BRENA - OBLI GERMAN DUCK
ワークウェアなのに、洗練された男の色気が漂う。
黒の中に異なる素材の質感が浮かび上がる、BRENAのカバーオール。
同じワークウェアでも、ヨーロッパのものにはアメリカンワークとは違った魅力がある。実用的な作業着でありながら、どこか端正で、無骨さの中に色気がある。特にフランスの古いワークジャケットには、必要から生まれたディテールが服全体の形を自然に作り上げている面白さを感じる。
そんなヴィンテージのFRENCH WORK WEARをベースに、GERMAN DUCKとイタリア製の人工スエードを組み合わせたのがBRENAの新型OBLI。LAMPAでも人気の高いGARDIに続き、新たな定番になってほしいと思えるカバーオールだ。フランスのデザイン、ドイツの生地、イタリアの素材。それぞれに異なる背景を持つものが、一着のワークジャケットに収まっている。この組み合わせには、服好きとして惹かれるものがある。
ダック地と聞いて思い浮かべるのは、CARHARTTに代表されるアメリカンワークの、厚く、硬く、重たい、あのガシッとした生地。あれはあれで格好いいし、長年親しんできた素材でもある。
ところが、このGERMAN DUCKは印象が違う。ダック地らしいしっかりとした芯とハリがありながら、適度な柔らかさと軽さを備えている。生地そのものに力強さはあるものの、過剰な硬さがなく、袖を通した時の感覚は軽快だ。
一般的なヘビーダックのカバーオールでは、生地の硬さそのものが服の輪郭を作ることも多い。しかし、このGERMAN DUCKは、しっかりとしたハリを残しながらも硬さを主張しすぎず、ジャケット本来の形を自然に見せてくれる。
特にBLACKでは、この生地の選択が効いている。黒いダック地に強い硬さと厚みが重なると、ジャケット全体が大きな塊として見えることもある。その点、このGERMAN DUCKは適度な柔らかさを備えているため、黒の引き締まった印象を保ちながら、襟やポケットの輪郭をきちんと見せてくれる。
また、ダック特有の乾いた表面感も、この生地の魅力。織物らしい質感があることで、光の当たり方によって服の凹凸が見えてくる。生地そのものの表情がしっかりと感じられるからこそ、シンプルな形の中にも力強さが残る。
フレンチワークといえば、まず思い浮かべるのはブルーのモールスキン。しかし、古いフランスのワークウェアにはブラックモールスキンのジャケットも存在していた。ヴィンテージ市場ではブルーに比べて見かける機会が少なく、古いフレンチワークを知る人にとっては特別な魅力を持つ色でもある。
つまり、フレンチワークにおけるBLACKは、現代的な印象を与えるためだけの色ではない。実際に労働着として使われてきた歴史を持つ色だ。
もちろん、今回のOBLIはモールスキンではなくGERMAN DUCK。モールスキン特有の起毛した表面とは異なり、ダック地の乾いた質感が前面に出ている。古いブラックモールスキンのワークジャケットとは、同じ黒でも素材の見え方がまったく違う。
このBLACKで特にいいのは、大きなポケットやチンストラップといったワークウェアらしいディテールが、全体の色に自然と馴染んでいること。形そのものはしっかりと主張しているのに、黒で統一されることで輪郭が整理され、ジャケット全体がすっきりと見える。
デニムとの組み合わせでは、その違いがよく分かる。ブルーのデニムに対して黒いジャケットが明確な輪郭を作り、上下の色にメリハリが生まれる。ワークウェア同士の組み合わせでありながら、色の対比によって装い全体が引き締まる。
そして、このBLACKをさらに面白くしているのが、イタリア製の人工スエードとの組み合わせだ。
ダック地の乾いた表面と、スエードの起毛した表面。同じ黒を基調としながら、光の受け方や素材の質感が異なることで、襟や胸ポケットの切り替えがさりげなく浮かび上がる。色で強いコントラストを付けるのではなく、素材の違いによって黒に奥行きを生み出している。
デザインはヴィンテージのFRENCH WORK WEARをベースに、襟にはチンストラップを備え、胸ポケットと両脇には丸みを持たせた大きめのポケットを配置。
特に両脇のポケットは、ワークウェアらしい実用的な大きさを持ちながら、角を立てずに丸みを持たせることで、前身頃に柔らかな線を生み出している。BLACKではポケットと身頃が同じ色にまとまるため、その丸みが大きな装飾として目立つのではなく、ジャケットの輪郭の一部として自然に収まっている。
そして、このOBLIをさらに魅力的にしているのが、異素材の切り替え。
襟、胸ポケット、袖の内側には、イタリア製のウォッシャブル人工スエードを採用。一般的なスエード調素材は片面起毛のものが多いが、今回使用しているのは両面起毛のタイプ。そのため通常のものより厚みがあり、しっかりとした素材感を備えている。
この厚みが、実にいい。
GERMAN DUCKは適度な柔らかさを持ちながらも、ダック地らしいハリのある生地。そこに薄いスエードを組み合わせるのではなく、両面起毛による厚みを持った素材を貼り付けることで、ダック地の力強さに負けない存在感が生まれている。
また、ダック地の乾いた質感に対して、スエードは起毛による柔らかな表面感を持つ。この異なる素材を組み合わせることで、ワークウェア特有の無骨さに、どこか色気を感じさせる表情が加わっている。
特に顔に近い襟のスエードは、ジャケット全体の印象を左右する部分。チンストラップを備えたワークウェアらしい襟の形に、柔らかな起毛感が加わることで、首元に独特の表情が生まれている。
そして、もうひとつ面白いのが袖の内側へのスエード使い。
袖の内側にスエードを貼り付けているため、通常の状態ではダック地が主体となるが、袖口を折り返すことでスエードが表に現れる。襟や胸ポケットと同じ素材が袖口にも加わり、ジャケット全体の見え方が変化する仕組みだ。
袖を折り返さなければ、黒いダック地を主体としたすっきりとした輪郭。少し折り返せば、袖口にも起毛した素材の質感が加わる。BLACKでは大きな色の変化ではなく、素材の表面感によって印象が変わる。こういう控えめな変化を楽しめるところも、この色の魅力だ。
古いワークウェアにも、襟や袖口に異素材を用いたものは存在する。摩擦の多い部分を補強するという実用的な考え方もあるが、今回のOBLIに関しては、むしろ装飾的な意味合いが強いように感じる。
ただし、その装飾が決して過剰ではない。襟、胸ポケット、袖の内側という限られた場所に使用することで、GERMAN DUCKの魅力を損なわず、スエードの質感を効果的に見せている。
デニムや軍パンとの組み合わせでは、カバーオール本来の男らしさが生きる。一方、スラックスに合わせれば、引き締まった色合いとパンツのすっきりとした線がつながり、ワークウェアらしいポケットの形がほどよいアクセントになる。合わせるパンツによって、同じディテールが違った役割を果たすところも面白い。
長く服を見続けていると、ヴィンテージのディテールを忠実に再現した服だけが魅力的なわけではないと感じる。古い服のどこに価値を見いだし、何を残し、何を変えるのか。その選択によって、服はまったく違うものになる。
フレンチワークの男らしさを残しながら、GERMAN DUCKの軽快さとイタリア製スエードの質感によって、BRENAならではのカバーオールに仕上げたOBLI。こういう服こそ、LAMPAで長く紹介していきたいと思います。
■Style
Tops ORDINARY FITS WOOL SWEAT 2サイズ着用
Pants ORDINARY FITS 117TYPE LOOSE ONE WASH 117OW 32サイズ
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