機能の先に、都市がある。
MOUT RECON TAILORの服を初めて見た時。
多くの人は「何だこれは」と思うはずです。
軍服でもない。
アウトドアでもない。
ストリートでもない。
なのに妙に格好いい。
SUMMERWEIGHT MDU SHORTSも、そんなMOUTらしさが色濃く表れた一本です。
一見すると無骨なカーゴショーツ。
でも、どこか違う。
なぜか目に留まる。
なぜか気になる。
その理由は、細部にあります。
このショーツの象徴とも言えるのが、左腿に配置されたセルホルスターポケット。
正直に言うと、最初は少し大袈裟にも見えます。
でも最初の違和感が、いつの間にか基準になっている。
スマートフォンを収納する。
ただそれだけの話なのですが、そのために専用の機構を用意してしまうところがMOUTらしい。
軍用装備の考え方を、そのまま現代の都市生活へ置き換える。
このブランドが面白いのは、そういうところです。
セルホルスターポケットには、ドイツ製のステルスクロージャーを採用。
もともとは手榴弾ポーチなど軍用装備のために開発された特殊なパーツです。
引手を引けば、一瞬で開く。
しかも音がしない。
ベルクロを剥がす音もなければ、ジッパーの金属音もありません。
別になくても困らない。
でも、そういう必要以上の拘りに人は惹かれる。
MOUTを好きになる理由は、案外そんな部分なのかもしれません。
生地にはINVISTA社製のCORDURA NYCOを採用。
ミルスペック規格のファブリックが持つ高い耐久性を備えながら、驚くほど軽い。
コットン60%、ナイロン40%。
強度だけではなく、肌触りや通気性まで考えられています。
実際に穿いてみると、まず軽い。
でも、それだけではありません。
頼りなさがない。
薄くて軽いのに、ちゃんとタフ。
触った瞬間よりも、穿き続けた時の方がこの生地の良さは伝わると思います。
シルエットは全体的にややゆったり。
必要以上に都会的に整えすぎることなく、ミリタリーウェア本来の無骨さを残しています。
斜めに配置されたカーゴポケットも含めて、どこかROYAL NAVY CARGOを思わせる力強い表情。
それでいて重たく見えないのは、素材やバランスの調整が絶妙だからだと思います。
無骨なのに野暮ったくない。
タフなのに街に馴染む。
軍服でもなく、アウトドアでもない。
MOUTがMOUTである理由です。
軍用装備から生まれた機能。
最新のMIL-SPEC素材。
ドイツ製の特殊パーツ。
そんな言葉だけを見ると、とても日常着には思えません。
でもMOUTが目指しているのは軍ではなく都市です。
軍用装備の合理性を、現代の生活へ落とし込む。
SUMMERWEIGHT MDU SHORTSは、MOUTというブランドが何を作ろうとしているのか。
それが最も分かりやすく表れた一本かもしれません。
スペックを理解するより先に。
穿き続けた後の方が、このショーツの良さはよく分かる。