ORDINARY FITS - DENIM JACKET TYPE 2ND USED
013USD
ヴィンテージの無骨さを残し、今の時代に着たい形へ。
やりすぎないUSED加工が、名作2NDに新しい魅力を与える。
Gジャンという服は、着丈が難しい。
昔、ヴィンテージのGジャンを買おうと思い、アルバイトで貯めた大金を持って店まで行ったことがある。ところが、いざ試着してみると、どうしてもあの着丈の短さが自分の中で消化できない。結局、買わずに帰った。それ以来、いわゆるGジャンという服が個人的にずっと苦手だった。
そんな自分が、ORDINARY FITSのデニムジャケットを試着して、すぐにピンときた。理由は着丈の長さ。これが実に上手い。
Gジャンは、ただ着丈を長くすれば着やすくなるというものではない。短すぎれば、インナーをパンツに入れる着方が前提になりやすい。しかし、長くしすぎれば、今度はGジャン特有の形が失われ、普通のデニムブルゾンになってしまう。
そもそもGジャンは、ファッションとして格好良く見せることを第一に考えて生まれた服ではない。作業着としての機能や動きやすさを求めた結果、あの独特の形になったものだ。現代の感覚からすると野暮ったく感じられる部分もあるが、その野暮ったさこそが、服の個性であり魅力になっていることも多い。
だからこそ、現代的に着やすくするために、すべてを整えてしまえば良いという話ではない。Gジャンでいえば、着丈の短さは短所であると同時に、失ってはいけない個性でもある。ORDINARY FITSは、その短丈特有の輪郭を残しながら、オリジナルより着丈を若干長めに設定している。
着丈を若干長めにしただけで、裾を出したときの見え方が変わる。それでいて、古いワークウェアが持つ独特の形は崩れていない。どこを変えて、どこを変えないのか。この判断が本当に難しい。LAMPAでは、そうした服作りにこそ、ブランドのセンスが表れると考えている。
そして今回紹介するのは、そのDENIM JACKET TYPE 2NDにUSED加工を施したモデル。基本的なデザインはONE WASHモデルと共通だが、加工によってインディゴの色合いが変わり、ジャケット全体の見え方にも違いが生まれている。
ORDINARY FITSのUSED加工で好きなのは、やりすぎないところだ。
デニムの色を大きく落とし、強いアタリやダメージを加えれば、ヴィンテージらしい迫力を出すことはできる。しかし、加工の主張が強すぎれば、服そのものより加工の印象が先に立ち、着こなしの方向まで限定してしまうことがある。
料理に例えるなら、濃いソースの味で食べさせるのではなく、素材本来の味を邪魔しない程度に味を加える感覚だ。ORDINARY FITSの加工には、そんな控えめな味付けに通じる良さがある。
今回のジャケットに使用されているのは、ORDINARY FITSがLEVIS 501の66後期モデルを研究して開発した、ブランドオリジナルの14オンスセルヴィッチデニム。
ここで興味深いのは、デザインのモチーフが1950年代の2NDであるのに対し、生地は1970年代後半のデニムを研究していることだ。
デニムの色落ちというと、太く不規則な縦筋が現れ、濃いインディゴと白く擦れた部分のコントラストが強く出るものを思い浮かべる人も多いだろう。1940年代の501XXなどに見られる、いわばゴソッと色が抜けるような力強い表情だ。
しかし、デニムの色落ちは時代によって変わってきた。糸の作り方や染色、生地の織り方が変化するにつれ、同じインディゴデニムでも、着込んだときに現れる表情は異なってくる。その違いを考えるうえで興味深いのが、LEVIS 501の66後期モデルだ。
一般に66後期と呼ばれる時代のデニムには、太く不規則な縦筋が強く浮かび上がるものとは違い、細かな点状の色抜けが現れやすい傾向がある。もちろん、同じ年代でも個体差はあり、縦落ちするものも存在する。年代だけで生地の表情を一律に決められるわけではないが、1940年代のデニムに見られる荒々しい色落ちと比べると、もう少しあっさりとした青の見え方が特徴の一つといえる。
ここで大切なのは、あっさりしていることと、表情が乏しいことは違うという点だ。
66後期のデニムには、強い縦筋とは異なる、細かな濃淡の重なりにも面白さがある。近くで見れば糸や織り目に沿った小さな色の変化があり、少し離れて見ると、それらが一つのブルーの面として見えてくる。強いコントラストだけでは語れない、インディゴの色合いそのものに魅力がある。
ORDINARY FITSが今回の生地で研究したのは、まさにその66後期のデニム。古いデニムの魅力を、強い縦落ちや荒々しい凹凸だけで捉えていないところに、この素材選びの面白さがある。
しかも、14オンスという重量を持たせている。数字だけを見れば、デニムとして特別に重いわけではない。しかし、同じ14オンスでも、糸の性質や織りの密度によって生地の質感は変わる。重量だけで判断するのではなく、糸が作る表面の細かな変化と、織り上がった生地のしっかりした質感を合わせて考えたい。
さらに、セルヴィッチデニムを採用している。セルヴィッチとは、生地の端で緯糸が折り返すことで形成される耳のこと。かつてのデニムに広く用いられていたシャトル織機による生地を特徴づける仕様の一つで、66後期の501も赤耳デニムが使われていた時代に位置する。
ただし、セルヴィッチであることと、強い縦落ちが生まれることは別の話だ。生地の耳の構造が、糸のムラや染色の状態まで決めるわけではない。重要なのは、どのような生地を作りたいのかという目的があり、それに合わせて糸や織り方、仕上げを選んでいることだ。
今回の14オンスデニムで、もう一つ注目したいのが整理加工に対する考え方だ。
一般にデニムの生地作りでは、織り上がった生地の表面を整えたり、洗濯後に生じる変形を抑えたりするため、さまざまな仕上げ加工が行われる。製品としての均一さや扱いやすさを考えれば、そうした加工には意味がある。しかしORDINARY FITSでは、古いデニムが持っていた性質を残すため、あえて毛焼きやスキュー加工を施していない。
毛焼きとは、生地表面の細かな毛羽を焼いて取り除く加工のこと。これを行えば表面は整い、すっきりとした見え方になる。一方、毛羽を残せば、綿の繊維が持つ細かな凹凸が表面に現れ、均一に仕上げられた生地とは違う粗さが生まれる。
毛羽立ちのあるデニムは、表面の細かな繊維によって、光の当たり方や見る距離で質感が変わって見える。色を落とす加工を施した場合でも、こうした生地自体の性質が、単に均一に脱色しただけでは得られない質感につながる。
そしてスキューとは、デニムの綾織り構造や糸の撚りなどによって生じる斜行やねじれを、あらかじめ補正する加工のこと。ORDINARY FITSでは、この補正も行わず、デニムが本来持っている性質を残している。
もちろん、ねじれが大きければ良いというものではない。実際にどの程度の変化が現れるかは、着用や洗濯の条件によっても異なる。大切なのは、古いデニムの性質を理解したうえで、どこまで手を加えるかを判断していることだ。
その一方で、今回の生地は打ち込み本数を多めに設定し、織りの密度を高めている。経糸と緯糸を密に織り込むことで、洗いを繰り返してもヘタりにくい、しっかりした生地に仕上げている。古いデニムの不均一な質感を残しながら、日常で着続けるための強さも考えられているところが面白い。
そして、この生地に施されているのがUSED加工だ。
デニムのUSED加工では、実際の着用によって生まれる擦れや濃淡を参考に、色を落とす位置や強さを考える。岡山県児島をはじめとする日本のデニム産地では、こうした加工技術が長年にわたって磨かれ、海外からも評価されてきた。ただし、強い色落ちを再現できる技術があるからといって、すべてを表現する必要はない。どこを明るくし、どこに青を残すかによって、服の印象は大きく変わる。
今回のORDINARY FITSのUSEDモデルは、インディゴの濃淡を生かしながら、強いダメージや極端な色落ちだけに頼らない仕上がりだ。深い青が残る部分と淡く色が抜けた部分が一着の中に共存し、デニム本来の色合いを楽しめる。色落ちの迫力で目を引くというより、少し離れて見たときにジャケット全体が自然にまとまって見えるところがいい。
特に今回の2NDは、左右の胸ポケットやダブルアクションプリーツなど、前身頃に立体的な構造を持つデザインだ。そうしたディテールがあるからこそ、加工されたインディゴの色合いにも変化が生まれ、平面的なデニムジャケットとは違う見え方につながっている。加工が服の構造を邪魔するのではなく、もともとのデザインを生かしているところに、ORDINARY FITSらしい判断が感じられる。
今回のDENIM JACKET TYPE 2NDは、1950年代に登場したLEVISの通称2ND、507XXをデザインのモチーフとしている。
2NDを考えるうえで面白いのは、それ以前の1STから、どの部分が変わったのかということだ。
1STの大きな特徴は、左胸に一つだけ設けられたポケットと、背面中央のシンチバック。左右非対称の前身頃と、背中のバックルによる無骨な造形が、古いワークウェアならではの個性を作っていた。
それに対して2NDでは、胸ポケットが左右に二つ配置され、背面中央のシンチバックは裾の両脇に設けられたボタン式アジャスターへと変更された。単に収納が増え、調整方法が変わっただけではない。この二つの変更によって、ジャケット全体の見え方も大きく変わっている。
まず、左右に配された二つのパッチポケット。1STでは左胸のポケットが視線を集め、前身頃に左右非対称の面白さがあった。一方、2NDでは二つのポケットが胸元に並ぶことで、前面の重心が左右に分かれ、全体の輪郭が整って見える。
しかも、ポケットは単なる装飾ではない。収納という作業着本来の役割を持ちながら、その四角い形とフラップが胸元に存在感を与える。身幅のあるボックス型のシルエットと相まって、前身頃にどっしりとした力強さが生まれている。
そして、フロントには1STから受け継がれたダブルアクションプリーツを配置。これは、伸縮性の乏しいデニムに動くためのゆとりを持たせる、ワークウェアならではの構造だ。生地を折り畳んで前身頃に収めることで、必要な部分に余裕を持たせるという合理的な発想から生まれている。
プリーツの折り山やステッチの周辺は、生地が重なることで擦れ方にも差が出やすい。着込むことで、その構造に沿ったアタリが現れることもある。これは糸そのものによる縦落ちとは別の、服の形から生まれる色落ちだ。2NDの前身頃には、そうしたデニム特有の変化を楽しめる立体的な構造が備わっている。
背面にはプリーツを配置し、裾の両脇にはボタン式のアジャスターを備えている。1STのシンチバックは背面中央にベルトと金具があり、後ろ姿にも強い主張があった。対して2NDでは、調整機構を左右の裾へ移すことで、背中の中央から金具がなくなり、後ろ姿がすっきりしている。
一方で、裾のアジャスターを調整すれば、身幅のゆとりを残しながら腰回りの収まりを変えることができる。短丈で身幅のあるジャケットだからこそ、裾のわずかな絞り方によって、着たときの輪郭にも違いが生まれる。
こうして見ると、2NDは1STの持っていたワークウェアとしての構造を受け継ぎながら、前後のデザインを少しずつ整理したモデルだということが分かる。左右の胸ポケットによって前面の構成が整い、裾のアジャスターによって背面中央の主張が抑えられる。しかし、ダブルアクションプリーツや身幅のあるボックス型、短い着丈といった、古いデニムジャケットの骨格はそのまま残っている。
そしてORDINARY FITSでは、この2NDのデザインを踏まえながら、着丈をオリジナルより若干長めに設定している。身幅のあるボックス型と短丈の関係を崩さず、裾を出したときにも腰回りが自然に収まる。着丈が長くなりすぎないため、身幅にゆとりがあっても上半身が間延びして見えにくい。胸元には二つのポケットとアクションプリーツによる力強さがあり、古いワークジャケットらしい輪郭も残っている。
今回のUSEDモデルでは、そこに色落ちしたデニムの表情が加わる。二つの胸ポケットが並ぶ前身頃には、フラップや前立て、アクションプリーツによる生地の重なりがある。インディゴに濃淡が生まれることで、そうしたディテールの輪郭をより意識しやすくなる。もともとは作業着として必要だった構造が、加工されたデニムの色合いとともに、ジャケットの見た目を特徴づけている。
1950年代の2NDをモチーフにしながら、1970年代後半の66後期を研究したデニムを選ぶ。年代を揃えることよりも、それぞれの良さを一着の服としてどう生かすかを優先している。ヴィンテージの知識を持っている人には、その組み合わせ自体が面白い。一方で、そうした歴史を知らなくても、着たときの形やデニムの色合いを楽しめる。
昔はどうしても着丈の短さを受け入れられず、買わずに帰ったGジャン。そんな自分が、今ではORDINARY FITSのGジャンを選ぶようになりました。ヴィンテージの個性を残しながら、現代の服として着たくなる形に仕上げ、USED加工も必要以上に主張させていません。どこを残し、どこに手を加え、どこで止めるのか。その一つひとつの判断に、LAMPAがORDINARY FITSを選ぶ理由があります。