夏になると、ショーツを穿く機会は自然と増えてきます。
涼しくて、動きやすく、気軽に穿ける。
だからこそ、その一本で全体の印象が決まってしまうアイテムでもあります。
ラフになりすぎるもの、子供っぽく見えてしまうもの、ただ涼しいだけのもの。
ショーツはシンプルなアイテムだからこそ、その違いがはっきりと表れます。
A VONTADEのMIL EASY SHORTSは、そんなショーツとは少し違います。
ベースとなっているのは、1940年代のUS NAVYデニムパンツ。
当時のミリタリーパンツが持つ実用性や無駄のない設計を活かしながら、現代のライフスタイルに合わせてショーツとして再構築されています。
ウエストはゴムとドローコードによるイージー仕様。
気軽に穿ける快適さを備えながらも、ミリタリー由来の力強い骨格はそのまま残されています。
ヴィンテージを忠実に再現するのではなく、現代の日常着として成立するよう丁寧に整えられているところに、A VONTADEらしさを感じます。
このショーツには、US NAVYパンツを参考にした脇接ぎのない独特なパターンが採用されています。
一般的なショーツのようにサイドへ縫い目が入らないため、生地が身体を包み込むように自然に落ちていきます。
横から見た時のラインがとてもきれいで、程よいボリュームがありながらも膨らみすぎません。
裾幅には余裕を持たせながらも、全体のシルエットは非常に落ち着いた印象。
ワイドショーツの開放感と、大人らしい品の良さを両立しています。
生地には、コットンとリネンを組み合わせたヘリンボーン素材を採用。
番手の異なる糸を組み合わせることで、単調ではない奥行きのある表情が生まれています。
さらにワッシャー加工を施すことで、自然な凹凸とふくらみが加わり、新品の状態からこなれた雰囲気を楽しむことができます。
リネン特有のドライなタッチと、コットンの扱いやすさを兼ね備えているため、真夏でも快適。
穿き始めから雰囲気があり、着用と洗濯を繰り返すことで、さらに味わいが増していく素材です。
デザインはフロントに2つ、バックに1つのパッチポケットのみ。
余計な装飾はほとんどありません。
だからこそ、シルエットやパターン、生地の良さがそのまま伝わってきます。
Tシャツを合わせるだけでも様になり、ポロシャツや半袖シャツを合わせれば、落ち着いた大人の夏のスタイルが完成します。
派手さで目を引くショーツではありません。
ですが、何年経っても自然と手が伸びる。
そんな一本だと思います。
ウエストは総ゴム仕様でストレスなく穿ける。
それでいて、見た目は決してイージーすぎない。
楽だから選ぶのではなく、格好いいから穿きたくなる。
その結果として快適さも備わっている。
A VONTADEのMIL EASY SHORTSは、そんな順番で作られたショーツです。
ショーツだからこそ軽く見せたくない。
そんな大人にこそ、ぜひ穿いていただきたい一本です。
ポロシャツというアイテムは、不思議な服だ。
襟が付くだけで、自然と品が生まれる。
でも、一歩間違えれば真面目すぎる。
逆にラフさを求めれば、スポーティーな印象が強くなってしまう。
だからこそ、肩の力を抜いて着られて、それでもちゃんと格好いいポロシャツというのは、意外と少ないと思っている。
A VONTADEのSURFKNIT POLO SSを見た時、最初に感じたのは、そのどちらにも寄りすぎていないことだった。
男っぽさがある。
でも、上品さもある。
リラックスして着られる。
それでも、ラフになりすぎない。
何かを強く主張しているわけではないのに、袖を通すと雰囲気が出る。
A VONTADEの服は、着れば着るほど好きになる。
毎日着て、洗って、また袖を通す。
このSURFKNIT POLO SSも、まさにそんな一枚だと思った。
このポロシャツ最大の魅力は、ブランドオリジナルで開発されたSURFKNIT素材にある。
使用しているのはMVS糸。
毛羽が少なく、摩耗に強い。
形態安定性に優れ、吸水性も高い。
毎日のように着て、洗濯を繰り返す服として、かなり理にかなった素材だ。
表面には、ワッフル調の凹凸がある。
立体感のある表情がありながら、裏面は肌当たりの良いフラットな仕上がり。
表から見れば、生地そのものにしっかり存在感がある。
でも、肌に触れる面は滑らかで、気負わず着ることができる。
見た目の良さと、日常着としての快適さ。
その両方を同じ素材の中で成立させている。
高機能素材という言葉だけで説明してしまうと、この生地の魅力は少し違って伝わる気がする。
機能を見せるための生地ではない。
服として格好良く見せながら、着て生活する人の負担を減らしている。
袖を通した瞬間の心地良さ。
洗濯を繰り返しても、安心して着続けられる頼もしさ。
そうした良さは、一度触っただけですべてが分かるものではない。
何度も着て、洗って、また着る。
その繰り返しの中で、少しずつ実感していく素材なのだと思う。
デザインは驚くほどシンプルだ。
ややゆったりとしたリラックスシルエット。
余計な装飾はない。
だからこそ、生地の表情も、シルエットも、襟の形も、そのまま服の完成度になる。
シンプルな服は、何かでごまかすことができない。
生地が弱ければ、そのまま伝わる。
シルエットに無理があれば、着た時にすぐ分かる。
デザインを足さないということは、その分、一つひとつの設計に理由が必要になるということだと思う。
襟には、編地を切り替えることで表現したラインが入る。
遠くから見て強く目立つようなデザインではない。
近くで見て、初めてその違いに気付くほど控えめなアクセントだ。
でも、その小さな違いがあることで、ポロシャツ全体の印象が静かに引き締まっている。
派手なデザインを加えて、分かりやすく個性を作るのではない。
細部を丁寧に積み重ねる。
その積み重ねによって、着た時の空気を作っていく。
それが、A VONTADEらしさなのだと思う。
個人的に、ポロシャツというと、トラッドやアイビーを感じさせるものが多い印象がある。
もちろん、それがポロシャツ本来の魅力でもある。
襟の付いた端正な見た目。
スポーツを起源に持ちながら、ジャケットやスラックスとも合わせられる品の良さ。
ポロシャツという服には、そうした背景が自然と重なって見える。
だからこそ、このA VONTADE SURFKNIT POLO SSは、僕には少し新鮮に映った。
「ミリタリーなポロシャツ」というジャンルが、実際にあるわけではないと思う。
この服にも、軍物をそのまま引用したような分かりやすいディテールがあるわけではない。
フラップポケットもなければ、エポレットもない。
ミリタリーウェアを忠実に再現した服でもない。
それでも、この一枚には、どこかミリタリーウェアを思わせる空気を感じた。
SURFKNIT特有の、ワッフル調の凹凸ある表情。
真っ白ではなく、少し生成りがかったIVORYの色味。
その二つが合わさることで、一般的なポロシャツが持つトラッドやアイビーとは少し違う、無骨な雰囲気が生まれている。
デザインではなく、生地と色からミリタリーを感じる。
そこが、このポロシャツを面白いと思った理由だった。
このポロシャツは、IVORYだからこそ格好いいと思っている。
真っ白ではない。
少し生成りがかった、曖昧な色味。
白ほどクリーンになりすぎず、ベージュほど色の印象も強くない。
その中間にあるような色が、SURFKNITの凹凸を自然に見せている。
生地の立体感が、色の柔らかさの中にきちんと残る。
ミリタリーウェアを思わせる男っぽさがありながら、土臭くはならない。
襟付きならではの品も、しっかり残っている。
無骨ではある。
でも、無骨すぎない。
上品ではある。
でも、真面目すぎない。
このどちらか一方に振り切らないバランスが、とても格好いい。
色、生地、シルエット。
一つひとつを別々に見れば、大げさな特徴ではない。
でも、それらが組み合わさることで、このSURFKNIT POLO SSにしかない空気が生まれている。
バイヤーとして、この一枚に惹かれた一番の理由は、そこだった。
服は、着るためにある。
当たり前のことだけれど、服を見ていると、その当たり前を忘れてしまうことがある。
デザインが新しい。
ディテールが面白い。
素材に特別感がある。
もちろん、そういう服にも惹かれる。
でも、本当に出番が多い服は、少し違う。
朝、クローゼットを開ける。
その日の服を深く考えることもなく、自然に手が伸びる。
袖を通す。
鏡を見る。
特別なことは何もしていないのに、ちゃんと格好いい。
着心地が良い。
生地に表情がある。
シルエットにも無理がない。
一つひとつは、決して大きな特徴ではない。
でも、その小さな理由の積み重ねが、何度も着たくなる服を作っている。
頑張って着る服ではない。
誰かに見せるために、無理をして選ぶ服でもない。
気負わず着られる。
それでも、ちゃんと格好いい。
年齢を重ねた今は、そんな服に一番惹かれる。
本当に良い服は、最初から強く主張してくる服ではないのかもしれない。
買った瞬間だけ気分を高めてくれる服ではなく、着る回数が増えるほど好きになっていく服。
毎日着て、洗って、また袖を通す。
その中で、生地の良さが分かる。
シルエットの理由が分かる。
控えめなディテールが、なぜ必要だったのかが分かる。
そして、気付けばまた手に取っている。
「これでいい。」
そう思って選んだはずなのに、いつの間にか、
「これがいい。」
に変わっている。
そんな服こそ、長く付き合える一枚なのだと思う。
A VONTADE SURFKNIT POLO SS。
無骨な中にも、品がある。
ポロシャツらしい端正さを残しながら、どこかミリタリーを感じさせる。
気負わず着られて、それでもちゃんと格好いい。
日常の中で袖を通すほど、その良さが伝わってくるポロシャツだと思う。
都内在住、53歳。
町セレクトショップオーナー。
最近、高円寺に洒落たスタンドコーヒーの店が増えた。
以前は、ちょっとコーヒーでも飲んで休憩しようと思ったら、駅前の大手コーヒー店まで戻るしかなかった。
うちの店でも、買い物途中のお客さんから、そんな話をよく聞いたものだ。
店を何軒か回って、気になる服があって、ちょっと休憩して考えようと駅前まで戻る。
コーヒーを飲みながら、
「あっちも良かったな」
「でも、こっちも気になるな」
なんて考えているうちに、だんだん面倒になって、そのまま帰ってしまった。
店をやっている側からすると笑えない話だが、まあ、気持ちは分かる。
だが今は違う。
店の周りにも、気軽にコーヒーを飲める場所がずいぶん増えた。
これは本当に助かる。
買い物の途中で少し休んで、また街を歩く。
そんなことが、ようやく高円寺でも自然にできるようになった。
その中に、一軒、前から気になっていた店があり、ある日、ふらっと入ってみた。
若い店員さんがいて、店内には洒落た海外のファッション誌なんかも置いてある。
高円寺といえば、ビールケースをひっくり返してテーブルにしたような焼き鳥屋や、昭和の空気がそのまま残ったローカルな大衆店。
もちろん、自分はそういう店が大好きで、店をこの町でやろうと思った理由は、その雰囲気が好きだったからだ。
ただ最近は、そこに新しい感性を持った若い人たちの店が少しずつ混ざり始めた。
昔からある昭和の高円寺と、今の若い人たちが持ち込む新しい空気。
どちらかが消えるのではなく、同じ街の中に普通に存在している。
この感じが、なんだか新鮮だ。
高円寺も変わったな。
そんなことを思いながら、店員さんおすすめのホットコーヒーを飲んだ。
飲み終えて、自分の店へ戻ろうとする。
そのコーヒーのせいなのか。
それとも、高円寺では普段あまり味わわない新しい空気に、少し刺激を受けたせいなのか。
少し熱を感じ、暑くなった。
そこで、着ていたロンTの袖を外す。
そう。
このMODMNT DETACHABLE L/S TEEは、袖が取れる。
もちろん、着心地もいい。
サイズ感もいい。
ただ、自分がこの服を買った理由は、それだけじゃない。
正直に言えば、この少しオーバースペックぎりぎりな感じに惹かれた。
袖を取り外せるようにするために、わざわざボタンを付ける。
その分、手間もかかる。
反ブレのリスクもある。
普通に考えれば、コストも上がる。
そこまでして、本当にやるのか。
たぶん、多くの人はやらない。
でも、MODMNTはやった。
効率や採算を考えれば、どこかで削られてもおかしくないデザインを、そのまま製品にしてしまった。
その心意気に惹かれた。
もう何十年もアパレルの仕事をしている。
服なんて、嫌というほど見てきた。
だから、ちょっとやそっとのことではテンションは上がらない。
それが、こいつには単純に上がった。
面白い。
着てみたい。
久しぶりに、そう思った。
袖を外していると、若い店員さんがこちらを見て言った。
「それ、なんていうブランドですか?」
一瞬、少しだけ間があった。
「ああ、MODMNTっていうブランドです」
そう答えながら、内心ちょっと嬉しかった。
53歳。
何十年も服を見てきて、最近はそう簡単にテンションも上がらない。
それでも、自分が面白いと思って選んだ服に、若い世代が反応する。
店を出ながら、ふと思った。
まだ、俺の感性も捨てたもんじゃないかな。
袖を外したロンTで、またいつもの店へ戻る。
仕事の続きが待っている。
高円寺の街も変わっていく。
自分も歳を取っていく。
でも、新しいものを面白いと思えるうちは、まだ大丈夫そうだ。
これからもブレイクしていく、俺はB-BOYだ。
ーEND-
夏になると、ショーツを穿きたくなる。
涼しくて、楽で、暑さに対して正直な服だ。
でも、年齢を重ねるほど難しくなる服でもある。
丈が短すぎれば幼く見え、太すぎれば野暮ったくなる。
機能素材に寄りすぎればスポーツウェアに見え、リラックスさせすぎれば部屋着に近づく。
正直、大人が街で普通に穿けるショーツは、思っているほど多くない。
だから僕は、ショーツを見る時、単純に「涼しそう」とか「楽そう」というだけでは選ばない。
丈、腿まわりの空間、横への広がり、生地の落ち方。
その全部が重なって、穿いた時のバランスになる。
PT11262を見た時、面白いと思ったのは、その難しい場所をきちんと狙っていることだった。
軽くて、涼しくて、楽であること。
その上で、ちゃんと街で穿けること。
この一本は、その両方を同じ場所で成立させようとしている。
使用しているのは、ナイロン85%、ポリウレタン15%の軽量素材。
手に取った瞬間に分かるほど薄く、軽い。
伸縮性があり、乾きやすく、シワにもなりにくい。
真夏の街歩きはもちろん、湿度の高い日や旅行の長時間移動まで、夏に欲しい機能はかなり揃っている。
でも僕が惹かれたのは、スペックだけじゃない。
これだけ軽いのに、軽く見えない。
いかにもナイロンという光沢を抑えた、マットな表情。
薄いのに適度なハリがあり、身体にまとわりつかず、穿いた時の輪郭がちゃんと残る。
実際、この軽さとシルエットを両立するのは簡単ではない。
軽量素材は、軽さそのものが魅力になる。
でも、薄く柔らかくなればなるほど身体の線を拾いやすくなり、穿いた時の形も曖昧になりやすい。
逆に、輪郭を残そうとすれば、生地に厚みや硬さが必要になる。
PT11262は、軽さを保ったまま、穿いた時の輪郭を残している。
手に持てば驚くほど軽い。
でも穿くと、ショーツとしての形が残る。
この「軽さ」と「輪郭」の両立が、PT11262の大きな魅力だと思う。
全体にほどよくゆとりを持たせた膝上丈。
腿まわりには空間がある。
でも、横に広がりすぎない。
短いのに幼く見えず、ゆとりがあるのに野暮ったく見えない。
薄手で軽い生地に適度なハリがあるから、穿いた時の形が崩れにくい。
結局、大人がショーツを穿く時に難しいのは、この比率だと思う。
単純に丈を長くすれば、大人っぽくなるわけではない。
細くすれば上品になるわけでもなく、太くすれば今の空気が出るわけでもない。
丈と幅。
腿まわりの空間。
裾への広がり方。
そこに、生地のハリと落ち方が重なる。
Tシャツ一枚でも成立する。
半袖シャツを合わせても子供っぽくならない。
サマーニットを合わせれば、ちゃんと品も出る。
ラフさを残したまま、比率で大人っぽさを整えている。
そして、この膝上丈が成立しているのは、寸法だけではなく、生地まで含めてバランスが取られているからだと思う。
フロントには、縦へ走る一本のステッチが入る。
大きな装飾ではないし、強いデザインでもない。
でも、これが効いている。
ラフなナイロンショーツに縦の意識が生まれ、目線が上下に流れることで、フロントの見え方が少し端正になる。
ポケットを増やす。切り替えを複雑にする。
ディテールを足して、分かりやすく個性を作る。
そういう方法ではなく、線を一本加えるだけで服の空気を変える。
しかも、その一本の線が「デザインしました」という顔をしていない。
普通に見える。
でも、穿くと確かに違う。
ショーツは、構成がシンプルな服だ。
だからこそ、一本の線が効く。
何かを大きく変えるのではなく、小さな設計で見え方を整える。
このフロントステッチは、単なる装飾ではなく、ラフなショーツの見え方を静かに整える一本だと思う。
さらに左側には、スマートフォンがちょうど収まるサイズのポケットが配置されている。
これも、今の生活を考えればかなり合理的だと思う。
スマートフォンを持たずに外へ出ることは、ほとんどない。
でも、薄い生地は収納物の影響を受けやすい。
大きなポケットに無造作に入れれば中で動き、歩くたびに揺れ、シルエットも崩れる。
だったら、最初から居場所を作る。
専用のスペースに収めることで、スマートフォンが必要以上に動きにくい。
機能を目立たせるのではなく、今の生活に必要なものを自然に服の中へ収める。
僕は、こういうディテールに現実味を感じる。
服は、ハンガーに掛かっている時間より、着て生活している時間の方が長い。
歩き、座り、電車に乗り、店に入り、スマートフォンを取り出す。
服は、そういう日常の動きの中で使われる。
デザインとして目立つかどうかではなく、実際の生活の中でどう機能するか。
このポケットは、穿いて過ごす時間まで考えられたディテールだと思う。
ウエストはゴム仕様で、ベルトループは付けず、スピンドルで調整するイージー設計。
薄く、軽く、伸縮性があり、乾きやすく、シワにもなりにくい。
スペックだけ見れば、高機能な夏のショーツだ。
でも、穿いた時に最初に伝わるのは、機能ではない。
シルエットの良さだと思う。
快適さのために、格好良さを諦めない。
格好良く見せるために、我慢もしない。
若い頃は、夏でも無理ができた。
暑くても、穿きたいパンツを穿く。
重くても、好きな服を選ぶ。
多少の不快さより、格好良さを優先する。
でも、年齢を重ねると、そういう我慢を格好いいとは思わなくなった。
だからといって、楽なら何でもいいわけでもない。
涼しいから穿く。
軽いから穿く。
楽だから穿く。
それだけで服を選びたいわけではない。
真夏に無理をせず、それでも格好良さを諦めない。
短パンが子供っぽいのではない。
結局、難しいのは、快適さと格好良さの間にあるバランスなんだと思う。
涼しくて、軽くて、楽であること。
それでも、街で穿いた時にちゃんと大人の服に見えること。
年齢を重ねた今は、そんなショーツが一番しっくりくる気がしている。
>
夏になれば、結局Tシャツを着る。
毎年そうだ。
どれだけ服を持っていても、暑くなれば手が伸びるのはTシャツ。
だからこそ僕は、Tシャツほど難しい服はないと思っている。
形を大きく変えれば、デザインになる。
サイズを大きくすれば、それだけで今の空気も作れる。
グラフィックを載せれば、分かりやすい個性も出せる。
もちろん、それもTシャツの面白さだと思う。
でも僕が惹かれるのは、そういう分かりやすい変化とは別の場所で、ちゃんと違いを作っている一枚だ。
いつもの日常の中に置ける。普通に着られる。
でも、よく見ると違う。着ると、もっと違う。
CS02262を見た時、面白いと思ったのはまさにそこだった。
素材は、コットンをベースにレーヨンと少量のシルクをブレンドした天竺。
コットンネップとシルクネップが混ざり合うことで、生地表面が均一にならない。
細かなネップが点在し、無地なのに、のっぺりしない。
近くで見ると、糸そのものの存在がちゃんと感じられる。
僕は、こういう生地が好きだ。
プリントで表情を作るのではない。加工で無理に雰囲気を作るのでもない。
素材そのものが、服の顔になっている。
ただ、もしこれが単純に粗くて、ヴィンテージっぽくて、ラフなだけなら、僕はここまで惹かれていない。
このTシャツの面白さは、その先にある。
見た目には、ラフなネップ感がある。でも着ると、柔らかく自然に落ちる。
ネップの持つ素朴な表情がありながら、レーヨンとシルクを含んだ生地には、しなやかな動きがある。
ラフなのに、雑には見えない。柔らかいのに、綺麗すぎない。
この相反するバランスがいい。
もう一つ、地味だけど効いている話がある。
肩線を後ろ身頃側へ逃がしている。
正面から見た時、余計な線が減り、フロントが静かになる。
言葉にすると、それだけのことに聞こえる。
でも、Tシャツのように構成がシンプルな服ほど、一本の線が見え方を変える。
何かを加えて存在感を作るのではなく、見える場所から線を逃がすことで、佇まいを整える。
こういう「主張しない設計」ほど、実は手が込んでいる。
しかも、その設計が前に出てこない。
「ここを変えました」と主張するのではなく、着た時の佇まいの中に消えている。
だから一見すると自然だ。
でも、その自然さは、何もしていない自然さではない。
考えた末の自然さだと思う。
生地の表情がある。着た時の落ち感がある。線の位置にまで理由がある。
その一つ一つが前に出るのではなく、全部が重なって、一枚で着た時の佇まいになる。
僕は、ここがかなり好きだ。
今回の着用では、同じSTILL BY HANDのナイロンショーツと合わせてみた。
同じブランド。同じ色の方向。でも、素材の性格はまったく違う。
ネップ感のあるコットンシルク天竺と、無機質で軽いナイロン。
色を増やして変化をつけるのではなく、素材の差で奥行きを作る。
同色だからこそ、その違いが見えてくる。
コットンシルク天竺の柔らかな表情。ナイロンの乾いた軽さ。
同じ色の方向に置きながら、素材の性格だけをずらす。
この良い意味での違和感が、僕は好きだ。
CS02262自体に表情があるからこそ、こういう合わせ方が成立すると思っている。
もちろん、軍パンやデニムに合わせてもいい。
ネップ感のある生地が、無骨なボトムと自然につながる。
でも、柔らかな落ち感があるから、全体がラフになりすぎない。綺麗になりすぎない。
その間にいる。
合わせるボトムが変われば、このTシャツの見え方も変わる。
それもまた、無地でありながら素材に表情を持たせた一枚の面白さだと思う。
夏になれば、結局またTシャツを着る。
だからこそ僕は、何でもいいとは思わない。
一枚で着る季節だからこそ、生地が見える。線が見える。落ち方が見える。
形を大きく変えなくてもいい。サイズだけで、今の空気を作らなくてもいい。グラフィックを載せなくてもいい。
ネップの表情。柔らかな落ち感。後ろへ逃がした肩線。
一つ一つは、決して大げさなデザインではない。
でも、その小さな違いが重なった時、一枚で着た時の佇まいが変わる。
無地なのに、表情がある。派手ではない。
でも、着れば確かに違う。
夏に一枚で着るTシャツだからこそ、僕はこういう違いを選びたい。
デニムは好きだ。
穿き込むほどに増していく表情。
色が落ち、アタリが生まれ、少しずつ自分のものになっていく。
Tシャツ一枚に合わせるだけで、スタイルが決まる。
何年服を見てきても、やっぱりデニムは格好いいと思う。
でも、真夏となると話は変わる。
暑い。重い。肌にまとわりつく。
朝、デニムを穿こうと思っても、外の気温を見てやめる。
僕自身、そんな日は何度もある。
だから、このDN01262を初めて手にした時は驚いた。
軽い。とにかく、驚くほど軽い。
一般的なデニムが13〜14オンス前後。
このパンツは、わずか5.5オンス。半分以下だ。
数字だけ見ても軽い。
でも、実際に手に取ると、その数字以上に驚く。
薄い。軽い。しなやか。
デニムとは思えないほど軽やかに、身体へ馴染む。
これは「夏でも我慢すれば穿けるデニム」ではない。
真夏に、積極的に穿きたくなるデニムだ。
ただ薄いだけなら、話は簡単だと思う。
でも、デニムは軽くすればそれで良いわけではない。
僕がデニムに求めるのは、あの独特の表情だ。
Tシャツ一枚でもスタイルが成立する、生地そのものの存在感。
真夏に穿けるほど軽くても、その魅力まで薄くなってしまったら意味がない。
DN01262には、ちゃんとデニムの空気がある。
ライトオンスだからこその軽やかさ。
それでいて、デニムという素材が持つワークの匂いも残っている。
真夏は、どうしてもスタイリングが単純になる。
Tシャツ。シャツ。そしてパンツ。
使えるアイテムが少なくなるからこそ、パンツの表情が全体を大きく左右する。
そんな季節に、デニムはやっぱり強い。
デニムの存在感と、真夏の快適さ。
その二つを、5.5オンスという生地が成立させている。
ただ、このパンツの凄さは軽さだけではない。
むしろ、ここからがSTILL BY HANDらしい。
シルエットは全体的にややゆったり。
腰まわりから腿にかけて自然なゆとりを持たせ、裾に向かって軽くテーパードしている。
フロントには、通常よりも小さなワンタック。
大きなタックで腰まわりのボリュームを強調するわけではない。
かといって、フラットに仕上げるわけでもない。
ほんの少しだけ、タックを入れる。
そのわずかな分量で、腰まわりに必要な立体感を作る。
ゆったりしている。でも、野暮ったくない。
リラックスして穿ける。でも、ルーズには見えない。
僕は、こういう「少し」の調整にデザイナーのセンスが出ると思っている。
大きく変えるのは、ある意味わかりやすい。
でも、ほんの少しだけタックを小さくする。
その結果、穿いた時の見え方を変える。
こういう仕事は、一目では伝わりにくい。
でも、服が好きな人ほど反応してしまう。
右脇には、ペインターパンツを思わせるサイドポケット。
ライトデニムという素材にワークウェアの空気を加えている。
ヒップポケットの上には、小さなタック。
このタックでヒップまわりのシルエットを調整し、自然な立体感を作っている。
さらに面白いのが、ヒップポケットそのものの配置だ。
ポケットを脇線へ流し込むように縫製することで、左右のヒップポケットを少し外側へ。
両サイド寄りに配置している。
ほんの少し、位置が違う。ほんの少し、構造が違う。
でも、そのわずかなズレによって、後ろ姿の印象が変わる。
「なんか良い。」
そう思って、もう一度見る。
そこで初めて、ポケットの位置に気付く。タックに気付く。脇線へ流れ込む構造に気付く。
知った瞬間、後ろ姿の見え方が変わる。
5.5オンスのライトデニム。小さなワンタック。ペインターパンツを思わせるサイドポケット。ヒップ上の小さなタック。両サイド寄りに配置された独特のヒップポケット。
一つひとつを見れば、どこかワークウェアの空気がある。
でも、完成したパンツは洗練されている。
ワークの匂いを消して、綺麗にまとめたわけではない。
ワークの空気は、ちゃんと残す。
でも、野暮ったさには着地させない。
その間にある絶妙な場所へ持っていく。
バイヤーとして長く服を見てきたけれど、こういうバランスは簡単には作れないと思う。
真夏だから、デニムを諦める。
そんな必要はもうない。
強い日差しの下。Tシャツ一枚で街を歩く。
その足元には、驚くほど軽い5.5オンスのデニム。
その軽さ、デニムの常識外。
5.5オンスで迎える、真夏の太陽。
[
Tシャツほど、デザイナーのセンスが出る服はないと思う。
使える要素が少ないからだ。
襟で見せることもできない。
ジャケットのように構築的なデザインで魅せることもできない。
基本は、生地と身頃と袖。
だからこそ、何を選び、どう組み合わせ、どこを少しだけ動かすか。
そのわずかな差に、ブランドの力量が出る。
このCS06262を見た時、僕は改めて思った。
STILL BY HANDは、やっぱり上手い。
生地には、ハイゲージで編み立てたコットン100%の天竺素材を使用している。
目の細かな表面には、上品な光沢。
肌に触れると滑らかで、柔らかさの中には適度なハリもある。
一枚で着ても身体のラインを拾い過ぎず、自然に綺麗なシルエットを作ってくれる。
カジュアルなコットンTシャツなのに、どこか品がある。
ラフに着ても、ラフになり過ぎない。
ここまでなら、よく出来た上品なTシャツだ。
でも、STILL BY HANDはそこで終わらせない。
この綺麗な生地に、あえてラグランスリーブを組み合わせた。
ラグランスリーブと聞くと、僕はまずスポーツウェアやスウェットを思い浮かべる。
肩の動きを妨げにくい構造。
斜めに走る切り替え。
どこかラフで、スポーティーな空気。
一方、このTシャツに使われているのは、上品な光沢と滑らかさを持つハイゲージ天竺だ。
上品な生地。スポーティーなラグラン。
普通なら、どちらかに寄せると思う。
綺麗に見せたいなら、全体を綺麗にまとめる。
スポーティーに見せたいなら、そちらへ振る。
でも、STILL BY HANDは揃えない。あえて、ずらす。
異なる空気を持つ二つの要素を組み合わせ、その間に生まれるわずかな違和感を、一着の魅力に変えてしまう。
僕は、こういうデザインが好きだ。
一目でわかる派手な仕掛けではない。
でも、見れば見るほど「なぜか良い」と感じる。
その理由を探していくと、ちゃんとデザイナーの意図に辿り着く。
このTシャツには、それがある。
通常、ラグランスリーブなら前も後ろも、肩から脇へ斜めに切り替えが入る。
でも、このTシャツは違う。
前から見ればラグラン。
後ろから見れば、まるでセットインスリーブ。
一着の中に、二つの異なる袖付けの表情を共存させている。
最初に見た時、僕も一瞬引っかかった。
「なんか違う。」
でも、その違和感の正体がすぐにはわからない。
もう一度見る。
そこで初めて、後ろの切り替えに気付く。
これが面白い。
大げさに主張しない。
説明されなければ、気付かない人もいるかもしれない。
でも、服が好きな人ほど、こういう小さな違和感に反応してしまう。
そして構造に気付いた瞬間、ただの無地Tシャツだったものが、全く違って見えてくる。
Tシャツ一枚でここまで考えるブランドは、そう多くない。
大きなロゴもない。派手な配色もない。奇抜なシルエットでもない。
それでも、普通の無地Tシャツでは終わらない。
何を選ぶか。何と組み合わせるか。どこを揃え、どこをずらすか。
その積み重ねが、一着の完成度を変えていく。
シンプルな服ほど、誤魔化しは利かない。
使える要素が少ないからこそ、デザイナーの判断そのものが服に出る。
上品なハイゲージ天竺に、スポーティーなラグラン。
前はラグランなのに、後ろはセットインに見える。
普通なら揃えるところを、あえてずらす。
しかも、その違和感を見せつけない。
何事もなかったかのように、一枚のTシャツとして成立させる。
そこに、STILL BY HANDの凄さがあると思う。
一目では伝わらない。
でも、知れば知るほど面白い。
着れば着るほど、そのバランスの良さがわかってくる。
シンプルに見えて、全くシンプルではない。
感じ取れますか?
細部に宿る、卓越したセンスを。
このパンツを初めて穿いた時、一番驚いたのは軽さでした。
とにかく軽い。
でも、それ以上に印象に残ったことがあります。
「イージーパンツらしく見えない。」
その違和感でした。
ウエストはゴム仕様。
穿き心地は驚くほど楽です。
それなのに、鏡に映る姿はどこか品がある。
快適さだけでは終わらない。
それが、このパンツでした。
夏になると、快適なパンツはたくさんあります。
でも、その多くは快適さを優先するあまり、どうしてもラフな印象になってしまいます。
このパンツは違います。
ヒップと腿に程よくゆとりを持たせ、裾へ向かって自然にテーパードするシルエット。
リラックスした穿き心地でありながら、穿いた姿はどこまでも上品です。
本来なら相反するはずの快適さと品の良さ。
その二つを、ごく自然に成立させています。
生地にはナイロンとポリウレタンを使用。
驚くほど軽く、速乾性に優れ、適度なストレッチ性も備えています。
さらにシワになりにくく、毎日の着用はもちろん、旅行でも気兼ねなく穿ける扱いやすさも魅力です。
それでいて、光沢は控えめ。
ナイロンらしさを主張し過ぎないからこそ、街にも自然と馴染みます。
派手な機能素材ではありません。
快適さを、語りすぎない。
でも、一日穿けば、その心地良さは自然と伝わってきます。
穿く人だけが、その良さを実感できる。
そんな誠実な生地です。
夏のパンツに快適さを求めるのは当たり前です。
でも、それだけでは毎日穿きたくなる一本にはなりません。
楽なのに、だらしなく見えない。
ナイロンなのに、スポーティーじゃない。
快適さと品の両立。
その難しい答えを、当たり前のように形にしてしまう。
この一本には、STILL BY HANDというブランドらしさが詰まっています。
このシャツを初めて見た時、正直「よく出来たシンプルなシャツ」くらいにしか思っていませんでした。
レギュラーカラーの半袖シャツ。
一見すると、ごく普通です。
でも、それは違いました。
見るほどに、「普通じゃない」が見えてくる。
普通に見えてしまうほど、徹底的に作り込まれている。
それが、このシャツでした。
ドレスシャツのような上品さ。
ワークシャツのような無骨さ。
本来なら交わることのない二つの要素が、このシャツでは驚くほど自然に共存しています。
レギュラーカラー。
裏前立て。
ペン差し付きポケット。
どれも特別なディテールではありません。
しかし、その一つひとつの配置やバランスが絶妙だからこそ、普通ではない空気感が生まれています。
本来なら違和感になるはずなのに、不思議なくらい自然。
デザインを主張するのではなく、気付かせない。
それこそが、STILL BY HANDというブランドの美学です。
生地には、コットン100%のブロードへ後加工を施した別注素材を採用。
コットンとは思えないほどドライなタッチで、汗ばむ季節でも肌離れが良く、さらりとした着心地が続きます。
それでいて、ブロードらしい上品な光沢はしっかり残している。
派手な機能素材ではありません。
快適さを、語りすぎない。
でも、一日着れば、その心地良さは自然と伝わってきます。
着る人だけが、その良さを実感できる。
そんな誠実な生地です。
シンプルなシャツほど、ごまかしは効きません。
生地。
縫製。
パターン。
ディテール。
そのすべてが、そのまま完成度として表れます。
だからこそ、「普通に見えるシャツ」を作ることは、とても難しい。
このシャツには、その難しいことを当たり前のようにやってしまうSTILL BY HANDの技術と美意識が詰まっています。
普通に見える。
だから見過ごしてしまう。
でも、その普通は、徹底的に作り込まれた普通でした。
普通を、ここまで作り込めるブランドは多くありません。
服好きの直感が、正しかったと証明してくれる一着です。
中野区在住 34歳 会社員
洋服は、いつもLAMPAで買っている。
最初に通うきっかけになったのは、STILL BY HANDだった。
きれいめで、どこか品のある服。
その空気感が好きで、気付けば自然と足を運ぶようになっていた。
でも最近、少しだけ気持ちが変わってきた。
「アメカジも、なんか良いな。」
そう思うようになった。
ただ、いきなり古着は少しハードルが高い。
新品でも、あまりにもヴィンテージ感が強いものは自分には少し違う。
そんな曖昧な感覚を、そのまま遠山さんに話してみた。
色々試着して、最後に残ったのがA VONTADEだった。
今回選んだのは、7.5OZ POCKET T-SHIRTSとDRAWSTRING CARGO EASY。
男っぽい雰囲気はある。
でも、わざと古着のように見せるUSED加工やダメージ加工はしていない。
どこか品もある。
その絶妙なバランスが、今の自分にはしっくりきた。
そして、この服はここからが面白い。
着込んでいくことで、自分だけの表情になっていく。
新品を完成品として着るのではなく、自分で育てていく服。
そんな楽しみ方は、今まで知らなかった。
試着しながら聞いた話も印象に残っている。
今どきのTシャツは、どこのブランドも首がヨレないように作っている。
でもA VONTADEは違う。
あえて少しだけヨレるように作っているらしい。
着込んだ時の、あのクタっとした雰囲気が格好良いから。
さらに聞いた話が面白かった。
昔のドルチェ&ガッバーナのランウェイでは、出番直前にデザイナー自らモデルのTシャツの首元を引っ張って、わざとヨレさせていたそうだ。
新品なのに、着込んだような自然な表情を作るために。
なるほど。
そういう美意識があるのか。
服って、背景を知るともっと面白くなる。
もっと意外だったのは、その後だった。
「まだアメカジって全然知らないんですよ。」
そう話すと、
「だったら他の店も見てきたら?」
そう言って、おすすめのショップを教えてくれた。
もちろん、A VONTADEを着て。
行ってみると、LAMPAとはまったく違う世界だった。
ガチガチのアメリカ。
言われなかったら、多分一生入らなかったと思う。
でも、店主と話をして、また違うアメカジの考え方に触れることができた。
いや、面白い。
服って、一着買って終わりじゃない。
そこから知らない世界が、どんどん広がっていく。
STILL BY HANDが嫌いになったわけじゃない。
今でも大好きだ。
ただ、自分の好きな範囲が広がった。
それだけのこと。
でも、それがすごく嬉しい。
しかし、これは財布に響く。
これでしばらく、カップ麺のお世話になってしまうなぁ。
まっ、それで心の胃袋が満たされるなら、それでいいか。
さぁ、明日から仕事頑張ろう。
スラックスには、独特の品があります。
穿くだけで自然と背筋が伸びるような空気がある。
だからこそ、仕事やフォーマルな場面で穿くもの。
そんなイメージを持っている人も多いと思います。
でも、このパンツは少し違います。
STILL BY HANDが目指したのは、スラックスをもっとファッションとして楽しめる一本。
品の良さはそのままに、もっと気軽に、もっと日常へ。
その考え方が、この強撚テーパードパンツのすべてに貫かれています。
ウエストはゴム仕様。
穿いた瞬間から、余計なストレスがありません。
それでいて、深めのタックとセンターシームが生み出す表情は端正そのもの。
ヒップから腿にかけてゆったりと取り、裾へ向かって自然に絞れるテーパードシルエット。
リラックスした穿き心地なのに、どこかスラックスらしい品を感じる。
この絶妙なバランスこそ、このパンツ最大の魅力です。
生地には、強撚のポリエステル素材を使用。
強く撚りを掛けた糸が生む、シャリっとしたドライな肌触り。
軽く、シワになりにくく、速乾性にも優れています。
汗ばむ季節でも肌に張り付きにくく、さらっとした穿き心地が続く。
機能として説明することはできます。
でも、本当に良いところはそこではありません。
穿いて初めて、「なんか快適だな」と感じる。
その自然さこそが、このパンツの正しい在り方です。
深めのタックは、このパンツを象徴するデザインアクセント。
さらにサイドには、ポケットを兼ねたタックを配置しています。
ポケットへ手を入れると、まるでタックの中へ手を差し込んでいるように見える。
ほんの少し視点を変えるだけ。
それだけで、何気ない動作までデザインになる。
STILL BY HANDの服は、大きなデザインで驚かせるブランドではありません。
こうした細かな工夫を積み重ねることで、その服らしさを作り上げています。
派手なデザインではない。
目を引く装飾もない。
それでも、穿けば穿くほど良さが伝わってくる。
その理由は、一つひとつの細かな工夫にあります。
こうした積み重ねが、LAMPAがSTILL BY HANDをセレクトしている理由です。
派手さではなく、積み重ねで魅せる。
このパンツは、STILL BY HANDというブランドらしさを、存分に味わえる一本です。
服には二種類ある。
一目で「凄い」と思わせる服。
そして、見れば見るほど「凄い」と気付く服。
このシャツは、間違いなく後者だ。
色も落ち着いている。
シルエットもベーシック。
一見すると、ごく普通の半袖オープンカラーシャツ。
だけど、近くで見た瞬間に印象が変わる。
「なんだ、この生地。」
そう思わずにはいられない。
普通に見えてしまうほど、徹底的に作り込まれている。
そんなSTILL BY HANDらしさが、この一着には詰まっている。
まず、このシャツで一番目を惹くのは生地。
機屋のアーカイブに残るテクニックを用いて、STILL BY HANDが一から別注で製作したオリジナルファブリックだ。
生地全体にランダムに走るピンタック。
プリントでも織り柄でもない。
生地そのものに立体感を与えることで、光の当たり方や動きによって豊かな表情が生まれる。
派手ではない。
華やかでもない。
それでも自然と目が止まってしまう。
無地には出せない奥行きと存在感。
このブランドらしい、静かな個性を感じさせてくれる生地だ。
見た目だけではない。
着ると、さらに驚く。
素材はレーヨン、ナイロン、ポリウレタンの混紡。
適度なシボ感を持ったドライタッチな質感で、肌離れがとても良い。
そして驚くほど軽い。
汗ばむ季節でも肌に張り付きにくく、風が抜けるような快適な着心地。
袖を通した瞬間に「これなら真夏でも着たい」と思えるシャツだ。
存在感のある生地なのに、着心地は驚くほど軽快。
このギャップが、このシャツのもう一つの顔だ。
STILL BY HANDの服は、デザインを足して目立たせるブランドではない。
違和感を、自然に仕込むブランドだ。
このシャツもそう。
胸ポケットは、丸みを帯びたフラップ。
対してポケット本体は四角いマチ付きのパッチポケット。
普通ならどちらかに揃える。
でも、このブランドはあえて揃えない。
言われなければ気付かない。
だけど、一度気付くと妙に心地良い。
「なんか良い。」
そんな感覚を生み出すデザインが、本当に上手い。
背面も抜かりない。
一般的なヨークタックではなく、センターのみにタックを配置した珍しい仕様。
この一手間だけで、自然な立体感と程良いゆとりが生まれる。
派手なデザインではない。
でも、後ろ姿まで美しく見える。
シンプルだからこそ、小さな違いが大きな違いになる。
そんなことを改めて感じさせてくれる。
デザインを足すのではなく、違和感を仕込む。
生地で魅せ、着心地で納得させ、細部で惹き込む。
それがSTILL BY HANDというブランドのものづくりだ。
別注ピンタック生地。
絶妙な違和感を生む非対称のポケット。
立体感を生むセンタータック。
そして真夏でも快適に着られる驚きの軽さ。
どれも派手ではない。
だからこそ、長く着るほど、この服の完成度の高さが伝わってくる。
服好きほど、知れば知るほど惹かれてしまう。
このシャツは、STILL BY HANDというブランドを最もSTILL BY HANDらしく表現した一着だと思う。
都内在住、53歳。
町中華ならぬ、町セレクトショップ店主。
アパレル業界には、年に何度か展示会がある。
ブランドが次のシーズンのコレクションを発表し、全国のセレクトショップのバイヤーが集まってオーダーを入れる。
中目黒や原宿を中心に開かれることが多いが、会場はたいてい駅から少し離れたギャラリーだ。
だから展示会の日は、普段あまり歩かない道を歩くことになる。
そして、そういう日に限って思いがけない店と出会う。
今回もそうだった。
次のアポイントまで、少し時間があった。
見慣れない路地を折れたとき、雰囲気のいいレコード屋が目に入った。
「少しだけ。」
そんな気持ちで扉を開けた。
一歩足を踏み入れた瞬間だった。
店内に流れる音。
棚に並ぶレコード。
その空気を吸った瞬間、昔の自分が一気によみがえった。
ジャケットやトップスはRALPH LAUREN、ARMANI、DKNY。
GUESSやBANANA REPUBLICのパンツ。
首にはCOBYのヘッドホンをぶら下げて、夢中でレコードを掘っていた30年前。
もう何十年もDJはやっていない。
レコードも、ずっと買っていなかった。
それなのに、あの頃の空気だけは一瞬で戻ってきた。
今日着ているのは、BRENA BLAZEのLAMPA別注シャツに、MOUT RECON TAILORのSUMMERWEIGHT FIELD PANT。
あの頃はNYスタイルに憧れて、NYヒップホップのファッションをそのまま真似ていた。
でも今は違う。
誰かの真似じゃない、自分流のスタイルがある。
服は変わった。
着方も変わった。
でも、自分の中にある考え方も、価値観も、何ひとつ変わっていなかった。
自分の芯にあるもの。
それは今でも、HIPHOPだ。
ふと顔を上げると、店の奥にオリジナルのTシャツが並んでいた。
何気なくプリントに目をやった瞬間、足が止まった。
“HOW MANY SHOPS MUST GET DISSED?”
BLACK MOONの名曲、
“HOW MANY MC’S MUST GET DISSED?”
そのサンプリングだった。
このフレーズは、自分もオリジナルTシャツに使おうと、ずっと温めていた言葉だった。
まさか先を越されるとは。
それも、こんな路地の奥のレコード屋で。
悔しいというより、純粋に嬉しかった。
同じ場所に辿り着いた人間が、この街のどこかにいる。
興奮のボルテージは、一気にMAXまで上がった。
気づけばレコードを10枚抱えて、店を出ていた。
レコードは、決して軽い荷物じゃない。
しかも、このあとも展示会は何件も残っている。
普通に考えたら、買うタイミングじゃない。
でも、不思議と後悔はなかった。
レコードを抱えながら歩く街は、少しだけ違って見えた。
展示会へ向かうために歩いていたはずの道。
ただ次の予定へ移動していただけの時間。
その途中で、30年前の自分と偶然出会った。
街は、こういうことを時々起こす。
目的地だけを見ていたら、たぶん何も起きなかった。
少し時間が余った。
知らない路地を曲がった。
気になる店があった。
ただ、それだけだった。
でも、その偶然が止まっていた自分のBPMを、もう一度動かした。
……とはいえ、レコード10枚は少し張り切り過ぎた。
やっぱり重い。
まぁ、こんな日があってもいいよな。
そう思いながら、次の展示会へ向かった。
• • •
ー END ー
最近は、本当に快適なパンツが増えた。
ストレッチが効いている。
軽い。
動きやすい。
ウエストはゴム。
昔に比べれば、信じられないくらい快適だ。
それ自体は、とても良いことだと思う。
実際、僕自身も快適な服は好きだ。
ただ、その一方で思うことがある。
快適なパンツは増えた。
でも、格好良いパンツは意外と増えていない。
快適さを優先した結果、どこかスポーティーになりすぎてしまったり、リラックス感が強くなりすぎてしまったり。
もちろん、それが悪いわけではない。
ただ、自分が穿きたいと思うパンツとは少し違う。
そんなことを感じる時がある。
STILL BY HANDのワンタックジャージースラックス CS06261は、その感覚に対するひとつの答えだと思う。
このパンツを穿いて、最初に思ったのはそれだった。
正直、スポーツブランドのジャージーパンツを穿いているような感覚だ。
柔らかい。
動きやすい。
ストレッチも効いている。
さらに、ウエストはゴムを採用したイージー仕様。
穿き心地だけで言えば、本当に快適だ。
でも、鏡を見ると少し違う。
そこにあるのは、ジャージーパンツではない。
むしろ、都会的で洗練されたスラックスのような雰囲気。
このギャップが本当に面白い。
身体が感じているのは、ジャージーパンツのような気軽さ。
でも、目に映るのはスラックス。
快適さと見た目。
普通なら、どちらかを優先しそうなものだ。
このパンツは、その両方を自然に成立させている。
素材には、強撚のコットンジャージーを使用している。
ジャージー素材と聞くと、柔らかくカジュアルなイメージを持つ人も多いと思う。
でも、この生地は少し違う。
糸を強く撚ることで、適度なハリとコシを持たせている。
柔らかいのに、輪郭がある。
伸びるのに、だらしなく見えない。
快適なのに、品が残る。
この絶妙なバランスが、パンツ全体の空気を作っている。
面白いのは、その快適さを前面に押し出していないことだ。
世の中には、「楽ですよ」と主張するパンツがたくさんある。
ストレッチ。
イージー仕様。
軽量。
そうした機能が、そのまま服の見た目に現れているものも少なくない。
でも、このパンツは違う。
まず目に入るのは、シルエット。
そして、スラックスのような品のある雰囲気。
快適さは、穿いてから気付く。
その順番が良い。
このパンツの面白さは、シルエットにもある。
深めに入ったワンタック。
そして、そのタックの中へ隠れるように配置されたポケット。
前から見ると、比較的すっきりしている。
でも、横から見ると印象が変わる。
ヒップから腿まわりにかけて、程良いボリュームが現れる。
身体の線をそのまま拾うのではなく、服として立体的な輪郭を作る。
ここが上手い。
派手ではない。
でも、普通でもない。
STILL BY HANDは、昔からこういう服が上手い。
一見すると、すごく自然。
でも、よく見ると少し違う。
タックの深さ。
ポケットの位置。
横から見た時のボリューム。
その小さな違いが重なって、穿いた時の雰囲気を大きく変えている。
考えてみると、このパンツがやっていることは意外と難しい。
ジャージー素材は快適だ。
でも、その快適さを強く出せば、スポーツウェアに近づいていく。
ウエストをゴムにすれば楽になる。
でも、作り方を間違えると部屋着のようにも見える。
ゆとりを持たせれば動きやすい。
でも、ただ大きくするだけでは輪郭が崩れる。
CS06261は、その難しい境界線を丁寧に越えている。
ジャージー素材の快適さを残す。
イージーパンツの気軽さも残す。
その上で、スラックスとして見えるところまで持っていく。
素材だけでもない。
シルエットだけでもない。
ディテールだけでもない。
その全部が同じ方向を向いているから、このバランスが成立している。
このパンツには、STILL BY HANDらしさがよく表れている。
快適さだけを追求して作ったパンツではない。
まず、シルエットがある。
デザインがある。
服としての格好良さがある。
その上で、快適さまで成立している。
だから自然に穿ける。
だから大人が穿きやすい。
ジャージー素材の快適さ。
イージーパンツの気軽さ。
そして、スラックスの品の良さ。
どれかひとつを強く見せるのではなく、その全部を静かに成立させている。
快適なパンツは増えた。
でも、格好良いパンツは意外と増えていない。
STILL BY HAND ワンタックジャージースラックス CS06261。
穿いた瞬間は、ジャージー。
鏡に映るのは、スラックス。
このギャップこそ、この一本の面白さだと思う。
暑いから、涼しくする。
高機能素材のTシャツというと、多くの人がそんなイメージを持つと思う。
接触冷感。
吸水速乾。
UVカット。
どれも便利だし、実際に効果もある。
でも、THING FABRICSのTF RECONSTRUCTION PLAIN T-SHIRTは少し違う。
冷やすための生地ではない。
快適な状態を維持するための生地。
暑さに対して、ただ冷たさを与えるのではない。
身体と衣服の間に生まれる熱や湿気に働きかけ、快適な状態へ近づけていく。
その考え方自体が、これまで僕が知っていた高機能素材とは少し違っていた。
このTシャツに採用されているのは、アメリカのCocona社が開発した37.5 Technology。
アウトドアの世界でも知られてきた、高機能素材技術だ。
特徴は、火山砂由来の活性微粒子を利用していること。
人の身体からは、汗として見える前から水蒸気が発生している。
37.5 Technologyは、その湿気に働きかける。
身体から発せられる赤外線エネルギーも利用しながら、水分の蒸発を促し、衣服内をより快適な状態へ近づけようとする。
面白いのは、ただ汗を吸って乾かすという発想ではないところだ。
汗が大量に出てから対処するのではなく、その前段階にある水蒸気へ働きかける。
冷たさを与えるのではない。
快適な状態から、できるだけ遠ざけない。
この発想が面白い。
しかも、この機能は単なる表面加工ではない。
活性微粒子は繊維レベルで組み込まれている。
毎日のように着る。
洗う。
また着る。
そういう日常着として考えた時にも、非常に理にかなっている。
この素材は、接触冷感のように、着た瞬間の冷たさを強く感じさせるためのものではない。
だから最初の数秒だけで判断すると、その凄さは分かりにくいかもしれない。
違いが見えてくるのは、むしろ時間が経ってからだと思う。
暑い街を歩く。
汗ばむ。
冷房の効いた店に入る。
また外へ出る。
都市の一日は、温度も湿度も何度も変わる。
37.5 Technologyが目指しているのは、そうした変化の中で快適な状態を維持することだ。
暑い時には、熱や湿気を逃がす方向へ働く。
一方で、必要以上に身体を冷やすための素材でもない。
だから、夏だけで終わらない。
春も。
秋も。
気付けば手に取っている。
高機能素材というと、どうしても季節限定のイメージがある。
でも、37.5 Technologyはもっと長い時間軸で付き合える。
涼しさを競うのではなく、快適さを維持する。
僕は、その考え方自体が面白いと思った。
僕がこのTシャツを良いと思った理由は、機能だけではない。
服として、ちゃんと格好良い。
程良くゆとりを持たせたシルエット。
余計な装飾を加えないデザイン。
高機能素材のTシャツであることを、必要以上に主張していない。
ここが大きい。
機能素材の服には、ときどき機能そのものが見た目を支配してしまうものがある。
いかにも涼しそう。
いかにも速乾しそう。
いかにもアウトドアで使えそう。
でも、このTシャツは違う。
レコードを探しに行く日も。
コーヒーを飲みに行く日も。
何気なく街を歩く日も。
自然に手が伸びる。
機能素材であることを忘れてしまうくらい、普通に服として成立している。
でも、着て時間が経つと、その快適さはしっかり感じる。
このバランスが良かった。
THING FABRICSといえば、今治タオルの技術を背景に持つブランドとして知られている。
だからこそ、このアイテムを最初に見た時は少し意外だった。
パイルではない。
タオルでもない。
ブランドを象徴する素材とは、まったく違う方向に見える。
でも、実際に触れて、話を聞くと納得する。
ブランドの枠を超えてでも、この素材を採用したかった理由が見えてくる。
デザイナー自身が、この素材に惚れ込んでいる。
その熱が、服から伝わってくる。
タオルブランドだから、タオルだけを作る。
そういう単純な話ではない。
本当に良いと思った素材なら、自分たちの服として取り入れる。
そして、THING FABRICSの感覚で一枚のTシャツへ仕上げる。
その柔軟さも、このブランドらしい魅力だと思う。
涼しいでもない。
暖かいでもない。
快適であり続ける。
言葉にすると、少し地味かもしれない。
でも、それを実現するのは案外難しい。
人は一日中、同じ環境にいるわけではない。
暑い外を歩く。
冷房の効いた電車に乗る。
店に入る。
また外へ出る。
そのたびに、身体を取り巻く環境は変わる。
だから本当に必要なのは、ただ冷たい服ではないのかもしれない。
変化する環境の中で、快適な状態をできるだけ維持してくれること。
派手な機能を語る服ではない。
日常の中で、静かに実力を発揮してくれる服だ。
THING FABRICS TF RECONSTRUCTION PLAIN T-SHIRT。
高機能生地の概念を変える。
37.5 Technology。
正直に言うと、このバッグは最初から企画として存在していたわけではありません。
「巾着を作ろう」
そんな話が先にあったわけでもない。
ただ、自分が欲しかった。
本当にそれだけです。
巾着は昔から嫌いではありませんでした。
でも、いざ自分で持ちたいと思うと、なかなか見つからない。
和の雰囲気が強すぎる。
逆にデザインだけが先行している。
どこかコスプレのように見えてしまう。
洋服好きが普段の服に自然に合わせられる巾着が、本当に少なかった。
だから作りました。
今回の別注で特に面白いと思ったのが、レザーとバンジーコードの組み合わせです。
普通に考えれば、あまり組み合わせる素材ではありません。
上質で柔らかなレザー。
アウトドアやミリタリーギアを連想させるバンジーコード。
綺麗なものと無骨なもの。
上品なものと機能的なもの。
本来なら少しちぐはぐに見えてもおかしくない。
でも、その違和感が良かった。
レザーだけなら綺麗にまとまり過ぎる。
コードだけなら少し無骨過ぎる。
その中間にある絶妙なバランス。
上品なのに少しギア感がある。
クラシックなのにどこか新しい。
街で洋服と合わせた時、その違和感がアクセントになる。
このバッグの魅力はそこにあると思っています。
そして何より、このレザーが素晴らしい。
TRIALOGUE STUDIOオリジナルの国産牛革。
厳選した北米原皮をベースに、革本来の魅力を最大限に引き出すため、潰す、引っ張る、叩くといった工程を極力抑えています。
さらにネット貼りや高温乾燥を行わず、自然乾燥でじっくり仕上げる。
効率だけを考えれば、決して楽な作り方ではありません。
それでもそうする。
なぜなら、その方が革が良いからです。
手に取ると分かります。
モチモチとしている。
しっとりしている。
柔らかい。
でも頼りない柔らかさではない。
革としての力強さを残したまま、驚くほど気持ち良い質感になっています。
正直、このレザーに惚れ込んだから別注をお願いしたと言っても良いくらいです。
デザインは着脱可能な小さな巾着を組み合わせた親子仕様。
まるで親亀と子亀。
見た目が面白いだけではありません。
財布、スマホ。
鍵、AirPods。
実際に使うと想像以上に理にかなっています。
さらに今回はインラインには無い長めのコードを採用しました。
手持ちだけでは終わらせたくなかった。
斜め掛けでも使いたかった。
街で本当に使えるバッグにしたかった。
だから細かい部分まで指定しています。
カラーもそうです。
ブラックとブルーを基調にしながら、小さい巾着部分にはターコイズ。
地味ではない。
でも派手でもない。
洋服の邪魔をしない。
けれど確実に存在感はある。
そんなバランスを目指しました。
ヴィンテージでもない。
和でもない。
モードでもない。
どこかヨーロッパの空気を感じる。
でも気取っていない。
Lampaで提案している洋服と並んだ時に自然に馴染む。
そんなバッグです。
世の中には機能的なバッグがたくさんあります。
収納力が凄いものもある。
軽いものもある。
便利なものもある。
それでも、このバッグを作りたかった。
なぜなら、自分が欲しかったから。
「もし自分が巾着を持つなら、こんなのがいい。」
その気持ちから始まった別注です。
TRIALOGUE STUDIOのレザー。
職人の技術。
そして、譲れないこだわり。
その全部を詰め込みました。
かなり良いものが出来たと思っています。
Lampaファンにとってマストなバッグになったと思う。
自信作です。
ベースボールTEEというフォーマットは、本来ラフで気軽な存在だ。
スポーティーで、肩の力が抜けている。
それが、この服の良さでもある。
でも、PERS PROJECTSのRILEY Q/S C/N TEEは、その前提を静かに裏切ってくる。
ラフなのに、雑に見えない。
ゆったりしているのに、どこか整っている。
カジュアルなのに、品がある。
その理由は、生地だけではない。
生地と設計。
その両方が、同じ方向を向いている。
使われているのは、超長綿によるLONG STAPLE JERSEY。
長い繊維を使うことで、糸の表面は滑らかになる。
毛羽立ちも抑えられる。
さらに加工によって糸を引き締め、表面の毛羽を丁寧に除去していく。
そうした工程の積み重ねが、最終的には触感の違いとして手に残る。
これは、触ると分かる。
指先が引っ掛からないような、なめらかな表面。
でも、薄っぺらくはない。
生地の中には、しっかりと密度がある。
柔らかいだけでもない。
綺麗なだけでもない。
着た時に、生地が自然に落ちる。
それでいて、一枚で着ても輪郭が崩れにくい。
このTシャツがラフに見えすぎない理由は、まずここにある。
もし、普通のクルーネックTシャツにこの生地を使っていたら。
もちろん、良いTシャツにはなったと思う。
でも、ここまで印象には残らなかったかもしれない。
この服には、ベースボールTEEというラフな骨格がある。
スポーティーな空気。
力の抜けたシルエット。
そこに、超長綿による滑らかで上品な生地を重ねる。
だから、生地の良さが逆に際立つ。
上質な素材を、上品に見せるだけではない。
ラフなものと組み合わせることで、その品を浮かび上がらせる。
スポーティーなのに、雑には見えない。
上品なのに、かしこまらない。
このギャップこそが、PERS PROJECTSの面白さだと思う。
首元は、四つ巻き仕様。
しっかりと強度を確保しながら、見た目は驚くほど繊細だ。
本来、強度を優先すれば、首元は太く存在感が出やすい。
でも、それではこの生地の表情を壊してしまう。
だから、強さを見せない。
必要な強度は持たせながら、服全体の空気を邪魔しない。
主張しない強さ。
この考え方は、肩まわりにも続いている。
袖付けには、ジャケットづくりにも通じる立体的な考え方がある。
肩が自然に収まる。
腕の動きを妨げにくい。
そして横から見た時に、静かな立体感が生まれる。
一見すると、気軽なベースボールTEE。
でも、身体の上に乗った時の見え方まで考えられている。
カットソーとしては、かなり手の込んだ仕事だと思う。
生地が良いから、完成度が高い。
それだけの話ではない。
生地に合わせて、デザインを選ぶ。
生地に合わせて、首元を設計する。
生地に合わせて、肩まわりまで作り込む。
一つひとつの判断が、同じ方向を向いている。
だから、着た瞬間に違和感がない。
どこか一部分だけが目立つのではなく、服全体として自然に成立している。
似たような超長綿のTシャツは、世の中にいくらでもある。
滑らかで。
上品で。
肌触りが良い。
それだけなら、選択肢は多い。
でも、ラフなフォーマットの中に上質さを自然に溶け込ませている服は、意外と少ない。
素材の良さを見せつけるための服ではない。
生活の中で、自然に袖を通すための服だ。
デニムに合わせてもいい。
軍パンでもいい。
スラックスに合わせれば、生地の品がまた違って見える。
ベースボールTEEだから、気軽に着られる。
でも、超長綿の滑らかな表情があるから、ラフになりすぎない。
そして、首元や肩まわりまで考え抜かれているから、ただ大きいだけのTシャツにも見えない。
カジュアルだけど、品がある。
スポーティーだけど、子供っぽくない。
力は抜けているのに、街の中でちゃんと成立する。
PERS PROJECTS RILEY Q/S C/N TEE。
簡単そうに見えて、実際はかなり難しいことをやっている一枚だ。
都市型ベースボールTEE。
その言葉が、この服にはよく似合う。
このニットTシャツに使われているのは、シーアイランドコットン。
「繊維の宝石」「奇跡の綿花」。そう呼ばれる、世界最高品質のコットンです。
服が好きな方なら、一度は耳にしたことがある名前ではないでしょうか。
長く、細く、そして強い。世界中の超長綿の中でも頂点に位置すると言われる存在です。
ただ、このニットの面白さは、その最高級素材を使ったことではありません。
その素材を、YONETOMIがどう解釈したのか。そこにあります。
シーアイランドコットンは、世界でも限られた地域でしか生産されない希少な超長綿です。
一般的なコットンと比べて繊維長が長く、しなやかで強い。
そのため生地にした時には、美しい光沢と滑らかな肌触りが生まれます。
高級シャツや高級ニットで採用されることが多いのも、その品質の高さゆえです。
そして多くの場合、その魅力を最大限に活かすために仕上げられます。
柔らかく。滑らかに。上品に。高級に。それがシーアイランドコットンの王道です。
しかし、このRIGID SEA ISLAND COTTON YOKO-MARUDO KNIT TEEは違います。
YONETOMIは、あえて強撚糸を採用しました。
強撚とは、繊維を通常よりも強く撚り合わせる製法のこと。
これによって生地には独特の張りとコシが生まれます。
さらに、このニットは極限まで度詰めで編み上げられています。
編み目を細かく、密度高く仕上げることで、生地はより力強く、より安定した表情になります。
普通なら素材の繊細さを前面に出すところを、あえて逆方向へ進む。
シーアイランドコットンをさらに鍛え上げるような発想です。
だから柔らかいだけでは終わらない。
上品なのに力強い。高級なのに構えなくていい。
初めて触った時。正直、少し驚きました。
僕の中にあったシーアイランドコットンのイメージと違ったからです。
あれ? シーアイランドコットンって、こんな感じだったっけ?
そんな違和感から始まりました。
でも知れば知るほど納得します。
これは素材の魅力を消しているわけではない。むしろ逆です。
素材の良さに頼るのではなく、素材の可能性をさらに引き出そうとしている。
そういう服です。
このニットを見ていて思うことがあります。
意外なほどアメカジとの相性が良い。
軍パン。チノパン。色落ちしたデニム。ファティーグパンツ。
一般的な高級ニットなら、少し気を使ってしまうような相手です。
でも、このニットは負けません。
生地に芯がある。生地に強さがある。だから合わせる側が少しラフでも成立する。
高級ニットなのに軍パンが似合う。高級ニットなのに気取らない。
上質なのに日常着。なかなかないバランスです。
YONETOMIを手掛ける米冨繊維は1952年創業。
1959年には、日本で初めてサマーニットを開発したメーカーとしても知られています。
長年にわたりニットと向き合い続けてきた歴史。
素材開発から編み立てまで一貫して行う技術。
その積み重ねがあるからこそ、こうした発想に辿り着ける。
最高級素材を使うことより、その素材の新しい可能性を引き出すことの方がずっと難しい。
このニットには、その覚悟が詰まっています。
世界最高品質を、ただ柔らかく終わらせない。
鍛え上げて、日常着にする。
それがYONETOMIのRIGID SEA ISLAND COTTON YOKO-MARUDO KNIT TEEです。
触った瞬間に、仕入れを決めた。
正直、こういうシルクは初めてだった。
シルクと聞くと、柔らかくて上品なものを想像する。それは間違っていない。
でも同時に、どこか繊細で気を使う素材というイメージもある。
このニットは違った。
滑らかだ。光沢もある。肌触りも素晴らしい。でも、それだけじゃない。
しっかりしている。頼りない感じがない。柔らかいのに安心感がある。
展示会で触った瞬間、「あ、これ仕入れるやつだ」と思った。
後から知った。その違和感には、ちゃんと理由があった。
米冨繊維には、生地開発室がある。年間を通して生地開発だけに取り組む専門部署だ。
ニットメーカーとしては珍しい存在だと思う。
新しい糸。新しい編地。新しい着心地。
既存の素材を選ぶのではなく、理想の着心地から逆算して素材そのものを作る。
今回のシルク天竺も、その発想から生まれている。
日本唯一のシルク紡績工場へ別注し、この生地のためだけに糸を開発。
さらに、それを極限まで度詰めで編み上げている。
正直、「そこまでやる?」と思った。
でも触ると分かる。だから、そこまでやったんだなと。
このニット最大の魅力は、生地にある。もちろん滑らかだ。もちろん上品だ。
でも一般的なシルクニットとは少し違う。
薄くて繊細。そんなイメージがない。むしろ安心感がある。
しっかりしている。頼りない感じがない。
上品なのに気を使わない。シルクなのに毎日着たくなる。
正直、こういうシルクは初めて触った。シルクらしくない。
でも、それはこのニットにとって最高の褒め言葉だと思う。
本当に快適な服は、着た瞬間よりも数時間後に違いが出る。
暑い日。湿度の高い日。汗ばむ午後。そんな時こそ素材の差ははっきり現れる。
シルクはコットン以上に優れた吸湿性と放湿性を持ち、衣類の中を快適な状態に保ってくれる。
蒸れにくい。肌にまとわりつきにくい。そして驚くほど涼しい。
さらに、このニットは自宅での手洗いも可能。
高級素材だから気を使う。そんな常識からも自由だ。
快適さは派手じゃない。でも毎日着る服にとって、一番大切な機能かもしれない。
1959年。まだ「ニットは冬のもの」という時代に、米冨繊維は日本初となるサマーニットの開発に挑戦した。
涼しくて。風通しが良くて。さらに洗濯にも強い。そんなニットを作れないか。
その挑戦は、日本中のニット産業に広がっていった。
面白いのは、70年近く経った今もやっていることが変わらないことだ。
より快適に。より着やすく。より日常に馴染むように。
生地開発室を持ち、新しい素材を研究し続ける姿勢にも、その精神が流れている気がする。
今回のシルクニットも、きっとその延長線上にある。
シルク100%だから凄いのではない。
理想の着心地のために、生地そのものから作り上げたから凄い。
日本唯一のシルク紡績工場。生地開発室。度詰めのシルク天竺。
そんな話を知らなくても、このニットの良さは伝わると思う。
なぜなら僕自身がそうだったから。
最初に惹かれたのはスペックではない。生地だった。
触った瞬間に決まった。
これを仕入れないという選択肢は、なかった。
真夏の東京は、なかなか手強い。
アスファルトからの照り返し。
ビルの間にこもる熱気。
電車を降りて数分歩いただけで、汗が出てくる。
そんな季節になると、服に求めるものも少し変わってくる。
格好良いだけじゃ足りない。
でも、機能だけでもつまらない。
都市生活の中で本当に着たくなる服は、その間にある気がする。
MOUT RECON TAILORのPOLARTEC POWER DRY TACTICAL T-SHIRTS MT-1908は、まさにそんな一枚だ。
POLARTEC POWER DRY。
吸水速乾。
高い通気性。
高機能なメッシュ構造。
スペックだけを見ても、十分に魅力的だ。
でも、このTシャツを着ていて記憶に残るのは、数字ではない。
汗をかいても、肌にまとわりつきにくい。
風が抜ける。
気付けば、服の存在を忘れている。
数字は、性能を説明してくれる。
でも、快適さは身体が覚えている。
このTシャツは、そういうタイプの服だと思う。
このTシャツが面白いのは、生地だけで快適さを作ろうとしていないところだ。
ややゆとりを持たせたシルエット。
身体との間に生まれる、空気の層。
そして、風の通り道。
POLARTEC POWER DRYという素材の性能を活かすために、シルエットそのものも考えられている。
ただ大きいわけではない。
ただ涼しい素材を使っているわけでもない。
素材と形。
その両方が揃って初めて、身体と服の間に余白が生まれる。
服の中を空気が動く。
汗をかいた身体に、生地が張り付き続けない。
服と身体の間にある空気もまた、機能の一部なのだと思う。
背面に設けられたベンチレーション。
タクティカルウェアを思わせるディテール。
普通なら、もっと目立たせることもできるはずだ。
機能性を視覚的に強調して、いかにも高機能な服として見せることもできる。
でも、MOUT RECON TAILORはそうしない。
必要だから、そこにある。
装飾として付けるのではなく、機能として存在している。
だから見た目に過剰な派手さはない。
それでも、服として妙な説得力がある。
近くで見ると、理由がある。
着てみると、さらに意味が分かる。
機能が、そのまま服の表情になっている。
そこに、このブランドらしい機能美がある。
MOUT RECON TAILORが目指しているのは、ミリタリーウェアの再現ではない。
軍や特殊部隊で使われる現代の装備。
ミルスペックやタクティカルウェアにある、機能と合理性。
そうした考え方を読み取り、現代の都市生活へ再編集する。
だから、無骨すぎない。
だから、街で着やすい。
機能を強く見せるのではなく、日常へ自然に溶け込ませる。
電車に乗る。
暑い街を歩く。
店に入る。
また外へ出る。
そういう一日の中で、本当に必要な快適さへ置き換えていく。
LAMPAがこのブランドを好きな理由も、たぶんそこにある。
朝、家を出る。
駅まで歩く。
電車に乗る。
また暑い街へ出る。
汗をかいて、冷房の効いた場所に入る。
そんなことを何度も繰り返して、夕方になって気付く。
今日は、服のことを考えなかったな、と。
汗をかいても、不快感が残りにくい。
風が抜ける。
身体が楽だ。
特別な感動があるわけではない。
でも、毎日着る服に必要なのは、案外そういうことなのかもしれない。
高機能であることを、着ている間ずっと意識させる服ではない。
むしろ、その機能を忘れてしまうほど自然に快適であること。
MOUT RECON TAILOR POLARTEC POWER DRY TACTICAL T-SHIRTS MT-1908。
機能を着るのではない。
快適さを着る。
初めて見た時。
正直に言うと、「やりすぎじゃないか」と思った。
左腿に付いた大きなポケット。
その上に重なる、セルホルスターポケット。
さらに、ドイツ製のステルスクロージャー。
普通のカーゴショーツと比べれば、明らかに情報量が多い。
でも、MOUT RECON TAILORの服は、いつもそうだ。
最初は少し違和感がある。
見慣れた服のどこかに、自分の知らない機構がある。
なぜ、ここまでやるのか。
そう思いながら使っているうちに、その意味が少しずつ見えてくる。
そして気付けば、それまでの普通が少し物足りなくなっている。
MOUT RECON TAILOR SUMMERWEIGHT MDU SHORTS MT-1906。
このショーツも、まさにそういう一本だ。
このショーツの話をするなら、まず左腿から始めるべきだと思う。
大きなカーゴポケット。
その上に配置された、スマートフォン専用のセルホルスターポケット。
スマートフォンを収納する。
ただそれだけの行為に、専用の場所と専用の機構を与える。
正直、なくても困らない。
パンツのポケットに入れれば済む話でもある。
でも、MOUTはそこで終わらない。
現代の都市生活に欠かせないスマートフォンを、ひとつの装備として捉える。
日用品ではなく、装備として考える。
そして、そのための専用機構を服の中に組み込む。
ただ便利なポケットを追加するのではない。
今の生活に必要なものを見つめ直し、そのための場所を服の中に作る。
この徹底の仕方に、MOUT RECON TAILORというブランドの面白さがあると思う。
セルホルスターポケットのフラップには、ドイツ製のステルスクロージャーが使われている。
元々は、手榴弾ポーチのために開発された軍用パーツだ。
引手を操作することで、素早く開く。
しかも、音がほとんど出ない。
ベルクロのような、バリバリという音がない。
金属パーツがぶつかる音もない。
ポケットを開ける。
たったそれだけの動作が、妙に静かだ。
日常生活で、本当にそこまで必要なのか。
たぶん、多くの人には必要ない。
でも、一度その静けさを知ると、少し見方が変わる。
電車の中。
静かな店内。
夜の街。
音を立てずにポケットへアクセスできることが、思っていた以上に心地いい。
なくても困らない。
でも、知ってしまうと戻れない。
必要最低限を超えたところまで、本気で作る。
僕がMOUTを好きになる理由は、案外こういう部分にある。
SUMMERWEIGHT MDU SHORTSという名前の通り、このショーツは暑い季節を意識して作られている。
使用しているのは、INVISTA社製のCORDURA NYCO。
コットン60%、ナイロン40%。
薄い。
軽い。
夏に穿きやすい。
でも、このショーツの魅力は、単純な軽量化ではない。
頼りなさがない。
軽量な生地なのに、触れた時に妙な安心感がある。
大きなポケットを備えた複雑なデザインを、薄いだけの生地で作れば、服そのものが負けてしまう。
逆に、厚く重い生地では、夏のショーツとして手が伸びにくい。
軽さと、タフさ。
涼しさと、道具としての安心感。
その間を狙っている。
穿いて歩く。
ポケットを使う。
汗をかく。
また穿く。
触った瞬間より、穿き続けた後の方が、この生地の良さは伝わると思う。
シルエットは、全体的にゆったりしている。
斜めに配置されたカーゴポケット。
腿まわりに生まれる、独特のボリューム。
そこには、どこかROYAL NAVY CARGOを思わせる空気がある。
でも、軍パンそのものではない。
無骨なのに、重たく見えない。
存在感はあるのに、合わせにくくない。
タフなのに、街から浮かない。
白いTシャツでもいい。
シャツでもいい。
同じMOUTの機能素材と合わせれば、よりテクニカルな方向へ振ることもできる。
これだけ情報量の多いショーツなのに、実際に穿くと意外なほど日常へ入ってくる。
軍服でもない。
アウトドアウェアでもない。
どちらの文脈も知りながら、そのままでは終わらない。
そこに、MOUTがMOUTである理由がある。
軍用装備から生まれた機能。
INVISTA社製のCORDURA NYCO。
ドイツ製のステルスクロージャー。
スマートフォン専用のセルホルスターポケット。
そんな言葉だけを並べると、日常とは遠い服に見えるかもしれない。
でも、MOUTが見ているのは戦場ではない。
都市だ。
スマートフォンを持ち歩く。
電車に乗る。
暑い街を歩く。
店に入る。
また外へ出る。
そういう現代の日常に、軍用装備から生まれた合理性を持ち込む。
手榴弾ポーチのために開発されたクロージャーが、今はスマートフォンへアクセスするために使われている。
その事実だけでも、このブランドが何をしているのかがよく分かる。
過去の軍用装備を、そのまま再現するのではない。
そこにある合理性を読み取り、今の都市生活へ置き換える。
最初は、少しやりすぎに見える。
でも、使っていくうちに意味が見えてくる。
そして気付けば、普通のカーゴショーツが少し物足りなくなる。
MOUT RECON TAILOR SUMMERWEIGHT MDU SHORTS MT-1906。
違和感は、やがて基準になる。
このショーツには、その言葉がよく似合う。
昔は、ロゴTが少し苦手だった。
ブランド名が大きく入っている服を見ると、どこか説明的に感じてしまったからだ。
でも、年齢を重ねるにつれて、その感覚が少し変わった。
ロゴそのものではなく、その背景に何があるのかを見るようになった。
そのブランドは、何を考えているのか。
なぜ、その服を作るのか。
MOUT RECON TAILORのMOUT LOGO T-SHIRTS MT-1910も、そういう一枚だった。
胸にはブランドロゴ。
背中にはブランドネーム。
デザインだけを見れば、とてもシンプルだ。
でも、このブランドの場合は少し意味が違う。
MOUT RECON TAILORが作っているのは、単なるミリタリーウェアではない。
軍や特殊部隊で培われてきた機能性や合理性を読み解き、現代の都市生活へ再構築する。
それが、このブランドの服作りに流れる考え方だと思う。
ブランド名の中にある「RECON」。
偵察を意味するその言葉も、MOUT RECON TAILORというブランドの空気をよく表している。
観察する。
分析する。
必要なものを見極める。
そして、今の生活へ落とし込む。
そう考えると、胸に置かれたロゴも、単なる装飾とは少し違って見えてくる。
ロゴTは難しい。
一歩間違えると、服より先にブランド名だけが見えてしまう。
でも、このTシャツには不思議とそれがない。
ミリタリーそのものでもない。
ストリートに寄りすぎてもいない。
スポーツブランドのロゴTとも違う。
着ている人より前に出てこない。
でも、ちゃんと存在感はある。
軍パンに合わせてもいい。
テクニカルなパンツでもいい。
デニムに合わせれば、また違う見え方になる。
ロゴがスタイルを決めすぎないから、いつもの服の中へ自然に入ってくる。
その絶妙な距離感は、MOUTらしいと思う。
このTシャツに使われているのは、CORDURA® Advanced Fabrics。
薄く、軽い。
それでいて、強さがある。
さらに、吸水速乾、接触冷感、UVカットといった、夏の都市生活に欲しい機能も備えている。
ここだけを見ると、かなり機能的なTシャツだ。
でも、この服の良さは、そのスペックが見た目の前面に出てこないところにある。
いかにも高機能素材を着ています、という顔をしていない。
街で普通に着られる。
そのまま電車に乗れる。
暑い中を歩ける。
店に入っても、日常着として自然に馴染む。
そして一日が終わった時、気づく。
今日、ずっと快適だったな、と。
僕は、こういう機能服が好きだ。
機能を意識させるのではなく、生活の中で静かに働いている。
スペックのための服ではなく、都市で過ごすための服。
MOUT RECON TAILORらしさは、こういうところにも表れていると思う。
一見すると、シンプルなロゴTだ。
でも、その背景には機能と合理性を重視する考え方がある。
都市生活を快適にするための素材選びがある。
そして、MOUT RECON TAILORというブランドが積み重ねてきた思想がある。
普通に見える。
でも、普通じゃない。
僕がこのブランドに惹かれる理由は、案外そういうところにある。
過剰に未来的ではない。
ミリタリーをそのまま再現するわけでもない。
機能を見せびらかすこともしない。
必要なものを選び、都市の日常へ静かに置いていく。
その姿勢が、この一枚にもちゃんと残っている。
MOUT RECON TAILORには、もっと複雑な服もある。
特殊な素材。
独自の構造。
ミリタリーやタクティカルウェアを背景にしたディテール。
そういう服にこそ、このブランドの凄さが表れている部分もある。
でも、最初の一枚は、このロゴTでもいいと思う。
気軽に着られる。
夏の街で使える。
そして着ていくうちに、なぜこのブランドがこの素材を選び、このロゴを置いたのかが少しずつ見えてくる。
MOUTというブランドが、何を作ろうとしているのか。
その思想を、最も自然に体感できる一枚かもしれない。
MOUT RECON TAILOR MOUT LOGO T-SHIRTS MT-1910。
機能の先に、都市がある。
その言葉が、このTシャツにはよく似合う。
夏にニットを着る。
そう聞くと、少し暑そうに感じるかもしれない。
でも、STILL BY HANDの和紙混半袖ニット KN02262は、その印象を静かに変えてくれる一枚だ。
使用しているのは、和紙とポリエステルの混紡糸。
それを12ゲージで編み立てた、ラグランスリーブのニットT。
袖を通した時、まず感じるのは軽さ。
そして、肌にまとわりつきにくい独特のドライな感触。
ニットなのに、重くない。
夏服なのに、軽く見えすぎない。
この一見すると相反する感覚が、KN02262の面白さだと思う。
和紙は、古くから日本の暮らしの中で使われてきた素材だ。
軽く、独特の乾いた感触を持つ。
その和紙を糸として服に使うことで、一般的なコットンニットとは違う着用感が生まれる。
肌に触れた時の、さらっとした感覚。
汗ばむ季節でも、べたっとまとわりつきにくい。
そして、見た目から想像するよりずっと軽い。
日本の夏に和紙を着る。
考えてみれば、かなり自然なことなのかもしれない。
この服の良さは、機能を大きく見せないところにもある。
いかにも涼しそうな服ではない。
いかにも機能的な服でもない。
見た目は、静かな半袖ニット。
でも、着ている本人には違いがわかる。
軽さ。
ドライな肌触り。
身体から少し離れる編み地の感覚。
快適さは、この服の中に静かに宿っている。
主張するのではなく、ただそこにある。
僕は、こういう機能のあり方が好きだ。
夏は、どうしてもTシャツが増える。
楽だし、涼しい。
でも、Tシャツだけでは少し物足りない日もある。
かといって、シャツを着るほどかしこまりたくない。
KN02262は、その間にいる。
Tシャツのように気軽に着られる。
でも、編み地があることで少し整って見える。
シャツほど緊張感はない。
それでいて、ラフになりすぎない。
デニムでもいい。
軍パンでもいい。
スラックスでも成立する。
合わせる服を選ばないというより、いつもの服を少しだけ違って見せてくれる。
その距離感が、大人の夏にはちょうどいいと思う。
ラグランスリーブによる自然な肩まわり。
12ゲージで編み立てた、軽やかな編み地。
袖と裾の緩やかなリブ。
一つひとつは、決して派手なディテールではない。
でも、その組み合わせが全体の空気を作っている。
肩まわりには力が入らない。
身体のラインも追いすぎない。
それでも、袖と裾のリブが服の輪郭を静かに止めている。
ゆったりしている。
でも、だらしなく見えない。
頑張って整えているわけではないのに、自然と全体がまとまる。
こういうバランスを見ると、やっぱりSTILL BY HANDだと思う。
装飾はない。
大きなロゴもない。
強いデザインで目を引く服でもない。
でも、暑い朝にクローゼットを開けると、自然と手が伸びる。
理由をひとつに決めるのは難しい。
着ていて心地よく、いつものパンツに合わせるだけで自然とまとまる。
そういう服は、夏になるとまた戻ってくる。
和紙という日本の素材が持つ独特の軽さとドライな感触を、現代の日常着へ静かに落とし込む。
STILL BY HAND 和紙混半袖ニット KN02262。
夏の正解は、和紙だった。
そんな言葉が、素直に似合う一枚だと思う。
年齢を重ねるほど、快適な服を選ぶようになった。
軽い。涼しい。身体を締め付けない。
もちろん、どれも大事だと思う。
でも、それだけでは少し物足りなくなる。
自然体でいながら、どこか整って見えること。
肩の力は抜けているのに、街の空気に馴染むこと。
楽だから穿く。その先に、ちゃんと服としての雰囲気がある。
STILL BY HANDのリネン2タックパンツ PT02262は、そんな感覚を持った一本だ。
使用しているのは、リネン100%。
風を通し、汗ばむ季節でも肌にまとわりつきにくい。
日本の夏は、ただ暑いだけではない。
湿度が高く、少し歩くだけで汗をかく。電車に乗れば冷房が効き、また外へ出れば熱気に包まれる。
そんな一日の中で、服と身体の間に自然な距離があることは、思っている以上に大きな違いになる。
ただ薄いから涼しいのではない。
生地が肌に張り付きにくく、汗ばむ季節でも不快感が残りにくい。
僕は、こういう素材の良さはスペックを見るより、一日穿いた時の方がよくわかると思っている。
リネンの魅力は、快適さだけではない。
僕が好きなのは、生地の動きだ。
歩けば、裾が揺れる。
座れば、シワが入る。
また立ち上がれば、生地は少し違う表情を見せる。
コットンのパンツとは違う。
化繊のイージーパンツとも違う。
動くたびに服の輪郭がわずかに変わり、光の当たり方まで変わっていく。
その柔らかな揺れが、シンプルな夏の装いに自然な奥行きを作ってくれる。
フロントには、2タック。
そこから腰まわりに、自然なゆとりが生まれる。
でも、ただ太いパンツではない。
2タックによって腰まわりにゆとりを持たせながら、裾へ向かってシルエットは自然に流れていく。
無理に細く見せようとはしていない。
かといって、ルーズなままでもない。
リラックス感はあるのに、ラフになりすぎない。
リネンパンツというと、もっとリゾート的なものもある。
もっとナチュラルな方向へ振ったものもある。
でも、PT02262はそこへ行きすぎない。
自然素材の柔らかさを残しながら、街で穿いた時の輪郭も失わない。
この距離感が、STILL BY HANDらしいと思う。
夏は、服装が単純になる。
Tシャツ。パンツ。靴。
それだけの日も多い。
だからこそ、パンツのシルエットがそのまま全体の印象になる。
PT02262には、腰まわりの余白がある。
リネン特有の揺れがある。
そして、裾へ向かって流れる力みのないラインがある。
だから、トップスで頑張らなくてもいい。
無地のTシャツ一枚でも成立する。
派手ではない。
強い主張があるわけでもない。
でも、何もないわけではない。
この静かな違いが、大人の夏にはちょうどいい。
こういう服は、一度見ただけですべてが伝わるわけではないと思う。
でも、後から効いてくる。
休日。
旅行。
少し出掛ける日。
暑い朝。
何を穿こうか考えた時、自然と手が伸びる。
楽だから。
涼しいから。
でも、それだけではない。
力を抜いて穿いても、ちゃんと街に馴染む。
快適なだけでは、少し物足りない。
かといって、頑張りすぎた服も着たくない。
STILL BY HAND リネン2タックパンツ PT02262。
自然素材が持つ柔らかさと、都会的な整い方。
その両方を静かに併せ持つ、STILL BY HANDらしい一本だと思う。
杉並区在住、43歳。飲食店勤務。
昔から服は好きだった。でも、いわゆる"お洒落な場所"には、そこまで縁があったわけじゃない。
普段着るのは、デニムや軍パン。タフで、気を遣わずに着られるものが多い。
そんな僕が、久しぶりに少し服について考えた。
きっかけは、アーティストの友人から届いた一本の連絡。
「今度、都心のギャラリーで展示やるから来ない?」
もちろん行くつもりだった。でも、そのあと少し考えた。
何を着ていこう。
ラフすぎるのも違う気がする。かといって、急に気合いの入った格好をしても、自分らしくない。
そんなことを考えながら、なんとなく近所の LAMPA に立ち寄った。
店で色々話しながら選んだのが、MANUAL ALPHABETのWIDE SPINDLE SS TEE。
普段、自分で選ぶTシャツといえば、もっと無骨なものが多い。
でも、このTシャツは違った。
柔らかく、滑らかで、少し落ち感のある生地。ゆったりしているのに、だらしなく見えない。
で、裾にスピンドルが付いていて、最初はなんだこれと思った。試しに絞ってみたら、タックインしたようなシルエットになる。
実は、タックインがずっと苦手だった。なんとなく、気合いを入れすぎている感じがして。
でもこれは違った。
裾を少し絞るだけで、なんか急に見え方が変わる。
同じTシャツなのに、不思議だった。
思わず笑ってしまった。
何より、着心地がとにかく良かった。
「これ、なんかいいな。」
気づけば、ほぼ即決だった。
問題はパンツだった。
いつものデニムや軍パンでは、結局いつも通りになってしまう。でも、急にデザインの強い服を穿くのも、自分ではない気がする。
そこで勧められたのが、BARNSTORMERのドレスファティーグ スノーカモだった。
最初は少し迷った。
“スノーカモ"という柄だけ聞くと、こういう雰囲気の柄物を自分が穿くイメージが、正直あまり無かったから。
でも、穿いてみると不思議だった。
黒いTシャツに、驚くほど自然に馴染む。
ミリタリーの柄なのに、妙に浮かない。むしろこの場所に行くなら、これくらいでちょうどいい気がした。
生地はリップストップ。昔から慣れ親しんできた、あの少しドライでタフな質感。
でも、鏡を見て一番驚いたのはシルエットだった。
軍パンを穿き慣れた僕には、正直こんなラインが出るとは思っていなかった。
きれいに落ちる裾、腰まわりのすっきりした感じ。無骨なはずなのに、どこか品がある。
気づいたら、しばらく鏡を見ていた。
• • •
展示会当日。
自分で言うのもなんだけど、あの空間にちゃんと馴染めていた気がする。
背伸びしている感じでもない。でも、いつもの居酒屋帰りの自分とも少し違う。
展示を見たあと、周辺を少し散歩した。なんとなく気になったカフェに入ってみる。
たぶん、前なら入らなかった店だと思う。でも、その日は自然に扉を開けていた。
服が変わっただけなのに、見える景色が少し変わる。
洋服って、こういうことなのかもしれない。
いつもの自分のまま、少しだけ新しい場所へ行ける。
<br>
リネンなのに、どこかスウェットの空気がある。
そう気づいた瞬間、この服が面白くなる。
フレンチリネンを使ったプルオーバーというと、どこかシャツ寄りの、きちんとした服を想像する人もいるかもしれない。
でも、ORDINARY FITSのLINEN PULLOVER TEE SH008は少し違う。
ラグランスリーブ。袖と裾にはリブ。
身幅にはゆとりがあり、身体から少し離れるようなシルエット。
デザインだけを追っていくと、どこか半袖スウェットのような構造が見えてくる。
でも、使われている素材は上質なフレンチリネン。
スウェットのように力が抜けている。
なのに、リネン特有の涼しげな品がある。
僕は、この少し不思議な組み合わせに惹かれた。
リネンにも、産地によって表情の違いがある。
その中でもフレンチリネンは、繊維が細く、しなやかで、独特の光沢を持つことで知られている。
触った瞬間、その差はわかる。
さらっとしている。でも、安っぽくない。
麻特有のシャリ感はありながら、肌に触れた時のストレスが少ない。
夏の服にリネンを選ぶ人は多い。
でも、リネンなら何でも同じというわけではない。
同じ形の服でも、生地の質でまとう空気が変わる。
SH008に使われているフレンチリネンには、ラフな形の中にもきちんと品がある。
それが、この服のベースになっている。
このプルオーバーの構造で、まず目を引くのはラグランスリーブだ。
一般的なシャツのように、肩の位置で袖を縫い合わせるのではない。
襟ぐりから袖にかけて、一枚の生地が斜めに繋がっていく。
この構造があると、肩まわりに縫い目の圧迫感が出にくい。
腕を動かした時の突っ張りも少ない。
スウェットやパーカーによく使われる仕様だからこそ、着た瞬間にどこか懐かしいリラックス感がある。
きちんとした服のはずなのに、身体は自然と力を抜いていく。
身幅にはゆとりがある。
でも、だらしなく見えないのは、袖口と裾にリブが効いているからだと思う。
リブがあることで、生地がふわっと広がりすぎず、シルエットの輪郭がきちんと生まれる。
腕を上げても袖がめくれ上がりにくいし、裾もめくれて中が見えるようなことがない。
機能としての安心感もありながら、見た目の面でも効いている。
ゆったりした身頃と、締まった袖口・裾口。
このコントラストが、スウェットらしいメリハリをリネンの上に持ち込んでいる。
プルオーバーという形式自体、シャツとTシャツの中間にあるような服だと思う。
前開きがない分、Tシャツのようにさっと着られる。
でも、襟の作りや生地の質感には、シャツに近いきちんとした印象が残る。
SH008は、その中間の立ち位置をさらに面白くしている。
構造はスウェット寄り。素材はシャツ以上に上質。
どちらか一方に寄せていないから、シーンを選ばない。
Tシャツの気軽さで着たい日にも合う。
少しきちんと見せたい日にも、悪目立ちしない。
この曖昧な立ち位置こそ、日常で一番使いやすい。
フレンチリネンという、それだけで特別な素材。
ラグランスリーブという、力の抜けた構造。
袖と裾のリブという、輪郭を締める仕掛け。
ひとつひとつは、決して珍しい要素ではない。
でも、この組み合わせが生む空気は独特だ。
きちんとしているのに、肩肘を張らない。
力が抜けているのに、安っぽく見えない。
僕は、その間にある一枚を探している時、いつもこういう服に行き着く。
ORDINARY FITS LINEN PULLOVER TEE SH008。
リネンなのに、どこかスウェットの空気。
素材の品と、服の力の抜け方。その間にある一枚を、今年の夏の一枚に加えてほしい。
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夏になると、結局いつも同じパンツを穿いている。
涼しいから。楽だから。朝、何も考えずに手が伸びる。
暑い日は、それだけでも十分な理由になる。
でも、本当に良い夏パンツって、それだけでは終わらないと思う。
涼しい。軽い。楽に穿ける。
その上で、街へ出た時にちゃんと服として成立する。
Tシャツ一枚でも、なんとなく全体が整って見える。
頑張っている感じはない。でも、何も考えていないようにも見えない。
STILL BY HANDの強撚コットンテーパードパンツ PT07262は、そういう一本だった。
暑い季節を快適にするだけではない。ちゃんと“雰囲気”まで作ってくれる。
僕は、夏になると結局こういうパンツばかり穿いている。
使用されているのは、強撚コットンに特殊な染めを施したオリジナル生地。
まず感じるのは、軽さだ。薄い。でも、不思議と頼りなく見えない。
夏物のパンツには、時々ある。
涼しさを優先するあまり、生地がペラっと見えてしまうもの。
穿き心地はいい。でも、街で見ると少し心許ない。
PT07262には、その感じがない。
薄手で軽いのに、適度なハリがある。生地が身体へまとわりつかず、シルエットがきちんと残る。
ラフなのに、どこか品がある。快適なのに、部屋着には見えない。
僕は、この微妙なバランスがSTILL BY HANDらしいと思う。
このパンツに使われているのは、強撚コットン。
糸に強く撚りをかける。そのことで、生地の表面には独特のドライな感触が生まれる。
触った時に、べたっとしない。肌へ吸い付くような感覚が少ない。
汗をかく。湿度が上がる。気温も高い。
日本の夏は、ただ暑いだけではない。僕は、あの湿気の方が厄介だと思っている。
だから夏のパンツには、単純な薄さだけではなく、肌との距離が必要になる。
この生地には、その距離がある。
穿いた時に、生地が脚へ張り付きにくい。動くたびに、わずかな空間が生まれる。
その小さな違いが、一日穿いた時の快適さを変えていく。
生地の表面を見ると、細かな凹凸がある。完全にフラットではない。
この微妙な表情が、見た目にも着心地にも効いている。
肌に触れる面積が、必要以上に大きくならない。
だから、汗ばむ日でもまとわりつきにくい。
座る。歩く。電車に乗る。外へ出る。また冷房の効いた室内へ入る。
夏の一日は、温度も湿度も何度も変わる。その中で、ずっと同じパンツを穿いている。
だから僕は、瞬間的な涼しさより、一日を通して不快になりにくいことの方が大事だと思っている。
PT07262は、そこをよく考えている。
このパンツは、色もすごくいい。グレー。でも、単純なグレーではない。
ほんの少しだけオリーブを混ぜたような色。
光によって、グレーにも見える。少しグリーンにも見える。
くすんでいる。でも、濁ってはいない。名前をつけようとすると、少し困る。
僕は、こういう曖昧な色が好きだ。
黒ほど強くない。ベージュほど軽くない。オリーブほどミリタリーにも寄らない。その中間にいる。
だから、合わせる服によって表情が変わる。
白いTシャツなら、少し都会的に見える。黒なら、静かにまとまる。ネイビーなら、色の奥行きが出る。
僕は、この曖昧さが夏のスタイリングをかなり楽にしてくれると思う。
この独特な色の背景には、特殊な染めがある。
均一に、平坦に見える色ではない。生地の表情と染めが重なって、わずかな奥行きが生まれている。
だから、Tシャツ一枚でも何となく雰囲気が出る。
トップスで強いことをしなくてもいい。大きなロゴも要らない。派手な色も必要ない。
パンツそのものに、静かな表情がある。都会的なのに、冷たすぎない。カジュアルなのに、軽くなりすぎない。
僕は、この色と生地の関係がかなり上手いと思う。
シルエットは、ゆったりしている。腰まわりに余白がある。腿にも窮屈さがない。
でも、裾に向かって軽くテーパードしていく。ここが大事だ。
最初から最後まで太いわけではない。かといって、急激に細くなるわけでもない。
ゆとりを残したまま、足元で自然に収まる。だから、リラックス感があるのにだらしなく見えない。
Tシャツを合わせる。サンダルを履く。それだけでも成立する。
シャツを合わせる。革靴を履く。それでも違和感がない。
この振り幅は、夏にはかなり使いやすい。
大人になると、服に求めるものが少し変わる。
若い頃みたいに、毎日強い格好をしたいわけではない。でも、何でもいいわけでもない。
楽でいたい。涼しくいたい。その上で、鏡を見た時に少し気分がいい。
僕は、そのくらいが今はちょうどいいと思っている。
PT07262には、その空気がある。
頑張ってお洒落している感じではない。でも、自然と全体が整って見える。
生地に表情がある。色に奥行きがある。シルエットに余白がある。
その全部が、静かに効いている。
強撚コットン。特殊な染め。薄手で軽い生地。細かな凹凸による肌離れ。
グレーともオリーブとも言い切れない、曖昧な色。
そして、ゆったりしながら裾へ向かって自然に収まるテーパードシルエット。
ひとつひとつは、派手な特徴ではない。
でも、夏に毎日穿くパンツは、それでいいと思う。
特別なことは何もしていない。でも、なんか今日悪くない。
暑いから仕方なく穿くのではない。涼しいだけでもない。楽だから選ぶだけでもない。
気づけば、また手が伸びている。
STILL BY HAND 強撚コットンテーパードパンツ PT07262。
夏に、これ一本でいい。
僕は、そう思えるパンツが一本あるだけで、夏の服はかなり楽になると思っている。
ただのロンTでは終わらない。
初めて見た時、僕はそう思った。
一見すると、シンプルなポケットロングスリーブT。
大きなロゴはない。強いグラフィックもない。
シルエットだけを見れば、街で自然に着られるカットソーだ。
でも、袖に目を向けると印象が変わる。
袖の途中に、ボタンが並んでいる。そして、その先を外すことができる。
ロングスリーブから、半袖へ。
MODMNT DETACHABLE L/S TEEは、ひとつの服の中に二つの状態を持っている。
でも僕が面白いと思ったのは、単に「袖が外せるから便利」ということではない。
機能そのものが、服のデザインになっている。
そこに、この一枚の面白さがある。
春は、ロングスリーブとして着る。
朝は少し涼しい。昼になると気温が上がる。
そんな日は、袖を外す。半袖になる。
秋なら、その逆でもいい。
日中は半袖。夕方、気温が落ちたら袖を戻す。
季節の変わり目。朝晩の寒暖差。冷房の効いた室内。
一日の中で、服に求めるものは意外と変わる。
普通なら、羽織りを持つ。あるいは、最初からどちらかを選ぶ。
でも、この服は自分自身を変える。ロンTから、半袖へ。
僕は、この単純な仕組みにかなり合理性を感じる。
袖を着脱できる服自体は、これまでもあった。
アウトドアウェア。スポーツウェア。ミリタリーウェア。
機能服の世界では、決して新しい発想ではない。
でも、MODMNTの見せ方は少し違う。
着脱のためのボタンを、あえて外側へ見せている。
隠さない。むしろ、見せる。
袖の途中に並ぶボタンが、視覚的なアクセントになる。
だから、ロングスリーブの状態でも普通のロンTには見えない。
機能の痕跡が、そのまま服の表情として残る。
僕は、ここがかなりMODMNTらしいと思う。
機能をデザインの裏側へ隠すのではない。機能そのものを、ファッションとして成立させる。
袖が外れる。その言葉だけを聞くと、少しギミック的に感じるかもしれない。
面白い。変わっている。一度見れば記憶に残る。
でも、それだけなら長くは着ないと思う。
この服がいいのは、着脱という仕組みに実際の理由があることだ。
気温が変わる。環境が変わる。一日の行動が変わる。
それに合わせて、服も変わる。
つまりDETACHABLEは、見せるためだけの仕掛けではない。
日常の中で、本当に使える。デザインと合理性が、同じ場所にある。
だから面白い。
生地には、32/1の微強撚糸を引き揃えて編み立てたハイゲージ天竺を採用している。
ここも、この服を考える上で重要な部分だ。
袖が外れる。ボタンが見える。
そうしたデザインだけが強ければ、服はギミックに寄りすぎる。
でも、この一枚には生地そのものの説得力がある。
しっかりとした安心感がある。それでいて、肌に触れると柔らかい。
ハイゲージらしい整った表情。微強撚糸による、肌離れの良さ。
ロンTとして着ても重たくなりすぎない。半袖にしても、生地が頼りなく見えない。
二つの状態を成立させるために、この生地がある。
僕は、そう感じる。
この生地には、接触冷感、透湿、UV機能も備わっている。
でも、見た目はいわゆる機能服ではない。
光沢の強い化繊感もない。スポーツウェアのような速さもない。
アウトドアギアのような主張もない。街で見ると、あくまで一枚のカットソーとして成立している。
その内側に、接触冷感がある。透湿性がある。UV機能がある。
僕は、この順番がいいと思う。
機能が先に見えるのではない。まず服として着たい。
その後ろに、実用性がついてくる。だから、日常で使いやすい。
ロンTには、ロンTの良さがある。
一枚で着られる。腕を隠せる。季節の変わり目に使いやすい。
半袖Tには、半袖Tの良さがある。
軽い。涼しい。夏に自然だ。
普通なら、その二つは別の服だ。
でもDETACHABLE L/S TEEは、その境界を曖昧にする。
今日はロンT。数時間後には半袖。
服のカテゴリーを固定しない。着る人が、その日の状況に合わせて決める。
僕は、この自由さが今の都市生活によく合っていると思う。
機能服は、時々その機能を強く見せすぎる。
多すぎるポケット。強い切り替え。目立つパーツ。
高機能であることが、見た瞬間に分かる。
もちろん、それが格好いい服もある。でも、毎日の街では少し強すぎることもある。
MODMNTは、その境界をよく見ている。
機能はある。でも、過剰なギア感には寄らない。
デザインはある。でも、服だけが前へ出すぎない。
シンプルなのに、少し違う。普通に見えて、ちゃんと面白い。この距離感がいい。
袖を外せる。ロングスリーブから、半袖へ変わる。
着脱ボタンは隠さず、デザインとして見せる。
生地には、32/1の微強撚糸を引き揃えたハイゲージ天竺。
接触冷感。透湿。UV機能。ここまで聞けば、かなり機能的な服だ。
でも、着た姿は自然だ。街から浮かない。日常を拒まない。
機能のために、ファッションを諦めない。ファッションのために、機能を飾りにもしない。
その二つを、ひとつの服の中で繋いでいる。
MODMNT DETACHABLE L/S TEE。
機能とファッションを繋ぐ、DETACHABLE。
僕は、この一枚にMODMNTというブランドの考え方がよく表れていると思う。
僕は今年48歳になる、世田谷在住のIT会社員です。20代の頃からサーフィンにどっぷりはまって、今もそれは続いています。
当時は西海岸のサーフスタイルにあこがれて、OPやHANGTENのポロシャツ、LEVISのコーデュロイパンツ、CONVERSEのオールスター。古着屋を巡って、マークⅡワゴンでレゲエ聴きながら海に行くのが最高に楽しかった時代でした。今はランクルに乗っていて、車は変わったけど、海に向かう感じは当時とあんまり変わってないかもしれないですね。
あれから20年以上経って、服の趣味も少しずつ変わってきました。レトロサーフの雰囲気は好きなんだけど、もう少し今っぽい感じがいいなと思うようになって。ただ、ありきたりなサーフブランドは着たくないし、大きなブランドロゴが入っているのもどうも苦手で。
そんな時に出会ったのがLAMPAというお店。オーナーが自分と年齢も近いと聞いて、なんとなく気になって行ってみたんです。
THING FABRICSって、世界初の今治タオルのブランドらしいんですが、正直買う前はピンとこなかったんです。タオル地のTシャツって、一見すごく暑そうじゃないですか。
でも着てみたら全然違って。ほどよくゆったりしたシルエットで、パイル生地特有のふわっとした感じがあるのに、風が体の中を抜けていく感覚があって、意外に涼しい。これは本当に新しい発見でした。
しかも無地なんですけど、生地の表情がちゃんとあるから、周りからよく「それなんの生地?」って聞かれます。素材だけで会話が生まれる服って、そうそうないですよね。
で、気づいたら3色全部買ってました(笑)。こういうの久しぶりです。色違いで全部ほしいって思ったの。それだけ着心地と生地感が気に入ったってことだと思います。
サーフィンのあとにも着てみたら、普通のタオルより吸水性が高いし、風が抜けるから乾くのも早い気がして。これ、海上がりに最高です。
A VONTADEというブランドのファティーグショーツも一緒に買いました。
なんか古着のミリタリーっぽい雰囲気があって、昔古着ばかり着ていた自分としては、すぐに反応してしまって(笑)。ただミリタリー一辺倒じゃなくて、丸みのあるポケットとウエストのクライミングパンツみたいな仕様が混在していて、そのバランスが絶妙なんですよね。ミリタリー過ぎず、アウトドア過ぎず、これが自分にはちょうどいい。
あと穿いてみてわかったんですけど、ポケットの位置と深さが本当によく計算されていて。手を下ろすと自然にそこにポケットがあって、スっと入る感じ。なんかこれって当たり前のようで、意外とない。
そしてタイガーカモという柄が、また個人的には好きで。迷彩柄って、なぜか大人が取り入れやすいんですよね。理由はうまく説明できないんですけど、しっくりくる。その中でもタイガーカモは一番好きかもしれません。
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都会をベースにしながら、週末はサーフィンやアウトドアを楽しむ自分のライフスタイルに、気づいたらぴったりはまっていました。サーフブランドじゃないのに、サーフィンにも使えて、街でも浮かない。そういう服ってなかなかなかったので、気づいたら海帰りも街もこればっかり着ています。
BRENAの服には、どこか“熱を抑えた格好良さ”がある。
ヴィンテージを知っている。ワークも知っている。
ミリタリーも、ヨーロッパ古着も知っている。
でも、それをそのまま再現しようとはしない。
元ネタを強く語ることもない。
古着らしさを、必要以上に演出することもない。
知っているからこそ、少し離れる。
その距離感が、BRENAの服にはある。
今回のFLAPも、まさにそういう一枚だった。
使用しているのは、60年代のデッドストック・フレンチシャンブレー。
その言葉だけでも十分に特別だ。
でも僕は、この服の本当の面白さは“古い生地を使っていること”だけではないと思っている。
60年代から今日まで、誰にも袖を通されず眠っていた生地。
その時間が、今から動き出す。
シャンブレーと聞くと、アメリカのワークウェアを思い浮かべる人も多いと思う。
無骨なワークシャツ。色の抜けたブルー。デニムやチノと合わせる、乾いた男っぽさ。
もちろん、それも格好いい。
でも、今回のフレンチシャンブレーは少し違う。
乾いた質感はある。でも、粗野になりすぎない。
ワークの空気はある。でも、どこか品が残る。
色も単純なブルーではない。曖昧で、少しくすんでいて、奥行きがある。
光の当たり方によって、表情が微妙に変わる。
僕は、そこにヨーロッパの古いワークウェアらしい静けさを感じる。
強く見せない。でも、無地の新品生地には出せない存在感がある。
派手ではないのに、なぜか目に残る。
この曖昧さがいい。
今の技術なら、古い生地に似たものを作ることはできると思う。
糸を選ぶ。色を調整する。織り方を研究する。加工を加える。
かなり近いものは作れるかもしれない。
でも、時間そのものは再現できない。
60年代に織られた。その後、服にならなかった。
誰にも着られなかった。洗われることもなかった。
そして、長い時間を経て今ここにある。
その事実まで含めて、この生地の空気になっている。
ただ古いからいいのではない。
新品の生地には出せない“時間の層”がある。
僕は、このシャンブレーを見ているとそう感じる。
この生地は、60年代から今日まで誰にも袖を通されず眠っていた。
そう考えると、少しロマンがある。
本来なら、もっと早く誰かの服になっていたかもしれない。
ワークシャツになっていたかもしれない。
誰かが毎日のように着ていたかもしれない。
汚れて。洗われて。色が抜けて。
とっくに役目を終えていた可能性だってある。
でも、そうならなかった。生地のまま残った。
そして今、BRENAのFLAPという形になった。
あなたが着ることで、初めて動き出す。
僕は、この事実だけでもかなり面白いと思っている。
デッドストックという言葉には、不思議な響きがある。
古い。でも、使われていない。
時間は経っている。でも、服としての時間はまだ始まっていない。
この矛盾が面白い。
洗う。着る。また洗う。
肘に少しシワが入る。袖口が馴染む。
生地が少し柔らかくなる。色の見え方も変わっていく。
60年以上前に織られた生地なのに、経年変化はこれから始まる。
新品なのに、最初から“育つ未来”が見えている。
僕は、そこにこの服ならではの贅沢さを感じる。
シルエットのベースにあるのは、ヨーロッパのワークシャツ。
でも、単純な再現ではない。
肩には、ほどよく余白がある。身幅にも、自然なゆとりがある。
その一方で、裾は少し短め。ただ大きいだけでは終わらない。
ここがBRENAらしい。
古いワークシャツの空気は残っている。
でも、着た姿は懐古的に見えない。
太いパンツにも合う。軍パンにも合う。
少し綺麗なスラックスにも合わせられる。
ワークシャツなのに、スタイルを限定しない。
今は、ゆったりした服が珍しくない。
肩を落とす。身幅を広げる。サイズを大きくする。
それだけでも、今っぽいシルエットは作れる。
でも、FLAPは少し違う。
肩と身幅には余白がある。その一方で、着丈を必要以上に長くしない。
だから、身体から離れているのに重たく見えない。
生地の乾いた表情。身幅の余白。少し短めの裾。
その全部が重なって、独特の軽さが生まれる。
僕は、これを単なるオーバーサイズとは思っていない。
大きくしているのではない。服と身体の間に、必要な余白を作っている。
そして、この服のもうひとつの重要な部分が縫製だ。
縫製は、国内トップレベルのドレスシャツ工房へ依頼している。
ここが面白い。
素材は、60年代のデッドストック・フレンチシャンブレー。
ベースは、ヨーロッパのワークシャツ。
それを、ドレスシャツの技術を持つ工房が縫う。普通に考えれば、少し方向が違う。
でも、その“ずれ”がこの服を作っている。
ワークの空気は残る。でも、粗野になりすぎない。
ラフに着られる。でも、どこか品がある。
着た瞬間に感じる、妙な整い方。
僕は、その理由のひとつがこの縫製にあると思っている。
古い生地を使えば、ヴィンテージの空気は出る。
古い服を参考にすれば、ワークウェアらしさも作れる。
でも、それだけではBRENAにはならない。
60年代のフレンチシャンブレー。ヨーロッパのワークシャツ。
現代的なシルエットバランス。そして、国内トップレベルのドレスシャツ工房による縫製。
違う時代。違う背景。違う技術。
それらを、ひとつの服の中で自然に共存させる。
僕は、そこにBRENAというブランドの面白さがあると思っている。
ヴィンテージを知っている。でも、ヴィンテージに寄りかからない。
技術を持っている。でも、技術を見せつけない。
熱はある。でも、その熱を表へ出しすぎない。
60年代から眠っていた、デッドストック・フレンチシャンブレー。
まだ誰にも着られていない。まだ誰の癖も入っていない。
でも、生地そのものには長い時間がある。
その生地を、今のシルエットへ落とし込む。
そして、日本の確かな技術で縫い上げる。
古着でもない。ただの新品でもない。
ヴィンテージの空気と、日本の技術。
過去の時間と、これから始まる経年変化。その両方が、一枚の中にある。
BRENA FLAP 60s DEADSTOCK FRENCH CHAMBRAY。
60年間、誰にも着られなかった生地。
その時間が、着る人によって今から動き出す。
気づけば何年も着ている。
僕には、そんな未来が自然と想像できる一枚だ。
軍パンなのに、重たく見えない。
無骨なのに、街に馴染む。
A VONTADE DRAWSTRING CARGO EASY VTD-0515-PTには、そんな独特の“抜け”がある。
カーゴポケットがある。
リップストップを使っている。
デザインの背景には、USミリタリーのジャングルファティーグがある。
ここまで聞けば、かなり無骨なパンツを想像すると思う。
でも、実際に穿くと印象が違う。
強さはある。
それなのに、重くない。
白いTシャツにも馴染む。
シャツを合わせても、パンツだけが浮かない。
スニーカーでもいい。
革靴でも成立する。
僕は、このパンツの核心はそこにあると思っている。
ミリタリーを弱くしたのではない。
ミリタリーの強さを残したまま、今の都市生活へ持ってきている。
使用されているのは、オリジナルのジャングルファティーグと同規格で再現されたリップストップ生地。
ここは、このパンツを考える上でかなり重要だ。
単に“ミリタリー風”の生地を使ったわけではない。
ジャングルファティーグという服が、なぜあの生地だったのか。
なぜ薄いのか。
なぜ軽いのか。
なぜ格子状に補強されているのか。
その背景まで受け取った上で、今の一本へ落とし込んでいる。
薄手ながら、適度なハリがある。
肌離れの良い、ドライなタッチ。
乾きも早い。
蒸し暑い夏でも、生地が脚へまとわりつきにくい。
軽い。
でも、頼りなくは見えない。
この相反する感覚が、ジャングルファティーグ由来のリップストップにはある。
夏に穿くパンツなら、軽くて乾きやすい方がいい。
それだけを考えれば、化繊という選択肢もある。
でも、このパンツはコットン100%だ。
僕は、そこがいいと思っている。
穿く。
洗う。
また穿く。
少しずつ色が抜ける。
生地が柔らかくなる。
ポケットの縁にアタリが出る。
膝の裏に、その人の動きが残る。
新品の時にはなかった表情が、少しずつ生まれていく。
快適だから穿く。
それだけではない。
穿いた時間そのものが、生地へ残っていく。
化繊のような“便利さだけ”で終わらない。
この経年変化まで含めて、僕はこの生地の魅力だと思っている。
デザインソースは、往年のジャングルファティーグ。
でも、単なる復刻ではない。
A VONTADEは、元ネタをそのまま蘇らせるのではなく、今の生活の中でどう穿くかを考えている。
その象徴が、ウエストだ。
ドローコード仕様のイージーパンツ型へアレンジされている。
ベルトを締めなくてもいい。
腰まわりに、少し力が抜ける。
でも、ただラクなだけのイージーパンツには見えない。
ミリタリーの骨格が残っているからだ。
カーゴパンツとしての強さ。
リップストップの表情。
ジャングルファティーグ由来の空気。
そこへ、現代の日常に必要な気楽さを加える。
僕は、こういう再構築がA VONTADEらしいと思う。
フロントには、タックが入っている。
小さな違いに見える。
でも、このタックがパンツ全体の見え方を変えている。
腰まわりに自然な余白が生まれる。
生地が真っ直ぐ落ちるのではなく、少し立体的に流れる。
ミリタリー特有の強さが、ほんの少し和らぐ。
だから、カーゴパンツなのに重たく見えない。
無骨なのに、どこか都会的に見える。
軍パンを細くしたから、街に馴染むのではない。
ディテールを消したから、軽く見えるのでもない。
タックによって、布の流れそのものを変えている。
僕は、このやり方がかなり上手いと思う。
強さを消さずに、温度だけを変える。
ジッパーには、WALDESジッパーを採用している。
1940〜50年代当時の規格と製法を再現したパーツだ。
正直に言えば、街ですれ違った人が気づくような部分ではない。
パンツを穿いていて、「WALDESですね」と言われることもまずない。
でも、A VONTADEはそこを選ぶ。
元になった時代の空気を、表面的なデザインだけで終わらせないためだと思う。
カーゴポケットを付ける。
リップストップを使う。
それだけなら、ミリタリーテイストは作れる。
でも、このパンツはもう一段深い。
見えにくい場所にまで、ヴィンテージミリタリーへの敬意が残っている。
僕は、こういう小さな積み重ねが最終的な服の空気を作ると思っている。
裾には、ドローコードが配置されている。
絞らず、そのまま穿く。
生地が自然に落ちる。
カーゴパンツらしい、少し力の抜けたストレートな表情になる。
そこから裾を絞る。
足元に生地が溜まる。
シルエットに丸みが生まれる。
パンツ全体の重心が変わる。
同じ一本なのに、見え方がかなり違う。
スニーカーなら、少し絞る。
サンダルなら、軽く溜める。
革靴なら、絞らず自然に落とす。
合わせる靴によって、パンツ側を変えられる。
ただの機能ではない。
スタイリングそのものを調整できるディテールだ。
カーゴパンツと聞くと、太くて重いものを想像する人も多いと思う。
US軍のM-65。
フランス軍のM-47。
どちらも名作だ。
僕も好きだ。
でも、その存在感は強い。
生地にも重量がある。
シルエットにも迫力がある。
それが魅力である一方、今の都市生活では少し重く感じる日もある。
DRAWSTRING CARGO EASYは、その場所にはいない。
もともとジャングルファティーグが持っていた、軽さのあるバランスを活かしている。
太すぎない。
重すぎない。
でも、細くもない。
カーゴパンツとしての存在感は、きちんと残っている。
僕は、この中間が今の東京にはよく合うと思う。
ジャングルファティーグと同規格で再現されたリップストップ。
コットン100%だからこそ生まれる経年変化。
ドローコード仕様のイージーウエスト。
腰まわりに余白を作るタック。
WALDESジッパー。
そして、シルエットを変えられる裾のドローコード。
ひとつひとつを見ると、違う方向を向いているように見える。
ヴィンテージ。
ミリタリー。
イージーパンツ。
都市生活。
でも、A VONTADEはそれを一本の中で自然に繋げている。
ミリタリーの強さは残す。
でも、重さは残さない。
無骨さは残す。
でも、街を拒まない。
A VONTADE DRAWSTRING CARGO EASY VTD-0515-PT。
軍パンの強さを、都市の温度へ。
僕は、この一本にLAMPAが考える“CITY RUGGED”の空気を強く感じている。
最近、Tシャツが少し綺麗すぎると感じることがある。
滑らかで、整っていて、品がある。
もちろん、それは悪いことではない。
むしろ一枚で着た時に、きちんと見える。
大人が着やすい。
今のTシャツとして、とても正しいと思う。
でも、デニムを穿いた時。
軍パンを穿いた時。
少し穿き込んだチノを合わせた時。
どこか物足りなさを感じる瞬間がある。
パンツには時間が刻まれているのに、Tシャツだけが妙に綺麗に見える。
色落ちしたデニム。
アタリの出た軍パン。
少しクタっとしたチノ。
その隣に、もっと自然に立てるTシャツが欲しい。
A VONTADE 7.5oz Pocket T-Shirts S/Sは、そんな感覚に静かに応えてくれる一枚だ。
使用されているのは、空紡糸を使ったブランドオリジナルファブリック。
触れた瞬間に分かる。
滑らかではない。
しっとりともしていない。
カリッと乾いている。
表面には、空紡糸特有の少しラフな表情がある。
そして、7.5ozというしっかりとした肉感。
薄くて軽いTシャツとは、明らかに違う。
一枚で着た時に、生地そのものがちゃんと残る。
身体の線を必要以上に拾わない。
でも、ただ厚いだけではない。
乾いたタッチがあるから、重たく見えすぎない。
僕は、この“カリッとした感じ”が好きだ。
ツルっと綺麗なTシャツにはない。
着込める男っぽさがある。
空紡糸には、独特の表情がある。
糸の中心に適度な空気を含みながら、外側には撚りがかかる。
その構造が、ふっくらとしたボリュームと、表面のドライな質感を生む。
綺麗に整いすぎない。
少し粗野で、少し乾いている。
でも、そのラフさが服になると格好いい。
特に、デニムや軍パンとの相性はいい。
ボトムスが持っている無骨さに、Tシャツが負けない。
かといって、ヘビーウェイトTシャツ特有の強い存在感だけで押してくるわけでもない。
ちゃんと日常に馴染む。
この距離感が、A VONTADEらしいと思う。
この生地は、日本国内でもごく僅かしか現存していない希少な丸編み機によって編み立てられている。
ここも、このTシャツの重要な部分だ。
生地は、糸だけで決まらない。
何で編むか。
どんな速度で編むか。
どんなテンションをかけるか。
その違いが、最終的な風合いへ現れる。
このTシャツには、現代的な均一さとは少し違う空気がある。
生地に、わずかな膨らみがある。
しっかりしているのに、板のように硬くない。
着た時に、身体との間へ自然な余白が生まれる。
その表情は、スペックだけでは説明しきれない。
古い機械を使えば格好いい、という話ではない。
この糸と、この肉感を、どういう生地にしたいのか。
その答えとして、この編み方が選ばれている。
丸胴ならではの特徴が、脇に縫い目がないこと。
一見すると、小さな違いに見える。
でも、長く着ると分かる。
身体をひねる。
腕を動かす。
一日中着る。
その時、脇の縫い代が身体へ当たりにくい。
ストレスが少ない。
さらに横方向への伸びにも強く、型崩れしにくい。
ラフに着る。
洗う。
また着る。
その繰り返しの中で、自然と身体へ馴染んでいく。
Tシャツは、飾っておく服ではない。
だから僕は、こういう“着続けるための構造”に惹かれる。
デザイン自体は、非常にベーシックだ。
クルーネック。
胸ポケット。
半袖。
大きなロゴもない。
強い装飾もない。
だからこそ、生地や縫製、細かなバランスの違いが、そのまま服の空気として現れる。
肩がどこへ落ちるか。
袖がどう見えるか。
身幅にどれだけ余白があるか。
首元がどのくらい締まっているか。
ひとつひとつは、小さな違いだ。
でも、Tシャツはシンプルだから、その小さな違いが全部見える。
何もない服ほど、誤魔化せない。
このTシャツには、その怖さを受け止めるだけの生地と作りがある。
裾や袖口には、ヴィンテージTシャツに見られる天地引きの縫製仕様を採用している。
表側から見ると、ポツポツとした縫い目が見える。
一見すると、少し頼りなく感じるかもしれない。
でも、実際には高い強度を持つ。
さらに、綺麗に仕上げるには職人の技術が必要になる。
今では、かなり希少な仕様だ。
僕が面白いと思うのは、天地引きが単なるヴィンテージ再現で終わっていないこと。
この空紡糸の生地。
この7.5ozの肉感。
この少し無骨な表情。
そこへ、天地引きのポツポツとした縫い目が入る。
すると、Tシャツ全体の空気が少しだけ変わる。
綺麗に整いすぎない。
でも、雑ではない。
この微妙な境界線が格好いい。
さらに特徴的なのが、あえて細めに設定された首元のリブ。
今のヘビーウェイトTシャツは、首元を強く作るものが多い。
太いリブ。
強いテンション。
何度洗っても形が変わりにくい。
もちろん、それもひとつの正解だ。
でも、A VONTADEは違う。
あえて細い。
新品の時は、少し頼りなく感じるかもしれない。
でも、僕はそこがいいと思っている。
着込む。
洗う。
また着る。
少しずつ自然なヨレが出る。
首元に、力の抜けた表情が生まれる。
その変化が、このTシャツの空気をさらに深くしていく。
色落ちしていくデニム。
アタリが出た軍パン。
少しクタっとしてきたチノ。
僕は、そういうパンツが好きだ。
新品の時より、穿いた後の方が格好いい。
その人の時間が、少しずつ服へ残っていく。
だから、合わせるTシャツも綺麗すぎない方がいい時がある。
少し乾いた生地。
少し力の抜けた首元。
着込むことで生まれる自然な表情。
それが、経年変化したボトムスと合わさった時、不思議なくらい自然に馴染む。
Tシャツだけが新品の顔をしない。
パンツの時間に、ちゃんと寄り添っていく。
僕は、この感覚がかなり好きだ。
7.5ozの肉感。
空紡糸特有のドライなタッチ。
希少な丸編み機による生地。
丸胴のストレスの少ない着心地。
天地引き。
そして、あえて細く設定された首元のリブ。
ひとつひとつを見ると、派手なものは何もない。
でも、全部が重なると、このTシャツにしかない空気が生まれる。
綺麗すぎない。
でも、ただ雑でもない。
無骨さはある。
でも、街から浮くほど強くない。
デニムに合う。
軍パンに合う。
チノにも合う。
そして、東京の日常に自然と馴染む。
A VONTADE 7.5oz Pocket T-Shirts S/S VTD-0590-CS。
都市生活に馴染む、適度な無骨さ。
僕は、この一枚にA VONTADEらしい空気がしっかり詰まっていると思う。
ただ古いだけでは、出せない空気がある。
この生地を見た瞬間、僕はそれを感じた。
しっかりとしたハリとコシ。
それでいて、肌に触れると滑らか。
そして何より、このストライプだ。
派手ではない。
でも、静かに目を引く。
どこか色気がある。
それなのに、男っぽさも残っている。
今の生地には、なかなか見つからない配色だった。
BRENA BLAZE 80S DEADSTOCK THOMAS MASON。
LAMPAがBRENAにお願いして製作してもらった、特別な別注モデルだ。
使用したのは、THOMAS MASONの80年代デッドストック生地。
80年代に織られた生地を、今、新品のシャツとして袖を通す。
僕は、それ自体がかなり贅沢なことだと思っている。
THOMAS MASONは、1796年創業。
長い歴史を持つ、英国を代表するシャツ生地メーカーのひとつだ。
上質なシャツ生地。
美しい発色。
滑らかな肌触り。
その名前に、端正なドレスシャツのイメージを持つ人も多いと思う。
でも、今回使った生地は少し違う。
80年代のデッドストック。
今のTHOMAS MASONとは、どこか空気が違う。
色の組み合わせに、少し大胆さがある。
でも、決して派手ではない。
品がある。
その一方で、少し男っぽい。
綺麗に整いすぎていない。
僕は、この微妙な“色気”に惹かれた。
古いからいいのではない。
その時代にしか存在しなかった感覚が、生地の中に残っている。
そこがいい。
ヴィンテージ生地と聞くと、それだけで特別に見える。
でも僕は、古い生地だから価値があるとは思っていない。
大事なのは、今着て格好いいかどうかだ。
この生地は、そこが強かった。
80年代の空気を持っている。
でも、懐古的には見えない。
昔のシャツを再現するために使うのではなく、今のシルエットへ落とし込む。
デニムに合わせる。
軍パンに合わせる。
黒いパンツに合わせる。
その時、生地の古さではなく、配色の良さが前へ出る。
80年代のヴィンテージファブリックを、資料として眺めるのではない。
汗をかく。
洗う。
また着る。
僕は、その方がずっと贅沢だと思う。
デザインは、オープンカラー。
襟元にはチーループ。
シルエットは、ややゆったりとしたボックス型。
肩の力が抜けている。
でも、ラフすぎない。
このバランスが、80年代のTHOMAS MASONとよく合った。
もし、これを端正なドレスシャツにしていたら。
もちろん、生地の良さは伝わったと思う。
でも、このストライプが持つ色気や男っぽさは、少し違って見えたかもしれない。
半袖。
オープンカラー。
ゆとりのあるボックスシルエット。
その力の抜けた形へ、上質なドレスシャツ生地を入れる。
僕は、この少しの“ずれ”が好きだ。
上質だから、かしこまる必要はない。
むしろ、上質なものほど日常でラフに着たい。
胸元を見る。
一見すると、シンプルなポケットに見える。
でも、実際には違う。
上から物を入れるポケット。
そして、横から手を入れられるポケット。
二つは、中で繋がっていない。
完全に別構造になっている。
ただ変わったデザインを作りたかったわけではない。
使い方そのものを分けている。
上から入れる。
横から入れる。
同じ場所にありながら、それぞれが別の役割を持つ。
こういうところに、BRENAらしさがあると思う。
大きなデザインで見せない。
一見シンプルに見える。
でも、使っていくと気づく。
静かな遊び心が、服の中に隠れている。
ボタン付けには、千鳥掛けを採用している。
手作業でしか行えない仕事だ。
正直に言えば、街ですれ違った人が気づくような部分ではない。
シャツを着ていて、「千鳥掛けですね」と言われることもまずない。
でも、だからこそいい。
誰かに見せるためではない。
服として、きちんと作る。
ボタンという小さな部品にまで、人の手を残す。
僕は、こういう仕事に品が宿ると思っている。
高級に見せるための装飾ではない。
目立たない場所を、丁寧に仕上げる。
その積み重ねが、最終的に服全体の空気を作る。
縫製を担当するのは、国内トップレベルのドレスシャツ工房。
ここが、このシャツのもうひとつの核心だ。
半袖のオープンカラーシャツ。
アイテムだけを見れば、かなりラフだ。
でも、その奥にはドレスシャツ由来の緊張感がある。
縫いの正確さ。
パーツの収まり。
襟の見え方。
ボタンまわりの静かな美しさ。
大きく主張するものではない。
でも、着ると分かる。
肩の力は抜けているのに、空気が整う。
カジュアルなのに、どこか品が残る。
その理由は、表面的なデザインだけではない。
服の奥に、ドレスシャツを作る技術がある。
THOMAS MASON。
80年代デッドストック。
国内トップレベルのドレスシャツ工房。
千鳥掛け。
ここまで聞くと、かなり特別なシャツに思える。
実際、特別だ。
でも、僕がこのシャツで好きなのは、特別に見せすぎていないところだ。
オープンカラー。
半袖。
ゆったりとしたボックスシルエット。
日常で着るための形だ。
高級な生地を、高級そうに見せる。
それは、ある意味では分かりやすい。
でも、上質な生地を力の抜けた服へ落とし込む。
その方が難しい。
カジュアルなのに、品が残る。
肩の力は抜けているのに、空気が整う。
僕が欲しかったのは、そこだった。
230年以上の歴史を持つTHOMAS MASON。
その80年代に織られたデッドストック生地。
今ではなかなか出会えない、美しいストライプ。
BRENAのBLAZEという形。
二層構造のポケット。
手作業による千鳥掛け。
そして、国内トップレベルのドレスシャツ工房による縫製。
ひとつひとつなら、似た条件は見つかるかもしれない。
でも、すべてが同時に揃うことは簡単ではない。
何より、生地はデッドストックだ。
使えば、なくなる。
同じものを、もう一度織ることはできない。
80年代という時間そのものを、再生産することもできない。
この条件が、再び揃うことはないかもしれない。
今ここにある。
そして、新品のシャツとして袖を通せる。
それだけで、十分に特別な理由になる。
BRENA BLAZE 80S DEADSTOCK THOMAS MASON LAMPA別注。
僕は、このシャツをそういう一枚だと思っている。
無骨なのに、どこか品がある。
このパンツを初めて見た時、僕が感じたのはそこだった。
ミリタリーの空気は、確かにある。
大きなポケット。
リップストップ。
スノーカモ。
ひとつひとつを見れば、かなり無骨だ。
でも、穿いた姿は不思議なほど静かに見える。
軍パン特有の強さがありながら、どこか整っている。
Tシャツ一枚でも成立する。
シャツを合わせれば、急に大人っぽくなる。
革靴を履いても、パンツだけが浮かない。
BARNSTORMER DRESS FATIGUE SNOW CAMOは、USミリタリーのファティーグパンツをベースにしながら、そこへテーラードの思想を落とし込んだ一本だ。
僕は、このパンツを見るたびに思う。
軍パンとスラックスは、本当に遠い存在なのだろうか。
使用されているのは、スノーカモ柄のリップストップ生地。
本来、スノーカモは雪上でのカモフラージュを目的として生まれた。
ウッドランドカモとも違う。
タイガーカモとも違う。
一般的な迷彩柄が、色と柄を重ねながら風景へ溶け込もうとするのに対して、スノーカモには独特の余白がある。
白を基調とした空間。
その中に、静かに走る柄。
ミリタリーなのに、どこか音が少ない。
僕は、この静けさが好きだ。
カモフラージュなのに、強く主張しすぎない。
柄物なのに、余白がある。
だからこそ、この柄には独特の“抜け”が生まれる。
ミリタリー特有の強さは残る。
でも、都会の服として成立する軽さがある。
派手ではない。
けれど、無地には絶対に出せない奥行きがある。
生地は、格子状に補強されたリップストップ。
薄い。
軽い。
それでいて、しっかりとした強さがある。
リップストップという生地の面白さは、ここにあると思う。
厚くすることで強度を出すのではない。
格子状の組織によって、生地そのものを補強する。
だから、軽快さを残せる。
乾きも早い。
蒸し暑い日本の夏でも、生地が肌へまとわりつきにくい。
いわゆる軍モノ特有の“重さ”が、ここにはない。
軍パンは格好いい。
でも、真夏になると手が伸びなくなる。
厚い。
重い。
暑い。
そういうパンツも多い。
DRESS FATIGUE SNOW CAMOは違う。
ミリタリーの存在感を残したまま、真夏でも自然に穿ける。
ありそうで、なかなかない。
デザインベースは、USミリタリーのファティーグパンツ。
大きめのフロントポケット。
ヒップにはフラップポケット。
元になった軍パンの空気は、きちんと残されている。
ここが大事だと思う。
上品に見せるために、ミリタリーを消しているわけではない。
軍パンの形を残す。
ポケットの存在感も残す。
スノーカモという柄も残す。
その上で、穿いた時の見え方を変えていく。
僕は、そこにBARNSTORMERの面白さがあると思っている。
ミリタリーを綺麗に見せるのではない。
ミリタリーのまま、仕立てで整える。
この違いは大きい。
細部に目を向けた時、このブランドの本気が見えてくる。
前立てには、スラックスに見られるテング仕様を採用。
軍パンでは、まず意識しない場所だ。
でも、ここが違う。
ウエストまわりを安定させ、腹部をすっきり見せる。
穿いた時のフロントラインが、自然に整う。
派手なディテールではない。
外から見て、一目で分かるものでもない。
でも、穿いた姿には出る。
僕は、こういう設計が好きだ。
見せるためのディテールではなく、服そのものを美しく見せるためのディテール。
軍パンの中へ、スラックスの考え方が静かに入っている。
フロントボタン下には、ピンループ。
ベルト着用時のズレを抑え、余計なシワが出ることを防ぐ。
さらに、ウエスト内部には芯入りのマーベルト。
タックインした時の腰まわりを、自然に落ち着かせる。
どちらも、普通に穿いているだけではほとんど見えない。
でも、その見えない部分がシルエットを支えている。
シャツをタックインする。
ベルトを締める。
その時、腰まわりが妙に綺麗に見える。
軍パンなのに、なぜか整って見える。
その理由は、こういう見えない場所にある。
BARNSTORMERは、軍パンを作りながら、腰まわりをスラックスとして考えている。
僕は、そこが本当に面白いと思う。
そして、BARNSTORMERを語る上で外せないのがプレスワークだ。
パンツは、縫えば完成するわけではない。
どこへ熱を入れるか。
どこを伸ばすか。
どこを縮めるか。
その積み重ねで、平面的な生地が立体へ変わっていく。
BARNSTORMERのパンツには、このプレスの思想がある。
脚の形に沿うように描かれる、美しいカーブ。
正面から見た時だけではない。
横から見た時。
歩いた時。
少し身体をひねった時。
パンツが平面のままではなく、身体の周りに立体として存在する。
だから、ミリタリーパンツとは思えないほどシルエットが研ぎ澄まされる。
生地は無骨だ。
柄もミリタリーだ。
でも、立ち姿はスラックスに近い。
この矛盾が、格好いい。
スノーカモ。
リップストップ。
大きなファティーグポケット。
フラップ付きのヒップポケット。
ここまでなら、確かに軍パンだ。
でも、その内側にはテング仕様がある。
ピンループがある。
芯入りのマーベルトがある。
そして、立体を作るプレスワークがある。
つまり、このパンツは軍パンの形を借りただけではない。
ミリタリーという素材を、仕立て屋の目で作り直している。
僕は、そこにBARNSTORMERというブランドの本質があると思っている。
無骨さを消さない。
でも、無骨さだけに頼らない。
上品に見せる。
でも、綺麗にまとめすぎない。
軍パンなのに、どこか静かで品がある。
真夏に穿けるほど軽いのに、服としての存在感は残る。
BARNSTORMER DRESS FATIGUE SNOW CAMO。
軍パンに、仕立て屋の哲学を。
僕は、この一本をそう見ている。
最近のショーツは、どこか“優しすぎる”と思うことがある。
軽い。
快適。
涼しい。
たしかに穿きやすい。
でも、何かが残らない。
穿いた瞬間はラクだけど、気持ちは上がらない。
街に出ても、どこか印象に残らない。
夏だから仕方がない。
そう思ってしまえば、それまでだ。
でも僕は、ショーツにもちゃんと服としての格好良さが欲しい。
涼しいだけではなく、穿いた時に少し気分が変わる。
白いTシャツ一枚でも、ちゃんとその人の空気が残る。
A VONTADE FATIGUE SHORTS VTD-0357-PT2は、そんな“便利なだけのショーツ”とは少し違う。
生地には、オリジナルのジャングルファティーグと同規格で再現されたリップストップを採用している。
ここが、まず面白い。
単に“ミリタリー風”の生地を使ったわけではない。
元になったものが、なぜあの質感なのか。
なぜ薄いのか。
なぜ軽いのか。
なぜ格子状に補強されているのか。
その背景まで受け取った上で、今の服へ持ってきている。
薄手なのに、雰囲気がある。
軽いのに、妙に頼もしい。
この相反する感覚が、ジャングルファティーグ由来のリップストップにはある。
僕は、この生地を触るたびに思う。
軽さと薄さは、決して弱さではない。
むしろ、必要なものだけを残した結果なのだと。
触れた瞬間に伝わる、独特のドライなタッチ。
汗ばむ時期でも、肌に張り付きにくい。
風が抜ける。
乾きも早い。
夏に穿くショーツとして、かなり理にかなっている。
でも、このパンツの良さは機能だけではない。
アウトドアブランドの化繊ショーツのような、強い“道具感”へ寄っていない。
コットンの表情が、ちゃんと残っている。
光の当たり方で、生地の陰影が変わる。
少しシワが入る。
穿いた人の動きが、そのまま生地に残る。
高機能だから格好いいのではない。
服として格好いいものが、結果として夏にも使いやすい。
僕は、この順番が大事だと思っている。
洗って、穿いて、また洗う。
少しずつアタリが出る。
生地が柔らかくなる。
色が馴染んでいく。
リップストップの格子も、最初とは少し違う表情になっていく。
新品がピークではない。
時間と一緒に育っていく。
この“経年変化するショーツ”という感覚が、まず格好いい。
ショーツは、どうしても消耗品のように扱われやすい。
暑いから穿く。
汗をかく。
洗う。
また穿く。
それで終わるものも多い。
でも、このFATIGUE SHORTSは違う。
穿いた時間が、少しずつ生地に残っていく。
去年より今年。
今年より来年。
少し馴染んだ頃の方が、たぶん格好いい。
デザインベースは、アメリカ軍のファティーグパンツ。
独特な丸みを帯びたカーゴポケット。
片手でラフに調整できるウェービングベルト。
さらに股下には、可動域を広げるガゼットクロッチ。
ひとつひとつを見ると、かなり機能的だ。
でも、穿いた姿は機能服には見えない。
軍パンみたいに重たく見えない。
かといって、ただのイージーショーツみたいに軽くも見えない。
この間にいる。
僕は、そこがA VONTADEらしいと思う。
元ネタを消さない。
でも、そのまま縮めただけのショーツにもならない。
軍パンが持っていた強さを残しながら、夏の街で穿ける長さと軽さへ変えている。
股下には、ガゼットクロッチが入っている。
正直に言えば、立っているだけではほとんど気づかない。
前から見ても、大きく主張するディテールではない。
でも、動くと分かる。
しゃがむ。
自転車に乗る。
階段を上がる。
脚を大きく開く。
そういう時に、股まわりが変に突っ張らない。
見えないところで、身体の動きを逃がしてくれる。
僕は、こういうディテールが好きだ。
説明されなければ気づかない。
でも、一度知ると、その服の見え方まで変わる。
デザインのための機能ではなく、使うための設計。
その結果として、シルエットまで自然に見える。
白いTシャツ。
ビーチサンダル。
夏なら、それだけでいい。
でも、その簡単な合わせほどパンツの違いが出る。
FATIGUE SHORTSなら、ラフなまま空気が残る。
リップストップの表情。
丸みのあるカーゴポケット。
ウェービングベルト。
それぞれが強く主張するわけではない。
でも、全部が重なると、ただの白Tとショーツでは終わらない。
シャツを羽織れば、少し大人っぽくなる。
革靴を合わせれば、また違う。
軍パン由来なのに、合わせる服を限定しない。
これも、このショーツの強さだと思う。
蒸し暑い東京の夕方。
一日が終わっても、まだ街に熱が残っている。
コンビニに行くだけ。
近所で少し飯を食うだけ。
別に、誰かに見せるための服ではない。
でも、玄関でこのショーツを穿くと、なんだか少し気分がいい。
気取っていないのに、静かに格好いい。
頑張っていないのに、雰囲気が出る。
僕は、夏の服にはこういう感覚が必要だと思っている。
暑いから仕方なく穿くのではない。
暑い日でも、これを穿きたいと思える。
その違いは大きい。
こういうショーツは、探すと意外と少ない。
軽いものはある。
涼しいものもある。
動きやすいものもある。
でも、それだけでは気分までは動かない。
A VONTADE FATIGUE SHORTS VTD-0357-PT2は違う。
オリジナルのジャングルファティーグと同規格で再現されたリップストップ。
穿くほどに変わるコットンの表情。
丸みを帯びたカーゴポケット。
ラフに調整できるウェービングベルト。
動きを邪魔しないガゼットクロッチ。
すべてが、夏の日常へ繋がっている。
ラクだから穿くんじゃない。
気づけば、玄関を出る前に手が伸びている。
僕は、このショーツをそういう一本だと思っている。
暑い夏の日。
少しでも快適でいたくて、気づけばいつも似たような服ばかり選んでいる。
軽さ。
涼しさ。
楽さ。
夏はどうしても、機能を優先した服装になっていく。
でも、それを繰り返しているうちに、どこか気分まで単調になっていく瞬間がある。
お洒落をしたい気持ちはある。
でも、暑さの前ではどうしても後回しになる。
夏は、気づかないうちに“装う楽しさ”から一番遠くなってしまう季節なのかもしれない。
THING FABRICS TF LOOSE T-SHIRT 1mmは、そんな夏の空気を少し変えてくれる一枚だ。
タオルのように水分を吸い取り、驚くほど軽やかな着心地。
それでいて、ただ快適なだけでは終わらない。
独特な素材感と、空気を含むようなシルエットが、いつもの夏服に静かな違いを生み出してくれる。
涼しいだけではなく、ちゃんと気分が上がる。
夏にもう一度、服を着る楽しさを思い出させてくれるTシャツだと思う。
袖を通した時、見た目から想像していた印象が静かに変わる。
ゆったりしている。
でも、だらしなく見えない。
服の中を自然に風が通り抜ける。
肌に張り付きにくく、蒸し暑い日でも驚くほど軽やかだ。
これは、着て初めて実感できる気持ち良さだと思う。
涼しい服はたくさんある。
でも、涼しさだけで終わる服は、意外と飽きる。
このTシャツは違う。
快適さの中に、ちゃんと素材の面白さがある。
大きなロゴはない。
強い主張もない。
それでも、ふとした瞬間に目が止まる服がある。
このTシャツは、そういう種類の服だ。
一般的な天竺編みのTシャツとも違う。
ニット編みのカットソーとも違う。
1mmパイル特有の柔らかな陰影と、ほんのりとした起毛感。
その独特な質感が、無地に深みを与えている。
ただシンプルなだけでは終わらない。
街の光や湿度まで含めて、静かに雰囲気を作ってくれる。
僕は、この“無地なのに記憶に残る感じ”がかなり好きだ。
シルエットはゆったりしている。
でも、ただ大きいわけではない。
生地が落ちる位置。
肩から袖へ流れるライン。
身体との距離。
その細かなバランスだけで、服の見え方は大きく変わる。
大きめなのに、不思議とだらしなく見えない。
力を入れていないのに、自然と雰囲気が整う。
その静かな説得力が、このTシャツにはある。
夏の服は、どうしても簡単になる。
だからこそ、シルエットと素材のわずかな差が大きく出る。
TF LOOSE T-SHIRTは、その差をちゃんと持っている。
原料は、アメリカ・カリフォルニア州サンホーキンバレーで育てられたサンホーキン綿。
その綿を、精紡交撚糸という特殊な紡績技術で撚り上げる。
さらに、THING FABRICSが独自に開発したスパン糸を打ち込んでいく。
そうして生まれたのが、この1mmパイルの生地だ。
タオル生地は、本来アパレルに向いているとは言い切れない。
厚くなる。
重くなる。
形が出にくい。
でもTHING FABRICSは、それを服として成立させた。
伸縮性があり、軽く、そしてタオル特有のあの肌触りがちゃんとある。
汗をかいても、べたつきにくい。
肌に触れた瞬間、すっと水分を引き取っていく。
タオルとしての機能を持ちながら、服として完全に成立している。
今治タオルの品質基準には、沈降法試験というものがある。
水に浮かべたタオルが、どれだけ早く沈むかを測る試験だ。
一般的な基準は、60秒以内。
それに対して、THING FABRICSが作るこの生地は、わずか5秒。
一般的な基準を大きく超えるスピードで、水分を吸い上げていく。
だから蒸し暑い日でも、肌にまとわりつきにくい。
汗をかいたあとも、不思議と不快感が残りにくい。
Tシャツなのに、どこかタオルに包まれているような感覚がある。
でも、ただ快適なだけでは終わらない。
ちゃんと街で着られる空気感がある。
ラフなのに、どこか品が残る。
このバランスが、THING FABRICSらしさだと思う。
タオルが服になる。
その言葉だけ聞けば、少し冗談のように聞こえるかもしれない。
でも、袖を通すと意味が変わる。
今治タオルが誇る吸水性。
他の何にも似ていない、あの柔らかな肌触り。
それが、Tシャツという形でそのまま肌に触れてくる。
これは、素材説明ではなく体験だと思う。
世界のビッグメゾンからも高く評価されてきた今治タオルの技術。
その感性から生まれた、ウェアとしてのタオル。
快適さだけではなく、何年でも着続けたくなるシルエット。
ただの機能服ではない。
“夏の気分”まで変えてくれる一枚だ。
ただ涼しいだけのTシャツでは、もう物足りない。
快適さ。
空気感。
そして、ちゃんと服を着る楽しさ。
その全部を、この一枚は変えてくれる。
暑いから、楽な服を着る。
それは自然なことだ。
でも、楽なだけで終わらなくてもいい。
ちゃんと気分が上がる。
ちゃんと街で着られる。
ちゃんと自分の服になる。
THING FABRICS TF LOOSE T-SHIRT 1mmは、そういうTシャツだ。
夏の空気そのものを、着替えるような一枚。
僕は、このTシャツをそう感じている。
黒、ネイビー、グレー。
気づけば、僕らのワードローブは静かな色ばかりになっていく。
もちろん、それは悪いことじゃない。
むしろ年齢を重ねるほど、派手さよりも“馴染むこと”の心地良さを知っていく。
僕自身もそうだ。
黒いパンツ。
ネイビーのシャツ。
グレーのニット。
黒い革靴。
気づけば、自然とそういう色を選んでいる。
だけど時々、物足りなくなる。
シンプルな白いブルゾン。
黒いシャンブレーパンツ。
黒い革靴。
きちんとまとまっている。
でも、完成されすぎたスタイルは、時に少しだけ閉じている。
そんな時、このTRIALOGUE STUDIOのバッグを持つと、服が急に生き始める。
鮮やかな発色。
でも、不思議と浮つかない。
それは単純な“派手さ”ではなく、素材の深さで色を成立させているからだと思う。
TRIALOGUE STUDIOが使うのは、ブランドオリジナルの国産牛革。
僕は、この革がかなり好きだ。
革本来の良さを潰さないために、必要以上に引っ張らない。
叩かない。
高温乾燥もしない。
時間をかけ、自然乾燥でゆっくり仕上げる。
効率だけを考えれば、もっと早い方法はあると思う。
でも、急がない。
だから、このレザーには独特の“湿度”がある。
ただ綺麗なだけではない。
モチっとした膨らみ。
しっとりとした質感。
表面だけを強く光らせるのではなく、革そのものの奥行きで見せる。
発色が強いのに、どこか落ち着いて見える理由は、たぶんそこにある。
オレンジは鮮やかだ。
ブルーも強い。
でも、色だけが前へ飛び出してこない。
革の質感が、その色をきちんと受け止めている。
僕は、このバランスがすごくいいと思っている。
レザーバッグには、どうしても秋冬のイメージがある。
重い。
かっちりしている。
暑い季節には少し構える。
でも、このバッグは違う。
レザーなのに、重たすぎない。
革の雰囲気が、どこか軽やかだ。
だから、暑い日でもなぜか持ち出したくなる。
Tシャツ。
軽いシャツ。
夏の軍パン。
シャンブレーパンツ。
そういう軽い服の中へ入れても、バッグだけが季節から浮かない。
むしろ、夏の簡単な着こなしに少しだけ深さを加えてくれる。
これは、レザーバッグとしてかなり珍しいと思う。
例えば今回のスタイリング。
白のブルゾン。
シャンブレーパンツ。
足元は黒の革靴。
かなりベーシックだ。
色数も少ない。
そのままでも成立している。
でも、そこにこのバッグが入るだけで空気が変わる。
オレンジなら、都会的なのにどこかアートピースのような存在感。
ブルーなら、夏の光をそのまま閉じ込めたような軽さがある。
面白いのは、このバッグが“主役”なのに、服を壊さないところだ。
色は強い。
存在感もある。
なのに、バッグだけが別の世界へ行かない。
しばらく考えて、その理由が分かった。
グログランテープだ。
レザーの重厚さの中に、少しだけ工業製品っぽい空気が混じる。
この“ずれ”がいい。
もしハンドルまで同じレザーだったら、もっと高級感の強いバッグになっていたと思う。
もちろん、それも成立する。
でも、TRIALOGUE STUDIOはそこへグログランテープを入れた。
レザー。
そして、テープ。
有機的な素材と、少し工業的な素材。
その異質なもの同士が並ぶことで、バッグがラグジュアリーへ寄りすぎない。
だからデニムにも合う。
軍パンにも合う。
Tシャツ一枚にも自然に入る。
僕は、こういう異素材の違和感が好きだ。
すべてを綺麗にまとめるのではなく、ひとつだけ違う空気を入れる。
その少しの“ずれ”が、物を急に面白くする。
しかも、このグログランテープは、ただデザインのためだけに付いているわけではない。
軽い。
柔らかい。
それでいて、しっかり握れる。
肩掛けした時も、身体への馴染みがいい。
レザーのハンドルとは、持った時の感覚が明確に違う。
さらに上部には、少し薄いレザーを使っている。
だから、荷物を入れた時にバッグがただ硬く立つのではなく、自然なドレープが生まれる。
持った時に、少しだけ形が崩れる。
その崩れ方まで計算されている。
こういう“説明されないと気づかない工夫”が、本当に上手い。
見た目のためのデザインと、使うための機能が分かれていない。
ひとつのディテールが、その両方をやっている。
個人的に、このバッグで一番惹かれたのは「高級感」ではない。
“温度”だった。
高級なバッグは、時々ちょっと構えてしまう。
傷を気にする。
置く場所を気にする。
服との格まで気にする。
物としては素晴らしい。
でも、日常との間に少し距離が生まれることがある。
TRIALOGUE STUDIOのバッグは違う。
革なのに、どこか柔らかい。
ちゃんとしているのに、気取っていない。
だから休日のコンビニでも持てる。
そのまま、ちゃんとした店に入っても成立する。
この“日常に馴染む美しさ”は、実はかなり難しい。
LAMPAを19年やってきて、レザーバッグをほとんど扱ってこなかった。
別に、レザーバッグが嫌いだったわけではない。
良い革もたくさん見てきた。
良い縫製のバッグもたくさんあった。
でも、それだけでは僕の中で足りなかった。
良い革。
良い縫製。
高級感。
そこまでなら、選択肢はたくさんある。
僕が欲しかったのは、その先だった。
持った時に気分が上がること。
そして、毎日使いたくなること。
この二つを同時に成立させるバッグは、本当に少ない。
気分が上がるものは、時に日常から離れる。
毎日使えるものは、時に気分を動かさない。
TRIALOGUE STUDIOは、その両方をちゃんと成立させていた。
だから、LAMPAで扱いたいと思った。
便利なバッグなら、もっとたくさんある。
軽い。
ポケットが多い。
雨に強い。
荷物がたくさん入る。
もちろん、それは大切だ。
でも、持って出掛けたくなるバッグは意外と少ない。
このバッグは、たぶん後者だ。
玄関で手に取る。
オレンジを持つ。
あるいは、ブルーを持つ。
その瞬間、少しだけ今日の服が良く見える。
黒、ネイビー、グレー。
静かな色で整えた自分の服に、ひとつだけ色が入る。
それだけで、街の見え方まで少し変わる。
色を持つということは、少しだけ街に対して強くなれるということ。
僕は、このバッグをそういうものだと思っている。
朝、クローゼットを開けて、迷わず手が伸びる服がある。
理由はうまく言えない。
でも、それを着ると、その日の自分が少しだけ整う気がする。
STILL BY HAND コットンリネン半袖ニット KN03262は、僕にとってそういう服だ。
大きなロゴがあるわけではない。
強いデザインが目に飛び込んでくるわけでもない。
それでも、着ると違う。
Tシャツより少しだけ品がある。
シャツより力が抜けている。
ゆったりしているのに、だらしなく見えない。
その絶妙な距離感が、この服の核心だと思う。
袖を通した時、不思議な感覚がある。
力が抜けている。
なのに、なぜか少しだけ背筋が伸びる。
身体を締めつけているわけではない。
細く見せようとしているわけでもない。
むしろ、シルエットにはしっかりと余白がある。
それでも、ルーズには見えない。
体のラインを追いすぎず、隠しすぎない。
身体と服の間に、ちょうどいい距離がある。
僕は、この距離感こそSTILL BY HANDの上手さだと思っている。
大きく作ることは簡単だ。
でも、大きく作りながら、その人をきちんと見せるのは難しい。
KN03262には、シルエットにちゃんと意志がある。
このニットの印象を決めているのは、コットンとリネンが作る独特の表情だ。
コットンだけでは出ない。
リネンだけでも出ない。
柔らかさがある。
でも、甘すぎない。
ドライな空気がある。
でも、粗野には見えない。
この二つの素材が混ざることで、生地の表面にわずかな揺らぎが生まれる。
その揺らぎが、無地のニットを単調に見せない。
遠くから見れば、静かだ。
近くで見ると、ちゃんと表情がある。
僕は、こういう生地が好きだ。
一目で分かる派手さではなく、着る人だけが少しずつ気づいていく。
ロゴの代わりに、生地そのものが服の存在を作っている。
この服を見た時、やはり気になるのは袖のバランスだ。
一般的な半袖より、少し長い。
腕が見えすぎない。
でも、隠れすぎない。
たった数センチの違い。
でも、その数センチが服全体の印象を変える。
袖が短ければ、もっとスポーティーに見える。
長すぎれば、夏の軽さが消える。
KN03262は、その間にいる。
腕まわりに自然な余白が生まれ、上半身全体が落ち着いて見える。
誰も袖丈だけを見て「格好いい」とは言わないかもしれない。
でも、全体を見ると何となく違う。
服は、こういう小さな差の積み重ねで出来ている。
大きなロゴはない。
強い主張もない。
一目でブランドが分かるような記号もない。
それでも、誰かとすれ違った時。
「あの人、何を着ていたんだろう。」
そう思わせる服がある。
KN03262は、そういう種類の服だと思う。
素材の表情。
袖の長さ。
身幅の余白。
裾の落ち方。
ひとつひとつは静かだ。
でも、それらが重なると、その人の佇まいが少し変わる。
ロゴの代わりに、生地とシルエットが語る。
僕は、そういう服の方が長く残ると思っている。
デニムに合わせる。
それだけでいい。
飾らないまま、Tシャツより少しだけ整って見える。
スラックスに合わせる。
今度は、余裕のある大人の服になる。
軍パンに合わせても面白い。
パンツの無骨さを消さずに、上半身だけ少し静かに整えてくれる。
どれかひとつが正解なのではない。
どれにも、無理なく馴染んでいく。
これは、かなり大きな強さだと思う。
特別な日のためだけに作られた服は、その日が来なければ着ない。
でも、何でもない日を少し良くしてくれる服は違う。
気づけば、何度も手が伸びる。
そして、そういう服ほど何年も手元に残る。
シルエットは大きめだ。
でも、だらっとはしていない。
身幅には余裕がある。
袖にも空間がある。
それでも、服全体が横へ膨らんで見えない。
裾の落ち方。
リブの締まり具合。
着丈のバランス。
それぞれが、きちんと同じ方向を向いている。
ゆるいのに、輪郭がある。
大きいのに、重く見えない。
僕は、この「流れ」が大事だと思っている。
単にオーバーサイズへするのではなく、生地がどう落ちるかまで考える。
だから、着た時に服だけが浮かない。
身体の動きと一緒に、自然に流れていく。
買った瞬間に、強く惹きつける服がある。
それはそれでいい。
でも、強い刺激は慣れるのも早い。
一方で、着るたびに「やっぱりこれでよかった」と思う服がある。
KN03262は、たぶん後者だ。
一度目より、二度目。
二度目より、三度目。
着るたびに、生地の軽さが分かる。
袖丈の意味が分かる。
シルエットの使いやすさが分かる。
最初は気づかなかったことが、少しずつ見えてくる。
そして、クローゼットの中で静かに存在感を増していく。
そういう服との出会いは、実はそれほど多くない。
軽さと落ち感が、同時に成立している服は、実はそう多くない。
軽くすれば、形が弱くなることがある。
形を出そうとすれば、生地が重くなることがある。
KN03262は、そのどちらにも寄りすぎていない。
コットンとリネンが作る表情。
身体から少し離れる、ゆとりのあるシルエット。
その二つが重なることで、軽さと落ち感が同時に生まれる。
この編み地だから、このシルエットが生きる。
このシルエットだから、この生地の良さが伝わる。
どちらか一方では成立しない。
生地と形が、同じ答えへ向かっている。
説明を読んで、納得する服がある。
素材を知る。
ディテールを知る。
シルエットの意図を知る。
それで「なるほど」と思う。
でも、袖を通して初めて、言葉が追いつく服もある。
STILL BY HAND コットンリネン半袖ニット KN03262は、そういう一着だ。
ゆったりしているのに、だらしなく見えない。
軽いのに、存在感がある。
静かなのに、記憶に残る。
何でもない日に着る。
そして、その何でもない日が少しだけ整う。
気づけば、また手が伸びている。
僕は、そういう服こそ長く残ると思っている。
蒸し暑い朝、クローゼットの前で少し考える日がある。
Tシャツでいい。
でも、今日はそれだけでは少し足りない気がする。
かといって、シャツは少し大げさだ。
ジャケットなんて、とても着ていられない。
STILL BY HANDの12Gハーフスリーブニット KN02261は、そういう日のために存在している。
袖を通した時、最初に感じるのは軽さだ。
重さがない。
なのに、Tシャツとは何かが違う。
その「何か」が、この服の核心だと思う。
大きく主張するわけではない。
着こなしを劇的に変えるわけでもない。
でも、着た人をほんの少しだけ整えて見せる。
夏の着こなしを、静かに底上げする。
僕は、このニットをそういう一着だと思っている。
Tシャツは便利だ。
僕自身、夏はほとんど毎日のように着る。
でも、それだけでは少し足りない場面がある。
仕事の帰りに人と会う。
少し良い店へ食事に行く。
いつものデニムを、今日は少しだけ違って見せたい。
そんな時、Tシャツでは少し軽い。
かといってシャツは大げさで、ジャケットは暑すぎる。
この隙間は、意外と広い。
STILL BY HANDは、そこにニットを置いた。
「夏に、ちゃんとして見える。」
言葉にすれば簡単だ。
でも実際には、これがかなり難しい。
きれいすぎれば堅くなる。
ラフすぎればTシャツと変わらない。
KN02261は、そのちょうど間にいる。
だから、着る場所を選ばない。
素材は、コットン・リネン・ポリエステルの混紡糸。
それを12ゲージで編み立てている。
ここが、この服の土台になっている。
密度はある。
でも、こもらない。
ニットらしい品がある。
でも、夏に着ることを邪魔しない。
リネンのドライな感触が、暑い日の肌離れを助けてくれる。
汗ばむ日に着ても、生地がべったりと身体へ張りつきにくい。
僕は、夏服に必要なのは単純な「涼しさ」だけではないと思っている。
涼しいから着るのではない。
着ていて不快じゃないから、続けて着られる。
そのくらいの温度感が、夏の服には必要だ。
KN02261は、そこをよく分かっている。
この服を見た時、僕が気になったのは袖の長さだった。
半袖より少し長い。
でも、七分袖よりずっと短い。
いわゆるハーフスリーブ。
腕が見えすぎない。
でも、隠れすぎない。
たったそれだけのことに見える。
でも、袖丈は服の印象を大きく変える。
一般的な半袖より少し長いだけで、Tシャツ的な軽さが抜ける。
腕まわりに余白が生まれ、シルエット全体が落ち着いて見える。
それでいて、長袖ほど重くない。
季節感と清潔感が、袖丈だけで自然に伝わってくる。
誰も「この袖丈がいい」とは言わないかもしれない。
でも、見た瞬間に何となく格好いい。
僕は、そういう設計が好きだ。
シルエットは大きめに作られている。
でも、だらっとはしていない。
この違いは大きい。
身幅に余裕がある。
袖にも空間がある。
それでも、服全体が横へ膨らんで見えない。
裾の落ち方。
リブの締まり具合。
着丈のバランス。
それぞれが、きちんと同じ方向を向いている。
ゆるいのに、輪郭がある。
大きいのに、重く見えない。
デニムに合わせてもいい。
軍パンでもいい。
スラックスに合わせても成立する。
どれかひとつが正解なのではない。
どれも正解に見える。
それが、この服の静かな強さだと思う。
軽さと落ち感が、同時に成立している服は、実はそう多くない。
軽くすれば、形が弱くなることがある。
形を出そうとすれば、生地が重くなることがある。
KN02261は、そのどちらにも寄りすぎていない。
12ゲージの編み地が、シルエットを支える。
コットン・リネン・ポリエステルの混紡糸が、軽さとドライな感触を作る。
ゆとりのある身体が、生地を自然に落とす。
この編み地だから、このシルエットが生きる。
このシルエットだから、この生地の良さが伝わる。
どちらか一方では成立しない。
生地と形が、同じ答えへ向かっている。
服を長く見ていると、説明を聞く前に惹かれるものがある。
素材がどうとか。
ゲージがどうとか。
袖丈がどうとか。
もちろん、それぞれに理由はある。
でも、袖を通した瞬間はもっと単純だ。
「これだ。」
そう思える服がある。
STILL BY HAND 12Gハーフスリーブニット KN02261は、僕にとってそういう一着だ。
Tシャツでは、少し足りない。
シャツでは、少し大げさだ。
その間にある、曖昧な場所。
そこへ、きれいに収まる。
夏に、ちゃんとして見える。
でも、頑張って見えない。
Tシャツでは届かない場所へ、静かに連れていってくれる。
最初に伝えておきたいことがある。
このパンツは、買った瞬間に完成するものではない。
袋から取り出し、脚を通した時。
おそらく、少しだけ引っかかる感覚があると思う。
「良いのはわかる。でも、まだ何か足りない気がする。」
その感覚は、わりと正確だ。
何かが欠けているわけではない。
ただ、このパンツはまだ“途中”なだけ。
穿いて、歩いて、座って、洗う。
膝の裏にシワが入り、股にクセがつき、色のムラが少しずつ表情へと変わっていく。
新品の時より、数週間後。
数週間後より、数か月後。
時間と一緒に、良くなっていく。
僕は、このEASY BAKER PANTS PT020-CCLを、そういうパンツだと思っている。
1950年代、米軍に採用されたOG-107ファティーグパンツ。
角ばったL字型のフロントポケット。
ダブルステッチで強く補強された口元。
左右に構えるフラップ付きのバックポケット。
完成されている。
軍服としての機能。
道具としての合理性。
そして、長い時間を経ても失われない圧倒的な存在感。
僕も、あの無骨さは好きだ。
ただ、完成されているからこそ、強い。
Tシャツ一枚に合わせても、シャツを羽織っても、パンツの存在感が前へ出る。
その無骨さが格好いい一方で、今の生活では少しだけ強く感じる日もある。
ORDINARY FITSは、その完成された“答え”を受け取りながら、同じものを作らなかった。
「今の生活で、本当に穿きたくなる一本とは何か。」
おそらく、このパンツの面白さはそこから始まっている。
ポケットひとつで、服の温度は変わる。
OG-107を象徴する、角のあるL字型フロントポケット。
あの形があるだけで、パンツには明確な軍パンの空気が生まれる。
EASY BAKER PANTSは、そこを丸くした。
さらに、力強いダブルステッチではなく、シングルステッチで軽やかに仕上げている。
たったそれだけの違いに見える。
でも、その「たったそれだけ」が、すべてを変える。
見た目の圧が、すっと抜ける。
どんなトップスにも自然に馴染む。
手を入れた時の見え方まで柔らかくなる。
大きな装飾を加えたわけではない。
新しいディテールを見せつけたわけでもない。
むしろ、逆だ。
ほんの少し、強さを抜く。
無骨さは残る。
でもそれは、日常を拒まない無骨さへと変わっている。
僕は、こういうところにデザインの本質があると思っている。
本来のOG-107なら、左右にフラップ付きのバックポケット。
後ろ姿にも、しっかりと軍パンの存在感がある。
EASY BAKER PANTSは違う。
右側にひとつだけ。
しかも、フラップを持たない丸みのある形状。
「シンプルにしただけ?」
そう見えるかもしれない。
でも、実際に穿くと意味がわかる。
座った時にゴワつきにくい。
ヒップまわりに余計な厚みが出ない。
そして、後ろ姿が驚くほど軽い。
僕は、こういう引き算が好きだ。
ただ削るのではない。
元の服が持っていた意味を理解した上で、今の生活に必要なものだけを残していく。
前から見ると、確かにベイカーパンツ。
後ろへ回ると、急に静かになる。
この前後の温度差が、EASY BAKER PANTSを単なる軍パンの再現で終わらせていない。
そして、このパンツは生地がいい。
高密度なのに、軽い。
触った瞬間にわかる。
目が詰まっている。
ハリもある。
それなのに、重くない。
身体の動きを邪魔するような硬さもない。
このバランスは、偶然では生まれない。
ベイカーパンツという言葉から想像する、厚くて重い生地とは違う。
見た目より、ずっと薄い。
だから真夏でも無理なく穿ける。
これはかなり大きいと思う。
夏はTシャツ一枚になることが多い。
トップスが軽くなる分、パンツまで重いと全体のバランスが急に暑苦しく見える。
EASY BAKER PANTSには、軍パンの存在感がある。
でも、生地は軽い。
無骨さはある。
でも、重くない。
この矛盾したようなバランスが、今の東京の夏にちょうどいい。
この生地の核心は、もうひとつある。
手染め。
そして、天日干し。
工業製品のように、すべてが均一ではない。
色にはわずかな揺らぎがある。
場所によって見え方も違う。
最初は、それを「ムラ」と感じるかもしれない。
でも、穿いていくと変わる。
膝の裏にシワが入る。
股にクセがつく。
ポケットの縁が馴染む。
擦れる場所と、擦れない場所で、色の見え方が変わっていく。
そこで初めて、最初からあった色の揺らぎと、自分が作ったシワやアタリが繋がる。
「これ、いいシワだな。」
ある日、ふとそう思う瞬間が来る。
新品の時にはなかった立体感。
新品の時にはなかった色の深さ。
新品の時にはなかった、自分だけの表情。
最初に感じた「何か足りない気がする」という感覚。
あれは欠陥ではない。
変わるための余白が、最初から残されていた。
OG-107をそのまま蘇らせたわけではない。
角ばったフロントポケットを丸くする。
ダブルステッチをシングルステッチへ変える。
左右のバックポケットを、右側ひとつへ。
フラップをなくし、後ろ姿を軽くする。
高密度でありながら、真夏にも穿ける軽い生地を選ぶ。
さらに手染めと天日干しによって、時間とともに変化する余白を残す。
ひとつひとつは、小さな変更だ。
でも、その小さな変更がすべて同じ方向を向いている。
今の生活で、穿くため。
軍パンの格好良さを残しながら、軍パンの強さに支配されない。
無骨さを残しながら、日常から浮かない。
存在感を残しながら、真夏にも穿ける。
僕は、これは再現ではないと思っている。
進化だ。
ORDINARY FITSが掲げる「10年後も着ていたい服」。
それは、単に丈夫で長持ちするという話ではないと思う。
時間をかけて、自分だけのものになっていく。
新品の時を頂点にせず、穿いた時間そのものを服の価値へ変えていく。
EASY BAKER PANTS PT020-CCLは、まさにそういう一本だ。
最初は、少しだけ物足りないかもしれない。
でも、穿く。
歩く。
座る。
洗う。
その繰り返しの中で、生地が変わる。
色が変わる。
シワが残る。
ポケットの縁が馴染む。
そして、ある日気づく。
気づいたら、一番穿いている。
新品の時より、確実に良くなっている。
完成していないから、いい。
穿くほどに、自分だけの一本になる。