ORDINARY FITS BELL PANTS
180USD
使い込んだデニムなのに、清潔感がある。
ペンキまで含めて、今の東京で穿きたい一本。
加工デニムにペンキと聞くと、どうしてもVINTAGEの再現という方向へイメージが向きやすい。色を落とし、アタリを出し、さらにペンキを散らす。やり方次第では古着らしさが強くなり過ぎて、パンツそのものに合わせる服を選ばされてしまうことも少なくない。
ところがORDINARY FITSのBELL PANTSは、そこに収まっていない。
しっかり使い込んだ表情を持ちながら、VINTAGEの再現だけを目的にした感じがしない。むしろペンキまで入って完成していると思わせる。その加減に、このパンツをLAMPAで選びたくなった大きな理由がある。
古着もワークも知っている。でも、それを全身で主張する必要はない。ペンキの付いたデニムでさえ、特別なものとして構えず普段の服として穿いてしまう。見栄を張らず、格好をつけ過ぎず、それでも穿いた姿はきちんと格好良い。そんな距離感に、LAMPAではどこか東京らしさを感じる。
生地には、1980年代のLevi’sのデニムを研究して開発された10.5オンスのデニムを使用。デニムとしては比較的軽いオンスで、そこへ熟練した職人による加工を加えることで、最初から柔らかく穿きやすい生地感へと仕上げられている。
面白いのは、その柔らかさと色の見え方。加工によって単純に薄く色を抜くのではなく、綺麗なブルーの中に濃淡が重なり、使い込んだデニム特有の奥行きをつくる。10.5オンスという軽さも、この大きなシルエットを必要以上に重たく見せず、たっぷりと取られた生地の分量を素直に感じさせる。
そして、このデニムを決定的に面白くしているのが適度に散らされたペンキ。ここが実に上手い。
ペンキ加工を強く入れれば、当然ワークやVINTAGEの印象も強くなる。しかしBELL PANTSでは、デニムの色落ちやアタリの中へ自然にペンキを馴染ませることで、それだけが前へ出ない。加工の一要素として全体の中に収まり、ブルーの濃淡へさらに細かな表情を加えている。
だから、使い古した加工なのに不思議と汚さを感じない。
誰かが長く穿き、日々の暮らしの中で少しずつ付いた跡を思わせる生活感は残しながら、過剰なVINTAGE演出には向かわない。ペンキが無いほうが合わせやすいのではなく、このパンツに関しては「入っていたほうが格好良い」と思える。その境界をきちんと見極めた加工だと思う。
デザインの発想も面白い。イメージは、オーバーオールから上半分を取り去ったようなパンツ。通常の5ポケットデニムとは異なる成り立ちを感じさせながら、シルエットはかなりゆったりと取られている。
この大きなシルエットと10.5オンスの柔らかなデニムとの組み合わせが重要で、生地の分量はありながら、硬いデニムで輪郭を強く固定する方向にはならない。ゆったりとした形の中で柔らかな生地が馴染み、加工によるブルーの濃淡も広い面積の中で見えてくる。ペンキも一点の装飾としてではなく、その大きな輪郭を構成する表情のひとつになる。
ウエストにはアジャスターを備え、サイズ感を調節可能。かなりゆとりを持たせたシルエットだからこそ、ウエスト側で収まりを調整できる仕様にも意味が出る。大きく穿くこと自体を目的にするのではなく、ボリュームを活かしながら自分の腰位置へ合わせられる設計だ。
服を長く見続けていると、加工デニムは「どれだけ本物のVINTAGEに近いか」だけでは選ばなくなる。BELL PANTSには1980年代のLevi’sを研究したデニム、熟練した職人による加工、使い込んだブルーとペンキという、VINTAGEへ向かう要素が揃う。それでも古着そのものの再現に見えないのが、このパンツの面白さ。太いシルエットも、色落ちも、ペンキも、それぞれを主張として前へ出すのではなく、一本のデニムとして自然に馴染ませている。古着を知っていることを見せるためではなく、知っているからこそ普通に穿く。その気負いのなさと、きちんと格好良く見えるところの両立に、LAMPAでは東京らしさを感じる。
使い古した生活感を残しながら、清潔感まで失わない。ペンキさえ装飾として目立たせるのではなく、綺麗なブルーや大きなシルエットの中へ馴染ませています。VINTAGEを忠実に再現することとは少し違う、古着を知っているからこそできる距離の取り方。その感覚が生地、加工、シルエットのすべてに表れているからこそ、今の東京で自然に穿きたい、LAMPAで紹介する意味のあるBELL PANTSです。