■A VONTADE
A VONTADEは、古き良きアメリカやヨーロッパのワークウェア、ミリタリーウェア、スポーツウェアを原点とするブランド。
それぞれの服が、用途に応じた「道具」として生み出されてきた背景に着目し、受け継ぐべきデザインや素材、機能性を吟味。そこに現代の価値観と、日本ならではの繊細さや緻密さを加えることで、独自の洋服へと進化させています。
A VONTADEが考えるカジュアルウェアとは、日常的に着るものだからこそ、丈夫で、細部まで丁寧につくられ、長く愛用できるものであるべきだというもの。
日本でのものづくりにこだわり、高い技術力を背景に、時を経ても価値を失わず、着込むほどに味わいを増していく服づくりを目指しています。
■Lampaの見解
A VONTADE BAGGIES JACKET
VTD-0583-JK
80年代のアウトドアの自由な造形を再構築。
都会の男が着るバギージャケット。
古いアウトドアウェアには、今の服にはない面白さがある。必要な機能を備えながら、どこか自由で、形にも独特な癖がある。現在のアウトドアウェアが軽量化や機能性を追求し、用途に応じて細かく進化してきたのに対し、1980年代の服には、もっと大らかな発想が感じられる。ゆったりとした身頃、大きなポケット、合理的でありながら少し変わったディテール。そうした服を今見ても、古さより先にデザインの面白さを感じることがある。
服を長く見続けていると、古いデザインを忠実に再現することだけが正解ではないと感じる。昔の服が持っていた面白さを残しながら、今の素材や用途に合わせて手を加える。その変更に納得できる理由がある服には、復刻とは違った魅力がある。元のデザインを知っているからこそできる変更に、作り手の考えが表れるからだ。
今回紹介するA VONTADEのBAGGIES JACKETは、1980年代のアウトドアジャケットをイメージソースにした中綿ジャケット。特に当時のバギーズジャケットを思わせる大らかな造形を取り入れながら、特徴的な前立てやポケットを独自にアレンジしている。さらに、コートを思わせる高密度コットンナイロンウェザーと、厚みのあるシンサレートを組み合わせることで、軽快なアウトドアジャケットのデザインを冬のアウターとして成立させている。
まず注目してほしいのが、表地の質感だ。使用しているのは、高密度に織り上げたコットンナイロンのウェザー生地。糸を密に打ち込むことで生まれるしっかりとしたハリとコシがあり、手に触れたときにも頼もしさを感じさせる。薄く軽いナイロンシェルとは異なり、生地そのものに形を支える力があるため、身頃や袖が身体にくったりと沿いすぎず、ジャケット全体の輪郭を保ってくれる。
さらに微起毛加工を施すことで、表面にごく細かな毛羽を持たせている。高密度生地ならではのしっかりとした感触を残しながら、手に触れたときの硬質さを和らげ、滑らかな手触りに仕上げているのが特徴だ。細かな毛羽によって光の反射も穏やかになり、表面には自然な陰影が生まれる。生地にハリがありながら、見た目には硬さを感じさせない。この組み合わせが実にいい。
そして、この生地の魅力は、アウトドアジャケットに使われているにもかかわらず、どこかコートを思わせる質感を持っていることだ。ナイロン特有の光沢を強く主張するのではなく、コットンの自然な風合いと微起毛による穏やかな表面感が、ジャケット全体を落ち着いた印象に整えている。機能的なデザインでありながら、いかにもスポーツウェアという見え方にならない理由のひとつが、この素材選びにある。
もちろん、見た目だけを優先した生地ではない。コットンにナイロンを組み合わせ、高密度に織り上げたうえで撥水加工を施すことで、水滴が表面に染み込みにくい仕様としている。高密度の織りは風を通しにくくする方向にも働くため、冬のアウターとしても理にかなった素材だ。アウトドアウェアに必要な実用性を備えながら、街で着たときにも素材の質感を楽しめるところに、この生地を選んだ意味がある。
デザインで特に注目したいのが、首元とポケットの構造だ。1980年代のバギーズジャケットには、ジッパーを覆う比翼が襟元まで伸びず、首の下あたりで終わる独特な仕様が見られる。上部ではジッパーが露出し、下部では比翼に隠れる。一般的なアウトドアジャケットではあまり見かけない、少し変わった前立てだ。
A VONTADEでは、この構造をそのまま再現せず、あえて比翼を首元まで伸ばしたスタンドカラーへと変更している。襟を立てて前を閉じれば、首元まで生地で覆うことができ、風の侵入を抑える方向に働く。オリジナルの特徴的な構造を知ったうえで、冬の中綿ジャケットとしての実用性を考えたアレンジと捉えることができる。しかも、首元まで続く比翼によって前身頃の縦の線が途切れず、ジャケット全体がすっきりとまとまる。機能面だけでなく、見た目にも意味のある変更だ。
もうひとつがポケット。古いバギーズジャケットには、立体的で存在感のあるポケット構造が見られ、それが前身頃の大きな特徴にもなっていた。対してA VONTADEでは、その複雑な構造をあえて簡潔に整理している。ポケットの主張を抑えることで、前身頃の凹凸が少なくなり、ゆったりとした身頃の形やコットンナイロンウェザーの質感が、より素直に伝わるデザインになっている。
ただし、簡潔にしたからといって実用性を犠牲にしているわけではない。両脇にはハンドウォーマーポケットを備え、寒いときに自然と手を入れられる構造としている。オリジナルの立体的なポケットが持っていた造形上の面白さを理解しながら、冬の日常で必要な機能を残し、外観を整理する。首元の比翼と同じく、単なる省略ではなく、今着る服として考え直した結果なのだと思う。
そして、このジャケットを冬の一着として成立させているのが、中綿に採用されたシンサレートだ。アメリカの3Mが開発したシンサレートは、微細な繊維の間に空気を保持することで、身体から発せられる熱を逃がしにくくする断熱素材。繊維そのものが発熱するのではなく、空気の動きを抑えることで保温性を確保する仕組みだ。
シンサレートというと、薄くても暖かい中綿という印象が強いかもしれない。しかし、シンサレートには薄さを重視したものだけでなく、嵩高性を持たせたタイプも存在する。今回のBAGGIES JACKETに使われているのは、しっかりと厚みのあるシンサレート。中綿の膨らみを極力抑えるのではなく、その量感も生かしながら、冬のアウターとしての保温性を備えている。
この厚みが、バギーズジャケットの大らかな形とよく合っている。もともと身体を締め付けないゆとりのあるデザインだからこそ、中綿の量感を取り込んでも、その形に無理がない。さらに外側にはハリとコシのある高密度コットンナイロンウェザーを使用しているため、中綿による膨らみを生地が受け止め、身頃や袖に立体的な輪郭が生まれる。薄手のシェルジャケットとは異なる、冬のアウターならではの厚みと存在感がある。
LAMPAがこのBAGGIES JACKETを紹介したいのは、古いアウトドアウェアへの理解が、今の都市生活にふさわしい冬の服へと結びついているからです。80年代の自由な造形を生かしながら、過剰な装飾を整理し、素材の質感と中綿の量感によって独自の輪郭をつくり出している。元になった服を知っていれば、その変更の面白さをさらに深く楽しめます。しかし、何より大切なのは、歴史を知らなくても一着の服として惹かれるだけの魅力があること。アウトドアの機能を備えながら、都会の男が自然に袖を通したくなる。そんな冬のバギージャケットです。
■Style
Tops HAVE A GOOD DAY CREW SWEAT HGD-351 2サイズを着用
Pants ORDINARY FITS 117TYPE LOOSE USED 117USD 32サイズを着用
Jacket ORDINARY FITS DENIM JACKET TYPE 1ST USED 011USD 40サイズを着用
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