FATIGUE PANTSの持つ無骨さを残しながら、シルエットにはテーパードを効かせている。ミリタリーパンツとしての存在感を消すことなく、ORDINARY FITSが考える今の一本へと着地させている。
VINTAGEのディテールや生地をただ再現して終わらず、現在の服としてどう見せるか。ORDINARY FITSが得意としている部分が、このBASIC FATIGUEにもはっきりと出ている。
前回の入荷ではかなり早い段階でサイズが欠けたため、気になっていたものの買えなかったという方もいると思う。
そこで今回、もう一度サイズを揃えた。
ただ、先ほども書いた通り次シーズンは生産なし。ずっとあると思って後回しにできる状況ではなくなった。
前回買い逃した方、サイズ欠けで諦めていた方、そしてファティーグパンツを探していた方には、ぜひ今回の再入荷で改めて見ていただきたい一本です。LAMPAとしてもSTANDARDとして提案してきたBASIC FATIGUEだけに、サイズを選べるうちにぜひご検討ください。
ORDINARY FITSから、EMBROIDERY INLAY入荷。
一見するとVINTAGEのスウェット。
でも生地は、コットン100%のインレイ編み。
スウェットより薄く、Tシャツほど薄くない。
適度にハリがあり、伸びづらく、しっかりとした手触り。
この「Tシャツ以上、スウェット未満」の厚さが、本当に丁度良い。
そして何より惹かれたのが、この見た目。
センスの良い古着屋に行くと、ごく稀にものすごく格好良いリメイクスウェットに出会うことがある。
もちろん、古着屋が売るためにリメイクしたものではない。
当時の人が、自分の着たいものを、自分のセンスで手を加えたもの。
売れるかどうかなんて関係ない。
単純に「こう着たい」からやった、初期衝動的なリメイク。
そういうものの中には、プロ顔負けのセンスを感じるものがある。
このEMBROIDERY INLAYには、まさにあの雰囲気がある。
VINTAGEスウェットをベースにしたゆったりとしたシルエット。
首元には、職人の手作業によるセンスの良い配色の刺繍。
そして袖は、あえての切りっぱなし。
デニムを得意としながら、土臭い方向だけには持っていかない。
この辺りの洗練されたバランスは、やっぱりORDINARY FITSらしい。
まさに自分が古着に求める雰囲気を、ORDINARY FITSは新品でやってくれました。
流石です。
BRAND:ORDINARY FITS
ITEM:EMBROIDERY INLAY
COLOR:BLACK / OFF
SIZE:2 / 3
PRICE:¥27,500(tax in)
※袖は切りっぱなしのデザインですが、ミシンでほつれ防止を施しています。
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールにてお問い合わせください。
ここ最近LAMPAでもかなり動きの良いORDINARY FITSのデニム。
サイズ欠けしていたモデルが再入荷し、再び選んでいただける状態になった。そして今回は、それだけではない。
前回入荷時、ほぼ瞬殺だったDENIM COVERALLも再入荷。
ORDINARY FITSのデニムは、LAMPAにとって一時的な流行として扱っているものではなく、これからもしっかり提案していきたいSTANDARD DENIM。その中でサイズ欠けしていたモデルが戻ってきた。
気になっていたモデルがあったものの、自分のサイズだけ無くなっていたという方には、改めて見ていただきたいタイミングだ。
そして今回の再入荷で、やはり外せないのがDENIM COVERALL。
前回は入荷後かなり早い段階で動き、文字通りほぼ瞬殺。僕自身ここまで早く動くとは思っていなかったが、それだけこのカバーオールを待っていた人がいたということだと思う。
そのDENIM COVERALLを、今回もう一度確保することができた。
ただし、何度も再入荷できるとは考えていない。
恐らく今回が最後の入荷になるかと思う。
前回気になっているうちに無くなってしまった方、買おうと思った時にはすでにサイズが無かった方にとっては、もう一度選べる機会ができた。
ORDINARY FITSのデニムを気になっていた方、そして前回DENIM COVERALLを買い逃してしまった方は、ぜひ今回の再入荷で改めてご覧ください。特にカバーオールは恐らくこれが最後の入荷になりますので、気になっていた方はぜひこの機会にご検討ください。
ORDINARY FITS
DENIM COVERALL
ほぼ瞬殺だったDENIM COVERALL。
少量ですが、なんと再入荷決定!
先日入荷をご案内したORDINARY FITSのDENIM COVERALL。
おかげさまで予想以上に反応が早く、ほぼ瞬殺という結果になりました。
そして今回、少量ではありますが再入荷が決定。
前回買い逃してしまった方に、もう一度ご紹介できることになりました。
使用しているのは、11.5ozのナチュラルスラブデニム。
デニムらしい表情をしっかり持ちながら、重すぎず、シャツ感覚の延長でも羽織りやすい生地です。
デザインのベースにあるのは、もちろんVINTAGEのワークウェア。
ただし、そのまま昔のカバーオールを再現しているわけではありません。
肩まわりにはラグランスリーブを採用し、首元にはチンストラップ。左右で形の異なる胸ポケットに、全体の輪郭を引き締める白のトリプルステッチ。
ワークウェアらしいディテールをきちんと残しながら、それぞれの要素をORDINARY FITSらしいバランスで組み直しています。
僕がこのDENIM COVERALLを面白いと思うのは、しっかりアメカジの匂いがするのに、着てみるとそこだけに収まらないところ。
太めのデニムと合わせれば王道のワークスタイルになるし、綺麗なパンツと合わせれば、その無骨さが逆にスタイリングのアクセントになる。
VINTAGEを知っている人にはニヤッとできるディテールがありながら、VINTAGEを知らなくても普通に格好良く着られる。
この距離感こそ、LAMPAがORDINARY FITSをSTANDARD DENIMとして提案したい理由のひとつです。
前回の動きを考えると、今回も決して多い数量ではありません。
ほぼ瞬殺だったDENIM COVERALL、少量ですが再入荷決定です。
前回買い逃した方、気になりながら決断できなかった方は、この機会にぜひご覧ください。
今回ばかりは、少し早めのご決断をおすすめいたします。
ここ最近LAMPAで続々入荷しているORDINARY FITSのデニム。
LAMPAが考えるSTANDARD DENIMのひとつ。
VINTAGEのディテールは残す。でもVINTAGEそのものにはしない。
そのバランス感に惹かれ、長くセレクトしているブランド。
今回のBELL PANTSは、先ほどご紹介したBELL JACKETと同じ、1980年代のLEVI'Sの生地を研究し開発した10.5ozのオリジナルデニム。
熟練の職人による加工で、綺麗なブルーに奥行きを持たせながら、適度にペンキを散らしている。
ペンキ加工というと、これでもかと言わんばかりに加工を施した野暮なものも多い。
でも、これはやり過ぎず、かといってやらな過ぎず。
このギリギリのラインの見極めがうまい。
そしてBELL PANTSは、何よりデザインが面白い。
イメージとしては、オーバーオールの上半分を取ったようなデザイン。
オーバーオールのパンツ部分のシルエットは好き。
でも、あのオールインワンな感じはちょっと苦手。
そんな人には、まさにといったパンツ。
ありそうでなかった発想だけど、言われてみれば確かに欲しかった形。
シルエットはかなりゆったり。
しっかりと太さを持たせながら、裾に向かって極僅かにテーパードをかけている。
この僅かな調整によって、オーバーオールらしい太さとワークの無骨さを残しながら、穿いた時には妙に収まりがいい。
ちゃんと太い。
ちゃんとワーク。
でも、穿いた時には野暮ったく見えない。
このワークの無骨さを残しながら、洗練されたシルエットを作るのがORDINARY FITSは本当にうまい。
さらにウエストはアジャスターで調節可能。
個人的にBELL JACKETとBELL PANTSを見ていると、やっぱり面白い。
どちらもVINTAGEのワークウェアが根っこにある。
でも、そのまま再現する方向には行かない。
BELL JACKETにはテーラードジャケットのような柔らかな見え方。
BELL PANTSにはオーバーオールのような無骨さを残しながら、極僅かなテーパードによる洗練されたシルエット。
しかも同じ10.5ozデニムを使用しているので、BELL JACKETとのセットアップでの着用も可能。
上下で着ても、いわゆるVINTAGEのデニムセットアップとは全く違う。
これは今までに無い、新しいデニムのセットアップ。
ORDINARY FITSの「VINTAGEそのものにはしない」が、BELL JACKETとBELL PANTSの組み合わせで、さらに面白く見えてくる。
BRAND:ORDINARY FITS
ITEM:BELL PANTS
COLOR:USED
SIZE:28 / 30 / 32
PRICE:¥26,400(税込)
サイズは少し大きめ。
大まかな目安として、28 / 30 / 32で、通常のデニムの30 / 32 / 34くらいのサイズ感。
WEB STORE掲載済み。
ここ最近LAMPAで続々入荷しているORDINARY FITSのデニム。
LAMPAが考えるSTANDARD DENIMのひとつ。
VINTAGEのディテールは残す。でもVINTAGEそのものにはしない。
そのバランス感に惹かれ、長くセレクトしているブランド。
今回のBELL JACKETは、1980年代のLEVI'Sの生地を研究し開発した10.5ozのオリジナルデニム。
熟練の職人による加工で、綺麗なブルーに奥行きを持たせながら、適度にペンキを散らしている。
ペンキ加工というと、これでもかと言わんばかりに加工を施した野暮なものも多い。
でも、これはやり過ぎず、かといってやらな過ぎず。
このギリギリのラインの見極めがうまい。
ベースはVINTAGEのエンジニアジャケット。
そこへテーラードジャケットのような見え方をプラス。
特に目を引くのが、独特な丸みを持たせたポケット。
その丸みが単独で存在するのではなく、襟や裾のラインとも自然に調和している。
一般的なデニムワークジャケットとは、少し違う空気がある。
個人的には、このBELL JACKETを見た時に2000年代に一世を風靡したLEVI'S REDを少し思い出した。
もちろんLEVI'S REDそのものという話ではない。僕には、どこかそんな空気が感じられたということ。
ただ、あそこまでファッションには振っていない。
ちゃんとワーク感が残っている。
でも、普通のVINTAGEベースのデニムジャケットとも明らかに違う。
この距離感がすごい。
VINTAGEのエンジニアジャケットをベースに、テーラードジャケットのような見え方、丸みのある柔らかなライン、そしてやり過ぎないペンキ加工。
それぞれ結構クセのある要素なのに、全部が前へ出過ぎず、一着としてちゃんとまとまっている。
ワークをベースにしながら、どこかEURO的な見え方のする粋なデニムジャケット。
これは今までに無い、新しいデニムジャケット。
BRAND:ORDINARY FITS
ITEM:BELL JACKET
COLOR:USED
SIZE:38 / 40
PRICE:¥41,800(税込)
数量に限りがございます。
WEB STOREにも近日掲載予定です。
通販をご希望の方は、メールまたはDMにてお問い合わせください。
ORDINARY FITSから、新作FRISKO TROUSERS入荷。
ここ最近LAMPAでは、ORDINARY FITSのデニムが続々と入荷中。
LAMPAのスタイリングにおける「デニム担当」。そして、LAMPAが考えるSTANDARD DENIMのひとつがORDINARY FITS。
VINTAGEのディテールは残す。でも、VINTAGEそのものにはしない。
昔のデニムを研究しながら、そのまま再現するのではなく、今の服としてどう見せるか。
そのバランス感に惹かれ、LAMPAでは長くセレクトしているブランド。
今回のFRISKO TROUSERSに使用しているのは、DENIM COVERALLと同じブランドオリジナルの11.5ozナチュラルスラブデニム。
柔らかな風合いを持つスラブデニムに施したのは、ORDINARY FITSらしい「やり過ぎない」加工。
加工を強くしてVINTAGEそのものへ近づけるのではなく、ナチュラルで奥行きのある、綺麗なインディゴブルーに仕上げている。
この辺の加減も、やっぱりORDINARY FITSらしい。
デザインベースは、VINTAGEのLEE FRISKO JEANS。
特徴的なLポケットを採用し、トップとヒップにはスナップボタン。
そして、このパンツは何よりシルエットが本当に絶妙。
ヒップ周りはスッキリ。
そこから細くもなく、太くもない。
ワークパンツらしさを残しながら、ほんの僅かにテーパードをかけたシルエット。
この「ほんの僅か」が大事。
テーパードを強くすると、途端にワーク感やトラウザーらしさが薄くなる。
だからといって、裾までズドンと落としたシルエットにしたいわけでもない。
パッと見た時にはテーパードを強く意識させない。でも、穿いた時にはちゃんとスッキリ見える。
この極僅かな調整が、FRISKO TROUSERSを昔のワークパンツそのままには見せない。
単体で穿くのはもちろん、DENIM COVERALLと同じ生地なのでセットアップでの着用も可能。
カバーオールにデニムパンツ。
組み合わせだけ聞けば、かなりワーク。
でも、上下ともに野暮ったさを残し過ぎていないから、セットアップにするとまた違った見え方になる。
これは、新しいデニムのセットアップ。
ORDINARY FITSが作るからこその、この距離感。
BRAND:ORDINARY FITS
ITEM:FRISKO TROUSERS
COLOR:USED / ONE WASH
SIZE:28 / 30 / 32
PRICE:USED ¥29,700(税込) / ONE WASH ¥26,200(税込)
サイズは少し大きめ。
大まかな目安として、28 / 30 / 32で、通常のデニムの30 / 32 / 34くらいのサイズ感。
WEB STORE掲載はもう少し先になります。
通販をご希望の方は、メールにてお問い合わせください。
前回も大変好評だった、ORDINARY FITSのDENIM COVERALL。
今回は「確実に欲しい」というお客様からご要望をいただき、予約販売まで行ったほど。
そんなDENIM COVERALLが、再び少量入荷。
使用しているのは、ブランドオリジナルの11.5ozナチュラルスラブデニム。
柔らかな風合いを持つスラブデニムに施したのは、ORDINARY FITSらしい「やり過ぎない」加工。
加工を強くしてVINTAGEそのものへ近づけるのではなく、ナチュラルで奥行きのある、綺麗なインディゴブルーに仕上げている。
この辺の加減は、やっぱりORDINARY FITSらしい。
デザインベースは、1920年代のUSワークブランドのカバーオール。
首元にはチンストラップ、各所にはワークウェアらしいトリプルステッチ。
胸には左右非対称の面白いデザインのポケットを配し、さらにカバーオールでは珍しいラグランスリーブを採用。
白いステッチが、それぞれのディテールをジャケット全体から浮かび上がらせる。
この辺は、アメカジ好きならやっぱり擽られるところ。
ただ、LAMPAがこのカバーオールに惹かれるのは、VINTAGEのディテールだけじゃない。
シルエットもいい。
カバーオール特有の男っぽさが無くならない、ギリギリのところ。
土臭さを消し過ぎれば、カバーオールらしさまで無くなる。
かといって、そのまま残せば昔のワークウェアになってしまう。
その間を狙った、洗練されたシルエット。
だから、都市の男が着る、CITY RUGGEDなカバーオール。
BRAND:ORDINARY FITS
ITEM:DENIM COVERALL
COLOR:USED / ONE WASH
SIZE:36 / 38 / 40
PRICE:USED ¥39,600(税込) / ONE WASH ¥35,200(税込)
WEB STORE掲載済み。
ORDINARY FITSから、DENIM JACKET TYPE 1ST入荷。
使用しているのは、ブランドオリジナルの14ozセルヴィッチデニム。
先に紹介した117 TYPE LOOSEと同じ生地で、ベースとなったのはLEVI'S 501XXの47モデル。
当時の生地を研究し、独特なムラ感を再現。
さらに、あえて生地に整理加工を施さないことで、当時のデニムがそうであったように毛羽立ちや捻じれが生まれる生地に仕上げている。
そこへ熟練の職人による「やりすぎない」加工。
この「やりすぎない」が、個人的にはかなり重要。
これはデニムに限らず、何の世界でもそう。
何でも足せばいいってもんじゃない。
だからといって、「シンプル」「ミニマム」を技術の無さの言い訳にして、何もしないのも違う。
何を足して、何を引くのか。
どこまでやって、どこで止めるのか。
本当の意味で、このバランス感にはセンスがものをいう。
ORDINARY FITSのデニムには、その匙加減がある。
デザインはいわゆるLEVI'Sのファーストがモチーフ。
フロントにはダブルアクションプリーツと、左胸にフラップポケット。
背面にはプリーツとシンチバック。
Gジャン本来の無骨な雰囲気をしっかり残している。
ただ、ここも単なるヴィンテージの再現ではない。
着丈は本来のファーストより若干長めに設定。
さらにシンチバックも、針付きではないものを採用。
オリジナルのファーストにも見られる針付きのシンチバックは、確かにVINTAGE感が出る。
ただ、実際に着るとなると、車のレザーシートなどを傷つけてしまうこともあり、敬遠する人もいる。
個人的には、こういうところにもVINTAGEそのものではなく、今の日常で着やすいGジャンとしての魅力を感じる。
そして、ここは先に紹介したTYPE 2NDと同じ。
実は昔、VINTAGEのGジャンを買おうと思って、バイトで貯めた大金を持って店まで行ったことがある。
ところが試着してみると、どうしてもあの着丈の短さが自分の中で消化できない。
結局、買わずに帰った。
それ以来、いわゆるGジャンが個人的にずっと苦手だった。
だから自分にとって、Gジャンは着丈がかなり重要。
短すぎると、インナーをインすることが前提になってくる。
でも、ただ長くすればいいわけでもない。
長すぎれば、今度はGジャンではなくデニムブルゾンになってしまう。
DENIM JACKET TYPE 1STも、本来のGジャンより着丈を若干長めにすることで、その難しさを上手く解消している。
そしてTYPE 2NDとの違いは、ここから。
シルエットはオリジナルのファースト同様、TYPE 2NDよりもゆったり。
その一方で、着丈はTYPE 2NDより少し短め。
昔の自分が苦手だった、あの短すぎる着丈ではない。
でも、TYPE 2NDほどスッキリともさせていない。
ゆったりとしたシルエットに、少し短めの着丈。
Gジャンらしい無骨さを残しながら、今の自分でも着られるバランス。
何を残して、何を変えるのか。
こういうところにも、ORDINARY FITSらしい「やりすぎない」匙加減がある。
ORDINARY FITSは岡山・児島を拠点とする、デニムを得意とするブランド。
LAMPAのスタイリングにおける「デニム担当」と言っても過言ではない。
単なるヴィンテージの焼き直しでもなく、加工を見せつけるでもなく、ただ綺麗にまとめるでもない。
アメカジの匂いを残しながら、今の服として着られる。
だからORDINARY FITSは、LAMPAにとってデニムの定番。
昔の自分と同じように、Gジャンの着丈の短さが苦手な方にもオススメしたい一枚。
そしてTYPE 2NDよりも、もう少しゆったりとGジャンらしい無骨さを楽しみたいなら、自分はこっち。
BRAND:ORDINARY FITS
ITEM:DENIM JACKET TYPE 1ST
COLOR:USED / ONE WASH
SIZE:38 / 40 / 42
PRICE:USED ¥41,800(税込) / ONE WASH ¥36,300(税込)
WEB STOREには既に掲載済みです。
ORDINARY FITSから、DENIM JACKET TYPE 2ND入荷。
使用しているのは、ブランドオリジナルの14ozセルヴィッチデニム。
先に紹介した116 TYPE STANDARDと同じ生地で、ベースとなったのはLEVI'S 501の66後期モデル。
当時の生地を研究し、独特なムラ感を再現。
さらに、あえて生地に整理加工を施さないことで、当時のデニムがそうであったように毛羽立ちや捻じれが生まれる生地に仕上げている。
打ち込み本数も多めにし、洗いを繰り返してもヘタりにくいタフさを持たせ、そこへ熟練の職人による「やりすぎない」加工。
この「やりすぎない」が、個人的にはかなり重要。
これはデニムに限らず、何の世界でもそう。
何でも足せばいいってもんじゃない。
だからといって、「シンプル」「ミニマム」を技術の無さの言い訳にして、何もしないのも違う。
何を足して、何を引くのか。
どこまでやって、どこで止めるのか。
本当の意味で、このバランス感にはセンスがものをいう。
ORDINARY FITSのデニムには、その匙加減がある。
デザインはいわゆるLEVI'Sのセカンドがモチーフ。
フロントにはダブルアクションプリーツと2つのパッチポケット。
裾にはアジャスター、背中にもプリーツを配し、Gジャンらしい雰囲気をしっかり残している。
でも、自分がこのジャケットにピンときた一番の理由は、そこじゃない。
着丈。
実は昔、VINTAGEのGジャンを買おうと思って、バイトで貯めた大金を持って店まで行ったことがある。
ところが試着してみると、どうしてもあの着丈の短さが自分の中で消化できない。
結局、買わずに帰った。
それ以来、いわゆるGジャンが個人的にずっと苦手だった。
そんな自分が、これは試着してすぐにピンときた。
絶妙な着丈の長さ。
Gジャンの着丈って、実はかなり難しい。
短すぎると、インナーをインすることが前提になってくる。
だからといって、ただ長くすればいいわけでもない。
長すぎれば、今度はGジャンではなくデニムブルゾンになってしまう。
DENIM JACKET TYPE 2NDは、本来のGジャンより着丈を若干長めに設定。
Gジャンらしい雰囲気を壊さないところで、着やすさと合わせやすさを上手くつくっている。
これは本当に絶妙。
ORDINARY FITSは岡山・児島を拠点とする、デニムを得意とするブランド。
LAMPAのスタイリングにおける「デニム担当」と言っても過言ではない。
単なるヴィンテージの焼き直しでもなく、加工を見せつけるでもなく、ただ綺麗にまとめるでもない。
アメカジの匂いを残しながら、今の服として着られる。
だからORDINARY FITSは、LAMPAにとってデニムの定番。
昔の自分と同じように、「Gジャンは好きなんだけど、あの着丈の短さがどうも苦手」。そんな悩みや葛藤を持っている方には、本当にオススメしたい一枚。
そしてパンツの116 TYPE STANDARD同様、アメカジの匂いは残しながら、スッキリと着たい方にもオススメ。
BRAND:ORDINARY FITS
ITEM:DENIM JACKET TYPE 2ND
COLOR:USED / ONE WASH
SIZE:38 / 40 / 42
PRICE:USED ¥41,800(税込) / ONE WASH ¥36,300(税込)
WEB STOREには既に掲載済みです。
ORDINARY FITSから、119 TYPE WIDE入荷。
使用しているのは、ブランドオリジナルの14ozセルヴィッチデニム。LEVI'S 501XX 47モデルの生地を研究し、開発したもの。
当時特有のムラ感を再現しながら、あえて整理加工を施さない。だから、当時のデニムがそうであったように、毛羽立ちや捻じれが生まれる生地に仕上がっている。そこへ熟練の職人による「やりすぎない」加工。
デザインベースは、1930年代のデニム。
サスペンダーボタン、シンチバック、股リベット、ヒップポケットのむき出しリベット、フロントボタン横のVステッチ。
VINTAGE DENIMではお馴染みのディテールを、しっかり採用。
でも、全部を当時のまま再現しないのがORDINARY FITS。
フロントには、あえてジップフライを採用。VINTAGEの匂いを残しながら、少しライトな雰囲気へ。
シルエットも、単なるVINTAGEの焼き直しではない。
しっかり太さを持たせたワイドシルエット。ただし、微妙にテーパードがかかっている。
これが絶妙。
ワイドらしい太さは感じられるのに、いわゆる「ドーン」とした太さには見えない。
デニムパンツらしい無骨さを残しながら、野暮ったくならない。
かといって、いわゆるお洒落デニム特有の綺麗さとも違う。
ちゃんと男っぽい。
でも、洗練されている。
これが「やりすぎない」ということ。
何でも足せばいいわけじゃない。
かといって、何もしないのも違う。
何を足して、何を引くのか。
どこまでやって、どこで止めるのか。
その匙加減に、センスが出る。
ORDINARY FITSは岡山・児島を拠点とする、デニムを得意とするブランド。
LAMPAのスタイリングにおける「デニム担当」と言っても過言ではない。
BRAND:ORDINARY FITS
ITEM:119 TYPE WIDE
COLOR:USED / ONE WASH
SIZE:28 / 30 / 32
PRICE:USED ¥30,800(税込) / ONE WASH ¥25,300(税込)
サイズ感は他モデルよりウエスト大きめ。28 / 30 / 32で、他モデルの30 / 32 / 34あたりに近い感覚です。
WEB STOREには既に掲載済みです。
ORDINARY FITSから、117 TYPE LOOSE入荷。
使用しているのは、ブランドオリジナルの14ozセルヴィッチデニム。
ベースとなったのは、LEVI'S 501XXの47モデル。
当時の生地を研究し、独特なムラ感を再現。
さらに、あえて生地に整理加工を施さないことで、当時のデニムがそうであったように毛羽立ちや捻じれが生まれる生地に仕上げている。
そこへ熟練の職人による「やりすぎない」加工。
この「やりすぎない」が、個人的にはかなり重要。
これはデニムに限らず、何の世界でもそう。
何でも足せばいいってもんじゃない。
だからといって、「シンプル」「ミニマム」を技術の無さの言い訳にして、何もしないのも違う。
何を足して、何を引くのか。
どこまでやって、どこで止めるのか。
本当の意味で、このバランス感にはセンスがものをいう。
ORDINARY FITSのデニムには、その匙加減がある。
そして今回、USEDモデルに関しては生地と加工をリニューアル。
生地はONE WASHより少し軽いオンスへ変更。
加工には、職人による手作業とレーザー加工のハイブリッドを採用。
今までは加工によって多少の個体差があったが、今回からほぼ均一な加工を実現している。
デザインも生地同様、47後期モデルがベース。
ヒップポケットの隠しリベット、フロントボタン横のVステッチなど、お馴染みのディテールを採用。
ただ、117 TYPE LOOSEの魅力は、単なるヴィンテージの再現ではない。
やや太めのシルエットなのに、野暮ったく見えない。
これは他のモデルもそうだけど、本当にORDINARY FITSはこのバランスが上手い。
かといって、いわゆるお洒落デニム特有の綺麗さとも違う。
ちゃんとデニムパンツらしい無骨さがあって、男っぽい。
でも洗練されている。
この感じは、無骨さそのものを売りにしたブランドにはない魅力だと思う。
ORDINARY FITSは岡山・児島を拠点とする、デニムを得意とするブランド。
LAMPAのスタイリングにおける「デニム担当」と言っても過言ではない。
単なるヴィンテージの焼き直しでもなく、加工を見せつけるでもなく、ただ綺麗にまとめるでもない。
アメカジの匂いを残しながら、今の服として穿ける。
だからORDINARY FITSは、LAMPAにとってデニムの定番。
少し太めのルーズなデニムを探してる方には、本当にオススメ。
BRAND:ORDINARY FITS
ITEM:117 TYPE LOOSE
COLOR:USED / ONE WASH
SIZE:30 / 32 / 34
PRICE:USED ¥29,700(税込) / ONE WASH ¥24,200(税込)
ONE WASHはWEB STOREに掲載済み。
USEDは以前のモデルのSIZE 32のみ、現在WEB STOREに掲載しています。
今回入荷した生地・加工をリニューアルした新しいUSEDモデルについては、WEB STOREへの掲載はもう少し先の予定。
通販をご希望の方は、メールにてお気軽にお問い合わせください。
ORDINARY FITSから、116 TYPE STANDARD入荷。
使用しているのは、ブランドオリジナルの14ozセルヴィッチデニム。
ベースとなったのは、LEVI'S 501の66後期モデル。
当時の生地を研究し、独特なムラ感を再現。
さらに、あえて整理加工を施さないことで、当時のデニムがそうであったように毛羽立ちや捻じれが生まれる生地に仕上げている。
打ち込み本数も多めにし、洗いを繰り返してもヘタりにくいよう計算。
そこへ熟練の職人による「やりすぎない」加工。
この「やりすぎない」が、個人的にはかなり重要。
これはデニムに限らず、何の世界でもそう。
何でも足せばいいってもんじゃない。
だからといって、「シンプル」「ミニマム」を技術の無さの言い訳にして、何もしないのも違う。
何を足して、何を引くのか。
どこまでやって、どこで止めるのか。
本当の意味で、このバランス感にはセンスがものをいう。
ORDINARY FITSのデニムには、その匙加減がある。
デザインも生地同様、66後期をベースにしたスタンダードなシルエット。
太すぎず、程よくスッキリ。
自分も今まで色々なデニムを穿いてきたが、このシルエットは本当に秀逸。
ただ「スッキリ」と言うと、ファッションデニム特有の変に洒落た感じを想像するかもしれない。
でも、そうじゃない。
適度にデニム特有の男っぽさを感じさせながら、野暮ったくない。
口で説明するのは難しい。
でも、穿くと納得してもらえるはず。
ORDINARY FITSは岡山・児島を拠点とする、デニムを得意とするブランド。
LAMPAのスタイリングにおける「デニム担当」と言っても過言ではない。
単なるヴィンテージの焼き直しでもなく、加工を見せつけるでもなく、ただ綺麗にまとめるでもない。
アメカジの匂いを残しながら、今の服として穿ける。
だからORDINARY FITSは、LAMPAにとってデニムの定番。
そのORDINARY FITSらしさが詰まった、116 TYPE STANDARD。
BRAND:ORDINARY FITS
ITEM:116 TYPE STANDARD
COLOR:USED / ONE WASH
SIZE:30 / 32 / 34
PRICE:USED ¥29,700(税込) / ONE WASH ¥24,200(税込)
WEB STOREには既に掲載済みです。
今回もBRENAから、前回ご紹介したBLAZE L/Sの生地違いが入荷。
使用しているのは、90年代のTHOMAS MASONのデッドストック生地。現在のイタリア生産ではなく、イングランド生産時代の希少な生地。
THOMAS MASONがお好きな方なら気づくと思うが、ネル生地というだけでもかなり珍しい。そこに、このアメカジ感のあるチェック柄。となると、さらに希少。
チェック柄なんて世の中にいくらでもある。
でも、いざ探してみると個人的に「これだ」と思えるものは意外と少ない。
これは展示会で見た瞬間にピンときた。
何より、色目が好みど真ん中。
実際に触ってみると、しっかりとした生地感がありながら、極上に柔らかく滑らかな肌触り。
この辺は、さすがTHOMAS MASON。
アメカジらしいチェック柄なのに、生地そのものにはどこか品がある。
こんな自分好みのネルシャツ、滅多にお目にかからない。
ということで、前回のオンブレチェック同様、こちらも展示会で即オーダー。
どちらもデッドストック生地を使用しているため、少量のみの入荷。
今回限りのスペシャルなBLAZE、2バージョン。
どちらも、かなり気に入っている。
BRAND:BRENA
ITEM:BLAZE L/S THOMAS MASON VINTAGE FLANNEL CHK
SIZE:40 / 41 / 42
PRICE:¥29,700
サイズ感の目安は、A VONTADEのS / M / L、STILL BY HANDの46 / 48 / 50あたりに近い感覚です。
デッドストック生地を使用しているため、入荷は少量となります。
WEB STOREへの掲載はもう少し先を予定しています。通販をご希望の方は、メールにてお気軽にお問い合わせください。
前回告知した通り、LAMPAもいよいよ秋冬スタート。
まずは本格的な商品紹介の前に、届いたばかりの新入荷をザックリと。
希少なデッドストック生地を纏い、どこか洗練された空気を持つBRENAから、BLAZE L/S OMBRE CHECKが入荷した。
使用しているのは、希少な国内のデッドストック生地。
表記は「OMBRE CHECK」だが、いわゆるオンブレチェックとは少し違う。
VINTAGEのビーチクロスを思わせるような、ゴマ塩感のある表情を持ったスペシャルファブリックだ。
生地そのものにしっかりと厚みはあるが、ガシガシとしたアメカジ感の強いタッチではなく、触れてみると柔らかな手触り。
だからこそ、オンブレチェック特有の土臭さがほどよく抜けている。アメカジの匂いはちゃんと残っているのに、どこか洗練されて見える。そこがBRENAらしい。
実は僕、オンブレチェックが個人的にずっと苦手だった。
今まで自分で買ったこともなければ、店で仕入れたこともない。
ところがBRENAの展示会でこれを見た瞬間、完全にやられた。
「まさに自分が着たいオンブレチェックはこれだ」
そう思って、その場で即オーダー。
53歳にして、初オンブレチェックである(笑)。
ちなみに展示会場で商品を見て、その場ですぐオーダーを入れるなんてことは、今ではほとんどない。
90年代バブル期のバイヤーみたいな話だが(笑)、それくらい見た瞬間に気に入った。
なぜ自分がずっと苦手だったオンブレチェックに反応したのか。
やっぱり大きいのは、この生地だと思う。
オンブレチェックの持つ男っぽさやVINTAGE感は残しながら、ゴマ塩感のある独特な表情と柔らかなタッチによって、土臭さだけが少し抜けている。
だから昔から知っている柄なのに、今の自分には新しく見えた。
アメカジ好き53歳バイヤーの心を動かした、オンブレチェック。
まずはそんな一着が、LAMPAの秋冬一発目に届いています。
BRAND:BRENA
ITEM:BLAZE L/S OMBRE CHECK
COLOR:SALT & PEPPER
SIZE:40 / 41 / 42
PRICE:¥28,600
サイズ感の目安は、A VONTADEのS / M / L、STILL BY HANDの46 / 48 / 50あたりに近い感覚です。
デッドストック生地を使用しているため、入荷は少量となります。
WEB STOREへの掲載はもう少し先を予定しています。通販をご希望の方は、メールにてお気軽にお問い合わせください。
まだまだ暑い日が続いていますが、LAMPAにも少しずつ秋冬のアイテムが届き始めています。
ということで、2026 AUTUMN & WINTER START.
WEB STOREへのアップにはもう少し時間がかかりそうなので、まずはこのあと、入荷しているアイテムをザックリとご紹介していきます。
本格的な商品紹介はまた改めて。まずは店に届いたばかりの新しい服を、入荷した時の温度感そのままにお届けできればと思います。
このあと順次、現在入荷しているアイテムをご紹介していきます。
WEB STORE掲載前の商品もありますので、気になるものがありましたら、メール、DM等お気軽にお問い合わせください!
ショーツという服は、シンプルに見えてデザインの加減が難しい。フルレングスのパンツに比べて面積が少ないため、ポケットや切り替えをひとつ加えただけでも、その存在が強く見えてくる。機能を盛り込めば便利にはなるが、それぞれが前へ出れば途端にうるさくなる。反対に、何もせず形だけを整えればすっきりとは見えるものの、機能的な面白さも、服を見た時のワクワク感も薄れてしまう。
では、どこまで入れるのか。どこで止めるのか。そして、加えたものをどう服の形へ変えるのか。CCPの人気モデルであるHK06には、その問いに対するブランドなりの答えが詰まっている。決して要素の少ないショーツではない。それでも完成した姿が機能の寄せ集めに見えない。僕がHK06に惹かれたのは、まさにそこだ。
CCPといえば、機能的でありながら美しい形状を生み出す独特の立体的なパターンメイキング。その特徴がHK06では、特にポケットまわりによく表れている。ただ収納する場所を増やすのではなく、ポケットの膨らみや重なりまで利用して身頃に立体感を与え、それ自体をショーツの輪郭へ取り込んでいく。機能のために必要な構造を、服を形づくる要素へ変えてしまう。
LAMPAがHK06に惹かれる理由は、単純に機能が多いからではない。限られた面積の中へこれだけの要素を入れながら、何を見せ、何をまとめ、どこで止めるのか。その判断にCCPならではの感覚がはっきり表れているからだ。HK06が人気モデルである理由も、便利さだけでは語れない。機能と造形が別々に存在せず、互いに作用しながらひとつの形へ収まっている。ここにCCPでなければ生まれない面白さがある。
生地には、適度なハリ感とドライな肌触りを持ち、吸水速乾性に優れたポリエステル生地を使用。暑い時期に穿くショーツとして実用的な性能を持つが、この素材はHK06の立体的な形を見せるうえでも重要な役割を担っている。
柔らかく身体に沿って落ちる生地とは異なり、適度なハリによって服そのものの形が残りやすい。前身頃に配置されたやや大きめの立体ポケットも、その膨らみが潰れて身頃と一体化するのではなく、ひとつの面として輪郭をつくる。さらにポケットが重なることで奥行きが生まれ、正面から見ても平面的なショーツにはならない。
そして、このハリがCCPの立体的なパターンメイキングと結び付く。身体の形をそのままなぞるのではなく、服そのものに輪郭を与えるパターン。その形を生地が支え、さらに立体ポケットが別の面を加えることで、HK06特有の造形が生まれる。素材、パターン、ポケットがそれぞれ独立しているのではない。ひとつが次のひとつを成立させ、その重なりが最終的な形につながっている。
一方で、形を出すことだけを目的にした素材ではない。ドライな肌触りと吸水速乾性を備え、暑い時期に穿くショーツとしての快適性まで考えられている。立体的な形を支えるハリと、肌に触れた時のドライな感覚。その二つが同居することで、造形の面白さだけに偏らず、日常で穿くための現実的な機能へきちんと戻ってくる。
HK06で特に目を引くのが、前身頃に配置されたポケットだ。やや大きめの立体ポケットに、手入れのポケットを組み合わせた二重構造。収納箇所を二つ用意したという説明だけでは、このディテールの面白さは伝わらない。
ショーツは面積が少ない。それだけに、大きめの立体ポケットを置けば視覚的な比重は当然高くなる。さらにもうひとつポケットを重ねれば、普通ならディテールばかりが目立ってもおかしくない。HK06では、その存在感を無理に消そうとしない。むしろポケットの大きさと膨らみ、二重構造によって生まれる奥行きを利用し、前身頃そのものの形へ変えている。
そこへCCPらしい立体的なパターンメイキングが重なる。身頃の上へ大きなポケットを後から貼り付けたという見え方ではなく、ポケットまで含めて前身頃全体の造形を考える。そのため収納という明確な機能を持ちながら、ポケットそのものがHK06のシルエットを構成するパーツとして目に入ってくる。
機能的なディテールを隠してシンプルに見せる方法もある。しかしHK06は、そこへ向かわない。必要なものは見せる。立体感も消さない。その代わり、見えているものすべてを服の形として成立させる。面積の少ないショーツにこれだけ存在感のあるポケットを置きながら、ポケットだけが勝って見えない。この難しいところを造形へ変えていることに、CCPの巧さがよく表れている。
腿後ろ部分のサイドには、ジップポケットによるベンチレーションを兼ねたモバイルポケットを装備する。ここにもHK06の考え方がよく出ている。モバイルポケットという収納と、衣服内部の換気を担うベンチレーションを別々に設けるのではなく、ひとつのディテールへまとめている。
面積の限られたショーツでは、機能をひとつ増やすたびに見た目へ与える影響も大きくなる。収納のためにポケットを付け、換気のために別の開口部を設ければ、それだけ線もパーツも増えていく。HK06はひとつの場所へ複数の役割を持たせることで、必要な機能を削ることなく構造を整理する。
ここが前身頃との対比として面白い。前では二重構造のポケットを積極的に立体造形として見せる。その一方で腿後ろでは、収納とベンチレーションをひとつにまとめる。同じ機能的なディテールでも、すべてを同じ強さで主張させない。見せる場所と整理する場所をつくり、限られた面積の中で情報量をコントロールしている。
ウエストはイージー仕様にアジャスターバックルを配し、フィットを調整できる設計。前身頃の収納、腿後ろの収納と換気、ウエストの調整。それぞれに着用するための明確な理由がありながら、完成したHK06を見た時には機能の数を数えさせない。何を付けるかだけではなく、付けたものをどう整理し、全体へ収めるか。CCPはそこまでをデザインしている。
シルエットは全体的にややゆったりとした設定。それでも、単純に身幅を広く取ったショーツとは見え方が違う。CCPならではの立体的なパターンメイキングによって服そのものの輪郭をつくり、そこへ前身頃の立体ポケットがさらにボリュームを加えている。
ここで再び効いてくるのが、生地のハリだ。ゆとりのあるシルエットを柔らかな生地でつくれば、身体に沿って落ちることで輪郭も変わる。HK06は適度にハリのあるポリエステル生地と立体的なパターンを組み合わせることで、身体から少し離れたところにも服の形を残す。そこへポケットの膨らみが加わり、前後左右から見た時にそれぞれ異なる面が生まれる。
つまり、ゆったりしていることにも意味がある。単なるサイズの大きさではなく、ポケットを含めた造形を受け止めるための余白として働いている。そのためディテールには存在感がありながら、ポケットだけが身体から浮いて見えるのではなく、ショーツ全体のボリュームへつながっていく。CCPが得意とする立体的なパターンメイキングを、HK06では穿いた時の輪郭そのものから感じ取れる。
フルレングスのパンツなら、デザインを受け止める面積にはまだ余裕がある。ショーツではそうはいかない。大きな立体ポケットを置けば、それだけで印象は大きく変わる。ジップを加え、バックルを加えれば、さらに情報量は増す。だからHK06で見るべきなのは、何を付けたかだけではない。これだけの機能を限られた面積へ入れながら、どこを見せ、どこを整理し、最後にどんな形へまとめたのかだ。
前身頃では二重構造の立体ポケットを造形として積極的に見せる。その一方で、腿後ろでは収納とベンチレーションをひとつにまとめ、機能を整理する。前身頃で見せた機能を腿後ろでは整理し、それを生地とパターンがひとつの輪郭として受け止める。異なる役割を持つディテールが、最終的にはHK06というひとつの形へ収束している。
HK06で目に入る立体感や複数のディテールは、単独で存在しているものではない。収納するための構造が造形を生み、造形を成立させるために生地のハリが効き、そのボリュームを受け止めるためにシルエットにはゆとりがある。一方で機能を整理すべき場所では複数の役割をひとつへまとめる。何かを足せば、その分だけ別の場所で整理する。そうやって全体の情報量を調整しながらHK06という形を成立させている。
HK06は、単なる機能だけのプロダクトでも、見た目だけを優先したファッションでもありません。限られた面積の中で、必要な機能をどこまで入れ、どこを見せ、どう形へ変えるのか。その難しいバランスを、二重構造の立体ポケット、ベンチレーションを兼ねたモバイルポケット、立体的なパターン、そしてそれを支える生地まで含めて一着にまとめています。最初は形に惹かれ、知るほど構造が気になり、穿くことでさらに理由が見えてくる。ただいま世界中でCCP中毒者続出中。LAMPAも、すでにその一人です。
機能素材を使った服は、その性能が見た目にも表れやすい。通気性や速乾性を求めればスポーツやアウトドアの方向へ寄り、ポケットを増やせばギアとしての印象も強くなる。機能を加えることは、そのまま服の表情を変えることにもつながる。
MEANSWHILEの面白さは、必要な機能をきちんと持たせながら、それを服の中へどう収め、最終的にどう見せるかまで考えているところにある。このBREATHABLE SIDE SLIT S/S SHも、機能素材と複数のディテールを使いながら、最初に目へ入るのはすっきりと整理された一枚のシャツとしての姿だ。
僕がこのシャツに惹かれるのも、単純な機能の多さではなく、その機能と見た目の距離感にある。東レのDot Airへビンテージ加工を加え、機能的なポケットは二重になった前身頃へ収める。必要なものを足していく一方で、表側から見える情報はむしろ減らしていく。それでいて、すべてを完全に消して無表情な服にはしない。機能を隠しながら、服として見るべき場所は残す。こういう細部の判断に、長くMEANSWHILEを見てきた僕が今も惹かれる理由がある。
生地には、東レが開発したDot Airを採用。生地に設けられた微細な通気孔から衣服内の蒸れや湿気を放出し、吸水速乾性能も備えた多機能ポリエステル素材となる。暑さや湿気が気になる季節に求めたい性能を、生地そのものに持たせている。
ただ、このシャツはDot Airをそのまま使って終わらない。さらにビンテージ加工を施すことで、天日干しをした生地を思わせるふっくらとした柔らかさを加え、表面には天然繊維を思わせるナチュラルな質感を生み出している。ポリエステルが持つ機能性を土台にしながら、化繊でありながら肌に馴染みやすい生地へ。その変化は着用時の感触だけではなく、シャツ全体の見え方にまで及ぶ。
ここが実にMEANSWHILEらしい。機能性だけを求めるなら、Dot Airという素材そのものでも成立する。そこへ、あえてビンテージ加工というもうひと手間を加える。性能をさらに分かりやすく見せるためではない。むしろ逆だ。機能を持たせたうえで、いかにも機能素材という質感から遠ざけていく。
通気孔や吸水速乾という機能は残す。それでも、見た瞬間に機能素材であることを強く主張する生地にはしない。普段着る一枚のシャツとして自然に馴染むところまで表情を整える。スペックを足した先で、そのスペックを見た目から引いていく。この考え方は、生地だけで終わらない。
フロントにはスナップボタンを採用し、その存在を表へ出さない比翼仕立て。一方で前身頃は二重の構造となり、腰部分には機能的なパッチポケットを配置している。
ここで面白いのは、比翼、二重の前身頃、パッチポケットという仕様を、それぞれ独立したディテールとして考えていないところだ。比翼によってボタンを隠し、二重になった前身頃によってポケットの存在も表側から目立たせない。それぞれが作用することで、収納という実用性を持たせながら、正面から見た時の情報を整理する。
普通ならポケットを加えれば、その分だけ服に線や切り替えが増える。ところが、このシャツは逆だ。機能を増やした結果、見た目は静かになる。ポケットをデザインとして前へ出すのではなく、服の構造そのものへ収めてしまう。足しているのに、見た目からは引かれていく。
そして、ここからがさらにいい。すべてを均一に二重にして、完全にフラットな一枚へ見せているわけではない。前身頃の重なりにはわずかな段差をつけ、その構造自体はさりげなく見えるようにしている。
隠す。でも、消さない。
この判断があるから、フロントをミニマムに整理しても無表情にならない。ポケットは目立たせない。しかし二重構造によって生まれる段差は残す。正面から見ればすっきりとしているのに、近くで見れば服の構造がきちんと存在する。機能を見せないことと、デザインまで消してしまうことは違う。その境目に、MEANSWHILEらしい設計の巧さが表れている。
シルエットはややゆったりとした設定。身体との間に余白を持たせた輪郭は、Dot Airへビンテージ加工を施した柔らかな生地の表情とも自然につながる。身幅にゆとりを持たせながら、比翼と二重の前身頃によって正面の情報を整理することで、カジュアルなシャツを基調としながら、見た目が必要以上にラフな方向へ傾かない。
そして商品名にも表れているサイドスリットも、このシャツを構成する大切なディテールの一つ。ゆとりを持たせた身頃のサイドにスリットを加えることで、正面だけではなく横から見た時にも服の構造が残る。
フロントは比翼によって静かに見せる。前身頃には二重構造による重なりとわずかな段差。そしてサイドには切れ込み。どこか一箇所だけを強く主張するのではなく、見る角度が変わることで少しずつディテールが見えてくる。すっきりしている。でも、何もないわけではない。
このシャツを見ていると、素材とデザインが同じ方向を向いていることが分かる。性能を前へ出すのではなく、必要な機能を持たせたうえで、一枚の服としてどう見えるかを整える。Dot Airへのビンテージ加工も、ポケットを収めた二重の前身頃も、根にある考え方は同じだ。
何かを加えて、そのまま見せるのではない。必要だから加え、そのうえでどこまで見せるのかを考える。隠したほうがいいものは隠し、服の表情として必要なものは残す。機能を増やすこと自体を価値にするのではなく、その機能が一枚の服の中でどうあるべきかまで考える。
だから、最初はすっきりとした一枚のシャツに見えるのに、細かく見ていくほど理由のあるディテールが出てくる。僕がMEANSWHILEを長く見てきて面白いと思うのは、まさにこういうところだ。機能を誇示するのではなく、服として成立させるためにどう収めるか。一つひとつの選択に、MEANSWHILEというブランドの考え方が見える。
通気性や吸水速乾性能を持つ素材だからこそ、その機能だけに頼らず、着た時の質感や見え方まで考えられています。ポケットを備えながら、どう隠し、どこを残すかまで設計されているところにも、このシャツの面白さがあります。機能を強く主張するのではなく、必要なものとして服の中へ馴染ませ、それでも服を見る楽しさはきちんと残す。細かな判断の積み重ねまで含めて、LAMPAが長くMEANSWHILEを選び続けてきた理由を感じていただける一枚です。
ただいまよりFINAL SALEスタートします!
SALE対象商品も増やし、一部値引き率をアップしております。是非WEB STOREをチェックしてみてください!
店頭では特にSALEプライスをつけておりませんので、お会計時にSALEプライスにて販売いたします。
是非この機会をお見逃しなく!
TOPS
MEANSWHILE FROSTED S/S TEE MW-CT26108
PANTS
MEANSWHILE AMPHIBIOUS BOARD SHORTS MW-PT26109
機能服というものは、機能が増えるほど、その存在を見た目から強く主張しがちだ。ファスナーやメッシュ、ドローコードといった実用的なディテールも、それ自体がデザインとして前へ出れば、どうしてもアウトドアウェアやスポーツウェアの印象が強くなる。
MEANSWHILEの面白さは、その逆にある。機能はしっかり持たせる。それでも、それを必要以上に見せない。機能が服の前へ出るのではなく、あくまで一着の中へ収まっている。この考え方は、AMPHIBIOUS BOARD SHORTSを見るとよく分かる。
水陸両用のボードショーツをイメージした一本でありながら、最初に目へ入ってくるのは、水辺のための特殊なギアという姿ではない。日常で穿くショーツとしての見え方を崩さず、その内側に水辺での着用まで想定した機能が組み込まれている。
機能のためにデザインを犠牲にするのでもなければ、機能そのものをデザインとして強調するのでもない。きちんと理由のある設計を積み重ねながら、穿いた時には一つのショーツとして自然に見える。LAMPAでは、そこにこの一本を選ぶ理由を感じている。
まず、このショーツを語るうえで外せないのが生地だ。採用されているのは、アメリカのCocona社が開発した37.5 Technology。火山砂由来の活性微粒子を繊維へ組み込み、身体から発生する水蒸気を素早く取り込みながら、赤外線エネルギーを利用して蒸発を促進する仕組みを持つ。
特徴的なのは、この機能が生地表面へ施された後加工ではないこと。活性微粒子そのものが素材へ組み込まれているため、洗濯を繰り返しても効果が失われない。汗や湿気が避けられない状況まで想定したショーツだからこそ、一時的な加工ではなく、生地そのものが機能を担っていることに意味がある。
さらに面白いのが、その発想の原点だ。開発のヒントになったと言われているのは、日本の阿蘇山周辺にある砂風呂。砂の中で身体が心地良く保たれる仕組みに着目し、火山砂由来の活性粒子を繊維へ応用したという。最先端の機能素材でありながら、その出発点は自然の働きにある。
ただ新しい機能を足すのではなく、自然界に存在する働きへ目を向け、それを繊維へ落とし込む。37.5 Technologyの成り立ちまで知ると、単に高機能素材を採用したという一言では終わらない面白さが見えてくる。
37.5 Technologyは、接触冷感素材のように着た瞬間の冷たさを狙ったものではない。暑い時には身体から生まれる熱や湿気を逃がし、寒い時には必要以上に熱を奪わない。瞬間的な体感をつくるのではなく、衣服内を快適な状態へ近づけるという考え方だ。
だから、水辺だけのための素材ではない。夏専用という考え方にも収まらず、春や秋まで含めて長い期間付き合える。水陸両用という設計を、水に入るためだけの特殊なショーツで終わらせないためにも、この素材の性質が効いてくる。
「水陸両用」という言葉だけを見れば、水に入れることがこのショーツの主役に思える。しかしMEANSWHILEが作っているのは、水に入る時だけ取り出す特殊な道具ではない。日常で穿くショーツが、そのまま水辺まで対応する。その順番で考えると、この一本の見え方は大きく変わる。
腰ポケットとバックポケットには、いずれもコンシールファスナーを採用している。ファスナーを開けた状態でもショーツの外観を大きく変えず、閉じれば水の侵入を防ぐ設計となる。
水辺で穿くことを考えれば、ファスナーには明確な役割がある。ただ、その存在まで強く見せる理由はない。そこでコンシールファスナーを選び、ショーツ全体のデザインの中へ馴染ませている。
こうした部分を見ると、機能を付けることと、それを見せることは別の話なのだと分かる。アウトドアショーツでは、ファスナーやコードといったディテールそのものがギアとしての魅力になることもある。一方、このショーツでは機能を削ることなく、その存在感だけを抑えている。それによって、水陸両用でありながら日常着として見た時のデザインが過剰にならない。
ポケットの袋布は片面のみにメッシュを使用している。内部へ入った水を抜く役割を果たすと同時に、湿気を溜め込みにくくする構造だ。
ここで面白いのは、すべてをメッシュに置き換えているわけではないこと。水を抜くという目的に対して、片面だけをメッシュにする。外から見える場所へ新しいディテールを増やすのではなく、ポケットの中で仕事をさせている。
穿いている姿だけを見て、この仕様に気付く人はほとんどいないと思う。それでも実際に水辺で穿けば、ポケットへ入った水は抜けなければならない。見える場所だけではなく、見えない場所まで用途に対して辻褄を合わせていく。こういう設計の積み重ねが、このショーツを単なる見た目だけのボードショーツにしていない。
そして、僕はこういう部分にこそMEANSWHILEというブランドの考え方が出ると思っている。
腰後ろのタグ部分には、ケアラベルを収納するための専用ポケットを装備している。一般的には内側へ縫い付けられるケアラベルをそのまま露出させず、ポケットの中へ収めることで、ラベルが直接肌へ触れることで生まれる不快感を抑えながら、見た目にも余計なものを残さない。
ケアラベルを収納するためだけに、わざわざポケットを一つ設ける。
もちろん、なくても服としては成立する。それでも着る人のことを考えれば、肌へ直接触れないほうがいい。そして見た目を考えても、ラベルがそのまま出ていないほうがいい。その二つをきちんと解決するために、手間のかかる仕様をあえて選んでいる。
こういうディテールは、店頭でハンガーに掛かっている状態を遠くから見ても分からない。着て街を歩いていても、周囲の人にはまず気付かれない。それでも作る側はそこを考え、設計し、実際に形にしている。
目立つ機能だけを積み重ねるのではなく、着る人がほとんど意識しない場所にまで理由を持たせる。着心地と見た目の両方を考えた結果として、ケアラベルのためだけに一つのポケットを作る。この小さなディテールにも、MEANSWHILEの美学がきちんと表れている。
ウエストテープには細めのデザインを採用している。フィットを調整する役割を持たせながら、余分なボリュームを抑えることで軽量化につなげ、その細さ自体をウエストまわりのアクセントとしている。
太くして存在感を出すのではなく、役割を果たせる範囲で細くする。その結果として軽さにつながり、見た目にも一つのアクセントになる。ここでも機能とデザインを別々に考えるのではなく、一つのディテールの中で両方を成立させている。
37.5 Technology、コンシールファスナー、水抜きを考えたメッシュ、ケアラベル収納ポケット、細めのウエストテープ。こうして一つずつ拾っていけば、このショーツにはいくつもの機能と工夫が入っている。
それなのに、完成した姿は機能の塊には見えない。
水辺まで対応できることは、AMPHIBIOUS BOARD SHORTSの大きな機能だ。ただ、それだけならアウトドアブランドにも選択肢はある。
LAMPAがこの一本に惹かれるのは、37.5 Technologyや水抜きを考えたポケットだけではない。ファスナーを目立たせず、ポケットの中へ機能を隠し、普段は見えないケアラベルの収め方にまで手を入れる。細かな仕様を一つずつ見ていくと、どこにも単なる飾りではない理由が通っている。
これだけ色々やっている。
それなのに、穿いてしまえば、最後に残るのは一本のショーツだ。
AMPHIBIOUS BOARD SHORTS MW-PT26109は、水陸両用であることや37.5 Technologyの機能だけで選ぶショーツではありません。細部まで見れば驚くほど色々なことをやっているのに、穿いた姿にはそれを背負わせない。散々このショーツの機能について書いてきましたが、最後に見えるのは、普通に格好いい一本のショーツです。そこにMEANSWHILEの美学があり、LAMPAがこの一本を選んだ理由があります。
Tシャツは、夏になれば当たり前に着る服。形も構造もシンプルだから、分かりやすいデザインを加えれば違いは作りやすい。ただ僕がLAMPAで惹かれるのは、そうした変化とは別のところで、着る服としてきちんと考えられた一枚だ。
MEANSWHILEのFrosted S/S Teeも、一見すればラフな無地のTシャツ。ただ、実際に袖を通してみると印象が変わる。特殊構造で紡績した糸を使った生地、身体への収まりを考えたシルエット、さらにバッグを背負った時のことまで計算した縫製仕様。どれも表から大きく主張するものではない。
日常の中で起こる動作や着用時の感覚を拾い、それを服の構造へ落とし込む。機能を見せるためにデザインするのではなく、必要な機能を自然に服の中へ収める。MEANSWHILEらしい考え方が、このシンプルなTシャツにはかなり濃く表れている。
生地には、通常の糸に比べて圧倒的に毛羽の少ない特殊構造で紡績したコットン天竺を使用。しっかりとした生地感を持ちながら、表面を覆う細かな毛羽が少なく、肌に触れた感覚はドライ。一般的なコットンTシャツとは少し違う、乾いたタッチが生まれている。
そこに加わるのが、加工によって生まれた独特な色味。均一に整った新品らしい表情ではなく、どこかラフさを残した見え方を持つ。一方で、生地表面は毛羽が少なくすっきりしている。この見た目と触感のわずかなズレが面白い。個人的には、この生地の表情だけでずっと見ていられる。
装飾の少ないTシャツでは、生地そのものが服の印象になる。だからこそ、糸の段階から毛羽を抑える意味がある。しっかりとした生地感、乾いた肌触り、加工による色の表情。それぞれが重なることで、無地でありながら平坦には見えない。Frosted S/S Teeの存在感は、まずこの生地から生まれている。
このTシャツで特にMEANSWHILEらしさを感じるのが、肩口と脇の縫い目だ。一般的な位置から少し前後へずらし、バッグなどを背負った際に擦れる箇所がフラットになるよう計算されている。
バッグを背負えば、ストラップと肩まわりの生地は接触する。そこで何かを付け加えるのではなく、最初から縫い目の位置を動かしてしまう。見た目を大きく変えず、服の構造そのものから解決する発想だ。
同じ発想は、首の後ろにも表れている。ブランドネーム部分にケアラベルを直接縫い付けるのではなく、専用のポケットを設けてその中に収める仕様だ。ラベルが肌に触れて着心地を損なわないようにという配慮に加え、衿元をすっきりと見せたいという判断もあったはずだ。コストや手間を考えれば省いても不思議ではない部分に、あえて工程を増やしてまで応える。
しかも、この仕様は正面から見て強く主張するものではない。知らなければ通り過ぎてしまうほど何気ない。それでも、実際に服を着て身体を動かすところまで考えれば、きちんと理由が見えてくる。こうした表に出すぎない機能性は、MEANSWHILEというブランドの面白さがよく表れている部分でもある。
シルエットはややゆったりとした設定。ただし、単純にサイズを大きくして存在感を出す方向ではない。インナーとして着用した際にも表へ響きにくいバランスまで追求されている。
一枚で着れば身体との間に適度な余白が生まれる。それでいて、オーバーサイズそのものが服の印象を支配しない。生地のしっかりとした質感や加工による色の表情を見せながら、輪郭はあくまで自然。このバランスによって、素材と設計の面白さが素直に前へ出る。
特殊構造の糸から作られた毛羽の少ないコットン天竺、加工による独特な色味、バッグを背負う動作からケアラベルの収め方まで考え抜かれた縫製、そして一枚でもインナーでも収まりを考えたシルエット。見ただけでは分からない部分にこそ、このTシャツを選ぶ理由がある。
普通のTシャツとして自然に着られるのに、その普通を成立させるための中身はかなり緻密。機能を分かりやすく見せるのではなく、日常の中で必要になることを拾い、それを服の構造へ落とし込んでいる。だから一見した時の印象と、実際に細部を知った時の印象が大きく変わる。このTシャツの面白さは、まさにそこにある。
派手なデザインで違いを見せるTシャツではありません。それでも、生地に触れ、縫製を見て、実際に袖を通していくと、この一枚のために考えられたことが見えてきます。普通に見えるTシャツの中へ、ここまで細かな設計を自然に収めている。LAMPAで紹介したいと思える、MEANSWHILEらしい一枚です。
好きな音楽を追いかけていたら、休日の過ごし方まで変わっていた。
板橋区在住 27歳 会社員。
HIPHOPを聴き始めたきっかけは友達だった。
最初は何となく聴いていただけだったが、いつの間にか深く入り込んでいた。
最近、とくに夢中になっているのが90年代前半から中頃のHIPHOPだ。
ハマっている、では少し足りない。
とりつかれていると言った方が近い。
気になる曲を見つければ、そのアーティストを調べる。
知らない名前が出てくれば、そこからまた別の音へ進んでいく。
今では休日になるとレコード屋へ足を運び、中古盤を一枚ずつチェックする時間も楽しみのひとつになった。
そんな時、Instagramで偶然見つけたのが高円寺のLAMPAだった。
服屋のアカウントを見ていたはずなのに、時々HIPHOPや音楽の話が出てくる。
店主も90年代HIPHOPが好きらしい。
投稿を見ているうちに、最近聴き始めた人ではなく、実際にあの時代を通ってきた人なのではないかと思うようになった。
高円寺なら板橋からもそれほど遠くない。
ちょうど夏物も欲しかった。
それくらいの軽い気持ちで、休日に店へ向かった。
最初は普通に服を見ていた。
Tシャツやパンツを見ながら話しているうち、気になっていた90年代HIPHOPの話を振ってみた。
そこから会話の空気が変わった。
NASが日本へ来た時、DJを務めていたのがBIZ MARKIEだったこと。
ARTIFACTSやMOBB DEEPのライブを、渋谷のCAVEで観たこと。
当時のクラブやレコード、東京でHIPHOPを聴いていた頃の話が次々と出てくる。
今は音源や古い映像から知るしかない時代を、実際にその場所で見ていた人の話だった。
いつの間にか服を見る手が止まっていた。
服屋へ来たはずなのに、90年代の東京とHIPHOPの話を聞いている時間の方が長くなっていた。
話はそのままレコード屋巡りへ移った。
せっかくの休日だ。
店を出た後は下北沢まで行き、レコード屋を何軒か回ることにした。
ならば、今日着ていく服もここで決めてしまう。
夏の東京を歩く。
一軒見たら、また次の店へ向かう。
動きやすさは欲しい。
暑い時期だから、着ていて身体に負担が少ないことも大事だった。
いろいろ試着した中で選んだTシャツが、THING FABRICSのTF RECONSTRUCTION PLAIN T-SHIRTだった。
色はブラック。
これは最初から迷わなかった。
中古レコードを見ていると、気付けば指先は真っ黒になる。
油断していると、気付かないうちに服を触って汚してしまうこともある。
だから昔から、レコード屋へ行く日は黒を着ることが多い。
この日の行動を考えれば、自然な選択だった。
さらに店主から、このTシャツに使われている生地の話を聞いた。
人間の身体が快適な状態を保つための37.5℃という考えをもとにした素材で、その開発のヒントになったのは阿蘇山周辺の砂風呂だったという。
砂に埋まることで身体が心地よい状態に保たれる仕組みに着目し、火山砂由来の活性粒子を繊維へ応用した。
見た目はシンプルな黒いTシャツだ。
だが、その背景を知ると少し見え方が変わる。
今日みたいに真夏の街を歩き回る日なら、一度試してみたくなる。
パンツはSTILL BY HANDのワンタックジャージースラックスにした。
名前の通り、ジャージー素材を使ったパンツだ。
コットンならではの肌触りがあり、通気性もある。
さらにストレッチが効いていて、脚を動かした時にも窮屈さが少ない。
ただし、見た目からスポーツウェアを連想することはなかった。
普通にスラックスとして見える。
Tシャツにジャージー。
文字だけ並べれば、少し中学生っぽい気もする。
この服を試着した時は、「Tシャツにジャージーって、中学生みたいかな」と少し思っていた。
それでも鏡の前に立つと、その印象はなかった。
今日はこれで行くことにした。
LAMPAを出て、下北沢へ向かう。
駅を出れば、外はまだ夏の日差しが強い。
最初のレコード屋へ入り、棚の前に立つ。
レコードを一枚ずつチェックして、また次の店へ向かう。
一軒見終われば外へ出る。
少し歩いて、また次の店へ入る。
気になる盤があれば手を止める。
なければ、また次へ進む。
こうしていると、休日の時間は驚くほど早く過ぎていく。
Tシャツには、接触冷感の生地を着た瞬間に感じる冷たさはない。
ただ、歩いていて暑さがまとわりつく感じが少ない。
「冷たい」というより、「暑くない」。
実際に街を歩いてみると、その感覚の方が近かった。
パンツもよく伸びる。
長く歩いていても脚の動きを邪魔しない。
気付けば、普段より歩くペースまで少し速くなっていた。
今日は何か見つかるかもしれない。
その予感は当たった。
前から探していたDJ CITIの限定7インチ。
何気なくチェックしていたレコードの中に、それがあった。
何軒も歩いた疲れが、その瞬間だけ消えた。
高円寺へ来た時には、夏服が欲しかっただけだった。
それが店で90年代HIPHOPの話になり、そのまま下北沢へ来て、最後には探していたレコードまで見つかった。
なんだかLAMPAは縁起がいいのかもしれない。
そんなことを考えながら、買ったレコードを持って駅へ向かう。
途中で、ふと今日の服装を見る。
黒いTシャツに、ジャージースラックス。
試着した時には、中学生みたいかもしれないと思った組み合わせだった。
でも、よく考えてみれば違った。
90年代のHIPHOPを追いかけながら何度も見てきた、力の抜けたスタイルにもTシャツとジャージーは普通にあった。
むしろ、今の自分が夢中になっている世界に近い。
そう考えると少し可笑しくなった。
夏服を探しに行った一日が、好きな音楽の話につながり、そのまま探していた一枚まで連れてきた。
レコードの入った袋を手に、下北沢の駅へ歩いていく。
家に着いたら、まずガリガリ君を食べながら
この7インチに針を落とそう。
TOPS
THING FABRICS
TF RECONSTRUCTION PLAIN T-SHIRT
PANTS
STILL BY HAND
ワンタックジャージースラックス
軍用パンツを背景に持つ、無骨な佇まい。そこにこそ、ファティーグパンツの魅力がある。生地の粗さや簡素なディテールから伝わる力強さは、時代が変わっても失われることがない。
しかし、その魅力を忠実に追うだけでは、現代の日常着として重たく見えることもある。生地や縫製、パーツ使いには、本格的な説得力がある。そして穿いた時のシルエットは、今の装いに自然に馴染む。LAMPAでは、その両方が揃っていることを大切にしている。
ORDINARY FITSのBASIC FATIGUEは、1960年代のUS FATIGUE PANTSをベースにした一本だ。当時を伝える素材とディテールを丁寧に取り入れながら、穿いた時の輪郭を現代へ向けて再編集している。
古い服の魅力を、表面的に引用するのではない。残す部分と整える部分を見極め、本質を損なわず、今穿きたい形へつなげていく。その考え方が生地からシルエットまで一貫しているからこそ、僕はこの一本をセレクトした。
生地には、1960年代にアメリカ軍で採用されていたバックサテンを忠実に再現したものを使用している。特徴は、表面に現れる独特のムラ感と、手にした時に伝わるしっかりとした感触だ。
均一に整えられた生地にはない粗さと奥行きがあり、アメリカンカジュアルらしい力強さを備えている。装飾を増やさなくても、生地そのものに表情があるため、パンツ全体の見え方が平坦にならない。
ファティーグパンツは、もともと華美なデザインを見せるためのものではない。だからこそ、生地に説得力があるかどうかで、一本の佇まいは大きく変わる。このバックサテンには、1960年代の軍用パンツが持っていた空気を伝えるだけの存在感がある。
四角いパッチポケットやヒップのフラップポケットにも、生地の表情によって自然な存在感が生まれている。簡素なつくりでありながら、どこか物足りなく見えることはない。ファティーグパンツならではの無骨な輪郭を、素材そのものが鮮明にしている。
デザインの基礎となるのは、1960年代のUS FATIGUE PANTS。フロントには象徴的な四角いパッチポケットを配置し、ウエストの両サイドにはアジャスターボタン、ヒップにはフラップポケットを配している。
ボタンに採用したのは、その形状から通称「UFOボタン」と呼ばれるパーツだ。一つひとつを見れば、どれも軍用パンツを背景に持つ、実用本位の簡潔な仕様である。
大きなパッチポケットがつくる、フロントの力強さ。フラップポケットによって輪郭が加わる後ろ姿。そして、サイドアジャスターとUFOボタンから伝わる年代感。それぞれの仕様が独立して主張するのではなく、一つのパンツの中で無理なくつながっている。
余計な装飾を加えて雰囲気をつくるのではない。生地、縫製、パーツという服の根幹を丁寧に積み重ねることで、本格を感じさせる。前後左右、どの方向から見てもBASIC FATIGUEらしい表情が崩れないのは、細部の一つひとつに選ばれた理由があるからだ。
この一本を単なる復刻で終わらせていないのが、ORDINARY FITSによるシルエットの調整だ。
ミリタリーパンツ特有の男らしさをしっかりと残しながら、裾へ向かって細くなる洗練されたテーパードシルエットへ変更している。当時の形をそのままなぞるのではなく、穿いた時にどう見えるかまで考え、現代の日常へ自然につながる輪郭に整えている。
生地やディテールには確かな無骨さがあっても、穿いた姿は必要以上に重くならない。1960年代の背景を伝える力強さを保ちながら、今の装いの中でパンツだけが過剰に主張しない。このバランスがあるからこそ、古い軍用パンツの再現だけでは終わらない。
残すべきものを残し、整えるべきところへ手を入れる。ヴィンテージの魅力を弱めるための変更ではなく、その魅力を現在の穿く姿へ正しく映すための再編集だ。ここに、ORDINARY FITSがBASIC FATIGUEをつくる意味がある。
忠実に再現されたバックサテン。1960年代の背景を伝えるディテール。そして、その無骨さを現代へつなぐテーパードシルエット。BASIC FATIGUEを構成するすべてが、同じ方向を向いている。
これは、昔の軍用パンツをそのまま再現した一本ではない。かといって、今の見え方だけを優先し、ファティーグパンツが本来持つ力強さを薄めたものでもない。本質を損なわず、今穿きたい形へ整える。その見極めに、ORDINARY FITSならではの視点が表れている。
古い服が持つ背景に惹かれながら、実際に穿くのは現在の日常だ。その二つを無理なく結びつけ、生地やディテールを眺めた時にも、鏡の前でシルエットを見た時にも、選ぶ理由を感じられる。
本格的であることを、過剰に語らない。それでも細部を見れば、つくり手が何を残し、何を整えたのかが伝わってくる。無骨さと洗練が一本の中で自然につながった、LAMPAが今提案したいファティーグパンツです。
夏になると、どうしてもTシャツを選ぶ日が増えてくる。涼しくて、気軽で、洗濯も簡単。それだけを考えれば、これ以上便利な服はない。
けれど、食事に出掛ける日や、人と会う予定がある日になると、Tシャツ一枚では少し物足りなく感じることがある。シャツを着るほどではない。でも、もう少しだけきちんと見せたい。そんな夏のちょっとした迷いを、このポロシャツは自然に解決してくれる。
展示会でも様々なポロシャツを見てきた。この一枚は、派手さで目を引く服ではない。それでも、数多くの服を見終えた後まで、僕の中に印象が残っていたのはこのポロシャツだった。
長く服を見続けていると、その場で強く主張する服だけが、日々の生活に残るわけではないことが分かってくる。着る人の日常に無理なく馴染みながら、袖を通すたびに良さを実感できる。そういう服ほど、気付けば着る回数が増え、いつの間にか手放せない存在になっていく。だからこそ、僕はこの一枚を迷わずセレクトした。
このポロシャツの魅力を支えているのは、見た目だけでは分からない生地のつくりにある。
使用しているのは、細番手のコンパクトスピン糸。毛羽立ちを抑えた糸に強撚加工を施し、さらに通常より一本多い三本取りで編み立てることで、しっかりとした質感とドライな肌触りを両立したコットンニットに仕立てている。
袖を通してまず感じるのは、肌離れの良さだ。汗をかいても生地がまとわりつきにくく、歩くたびに空気が抜けるような軽さがある。蒸し暑い日に服が肌へ張り付く不快感を抑えながら、ニットポロとしてのきちんとした表情は崩さない。
さらに消臭機能も備えている。気温も湿度も高くなる夏に、爽やかな着心地が続くことは、毎日袖を通す服にとって大きな意味を持つ。単に涼しさを求めただけではなく、暑い季節に必要な快適さを、生地そのものから丁寧に組み立てている。
しっかりとした質感がありながら、肌に触れればドライで軽い。見た目には落ち着きがあり、着心地には夏らしい快適さがある。この両方を備えているからこそ、特別な日のために取っておくのではなく、今日も着たいと思える一枚になっている。
この生地の一番の持ち味は、気軽さと上品さのどちらも諦めていないことだ。
コットン100%だから、自宅で気兼ねなく洗うことができ、特別な手入れも必要としない。汗をかく季節に、着るたびクリーニングを気にする必要がなく、洗ってまたすぐに袖を通せる。この扱いやすさは、夏服を選ぶうえで決して小さなことではない。
それでいて、ニットならではの柔らかな表情があり、Tシャツ一枚では生まれにくい落ち着いた雰囲気を自然につくってくれる。襟が付いているだけで整って見えるのではない。糸の選び方から編み立てまで考えられた生地そのものに、きちんと見える理由がある。
シャツほど堅くなく、Tシャツほどラフでもない。その絶妙な立ち位置が、このポロシャツの魅力だ。頑張って着飾った印象にはならないのに、何も考えずTシャツを着た日とは明らかに見え方が違う。楽な服を選びたい真夏にも、自分の装いを雑にはしたくない。その気持ちに、無理なく応えてくれる。
シルエットは程よくゆとりを持たせながら、着丈をやや短めに設定している。身体を締め付けないリラックスした着心地がありながら、裾を出して着るだけで全体のバランスが自然に整う。
ショーツを合わせれば軽快にまとまり、スラックスを合わせれば品のある表情へ変わる。休日にはデニムと気負わず着ることができ、少しきちんとした食事へ出掛ける日には、スラックスを合わせるだけで十分に格好がつく。
その日の予定に合わせて無理に服装をつくり込まなくても、これを一枚着るだけでいい。身体は楽なまま、見た目にはきちんと意識が行き届く。朝、何を着るか迷った時にも自然と手が伸びるのは、こうした服だと思う。
夏は、少しでも楽な服を選びたくなる季節だ。涼しいこと。洗濯が簡単なこと。気を遣わず着られること。毎日袖を通す服には、どれも欠かせない条件になる。
このポロシャツには、その気軽さがありながら、人と会う日にも自然と自信を持って袖を通せる落ち着きがある。暑さを我慢して格好を整えるのではなく、快適に過ごしながら、自分が納得できる姿でいられる。その現実的な頼もしさこそ、僕がこの服を選んだ理由だ。
派手さはない。けれど、服は店頭で見た瞬間の強さだけで価値が決まるものではない。日々の生活の中で何度も手に取り、そのたびに選んで良かったと思える。こういう服ほど、気付けば一番出番が多くなり、何年経っても手放せない一枚になっていくものだと思います。
都内在住、47歳。セレクトショップのバイヤー。
高円寺のセレクトショップ「LAMPA」の店主・遠山さんとは昔からの付き合いだ。同じブランドを扱うことも多く、展示会で顔を合わせれば新作について話したり、お互いのセレクトから刺激を受けたりしてきた。
7月末になると、スマートフォンには展示会の案内が次々と届き始める。
セレクトショップでは、春夏と秋冬を中心に年二回、各ブランドが展示会を開催する。届いた招待状やメールを確認し、興味のあるブランドへアポイントを入れ、一日に何件もの展示会を回る。
店頭に並ぶのは、半年以上先の服だ。
実際に袖を通し、生地の質感やシルエットを確かめる。ブランドの担当者から新しいシーズンの説明を聞き、自分の店に並んだ姿を想像しながら、一着ずつオーダーを決めていく。
展示会場はブランドのオフィスで開催されることもあるが、多くはギャラリーを借りて行われる。そして、そうした会場は駅から少し離れた場所にあることがほとんどだ。
この仕事は、とにかく歩く。
原宿の店を出ると、真夏の熱気が一気に押し寄せてきた。
今日は、まだ何ブランドか展示会を回らなければならない。
真夏を快適に過ごすことだけを考えるなら、スポーツウェアという選択肢もある。
でも、ブランドの服を見に行く日に、安易に快適さだけを選ぶのも少し違う。バイヤーという仕事をしている以上、自分が着る服にも、きちんと理由があってほしい。
快適でありながら、ファッションとしても格好いい。
そんな日に自然と選ぶのが、MOUT RECON TAILORだ。
MOUT RECON TAILORは、アウトドアブランドやスポーツブランドとは少し違う。
最新のミリタリーウェアに使われる技術や素材を、都市で着るファッションへ落とし込む。その独自の発想と、生地に対する徹底した向き合い方が面白いブランドだ。
毎シーズン、展示会でブランドから資料を受け取るたびに驚かされる。
もはや洋服の生地説明という範囲を超えた内容で、素材が開発された背景や構造、機能まで細かく記されている。「ここまで書くのか」と思うほどだ。
今日着てきたのは、POLARTEC DELTA TACTICAL T-SHIRTS。
フリース素材でも知られるPOLARTEC社が開発した高機能メッシュ素材「DELTA」を採用した一着だ。
優れた吸水速乾性と高い通気性を備えたメッシュ構造が、汗を素早く外へ逃がし、熱や湿気を効率よく排出する。汗をかいても肌面がべたつきにくく、衣服内を快適な状態に保ってくれる。
真夏の東京で展示会を何件も回る日には、まさにうってつけの素材だ。
原宿から展示会が行われているギャラリーまで歩く。
信号待ちを繰り返しながら真夏の日差しの中を歩いていても、ほかのTシャツと比べて明らかに快適だった。
汗をかいても、生地が肌にまとわりつくような不快感が少ない。メッシュ構造によって服の中に熱がこもりにくく、歩き続けても想像以上にさらっとしている。
もちろんデニムやアメカジのような服も好きだ。
ただ、真夏の展示会を一日に何件も回るという条件では、こうした高機能ウェアの良さを改めて実感する。
快適だから着るのではない。
服として格好いいから、自然と手が伸びる。
ギャラリーへ到着し、冷房の効いた会場で少し汗を落ち着かせる。
新しいシーズンの説明を聞きながら、気になった商品を実際に試着していく。
ハンガーに掛かっている状態では気づかなかったシルエットや、生地の落ち方、身体を動かしたときの着心地。担当者の話を聞きながら鏡の前に立つことで、初めて見えてくることがある。
展示会は、単に商品を仕入れる場所ではない。
ブランドがどんな考えで服を作り、何を新しいシーズンで表現しようとしているのか。その空気を直接感じ、自分の店に並べる理由を見つける場所でもある。
展示会シーズンになると、遠山さんと顔を合わせる機会も自然と増える。
同じブランドを扱っていても、店によって見る視点は違う。どの商品を選ぶのか、どこに魅力を感じるのか。そんな話をする時間も、この仕事の楽しみの一つだ。
ギャラリーを出て、スマートフォンを見る。
次のアポイントまで、あと二十分。
今日は、まだ何ブランドか回らなければならない。
真夏の東京は、相変わらず暑い。
でも、これなら最後まで乗り切れそうだ。
そう思いながら、次のギャラリーへ向かった。
TOPS
MOUT RECON TAILOR
POLARTEC DELTA TACTICAL T-SHIRTS
7月29日より、MORE SALEを開催しております。
SALE対象商品をさらに追加し、一部商品の値引き率もアップいたしました。
夏本番を迎えた今、気になっていたアイテムをこれまで以上にお求めやすい価格でご覧いただけます。
A VONTADE、STILL BY HAND、MODMNT、MOUT RECON TAILOR、MEANSWHILE、CCP、BARNSTORMER、ORDINARY FITSなど、LAMPAがセレクトするブランドから、MORE SALE対象商品を追加しております。
さらに一部商品のSALE価格も見直し、これまで以上にお求めやすくなりました。
WEB STOREではSALE価格にてそのままご購入いただけます。
店頭では特にSALEプライスを付けておりませんが、お会計時にSALE価格へ変更して販売いたします。
気になる商品がございましたら、どうぞお気軽にスタッフまでお声掛けください。
サイズ・カラーによっては残りわずかな商品も増えてきました。
是非この機会をお見逃しなく。
皆様のご来店、ご利用を心よりお待ちしております。
夏になるとショーツを穿く機会は増えるものの、どうしても装い全体がラフに見え過ぎてしまう。
涼しさや気軽さは欲しい。
ですが、大人が穿く以上、どこかに落ち着きや品の良さも残しておきたいところだ。
Tシャツ一枚で過ごすことが多くなる季節だからこそ、ボトムスの素材やシルエットが装い全体の印象を大きく左右する。
ショーツは、ただ涼しさだけで選ぶものではない。
素材とシルエットが変わるだけで、夏の装いは驚くほど変わる。
そんな夏の装いを自然と引き締めてくれるのが、STILL BY HANDのサマーウール2タックショーツだ。
生地には、繊維の細いSUPER120のサマーウールを使用。ウールとは思えないほど滑らかな肌触りで、気になりやすいチクチク感もほとんどない。さらに生地自体が軽く薄手に仕上げられているため、暑さの厳しい夏場でも快適に穿ける。
サマーウールならではのしなやかな落ち感と、光を柔らかく受ける上品な表情も魅力だ。派手さはない。ですが、一目で上質だと感じさせる空気がある。
そして見逃せないのが、家庭の洗濯機で洗えるウォッシャブル仕様であること。汗をかく季節に穿くものだからこそ、気軽に洗えることは夏物として欠かせない条件だ。
その点でも、このショーツは夏に日常使いするための条件をしっかりと満たしている。
デザインは、腰まわりに程良いゆとりを持たせたツータック仕様。シルエット自体はベーシックだが、サマーウールの落ち感とタックによる立体感が加わることで、一般的なショーツとは異なる端正な雰囲気に仕上がっている。
イメージとしては、スラックスをそのままショーツへ落とし込んだような一本。ありそうで意外と見かけない、この絶妙なバランスだ。
ショーツでありながら幼く見えず、ラフになり過ぎない。夏の装いに、スラックスを穿いた時のような締まった印象を与えてくれる。
画像のようにシャツを合わせれば、サマーウールの持つ上品さを素直に活かしたスタイリングになる。ですが、個人的には、あえてシンプルなTシャツと合わせる着こなしもおすすめだ。
カジュアルなTシャツと、スラックスのようなショーツ。その相反する組み合わせが、肩の力を抜きながらも大人らしいコントラストを生み出してくれる。
Tシャツ一枚で過ごすことが多くなる季節だからこそ、ボトムスの素材やシルエットが装い全体の印象を大きく左右する。
ショーツは、ただ涼しさだけで選ぶものではない。
素材とシルエットが変わるだけで、夏の装いはここまで変わる。
ありきたりのショーツでは物足りない。
そんな大人に、おすすめしたい一本です。
ギンガムチェックのシャツは、昔から変わらない定番。
流行が変わっても、毎年必ずどこかのブランドが作り続けている。
でも、オープンカラーとなると話は少し変わる。
本当に違いが現れるのは、生地であり、シルエットであり、細かな設計。
店を始めて20年以上。
展示会でも店頭でも、本当にたくさんのシャツを見てきた。
その中でもギンガムチェックは、毎年必ず目にする定番の一つ。
だからこそ、ほんの少しの違いが服全体の印象を大きく変えることも知っている。
展示会でこのシャツを見た時、派手さはなかった。
でも、「今年もMANUAL ALPHABETらしいな」と自然に思えた一枚。
生地を触り、袖を通す。
その何気ない動作の中で、丁寧な服作りが伝わってくる。
普通だけど、普通では終わらない。
MANUAL ALPHABETは、そういう服を本当に上手く作るブランドだ。
生地は、やや細番手の糸を高密度に織り上げたコットンシルク。
薄手で軽やかな着心地でありながら、適度なハリを持ち、美しいシルエットを自然に保つ。
軽くて涼しい。
それでいて、シャツとしての存在感もしっかり感じられる。
夏に求める快適さと品の良さを、非常に高いレベルで両立している。
このシャツの印象を決定付けているのが、シルクならではの自然な光沢。
決して主張するような艶ではない。
光を受けた時だけ柔らかく表情を変え、ギンガムチェックに落ち着きと奥行きを与える。
近くで見ると生地の美しさが分かり、少し離れて見ると自然と品良く映る。
この絶妙な表情は、コットンシルクだからこそ生まれる魅力だ。
今まで数えきれないほどのギンガムチェックを見てきたが、光沢が強すぎて安っぽく見えるものも、逆に地味に沈んでしまうものも多かった。
このシャツは、その塩梅を絶妙に外さない、数少ない一枚だ。
ギンガムチェックは、柄そのものに強い個性があるわけではない。
だからこそ、生地の違いがそのまま見た目に表れる。
コットンだけでは出せない柔らかな光沢。
シルクだけでは日常着として扱いづらくなる部分を、コットンが自然に支えている。
上品ではあるけれど、気取ってはいない。
日常着として気兼ねなく袖を通せるところまで落とし込まれている。
このバランス感覚に、MANUAL ALPHABETらしい現実的な服作りを感じる。
デザインは、ギンガムチェックでは珍しいオープンカラー。
ボタンダウンやレギュラーカラーとは違い、首元に自然な抜けが生まれる。
そこにボックスシルエットを組み合わせることで、肩の力が抜けたリラックスした雰囲気に仕上がっている。
ただ、単純にゆったり作ったシャツではない。
決してオーバーサイズではなく、大人が自然体で着られる絶妙なバランス。
身幅には程よい余裕がありながら、着丈や肩まわりはだらしなく見えない。
開襟シャツ特有の軽快さを持ちながら、カジュアルになり過ぎない。
そのさじ加減が本当に上手い。
オープンカラーによる首元の抜け感。
ボックスシルエットによる自然な余裕。
コットンシルクによる上品な光沢。
どれか一つだけが主張するのではなく、それぞれが静かに支え合っている。
だから、ギンガムチェックという見慣れた柄でも、ありきたりなシャツには見えない。
個人的には、ショーツに合わせて涼しく着るのが好み。
暑い季節にショーツを穿くと、どうしても着こなし全体が軽く見えやすい。
そこに、このシャツのコットンシルクならではの品が加わることで、自然と全体が整う。
頑張って見せているわけではない。
ただ、Tシャツ一枚とは明らかに違う表情になる。
もちろん、合わせるパンツはショーツだけではない。
デニムにも、軍パンにも、スラックスにも自然に馴染む。
柄物ではあるけれど、ギンガムチェック自体は合わせやすい。
さらに落ち着いた光沢と素直なシルエットによって、手持ちのパンツを選ばず着回せる。
夏のシャツには、涼しさだけを求めたくなる。
でも、涼しいだけでは物足りない。
一枚で着た時に、きちんと服としての表情があること。
大人が無理なく着られること。
そして、いつものパンツに自然と馴染むこと。
このシャツは、そのすべてを高い水準で満たしている。
定番だからこそ、長く付き合える。
着た瞬間の驚きだけで勝負する服ではない。
何度も袖を通し、洗い、また着る。
その繰り返しの中で、「やっぱりこれがいい」と感じさせてくれる一枚。
派手なデザインや強い主張がなくても、良い服は着る人の中に残る。
生地の心地良さ。
袖を通した時の自然な収まり。
合わせる服を選ばない使いやすさ。
そうした一つひとつが積み重なり、気が付けば着る回数が増えていく。
ギンガムチェックは、昔から変わらない定番の柄。
だからこそ、ごまかしは利かない。
素材の選び方も、シルエットも、細かな設計も、そのまま服の表情として現れる。
大人のギンガムは、素材で差がつく。
MANUAL ALPHABETが得意とする丁寧な服作りが、この一枚にしっかりと詰まっています。
目黒区在住、41歳。
美容室オーナー。
年齢を重ねるごとに、だんだん痩せづらくなってきた。
若い頃は身体を鍛えていたけれど、今は仕事もあるし、家族との時間もある。
運動だけのために時間をつくるのは、なかなか難しい。
そこで始めたのが徒歩通勤だった。
今まで自転車で通っていた職場まで歩く。
時間にして約30分。
近すぎても運動にならない。
遠すぎても続かない。
自分には、この30分がちょうど良かった。
問題は服だった。
冬はいい。
でも夏は違う。
日差しは強いし、歩けば汗もかく。
毎日着替えるのも面倒だし、そのまま仕事をするなら、美容師としてある程度お洒落でいたい。
スポーツブランドでもない。
アウトドアブランドでもない。
でも、機能的で格好いい服。
そんな服を探していた時に見つけたのが、MOUT RECON TAILORだった。
どうやらアウトドアブランドとは少し違う、高機能なファッションブランドらしい。
商品説明を読んでみると、機能についてかなり細かく書かれている。
「これは何か違う。」
不思議とそう思えた。
取り扱いを調べると、高円寺のLAMPAという店が出てきた。
若い頃は古着が好きで、高円寺にはよく来ていた。
でも、こういうブランドを扱う店があるイメージは正直なかった。
店へ着くと入口には「会員制」の文字。
「え、入れないの?」
少し焦りながら店主に事情を話すと、普通に迎え入れてくれた。
話を聞くと、入口の表示は過去に色々あったためで、実際は誰でも入店できるとのこと。
正直かなりホッとした。
この日のお目当ては決まっていた。
MOUT LOGO T-SHIRTS。
SUMMERWEIGHT MDU SHORTS。
TシャツはCORDURA素材を使用し、接触冷感、吸水速乾、ストレッチ性まで備えている。
袖を通すと、生地が少しひんやりする。
想像以上によく伸びる。
「これはいい。」
率直にそう思った。
ショーツもCORDURA素材を使用したサマーウェイト仕様。
驚くほど軽く、ウエストはイージー仕様。
裾幅にも余裕があり、とても歩きやすい。
細いショーツだと歩いている時に擦れて気になることがある。
これは全く気にならなかった。
ポケットにはドイツ製のパーツ。
アウトドアブランドとは少し違う無骨さがあり、それもMOUT RECON TAILORらしい魅力だった。
さらに洗濯耐性も高い。
夏にヘビーローテーションする服だからこそ、この安心感は大きい。
気になっていたことは、すべてクリア。
イメージ通り。
いや、それ以上だった。
ほぼ即決だった。
数日後。
さっそく徒歩通勤で着てみた。
やっぱり快適だった。
歩いていて気持ちがいい。
汗をかいても不快感が少ない。
そして何より格好いい。
仕事も、いつもより少しだけ気分良くできた。
健康のために始めた徒歩通勤だった。
でも気づけば、歩く時間そのものが楽しみになっていた。
機能だけでは毎日は続かない。
デザインだけでも物足りない。
MOUT RECON TAILORは、その二つを自然に両立してくれる服だった。
歩くために買った服だった。
でも気づけば、歩く時間も、仕事へ向かう時間も、少し好きになっていた。
歩く理由が、また一つ増えた。
TOPS:MOUT RECON TAILOR
MOUT LOGO T-SHIRTS
SHORTS:MOUT RECON TAILOR
SUMMERWEIGHT MDU SHORTS
都内在住、32歳。
会社員。
きっかけは、友達に連れられて行ったJAZZのコンサートだった。
正直、それまではJAZZなんてほとんど聴いたことがなかった。 でも、一度生で聴いてしまうと不思議なもので、少しずつ興味が湧いてくる。
家で流してみたり、ネットで調べたり。 有名なミュージシャンを聴いてみたり。
でも、思った。
難しい。
知れば知るほど奥が深い。 ネットだけで理解できる世界じゃない気がした。
そんな話を友達にしたら、 「だったらJAZZ喫茶に行ってみれば?」 と言われた。
おすすめされた店を調べる。 南青山にある昔ながらのJAZZ喫茶。 写真を見るだけでも空気が違う。
これは、いつもの短パンにTシャツじゃ少し違うかもしれない。
初心者だからこそ、 せめてその空間には自然に溶け込みたかった。
でも、自分はそんなに高い服は買えない。 無理のない予算で、ちゃんと雰囲気に合う服が欲しい。
インスタで探してみても、何が正解なのかよく分からない。
そんな時、友達が教えてくれたのがLAMPAだった。
少し緊張しながら店に入る。
正直、店主は少し怖そうに見えた。 でも話してみると全然違った。
予算を伝えると、その中で何パターンか提案してくれる。 無理に勧める感じもない。
その中で薦めてもらったのが、 STILL BY HANDの和紙混半袖ニットと、 2タックリネンパンツだった。
試着して鏡を見る。
普段の自分とは少し違う。 でも、その違和感が悪くなかった。
シンプルなのに、なんだか雰囲気がある。 しかも驚いたのは着心地だった。
店主は、 「このブランドは一見シンプルだけど、細かなディテールや全体のバランスが本当に面白いんです。日本製なのに価格も手が届きやすい。今回みたいなお題にはぴったりですよ。」 と話してくれた。
確かに、その通りだった。
その場で購入し、 数日後、南青山へ向かった。
普段あまり来る街ではない。
落ち着いた店構えが並ぶ、静かな裏通り。 少し歩くだけでもいつもと違う景色が広がる。
目的のJAZZ喫茶に着く。
正直、 LAMPAへ入る時より緊張した。
扉を開けると、 静かに音楽が流れている。
でも、店主はとても優しかった。
おすすめのレコードのこと。 ミュージシャンのこと。 JAZZの楽しみ方。
初心者の自分にも分かるように、 ゆっくり話してくれた。
そして、ふと思った。
今日の服、 この空間にちゃんと馴染んでいる。
目立つわけでもない。 背伸びしているわけでもない。
ただ自然に、その場所に居られる。
今までTPOなんて、あまり考えたことがなかった。
でも、 その場所に合わせて服を選ぶ楽しさって、 こういうことなのかもしれない。
洋服も。 音楽も。
32歳になっても、 まだ知らない世界はたくさんある。
そして、その世界へ踏み出すきっかけは、 案外、友達の何気ない一言だったりする。
新しい音楽を教えてくれた友達。 新しい服を教えてくれたLAMPA。
どちらにも感謝した一日だった。
TOPS
STILL BY HAND 和紙混半袖ニット
PANTS
STILL BY HAND 2タックリネンパンツ
ショーツは、シンプルな服だ。
面積が小さく、デザインで大きな違いをつけることも難しい。
だからこそ、生地やシルエット、細かなディテールの差が、そのまま完成度に表れる。
A VONTADEのARMY CHINO SHORTSは、50年代のアメリカ軍ショーツをベースにしながら、現代のスタイルに自然と馴染むよう再構築された一本。
無骨さは残す。
ただし、野暮ったさは残さない。
ミリタリーをそのまま再現するのではなく、当時の良さを理解したうえで、今穿いた時に一番格好良く見える形へと整える。
この絶妙な引き算に、A VONTADEらしさがよく表れている。
生地には、コンパクト糸にフレンチリネンを打ち込んだカルゼ織のツイル生地を使用。
コンパクト糸は毛羽が少なく、表面がすっきりとしている。
そのクリーンな表情に、フレンチリネンならではのドライな質感が加わる。
さらにバイオ加工を施すことで、しっかりとした安心感のある生地でありながら、硬さを感じさせない柔らかくナチュラルな風合いに仕上げている。
このショーツを見た時、まず目に入るのはカルゼ織特有の畝。
光の当たり方によって陰影が生まれ、無地でありながら、のっぺりとは見えない。
平織りのチノクロスでは出せない立体感がある。
色や柄で主張するのではなく、生地そのものの表情で存在感をつくる。
個人的に、生地だけでここまで惹きつけられるチノショーツは、そう多くないと思う。
無骨なのに、粗さはない。
しっかりとしているのに、重たく見えない。
男らしさと品の良さが同居する、この空気感こそA VONTADEらしさ。
デザインのベースは、50年代のアメリカ軍ショーツ。
フロントは、ピンタックとダーツを組み合わせた2プリーツ仕様。
腰回りに自然なゆとりを生みながら、そのボリュームが裾まできれいに流れていく。
太さはある。
ただ、横へ広がるだけのシルエットではない。
正面から見た時にはプリーツの縦線が強調され、横から見た時には腰から裾にかけての自然なラインがよく分かる。
迫力がありながら、だらしなく見えない。
ゆとりがありながら、大人っぽさを失わない。
今は太いショーツも珍しくない。
ただ太く作るだけなら難しくはない。
大切なのは、穿いた時にどう見えるか。
このショーツは、腰回りのボリューム、裾幅、丈のバランスまできちんと計算されている。
写真で見る以上に、実際に穿いた時のシルエットがきれいな一本。
比翼仕様のフラップポケットや、太幅のベルトループ。
50年代のアメリカ軍ショーツに見られる無骨なディテールを、忠実に取り入れている。
ただし、ヴィンテージをそのまま再現しているわけではない。
当時のディテールを残しながら、全体のバランスは現代的。
ミリタリーの強さを残しつつ、普段の服装へ自然に馴染むところまで整えている。
A VONTADEは、過去の服をそのまま復刻するブランドではない。
ヴィンテージの背景や構造を深く理解し、それを今の生活の中でどう着るかまで考えている。
古い服の格好良さを借りるのではなく、現代の服として完成させる。
この「やり過ぎないアップデート」が、A VONTADEの服を長く着たくなる理由のひとつだと思う。
太いショーツは数多くある。
ミリタリーをベースにしたショーツも珍しくない。
それでも、この一本には他とは違う完成度がある。
生地。
シルエット。
ディテール。
どれか一つだけが強いのではない。
そのすべてが噛み合うことで、このショーツは完成する。
派手な装飾はない。
一目で分かるような奇抜さもない。
だからこそ、ごまかしが利かない。
生地の表情があり、穿いた時のラインが美しく、細かなディテールにも意味がある。
穿く回数が増えるほど、「よく出来ているな」と感じさせてくれる一本。
無骨さは残す。
野暮ったさだけを削ぎ落とす。
流行ではなく、完成度で選ぶ。
A VONTADEらしさが詰まった、大人のためのショーツです。
若い頃は、チェックシャツをよく着ていた。
デニムに合わせたり、軍パンに合わせたり、Tシャツの上から何も考えずに羽織ったり。
柄が入っているだけで格好がつくし、少しくらい雑に着ても、それがむしろ雰囲気になった。
ところが歳を重ねるにつれて、少しずつ手が伸びなくなる。
柄が強すぎると落ち着かない。
配色を間違えると子供っぽく見える。
シルエットが細ければ昔っぽくなるし、ただ大きいだけでは若作りに見えてしまう。
チェックシャツそのものが嫌いになったわけではない。
今の自分にしっくりくる一枚が、なかなか見つからなくなっただけだ。
そんな中で久しぶりに、素直に着たいと思えた。
それが、A VONTADEのITALIAN COLLAR SHIRTS SSだった。
このシャツを見て最初に感じたのは、チェック柄の強さではなかった。
先に目に入ってきたのは、生地の持つ静かな奥行きだった。
使用しているのは、50番手のコットン糸をテンションをかけずに織り上げたチェックブロード。
糸に余計な力を加えずに織り上げることで、しっかりとした生地感の中に、硬さだけではない自然な表情が生まれている。
表面はきれいだが、均一すぎない。
ブロードらしい端正さはありながら、どこか柔らかく、無機質には見えない。
触れたときにも薄さだけが先に立たず、きちんと生地そのものの存在を感じられる。
柄は、単色をベースに構成されたプレイドチェック。
多色使いのチェックのように柄が前へ出るのではなく、色の濃淡と重なりによって、さりげなく表情を作っている。
遠目には落ち着いて見える。
近くで見ると、チェックの奥行きが見えてくる。
柄物を着ているというより、生地に表情のあるシャツを着ている感覚に近い。
この控えめな存在感こそ、大人が無理なく着られる理由だと思う。
このシャツを単なるチェックシャツで終わらせていないのが、襟の作りだ。
採用されているのは、前立てから襟へと滑らかにつながるイタリアンカラー。
ボタンを開けたときに首元が自然に開き、通常のシャツとは違う、涼しげでリラックスした表情を作ってくれる。
開襟シャツのようなリラックス感はある。
しかし、リゾートウェアのように軽くなりすぎない。
一般的なレギュラーカラーほど堅くも見えない。
その間にある、絶妙な襟だ。
カジュアルで力の抜けた雰囲気を持ちながら、それだけでは終わらない。
イタリアンカラーならではの首元の開きによって、リラックス感がありながらも、どこか大人らしい雰囲気を感じさせてくれる。
開襟シャツほどラフにならず、レギュラーカラーほど堅くもならない。
その絶妙な立ち位置が、このシャツらしい魅力だと思う。
砕けているのに、だらしなくはない。
リラックス感がありながらも、大人らしい品の良さを自然に感じさせてくれる。
A VONTADEの服には、こういう相反する要素を自然に共存させる上手さがある。
シルエットは、全体にゆとりを持たせたボックス型。
身体を締めつけず、暑い季節にも自然と手が伸びる、リラックスしたサイズ感に仕上げられている。
ただ大きさを強調するためのシルエットではない。
生地のしっかりとした質感と、イタリアンカラーが作る首元の表情によって、ゆとりがありながらも全体の印象は崩れない。
カジュアルでありながら砕けすぎず、大人が着ても自然に見えるバランスに整えられている。
このバランスが非常に重要だと思う。
大人がゆったりとした服を着るとき、難しいのはサイズそのものではない。
若い人と同じように見せようとすると、どうしても無理が出る。
かといって、昔と同じ細身のシャツを選べば、今のパンツとのバランスが合わない。
必要なのは、今の空気を取り入れながらも、着る人を服が追い越さないこと。
このシャツには十分なゆとりがある。
しかし、サイズ感だけが先に立つことはない。
生地、柄、襟、シルエット。そのすべてが同じ方向を向いているから、自然に大人の服として成立している。
このシャツは、一枚で着てももちろん格好いい。
ただ、個人的には無地のTシャツの上から、ボタンを開けて軽く羽織る着方をおすすめしたい。
インナーは白でも生成りでもいい。
パンツは色の落ちたデニムでも、軍パンでも、少しきれいなスラックスでもいい。
難しく考える必要はない。
Tシャツとパンツだけでは少し物足りない。
しかし、ジャケットを着るほどではない。
そんな夏の日に、このシャツを一枚加える。
それだけで、格好に奥行きが生まれる。
柄は入っているが、うるさくない。
襟は開いているが、ラフすぎない。
全体にはゆとりがあるが、生地のしっかりとした質感によって、輪郭が曖昧になりすぎない。
シャツの中にあるすべての要素が、ちょうどいいところで止まっている。
だから、特別なコーディネートを考えなくても、いつもの服に自然と馴染んでくれる。
若い頃と同じ服を、同じように着る必要はない。
それでも、昔好きだったものを、すべて手放す必要もないと思う。
デニムも、軍パンも、スニーカーも、チェックシャツも。
歳を重ねたから着られなくなるのではなく、今の自分に合う形へ更新していけばいい。
A VONTADEのこのシャツには、懐かしさがある。
しかし、懐古的には見えない。
チェックシャツという昔からあるものを、生地の選び方、襟の作り、シルエットのバランスによって、今の大人が着られる服へと作り直している。
だから、久しぶりにチェックシャツを着たいと思えた。
何年も柄物を避けてきた人。
無地ばかりを選ぶようになった人。
チェックシャツは子供っぽいと思っている人。
そんな人にこそ、実際に袖を通してみてほしい。
チェックなのに、子供っぽくない。
ゆったりしているのに、若作りには見えない。
力が抜けているのに、男っぽさは失っていない。
昔好きだった服を、今の自分でもう一度着る。
そのきっかけになってくれる、大人のためのチェックシャツです。
杉並区在住 30歳 会社員。
最近、友達の紹介で知り合った女性と、公園デートをすることになった。
デートといっても、都内の公園。
気合いを入れすぎるのも違うし、ラフすぎても違う。
正直、こういう「ちょうどいい」が一番むずかしい。
家のクローゼットを開けて、何着か合わせてみる。
でも、どれもしっくりこない。
「これ、頑張って見えるかな。」
「これは逆に、なんも考えてない感じかな。」
一人で試着しながらブツブツ言っている自分に、途中で笑えてきた。
こんなことで悩む歳でもないのに。
結局、自分では決めきれず、数日前にいつもお世話になっているLAMPAへ。
遠山さんに事情を話すと、
「公園だったら歩く時間も長いよね。」
「途中でカフェにも入ると思います。」
「じゃあ、涼しくて楽なのは大前提。でも、リラックスしすぎて気が抜けて見えるのは違うよね。」
そんなやり取りをしながら何着か試着して、最終的に選んだのが、トップスはORDINARY FITS LINEN RAGLAN PULLOVER TEE、パンツはSTILL BY HAND 強撚コットンテーパードパンツだった。
そういえば、このブランド、遠山さんに前にも勧められた気がする。
ブランドを意識して服を買うタイプではないけれど、家に帰ってクローゼットを見ると、STILL BY HANDの服が意外と多い。
気付けば、「これいいな。」と思って手に取る服は、いつもこのブランドだった。
今回もそうだった。
穿いてみると、生地は涼しげなのに、どこか品がある。
リラックスしているのに、だらしなく見えない。
「やっぱりこれだな。」
パンツはほとんど迷わず決めた。
一方でトップスは、今回初めて買うORDINARY FITS。
デニムが有名なブランドということは知っていたけれど、自分は普段デニムを穿かないので、今まで縁がなかった。
でも、このリネンの半袖TEEだけは違った。
着た瞬間の軽さと、力の抜けた雰囲気。
それでいて、どこか都会的。
STILL BY HANDのパンツと合わせると、頑張ってお洒落をしている感じではなく、自然体なのにちゃんと大人っぽい。
「今日の場所には、このくらいがちょうどいい。」
そんな気がした。
当日。
待ち合わせへ向かう道を歩きながら、なんとなく服の裾を気にしてしまう。
「これで良かったのかな。」
そんなことを考えながら歩いていた。
待ち合わせ場所の少し手前で立ち止まり、スマホを見る。
「着いたよ。」
彼女から届いたメッセージ。
深呼吸をひとつして、歩き出した。
最初は少し緊張していたけれど、公園を歩きながら話しているうちに、少しずつ自然に笑えるようになっていた。
仕事のこと。
休日の過ごし方。
好きな食べ物。
そんな他愛もない話ばかり。
でも、その何気ない会話が、なんだか心地良かった。
リネンのトップスは風が抜けて気持ちよく、強撚コットンのパンツも一日穿いていて本当に快適。
歩いても、座っても、気が抜けて見えない。
遠山さんの言った通りだった。
公園の中にある雰囲気のいいカフェで、アイスコーヒーを飲みながらゆっくり話す。
服のことなんて、途中から忘れていたくらいだ。
それって、きっと良い服なんだと思う。
駅へ向かう途中、スマホが震えた。
「今日はありがとう。また行こうね。」
彼女から届いたその一言を見て、思わず顔がゆるんだ。
次は、どこへ行こう。
そんなことを考えながら、家までの帰り道をゆっくり歩いた。
夏になると、ショーツを穿く機会は自然と増えてきます。
涼しくて、動きやすく、気軽に穿ける。
だからこそ、その一本で全体の印象が決まってしまうアイテムでもあります。
ラフになりすぎるもの、子供っぽく見えてしまうもの、ただ涼しいだけのもの。
ショーツはシンプルなアイテムだからこそ、その違いがはっきりと表れます。
A VONTADEのMIL EASY SHORTSは、そんなショーツとは少し違います。
ベースとなっているのは、1940年代のUS NAVYデニムパンツ。
当時のミリタリーパンツが持つ実用性や無駄のない設計を活かしながら、現代のライフスタイルに合わせてショーツとして再構築されています。
ウエストはゴムとドローコードによるイージー仕様。
気軽に穿ける快適さを備えながらも、ミリタリー由来の力強い骨格はそのまま残されています。
ヴィンテージを忠実に再現するのではなく、現代の日常着として成立するよう丁寧に整えられているところに、A VONTADEらしさを感じます。
このショーツには、US NAVYパンツを参考にした脇接ぎのない独特なパターンが採用されています。
一般的なショーツのようにサイドへ縫い目が入らないため、生地が身体を包み込むように自然に落ちていきます。
横から見た時のラインがとてもきれいで、程よいボリュームがありながらも膨らみすぎません。
裾幅には余裕を持たせながらも、全体のシルエットは非常に落ち着いた印象。
ワイドショーツの開放感と、大人らしい品の良さを両立しています。
生地には、コットンとリネンを組み合わせたヘリンボーン素材を採用。
番手の異なる糸を組み合わせることで、単調ではない奥行きのある表情が生まれています。
さらにワッシャー加工を施すことで、自然な凹凸とふくらみが加わり、新品の状態からこなれた雰囲気を楽しむことができます。
リネン特有のドライなタッチと、コットンの扱いやすさを兼ね備えているため、真夏でも快適。
穿き始めから雰囲気があり、着用と洗濯を繰り返すことで、さらに味わいが増していく素材です。
デザインはフロントに2つ、バックに1つのパッチポケットのみ。
余計な装飾はほとんどありません。
だからこそ、シルエットやパターン、生地の良さがそのまま伝わってきます。
Tシャツを合わせるだけでも様になり、ポロシャツや半袖シャツを合わせれば、落ち着いた大人の夏のスタイルが完成します。
派手さで目を引くショーツではありません。
ですが、何年経っても自然と手が伸びる。
そんな一本だと思います。
ウエストは総ゴム仕様でストレスなく穿ける。
それでいて、見た目は決してイージーすぎない。
楽だから選ぶのではなく、格好いいから穿きたくなる。
その結果として快適さも備わっている。
A VONTADEのMIL EASY SHORTSは、そんな順番で作られたショーツです。
ショーツだからこそ軽く見せたくない。
そんな大人にこそ、ぜひ穿いていただきたい一本です。
ポロシャツというアイテムは、不思議な服だ。
襟が付くだけで、自然と品が生まれる。
でも、一歩間違えれば真面目すぎる。
逆にラフさを求めれば、スポーティーな印象が強くなってしまう。
だからこそ、肩の力を抜いて着られて、それでもちゃんと格好いいポロシャツというのは、意外と少ないと思っている。
A VONTADEのSURFKNIT POLO SSを見た時、最初に感じたのは、そのどちらにも寄りすぎていないことだった。
男っぽさがある。
でも、上品さもある。
リラックスして着られる。
それでも、ラフになりすぎない。
何かを強く主張しているわけではないのに、袖を通すと雰囲気が出る。
A VONTADEの服は、着れば着るほど好きになる。
毎日着て、洗って、また袖を通す。
このSURFKNIT POLO SSも、まさにそんな一枚だと思った。
このポロシャツ最大の魅力は、ブランドオリジナルで開発されたSURFKNIT素材にある。
使用しているのはMVS糸。
毛羽が少なく、摩耗に強い。
形態安定性に優れ、吸水性も高い。
毎日のように着て、洗濯を繰り返す服として、かなり理にかなった素材だ。
表面には、ワッフル調の凹凸がある。
立体感のある表情がありながら、裏面は肌当たりの良いフラットな仕上がり。
表から見れば、生地そのものにしっかり存在感がある。
でも、肌に触れる面は滑らかで、気負わず着ることができる。
見た目の良さと、日常着としての快適さ。
その両方を同じ素材の中で成立させている。
高機能素材という言葉だけで説明してしまうと、この生地の魅力は少し違って伝わる気がする。
機能を見せるための生地ではない。
服として格好良く見せながら、着て生活する人の負担を減らしている。
袖を通した瞬間の心地良さ。
洗濯を繰り返しても、安心して着続けられる頼もしさ。
そうした良さは、一度触っただけですべてが分かるものではない。
何度も着て、洗って、また着る。
その繰り返しの中で、少しずつ実感していく素材なのだと思う。
デザインは驚くほどシンプルだ。
ややゆったりとしたリラックスシルエット。
余計な装飾はない。
だからこそ、生地の表情も、シルエットも、襟の形も、そのまま服の完成度になる。
シンプルな服は、何かでごまかすことができない。
生地が弱ければ、そのまま伝わる。
シルエットに無理があれば、着た時にすぐ分かる。
デザインを足さないということは、その分、一つひとつの設計に理由が必要になるということだと思う。
襟には、編地を切り替えることで表現したラインが入る。
遠くから見て強く目立つようなデザインではない。
近くで見て、初めてその違いに気付くほど控えめなアクセントだ。
でも、その小さな違いがあることで、ポロシャツ全体の印象が静かに引き締まっている。
派手なデザインを加えて、分かりやすく個性を作るのではない。
細部を丁寧に積み重ねる。
その積み重ねによって、着た時の空気を作っていく。
それが、A VONTADEらしさなのだと思う。
個人的に、ポロシャツというと、トラッドやアイビーを感じさせるものが多い印象がある。
もちろん、それがポロシャツ本来の魅力でもある。
襟の付いた端正な見た目。
スポーツを起源に持ちながら、ジャケットやスラックスとも合わせられる品の良さ。
ポロシャツという服には、そうした背景が自然と重なって見える。
だからこそ、このA VONTADE SURFKNIT POLO SSは、僕には少し新鮮に映った。
「ミリタリーなポロシャツ」というジャンルが、実際にあるわけではないと思う。
この服にも、軍物をそのまま引用したような分かりやすいディテールがあるわけではない。
フラップポケットもなければ、エポレットもない。
ミリタリーウェアを忠実に再現した服でもない。
それでも、この一枚には、どこかミリタリーウェアを思わせる空気を感じた。
SURFKNIT特有の、ワッフル調の凹凸ある表情。
真っ白ではなく、少し生成りがかったIVORYの色味。
その二つが合わさることで、一般的なポロシャツが持つトラッドやアイビーとは少し違う、無骨な雰囲気が生まれている。
デザインではなく、生地と色からミリタリーを感じる。
そこが、このポロシャツを面白いと思った理由だった。
このポロシャツは、IVORYだからこそ格好いいと思っている。
真っ白ではない。
少し生成りがかった、曖昧な色味。
白ほどクリーンになりすぎず、ベージュほど色の印象も強くない。
その中間にあるような色が、SURFKNITの凹凸を自然に見せている。
生地の立体感が、色の柔らかさの中にきちんと残る。
ミリタリーウェアを思わせる男っぽさがありながら、土臭くはならない。
襟付きならではの品も、しっかり残っている。
無骨ではある。
でも、無骨すぎない。
上品ではある。
でも、真面目すぎない。
このどちらか一方に振り切らないバランスが、とても格好いい。
色、生地、シルエット。
一つひとつを別々に見れば、大げさな特徴ではない。
でも、それらが組み合わさることで、このSURFKNIT POLO SSにしかない空気が生まれている。
バイヤーとして、この一枚に惹かれた一番の理由は、そこだった。
服は、着るためにある。
当たり前のことだけれど、服を見ていると、その当たり前を忘れてしまうことがある。
デザインが新しい。
ディテールが面白い。
素材に特別感がある。
もちろん、そういう服にも惹かれる。
でも、本当に出番が多い服は、少し違う。
朝、クローゼットを開ける。
その日の服を深く考えることもなく、自然に手が伸びる。
袖を通す。
鏡を見る。
特別なことは何もしていないのに、ちゃんと格好いい。
着心地が良い。
生地に表情がある。
シルエットにも無理がない。
一つひとつは、決して大きな特徴ではない。
でも、その小さな理由の積み重ねが、何度も着たくなる服を作っている。
頑張って着る服ではない。
誰かに見せるために、無理をして選ぶ服でもない。
気負わず着られる。
それでも、ちゃんと格好いい。
年齢を重ねた今は、そんな服に一番惹かれる。
本当に良い服は、最初から強く主張してくる服ではないのかもしれない。
買った瞬間だけ気分を高めてくれる服ではなく、着る回数が増えるほど好きになっていく服。
毎日着て、洗って、また袖を通す。
その中で、生地の良さが分かる。
シルエットの理由が分かる。
控えめなディテールが、なぜ必要だったのかが分かる。
そして、気付けばまた手に取っている。
「これでいい。」
そう思って選んだはずなのに、いつの間にか、
「これがいい。」
に変わっている。
そんな服こそ、長く付き合える一枚なのだと思う。
A VONTADE SURFKNIT POLO SS。
無骨な中にも、品がある。
ポロシャツらしい端正さを残しながら、どこかミリタリーを感じさせる。
気負わず着られて、それでもちゃんと格好いい。
日常の中で袖を通すほど、その良さが伝わってくるポロシャツだと思う。
都内在住、53歳。
町セレクトショップオーナー。
最近、高円寺に洒落たスタンドコーヒーの店が増えた。
以前は、ちょっとコーヒーでも飲んで休憩しようと思ったら、駅前の大手コーヒー店まで戻るしかなかった。
うちの店でも、買い物途中のお客さんから、そんな話をよく聞いたものだ。
店を何軒か回って、気になる服があって、ちょっと休憩して考えようと駅前まで戻る。
コーヒーを飲みながら、
「あっちも良かったな」
「でも、こっちも気になるな」
なんて考えているうちに、だんだん面倒になって、そのまま帰ってしまった。
店をやっている側からすると笑えない話だが、まあ、気持ちは分かる。
だが今は違う。
店の周りにも、気軽にコーヒーを飲める場所がずいぶん増えた。
これは本当に助かる。
買い物の途中で少し休んで、また街を歩く。
そんなことが、ようやく高円寺でも自然にできるようになった。
その中に、一軒、前から気になっていた店があり、ある日、ふらっと入ってみた。
若い店員さんがいて、店内には洒落た海外のファッション誌なんかも置いてある。
高円寺といえば、ビールケースをひっくり返してテーブルにしたような焼き鳥屋や、昭和の空気がそのまま残ったローカルな大衆店。
もちろん、自分はそういう店が大好きで、店をこの町でやろうと思った理由は、その雰囲気が好きだったからだ。
ただ最近は、そこに新しい感性を持った若い人たちの店が少しずつ混ざり始めた。
昔からある昭和の高円寺と、今の若い人たちが持ち込む新しい空気。
どちらかが消えるのではなく、同じ街の中に普通に存在している。
この感じが、なんだか新鮮だ。
高円寺も変わったな。
そんなことを思いながら、店員さんおすすめのホットコーヒーを飲んだ。
飲み終えて、自分の店へ戻ろうとする。
そのコーヒーのせいなのか。
それとも、高円寺では普段あまり味わわない新しい空気に、少し刺激を受けたせいなのか。
少し熱を感じ、暑くなった。
そこで、着ていたロンTの袖を外す。
そう。
このMODMNT DETACHABLE L/S TEEは、袖が取れる。
もちろん、着心地もいい。
サイズ感もいい。
ただ、自分がこの服を買った理由は、それだけじゃない。
正直に言えば、この少しオーバースペックぎりぎりな感じに惹かれた。
袖を取り外せるようにするために、わざわざボタンを付ける。
その分、手間もかかる。
反ブレのリスクもある。
普通に考えれば、コストも上がる。
そこまでして、本当にやるのか。
たぶん、多くの人はやらない。
でも、MODMNTはやった。
効率や採算を考えれば、どこかで削られてもおかしくないデザインを、そのまま製品にしてしまった。
その心意気に惹かれた。
もう何十年もアパレルの仕事をしている。
服なんて、嫌というほど見てきた。
だから、ちょっとやそっとのことではテンションは上がらない。
それが、こいつには単純に上がった。
面白い。
着てみたい。
久しぶりに、そう思った。
袖を外していると、若い店員さんがこちらを見て言った。
「それ、なんていうブランドですか?」
一瞬、少しだけ間があった。
「ああ、MODMNTっていうブランドです」
そう答えながら、内心ちょっと嬉しかった。
53歳。
何十年も服を見てきて、最近はそう簡単にテンションも上がらない。
それでも、自分が面白いと思って選んだ服に、若い世代が反応する。
店を出ながら、ふと思った。
まだ、俺の感性も捨てたもんじゃないかな。
袖を外したロンTで、またいつもの店へ戻る。
仕事の続きが待っている。
高円寺の街も変わっていく。
自分も歳を取っていく。
でも、新しいものを面白いと思えるうちは、まだ大丈夫そうだ。
これからもブレイクしていく、俺はB-BOYだ。
ーEND-
夏になると、ショーツを穿きたくなる。
涼しくて、楽で、暑さに対して正直な服だ。
でも、年齢を重ねるほど難しくなる服でもある。
丈が短すぎれば幼く見え、太すぎれば野暮ったくなる。
機能素材に寄りすぎればスポーツウェアに見え、リラックスさせすぎれば部屋着に近づく。
正直、大人が街で普通に穿けるショーツは、思っているほど多くない。
だから僕は、ショーツを見る時、単純に「涼しそう」とか「楽そう」というだけでは選ばない。
丈、腿まわりの空間、横への広がり、生地の落ち方。
その全部が重なって、穿いた時のバランスになる。
PT11262を見た時、面白いと思ったのは、その難しい場所をきちんと狙っていることだった。
軽くて、涼しくて、楽であること。
その上で、ちゃんと街で穿けること。
この一本は、その両方を同じ場所で成立させようとしている。
使用しているのは、ナイロン85%、ポリウレタン15%の軽量素材。
手に取った瞬間に分かるほど薄く、軽い。
伸縮性があり、乾きやすく、シワにもなりにくい。
真夏の街歩きはもちろん、湿度の高い日や旅行の長時間移動まで、夏に欲しい機能はかなり揃っている。
でも僕が惹かれたのは、スペックだけじゃない。
これだけ軽いのに、軽く見えない。
いかにもナイロンという光沢を抑えた、マットな表情。
薄いのに適度なハリがあり、身体にまとわりつかず、穿いた時の輪郭がちゃんと残る。
実際、この軽さとシルエットを両立するのは簡単ではない。
軽量素材は、軽さそのものが魅力になる。
でも、薄く柔らかくなればなるほど身体の線を拾いやすくなり、穿いた時の形も曖昧になりやすい。
逆に、輪郭を残そうとすれば、生地に厚みや硬さが必要になる。
PT11262は、軽さを保ったまま、穿いた時の輪郭を残している。
手に持てば驚くほど軽い。
でも穿くと、ショーツとしての形が残る。
この「軽さ」と「輪郭」の両立が、PT11262の大きな魅力だと思う。
全体にほどよくゆとりを持たせた膝上丈。
腿まわりには空間がある。
でも、横に広がりすぎない。
短いのに幼く見えず、ゆとりがあるのに野暮ったく見えない。
薄手で軽い生地に適度なハリがあるから、穿いた時の形が崩れにくい。
結局、大人がショーツを穿く時に難しいのは、この比率だと思う。
単純に丈を長くすれば、大人っぽくなるわけではない。
細くすれば上品になるわけでもなく、太くすれば今の空気が出るわけでもない。
丈と幅。
腿まわりの空間。
裾への広がり方。
そこに、生地のハリと落ち方が重なる。
Tシャツ一枚でも成立する。
半袖シャツを合わせても子供っぽくならない。
サマーニットを合わせれば、ちゃんと品も出る。
ラフさを残したまま、比率で大人っぽさを整えている。
そして、この膝上丈が成立しているのは、寸法だけではなく、生地まで含めてバランスが取られているからだと思う。
フロントには、縦へ走る一本のステッチが入る。
大きな装飾ではないし、強いデザインでもない。
でも、これが効いている。
ラフなナイロンショーツに縦の意識が生まれ、目線が上下に流れることで、フロントの見え方が少し端正になる。
ポケットを増やす。切り替えを複雑にする。
ディテールを足して、分かりやすく個性を作る。
そういう方法ではなく、線を一本加えるだけで服の空気を変える。
しかも、その一本の線が「デザインしました」という顔をしていない。
普通に見える。
でも、穿くと確かに違う。
ショーツは、構成がシンプルな服だ。
だからこそ、一本の線が効く。
何かを大きく変えるのではなく、小さな設計で見え方を整える。
このフロントステッチは、単なる装飾ではなく、ラフなショーツの見え方を静かに整える一本だと思う。
さらに左側には、スマートフォンがちょうど収まるサイズのポケットが配置されている。
これも、今の生活を考えればかなり合理的だと思う。
スマートフォンを持たずに外へ出ることは、ほとんどない。
でも、薄い生地は収納物の影響を受けやすい。
大きなポケットに無造作に入れれば中で動き、歩くたびに揺れ、シルエットも崩れる。
だったら、最初から居場所を作る。
専用のスペースに収めることで、スマートフォンが必要以上に動きにくい。
機能を目立たせるのではなく、今の生活に必要なものを自然に服の中へ収める。
僕は、こういうディテールに現実味を感じる。
服は、ハンガーに掛かっている時間より、着て生活している時間の方が長い。
歩き、座り、電車に乗り、店に入り、スマートフォンを取り出す。
服は、そういう日常の動きの中で使われる。
デザインとして目立つかどうかではなく、実際の生活の中でどう機能するか。
このポケットは、穿いて過ごす時間まで考えられたディテールだと思う。
ウエストはゴム仕様で、ベルトループは付けず、スピンドルで調整するイージー設計。
薄く、軽く、伸縮性があり、乾きやすく、シワにもなりにくい。
スペックだけ見れば、高機能な夏のショーツだ。
でも、穿いた時に最初に伝わるのは、機能ではない。
シルエットの良さだと思う。
快適さのために、格好良さを諦めない。
格好良く見せるために、我慢もしない。
若い頃は、夏でも無理ができた。
暑くても、穿きたいパンツを穿く。
重くても、好きな服を選ぶ。
多少の不快さより、格好良さを優先する。
でも、年齢を重ねると、そういう我慢を格好いいとは思わなくなった。
だからといって、楽なら何でもいいわけでもない。
涼しいから穿く。
軽いから穿く。
楽だから穿く。
それだけで服を選びたいわけではない。
真夏に無理をせず、それでも格好良さを諦めない。
短パンが子供っぽいのではない。
結局、難しいのは、快適さと格好良さの間にあるバランスなんだと思う。
涼しくて、軽くて、楽であること。
それでも、街で穿いた時にちゃんと大人の服に見えること。
年齢を重ねた今は、そんなショーツが一番しっくりくる気がしている。
>
夏になれば、結局Tシャツを着る。
毎年そうだ。
どれだけ服を持っていても、暑くなれば手が伸びるのはTシャツ。
だからこそ僕は、Tシャツほど難しい服はないと思っている。
形を大きく変えれば、デザインになる。
サイズを大きくすれば、それだけで今の空気も作れる。
グラフィックを載せれば、分かりやすい個性も出せる。
もちろん、それもTシャツの面白さだと思う。
でも僕が惹かれるのは、そういう分かりやすい変化とは別の場所で、ちゃんと違いを作っている一枚だ。
いつもの日常の中に置ける。普通に着られる。
でも、よく見ると違う。着ると、もっと違う。
CS02262を見た時、面白いと思ったのはまさにそこだった。
素材は、コットンをベースにレーヨンと少量のシルクをブレンドした天竺。
コットンネップとシルクネップが混ざり合うことで、生地表面が均一にならない。
細かなネップが点在し、無地なのに、のっぺりしない。
近くで見ると、糸そのものの存在がちゃんと感じられる。
僕は、こういう生地が好きだ。
プリントで表情を作るのではない。加工で無理に雰囲気を作るのでもない。
素材そのものが、服の顔になっている。
ただ、もしこれが単純に粗くて、ヴィンテージっぽくて、ラフなだけなら、僕はここまで惹かれていない。
このTシャツの面白さは、その先にある。
見た目には、ラフなネップ感がある。でも着ると、柔らかく自然に落ちる。
ネップの持つ素朴な表情がありながら、レーヨンとシルクを含んだ生地には、しなやかな動きがある。
ラフなのに、雑には見えない。柔らかいのに、綺麗すぎない。
この相反するバランスがいい。
もう一つ、地味だけど効いている話がある。
肩線を後ろ身頃側へ逃がしている。
正面から見た時、余計な線が減り、フロントが静かになる。
言葉にすると、それだけのことに聞こえる。
でも、Tシャツのように構成がシンプルな服ほど、一本の線が見え方を変える。
何かを加えて存在感を作るのではなく、見える場所から線を逃がすことで、佇まいを整える。
こういう「主張しない設計」ほど、実は手が込んでいる。
しかも、その設計が前に出てこない。
「ここを変えました」と主張するのではなく、着た時の佇まいの中に消えている。
だから一見すると自然だ。
でも、その自然さは、何もしていない自然さではない。
考えた末の自然さだと思う。
生地の表情がある。着た時の落ち感がある。線の位置にまで理由がある。
その一つ一つが前に出るのではなく、全部が重なって、一枚で着た時の佇まいになる。
僕は、ここがかなり好きだ。
今回の着用では、同じSTILL BY HANDのナイロンショーツと合わせてみた。
同じブランド。同じ色の方向。でも、素材の性格はまったく違う。
ネップ感のあるコットンシルク天竺と、無機質で軽いナイロン。
色を増やして変化をつけるのではなく、素材の差で奥行きを作る。
同色だからこそ、その違いが見えてくる。
コットンシルク天竺の柔らかな表情。ナイロンの乾いた軽さ。
同じ色の方向に置きながら、素材の性格だけをずらす。
この良い意味での違和感が、僕は好きだ。
CS02262自体に表情があるからこそ、こういう合わせ方が成立すると思っている。
もちろん、軍パンやデニムに合わせてもいい。
ネップ感のある生地が、無骨なボトムと自然につながる。
でも、柔らかな落ち感があるから、全体がラフになりすぎない。綺麗になりすぎない。
その間にいる。
合わせるボトムが変われば、このTシャツの見え方も変わる。
それもまた、無地でありながら素材に表情を持たせた一枚の面白さだと思う。
夏になれば、結局またTシャツを着る。
だからこそ僕は、何でもいいとは思わない。
一枚で着る季節だからこそ、生地が見える。線が見える。落ち方が見える。
形を大きく変えなくてもいい。サイズだけで、今の空気を作らなくてもいい。グラフィックを載せなくてもいい。
ネップの表情。柔らかな落ち感。後ろへ逃がした肩線。
一つ一つは、決して大げさなデザインではない。
でも、その小さな違いが重なった時、一枚で着た時の佇まいが変わる。
無地なのに、表情がある。派手ではない。
でも、着れば確かに違う。
夏に一枚で着るTシャツだからこそ、僕はこういう違いを選びたい。
デニムは好きだ。
穿き込むほどに増していく表情。
色が落ち、アタリが生まれ、少しずつ自分のものになっていく。
Tシャツ一枚に合わせるだけで、スタイルが決まる。
何年服を見てきても、やっぱりデニムは格好いいと思う。
でも、真夏となると話は変わる。
暑い。重い。肌にまとわりつく。
朝、デニムを穿こうと思っても、外の気温を見てやめる。
僕自身、そんな日は何度もある。
だから、このDN01262を初めて手にした時は驚いた。
軽い。とにかく、驚くほど軽い。
一般的なデニムが13〜14オンス前後。
このパンツは、わずか5.5オンス。半分以下だ。
数字だけ見ても軽い。
でも、実際に手に取ると、その数字以上に驚く。
薄い。軽い。しなやか。
デニムとは思えないほど軽やかに、身体へ馴染む。
これは「夏でも我慢すれば穿けるデニム」ではない。
真夏に、積極的に穿きたくなるデニムだ。
ただ薄いだけなら、話は簡単だと思う。
でも、デニムは軽くすればそれで良いわけではない。
僕がデニムに求めるのは、あの独特の表情だ。
Tシャツ一枚でもスタイルが成立する、生地そのものの存在感。
真夏に穿けるほど軽くても、その魅力まで薄くなってしまったら意味がない。
DN01262には、ちゃんとデニムの空気がある。
ライトオンスだからこその軽やかさ。
それでいて、デニムという素材が持つワークの匂いも残っている。
真夏は、どうしてもスタイリングが単純になる。
Tシャツ。シャツ。そしてパンツ。
使えるアイテムが少なくなるからこそ、パンツの表情が全体を大きく左右する。
そんな季節に、デニムはやっぱり強い。
デニムの存在感と、真夏の快適さ。
その二つを、5.5オンスという生地が成立させている。
ただ、このパンツの凄さは軽さだけではない。
むしろ、ここからがSTILL BY HANDらしい。
シルエットは全体的にややゆったり。
腰まわりから腿にかけて自然なゆとりを持たせ、裾に向かって軽くテーパードしている。
フロントには、通常よりも小さなワンタック。
大きなタックで腰まわりのボリュームを強調するわけではない。
かといって、フラットに仕上げるわけでもない。
ほんの少しだけ、タックを入れる。
そのわずかな分量で、腰まわりに必要な立体感を作る。
ゆったりしている。でも、野暮ったくない。
リラックスして穿ける。でも、ルーズには見えない。
僕は、こういう「少し」の調整にデザイナーのセンスが出ると思っている。
大きく変えるのは、ある意味わかりやすい。
でも、ほんの少しだけタックを小さくする。
その結果、穿いた時の見え方を変える。
こういう仕事は、一目では伝わりにくい。
でも、服が好きな人ほど反応してしまう。
右脇には、ペインターパンツを思わせるサイドポケット。
ライトデニムという素材にワークウェアの空気を加えている。
ヒップポケットの上には、小さなタック。
このタックでヒップまわりのシルエットを調整し、自然な立体感を作っている。
さらに面白いのが、ヒップポケットそのものの配置だ。
ポケットを脇線へ流し込むように縫製することで、左右のヒップポケットを少し外側へ。
両サイド寄りに配置している。
ほんの少し、位置が違う。ほんの少し、構造が違う。
でも、そのわずかなズレによって、後ろ姿の印象が変わる。
「なんか良い。」
そう思って、もう一度見る。
そこで初めて、ポケットの位置に気付く。タックに気付く。脇線へ流れ込む構造に気付く。
知った瞬間、後ろ姿の見え方が変わる。
5.5オンスのライトデニム。小さなワンタック。ペインターパンツを思わせるサイドポケット。ヒップ上の小さなタック。両サイド寄りに配置された独特のヒップポケット。
一つひとつを見れば、どこかワークウェアの空気がある。
でも、完成したパンツは洗練されている。
ワークの匂いを消して、綺麗にまとめたわけではない。
ワークの空気は、ちゃんと残す。
でも、野暮ったさには着地させない。
その間にある絶妙な場所へ持っていく。
バイヤーとして長く服を見てきたけれど、こういうバランスは簡単には作れないと思う。
真夏だから、デニムを諦める。
そんな必要はもうない。
強い日差しの下。Tシャツ一枚で街を歩く。
その足元には、驚くほど軽い5.5オンスのデニム。
その軽さ、デニムの常識外。
5.5オンスで迎える、真夏の太陽。
[
Tシャツほど、デザイナーのセンスが出る服はないと思う。
使える要素が少ないからだ。
襟で見せることもできない。
ジャケットのように構築的なデザインで魅せることもできない。
基本は、生地と身頃と袖。
だからこそ、何を選び、どう組み合わせ、どこを少しだけ動かすか。
そのわずかな差に、ブランドの力量が出る。
このCS06262を見た時、僕は改めて思った。
STILL BY HANDは、やっぱり上手い。
生地には、ハイゲージで編み立てたコットン100%の天竺素材を使用している。
目の細かな表面には、上品な光沢。
肌に触れると滑らかで、柔らかさの中には適度なハリもある。
一枚で着ても身体のラインを拾い過ぎず、自然に綺麗なシルエットを作ってくれる。
カジュアルなコットンTシャツなのに、どこか品がある。
ラフに着ても、ラフになり過ぎない。
ここまでなら、よく出来た上品なTシャツだ。
でも、STILL BY HANDはそこで終わらせない。
この綺麗な生地に、あえてラグランスリーブを組み合わせた。
ラグランスリーブと聞くと、僕はまずスポーツウェアやスウェットを思い浮かべる。
肩の動きを妨げにくい構造。
斜めに走る切り替え。
どこかラフで、スポーティーな空気。
一方、このTシャツに使われているのは、上品な光沢と滑らかさを持つハイゲージ天竺だ。
上品な生地。スポーティーなラグラン。
普通なら、どちらかに寄せると思う。
綺麗に見せたいなら、全体を綺麗にまとめる。
スポーティーに見せたいなら、そちらへ振る。
でも、STILL BY HANDは揃えない。あえて、ずらす。
異なる空気を持つ二つの要素を組み合わせ、その間に生まれるわずかな違和感を、一着の魅力に変えてしまう。
僕は、こういうデザインが好きだ。
一目でわかる派手な仕掛けではない。
でも、見れば見るほど「なぜか良い」と感じる。
その理由を探していくと、ちゃんとデザイナーの意図に辿り着く。
このTシャツには、それがある。
通常、ラグランスリーブなら前も後ろも、肩から脇へ斜めに切り替えが入る。
でも、このTシャツは違う。
前から見ればラグラン。
後ろから見れば、まるでセットインスリーブ。
一着の中に、二つの異なる袖付けの表情を共存させている。
最初に見た時、僕も一瞬引っかかった。
「なんか違う。」
でも、その違和感の正体がすぐにはわからない。
もう一度見る。
そこで初めて、後ろの切り替えに気付く。
これが面白い。
大げさに主張しない。
説明されなければ、気付かない人もいるかもしれない。
でも、服が好きな人ほど、こういう小さな違和感に反応してしまう。
そして構造に気付いた瞬間、ただの無地Tシャツだったものが、全く違って見えてくる。
Tシャツ一枚でここまで考えるブランドは、そう多くない。
大きなロゴもない。派手な配色もない。奇抜なシルエットでもない。
それでも、普通の無地Tシャツでは終わらない。
何を選ぶか。何と組み合わせるか。どこを揃え、どこをずらすか。
その積み重ねが、一着の完成度を変えていく。
シンプルな服ほど、誤魔化しは利かない。
使える要素が少ないからこそ、デザイナーの判断そのものが服に出る。
上品なハイゲージ天竺に、スポーティーなラグラン。
前はラグランなのに、後ろはセットインに見える。
普通なら揃えるところを、あえてずらす。
しかも、その違和感を見せつけない。
何事もなかったかのように、一枚のTシャツとして成立させる。
そこに、STILL BY HANDの凄さがあると思う。
一目では伝わらない。
でも、知れば知るほど面白い。
着れば着るほど、そのバランスの良さがわかってくる。
シンプルに見えて、全くシンプルではない。
感じ取れますか?
細部に宿る、卓越したセンスを。
このパンツを初めて穿いた時、一番驚いたのは軽さでした。
とにかく軽い。
でも、それ以上に印象に残ったことがあります。
「イージーパンツらしく見えない。」
その違和感でした。
ウエストはゴム仕様。
穿き心地は驚くほど楽です。
それなのに、鏡に映る姿はどこか品がある。
快適さだけでは終わらない。
それが、このパンツでした。
夏になると、快適なパンツはたくさんあります。
でも、その多くは快適さを優先するあまり、どうしてもラフな印象になってしまいます。
このパンツは違います。
ヒップと腿に程よくゆとりを持たせ、裾へ向かって自然にテーパードするシルエット。
リラックスした穿き心地でありながら、穿いた姿はどこまでも上品です。
本来なら相反するはずの快適さと品の良さ。
その二つを、ごく自然に成立させています。
生地にはナイロンとポリウレタンを使用。
驚くほど軽く、速乾性に優れ、適度なストレッチ性も備えています。
さらにシワになりにくく、毎日の着用はもちろん、旅行でも気兼ねなく穿ける扱いやすさも魅力です。
それでいて、光沢は控えめ。
ナイロンらしさを主張し過ぎないからこそ、街にも自然と馴染みます。
派手な機能素材ではありません。
快適さを、語りすぎない。
でも、一日穿けば、その心地良さは自然と伝わってきます。
穿く人だけが、その良さを実感できる。
そんな誠実な生地です。
夏のパンツに快適さを求めるのは当たり前です。
でも、それだけでは毎日穿きたくなる一本にはなりません。
楽なのに、だらしなく見えない。
ナイロンなのに、スポーティーじゃない。
快適さと品の両立。
その難しい答えを、当たり前のように形にしてしまう。
この一本には、STILL BY HANDというブランドらしさが詰まっています。
このシャツを初めて見た時、正直「よく出来たシンプルなシャツ」くらいにしか思っていませんでした。
レギュラーカラーの半袖シャツ。
一見すると、ごく普通です。
でも、それは違いました。
見るほどに、「普通じゃない」が見えてくる。
普通に見えてしまうほど、徹底的に作り込まれている。
それが、このシャツでした。
ドレスシャツのような上品さ。
ワークシャツのような無骨さ。
本来なら交わることのない二つの要素が、このシャツでは驚くほど自然に共存しています。
レギュラーカラー。
裏前立て。
ペン差し付きポケット。
どれも特別なディテールではありません。
しかし、その一つひとつの配置やバランスが絶妙だからこそ、普通ではない空気感が生まれています。
本来なら違和感になるはずなのに、不思議なくらい自然。
デザインを主張するのではなく、気付かせない。
それこそが、STILL BY HANDというブランドの美学です。
生地には、コットン100%のブロードへ後加工を施した別注素材を採用。
コットンとは思えないほどドライなタッチで、汗ばむ季節でも肌離れが良く、さらりとした着心地が続きます。
それでいて、ブロードらしい上品な光沢はしっかり残している。
派手な機能素材ではありません。
快適さを、語りすぎない。
でも、一日着れば、その心地良さは自然と伝わってきます。
着る人だけが、その良さを実感できる。
そんな誠実な生地です。
シンプルなシャツほど、ごまかしは効きません。
生地。
縫製。
パターン。
ディテール。
そのすべてが、そのまま完成度として表れます。
だからこそ、「普通に見えるシャツ」を作ることは、とても難しい。
このシャツには、その難しいことを当たり前のようにやってしまうSTILL BY HANDの技術と美意識が詰まっています。
普通に見える。
だから見過ごしてしまう。
でも、その普通は、徹底的に作り込まれた普通でした。
普通を、ここまで作り込めるブランドは多くありません。
服好きの直感が、正しかったと証明してくれる一着です。
中野区在住 34歳 会社員
洋服は、いつもLAMPAで買っている。
最初に通うきっかけになったのは、STILL BY HANDだった。
きれいめで、どこか品のある服。
その空気感が好きで、気付けば自然と足を運ぶようになっていた。
でも最近、少しだけ気持ちが変わってきた。
「アメカジも、なんか良いな。」
そう思うようになった。
ただ、いきなり古着は少しハードルが高い。
新品でも、あまりにもヴィンテージ感が強いものは自分には少し違う。
そんな曖昧な感覚を、そのまま遠山さんに話してみた。
色々試着して、最後に残ったのがA VONTADEだった。
今回選んだのは、7.5OZ POCKET T-SHIRTSとDRAWSTRING CARGO EASY。
男っぽい雰囲気はある。
でも、わざと古着のように見せるUSED加工やダメージ加工はしていない。
どこか品もある。
その絶妙なバランスが、今の自分にはしっくりきた。
そして、この服はここからが面白い。
着込んでいくことで、自分だけの表情になっていく。
新品を完成品として着るのではなく、自分で育てていく服。
そんな楽しみ方は、今まで知らなかった。
試着しながら聞いた話も印象に残っている。
今どきのTシャツは、どこのブランドも首がヨレないように作っている。
でもA VONTADEは違う。
あえて少しだけヨレるように作っているらしい。
着込んだ時の、あのクタっとした雰囲気が格好良いから。
さらに聞いた話が面白かった。
昔のドルチェ&ガッバーナのランウェイでは、出番直前にデザイナー自らモデルのTシャツの首元を引っ張って、わざとヨレさせていたそうだ。
新品なのに、着込んだような自然な表情を作るために。
なるほど。
そういう美意識があるのか。
服って、背景を知るともっと面白くなる。
もっと意外だったのは、その後だった。
「まだアメカジって全然知らないんですよ。」
そう話すと、
「だったら他の店も見てきたら?」
そう言って、おすすめのショップを教えてくれた。
もちろん、A VONTADEを着て。
行ってみると、LAMPAとはまったく違う世界だった。
ガチガチのアメリカ。
言われなかったら、多分一生入らなかったと思う。
でも、店主と話をして、また違うアメカジの考え方に触れることができた。
いや、面白い。
服って、一着買って終わりじゃない。
そこから知らない世界が、どんどん広がっていく。
STILL BY HANDが嫌いになったわけじゃない。
今でも大好きだ。
ただ、自分の好きな範囲が広がった。
それだけのこと。
でも、それがすごく嬉しい。
しかし、これは財布に響く。
これでしばらく、カップ麺のお世話になってしまうなぁ。
まっ、それで心の胃袋が満たされるなら、それでいいか。
さぁ、明日から仕事頑張ろう。
スラックスには、独特の品があります。
穿くだけで自然と背筋が伸びるような空気がある。
だからこそ、仕事やフォーマルな場面で穿くもの。
そんなイメージを持っている人も多いと思います。
でも、このパンツは少し違います。
STILL BY HANDが目指したのは、スラックスをもっとファッションとして楽しめる一本。
品の良さはそのままに、もっと気軽に、もっと日常へ。
その考え方が、この強撚テーパードパンツのすべてに貫かれています。
ウエストはゴム仕様。
穿いた瞬間から、余計なストレスがありません。
それでいて、深めのタックとセンターシームが生み出す表情は端正そのもの。
ヒップから腿にかけてゆったりと取り、裾へ向かって自然に絞れるテーパードシルエット。
リラックスした穿き心地なのに、どこかスラックスらしい品を感じる。
この絶妙なバランスこそ、このパンツ最大の魅力です。
生地には、強撚のポリエステル素材を使用。
強く撚りを掛けた糸が生む、シャリっとしたドライな肌触り。
軽く、シワになりにくく、速乾性にも優れています。
汗ばむ季節でも肌に張り付きにくく、さらっとした穿き心地が続く。
機能として説明することはできます。
でも、本当に良いところはそこではありません。
穿いて初めて、「なんか快適だな」と感じる。
その自然さこそが、このパンツの正しい在り方です。
深めのタックは、このパンツを象徴するデザインアクセント。
さらにサイドには、ポケットを兼ねたタックを配置しています。
ポケットへ手を入れると、まるでタックの中へ手を差し込んでいるように見える。
ほんの少し視点を変えるだけ。
それだけで、何気ない動作までデザインになる。
STILL BY HANDの服は、大きなデザインで驚かせるブランドではありません。
こうした細かな工夫を積み重ねることで、その服らしさを作り上げています。
派手なデザインではない。
目を引く装飾もない。
それでも、穿けば穿くほど良さが伝わってくる。
その理由は、一つひとつの細かな工夫にあります。
こうした積み重ねが、LAMPAがSTILL BY HANDをセレクトしている理由です。
派手さではなく、積み重ねで魅せる。
このパンツは、STILL BY HANDというブランドらしさを、存分に味わえる一本です。
服には二種類ある。
一目で「凄い」と思わせる服。
そして、見れば見るほど「凄い」と気付く服。
このシャツは、間違いなく後者だ。
色も落ち着いている。
シルエットもベーシック。
一見すると、ごく普通の半袖オープンカラーシャツ。
だけど、近くで見た瞬間に印象が変わる。
「なんだ、この生地。」
そう思わずにはいられない。
普通に見えてしまうほど、徹底的に作り込まれている。
そんなSTILL BY HANDらしさが、この一着には詰まっている。
まず、このシャツで一番目を惹くのは生地。
機屋のアーカイブに残るテクニックを用いて、STILL BY HANDが一から別注で製作したオリジナルファブリックだ。
生地全体にランダムに走るピンタック。
プリントでも織り柄でもない。
生地そのものに立体感を与えることで、光の当たり方や動きによって豊かな表情が生まれる。
派手ではない。
華やかでもない。
それでも自然と目が止まってしまう。
無地には出せない奥行きと存在感。
このブランドらしい、静かな個性を感じさせてくれる生地だ。
見た目だけではない。
着ると、さらに驚く。
素材はレーヨン、ナイロン、ポリウレタンの混紡。
適度なシボ感を持ったドライタッチな質感で、肌離れがとても良い。
そして驚くほど軽い。
汗ばむ季節でも肌に張り付きにくく、風が抜けるような快適な着心地。
袖を通した瞬間に「これなら真夏でも着たい」と思えるシャツだ。
存在感のある生地なのに、着心地は驚くほど軽快。
このギャップが、このシャツのもう一つの顔だ。
STILL BY HANDの服は、デザインを足して目立たせるブランドではない。
違和感を、自然に仕込むブランドだ。
このシャツもそう。
胸ポケットは、丸みを帯びたフラップ。
対してポケット本体は四角いマチ付きのパッチポケット。
普通ならどちらかに揃える。
でも、このブランドはあえて揃えない。
言われなければ気付かない。
だけど、一度気付くと妙に心地良い。
「なんか良い。」
そんな感覚を生み出すデザインが、本当に上手い。
背面も抜かりない。
一般的なヨークタックではなく、センターのみにタックを配置した珍しい仕様。
この一手間だけで、自然な立体感と程良いゆとりが生まれる。
派手なデザインではない。
でも、後ろ姿まで美しく見える。
シンプルだからこそ、小さな違いが大きな違いになる。
そんなことを改めて感じさせてくれる。
デザインを足すのではなく、違和感を仕込む。
生地で魅せ、着心地で納得させ、細部で惹き込む。
それがSTILL BY HANDというブランドのものづくりだ。
別注ピンタック生地。
絶妙な違和感を生む非対称のポケット。
立体感を生むセンタータック。
そして真夏でも快適に着られる驚きの軽さ。
どれも派手ではない。
だからこそ、長く着るほど、この服の完成度の高さが伝わってくる。
服好きほど、知れば知るほど惹かれてしまう。
このシャツは、STILL BY HANDというブランドを最もSTILL BY HANDらしく表現した一着だと思う。
都内在住、53歳。
町中華ならぬ、町セレクトショップ店主。
アパレル業界には、年に何度か展示会がある。
ブランドが次のシーズンのコレクションを発表し、全国のセレクトショップのバイヤーが集まってオーダーを入れる。
中目黒や原宿を中心に開かれることが多いが、会場はたいてい駅から少し離れたギャラリーだ。
だから展示会の日は、普段あまり歩かない道を歩くことになる。
そして、そういう日に限って思いがけない店と出会う。
今回もそうだった。
次のアポイントまで、少し時間があった。
見慣れない路地を折れたとき、雰囲気のいいレコード屋が目に入った。
「少しだけ。」
そんな気持ちで扉を開けた。
一歩足を踏み入れた瞬間だった。
店内に流れる音。
棚に並ぶレコード。
その空気を吸った瞬間、昔の自分が一気によみがえった。
ジャケットやトップスはRALPH LAUREN、ARMANI、DKNY。
GUESSやBANANA REPUBLICのパンツ。
首にはCOBYのヘッドホンをぶら下げて、夢中でレコードを掘っていた30年前。
もう何十年もDJはやっていない。
レコードも、ずっと買っていなかった。
それなのに、あの頃の空気だけは一瞬で戻ってきた。
今日着ているのは、BRENA BLAZEのLAMPA別注シャツに、MOUT RECON TAILORのSUMMERWEIGHT FIELD PANT。
あの頃はNYスタイルに憧れて、NYヒップホップのファッションをそのまま真似ていた。
でも今は違う。
誰かの真似じゃない、自分流のスタイルがある。
服は変わった。
着方も変わった。
でも、自分の中にある考え方も、価値観も、何ひとつ変わっていなかった。
自分の芯にあるもの。
それは今でも、HIPHOPだ。
ふと顔を上げると、店の奥にオリジナルのTシャツが並んでいた。
何気なくプリントに目をやった瞬間、足が止まった。
“HOW MANY SHOPS MUST GET DISSED?”
BLACK MOONの名曲、
“HOW MANY MC’S MUST GET DISSED?”
そのサンプリングだった。
このフレーズは、自分もオリジナルTシャツに使おうと、ずっと温めていた言葉だった。
まさか先を越されるとは。
それも、こんな路地の奥のレコード屋で。
悔しいというより、純粋に嬉しかった。
同じ場所に辿り着いた人間が、この街のどこかにいる。
興奮のボルテージは、一気にMAXまで上がった。
気づけばレコードを10枚抱えて、店を出ていた。
レコードは、決して軽い荷物じゃない。
しかも、このあとも展示会は何件も残っている。
普通に考えたら、買うタイミングじゃない。
でも、不思議と後悔はなかった。
レコードを抱えながら歩く街は、少しだけ違って見えた。
展示会へ向かうために歩いていたはずの道。
ただ次の予定へ移動していただけの時間。
その途中で、30年前の自分と偶然出会った。
街は、こういうことを時々起こす。
目的地だけを見ていたら、たぶん何も起きなかった。
少し時間が余った。
知らない路地を曲がった。
気になる店があった。
ただ、それだけだった。
でも、その偶然が止まっていた自分のBPMを、もう一度動かした。
……とはいえ、レコード10枚は少し張り切り過ぎた。
やっぱり重い。
まぁ、こんな日があってもいいよな。
そう思いながら、次の展示会へ向かった。
• • •
ー END ー
最近は、本当に快適なパンツが増えた。
ストレッチが効いている。
軽い。
動きやすい。
ウエストはゴム。
昔に比べれば、信じられないくらい快適だ。
それ自体は、とても良いことだと思う。
実際、僕自身も快適な服は好きだ。
ただ、その一方で思うことがある。
快適なパンツは増えた。
でも、格好良いパンツは意外と増えていない。
快適さを優先した結果、どこかスポーティーになりすぎてしまったり、リラックス感が強くなりすぎてしまったり。
もちろん、それが悪いわけではない。
ただ、自分が穿きたいと思うパンツとは少し違う。
そんなことを感じる時がある。
STILL BY HANDのワンタックジャージースラックス CS06261は、その感覚に対するひとつの答えだと思う。
このパンツを穿いて、最初に思ったのはそれだった。
正直、スポーツブランドのジャージーパンツを穿いているような感覚だ。
柔らかい。
動きやすい。
ストレッチも効いている。
さらに、ウエストはゴムを採用したイージー仕様。
穿き心地だけで言えば、本当に快適だ。
でも、鏡を見ると少し違う。
そこにあるのは、ジャージーパンツではない。
むしろ、都会的で洗練されたスラックスのような雰囲気。
このギャップが本当に面白い。
身体が感じているのは、ジャージーパンツのような気軽さ。
でも、目に映るのはスラックス。
快適さと見た目。
普通なら、どちらかを優先しそうなものだ。
このパンツは、その両方を自然に成立させている。
素材には、強撚のコットンジャージーを使用している。
ジャージー素材と聞くと、柔らかくカジュアルなイメージを持つ人も多いと思う。
でも、この生地は少し違う。
糸を強く撚ることで、適度なハリとコシを持たせている。
柔らかいのに、輪郭がある。
伸びるのに、だらしなく見えない。
快適なのに、品が残る。
この絶妙なバランスが、パンツ全体の空気を作っている。
面白いのは、その快適さを前面に押し出していないことだ。
世の中には、「楽ですよ」と主張するパンツがたくさんある。
ストレッチ。
イージー仕様。
軽量。
そうした機能が、そのまま服の見た目に現れているものも少なくない。
でも、このパンツは違う。
まず目に入るのは、シルエット。
そして、スラックスのような品のある雰囲気。
快適さは、穿いてから気付く。
その順番が良い。
このパンツの面白さは、シルエットにもある。
深めに入ったワンタック。
そして、そのタックの中へ隠れるように配置されたポケット。
前から見ると、比較的すっきりしている。
でも、横から見ると印象が変わる。
ヒップから腿まわりにかけて、程良いボリュームが現れる。
身体の線をそのまま拾うのではなく、服として立体的な輪郭を作る。
ここが上手い。
派手ではない。
でも、普通でもない。
STILL BY HANDは、昔からこういう服が上手い。
一見すると、すごく自然。
でも、よく見ると少し違う。
タックの深さ。
ポケットの位置。
横から見た時のボリューム。
その小さな違いが重なって、穿いた時の雰囲気を大きく変えている。
考えてみると、このパンツがやっていることは意外と難しい。
ジャージー素材は快適だ。
でも、その快適さを強く出せば、スポーツウェアに近づいていく。
ウエストをゴムにすれば楽になる。
でも、作り方を間違えると部屋着のようにも見える。
ゆとりを持たせれば動きやすい。
でも、ただ大きくするだけでは輪郭が崩れる。
CS06261は、その難しい境界線を丁寧に越えている。
ジャージー素材の快適さを残す。
イージーパンツの気軽さも残す。
その上で、スラックスとして見えるところまで持っていく。
素材だけでもない。
シルエットだけでもない。
ディテールだけでもない。
その全部が同じ方向を向いているから、このバランスが成立している。
このパンツには、STILL BY HANDらしさがよく表れている。
快適さだけを追求して作ったパンツではない。
まず、シルエットがある。
デザインがある。
服としての格好良さがある。
その上で、快適さまで成立している。
だから自然に穿ける。
だから大人が穿きやすい。
ジャージー素材の快適さ。
イージーパンツの気軽さ。
そして、スラックスの品の良さ。
どれかひとつを強く見せるのではなく、その全部を静かに成立させている。
快適なパンツは増えた。
でも、格好良いパンツは意外と増えていない。
STILL BY HAND ワンタックジャージースラックス CS06261。
穿いた瞬間は、ジャージー。
鏡に映るのは、スラックス。
このギャップこそ、この一本の面白さだと思う。
暑いから、涼しくする。
高機能素材のTシャツというと、多くの人がそんなイメージを持つと思う。
接触冷感。
吸水速乾。
UVカット。
どれも便利だし、実際に効果もある。
でも、THING FABRICSのTF RECONSTRUCTION PLAIN T-SHIRTは少し違う。
冷やすための生地ではない。
快適な状態を維持するための生地。
暑さに対して、ただ冷たさを与えるのではない。
身体と衣服の間に生まれる熱や湿気に働きかけ、快適な状態へ近づけていく。
その考え方自体が、これまで僕が知っていた高機能素材とは少し違っていた。
このTシャツに採用されているのは、アメリカのCocona社が開発した37.5 Technology。
アウトドアの世界でも知られてきた、高機能素材技術だ。
特徴は、火山砂由来の活性微粒子を利用していること。
人の身体からは、汗として見える前から水蒸気が発生している。
37.5 Technologyは、その湿気に働きかける。
身体から発せられる赤外線エネルギーも利用しながら、水分の蒸発を促し、衣服内をより快適な状態へ近づけようとする。
面白いのは、ただ汗を吸って乾かすという発想ではないところだ。
汗が大量に出てから対処するのではなく、その前段階にある水蒸気へ働きかける。
冷たさを与えるのではない。
快適な状態から、できるだけ遠ざけない。
この発想が面白い。
しかも、この機能は単なる表面加工ではない。
活性微粒子は繊維レベルで組み込まれている。
毎日のように着る。
洗う。
また着る。
そういう日常着として考えた時にも、非常に理にかなっている。
この素材は、接触冷感のように、着た瞬間の冷たさを強く感じさせるためのものではない。
だから最初の数秒だけで判断すると、その凄さは分かりにくいかもしれない。
違いが見えてくるのは、むしろ時間が経ってからだと思う。
暑い街を歩く。
汗ばむ。
冷房の効いた店に入る。
また外へ出る。
都市の一日は、温度も湿度も何度も変わる。
37.5 Technologyが目指しているのは、そうした変化の中で快適な状態を維持することだ。
暑い時には、熱や湿気を逃がす方向へ働く。
一方で、必要以上に身体を冷やすための素材でもない。
だから、夏だけで終わらない。
春も。
秋も。
気付けば手に取っている。
高機能素材というと、どうしても季節限定のイメージがある。
でも、37.5 Technologyはもっと長い時間軸で付き合える。
涼しさを競うのではなく、快適さを維持する。
僕は、その考え方自体が面白いと思った。
僕がこのTシャツを良いと思った理由は、機能だけではない。
服として、ちゃんと格好良い。
程良くゆとりを持たせたシルエット。
余計な装飾を加えないデザイン。
高機能素材のTシャツであることを、必要以上に主張していない。
ここが大きい。
機能素材の服には、ときどき機能そのものが見た目を支配してしまうものがある。
いかにも涼しそう。
いかにも速乾しそう。
いかにもアウトドアで使えそう。
でも、このTシャツは違う。
レコードを探しに行く日も。
コーヒーを飲みに行く日も。
何気なく街を歩く日も。
自然に手が伸びる。
機能素材であることを忘れてしまうくらい、普通に服として成立している。
でも、着て時間が経つと、その快適さはしっかり感じる。
このバランスが良かった。
THING FABRICSといえば、今治タオルの技術を背景に持つブランドとして知られている。
だからこそ、このアイテムを最初に見た時は少し意外だった。
パイルではない。
タオルでもない。
ブランドを象徴する素材とは、まったく違う方向に見える。
でも、実際に触れて、話を聞くと納得する。
ブランドの枠を超えてでも、この素材を採用したかった理由が見えてくる。
デザイナー自身が、この素材に惚れ込んでいる。
その熱が、服から伝わってくる。
タオルブランドだから、タオルだけを作る。
そういう単純な話ではない。
本当に良いと思った素材なら、自分たちの服として取り入れる。
そして、THING FABRICSの感覚で一枚のTシャツへ仕上げる。
その柔軟さも、このブランドらしい魅力だと思う。
涼しいでもない。
暖かいでもない。
快適であり続ける。
言葉にすると、少し地味かもしれない。
でも、それを実現するのは案外難しい。
人は一日中、同じ環境にいるわけではない。
暑い外を歩く。
冷房の効いた電車に乗る。
店に入る。
また外へ出る。
そのたびに、身体を取り巻く環境は変わる。
だから本当に必要なのは、ただ冷たい服ではないのかもしれない。
変化する環境の中で、快適な状態をできるだけ維持してくれること。
派手な機能を語る服ではない。
日常の中で、静かに実力を発揮してくれる服だ。
THING FABRICS TF RECONSTRUCTION PLAIN T-SHIRT。
高機能生地の概念を変える。
37.5 Technology。
正直に言うと、このバッグは最初から企画として存在していたわけではありません。
「巾着を作ろう」
そんな話が先にあったわけでもない。
ただ、自分が欲しかった。
本当にそれだけです。
巾着は昔から嫌いではありませんでした。
でも、いざ自分で持ちたいと思うと、なかなか見つからない。
和の雰囲気が強すぎる。
逆にデザインだけが先行している。
どこかコスプレのように見えてしまう。
洋服好きが普段の服に自然に合わせられる巾着が、本当に少なかった。
だから作りました。
今回の別注で特に面白いと思ったのが、レザーとバンジーコードの組み合わせです。
普通に考えれば、あまり組み合わせる素材ではありません。
上質で柔らかなレザー。
アウトドアやミリタリーギアを連想させるバンジーコード。
綺麗なものと無骨なもの。
上品なものと機能的なもの。
本来なら少しちぐはぐに見えてもおかしくない。
でも、その違和感が良かった。
レザーだけなら綺麗にまとまり過ぎる。
コードだけなら少し無骨過ぎる。
その中間にある絶妙なバランス。
上品なのに少しギア感がある。
クラシックなのにどこか新しい。
街で洋服と合わせた時、その違和感がアクセントになる。
このバッグの魅力はそこにあると思っています。
そして何より、このレザーが素晴らしい。
TRIALOGUE STUDIOオリジナルの国産牛革。
厳選した北米原皮をベースに、革本来の魅力を最大限に引き出すため、潰す、引っ張る、叩くといった工程を極力抑えています。
さらにネット貼りや高温乾燥を行わず、自然乾燥でじっくり仕上げる。
効率だけを考えれば、決して楽な作り方ではありません。
それでもそうする。
なぜなら、その方が革が良いからです。
手に取ると分かります。
モチモチとしている。
しっとりしている。
柔らかい。
でも頼りない柔らかさではない。
革としての力強さを残したまま、驚くほど気持ち良い質感になっています。
正直、このレザーに惚れ込んだから別注をお願いしたと言っても良いくらいです。
デザインは着脱可能な小さな巾着を組み合わせた親子仕様。
まるで親亀と子亀。
見た目が面白いだけではありません。
財布、スマホ。
鍵、AirPods。
実際に使うと想像以上に理にかなっています。
さらに今回はインラインには無い長めのコードを採用しました。
手持ちだけでは終わらせたくなかった。
斜め掛けでも使いたかった。
街で本当に使えるバッグにしたかった。
だから細かい部分まで指定しています。
カラーもそうです。
ブラックとブルーを基調にしながら、小さい巾着部分にはターコイズ。
地味ではない。
でも派手でもない。
洋服の邪魔をしない。
けれど確実に存在感はある。
そんなバランスを目指しました。
ヴィンテージでもない。
和でもない。
モードでもない。
どこかヨーロッパの空気を感じる。
でも気取っていない。
Lampaで提案している洋服と並んだ時に自然に馴染む。
そんなバッグです。
世の中には機能的なバッグがたくさんあります。
収納力が凄いものもある。
軽いものもある。
便利なものもある。
それでも、このバッグを作りたかった。
なぜなら、自分が欲しかったから。
「もし自分が巾着を持つなら、こんなのがいい。」
その気持ちから始まった別注です。
TRIALOGUE STUDIOのレザー。
職人の技術。
そして、譲れないこだわり。
その全部を詰め込みました。
かなり良いものが出来たと思っています。
Lampaファンにとってマストなバッグになったと思う。
自信作です。
ベースボールTEEというフォーマットは、本来ラフで気軽な存在だ。
スポーティーで、肩の力が抜けている。
それが、この服の良さでもある。
でも、PERS PROJECTSのRILEY Q/S C/N TEEは、その前提を静かに裏切ってくる。
ラフなのに、雑に見えない。
ゆったりしているのに、どこか整っている。
カジュアルなのに、品がある。
その理由は、生地だけではない。
生地と設計。
その両方が、同じ方向を向いている。
使われているのは、超長綿によるLONG STAPLE JERSEY。
長い繊維を使うことで、糸の表面は滑らかになる。
毛羽立ちも抑えられる。
さらに加工によって糸を引き締め、表面の毛羽を丁寧に除去していく。
そうした工程の積み重ねが、最終的には触感の違いとして手に残る。
これは、触ると分かる。
指先が引っ掛からないような、なめらかな表面。
でも、薄っぺらくはない。
生地の中には、しっかりと密度がある。
柔らかいだけでもない。
綺麗なだけでもない。
着た時に、生地が自然に落ちる。
それでいて、一枚で着ても輪郭が崩れにくい。
このTシャツがラフに見えすぎない理由は、まずここにある。
もし、普通のクルーネックTシャツにこの生地を使っていたら。
もちろん、良いTシャツにはなったと思う。
でも、ここまで印象には残らなかったかもしれない。
この服には、ベースボールTEEというラフな骨格がある。
スポーティーな空気。
力の抜けたシルエット。
そこに、超長綿による滑らかで上品な生地を重ねる。
だから、生地の良さが逆に際立つ。
上質な素材を、上品に見せるだけではない。
ラフなものと組み合わせることで、その品を浮かび上がらせる。
スポーティーなのに、雑には見えない。
上品なのに、かしこまらない。
このギャップこそが、PERS PROJECTSの面白さだと思う。
首元は、四つ巻き仕様。
しっかりと強度を確保しながら、見た目は驚くほど繊細だ。
本来、強度を優先すれば、首元は太く存在感が出やすい。
でも、それではこの生地の表情を壊してしまう。
だから、強さを見せない。
必要な強度は持たせながら、服全体の空気を邪魔しない。
主張しない強さ。
この考え方は、肩まわりにも続いている。
袖付けには、ジャケットづくりにも通じる立体的な考え方がある。
肩が自然に収まる。
腕の動きを妨げにくい。
そして横から見た時に、静かな立体感が生まれる。
一見すると、気軽なベースボールTEE。
でも、身体の上に乗った時の見え方まで考えられている。
カットソーとしては、かなり手の込んだ仕事だと思う。
生地が良いから、完成度が高い。
それだけの話ではない。
生地に合わせて、デザインを選ぶ。
生地に合わせて、首元を設計する。
生地に合わせて、肩まわりまで作り込む。
一つひとつの判断が、同じ方向を向いている。
だから、着た瞬間に違和感がない。
どこか一部分だけが目立つのではなく、服全体として自然に成立している。
似たような超長綿のTシャツは、世の中にいくらでもある。
滑らかで。
上品で。
肌触りが良い。
それだけなら、選択肢は多い。
でも、ラフなフォーマットの中に上質さを自然に溶け込ませている服は、意外と少ない。
素材の良さを見せつけるための服ではない。
生活の中で、自然に袖を通すための服だ。
デニムに合わせてもいい。
軍パンでもいい。
スラックスに合わせれば、生地の品がまた違って見える。
ベースボールTEEだから、気軽に着られる。
でも、超長綿の滑らかな表情があるから、ラフになりすぎない。
そして、首元や肩まわりまで考え抜かれているから、ただ大きいだけのTシャツにも見えない。
カジュアルだけど、品がある。
スポーティーだけど、子供っぽくない。
力は抜けているのに、街の中でちゃんと成立する。
PERS PROJECTS RILEY Q/S C/N TEE。
簡単そうに見えて、実際はかなり難しいことをやっている一枚だ。
都市型ベースボールTEE。
その言葉が、この服にはよく似合う。
このニットTシャツに使われているのは、シーアイランドコットン。
「繊維の宝石」「奇跡の綿花」。そう呼ばれる、世界最高品質のコットンです。
服が好きな方なら、一度は耳にしたことがある名前ではないでしょうか。
長く、細く、そして強い。世界中の超長綿の中でも頂点に位置すると言われる存在です。
ただ、このニットの面白さは、その最高級素材を使ったことではありません。
その素材を、YONETOMIがどう解釈したのか。そこにあります。
シーアイランドコットンは、世界でも限られた地域でしか生産されない希少な超長綿です。
一般的なコットンと比べて繊維長が長く、しなやかで強い。
そのため生地にした時には、美しい光沢と滑らかな肌触りが生まれます。
高級シャツや高級ニットで採用されることが多いのも、その品質の高さゆえです。
そして多くの場合、その魅力を最大限に活かすために仕上げられます。
柔らかく。滑らかに。上品に。高級に。それがシーアイランドコットンの王道です。
しかし、このRIGID SEA ISLAND COTTON YOKO-MARUDO KNIT TEEは違います。
YONETOMIは、あえて強撚糸を採用しました。
強撚とは、繊維を通常よりも強く撚り合わせる製法のこと。
これによって生地には独特の張りとコシが生まれます。
さらに、このニットは極限まで度詰めで編み上げられています。
編み目を細かく、密度高く仕上げることで、生地はより力強く、より安定した表情になります。
普通なら素材の繊細さを前面に出すところを、あえて逆方向へ進む。
シーアイランドコットンをさらに鍛え上げるような発想です。
だから柔らかいだけでは終わらない。
上品なのに力強い。高級なのに構えなくていい。
初めて触った時。正直、少し驚きました。
僕の中にあったシーアイランドコットンのイメージと違ったからです。
あれ? シーアイランドコットンって、こんな感じだったっけ?
そんな違和感から始まりました。
でも知れば知るほど納得します。
これは素材の魅力を消しているわけではない。むしろ逆です。
素材の良さに頼るのではなく、素材の可能性をさらに引き出そうとしている。
そういう服です。
このニットを見ていて思うことがあります。
意外なほどアメカジとの相性が良い。
軍パン。チノパン。色落ちしたデニム。ファティーグパンツ。
一般的な高級ニットなら、少し気を使ってしまうような相手です。
でも、このニットは負けません。
生地に芯がある。生地に強さがある。だから合わせる側が少しラフでも成立する。
高級ニットなのに軍パンが似合う。高級ニットなのに気取らない。
上質なのに日常着。なかなかないバランスです。
YONETOMIを手掛ける米冨繊維は1952年創業。
1959年には、日本で初めてサマーニットを開発したメーカーとしても知られています。
長年にわたりニットと向き合い続けてきた歴史。
素材開発から編み立てまで一貫して行う技術。
その積み重ねがあるからこそ、こうした発想に辿り着ける。
最高級素材を使うことより、その素材の新しい可能性を引き出すことの方がずっと難しい。
このニットには、その覚悟が詰まっています。
世界最高品質を、ただ柔らかく終わらせない。
鍛え上げて、日常着にする。
それがYONETOMIのRIGID SEA ISLAND COTTON YOKO-MARUDO KNIT TEEです。
触った瞬間に、仕入れを決めた。
正直、こういうシルクは初めてだった。
シルクと聞くと、柔らかくて上品なものを想像する。それは間違っていない。
でも同時に、どこか繊細で気を使う素材というイメージもある。
このニットは違った。
滑らかだ。光沢もある。肌触りも素晴らしい。でも、それだけじゃない。
しっかりしている。頼りない感じがない。柔らかいのに安心感がある。
展示会で触った瞬間、「あ、これ仕入れるやつだ」と思った。
後から知った。その違和感には、ちゃんと理由があった。
米冨繊維には、生地開発室がある。年間を通して生地開発だけに取り組む専門部署だ。
ニットメーカーとしては珍しい存在だと思う。
新しい糸。新しい編地。新しい着心地。
既存の素材を選ぶのではなく、理想の着心地から逆算して素材そのものを作る。
今回のシルク天竺も、その発想から生まれている。
日本唯一のシルク紡績工場へ別注し、この生地のためだけに糸を開発。
さらに、それを極限まで度詰めで編み上げている。
正直、「そこまでやる?」と思った。
でも触ると分かる。だから、そこまでやったんだなと。
このニット最大の魅力は、生地にある。もちろん滑らかだ。もちろん上品だ。
でも一般的なシルクニットとは少し違う。
薄くて繊細。そんなイメージがない。むしろ安心感がある。
しっかりしている。頼りない感じがない。
上品なのに気を使わない。シルクなのに毎日着たくなる。
正直、こういうシルクは初めて触った。シルクらしくない。
でも、それはこのニットにとって最高の褒め言葉だと思う。
本当に快適な服は、着た瞬間よりも数時間後に違いが出る。
暑い日。湿度の高い日。汗ばむ午後。そんな時こそ素材の差ははっきり現れる。
シルクはコットン以上に優れた吸湿性と放湿性を持ち、衣類の中を快適な状態に保ってくれる。
蒸れにくい。肌にまとわりつきにくい。そして驚くほど涼しい。
さらに、このニットは自宅での手洗いも可能。
高級素材だから気を使う。そんな常識からも自由だ。
快適さは派手じゃない。でも毎日着る服にとって、一番大切な機能かもしれない。
1959年。まだ「ニットは冬のもの」という時代に、米冨繊維は日本初となるサマーニットの開発に挑戦した。
涼しくて。風通しが良くて。さらに洗濯にも強い。そんなニットを作れないか。
その挑戦は、日本中のニット産業に広がっていった。
面白いのは、70年近く経った今もやっていることが変わらないことだ。
より快適に。より着やすく。より日常に馴染むように。
生地開発室を持ち、新しい素材を研究し続ける姿勢にも、その精神が流れている気がする。
今回のシルクニットも、きっとその延長線上にある。
シルク100%だから凄いのではない。
理想の着心地のために、生地そのものから作り上げたから凄い。
日本唯一のシルク紡績工場。生地開発室。度詰めのシルク天竺。
そんな話を知らなくても、このニットの良さは伝わると思う。
なぜなら僕自身がそうだったから。
最初に惹かれたのはスペックではない。生地だった。
触った瞬間に決まった。
これを仕入れないという選択肢は、なかった。
真夏の東京は、なかなか手強い。
アスファルトからの照り返し。
ビルの間にこもる熱気。
電車を降りて数分歩いただけで、汗が出てくる。
そんな季節になると、服に求めるものも少し変わってくる。
格好良いだけじゃ足りない。
でも、機能だけでもつまらない。
都市生活の中で本当に着たくなる服は、その間にある気がする。
MOUT RECON TAILORのPOLARTEC POWER DRY TACTICAL T-SHIRTS MT-1908は、まさにそんな一枚だ。
POLARTEC POWER DRY。
吸水速乾。
高い通気性。
高機能なメッシュ構造。
スペックだけを見ても、十分に魅力的だ。
でも、このTシャツを着ていて記憶に残るのは、数字ではない。
汗をかいても、肌にまとわりつきにくい。
風が抜ける。
気付けば、服の存在を忘れている。
数字は、性能を説明してくれる。
でも、快適さは身体が覚えている。
このTシャツは、そういうタイプの服だと思う。
このTシャツが面白いのは、生地だけで快適さを作ろうとしていないところだ。
ややゆとりを持たせたシルエット。
身体との間に生まれる、空気の層。
そして、風の通り道。
POLARTEC POWER DRYという素材の性能を活かすために、シルエットそのものも考えられている。
ただ大きいわけではない。
ただ涼しい素材を使っているわけでもない。
素材と形。
その両方が揃って初めて、身体と服の間に余白が生まれる。
服の中を空気が動く。
汗をかいた身体に、生地が張り付き続けない。
服と身体の間にある空気もまた、機能の一部なのだと思う。
背面に設けられたベンチレーション。
タクティカルウェアを思わせるディテール。
普通なら、もっと目立たせることもできるはずだ。
機能性を視覚的に強調して、いかにも高機能な服として見せることもできる。
でも、MOUT RECON TAILORはそうしない。
必要だから、そこにある。
装飾として付けるのではなく、機能として存在している。
だから見た目に過剰な派手さはない。
それでも、服として妙な説得力がある。
近くで見ると、理由がある。
着てみると、さらに意味が分かる。
機能が、そのまま服の表情になっている。
そこに、このブランドらしい機能美がある。
MOUT RECON TAILORが目指しているのは、ミリタリーウェアの再現ではない。
軍や特殊部隊で使われる現代の装備。
ミルスペックやタクティカルウェアにある、機能と合理性。
そうした考え方を読み取り、現代の都市生活へ再編集する。
だから、無骨すぎない。
だから、街で着やすい。
機能を強く見せるのではなく、日常へ自然に溶け込ませる。
電車に乗る。
暑い街を歩く。
店に入る。
また外へ出る。
そういう一日の中で、本当に必要な快適さへ置き換えていく。
LAMPAがこのブランドを好きな理由も、たぶんそこにある。
朝、家を出る。
駅まで歩く。
電車に乗る。
また暑い街へ出る。
汗をかいて、冷房の効いた場所に入る。
そんなことを何度も繰り返して、夕方になって気付く。
今日は、服のことを考えなかったな、と。
汗をかいても、不快感が残りにくい。
風が抜ける。
身体が楽だ。
特別な感動があるわけではない。
でも、毎日着る服に必要なのは、案外そういうことなのかもしれない。
高機能であることを、着ている間ずっと意識させる服ではない。
むしろ、その機能を忘れてしまうほど自然に快適であること。
MOUT RECON TAILOR POLARTEC POWER DRY TACTICAL T-SHIRTS MT-1908。
機能を着るのではない。
快適さを着る。
初めて見た時。
正直に言うと、「やりすぎじゃないか」と思った。
左腿に付いた大きなポケット。
その上に重なる、セルホルスターポケット。
さらに、ドイツ製のステルスクロージャー。
普通のカーゴショーツと比べれば、明らかに情報量が多い。
でも、MOUT RECON TAILORの服は、いつもそうだ。
最初は少し違和感がある。
見慣れた服のどこかに、自分の知らない機構がある。
なぜ、ここまでやるのか。
そう思いながら使っているうちに、その意味が少しずつ見えてくる。
そして気付けば、それまでの普通が少し物足りなくなっている。
MOUT RECON TAILOR SUMMERWEIGHT MDU SHORTS MT-1906。
このショーツも、まさにそういう一本だ。
このショーツの話をするなら、まず左腿から始めるべきだと思う。
大きなカーゴポケット。
その上に配置された、スマートフォン専用のセルホルスターポケット。
スマートフォンを収納する。
ただそれだけの行為に、専用の場所と専用の機構を与える。
正直、なくても困らない。
パンツのポケットに入れれば済む話でもある。
でも、MOUTはそこで終わらない。
現代の都市生活に欠かせないスマートフォンを、ひとつの装備として捉える。
日用品ではなく、装備として考える。
そして、そのための専用機構を服の中に組み込む。
ただ便利なポケットを追加するのではない。
今の生活に必要なものを見つめ直し、そのための場所を服の中に作る。
この徹底の仕方に、MOUT RECON TAILORというブランドの面白さがあると思う。
セルホルスターポケットのフラップには、ドイツ製のステルスクロージャーが使われている。
元々は、手榴弾ポーチのために開発された軍用パーツだ。
引手を操作することで、素早く開く。
しかも、音がほとんど出ない。
ベルクロのような、バリバリという音がない。
金属パーツがぶつかる音もない。
ポケットを開ける。
たったそれだけの動作が、妙に静かだ。
日常生活で、本当にそこまで必要なのか。
たぶん、多くの人には必要ない。
でも、一度その静けさを知ると、少し見方が変わる。
電車の中。
静かな店内。
夜の街。
音を立てずにポケットへアクセスできることが、思っていた以上に心地いい。
なくても困らない。
でも、知ってしまうと戻れない。
必要最低限を超えたところまで、本気で作る。
僕がMOUTを好きになる理由は、案外こういう部分にある。
SUMMERWEIGHT MDU SHORTSという名前の通り、このショーツは暑い季節を意識して作られている。
使用しているのは、INVISTA社製のCORDURA NYCO。
コットン60%、ナイロン40%。
薄い。
軽い。
夏に穿きやすい。
でも、このショーツの魅力は、単純な軽量化ではない。
頼りなさがない。
軽量な生地なのに、触れた時に妙な安心感がある。
大きなポケットを備えた複雑なデザインを、薄いだけの生地で作れば、服そのものが負けてしまう。
逆に、厚く重い生地では、夏のショーツとして手が伸びにくい。
軽さと、タフさ。
涼しさと、道具としての安心感。
その間を狙っている。
穿いて歩く。
ポケットを使う。
汗をかく。
また穿く。
触った瞬間より、穿き続けた後の方が、この生地の良さは伝わると思う。
シルエットは、全体的にゆったりしている。
斜めに配置されたカーゴポケット。
腿まわりに生まれる、独特のボリューム。
そこには、どこかROYAL NAVY CARGOを思わせる空気がある。
でも、軍パンそのものではない。
無骨なのに、重たく見えない。
存在感はあるのに、合わせにくくない。
タフなのに、街から浮かない。
白いTシャツでもいい。
シャツでもいい。
同じMOUTの機能素材と合わせれば、よりテクニカルな方向へ振ることもできる。
これだけ情報量の多いショーツなのに、実際に穿くと意外なほど日常へ入ってくる。
軍服でもない。
アウトドアウェアでもない。
どちらの文脈も知りながら、そのままでは終わらない。
そこに、MOUTがMOUTである理由がある。
軍用装備から生まれた機能。
INVISTA社製のCORDURA NYCO。
ドイツ製のステルスクロージャー。
スマートフォン専用のセルホルスターポケット。
そんな言葉だけを並べると、日常とは遠い服に見えるかもしれない。
でも、MOUTが見ているのは戦場ではない。
都市だ。
スマートフォンを持ち歩く。
電車に乗る。
暑い街を歩く。
店に入る。
また外へ出る。
そういう現代の日常に、軍用装備から生まれた合理性を持ち込む。
手榴弾ポーチのために開発されたクロージャーが、今はスマートフォンへアクセスするために使われている。
その事実だけでも、このブランドが何をしているのかがよく分かる。
過去の軍用装備を、そのまま再現するのではない。
そこにある合理性を読み取り、今の都市生活へ置き換える。
最初は、少しやりすぎに見える。
でも、使っていくうちに意味が見えてくる。
そして気付けば、普通のカーゴショーツが少し物足りなくなる。
MOUT RECON TAILOR SUMMERWEIGHT MDU SHORTS MT-1906。
違和感は、やがて基準になる。
このショーツには、その言葉がよく似合う。
昔は、ロゴTが少し苦手だった。
ブランド名が大きく入っている服を見ると、どこか説明的に感じてしまったからだ。
でも、年齢を重ねるにつれて、その感覚が少し変わった。
ロゴそのものではなく、その背景に何があるのかを見るようになった。
そのブランドは、何を考えているのか。
なぜ、その服を作るのか。
MOUT RECON TAILORのMOUT LOGO T-SHIRTS MT-1910も、そういう一枚だった。
胸にはブランドロゴ。
背中にはブランドネーム。
デザインだけを見れば、とてもシンプルだ。
でも、このブランドの場合は少し意味が違う。
MOUT RECON TAILORが作っているのは、単なるミリタリーウェアではない。
軍や特殊部隊で培われてきた機能性や合理性を読み解き、現代の都市生活へ再構築する。
それが、このブランドの服作りに流れる考え方だと思う。
ブランド名の中にある「RECON」。
偵察を意味するその言葉も、MOUT RECON TAILORというブランドの空気をよく表している。
観察する。
分析する。
必要なものを見極める。
そして、今の生活へ落とし込む。
そう考えると、胸に置かれたロゴも、単なる装飾とは少し違って見えてくる。
ロゴTは難しい。
一歩間違えると、服より先にブランド名だけが見えてしまう。
でも、このTシャツには不思議とそれがない。
ミリタリーそのものでもない。
ストリートに寄りすぎてもいない。
スポーツブランドのロゴTとも違う。
着ている人より前に出てこない。
でも、ちゃんと存在感はある。
軍パンに合わせてもいい。
テクニカルなパンツでもいい。
デニムに合わせれば、また違う見え方になる。
ロゴがスタイルを決めすぎないから、いつもの服の中へ自然に入ってくる。
その絶妙な距離感は、MOUTらしいと思う。
このTシャツに使われているのは、CORDURA® Advanced Fabrics。
薄く、軽い。
それでいて、強さがある。
さらに、吸水速乾、接触冷感、UVカットといった、夏の都市生活に欲しい機能も備えている。
ここだけを見ると、かなり機能的なTシャツだ。
でも、この服の良さは、そのスペックが見た目の前面に出てこないところにある。
いかにも高機能素材を着ています、という顔をしていない。
街で普通に着られる。
そのまま電車に乗れる。
暑い中を歩ける。
店に入っても、日常着として自然に馴染む。
そして一日が終わった時、気づく。
今日、ずっと快適だったな、と。
僕は、こういう機能服が好きだ。
機能を意識させるのではなく、生活の中で静かに働いている。
スペックのための服ではなく、都市で過ごすための服。
MOUT RECON TAILORらしさは、こういうところにも表れていると思う。
一見すると、シンプルなロゴTだ。
でも、その背景には機能と合理性を重視する考え方がある。
都市生活を快適にするための素材選びがある。
そして、MOUT RECON TAILORというブランドが積み重ねてきた思想がある。
普通に見える。
でも、普通じゃない。
僕がこのブランドに惹かれる理由は、案外そういうところにある。
過剰に未来的ではない。
ミリタリーをそのまま再現するわけでもない。
機能を見せびらかすこともしない。
必要なものを選び、都市の日常へ静かに置いていく。
その姿勢が、この一枚にもちゃんと残っている。
MOUT RECON TAILORには、もっと複雑な服もある。
特殊な素材。
独自の構造。
ミリタリーやタクティカルウェアを背景にしたディテール。
そういう服にこそ、このブランドの凄さが表れている部分もある。
でも、最初の一枚は、このロゴTでもいいと思う。
気軽に着られる。
夏の街で使える。
そして着ていくうちに、なぜこのブランドがこの素材を選び、このロゴを置いたのかが少しずつ見えてくる。
MOUTというブランドが、何を作ろうとしているのか。
その思想を、最も自然に体感できる一枚かもしれない。
MOUT RECON TAILOR MOUT LOGO T-SHIRTS MT-1910。
機能の先に、都市がある。
その言葉が、このTシャツにはよく似合う。
夏にニットを着る。
そう聞くと、少し暑そうに感じるかもしれない。
でも、STILL BY HANDの和紙混半袖ニット KN02262は、その印象を静かに変えてくれる一枚だ。
使用しているのは、和紙とポリエステルの混紡糸。
それを12ゲージで編み立てた、ラグランスリーブのニットT。
袖を通した時、まず感じるのは軽さ。
そして、肌にまとわりつきにくい独特のドライな感触。
ニットなのに、重くない。
夏服なのに、軽く見えすぎない。
この一見すると相反する感覚が、KN02262の面白さだと思う。
和紙は、古くから日本の暮らしの中で使われてきた素材だ。
軽く、独特の乾いた感触を持つ。
その和紙を糸として服に使うことで、一般的なコットンニットとは違う着用感が生まれる。
肌に触れた時の、さらっとした感覚。
汗ばむ季節でも、べたっとまとわりつきにくい。
そして、見た目から想像するよりずっと軽い。
日本の夏に和紙を着る。
考えてみれば、かなり自然なことなのかもしれない。
この服の良さは、機能を大きく見せないところにもある。
いかにも涼しそうな服ではない。
いかにも機能的な服でもない。
見た目は、静かな半袖ニット。
でも、着ている本人には違いがわかる。
軽さ。
ドライな肌触り。
身体から少し離れる編み地の感覚。
快適さは、この服の中に静かに宿っている。
主張するのではなく、ただそこにある。
僕は、こういう機能のあり方が好きだ。
夏は、どうしてもTシャツが増える。
楽だし、涼しい。
でも、Tシャツだけでは少し物足りない日もある。
かといって、シャツを着るほどかしこまりたくない。
KN02262は、その間にいる。
Tシャツのように気軽に着られる。
でも、編み地があることで少し整って見える。
シャツほど緊張感はない。
それでいて、ラフになりすぎない。
デニムでもいい。
軍パンでもいい。
スラックスでも成立する。
合わせる服を選ばないというより、いつもの服を少しだけ違って見せてくれる。
その距離感が、大人の夏にはちょうどいいと思う。
ラグランスリーブによる自然な肩まわり。
12ゲージで編み立てた、軽やかな編み地。
袖と裾の緩やかなリブ。
一つひとつは、決して派手なディテールではない。
でも、その組み合わせが全体の空気を作っている。
肩まわりには力が入らない。
身体のラインも追いすぎない。
それでも、袖と裾のリブが服の輪郭を静かに止めている。
ゆったりしている。
でも、だらしなく見えない。
頑張って整えているわけではないのに、自然と全体がまとまる。
こういうバランスを見ると、やっぱりSTILL BY HANDだと思う。
装飾はない。
大きなロゴもない。
強いデザインで目を引く服でもない。
でも、暑い朝にクローゼットを開けると、自然と手が伸びる。
理由をひとつに決めるのは難しい。
着ていて心地よく、いつものパンツに合わせるだけで自然とまとまる。
そういう服は、夏になるとまた戻ってくる。
和紙という日本の素材が持つ独特の軽さとドライな感触を、現代の日常着へ静かに落とし込む。
STILL BY HAND 和紙混半袖ニット KN02262。
夏の正解は、和紙だった。
そんな言葉が、素直に似合う一枚だと思う。
年齢を重ねるほど、快適な服を選ぶようになった。
軽い。涼しい。身体を締め付けない。
もちろん、どれも大事だと思う。
でも、それだけでは少し物足りなくなる。
自然体でいながら、どこか整って見えること。
肩の力は抜けているのに、街の空気に馴染むこと。
楽だから穿く。その先に、ちゃんと服としての雰囲気がある。
STILL BY HANDのリネン2タックパンツ PT02262は、そんな感覚を持った一本だ。
使用しているのは、リネン100%。
風を通し、汗ばむ季節でも肌にまとわりつきにくい。
日本の夏は、ただ暑いだけではない。
湿度が高く、少し歩くだけで汗をかく。電車に乗れば冷房が効き、また外へ出れば熱気に包まれる。
そんな一日の中で、服と身体の間に自然な距離があることは、思っている以上に大きな違いになる。
ただ薄いから涼しいのではない。
生地が肌に張り付きにくく、汗ばむ季節でも不快感が残りにくい。
僕は、こういう素材の良さはスペックを見るより、一日穿いた時の方がよくわかると思っている。
リネンの魅力は、快適さだけではない。
僕が好きなのは、生地の動きだ。
歩けば、裾が揺れる。
座れば、シワが入る。
また立ち上がれば、生地は少し違う表情を見せる。
コットンのパンツとは違う。
化繊のイージーパンツとも違う。
動くたびに服の輪郭がわずかに変わり、光の当たり方まで変わっていく。
その柔らかな揺れが、シンプルな夏の装いに自然な奥行きを作ってくれる。
フロントには、2タック。
そこから腰まわりに、自然なゆとりが生まれる。
でも、ただ太いパンツではない。
2タックによって腰まわりにゆとりを持たせながら、裾へ向かってシルエットは自然に流れていく。
無理に細く見せようとはしていない。
かといって、ルーズなままでもない。
リラックス感はあるのに、ラフになりすぎない。
リネンパンツというと、もっとリゾート的なものもある。
もっとナチュラルな方向へ振ったものもある。
でも、PT02262はそこへ行きすぎない。
自然素材の柔らかさを残しながら、街で穿いた時の輪郭も失わない。
この距離感が、STILL BY HANDらしいと思う。
夏は、服装が単純になる。
Tシャツ。パンツ。靴。
それだけの日も多い。
だからこそ、パンツのシルエットがそのまま全体の印象になる。
PT02262には、腰まわりの余白がある。
リネン特有の揺れがある。
そして、裾へ向かって流れる力みのないラインがある。
だから、トップスで頑張らなくてもいい。
無地のTシャツ一枚でも成立する。
派手ではない。
強い主張があるわけでもない。
でも、何もないわけではない。
この静かな違いが、大人の夏にはちょうどいい。
こういう服は、一度見ただけですべてが伝わるわけではないと思う。
でも、後から効いてくる。
休日。
旅行。
少し出掛ける日。
暑い朝。
何を穿こうか考えた時、自然と手が伸びる。
楽だから。
涼しいから。
でも、それだけではない。
力を抜いて穿いても、ちゃんと街に馴染む。
快適なだけでは、少し物足りない。
かといって、頑張りすぎた服も着たくない。
STILL BY HAND リネン2タックパンツ PT02262。
自然素材が持つ柔らかさと、都会的な整い方。
その両方を静かに併せ持つ、STILL BY HANDらしい一本だと思う。
杉並区在住、43歳。飲食店勤務。
昔から服は好きだった。でも、いわゆる"お洒落な場所"には、そこまで縁があったわけじゃない。
普段着るのは、デニムや軍パン。タフで、気を遣わずに着られるものが多い。
そんな僕が、久しぶりに少し服について考えた。
きっかけは、アーティストの友人から届いた一本の連絡。
「今度、都心のギャラリーで展示やるから来ない?」
もちろん行くつもりだった。でも、そのあと少し考えた。
何を着ていこう。
ラフすぎるのも違う気がする。かといって、急に気合いの入った格好をしても、自分らしくない。
そんなことを考えながら、なんとなく近所の LAMPA に立ち寄った。
店で色々話しながら選んだのが、MANUAL ALPHABETのWIDE SPINDLE SS TEE。
普段、自分で選ぶTシャツといえば、もっと無骨なものが多い。
でも、このTシャツは違った。
柔らかく、滑らかで、少し落ち感のある生地。ゆったりしているのに、だらしなく見えない。
で、裾にスピンドルが付いていて、最初はなんだこれと思った。試しに絞ってみたら、タックインしたようなシルエットになる。
実は、タックインがずっと苦手だった。なんとなく、気合いを入れすぎている感じがして。
でもこれは違った。
裾を少し絞るだけで、なんか急に見え方が変わる。
同じTシャツなのに、不思議だった。
思わず笑ってしまった。
何より、着心地がとにかく良かった。
「これ、なんかいいな。」
気づけば、ほぼ即決だった。
問題はパンツだった。
いつものデニムや軍パンでは、結局いつも通りになってしまう。でも、急にデザインの強い服を穿くのも、自分ではない気がする。
そこで勧められたのが、BARNSTORMERのドレスファティーグ スノーカモだった。
最初は少し迷った。
“スノーカモ"という柄だけ聞くと、こういう雰囲気の柄物を自分が穿くイメージが、正直あまり無かったから。
でも、穿いてみると不思議だった。
黒いTシャツに、驚くほど自然に馴染む。
ミリタリーの柄なのに、妙に浮かない。むしろこの場所に行くなら、これくらいでちょうどいい気がした。
生地はリップストップ。昔から慣れ親しんできた、あの少しドライでタフな質感。
でも、鏡を見て一番驚いたのはシルエットだった。
軍パンを穿き慣れた僕には、正直こんなラインが出るとは思っていなかった。
きれいに落ちる裾、腰まわりのすっきりした感じ。無骨なはずなのに、どこか品がある。
気づいたら、しばらく鏡を見ていた。
• • •
展示会当日。
自分で言うのもなんだけど、あの空間にちゃんと馴染めていた気がする。
背伸びしている感じでもない。でも、いつもの居酒屋帰りの自分とも少し違う。
展示を見たあと、周辺を少し散歩した。なんとなく気になったカフェに入ってみる。
たぶん、前なら入らなかった店だと思う。でも、その日は自然に扉を開けていた。
服が変わっただけなのに、見える景色が少し変わる。
洋服って、こういうことなのかもしれない。
いつもの自分のまま、少しだけ新しい場所へ行ける。
<br>
リネンなのに、どこかスウェットの空気がある。
そう気づいた瞬間、この服が面白くなる。
フレンチリネンを使ったプルオーバーというと、どこかシャツ寄りの、きちんとした服を想像する人もいるかもしれない。
でも、ORDINARY FITSのLINEN PULLOVER TEE SH008は少し違う。
ラグランスリーブ。袖と裾にはリブ。
身幅にはゆとりがあり、身体から少し離れるようなシルエット。
デザインだけを追っていくと、どこか半袖スウェットのような構造が見えてくる。
でも、使われている素材は上質なフレンチリネン。
スウェットのように力が抜けている。
なのに、リネン特有の涼しげな品がある。
僕は、この少し不思議な組み合わせに惹かれた。
リネンにも、産地によって表情の違いがある。
その中でもフレンチリネンは、繊維が細く、しなやかで、独特の光沢を持つことで知られている。
触った瞬間、その差はわかる。
さらっとしている。でも、安っぽくない。
麻特有のシャリ感はありながら、肌に触れた時のストレスが少ない。
夏の服にリネンを選ぶ人は多い。
でも、リネンなら何でも同じというわけではない。
同じ形の服でも、生地の質でまとう空気が変わる。
SH008に使われているフレンチリネンには、ラフな形の中にもきちんと品がある。
それが、この服のベースになっている。
このプルオーバーの構造で、まず目を引くのはラグランスリーブだ。
一般的なシャツのように、肩の位置で袖を縫い合わせるのではない。
襟ぐりから袖にかけて、一枚の生地が斜めに繋がっていく。
この構造があると、肩まわりに縫い目の圧迫感が出にくい。
腕を動かした時の突っ張りも少ない。
スウェットやパーカーによく使われる仕様だからこそ、着た瞬間にどこか懐かしいリラックス感がある。
きちんとした服のはずなのに、身体は自然と力を抜いていく。
身幅にはゆとりがある。
でも、だらしなく見えないのは、袖口と裾にリブが効いているからだと思う。
リブがあることで、生地がふわっと広がりすぎず、シルエットの輪郭がきちんと生まれる。
腕を上げても袖がめくれ上がりにくいし、裾もめくれて中が見えるようなことがない。
機能としての安心感もありながら、見た目の面でも効いている。
ゆったりした身頃と、締まった袖口・裾口。
このコントラストが、スウェットらしいメリハリをリネンの上に持ち込んでいる。
プルオーバーという形式自体、シャツとTシャツの中間にあるような服だと思う。
前開きがない分、Tシャツのようにさっと着られる。
でも、襟の作りや生地の質感には、シャツに近いきちんとした印象が残る。
SH008は、その中間の立ち位置をさらに面白くしている。
構造はスウェット寄り。素材はシャツ以上に上質。
どちらか一方に寄せていないから、シーンを選ばない。
Tシャツの気軽さで着たい日にも合う。
少しきちんと見せたい日にも、悪目立ちしない。
この曖昧な立ち位置こそ、日常で一番使いやすい。
フレンチリネンという、それだけで特別な素材。
ラグランスリーブという、力の抜けた構造。
袖と裾のリブという、輪郭を締める仕掛け。
ひとつひとつは、決して珍しい要素ではない。
でも、この組み合わせが生む空気は独特だ。
きちんとしているのに、肩肘を張らない。
力が抜けているのに、安っぽく見えない。
僕は、その間にある一枚を探している時、いつもこういう服に行き着く。
ORDINARY FITS LINEN PULLOVER TEE SH008。
リネンなのに、どこかスウェットの空気。
素材の品と、服の力の抜け方。その間にある一枚を、今年の夏の一枚に加えてほしい。
<br>
夏になると、結局いつも同じパンツを穿いている。
涼しいから。楽だから。朝、何も考えずに手が伸びる。
暑い日は、それだけでも十分な理由になる。
でも、本当に良い夏パンツって、それだけでは終わらないと思う。
涼しい。軽い。楽に穿ける。
その上で、街へ出た時にちゃんと服として成立する。
Tシャツ一枚でも、なんとなく全体が整って見える。
頑張っている感じはない。でも、何も考えていないようにも見えない。
STILL BY HANDの強撚コットンテーパードパンツ PT07262は、そういう一本だった。
暑い季節を快適にするだけではない。ちゃんと“雰囲気”まで作ってくれる。
僕は、夏になると結局こういうパンツばかり穿いている。
使用されているのは、強撚コットンに特殊な染めを施したオリジナル生地。
まず感じるのは、軽さだ。薄い。でも、不思議と頼りなく見えない。
夏物のパンツには、時々ある。
涼しさを優先するあまり、生地がペラっと見えてしまうもの。
穿き心地はいい。でも、街で見ると少し心許ない。
PT07262には、その感じがない。
薄手で軽いのに、適度なハリがある。生地が身体へまとわりつかず、シルエットがきちんと残る。
ラフなのに、どこか品がある。快適なのに、部屋着には見えない。
僕は、この微妙なバランスがSTILL BY HANDらしいと思う。
このパンツに使われているのは、強撚コットン。
糸に強く撚りをかける。そのことで、生地の表面には独特のドライな感触が生まれる。
触った時に、べたっとしない。肌へ吸い付くような感覚が少ない。
汗をかく。湿度が上がる。気温も高い。
日本の夏は、ただ暑いだけではない。僕は、あの湿気の方が厄介だと思っている。
だから夏のパンツには、単純な薄さだけではなく、肌との距離が必要になる。
この生地には、その距離がある。
穿いた時に、生地が脚へ張り付きにくい。動くたびに、わずかな空間が生まれる。
その小さな違いが、一日穿いた時の快適さを変えていく。
生地の表面を見ると、細かな凹凸がある。完全にフラットではない。
この微妙な表情が、見た目にも着心地にも効いている。
肌に触れる面積が、必要以上に大きくならない。
だから、汗ばむ日でもまとわりつきにくい。
座る。歩く。電車に乗る。外へ出る。また冷房の効いた室内へ入る。
夏の一日は、温度も湿度も何度も変わる。その中で、ずっと同じパンツを穿いている。
だから僕は、瞬間的な涼しさより、一日を通して不快になりにくいことの方が大事だと思っている。
PT07262は、そこをよく考えている。
このパンツは、色もすごくいい。グレー。でも、単純なグレーではない。
ほんの少しだけオリーブを混ぜたような色。
光によって、グレーにも見える。少しグリーンにも見える。
くすんでいる。でも、濁ってはいない。名前をつけようとすると、少し困る。
僕は、こういう曖昧な色が好きだ。
黒ほど強くない。ベージュほど軽くない。オリーブほどミリタリーにも寄らない。その中間にいる。
だから、合わせる服によって表情が変わる。
白いTシャツなら、少し都会的に見える。黒なら、静かにまとまる。ネイビーなら、色の奥行きが出る。
僕は、この曖昧さが夏のスタイリングをかなり楽にしてくれると思う。
この独特な色の背景には、特殊な染めがある。
均一に、平坦に見える色ではない。生地の表情と染めが重なって、わずかな奥行きが生まれている。
だから、Tシャツ一枚でも何となく雰囲気が出る。
トップスで強いことをしなくてもいい。大きなロゴも要らない。派手な色も必要ない。
パンツそのものに、静かな表情がある。都会的なのに、冷たすぎない。カジュアルなのに、軽くなりすぎない。
僕は、この色と生地の関係がかなり上手いと思う。
シルエットは、ゆったりしている。腰まわりに余白がある。腿にも窮屈さがない。
でも、裾に向かって軽くテーパードしていく。ここが大事だ。
最初から最後まで太いわけではない。かといって、急激に細くなるわけでもない。
ゆとりを残したまま、足元で自然に収まる。だから、リラックス感があるのにだらしなく見えない。
Tシャツを合わせる。サンダルを履く。それだけでも成立する。
シャツを合わせる。革靴を履く。それでも違和感がない。
この振り幅は、夏にはかなり使いやすい。
大人になると、服に求めるものが少し変わる。
若い頃みたいに、毎日強い格好をしたいわけではない。でも、何でもいいわけでもない。
楽でいたい。涼しくいたい。その上で、鏡を見た時に少し気分がいい。
僕は、そのくらいが今はちょうどいいと思っている。
PT07262には、その空気がある。
頑張ってお洒落している感じではない。でも、自然と全体が整って見える。
生地に表情がある。色に奥行きがある。シルエットに余白がある。
その全部が、静かに効いている。
強撚コットン。特殊な染め。薄手で軽い生地。細かな凹凸による肌離れ。
グレーともオリーブとも言い切れない、曖昧な色。
そして、ゆったりしながら裾へ向かって自然に収まるテーパードシルエット。
ひとつひとつは、派手な特徴ではない。
でも、夏に毎日穿くパンツは、それでいいと思う。
特別なことは何もしていない。でも、なんか今日悪くない。
暑いから仕方なく穿くのではない。涼しいだけでもない。楽だから選ぶだけでもない。
気づけば、また手が伸びている。
STILL BY HAND 強撚コットンテーパードパンツ PT07262。
夏に、これ一本でいい。
僕は、そう思えるパンツが一本あるだけで、夏の服はかなり楽になると思っている。
ただのロンTでは終わらない。
初めて見た時、僕はそう思った。
一見すると、シンプルなポケットロングスリーブT。
大きなロゴはない。強いグラフィックもない。
シルエットだけを見れば、街で自然に着られるカットソーだ。
でも、袖に目を向けると印象が変わる。
袖の途中に、ボタンが並んでいる。そして、その先を外すことができる。
ロングスリーブから、半袖へ。
MODMNT DETACHABLE L/S TEEは、ひとつの服の中に二つの状態を持っている。
でも僕が面白いと思ったのは、単に「袖が外せるから便利」ということではない。
機能そのものが、服のデザインになっている。
そこに、この一枚の面白さがある。
春は、ロングスリーブとして着る。
朝は少し涼しい。昼になると気温が上がる。
そんな日は、袖を外す。半袖になる。
秋なら、その逆でもいい。
日中は半袖。夕方、気温が落ちたら袖を戻す。
季節の変わり目。朝晩の寒暖差。冷房の効いた室内。
一日の中で、服に求めるものは意外と変わる。
普通なら、羽織りを持つ。あるいは、最初からどちらかを選ぶ。
でも、この服は自分自身を変える。ロンTから、半袖へ。
僕は、この単純な仕組みにかなり合理性を感じる。
袖を着脱できる服自体は、これまでもあった。
アウトドアウェア。スポーツウェア。ミリタリーウェア。
機能服の世界では、決して新しい発想ではない。
でも、MODMNTの見せ方は少し違う。
着脱のためのボタンを、あえて外側へ見せている。
隠さない。むしろ、見せる。
袖の途中に並ぶボタンが、視覚的なアクセントになる。
だから、ロングスリーブの状態でも普通のロンTには見えない。
機能の痕跡が、そのまま服の表情として残る。
僕は、ここがかなりMODMNTらしいと思う。
機能をデザインの裏側へ隠すのではない。機能そのものを、ファッションとして成立させる。
袖が外れる。その言葉だけを聞くと、少しギミック的に感じるかもしれない。
面白い。変わっている。一度見れば記憶に残る。
でも、それだけなら長くは着ないと思う。
この服がいいのは、着脱という仕組みに実際の理由があることだ。
気温が変わる。環境が変わる。一日の行動が変わる。
それに合わせて、服も変わる。
つまりDETACHABLEは、見せるためだけの仕掛けではない。
日常の中で、本当に使える。デザインと合理性が、同じ場所にある。
だから面白い。
生地には、32/1の微強撚糸を引き揃えて編み立てたハイゲージ天竺を採用している。
ここも、この服を考える上で重要な部分だ。
袖が外れる。ボタンが見える。
そうしたデザインだけが強ければ、服はギミックに寄りすぎる。
でも、この一枚には生地そのものの説得力がある。
しっかりとした安心感がある。それでいて、肌に触れると柔らかい。
ハイゲージらしい整った表情。微強撚糸による、肌離れの良さ。
ロンTとして着ても重たくなりすぎない。半袖にしても、生地が頼りなく見えない。
二つの状態を成立させるために、この生地がある。
僕は、そう感じる。
この生地には、接触冷感、透湿、UV機能も備わっている。
でも、見た目はいわゆる機能服ではない。
光沢の強い化繊感もない。スポーツウェアのような速さもない。
アウトドアギアのような主張もない。街で見ると、あくまで一枚のカットソーとして成立している。
その内側に、接触冷感がある。透湿性がある。UV機能がある。
僕は、この順番がいいと思う。
機能が先に見えるのではない。まず服として着たい。
その後ろに、実用性がついてくる。だから、日常で使いやすい。
ロンTには、ロンTの良さがある。
一枚で着られる。腕を隠せる。季節の変わり目に使いやすい。
半袖Tには、半袖Tの良さがある。
軽い。涼しい。夏に自然だ。
普通なら、その二つは別の服だ。
でもDETACHABLE L/S TEEは、その境界を曖昧にする。
今日はロンT。数時間後には半袖。
服のカテゴリーを固定しない。着る人が、その日の状況に合わせて決める。
僕は、この自由さが今の都市生活によく合っていると思う。
機能服は、時々その機能を強く見せすぎる。
多すぎるポケット。強い切り替え。目立つパーツ。
高機能であることが、見た瞬間に分かる。
もちろん、それが格好いい服もある。でも、毎日の街では少し強すぎることもある。
MODMNTは、その境界をよく見ている。
機能はある。でも、過剰なギア感には寄らない。
デザインはある。でも、服だけが前へ出すぎない。
シンプルなのに、少し違う。普通に見えて、ちゃんと面白い。この距離感がいい。
袖を外せる。ロングスリーブから、半袖へ変わる。
着脱ボタンは隠さず、デザインとして見せる。
生地には、32/1の微強撚糸を引き揃えたハイゲージ天竺。
接触冷感。透湿。UV機能。ここまで聞けば、かなり機能的な服だ。
でも、着た姿は自然だ。街から浮かない。日常を拒まない。
機能のために、ファッションを諦めない。ファッションのために、機能を飾りにもしない。
その二つを、ひとつの服の中で繋いでいる。
MODMNT DETACHABLE L/S TEE。
機能とファッションを繋ぐ、DETACHABLE。
僕は、この一枚にMODMNTというブランドの考え方がよく表れていると思う。
僕は今年48歳になる、世田谷在住のIT会社員です。20代の頃からサーフィンにどっぷりはまって、今もそれは続いています。
当時は西海岸のサーフスタイルにあこがれて、OPやHANGTENのポロシャツ、LEVISのコーデュロイパンツ、CONVERSEのオールスター。古着屋を巡って、マークⅡワゴンでレゲエ聴きながら海に行くのが最高に楽しかった時代でした。今はランクルに乗っていて、車は変わったけど、海に向かう感じは当時とあんまり変わってないかもしれないですね。
あれから20年以上経って、服の趣味も少しずつ変わってきました。レトロサーフの雰囲気は好きなんだけど、もう少し今っぽい感じがいいなと思うようになって。ただ、ありきたりなサーフブランドは着たくないし、大きなブランドロゴが入っているのもどうも苦手で。
そんな時に出会ったのがLAMPAというお店。オーナーが自分と年齢も近いと聞いて、なんとなく気になって行ってみたんです。
THING FABRICSって、世界初の今治タオルのブランドらしいんですが、正直買う前はピンとこなかったんです。タオル地のTシャツって、一見すごく暑そうじゃないですか。
でも着てみたら全然違って。ほどよくゆったりしたシルエットで、パイル生地特有のふわっとした感じがあるのに、風が体の中を抜けていく感覚があって、意外に涼しい。これは本当に新しい発見でした。
しかも無地なんですけど、生地の表情がちゃんとあるから、周りからよく「それなんの生地?」って聞かれます。素材だけで会話が生まれる服って、そうそうないですよね。
で、気づいたら3色全部買ってました(笑)。こういうの久しぶりです。色違いで全部ほしいって思ったの。それだけ着心地と生地感が気に入ったってことだと思います。
サーフィンのあとにも着てみたら、普通のタオルより吸水性が高いし、風が抜けるから乾くのも早い気がして。これ、海上がりに最高です。
A VONTADEというブランドのファティーグショーツも一緒に買いました。
なんか古着のミリタリーっぽい雰囲気があって、昔古着ばかり着ていた自分としては、すぐに反応してしまって(笑)。ただミリタリー一辺倒じゃなくて、丸みのあるポケットとウエストのクライミングパンツみたいな仕様が混在していて、そのバランスが絶妙なんですよね。ミリタリー過ぎず、アウトドア過ぎず、これが自分にはちょうどいい。
あと穿いてみてわかったんですけど、ポケットの位置と深さが本当によく計算されていて。手を下ろすと自然にそこにポケットがあって、スっと入る感じ。なんかこれって当たり前のようで、意外とない。
そしてタイガーカモという柄が、また個人的には好きで。迷彩柄って、なぜか大人が取り入れやすいんですよね。理由はうまく説明できないんですけど、しっくりくる。その中でもタイガーカモは一番好きかもしれません。
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都会をベースにしながら、週末はサーフィンやアウトドアを楽しむ自分のライフスタイルに、気づいたらぴったりはまっていました。サーフブランドじゃないのに、サーフィンにも使えて、街でも浮かない。そういう服ってなかなかなかったので、気づいたら海帰りも街もこればっかり着ています。
BRENAの服には、どこか“熱を抑えた格好良さ”がある。
ヴィンテージを知っている。ワークも知っている。
ミリタリーも、ヨーロッパ古着も知っている。
でも、それをそのまま再現しようとはしない。
元ネタを強く語ることもない。
古着らしさを、必要以上に演出することもない。
知っているからこそ、少し離れる。
その距離感が、BRENAの服にはある。
今回のFLAPも、まさにそういう一枚だった。
使用しているのは、60年代のデッドストック・フレンチシャンブレー。
その言葉だけでも十分に特別だ。
でも僕は、この服の本当の面白さは“古い生地を使っていること”だけではないと思っている。
60年代から今日まで、誰にも袖を通されず眠っていた生地。
その時間が、今から動き出す。
シャンブレーと聞くと、アメリカのワークウェアを思い浮かべる人も多いと思う。
無骨なワークシャツ。色の抜けたブルー。デニムやチノと合わせる、乾いた男っぽさ。
もちろん、それも格好いい。
でも、今回のフレンチシャンブレーは少し違う。
乾いた質感はある。でも、粗野になりすぎない。
ワークの空気はある。でも、どこか品が残る。
色も単純なブルーではない。曖昧で、少しくすんでいて、奥行きがある。
光の当たり方によって、表情が微妙に変わる。
僕は、そこにヨーロッパの古いワークウェアらしい静けさを感じる。
強く見せない。でも、無地の新品生地には出せない存在感がある。
派手ではないのに、なぜか目に残る。
この曖昧さがいい。
今の技術なら、古い生地に似たものを作ることはできると思う。
糸を選ぶ。色を調整する。織り方を研究する。加工を加える。
かなり近いものは作れるかもしれない。
でも、時間そのものは再現できない。
60年代に織られた。その後、服にならなかった。
誰にも着られなかった。洗われることもなかった。
そして、長い時間を経て今ここにある。
その事実まで含めて、この生地の空気になっている。
ただ古いからいいのではない。
新品の生地には出せない“時間の層”がある。
僕は、このシャンブレーを見ているとそう感じる。
この生地は、60年代から今日まで誰にも袖を通されず眠っていた。
そう考えると、少しロマンがある。
本来なら、もっと早く誰かの服になっていたかもしれない。
ワークシャツになっていたかもしれない。
誰かが毎日のように着ていたかもしれない。
汚れて。洗われて。色が抜けて。
とっくに役目を終えていた可能性だってある。
でも、そうならなかった。生地のまま残った。
そして今、BRENAのFLAPという形になった。
あなたが着ることで、初めて動き出す。
僕は、この事実だけでもかなり面白いと思っている。
デッドストックという言葉には、不思議な響きがある。
古い。でも、使われていない。
時間は経っている。でも、服としての時間はまだ始まっていない。
この矛盾が面白い。
洗う。着る。また洗う。
肘に少しシワが入る。袖口が馴染む。
生地が少し柔らかくなる。色の見え方も変わっていく。
60年以上前に織られた生地なのに、経年変化はこれから始まる。
新品なのに、最初から“育つ未来”が見えている。
僕は、そこにこの服ならではの贅沢さを感じる。
シルエットのベースにあるのは、ヨーロッパのワークシャツ。
でも、単純な再現ではない。
肩には、ほどよく余白がある。身幅にも、自然なゆとりがある。
その一方で、裾は少し短め。ただ大きいだけでは終わらない。
ここがBRENAらしい。
古いワークシャツの空気は残っている。
でも、着た姿は懐古的に見えない。
太いパンツにも合う。軍パンにも合う。
少し綺麗なスラックスにも合わせられる。
ワークシャツなのに、スタイルを限定しない。
今は、ゆったりした服が珍しくない。
肩を落とす。身幅を広げる。サイズを大きくする。
それだけでも、今っぽいシルエットは作れる。
でも、FLAPは少し違う。
肩と身幅には余白がある。その一方で、着丈を必要以上に長くしない。
だから、身体から離れているのに重たく見えない。
生地の乾いた表情。身幅の余白。少し短めの裾。
その全部が重なって、独特の軽さが生まれる。
僕は、これを単なるオーバーサイズとは思っていない。
大きくしているのではない。服と身体の間に、必要な余白を作っている。
そして、この服のもうひとつの重要な部分が縫製だ。
縫製は、国内トップレベルのドレスシャツ工房へ依頼している。
ここが面白い。
素材は、60年代のデッドストック・フレンチシャンブレー。
ベースは、ヨーロッパのワークシャツ。
それを、ドレスシャツの技術を持つ工房が縫う。普通に考えれば、少し方向が違う。
でも、その“ずれ”がこの服を作っている。
ワークの空気は残る。でも、粗野になりすぎない。
ラフに着られる。でも、どこか品がある。
着た瞬間に感じる、妙な整い方。
僕は、その理由のひとつがこの縫製にあると思っている。
古い生地を使えば、ヴィンテージの空気は出る。
古い服を参考にすれば、ワークウェアらしさも作れる。
でも、それだけではBRENAにはならない。
60年代のフレンチシャンブレー。ヨーロッパのワークシャツ。
現代的なシルエットバランス。そして、国内トップレベルのドレスシャツ工房による縫製。
違う時代。違う背景。違う技術。
それらを、ひとつの服の中で自然に共存させる。
僕は、そこにBRENAというブランドの面白さがあると思っている。
ヴィンテージを知っている。でも、ヴィンテージに寄りかからない。
技術を持っている。でも、技術を見せつけない。
熱はある。でも、その熱を表へ出しすぎない。
60年代から眠っていた、デッドストック・フレンチシャンブレー。
まだ誰にも着られていない。まだ誰の癖も入っていない。
でも、生地そのものには長い時間がある。
その生地を、今のシルエットへ落とし込む。
そして、日本の確かな技術で縫い上げる。
古着でもない。ただの新品でもない。
ヴィンテージの空気と、日本の技術。
過去の時間と、これから始まる経年変化。その両方が、一枚の中にある。
BRENA FLAP 60s DEADSTOCK FRENCH CHAMBRAY。
60年間、誰にも着られなかった生地。
その時間が、着る人によって今から動き出す。
気づけば何年も着ている。
僕には、そんな未来が自然と想像できる一枚だ。
軍パンなのに、重たく見えない。
無骨なのに、街に馴染む。
A VONTADE DRAWSTRING CARGO EASY VTD-0515-PTには、そんな独特の“抜け”がある。
カーゴポケットがある。
リップストップを使っている。
デザインの背景には、USミリタリーのジャングルファティーグがある。
ここまで聞けば、かなり無骨なパンツを想像すると思う。
でも、実際に穿くと印象が違う。
強さはある。
それなのに、重くない。
白いTシャツにも馴染む。
シャツを合わせても、パンツだけが浮かない。
スニーカーでもいい。
革靴でも成立する。
僕は、このパンツの核心はそこにあると思っている。
ミリタリーを弱くしたのではない。
ミリタリーの強さを残したまま、今の都市生活へ持ってきている。
使用されているのは、オリジナルのジャングルファティーグと同規格で再現されたリップストップ生地。
ここは、このパンツを考える上でかなり重要だ。
単に“ミリタリー風”の生地を使ったわけではない。
ジャングルファティーグという服が、なぜあの生地だったのか。
なぜ薄いのか。
なぜ軽いのか。
なぜ格子状に補強されているのか。
その背景まで受け取った上で、今の一本へ落とし込んでいる。
薄手ながら、適度なハリがある。
肌離れの良い、ドライなタッチ。
乾きも早い。
蒸し暑い夏でも、生地が脚へまとわりつきにくい。
軽い。
でも、頼りなくは見えない。
この相反する感覚が、ジャングルファティーグ由来のリップストップにはある。
夏に穿くパンツなら、軽くて乾きやすい方がいい。
それだけを考えれば、化繊という選択肢もある。
でも、このパンツはコットン100%だ。
僕は、そこがいいと思っている。
穿く。
洗う。
また穿く。
少しずつ色が抜ける。
生地が柔らかくなる。
ポケットの縁にアタリが出る。
膝の裏に、その人の動きが残る。
新品の時にはなかった表情が、少しずつ生まれていく。
快適だから穿く。
それだけではない。
穿いた時間そのものが、生地へ残っていく。
化繊のような“便利さだけ”で終わらない。
この経年変化まで含めて、僕はこの生地の魅力だと思っている。
デザインソースは、往年のジャングルファティーグ。
でも、単なる復刻ではない。
A VONTADEは、元ネタをそのまま蘇らせるのではなく、今の生活の中でどう穿くかを考えている。
その象徴が、ウエストだ。
ドローコード仕様のイージーパンツ型へアレンジされている。
ベルトを締めなくてもいい。
腰まわりに、少し力が抜ける。
でも、ただラクなだけのイージーパンツには見えない。
ミリタリーの骨格が残っているからだ。
カーゴパンツとしての強さ。
リップストップの表情。
ジャングルファティーグ由来の空気。
そこへ、現代の日常に必要な気楽さを加える。
僕は、こういう再構築がA VONTADEらしいと思う。
フロントには、タックが入っている。
小さな違いに見える。
でも、このタックがパンツ全体の見え方を変えている。
腰まわりに自然な余白が生まれる。
生地が真っ直ぐ落ちるのではなく、少し立体的に流れる。
ミリタリー特有の強さが、ほんの少し和らぐ。
だから、カーゴパンツなのに重たく見えない。
無骨なのに、どこか都会的に見える。
軍パンを細くしたから、街に馴染むのではない。
ディテールを消したから、軽く見えるのでもない。
タックによって、布の流れそのものを変えている。
僕は、このやり方がかなり上手いと思う。
強さを消さずに、温度だけを変える。
ジッパーには、WALDESジッパーを採用している。
1940〜50年代当時の規格と製法を再現したパーツだ。
正直に言えば、街ですれ違った人が気づくような部分ではない。
パンツを穿いていて、「WALDESですね」と言われることもまずない。
でも、A VONTADEはそこを選ぶ。
元になった時代の空気を、表面的なデザインだけで終わらせないためだと思う。
カーゴポケットを付ける。
リップストップを使う。
それだけなら、ミリタリーテイストは作れる。
でも、このパンツはもう一段深い。
見えにくい場所にまで、ヴィンテージミリタリーへの敬意が残っている。
僕は、こういう小さな積み重ねが最終的な服の空気を作ると思っている。
裾には、ドローコードが配置されている。
絞らず、そのまま穿く。
生地が自然に落ちる。
カーゴパンツらしい、少し力の抜けたストレートな表情になる。
そこから裾を絞る。
足元に生地が溜まる。
シルエットに丸みが生まれる。
パンツ全体の重心が変わる。
同じ一本なのに、見え方がかなり違う。
スニーカーなら、少し絞る。
サンダルなら、軽く溜める。
革靴なら、絞らず自然に落とす。
合わせる靴によって、パンツ側を変えられる。
ただの機能ではない。
スタイリングそのものを調整できるディテールだ。
カーゴパンツと聞くと、太くて重いものを想像する人も多いと思う。
US軍のM-65。
フランス軍のM-47。
どちらも名作だ。
僕も好きだ。
でも、その存在感は強い。
生地にも重量がある。
シルエットにも迫力がある。
それが魅力である一方、今の都市生活では少し重く感じる日もある。
DRAWSTRING CARGO EASYは、その場所にはいない。
もともとジャングルファティーグが持っていた、軽さのあるバランスを活かしている。
太すぎない。
重すぎない。
でも、細くもない。
カーゴパンツとしての存在感は、きちんと残っている。
僕は、この中間が今の東京にはよく合うと思う。
ジャングルファティーグと同規格で再現されたリップストップ。
コットン100%だからこそ生まれる経年変化。
ドローコード仕様のイージーウエスト。
腰まわりに余白を作るタック。
WALDESジッパー。
そして、シルエットを変えられる裾のドローコード。
ひとつひとつを見ると、違う方向を向いているように見える。
ヴィンテージ。
ミリタリー。
イージーパンツ。
都市生活。
でも、A VONTADEはそれを一本の中で自然に繋げている。
ミリタリーの強さは残す。
でも、重さは残さない。
無骨さは残す。
でも、街を拒まない。
A VONTADE DRAWSTRING CARGO EASY VTD-0515-PT。
軍パンの強さを、都市の温度へ。
僕は、この一本にLAMPAが考える“CITY RUGGED”の空気を強く感じている。
最近、Tシャツが少し綺麗すぎると感じることがある。
滑らかで、整っていて、品がある。
もちろん、それは悪いことではない。
むしろ一枚で着た時に、きちんと見える。
大人が着やすい。
今のTシャツとして、とても正しいと思う。
でも、デニムを穿いた時。
軍パンを穿いた時。
少し穿き込んだチノを合わせた時。
どこか物足りなさを感じる瞬間がある。
パンツには時間が刻まれているのに、Tシャツだけが妙に綺麗に見える。
色落ちしたデニム。
アタリの出た軍パン。
少しクタっとしたチノ。
その隣に、もっと自然に立てるTシャツが欲しい。
A VONTADE 7.5oz Pocket T-Shirts S/Sは、そんな感覚に静かに応えてくれる一枚だ。
使用されているのは、空紡糸を使ったブランドオリジナルファブリック。
触れた瞬間に分かる。
滑らかではない。
しっとりともしていない。
カリッと乾いている。
表面には、空紡糸特有の少しラフな表情がある。
そして、7.5ozというしっかりとした肉感。
薄くて軽いTシャツとは、明らかに違う。
一枚で着た時に、生地そのものがちゃんと残る。
身体の線を必要以上に拾わない。
でも、ただ厚いだけではない。
乾いたタッチがあるから、重たく見えすぎない。
僕は、この“カリッとした感じ”が好きだ。
ツルっと綺麗なTシャツにはない。
着込める男っぽさがある。
空紡糸には、独特の表情がある。
糸の中心に適度な空気を含みながら、外側には撚りがかかる。
その構造が、ふっくらとしたボリュームと、表面のドライな質感を生む。
綺麗に整いすぎない。
少し粗野で、少し乾いている。
でも、そのラフさが服になると格好いい。
特に、デニムや軍パンとの相性はいい。
ボトムスが持っている無骨さに、Tシャツが負けない。
かといって、ヘビーウェイトTシャツ特有の強い存在感だけで押してくるわけでもない。
ちゃんと日常に馴染む。
この距離感が、A VONTADEらしいと思う。
この生地は、日本国内でもごく僅かしか現存していない希少な丸編み機によって編み立てられている。
ここも、このTシャツの重要な部分だ。
生地は、糸だけで決まらない。
何で編むか。
どんな速度で編むか。
どんなテンションをかけるか。
その違いが、最終的な風合いへ現れる。
このTシャツには、現代的な均一さとは少し違う空気がある。
生地に、わずかな膨らみがある。
しっかりしているのに、板のように硬くない。
着た時に、身体との間へ自然な余白が生まれる。
その表情は、スペックだけでは説明しきれない。
古い機械を使えば格好いい、という話ではない。
この糸と、この肉感を、どういう生地にしたいのか。
その答えとして、この編み方が選ばれている。
丸胴ならではの特徴が、脇に縫い目がないこと。
一見すると、小さな違いに見える。
でも、長く着ると分かる。
身体をひねる。
腕を動かす。
一日中着る。
その時、脇の縫い代が身体へ当たりにくい。
ストレスが少ない。
さらに横方向への伸びにも強く、型崩れしにくい。
ラフに着る。
洗う。
また着る。
その繰り返しの中で、自然と身体へ馴染んでいく。
Tシャツは、飾っておく服ではない。
だから僕は、こういう“着続けるための構造”に惹かれる。
デザイン自体は、非常にベーシックだ。
クルーネック。
胸ポケット。
半袖。
大きなロゴもない。
強い装飾もない。
だからこそ、生地や縫製、細かなバランスの違いが、そのまま服の空気として現れる。
肩がどこへ落ちるか。
袖がどう見えるか。
身幅にどれだけ余白があるか。
首元がどのくらい締まっているか。
ひとつひとつは、小さな違いだ。
でも、Tシャツはシンプルだから、その小さな違いが全部見える。
何もない服ほど、誤魔化せない。
このTシャツには、その怖さを受け止めるだけの生地と作りがある。
裾や袖口には、ヴィンテージTシャツに見られる天地引きの縫製仕様を採用している。
表側から見ると、ポツポツとした縫い目が見える。
一見すると、少し頼りなく感じるかもしれない。
でも、実際には高い強度を持つ。
さらに、綺麗に仕上げるには職人の技術が必要になる。
今では、かなり希少な仕様だ。
僕が面白いと思うのは、天地引きが単なるヴィンテージ再現で終わっていないこと。
この空紡糸の生地。
この7.5ozの肉感。
この少し無骨な表情。
そこへ、天地引きのポツポツとした縫い目が入る。
すると、Tシャツ全体の空気が少しだけ変わる。
綺麗に整いすぎない。
でも、雑ではない。
この微妙な境界線が格好いい。
さらに特徴的なのが、あえて細めに設定された首元のリブ。
今のヘビーウェイトTシャツは、首元を強く作るものが多い。
太いリブ。
強いテンション。
何度洗っても形が変わりにくい。
もちろん、それもひとつの正解だ。
でも、A VONTADEは違う。
あえて細い。
新品の時は、少し頼りなく感じるかもしれない。
でも、僕はそこがいいと思っている。
着込む。
洗う。
また着る。
少しずつ自然なヨレが出る。
首元に、力の抜けた表情が生まれる。
その変化が、このTシャツの空気をさらに深くしていく。
色落ちしていくデニム。
アタリが出た軍パン。
少しクタっとしてきたチノ。
僕は、そういうパンツが好きだ。
新品の時より、穿いた後の方が格好いい。
その人の時間が、少しずつ服へ残っていく。
だから、合わせるTシャツも綺麗すぎない方がいい時がある。
少し乾いた生地。
少し力の抜けた首元。
着込むことで生まれる自然な表情。
それが、経年変化したボトムスと合わさった時、不思議なくらい自然に馴染む。
Tシャツだけが新品の顔をしない。
パンツの時間に、ちゃんと寄り添っていく。
僕は、この感覚がかなり好きだ。
7.5ozの肉感。
空紡糸特有のドライなタッチ。
希少な丸編み機による生地。
丸胴のストレスの少ない着心地。
天地引き。
そして、あえて細く設定された首元のリブ。
ひとつひとつを見ると、派手なものは何もない。
でも、全部が重なると、このTシャツにしかない空気が生まれる。
綺麗すぎない。
でも、ただ雑でもない。
無骨さはある。
でも、街から浮くほど強くない。
デニムに合う。
軍パンに合う。
チノにも合う。
そして、東京の日常に自然と馴染む。
A VONTADE 7.5oz Pocket T-Shirts S/S VTD-0590-CS。
都市生活に馴染む、適度な無骨さ。
僕は、この一枚にA VONTADEらしい空気がしっかり詰まっていると思う。
ただ古いだけでは、出せない空気がある。
この生地を見た瞬間、僕はそれを感じた。
しっかりとしたハリとコシ。
それでいて、肌に触れると滑らか。
そして何より、このストライプだ。
派手ではない。
でも、静かに目を引く。
どこか色気がある。
それなのに、男っぽさも残っている。
今の生地には、なかなか見つからない配色だった。
BRENA BLAZE 80S DEADSTOCK THOMAS MASON。
LAMPAがBRENAにお願いして製作してもらった、特別な別注モデルだ。
使用したのは、THOMAS MASONの80年代デッドストック生地。
80年代に織られた生地を、今、新品のシャツとして袖を通す。
僕は、それ自体がかなり贅沢なことだと思っている。
THOMAS MASONは、1796年創業。
長い歴史を持つ、英国を代表するシャツ生地メーカーのひとつだ。
上質なシャツ生地。
美しい発色。
滑らかな肌触り。
その名前に、端正なドレスシャツのイメージを持つ人も多いと思う。
でも、今回使った生地は少し違う。
80年代のデッドストック。
今のTHOMAS MASONとは、どこか空気が違う。
色の組み合わせに、少し大胆さがある。
でも、決して派手ではない。
品がある。
その一方で、少し男っぽい。
綺麗に整いすぎていない。
僕は、この微妙な“色気”に惹かれた。
古いからいいのではない。
その時代にしか存在しなかった感覚が、生地の中に残っている。
そこがいい。
ヴィンテージ生地と聞くと、それだけで特別に見える。
でも僕は、古い生地だから価値があるとは思っていない。
大事なのは、今着て格好いいかどうかだ。
この生地は、そこが強かった。
80年代の空気を持っている。
でも、懐古的には見えない。
昔のシャツを再現するために使うのではなく、今のシルエットへ落とし込む。
デニムに合わせる。
軍パンに合わせる。
黒いパンツに合わせる。
その時、生地の古さではなく、配色の良さが前へ出る。
80年代のヴィンテージファブリックを、資料として眺めるのではない。
汗をかく。
洗う。
また着る。
僕は、その方がずっと贅沢だと思う。
デザインは、オープンカラー。
襟元にはチーループ。
シルエットは、ややゆったりとしたボックス型。
肩の力が抜けている。
でも、ラフすぎない。
このバランスが、80年代のTHOMAS MASONとよく合った。
もし、これを端正なドレスシャツにしていたら。
もちろん、生地の良さは伝わったと思う。
でも、このストライプが持つ色気や男っぽさは、少し違って見えたかもしれない。
半袖。
オープンカラー。
ゆとりのあるボックスシルエット。
その力の抜けた形へ、上質なドレスシャツ生地を入れる。
僕は、この少しの“ずれ”が好きだ。
上質だから、かしこまる必要はない。
むしろ、上質なものほど日常でラフに着たい。
胸元を見る。
一見すると、シンプルなポケットに見える。
でも、実際には違う。
上から物を入れるポケット。
そして、横から手を入れられるポケット。
二つは、中で繋がっていない。
完全に別構造になっている。
ただ変わったデザインを作りたかったわけではない。
使い方そのものを分けている。
上から入れる。
横から入れる。
同じ場所にありながら、それぞれが別の役割を持つ。
こういうところに、BRENAらしさがあると思う。
大きなデザインで見せない。
一見シンプルに見える。
でも、使っていくと気づく。
静かな遊び心が、服の中に隠れている。
ボタン付けには、千鳥掛けを採用している。
手作業でしか行えない仕事だ。
正直に言えば、街ですれ違った人が気づくような部分ではない。
シャツを着ていて、「千鳥掛けですね」と言われることもまずない。
でも、だからこそいい。
誰かに見せるためではない。
服として、きちんと作る。
ボタンという小さな部品にまで、人の手を残す。
僕は、こういう仕事に品が宿ると思っている。
高級に見せるための装飾ではない。
目立たない場所を、丁寧に仕上げる。
その積み重ねが、最終的に服全体の空気を作る。
縫製を担当するのは、国内トップレベルのドレスシャツ工房。
ここが、このシャツのもうひとつの核心だ。
半袖のオープンカラーシャツ。
アイテムだけを見れば、かなりラフだ。
でも、その奥にはドレスシャツ由来の緊張感がある。
縫いの正確さ。
パーツの収まり。
襟の見え方。
ボタンまわりの静かな美しさ。
大きく主張するものではない。
でも、着ると分かる。
肩の力は抜けているのに、空気が整う。
カジュアルなのに、どこか品が残る。
その理由は、表面的なデザインだけではない。
服の奥に、ドレスシャツを作る技術がある。
THOMAS MASON。
80年代デッドストック。
国内トップレベルのドレスシャツ工房。
千鳥掛け。
ここまで聞くと、かなり特別なシャツに思える。
実際、特別だ。
でも、僕がこのシャツで好きなのは、特別に見せすぎていないところだ。
オープンカラー。
半袖。
ゆったりとしたボックスシルエット。
日常で着るための形だ。
高級な生地を、高級そうに見せる。
それは、ある意味では分かりやすい。
でも、上質な生地を力の抜けた服へ落とし込む。
その方が難しい。
カジュアルなのに、品が残る。
肩の力は抜けているのに、空気が整う。
僕が欲しかったのは、そこだった。
230年以上の歴史を持つTHOMAS MASON。
その80年代に織られたデッドストック生地。
今ではなかなか出会えない、美しいストライプ。
BRENAのBLAZEという形。
二層構造のポケット。
手作業による千鳥掛け。
そして、国内トップレベルのドレスシャツ工房による縫製。
ひとつひとつなら、似た条件は見つかるかもしれない。
でも、すべてが同時に揃うことは簡単ではない。
何より、生地はデッドストックだ。
使えば、なくなる。
同じものを、もう一度織ることはできない。
80年代という時間そのものを、再生産することもできない。
この条件が、再び揃うことはないかもしれない。
今ここにある。
そして、新品のシャツとして袖を通せる。
それだけで、十分に特別な理由になる。
BRENA BLAZE 80S DEADSTOCK THOMAS MASON LAMPA別注。
僕は、このシャツをそういう一枚だと思っている。
無骨なのに、どこか品がある。
このパンツを初めて見た時、僕が感じたのはそこだった。
ミリタリーの空気は、確かにある。
大きなポケット。
リップストップ。
スノーカモ。
ひとつひとつを見れば、かなり無骨だ。
でも、穿いた姿は不思議なほど静かに見える。
軍パン特有の強さがありながら、どこか整っている。
Tシャツ一枚でも成立する。
シャツを合わせれば、急に大人っぽくなる。
革靴を履いても、パンツだけが浮かない。
BARNSTORMER DRESS FATIGUE SNOW CAMOは、USミリタリーのファティーグパンツをベースにしながら、そこへテーラードの思想を落とし込んだ一本だ。
僕は、このパンツを見るたびに思う。
軍パンとスラックスは、本当に遠い存在なのだろうか。
使用されているのは、スノーカモ柄のリップストップ生地。
本来、スノーカモは雪上でのカモフラージュを目的として生まれた。
ウッドランドカモとも違う。
タイガーカモとも違う。
一般的な迷彩柄が、色と柄を重ねながら風景へ溶け込もうとするのに対して、スノーカモには独特の余白がある。
白を基調とした空間。
その中に、静かに走る柄。
ミリタリーなのに、どこか音が少ない。
僕は、この静けさが好きだ。
カモフラージュなのに、強く主張しすぎない。
柄物なのに、余白がある。
だからこそ、この柄には独特の“抜け”が生まれる。
ミリタリー特有の強さは残る。
でも、都会の服として成立する軽さがある。
派手ではない。
けれど、無地には絶対に出せない奥行きがある。
生地は、格子状に補強されたリップストップ。
薄い。
軽い。
それでいて、しっかりとした強さがある。
リップストップという生地の面白さは、ここにあると思う。
厚くすることで強度を出すのではない。
格子状の組織によって、生地そのものを補強する。
だから、軽快さを残せる。
乾きも早い。
蒸し暑い日本の夏でも、生地が肌へまとわりつきにくい。
いわゆる軍モノ特有の“重さ”が、ここにはない。
軍パンは格好いい。
でも、真夏になると手が伸びなくなる。
厚い。
重い。
暑い。
そういうパンツも多い。
DRESS FATIGUE SNOW CAMOは違う。
ミリタリーの存在感を残したまま、真夏でも自然に穿ける。
ありそうで、なかなかない。
デザインベースは、USミリタリーのファティーグパンツ。
大きめのフロントポケット。
ヒップにはフラップポケット。
元になった軍パンの空気は、きちんと残されている。
ここが大事だと思う。
上品に見せるために、ミリタリーを消しているわけではない。
軍パンの形を残す。
ポケットの存在感も残す。
スノーカモという柄も残す。
その上で、穿いた時の見え方を変えていく。
僕は、そこにBARNSTORMERの面白さがあると思っている。
ミリタリーを綺麗に見せるのではない。
ミリタリーのまま、仕立てで整える。
この違いは大きい。
細部に目を向けた時、このブランドの本気が見えてくる。
前立てには、スラックスに見られるテング仕様を採用。
軍パンでは、まず意識しない場所だ。
でも、ここが違う。
ウエストまわりを安定させ、腹部をすっきり見せる。
穿いた時のフロントラインが、自然に整う。
派手なディテールではない。
外から見て、一目で分かるものでもない。
でも、穿いた姿には出る。
僕は、こういう設計が好きだ。
見せるためのディテールではなく、服そのものを美しく見せるためのディテール。
軍パンの中へ、スラックスの考え方が静かに入っている。
フロントボタン下には、ピンループ。
ベルト着用時のズレを抑え、余計なシワが出ることを防ぐ。
さらに、ウエスト内部には芯入りのマーベルト。
タックインした時の腰まわりを、自然に落ち着かせる。
どちらも、普通に穿いているだけではほとんど見えない。
でも、その見えない部分がシルエットを支えている。
シャツをタックインする。
ベルトを締める。
その時、腰まわりが妙に綺麗に見える。
軍パンなのに、なぜか整って見える。
その理由は、こういう見えない場所にある。
BARNSTORMERは、軍パンを作りながら、腰まわりをスラックスとして考えている。
僕は、そこが本当に面白いと思う。
そして、BARNSTORMERを語る上で外せないのがプレスワークだ。
パンツは、縫えば完成するわけではない。
どこへ熱を入れるか。
どこを伸ばすか。
どこを縮めるか。
その積み重ねで、平面的な生地が立体へ変わっていく。
BARNSTORMERのパンツには、このプレスの思想がある。
脚の形に沿うように描かれる、美しいカーブ。
正面から見た時だけではない。
横から見た時。
歩いた時。
少し身体をひねった時。
パンツが平面のままではなく、身体の周りに立体として存在する。
だから、ミリタリーパンツとは思えないほどシルエットが研ぎ澄まされる。
生地は無骨だ。
柄もミリタリーだ。
でも、立ち姿はスラックスに近い。
この矛盾が、格好いい。
スノーカモ。
リップストップ。
大きなファティーグポケット。
フラップ付きのヒップポケット。
ここまでなら、確かに軍パンだ。
でも、その内側にはテング仕様がある。
ピンループがある。
芯入りのマーベルトがある。
そして、立体を作るプレスワークがある。
つまり、このパンツは軍パンの形を借りただけではない。
ミリタリーという素材を、仕立て屋の目で作り直している。
僕は、そこにBARNSTORMERというブランドの本質があると思っている。
無骨さを消さない。
でも、無骨さだけに頼らない。
上品に見せる。
でも、綺麗にまとめすぎない。
軍パンなのに、どこか静かで品がある。
真夏に穿けるほど軽いのに、服としての存在感は残る。
BARNSTORMER DRESS FATIGUE SNOW CAMO。
軍パンに、仕立て屋の哲学を。
僕は、この一本をそう見ている。
最近のショーツは、どこか“優しすぎる”と思うことがある。
軽い。
快適。
涼しい。
たしかに穿きやすい。
でも、何かが残らない。
穿いた瞬間はラクだけど、気持ちは上がらない。
街に出ても、どこか印象に残らない。
夏だから仕方がない。
そう思ってしまえば、それまでだ。
でも僕は、ショーツにもちゃんと服としての格好良さが欲しい。
涼しいだけではなく、穿いた時に少し気分が変わる。
白いTシャツ一枚でも、ちゃんとその人の空気が残る。
A VONTADE FATIGUE SHORTS VTD-0357-PT2は、そんな“便利なだけのショーツ”とは少し違う。
生地には、オリジナルのジャングルファティーグと同規格で再現されたリップストップを採用している。
ここが、まず面白い。
単に“ミリタリー風”の生地を使ったわけではない。
元になったものが、なぜあの質感なのか。
なぜ薄いのか。
なぜ軽いのか。
なぜ格子状に補強されているのか。
その背景まで受け取った上で、今の服へ持ってきている。
薄手なのに、雰囲気がある。
軽いのに、妙に頼もしい。
この相反する感覚が、ジャングルファティーグ由来のリップストップにはある。
僕は、この生地を触るたびに思う。
軽さと薄さは、決して弱さではない。
むしろ、必要なものだけを残した結果なのだと。
触れた瞬間に伝わる、独特のドライなタッチ。
汗ばむ時期でも、肌に張り付きにくい。
風が抜ける。
乾きも早い。
夏に穿くショーツとして、かなり理にかなっている。
でも、このパンツの良さは機能だけではない。
アウトドアブランドの化繊ショーツのような、強い“道具感”へ寄っていない。
コットンの表情が、ちゃんと残っている。
光の当たり方で、生地の陰影が変わる。
少しシワが入る。
穿いた人の動きが、そのまま生地に残る。
高機能だから格好いいのではない。
服として格好いいものが、結果として夏にも使いやすい。
僕は、この順番が大事だと思っている。
洗って、穿いて、また洗う。
少しずつアタリが出る。
生地が柔らかくなる。
色が馴染んでいく。
リップストップの格子も、最初とは少し違う表情になっていく。
新品がピークではない。
時間と一緒に育っていく。
この“経年変化するショーツ”という感覚が、まず格好いい。
ショーツは、どうしても消耗品のように扱われやすい。
暑いから穿く。
汗をかく。
洗う。
また穿く。
それで終わるものも多い。
でも、このFATIGUE SHORTSは違う。
穿いた時間が、少しずつ生地に残っていく。
去年より今年。
今年より来年。
少し馴染んだ頃の方が、たぶん格好いい。
デザインベースは、アメリカ軍のファティーグパンツ。
独特な丸みを帯びたカーゴポケット。
片手でラフに調整できるウェービングベルト。
さらに股下には、可動域を広げるガゼットクロッチ。
ひとつひとつを見ると、かなり機能的だ。
でも、穿いた姿は機能服には見えない。
軍パンみたいに重たく見えない。
かといって、ただのイージーショーツみたいに軽くも見えない。
この間にいる。
僕は、そこがA VONTADEらしいと思う。
元ネタを消さない。
でも、そのまま縮めただけのショーツにもならない。
軍パンが持っていた強さを残しながら、夏の街で穿ける長さと軽さへ変えている。
股下には、ガゼットクロッチが入っている。
正直に言えば、立っているだけではほとんど気づかない。
前から見ても、大きく主張するディテールではない。
でも、動くと分かる。
しゃがむ。
自転車に乗る。
階段を上がる。
脚を大きく開く。
そういう時に、股まわりが変に突っ張らない。
見えないところで、身体の動きを逃がしてくれる。
僕は、こういうディテールが好きだ。
説明されなければ気づかない。
でも、一度知ると、その服の見え方まで変わる。
デザインのための機能ではなく、使うための設計。
その結果として、シルエットまで自然に見える。
白いTシャツ。
ビーチサンダル。
夏なら、それだけでいい。
でも、その簡単な合わせほどパンツの違いが出る。
FATIGUE SHORTSなら、ラフなまま空気が残る。
リップストップの表情。
丸みのあるカーゴポケット。
ウェービングベルト。
それぞれが強く主張するわけではない。
でも、全部が重なると、ただの白Tとショーツでは終わらない。
シャツを羽織れば、少し大人っぽくなる。
革靴を合わせれば、また違う。
軍パン由来なのに、合わせる服を限定しない。
これも、このショーツの強さだと思う。
蒸し暑い東京の夕方。
一日が終わっても、まだ街に熱が残っている。
コンビニに行くだけ。
近所で少し飯を食うだけ。
別に、誰かに見せるための服ではない。
でも、玄関でこのショーツを穿くと、なんだか少し気分がいい。
気取っていないのに、静かに格好いい。
頑張っていないのに、雰囲気が出る。
僕は、夏の服にはこういう感覚が必要だと思っている。
暑いから仕方なく穿くのではない。
暑い日でも、これを穿きたいと思える。
その違いは大きい。
こういうショーツは、探すと意外と少ない。
軽いものはある。
涼しいものもある。
動きやすいものもある。
でも、それだけでは気分までは動かない。
A VONTADE FATIGUE SHORTS VTD-0357-PT2は違う。
オリジナルのジャングルファティーグと同規格で再現されたリップストップ。
穿くほどに変わるコットンの表情。
丸みを帯びたカーゴポケット。
ラフに調整できるウェービングベルト。
動きを邪魔しないガゼットクロッチ。
すべてが、夏の日常へ繋がっている。
ラクだから穿くんじゃない。
気づけば、玄関を出る前に手が伸びている。
僕は、このショーツをそういう一本だと思っている。
暑い夏の日。
少しでも快適でいたくて、気づけばいつも似たような服ばかり選んでいる。
軽さ。
涼しさ。
楽さ。
夏はどうしても、機能を優先した服装になっていく。
でも、それを繰り返しているうちに、どこか気分まで単調になっていく瞬間がある。
お洒落をしたい気持ちはある。
でも、暑さの前ではどうしても後回しになる。
夏は、気づかないうちに“装う楽しさ”から一番遠くなってしまう季節なのかもしれない。
THING FABRICS TF LOOSE T-SHIRT 1mmは、そんな夏の空気を少し変えてくれる一枚だ。
タオルのように水分を吸い取り、驚くほど軽やかな着心地。
それでいて、ただ快適なだけでは終わらない。
独特な素材感と、空気を含むようなシルエットが、いつもの夏服に静かな違いを生み出してくれる。
涼しいだけではなく、ちゃんと気分が上がる。
夏にもう一度、服を着る楽しさを思い出させてくれるTシャツだと思う。
袖を通した時、見た目から想像していた印象が静かに変わる。
ゆったりしている。
でも、だらしなく見えない。
服の中を自然に風が通り抜ける。
肌に張り付きにくく、蒸し暑い日でも驚くほど軽やかだ。
これは、着て初めて実感できる気持ち良さだと思う。
涼しい服はたくさんある。
でも、涼しさだけで終わる服は、意外と飽きる。
このTシャツは違う。
快適さの中に、ちゃんと素材の面白さがある。
大きなロゴはない。
強い主張もない。
それでも、ふとした瞬間に目が止まる服がある。
このTシャツは、そういう種類の服だ。
一般的な天竺編みのTシャツとも違う。
ニット編みのカットソーとも違う。
1mmパイル特有の柔らかな陰影と、ほんのりとした起毛感。
その独特な質感が、無地に深みを与えている。
ただシンプルなだけでは終わらない。
街の光や湿度まで含めて、静かに雰囲気を作ってくれる。
僕は、この“無地なのに記憶に残る感じ”がかなり好きだ。
シルエットはゆったりしている。
でも、ただ大きいわけではない。
生地が落ちる位置。
肩から袖へ流れるライン。
身体との距離。
その細かなバランスだけで、服の見え方は大きく変わる。
大きめなのに、不思議とだらしなく見えない。
力を入れていないのに、自然と雰囲気が整う。
その静かな説得力が、このTシャツにはある。
夏の服は、どうしても簡単になる。
だからこそ、シルエットと素材のわずかな差が大きく出る。
TF LOOSE T-SHIRTは、その差をちゃんと持っている。
原料は、アメリカ・カリフォルニア州サンホーキンバレーで育てられたサンホーキン綿。
その綿を、精紡交撚糸という特殊な紡績技術で撚り上げる。
さらに、THING FABRICSが独自に開発したスパン糸を打ち込んでいく。
そうして生まれたのが、この1mmパイルの生地だ。
タオル生地は、本来アパレルに向いているとは言い切れない。
厚くなる。
重くなる。
形が出にくい。
でもTHING FABRICSは、それを服として成立させた。
伸縮性があり、軽く、そしてタオル特有のあの肌触りがちゃんとある。
汗をかいても、べたつきにくい。
肌に触れた瞬間、すっと水分を引き取っていく。
タオルとしての機能を持ちながら、服として完全に成立している。
今治タオルの品質基準には、沈降法試験というものがある。
水に浮かべたタオルが、どれだけ早く沈むかを測る試験だ。
一般的な基準は、60秒以内。
それに対して、THING FABRICSが作るこの生地は、わずか5秒。
一般的な基準を大きく超えるスピードで、水分を吸い上げていく。
だから蒸し暑い日でも、肌にまとわりつきにくい。
汗をかいたあとも、不思議と不快感が残りにくい。
Tシャツなのに、どこかタオルに包まれているような感覚がある。
でも、ただ快適なだけでは終わらない。
ちゃんと街で着られる空気感がある。
ラフなのに、どこか品が残る。
このバランスが、THING FABRICSらしさだと思う。
タオルが服になる。
その言葉だけ聞けば、少し冗談のように聞こえるかもしれない。
でも、袖を通すと意味が変わる。
今治タオルが誇る吸水性。
他の何にも似ていない、あの柔らかな肌触り。
それが、Tシャツという形でそのまま肌に触れてくる。
これは、素材説明ではなく体験だと思う。
世界のビッグメゾンからも高く評価されてきた今治タオルの技術。
その感性から生まれた、ウェアとしてのタオル。
快適さだけではなく、何年でも着続けたくなるシルエット。
ただの機能服ではない。
“夏の気分”まで変えてくれる一枚だ。
ただ涼しいだけのTシャツでは、もう物足りない。
快適さ。
空気感。
そして、ちゃんと服を着る楽しさ。
その全部を、この一枚は変えてくれる。
暑いから、楽な服を着る。
それは自然なことだ。
でも、楽なだけで終わらなくてもいい。
ちゃんと気分が上がる。
ちゃんと街で着られる。
ちゃんと自分の服になる。
THING FABRICS TF LOOSE T-SHIRT 1mmは、そういうTシャツだ。
夏の空気そのものを、着替えるような一枚。
僕は、このTシャツをそう感じている。
黒、ネイビー、グレー。
気づけば、僕らのワードローブは静かな色ばかりになっていく。
もちろん、それは悪いことじゃない。
むしろ年齢を重ねるほど、派手さよりも“馴染むこと”の心地良さを知っていく。
僕自身もそうだ。
黒いパンツ。
ネイビーのシャツ。
グレーのニット。
黒い革靴。
気づけば、自然とそういう色を選んでいる。
だけど時々、物足りなくなる。
シンプルな白いブルゾン。
黒いシャンブレーパンツ。
黒い革靴。
きちんとまとまっている。
でも、完成されすぎたスタイルは、時に少しだけ閉じている。
そんな時、このTRIALOGUE STUDIOのバッグを持つと、服が急に生き始める。
鮮やかな発色。
でも、不思議と浮つかない。
それは単純な“派手さ”ではなく、素材の深さで色を成立させているからだと思う。
TRIALOGUE STUDIOが使うのは、ブランドオリジナルの国産牛革。
僕は、この革がかなり好きだ。
革本来の良さを潰さないために、必要以上に引っ張らない。
叩かない。
高温乾燥もしない。
時間をかけ、自然乾燥でゆっくり仕上げる。
効率だけを考えれば、もっと早い方法はあると思う。
でも、急がない。
だから、このレザーには独特の“湿度”がある。
ただ綺麗なだけではない。
モチっとした膨らみ。
しっとりとした質感。
表面だけを強く光らせるのではなく、革そのものの奥行きで見せる。
発色が強いのに、どこか落ち着いて見える理由は、たぶんそこにある。
オレンジは鮮やかだ。
ブルーも強い。
でも、色だけが前へ飛び出してこない。
革の質感が、その色をきちんと受け止めている。
僕は、このバランスがすごくいいと思っている。
レザーバッグには、どうしても秋冬のイメージがある。
重い。
かっちりしている。
暑い季節には少し構える。
でも、このバッグは違う。
レザーなのに、重たすぎない。
革の雰囲気が、どこか軽やかだ。
だから、暑い日でもなぜか持ち出したくなる。
Tシャツ。
軽いシャツ。
夏の軍パン。
シャンブレーパンツ。
そういう軽い服の中へ入れても、バッグだけが季節から浮かない。
むしろ、夏の簡単な着こなしに少しだけ深さを加えてくれる。
これは、レザーバッグとしてかなり珍しいと思う。
例えば今回のスタイリング。
白のブルゾン。
シャンブレーパンツ。
足元は黒の革靴。
かなりベーシックだ。
色数も少ない。
そのままでも成立している。
でも、そこにこのバッグが入るだけで空気が変わる。
オレンジなら、都会的なのにどこかアートピースのような存在感。
ブルーなら、夏の光をそのまま閉じ込めたような軽さがある。
面白いのは、このバッグが“主役”なのに、服を壊さないところだ。
色は強い。
存在感もある。
なのに、バッグだけが別の世界へ行かない。
しばらく考えて、その理由が分かった。
グログランテープだ。
レザーの重厚さの中に、少しだけ工業製品っぽい空気が混じる。
この“ずれ”がいい。
もしハンドルまで同じレザーだったら、もっと高級感の強いバッグになっていたと思う。
もちろん、それも成立する。
でも、TRIALOGUE STUDIOはそこへグログランテープを入れた。
レザー。
そして、テープ。
有機的な素材と、少し工業的な素材。
その異質なもの同士が並ぶことで、バッグがラグジュアリーへ寄りすぎない。
だからデニムにも合う。
軍パンにも合う。
Tシャツ一枚にも自然に入る。
僕は、こういう異素材の違和感が好きだ。
すべてを綺麗にまとめるのではなく、ひとつだけ違う空気を入れる。
その少しの“ずれ”が、物を急に面白くする。
しかも、このグログランテープは、ただデザインのためだけに付いているわけではない。
軽い。
柔らかい。
それでいて、しっかり握れる。
肩掛けした時も、身体への馴染みがいい。
レザーのハンドルとは、持った時の感覚が明確に違う。
さらに上部には、少し薄いレザーを使っている。
だから、荷物を入れた時にバッグがただ硬く立つのではなく、自然なドレープが生まれる。
持った時に、少しだけ形が崩れる。
その崩れ方まで計算されている。
こういう“説明されないと気づかない工夫”が、本当に上手い。
見た目のためのデザインと、使うための機能が分かれていない。
ひとつのディテールが、その両方をやっている。
個人的に、このバッグで一番惹かれたのは「高級感」ではない。
“温度”だった。
高級なバッグは、時々ちょっと構えてしまう。
傷を気にする。
置く場所を気にする。
服との格まで気にする。
物としては素晴らしい。
でも、日常との間に少し距離が生まれることがある。
TRIALOGUE STUDIOのバッグは違う。
革なのに、どこか柔らかい。
ちゃんとしているのに、気取っていない。
だから休日のコンビニでも持てる。
そのまま、ちゃんとした店に入っても成立する。
この“日常に馴染む美しさ”は、実はかなり難しい。
LAMPAを19年やってきて、レザーバッグをほとんど扱ってこなかった。
別に、レザーバッグが嫌いだったわけではない。
良い革もたくさん見てきた。
良い縫製のバッグもたくさんあった。
でも、それだけでは僕の中で足りなかった。
良い革。
良い縫製。
高級感。
そこまでなら、選択肢はたくさんある。
僕が欲しかったのは、その先だった。
持った時に気分が上がること。
そして、毎日使いたくなること。
この二つを同時に成立させるバッグは、本当に少ない。
気分が上がるものは、時に日常から離れる。
毎日使えるものは、時に気分を動かさない。
TRIALOGUE STUDIOは、その両方をちゃんと成立させていた。
だから、LAMPAで扱いたいと思った。
便利なバッグなら、もっとたくさんある。
軽い。
ポケットが多い。
雨に強い。
荷物がたくさん入る。
もちろん、それは大切だ。
でも、持って出掛けたくなるバッグは意外と少ない。
このバッグは、たぶん後者だ。
玄関で手に取る。
オレンジを持つ。
あるいは、ブルーを持つ。
その瞬間、少しだけ今日の服が良く見える。
黒、ネイビー、グレー。
静かな色で整えた自分の服に、ひとつだけ色が入る。
それだけで、街の見え方まで少し変わる。
色を持つということは、少しだけ街に対して強くなれるということ。
僕は、このバッグをそういうものだと思っている。
朝、クローゼットを開けて、迷わず手が伸びる服がある。
理由はうまく言えない。
でも、それを着ると、その日の自分が少しだけ整う気がする。
STILL BY HAND コットンリネン半袖ニット KN03262は、僕にとってそういう服だ。
大きなロゴがあるわけではない。
強いデザインが目に飛び込んでくるわけでもない。
それでも、着ると違う。
Tシャツより少しだけ品がある。
シャツより力が抜けている。
ゆったりしているのに、だらしなく見えない。
その絶妙な距離感が、この服の核心だと思う。
袖を通した時、不思議な感覚がある。
力が抜けている。
なのに、なぜか少しだけ背筋が伸びる。
身体を締めつけているわけではない。
細く見せようとしているわけでもない。
むしろ、シルエットにはしっかりと余白がある。
それでも、ルーズには見えない。
体のラインを追いすぎず、隠しすぎない。
身体と服の間に、ちょうどいい距離がある。
僕は、この距離感こそSTILL BY HANDの上手さだと思っている。
大きく作ることは簡単だ。
でも、大きく作りながら、その人をきちんと見せるのは難しい。
KN03262には、シルエットにちゃんと意志がある。
このニットの印象を決めているのは、コットンとリネンが作る独特の表情だ。
コットンだけでは出ない。
リネンだけでも出ない。
柔らかさがある。
でも、甘すぎない。
ドライな空気がある。
でも、粗野には見えない。
この二つの素材が混ざることで、生地の表面にわずかな揺らぎが生まれる。
その揺らぎが、無地のニットを単調に見せない。
遠くから見れば、静かだ。
近くで見ると、ちゃんと表情がある。
僕は、こういう生地が好きだ。
一目で分かる派手さではなく、着る人だけが少しずつ気づいていく。
ロゴの代わりに、生地そのものが服の存在を作っている。
この服を見た時、やはり気になるのは袖のバランスだ。
一般的な半袖より、少し長い。
腕が見えすぎない。
でも、隠れすぎない。
たった数センチの違い。
でも、その数センチが服全体の印象を変える。
袖が短ければ、もっとスポーティーに見える。
長すぎれば、夏の軽さが消える。
KN03262は、その間にいる。
腕まわりに自然な余白が生まれ、上半身全体が落ち着いて見える。
誰も袖丈だけを見て「格好いい」とは言わないかもしれない。
でも、全体を見ると何となく違う。
服は、こういう小さな差の積み重ねで出来ている。
大きなロゴはない。
強い主張もない。
一目でブランドが分かるような記号もない。
それでも、誰かとすれ違った時。
「あの人、何を着ていたんだろう。」
そう思わせる服がある。
KN03262は、そういう種類の服だと思う。
素材の表情。
袖の長さ。
身幅の余白。
裾の落ち方。
ひとつひとつは静かだ。
でも、それらが重なると、その人の佇まいが少し変わる。
ロゴの代わりに、生地とシルエットが語る。
僕は、そういう服の方が長く残ると思っている。
デニムに合わせる。
それだけでいい。
飾らないまま、Tシャツより少しだけ整って見える。
スラックスに合わせる。
今度は、余裕のある大人の服になる。
軍パンに合わせても面白い。
パンツの無骨さを消さずに、上半身だけ少し静かに整えてくれる。
どれかひとつが正解なのではない。
どれにも、無理なく馴染んでいく。
これは、かなり大きな強さだと思う。
特別な日のためだけに作られた服は、その日が来なければ着ない。
でも、何でもない日を少し良くしてくれる服は違う。
気づけば、何度も手が伸びる。
そして、そういう服ほど何年も手元に残る。
シルエットは大きめだ。
でも、だらっとはしていない。
身幅には余裕がある。
袖にも空間がある。
それでも、服全体が横へ膨らんで見えない。
裾の落ち方。
リブの締まり具合。
着丈のバランス。
それぞれが、きちんと同じ方向を向いている。
ゆるいのに、輪郭がある。
大きいのに、重く見えない。
僕は、この「流れ」が大事だと思っている。
単にオーバーサイズへするのではなく、生地がどう落ちるかまで考える。
だから、着た時に服だけが浮かない。
身体の動きと一緒に、自然に流れていく。
買った瞬間に、強く惹きつける服がある。
それはそれでいい。
でも、強い刺激は慣れるのも早い。
一方で、着るたびに「やっぱりこれでよかった」と思う服がある。
KN03262は、たぶん後者だ。
一度目より、二度目。
二度目より、三度目。
着るたびに、生地の軽さが分かる。
袖丈の意味が分かる。
シルエットの使いやすさが分かる。
最初は気づかなかったことが、少しずつ見えてくる。
そして、クローゼットの中で静かに存在感を増していく。
そういう服との出会いは、実はそれほど多くない。
軽さと落ち感が、同時に成立している服は、実はそう多くない。
軽くすれば、形が弱くなることがある。
形を出そうとすれば、生地が重くなることがある。
KN03262は、そのどちらにも寄りすぎていない。
コットンとリネンが作る表情。
身体から少し離れる、ゆとりのあるシルエット。
その二つが重なることで、軽さと落ち感が同時に生まれる。
この編み地だから、このシルエットが生きる。
このシルエットだから、この生地の良さが伝わる。
どちらか一方では成立しない。
生地と形が、同じ答えへ向かっている。
説明を読んで、納得する服がある。
素材を知る。
ディテールを知る。
シルエットの意図を知る。
それで「なるほど」と思う。
でも、袖を通して初めて、言葉が追いつく服もある。
STILL BY HAND コットンリネン半袖ニット KN03262は、そういう一着だ。
ゆったりしているのに、だらしなく見えない。
軽いのに、存在感がある。
静かなのに、記憶に残る。
何でもない日に着る。
そして、その何でもない日が少しだけ整う。
気づけば、また手が伸びている。
僕は、そういう服こそ長く残ると思っている。
蒸し暑い朝、クローゼットの前で少し考える日がある。
Tシャツでいい。
でも、今日はそれだけでは少し足りない気がする。
かといって、シャツは少し大げさだ。
ジャケットなんて、とても着ていられない。
STILL BY HANDの12Gハーフスリーブニット KN02261は、そういう日のために存在している。
袖を通した時、最初に感じるのは軽さだ。
重さがない。
なのに、Tシャツとは何かが違う。
その「何か」が、この服の核心だと思う。
大きく主張するわけではない。
着こなしを劇的に変えるわけでもない。
でも、着た人をほんの少しだけ整えて見せる。
夏の着こなしを、静かに底上げする。
僕は、このニットをそういう一着だと思っている。
Tシャツは便利だ。
僕自身、夏はほとんど毎日のように着る。
でも、それだけでは少し足りない場面がある。
仕事の帰りに人と会う。
少し良い店へ食事に行く。
いつものデニムを、今日は少しだけ違って見せたい。
そんな時、Tシャツでは少し軽い。
かといってシャツは大げさで、ジャケットは暑すぎる。
この隙間は、意外と広い。
STILL BY HANDは、そこにニットを置いた。
「夏に、ちゃんとして見える。」
言葉にすれば簡単だ。
でも実際には、これがかなり難しい。
きれいすぎれば堅くなる。
ラフすぎればTシャツと変わらない。
KN02261は、そのちょうど間にいる。
だから、着る場所を選ばない。
素材は、コットン・リネン・ポリエステルの混紡糸。
それを12ゲージで編み立てている。
ここが、この服の土台になっている。
密度はある。
でも、こもらない。
ニットらしい品がある。
でも、夏に着ることを邪魔しない。
リネンのドライな感触が、暑い日の肌離れを助けてくれる。
汗ばむ日に着ても、生地がべったりと身体へ張りつきにくい。
僕は、夏服に必要なのは単純な「涼しさ」だけではないと思っている。
涼しいから着るのではない。
着ていて不快じゃないから、続けて着られる。
そのくらいの温度感が、夏の服には必要だ。
KN02261は、そこをよく分かっている。
この服を見た時、僕が気になったのは袖の長さだった。
半袖より少し長い。
でも、七分袖よりずっと短い。
いわゆるハーフスリーブ。
腕が見えすぎない。
でも、隠れすぎない。
たったそれだけのことに見える。
でも、袖丈は服の印象を大きく変える。
一般的な半袖より少し長いだけで、Tシャツ的な軽さが抜ける。
腕まわりに余白が生まれ、シルエット全体が落ち着いて見える。
それでいて、長袖ほど重くない。
季節感と清潔感が、袖丈だけで自然に伝わってくる。
誰も「この袖丈がいい」とは言わないかもしれない。
でも、見た瞬間に何となく格好いい。
僕は、そういう設計が好きだ。
シルエットは大きめに作られている。
でも、だらっとはしていない。
この違いは大きい。
身幅に余裕がある。
袖にも空間がある。
それでも、服全体が横へ膨らんで見えない。
裾の落ち方。
リブの締まり具合。
着丈のバランス。
それぞれが、きちんと同じ方向を向いている。
ゆるいのに、輪郭がある。
大きいのに、重く見えない。
デニムに合わせてもいい。
軍パンでもいい。
スラックスに合わせても成立する。
どれかひとつが正解なのではない。
どれも正解に見える。
それが、この服の静かな強さだと思う。
軽さと落ち感が、同時に成立している服は、実はそう多くない。
軽くすれば、形が弱くなることがある。
形を出そうとすれば、生地が重くなることがある。
KN02261は、そのどちらにも寄りすぎていない。
12ゲージの編み地が、シルエットを支える。
コットン・リネン・ポリエステルの混紡糸が、軽さとドライな感触を作る。
ゆとりのある身体が、生地を自然に落とす。
この編み地だから、このシルエットが生きる。
このシルエットだから、この生地の良さが伝わる。
どちらか一方では成立しない。
生地と形が、同じ答えへ向かっている。
服を長く見ていると、説明を聞く前に惹かれるものがある。
素材がどうとか。
ゲージがどうとか。
袖丈がどうとか。
もちろん、それぞれに理由はある。
でも、袖を通した瞬間はもっと単純だ。
「これだ。」
そう思える服がある。
STILL BY HAND 12Gハーフスリーブニット KN02261は、僕にとってそういう一着だ。
Tシャツでは、少し足りない。
シャツでは、少し大げさだ。
その間にある、曖昧な場所。
そこへ、きれいに収まる。
夏に、ちゃんとして見える。
でも、頑張って見えない。
Tシャツでは届かない場所へ、静かに連れていってくれる。
最初に伝えておきたいことがある。
このパンツは、買った瞬間に完成するものではない。
袋から取り出し、脚を通した時。
おそらく、少しだけ引っかかる感覚があると思う。
「良いのはわかる。でも、まだ何か足りない気がする。」
その感覚は、わりと正確だ。
何かが欠けているわけではない。
ただ、このパンツはまだ“途中”なだけ。
穿いて、歩いて、座って、洗う。
膝の裏にシワが入り、股にクセがつき、色のムラが少しずつ表情へと変わっていく。
新品の時より、数週間後。
数週間後より、数か月後。
時間と一緒に、良くなっていく。
僕は、このEASY BAKER PANTS PT020-CCLを、そういうパンツだと思っている。
1950年代、米軍に採用されたOG-107ファティーグパンツ。
角ばったL字型のフロントポケット。
ダブルステッチで強く補強された口元。
左右に構えるフラップ付きのバックポケット。
完成されている。
軍服としての機能。
道具としての合理性。
そして、長い時間を経ても失われない圧倒的な存在感。
僕も、あの無骨さは好きだ。
ただ、完成されているからこそ、強い。
Tシャツ一枚に合わせても、シャツを羽織っても、パンツの存在感が前へ出る。
その無骨さが格好いい一方で、今の生活では少しだけ強く感じる日もある。
ORDINARY FITSは、その完成された“答え”を受け取りながら、同じものを作らなかった。
「今の生活で、本当に穿きたくなる一本とは何か。」
おそらく、このパンツの面白さはそこから始まっている。
ポケットひとつで、服の温度は変わる。
OG-107を象徴する、角のあるL字型フロントポケット。
あの形があるだけで、パンツには明確な軍パンの空気が生まれる。
EASY BAKER PANTSは、そこを丸くした。
さらに、力強いダブルステッチではなく、シングルステッチで軽やかに仕上げている。
たったそれだけの違いに見える。
でも、その「たったそれだけ」が、すべてを変える。
見た目の圧が、すっと抜ける。
どんなトップスにも自然に馴染む。
手を入れた時の見え方まで柔らかくなる。
大きな装飾を加えたわけではない。
新しいディテールを見せつけたわけでもない。
むしろ、逆だ。
ほんの少し、強さを抜く。
無骨さは残る。
でもそれは、日常を拒まない無骨さへと変わっている。
僕は、こういうところにデザインの本質があると思っている。
本来のOG-107なら、左右にフラップ付きのバックポケット。
後ろ姿にも、しっかりと軍パンの存在感がある。
EASY BAKER PANTSは違う。
右側にひとつだけ。
しかも、フラップを持たない丸みのある形状。
「シンプルにしただけ?」
そう見えるかもしれない。
でも、実際に穿くと意味がわかる。
座った時にゴワつきにくい。
ヒップまわりに余計な厚みが出ない。
そして、後ろ姿が驚くほど軽い。
僕は、こういう引き算が好きだ。
ただ削るのではない。
元の服が持っていた意味を理解した上で、今の生活に必要なものだけを残していく。
前から見ると、確かにベイカーパンツ。
後ろへ回ると、急に静かになる。
この前後の温度差が、EASY BAKER PANTSを単なる軍パンの再現で終わらせていない。
そして、このパンツは生地がいい。
高密度なのに、軽い。
触った瞬間にわかる。
目が詰まっている。
ハリもある。
それなのに、重くない。
身体の動きを邪魔するような硬さもない。
このバランスは、偶然では生まれない。
ベイカーパンツという言葉から想像する、厚くて重い生地とは違う。
見た目より、ずっと薄い。
だから真夏でも無理なく穿ける。
これはかなり大きいと思う。
夏はTシャツ一枚になることが多い。
トップスが軽くなる分、パンツまで重いと全体のバランスが急に暑苦しく見える。
EASY BAKER PANTSには、軍パンの存在感がある。
でも、生地は軽い。
無骨さはある。
でも、重くない。
この矛盾したようなバランスが、今の東京の夏にちょうどいい。
この生地の核心は、もうひとつある。
手染め。
そして、天日干し。
工業製品のように、すべてが均一ではない。
色にはわずかな揺らぎがある。
場所によって見え方も違う。
最初は、それを「ムラ」と感じるかもしれない。
でも、穿いていくと変わる。
膝の裏にシワが入る。
股にクセがつく。
ポケットの縁が馴染む。
擦れる場所と、擦れない場所で、色の見え方が変わっていく。
そこで初めて、最初からあった色の揺らぎと、自分が作ったシワやアタリが繋がる。
「これ、いいシワだな。」
ある日、ふとそう思う瞬間が来る。
新品の時にはなかった立体感。
新品の時にはなかった色の深さ。
新品の時にはなかった、自分だけの表情。
最初に感じた「何か足りない気がする」という感覚。
あれは欠陥ではない。
変わるための余白が、最初から残されていた。
OG-107をそのまま蘇らせたわけではない。
角ばったフロントポケットを丸くする。
ダブルステッチをシングルステッチへ変える。
左右のバックポケットを、右側ひとつへ。
フラップをなくし、後ろ姿を軽くする。
高密度でありながら、真夏にも穿ける軽い生地を選ぶ。
さらに手染めと天日干しによって、時間とともに変化する余白を残す。
ひとつひとつは、小さな変更だ。
でも、その小さな変更がすべて同じ方向を向いている。
今の生活で、穿くため。
軍パンの格好良さを残しながら、軍パンの強さに支配されない。
無骨さを残しながら、日常から浮かない。
存在感を残しながら、真夏にも穿ける。
僕は、これは再現ではないと思っている。
進化だ。
ORDINARY FITSが掲げる「10年後も着ていたい服」。
それは、単に丈夫で長持ちするという話ではないと思う。
時間をかけて、自分だけのものになっていく。
新品の時を頂点にせず、穿いた時間そのものを服の価値へ変えていく。
EASY BAKER PANTS PT020-CCLは、まさにそういう一本だ。
最初は、少しだけ物足りないかもしれない。
でも、穿く。
歩く。
座る。
洗う。
その繰り返しの中で、生地が変わる。
色が変わる。
シワが残る。
ポケットの縁が馴染む。
そして、ある日気づく。
気づいたら、一番穿いている。
新品の時より、確実に良くなっている。
完成していないから、いい。
穿くほどに、自分だけの一本になる。